説明

走行玩具セット

【課題】 走行面上において、ノンフォールアクション以外にも興趣に富んだアクションを起こすことができる走行玩具セットを提供する。更に、お風呂やプール等での使用が可能となり、走行体の動きにより走行台も興味深い動きをする走行玩具セットを提供する。
【解決手段】 平行縁312を有する突状走行面311を備える走行台3と、車軸25の両端に取付けられる前輪26と、左右一対の駆動輪22及び従動輪23からなる後輪と、前輪26と後輪の間に設けられる旋回輪27とを有し、前記走行面3上から前輪26が脱輪した際に旋回輪27が走行面31に接地し、前輪26を走行面31上に復帰させるノンフォール走行体2とからなる走行玩具セット1。前記ノンフォール走行体2の両前輪26間の最大距離と、前記走行台3の突状走行面31に設けられる平行縁312間の距離との比率が、1:1〜1:1.5の範囲にある。前記走行台3が水面に浮遊可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具セットに関する。更には、走行台と走行体とからなり、走行面上の特定箇所で特異的なアクションを起こす走行玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、走行体をテーブルや台座等の走行面上を走行させた際、該走行面の端縁から落下する寸前に旋回輪の作用により進行方向が補正され、走行面上から落下することなく走行状態に復帰できる、所謂ノンフォール走行体が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記走行体を収容する収容ケースに走行面を設け、該収容ケースと走行体とからなる走行玩具セットとすることで、収容ケースの走行面上でアクションを起こすことができる走行玩具セットが開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭55−32741号公報
【特許文献2】実用新案第3069675号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献2で開示される走行玩具セットは、走行体を収容するケースに軌道部を設けることで、使用時には特定範囲内でアクションを起こすことができると共に、非使用時にはコンパクトに収納できるものであるが、走行面上で単調なノンフォールアクションを繰り返すのみであった。
また、走行台としては固定面上に設置して使用するものは多く適用されているが、水面においても使用可能なものはなかった。
【0004】
本発明は、走行面上において、ノンフォールアクション以外にも興趣に富んだアクションを起こすことができる走行玩具セットを提供するものである。更に、走行台を水上に浮遊させることで、お風呂やプール等での使用が可能となり、走行体の動きにより走行台も興味深い動きをする走行玩具セットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
平行縁を有する突状走行面を備える走行台と、車軸の両端に取付けられる前輪と、左右一対の駆動輪及び従動輪からなる後輪と、前輪と後輪の間に設けられる旋回輪とを有し、前記走行面上から前輪が脱輪した際に旋回輪が走行面に接地し、前輪を走行面上に復帰させるノンフォール走行体とからなる走行玩具セットであって、前記ノンフォール走行体の両前輪間の最大距離と、前記走行台の突状走行面に設けられる平行縁間の距離との比率が、1:1〜1:1.5の範囲にあることを要件とする。
更に、前記走行台が、水面に浮遊可能であることを要件とする。更に、前記走行体の重量により、走行台が水面に対して水平状態又は傾斜状態を維持することを要件とする。
更には、ノンフォール機構を有する走行体と、該走行体が走行する走行面を有し、水面に浮遊可能な走行台とからなること、前記走行体の重量により、走行台が水面に対して水平状態又は傾斜状態を維持することを要件とする。
尚、本発明において「前」とは、走行体の進行方向を示す。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1により、走行面上で走行体がノンフォールアクションを起こすことは勿論、突状走行面においては回転動作による興趣に富んだアクションを起こすことができる。
【0007】
請求項2により、上記アクションを起こす玩具を陸上のみならず、水上においても使用できるものとなる。
【0008】
請求項3により、走行体の動きに合わせて、走行台が沈むことなく水面で興味深い動きを生じる、より興趣に富んだ玩具セットとなる。
【0009】
請求項4により、ノンフォール玩具を陸上のみでなく、水上においても使用できるものとなる。
【0010】
請求項5により、走行体の動きに合わせて、走行台が沈むことなく水面で興味深い動きを生じる、より興趣に富んだ玩具セットとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の走行玩具セットは、ノンフォール機構を備えた走行体と、該走行体が走行する走行面を有する走行台とから構成されるものである。
【0012】
前記走行体は、走行面上から前輪が脱輪した際に旋回輪が走行面に接地し、前輪を走行面上に復帰させることができるノンフォール機構を備えており、例えば、ゼンマイやモーター等の駆動源を内蔵し、該駆動源の駆動力により回転する駆動輪と、該駆動輪と左右一対に設けられる従動輪とを後輪として設け、一本の車軸の両端に取付けられる前輪を設けてなる。更に、前輪と後輪の間には、前記駆動輪の回転と共に駆動する旋回輪が、前記前輪用車軸に対して垂直な軸を回転軸とする位置に配置される。また、前記旋回輪は、前輪及び後輪が走行面に接地した状態では若干浮遊する高さに設けられている。
【0013】
また、前記走行体は、陸上での使用以外にも水場で遊ぶことができるように、水中や水面で浮遊する構成や、移動する手段を設けることができる。その際、走行体や駆動源の内部への浸水を防ぐために防水加工を施すことが好ましい。
【0014】
前記走行台には、隆起状の走行面が設けられており、該走行面上を走行体が自由に走行移動できるようになっている。前記走行面には、平行縁を有する突状部分(突状走行面)が一箇所又は複数箇所設けられるか、隆起状走行面自体が突状走行面となっており、前記突状部分の平行縁間の距離と、前記走行体の前車輪間の最大距離とが、1:1〜1.5:1(即ち、前車輪間の最大距離を1とした際、平行縁間の距離が1〜1.5の範囲にある)、好ましくは1.1:1〜1.5:1の範囲内の比率になるように形成される。
前記比率に形成することで走行面を走行する走行体が突状部分(突状走行面)に到達した際、突状走行面内で回転動作を起こすので、より興趣に富んだアクションを付与することが可能となる。また、前記平行縁は、略平行になっているものも適用でき、略同様のアクションを付与できる。
【0015】
また、前記走行台には、山やトンネル等を模した部材を設けて種々の背景を形成することや、走行体に関連する模型物を配置することにより、走行体の容姿に合わせた構成とすることができ、走行玩具セットとしての興趣を増すこともできる。
【0016】
更に、前記突状走行面を有する有しないに関わらず、走行面を備えた走行台は、樹脂等により成形される本体内部に独立気泡発泡体や空気室を設けたり、走行台自体を独立気泡発泡体や低比重の樹脂で形成することにより、水面に浮遊可能な構造とすることができる。これにより、固定面上のみならず水上で使用することが可能なものとなる。
【0017】
その際、前記走行台に設けられる走行面上を走行体が走行移動することで、走行体の存在する位置に応じて、走行体の自重により走行台が水面に対して傾き、傾斜状態を維持する又は、水面に対して水平状態を維持するので、駆動源等の可動手段を有しないにも関わらず走行台が水面上で転覆することなく興味深い動きをするものとなる。これは、走行台の水面浮遊状態において、走行体の存在する部分が走行台の重心付近であれば水平状態となり、走行体が走行台の外周近傍に近づくにつれて、走行体の自重により重心に比べ水中に沈み込み、該部分と遠距離にある部分が重心に比べ浮かび上がることから浮沈運動(傾動運動)が生じるためである。よって、走行面を走行台の外周部分に設けることや、走行体の速度を速くすることで、より大きな浮沈運動を発生させることができるものとなる。
更に、前記走行台は形状に応じて様々な動きを起こすものとなり、特に、走行台の外周に多数の角や曲面が設けられたもの(楕円、小判型、多角形、星型等)においては、より興味深い動きをするものとなる。
【0018】
また、前記走行台に働く浮力に応じて、走行体の重量を広い範囲で選択できるが、走行体が走行する際に走行台が水没することや、極端に傾くことを防ぐために、走行体の重量を走行台に働く浮力より小さくすることが好ましい。また、走行台により大きな浮沈運動を付与するために、走行体の重量が、走行台の重量の10分の1以上から、走行台の重量と略等しい範囲に設定することがより好ましい。
【実施例】
【0019】
本発明の実施例を以下の図面に従って説明する。
図1は本発明の走行玩具セットの外観斜視図、図2は走行体の裏面を表す図、図3は走行玩具セットの水面での使用例を表す図、図4は図3の状態の端部拡大図である。
本発明の走行玩具セット1に適用されるノンフォール走行体2は、駆動源となるゼンマイユニットを内蔵し、該ゼンマイを巻くためのゼンマイツマミ21を車体外方(横方向)に突出するように配置している。前記ゼンマイの駆動力により回転する駆動輪22(右後輪)と、該駆動輪22と左右一対に設けられる従動輪23(左後輪)とを後輪として配置し、該後輪の前方に設けられる軸受24により重心部を回転可能且つシーソー動可能に支持される車軸25の両端に、一対の前輪26が両輪幅Lを2.5cmとして固着されている。また、前記前輪26と後輪22、23との間には、駆動輪22の回転と共に駆動する旋回輪27が車軸25に対して垂直な軸を回転軸とするように配置されている。前記旋回輪27は、走行体2が走行面31を走行する際には、走行面31に接地しないように若干浮遊する高さに設けられている。これにより、走行面31上から前輪26が脱輪した際に旋回輪27が走行面31に接地し、前輪26を走行面31上に復帰させるノンフォール機構を構成している。
【0020】
また、前記ノンフォール走行体2のボディ内に発泡体を配設することで、水中に落下した際にも沈没することが無い構造となっている。更に、水場での使用により部材が錆びることを抑制するため、車軸、ゼンマイユニット、ネジ等に用いられる金属部材をステンレス製にすることが好ましい。
【0021】
前記走行玩具セット1に適用される走行台3は、内部を中空状とする多角形板状の樹脂成形体からなり、走行体2が自由に走行移動できるように、上面に隆起状平面である走行面31が設けられている。更に、前記走行面31には、幅Wが3.3cmの平行縁312を有する突状走行面311が一箇所設けられており、該突状走行面311の平行縁312外方には若干低い高さの緩衝部32が設けられている。また、前記走行台3内部の中空状部分には、フロート材となる発泡体33を内蔵することで浮遊可能としている。
更に、前記走行台3は分割可能に構成することもでき、分割された走行台3の一片(分割片)の断面に嵌合用の凹凸部を設けることができる。前記凹凸部により着脱自在に構成できるので、種々の形状の走行面を備えた分割片を組み合わせることにより、走行台3の形状や、走行面31のコース形状を変化させることもできる。
【0022】
また、前記走行台3には、トンネルや信号等の背景パーツを設けることで様々な背景を作り、玩具としての興趣を増すこともできる。更に、前記背景パーツを走行台3の上部や側面に着脱自在に設けることにより、ユーザーが自由に背景を設定でき、より玩具としての興趣が増すものとなる。
【0023】
前記走行台3の走行面31上でノンフォール走行体2を走行させる際、走行体2のゼンマイツマミ21によりゼンマイを巻き上げることでゼンマイユニットが可動し、駆動輪22及び旋回輪27が回転して走行体2が走行面31上から落下することなく走行移動する。その際、駆動輪22及び旋回輪27をゴム製としたり、走行面31上に弾性部材や粗面等を設けることで、ゼンマイにより回転する駆動輪22及び旋回輪27が走行面31上で空回りすることなく確実に走行体2が走行できるものとなる。
【0024】
また、走行玩具セット1において、走行体2の前輪26間の最大距離Lと、走行台3の突状走行面32に設けられる平行縁312間の距離Wとが、1:1〜1:1.5の範囲内の比率(本実施例においては1:1.32)で形成されることにより、走行体2が突状走行面32に到達してノンフォールアクションを起こした際に、突状走行面32上で連続的な回転運動を生じることができ、より興味深い動きを付与できるものとなる。
【0025】
前記走行玩具セット1は水面4上で使用するために、前記走行体2の重量が走行台3の重量の10分の1以上に設定されているので、走行台3は、走行体2の重量により沈むことがない浮力を有するものとなっている。前記重量に設定することで、走行台3上部での走行体2の走行移動に伴い、走行体2の自重により走行面31上に走行体2が存在する側で沈み、走行体2が存在しない側で浮かぶような浮沈運動を転覆することなく繰り返すものとなる。更に、前記走行台3の水面と接する部分(外周部)の形状を複雑にしたり、走行台3全体の大きさを大きく形成したり、走行面31を走行台3の外周近傍に設けたりすることで、走行体2の動きにより、走行台3が水上でより複雑で大きい動きを起こすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の走行玩具セットの一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】走行体の下部を表す図である。
【図3】図1の走行玩具セットの使用状態を示す断面図である。
【図4】図3の端部拡大図である。
【符号の説明】
【0027】
1 走行玩具セット
2 ノンフォール走行体
21 ゼンマイツマミ
22 駆動輪
23 従動輪
24 軸受
25 車軸
26 前輪
27 旋回輪
3 走行台
31 走行面
311 突状走行面
312 平行縁
32 緩衝部
33 発泡体
4 水面
L 前輪間の距離
W 平行縁間の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行縁を有する突状走行面を備える走行台と、車軸の両端に取付けられる前輪と、左右一対の駆動輪及び従動輪からなる後輪と、前輪と後輪の間に設けられる旋回輪とを有し、前記走行面上から前輪が脱輪した際に旋回輪が走行面に接地し、前輪を走行面上に復帰させるノンフォール走行体とからなる走行玩具セットであって、前記ノンフォール走行体の両前輪間の最大距離と、前記走行台の突状走行面に設けられる平行縁間の距離との比率が、1:1〜1:1.5の範囲にあることを特徴とする走行玩具セット。
【請求項2】
前記走行台が、水面に浮遊可能であることを特徴とする請求項1記載の走行玩具セット。
【請求項3】
前記走行体の重量により、走行台が水面に対して水平状態又は傾斜状態を維持することを特徴とする請求項2記載の走行玩具セット。
【請求項4】
ノンフォール機構を有する走行体と、該走行体が走行する走行面を有し、水面に浮遊可能な走行台とからなる走行玩具セット。
【請求項5】
前記走行体の重量により、走行台が水面に対して水平状態又は傾斜状態を維持することを特徴とする請求項4記載の走行玩具セット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−204672(P2006−204672A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22741(P2005−22741)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】