説明

走行型芝刈機

【課題】走行機体2に装着のモア装置8で刈り取った刈取草を集草ボックス10内に導くための排出ダクト12における底面板19を,当該底面板のうち前記集草ボックス側の基端部を中心にしてはね上げ回動するように構成して成る走行型芝刈機において,前記モア装置における刈取草を前記排出ダクト内に受け継ぎ誘導することを円滑にする。
【解決手段】
前記底面板19のうち前記モア装置側の先端部19aを,前記モア装置における刈取草排出口8aの内底部に,当該モア装置と一緒に上下動するように差し込み挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,走行機体に,地面に植立する芝草を刈り取るためのモア装置を装着して成る走行型の芝刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に,この種の走行型芝刈機においては,従来から良く知られているように,走行機体に,少なくとも地面に植立する芝草を刈り取るためのモア装置と,集草ボックスと,排出ダクトとを備えて成り,前記集草ボックスを,前記モア装置で刈り取った刈取草を前記排出ダクトを介して受け入れる姿勢と,その内部に受け入れた刈取草を放出する姿勢とに選択的に切り換え作動する構成にしている。
【0003】
先行技術としての特許文献1は,前記した走行型芝刈機において,その排出ダクトの底面板を,当該底面板のうち集草ボックス側の基端部を中心にはね上げ回動するように構成することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−238799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の構成によると,前記底面板を横向きに倒した状態にしたとき,前記モア装置から排出される刈取草は,この底面板の上面を前記集草ボックスに向かって流れて,前記集草ボックス内に受け入れられる。
【0006】
また,前記底面板をはね上げ回動すると,前記モア装置から排出される刈取草は,前記底面板のはね上げ回動により,前記集草ボックス内に受け入れられることなく,前記排出ダクトの底から下向きに放出され地面に直接に散布される。
【0007】
これにより,モア装置における刈取草を集草ボックス内に受け入れる状態と,地面に直接に散布する状態とに選択的に切り換えることができるとともに,前記底面板の上面に堆積する刈取草を当該上面から確実に排除することができる。この場合,前記底面板は,集草ボックスを刈取草の受け入れ姿勢にしたとき,刈取草を前記排出ダクト内に受け継ぎ誘導するという作用する。
【0008】
しかし,前記特許文献1における底面板は,当該底面板のうちモア装置側の先端部を斜め下向きに傾斜しているものの,全体としてフラットな平面板に構成しているに過ぎないから,前記モア装置における刈取草を前記排出ダクト内に受け継ぎ誘導するに際して刈取草の落ち零れが多く発生するという問題があった。
【0009】
特に,前記特許文献1においては,その底面板を,前記モア装置と一体にして上下動するという構成ではないことにより,前記モア装置の昇降動に際して,当該モア装置と前記底面板との間に,相対的な高さ位置のずれが発生し,しかも,この高さ位置のずれは,前記モア装置の上昇動したときにおいて大きくなるから,前記底面板による刈取草の排出ダクト内への受け継ぎ誘導が,前記モア装置を上昇動するにつれて悪化するという問題もあった。
【0010】
本発明は,これらの問題を解消した芝刈機を提供することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この技術的課題を達成するため請求項1は,
「走行機体に,モア装置と集草ボックスとを備えるとともに,前記モア装置にて刈り取った刈取草を前記集草ボックス内に導くための排出ダクトを備えて成り,前記排出ダクトにおける底面板を,当該底面板のうち前記集草ボックス側の基端部を中心にしてはね上げ回動するように構成して成る走行型芝刈機において,
前記底面板のうち前記モア装置側の先端部を,前記モア装置における刈取草排出口の内底部に,当該モア装置と一緒に上下動するように差し込み挿入した。」
ことを特徴としている。
【0012】
また,請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記底面板における先端部を,前記モア装置における刈取草排出口の内底部に設けた支持部材に,移動自在に載せて支持する構成にした。」
ことを特徴としている。
【0013】
更にまた,請求項3は,
「前記請求項2の記載において,前記底面板における先端部をモア装置に向かって斜め下向きに傾斜する構成にして,この先端部の下面に前記支持部材に載るカムを設け,このカムに,前記モア装置が下降位置にあるときに前記支持部材に載る平面と,前記モア装置が上昇動したときに前記支持部材に載る斜め上向きの傾斜面とを設けた。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1によると,底面板は,そのうちモア装置側の先端部が前記モア装置における刈取草排出口の内底部に差し込み挿入された状態のままで,しかも,前記モア装置との間に相対的な高さ位置のずれが発生することはなく,前記モア装置の昇降動に完全に一致して一緒に上下動するから,刈取草をモア装置から排出ダクト内に受け継ぎ誘導することの確実性を大幅に向上できるとともに,前記刈取草の受け継ぎ誘導が,モア装置の上昇動につれて悪化することを確実に防止できる。
【0015】
また,請求項2によると,前記底面板の先端部は,モア装置側の支持部材に載せるだけで良いから,前記底面板におけるモア装置に対する連動機構が極めて簡単な構成になり,大幅な小型化と軽量化とを達成できるばかりか,前記走行機体に対する前記モア装置の着脱が容易にできる。
【0016】
更にまた,請求項3によると,前記底面板の先端部を斜め下向きに傾斜していることで刈取草の受け継ぎ誘導性を更に向上できるほか,前記先端部における斜め下向きの傾斜が,前記モア装置を上昇動したときに水平に近づくように小さくなる度合いを大幅に低減できるから,モア装置を上昇した位置での刈取草の確実な受け継ぎ誘導性を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】走行型芝刈機の側面図である。
【図2】走行型芝刈機の平面図である。
【図3】図2のIII −III 視拡大断面図である。
【図4】図3のIV−IV視平断面図である。
【図5】図3のV−V視断面図である。
【図6】図3のVI−VI視断面図である。
【図7】図4のVII −VII 視拡大断面図である。
【図8】図7の作動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,本発明における実施の形態を,図1〜図8の図面について説明する。
【0019】
これらの図面は,走行型芝刈機1を示している。
【0020】
この走行型芝刈機1は,左右の前輪3及び後輪4にて支持されて走行する走行機体2を備え,この走行機体2は,その上面に前から順番にエンジン5,操縦ハンドル6及び操縦座席7が設けられ,前記前輪3及び後輪4のうちいずれか一方又は両方を前記エンジン5にて回転駆動することにより,適宜速度で走行するように構成されている。
【0021】
また,前記走行機体2のうち前記前輪3と前記後輪4との間には,前記エンジン5からの動力伝達にて駆動されるモア装置8が配設され,このモア装置8は,前記走行機体2に昇降用リンク機構9により,地面32に対して一定の姿勢を保った状態で,後方に向かって斜め上向きの傾斜に沿って昇降動するように吊設されている。
【0022】
一方,前記走行機体2のうち前記後輪4よりも後部には,集草ボックス10が,後方に向かってはね上げ回動するようにピン軸11にて枢着されている。
【0023】
更にまた,前記走行機体2における下面には,前記モア装置8で刈り取った刈取草を前記集草ボックス10内に導くための排出ダクト12が,前記両後輪4の間を後方に延びるように設けられている。
【0024】
前記集草ボックス10は,前記走行機体2に対してピン軸11にて自在に回動するように装着されており,図1に実線で示す位置にあるとき,つまり,前記排出ダクト12に接続された状態にあるときには,その内部に,前記排出ダクト12から後方に放出される刈取草を受け入れ,そして,受け入れた刈取草が所定量になると,二点鎖線で示すように,前記ピン軸11を中心にして,前記排出ダクト12から離れるように後方にはね上げ回動することにより,その内部に溜めた刈取草を放出するという構成になっている。
【0025】
なお,前記集草ボックス10を刈取草の受け入れ姿勢と地面への放出姿勢とに選択的に切り換えることは,図示していない油圧機構を前記走行機体2に設けた姿勢レバー33によって切り換え作動することによって行なうように構成している。
【0026】
なお,前記集草ボックス10を刈取草の地面への放出姿勢とするようにはね上げ回動することは,前記油圧機構の突出動による前記集草ボックス10の押し上げにて行なう一方,前記集草ボックス10を刈取草の受け入れ姿勢に戻すことは,前記油圧機構の後退動に伴い,前記集草ボックス10がその重量で下向きに回動することによって行なうようにしている。
【0027】
前記排出ダクト12は,天井板13と,この天井板13の左右両側から垂下する左右一対の側面板14a,14bとによって,底を開放した下向きのコ字状断面に構成されている。
【0028】
また,前記排出ダクト12における両側面板14a,14bの内側のうち前記モア装置8側の部分には,前記両側面板14a,14bと平行にした可動式の内側面板15a,15bが,前記モア装置8における刈取草排出口8aに向かって延びるように配設され,この両内側面板15a,15bのうち前記集草ボックス10側の基端部(後端部)は,前記排出ダクト12における両側面板14a,14bに,ピン16a,16bにて回転自在に枢着されている一方,前記両内側面板15a,15bのうち前記モア装置8側の先端部(前端部)は,前記モア装置8に対する昇降リンク機構9にリンク17a,17bを介して連結されている。
【0029】
前記排出ダクト12の底面は,前記集草ボックス10側に位置する出口側底面板18と,前記モア装置8側に位置する入口側底面板19とで塞ぐように構成されている。
【0030】
前記出口側底面板18は,当該出口側底面板18のうち集草ボックス10側の基端部(後端部)を前記排出ダクト12の後端下部に軸支した横軸20に固着することにより,前記横軸20の回動にて上向きにはね上げ回動するように取付けられている。
【0031】
前記横軸20は,前記集草ボックス10に連杆21を介して連結されており,これにより,前記出口側底面板18は,前記集草ボックス10が図1に実線で示す刈取草の受け入れ姿勢にあるときには,図3に実線で示すように,前向きに倒れた姿勢になっているが,前記集草ボックス10が図1に二点鎖線で示す刈取草の放出姿勢になると,図3に二点鎖線で示すように,上向きにはね上げ回動するように構成されている。
【0032】
一方,前記入口側底面板19は,当該入口側底面板19のうち前記集草ボックス10側の基端部(後端部)を前記両内側面板15a,15bにピン22にて回転自在に枢着することにより,上向きにはね上げ回動するように構成されている。
【0033】
前記入口側底面板19のうち前記モア装置8側の先端部(前端部)19aは,前方のモア装置8に向かって斜め下向きの傾斜に折り曲げられ,そして,この先端部19aは,前記モア装置8における刈取草排出口8aの内部における底部に差し込み挿入されており,その先端部19aの下面に設けたカム23が前記刈取草排出口8aの底部に設けた横バー式の支持部材24に載っている。
【0034】
これにより,前記入口側底面板19は,前記モア装置8側における前記支持部材24にて,前後方向に自在に移動するように支持されており,この状態から上向きにはね上げ回動する。
【0035】
一方,前記モア装置8が,その昇降用リンク機構9にて斜め後方に向かって地面32から離れるように上昇動すると,当該モア装置8と,前記両内側面板15a,15b,ひいては,前記入口側底面板19とが互いに接近動することにより,前記入口側底面板19の先端部19aにおける前記刈取草排出口8a内への差し込み寸法(L)が,前記モア装置8の上昇動につれて,図7及び図8に示すように,最下降位置の(L1)から上昇位置の(L2)に大きくなるという構成になっている。
【0036】
この場合,前記モア装置8における刈取草排出口8aの底部に設けた支持部材24には,前記モア装置8が最下降位置にあるときには,図7に示すように,前記入口側底面板19における先端19aの下面に設けたカム23における平面23aが載る状態にあるが,前記モア装置8が地面32から離れるように上昇動したときには,図8に示すように,前記カム23における傾斜面23bが載る状態になるという構成になっている。
【0037】
前記出口側底面板18のうち前記モア装置8側の先端部(前端部)は,当該出口側底面板18が前向きに倒れた姿勢にあるとき,前記入口側底面板19のうち前記集草ボックス10側の基端部(後端部)に設けたストッパー片25a,25bに載った状態に支持されており,この状態からはね上げ回動する。
【0038】
そして,前記出口側底面板18及び前記入口側底面板19における左右両側面と,前記排出ダクト12における両側面板14a,14b及び両内側面板15a,15bとの間の各々には,隙間26a,26bが前後方向に延びるように形成され,この隙間26a,26b内には,帯状板にて構成したリンク杆27a,27bが,前記出口側底面板18及び前記入口側底面板19における左右両側面と平行に延びるように配設されている。
【0039】
前記両リンク杆27a,27bのうち前記集草ボックス10側の基端(後端)は,前記出口側底面板18のうち中程部の側面にピン28a,28bにて回動自在に枢着されている。
【0040】
一方,前記両リンク杆27a,27bのうち前記モア装置8側の先端(前端)は,前記入口側底面板19のうち中程部の側面にピン29a,29bにて回動自在に枢着されており,これにより,前記出口側底面板18がはね上げ回動するとこれに連動して前記入口側底面板19がはね上げ回動し,前記出口側底面板18が前向きに倒れ回動するとこれに連動して前記入口側底面板19が前向きに倒れ回動するように構成されている。
【0041】
また,前記入口側底面板19と前記両リンク杆27a,27bとを連結する枢着ピン29a,29bが嵌まるピン孔29a′,29b′を,図7及び図8に示すように,長溝孔にすることにより,前記入口側底面板19が,前記モア装置8の昇降動に連動して上下回動することを許容するという構成にしている。
【0042】
なお,前記出口側底面板18及び前記入口側底面板19とを連結するリンク杆は,これらにおける左右両側面の両方に設けることに限らず,前記出口側底面板18及び前記入口側底面板19における左右両側面のうち一方の側面にのみ設けるという構成にできる。
【0043】
この構成によると,前記集草ボックス10を,図1に実線で示す刈取草の受け入れ姿勢にすると,前記排出ダクト12の底面を形成する入口側底面板19及び出口側底面板18が,リンク杆27a,27bを介して互いに連動しながら,同時に前向きに倒れ回動するから,前記モア装置8において刈り取った刈取草は,前記入口側底面板19及び出口側底面板18の上面を後方に流れて,前記集草ボックス10に受け入れられることになる。
【0044】
また,前記集草ボックス10を,図1に二点鎖線で示す刈取草の放出姿勢にすると,前記入口側底面板19及び出口側底面板18が,リンク杆27a,27bを介して互いに連動しながら,同時に上向きにはね上げ回動するから,前記モア装置8において刈り取った刈取草は,前記集草ボックス10に入ることなく,前記排出ダクト12の底から地面32に直接に放出されることになる。
【0045】
また,前記入口側底面板19及び出口側底面板18のはね上げ回動により,これら入口側底面板19及び出口側底面板18の上面に堆積する刈取草を当該上面から確実に排除することができる。
【0046】
前記出口側底面板18と前記入口側底面板19との相互間を連結する前記リンク杆27a,27bは,前記出口側底面板18及び入口側底面板19の側面と,前記排出ダクト12における左右側面板14a,14b及び左右両内側面15a,15bとの間に形成した隙間26a,26b内に配設されていることにより,前記入口側底面板19及び出口側底面板18の上面における刈取草の流れを妨げることはなく,換言すると,前記入口側底面板19及び出口側底面板18の上面には刈取草が引っ掛かるものは存在しないから,刈取草の後方への流れが円滑になる。
【0047】
そして,前記リンク杆27a,27bは,平面視(図4)において,前記隙間26a,26bを,その略全長にわたって塞ぐという構成になっている。
【0048】
これにより,前記入口側底面板19及び出口側底面板18の上面を流れる刈取草が,前記隙間26a,26bから零れ落ちることを,前記リンク杆27a,27bによって確実に阻止することができる。
【0049】
図示の実施の形態においては,前記リンク杆27a,27bを,その上端縁に外向きへの折り曲げ片27a′,27b′を設けて,く字状の断面に構成することに加えて,このリンク杆27a,27bの基端に,前記出口側底面板18への枢着ピン28a,28bより後方への延長部27a″,27b″を設けることにより,前記隙間26a,26bをその略全長にわたって塞ぐという構成にしている。
【0050】
この図示の実施の形態によると,前記リンク杆27a,27bをく字状断面に構成したことにより,強度を向上しながら軽量化できる利点がある。
【0051】
また,他の実施の形態においては,図示以外の構成にて,前記隙間26a,26bをその略全長にわたって塞ぐように構成することもできる。
【0052】
前記入口側底面板19のうち前記モア装置8側の先端部(前端部)19aは,斜め下向きの傾斜に折り曲げられた上でモア装置8における刈取草排出口8a内の底部に差し込み挿入されており,この状態で前記モア装置8の上昇動に連動して,その間に高さ位置の相対的なずれを生じることなく,換言すると,前記モア装置8と一定の高さ位置を保持したままで上下動する。
【0053】
これにより,前記モア装置8における刈取草排出口8aから排出される刈取草を,前記モア装置8の昇降動にかかわらず,換言すると,前記モア装置8がどのような高さ位置にあっても,前記排出ダクト12内に前記入口側底面板19を介して零すことなく確実に受け継ぐことができる。
【0054】
そして,前記入口側底面板19は,前記モア装置8を上昇動したとき,その下面に設けたカム23における平面23aが支持部材24に載る状態から,図8に示すように,前記カム23における傾斜面23bが支持部材24に載る状態に移動することにより,その先端部19aを斜め下向きに傾斜する姿勢に保持することができるから,刈取草を排出ダクト12内に受け継ぐことができる。
【0055】
すなわち,前記カム23を,平面23aのみを有し,傾斜面23bを有しない構成にした場合,前記モア装置8の上昇動による前記入口側底面板19の上向きへの回動角度が,前記傾斜面23bを有する場合に比べて大きくなる。
【0056】
これにより,この入口側底面板19の先端部19aにおける斜め下向きの傾斜に折り曲げた部分が,前記モア装置8を上昇動するにつれて,次第に水平に近づくようになるから,前記モア装置8における刈取草の前記入口側底面板19による排出ダクト12内への受け継ぎ誘導性が低下することになる。
【0057】
これに対して,前記カム23に平面23aと傾斜面23bとの両方を設ける構成にした場合には,前記モア装置8の上昇動による前記入口側底面板19の上向きへの回動角度が,前記モア装置8側の支持部材24への前記カム23の接当が図8に示すように平面23aから傾斜面23bに移動する分だけ小さくなり,この入口側底面板19の先端部19aにおける斜め下向きの傾斜に折り曲げた部分が水平に近づくように小さくなる度合いを大幅に低減できるから,前記モア装置8における刈取草の前記入口側底面板19による排出ダクト12内への受け継ぎ誘導性を向上できる。
【0058】
前記図示の実施の形態においては,前記集草ボックス10のはね上げ回動と,これに連動した前記両底面板18,19のはね上げ回動とを,前記油圧切換操作レバー33にて行なうように構成している。
【0059】
また,他の実施の形態においては,前記油圧切換操作レバー33とは別に(これに加えて),手動操作レバー31を,前記走行機体2における前記操縦座席7の右側の部位に前方に延びるように設け,この手動操作レバー31を手動にて上向きに回動操作することによって,前記両底面板18,19のはね上げ回動,或いは,前記集草ボックス10及び前記両底面板18,19のはね上げ回動を,前記油圧切換操作レバー33に優先して行なうように構成することができる。
【0060】
なお,かかる構成にする場合,前記手動操作レバー31は,前記油圧切換操作レバー33の操作による前記両底面板18,19のはね上げ回動,或いは,前記集草ボックス10及び前記両底面板18,19のはね上げ回動には連動して回動しないように構成することが好ましい。
【0061】
これにより,前記手動操作レバー31が前記油圧切換操作レバー33の操作に連動して回動することに起因する安全性の低下を回避できる。これに加えて,前記手動操作レバー31の前端部(握り部)を,平面視で内向きに折り曲げることにより,これに他物が引っ掛かることを回避するように構成している。
【0062】
更にまた,前記走行機体2の後部のうち前記手動操作レバー31よりも外側の部位には,簡易レバー30が設けられている。
【0063】
この簡易レバー30は,前記両底面板18,19のはね上げ回動,或いは,前記集草ボックス10及び前記両底面板18,19のはね上げ回動に連動して回動し,前記両底面板18,19の戻し回動,或いは,前記集草ボックス10及び前記両底面板18,19の戻し回動に連動して逆方向に戻し回動するという構成である。
【0064】
これによって,この簡易レバー30の回動位置によって,前記両底面板18,19及び/又は前記集草ボックス10の姿勢位置を確認することができるほか,この簡易レバー30の回動操作によっても,前記両底面板18,19のはね上げ回動,或いは,前記集草ボックス10及び前記両底面板18,19のはね上げ回動を行なうように構成することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 芝刈機
2 走行機体
3 前輪
4 後輪
5 エンジン
8 モア装置
8a モア装置の刈取草排出口
9 モア装置の昇降用リンク機構
10 集草ボックス
12 排出ダクト
13 排出ダクトの天井板
14a,14b 排出ダクトの側面板
18 出口側底面板
19 入口側底面板(底面板)
19a 入口側底面板の先端部
23 カム
23a カムの平面
23b カムの傾斜面
24 支持部材
27a,27b リンク杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に,モア装置と集草ボックスとを備えるとともに,前記モア装置にて刈り取った刈取草を前記集草ボックス内に導くための排出ダクトを備えて成り,前記排出ダクトにおける底面板を,当該底面板のうち前記集草ボックス側の基端部を中心にしてはね上げ回動するように構成して成る走行型芝刈機において,
前記底面板のうち前記モア装置側の先端部を,前記モア装置における刈取草排出口の内底部に,当該モア装置と一緒に上下動するように差し込み挿入したことを特徴とする走行型芝刈機。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記底面板における先端部を,前記モア装置における刈取草排出口の内底部に設けた支持部材に,移動自在に載せて支持する構成にしたことを特徴とする走行型芝刈機。
【請求項3】
前記請求項2の記載において,前記底面板における先端部をモア装置に向かって斜め下向きに傾斜する構成にして,この先端部の下面に前記支持部材に載るカムを設け,このカムに,前記モア装置が下降位置にあるときに前記支持部材に載る平面と,前記モア装置が上昇動したときに前記支持部材に載る斜め上向きの傾斜面とを設けたことを特徴とする走行型芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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