説明

起振装置

【課題】簡単な構造で無段階に偏心モーメントを切り換え可能とし、任意の偏心モーメントを得ることが容易で、製品としての信頼性の高い起振装置を提供する。
【解決手段】起振装置(20)は、車輪を兼用する振動ローラの軸心位置に設けられたメインシャフト(22)と、該メインシャフトを回転させる振動モータ(24)と、前記メインシャフトに固定された第1の偏心錘(30)と、前記メインシャフトの軸方向に沿って摺動可能に取り付けられた第2の偏心錘(40)とを備え、前記第1及び第2の偏心錘はそれぞれ、前記メインシャフトの軸方向の一部を周方向に沿って連続して覆い、前記メインシャフトの径方向に均一に広がる略中空円筒状の基台部(32,42)と、該基台部の一部に形成された錘部(34,44)とからなり、前記第1の偏心錘と前記第2の偏心錘との突き当て面(36,46)は、前記メインシャフトに対して互いに螺旋状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動ローラ車両に配設され、起振力を切換可能な起振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動タイヤローラが特許文献1に開示されている。この振動タイヤローラは、車輪を兼用する振動タイヤを備え、振動用モータを駆動させて起振軸を回転させ、走行用モータを駆動させて振動タイヤローラを走行させることで、振動タイヤローラが振動しながら走行し、舗装面の締固め作業を実施する。
詳しくは、この振動タイヤ内には、貫通孔を有した中空構造の走行用モータと可変振動機構とが設けられている。この可変振動機構は、振動タイヤ内を幅方向に延びる起振軸(メインシャフト)と、この起振軸を回転させるための振動用モータと、起振軸内に配設された偏心錘と、この偏心錘を回動させることで起振軸の偏心量を切り換えるための油圧シリンダとを含んでいる。詳しくは、油圧シリンダと振動用モータとは走行用モータ及び起振軸を車幅方向において間に挟むように配置されている。そして、起振軸と振動用モータとはシャフトを介して接続され、偏心錘と油圧シリンダとはロッドを介して接続されている。
【0003】
このような可変振動機構によれば、油圧シリンダの操作が可能であるので、起振軸の回転数を下げることなく偏心錘が配設された起振軸の振幅、即ち、偏心モーメントを数段階、或いは、無段階に設定可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−23766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の振動機構は、ロッドを介した油圧シリンダの伸縮により偏心錘を回動させることで起振軸の偏心モーメントを任意に設定するものである。そのため、偏心錘の回動角度と偏心モーメントが比例せず、油圧シリンダの伸縮を制御して任意の偏心モーメントを得ることが困難である。
また、特許文献1に記載の振動機構には、偏心錘を移動させるためのロッドが配設されており、その結果、走行用モータを中空構造にしなければならない。このため、部品点数及びコストの増加とともに、構造の複雑化を招いていた。
【0006】
さらに、起振軸の一端にはシャフトが接続される一方、他端には偏心錘を介してロッドが接続されている。即ち、起振軸の両端にはシャフト及びロッドがそれぞれ接続されているので、起振軸の回転時、起振軸、シャフト及びロッドに歪みが生じやすく、起振軸の精度を保つことが困難であった。
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、簡単な構造で無段階に偏心モーメントを切り換え可能とし、任意の偏心モーメントを得ることが容易で、製品としての信頼性の高い起振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、車輪を兼用する振動ローラの軸心位置に設けられたメインシャフトと、該メインシャフトを回転させる振動モータと、前記メインシャフトに固定された第1の偏心錘と、前記メインシャフトの軸方向に沿って摺動可能に取り付けられた第2の偏心錘とを備え、前記第1及び第2の偏心錘はそれぞれ、前記メインシャフトの軸方向の一部を周方向に沿って連続して覆い、前記メインシャフトの径方向に均一に広がる略中空円筒状の基台部と、該基台部の一部に形成された錘部とからなり、前記第1の偏心錘と前記第2の偏心錘との突き当て面は、前記メインシャフトに対して互いに螺旋状に形成されていることを特徴とする起振装置を提供する。
【0008】
また、請求項2の発明では、前記第2の偏心錘に係合し、前記メインシャフトの軸方向に沿って往復運動する移動体と、該移動体に連結され、前記振動ローラの外部から操作可能なプッシュプルワイヤとをさらに備えたことを特徴としている。
また、請求項3の発明では、前記移動体は、前記メインシャフトを覆う管状ユニットと、該管状ユニットと前記プッシュプルワイヤとを連結する連結ユニットとを有し、前記管状ユニットは、前記第2の偏心錘の外周に沿って連続して嵌め込まれた第1の円環部と、該第1の円環部の外縁から前記メインシャフトの軸方向に沿って延びる棒部材と、該棒部材の端部に突き当てられた第2の円環部とを含み、前記連結ユニットは、前記第2の円環部の外側縁を掴むクランプ部と、該クランプ部から延び、前記プッシュプルワイヤに接続された接続部とを含むことを特徴としている。
【0009】
また、請求項4では、前記錘部は、前記基台部に対してボルトを介して固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、第1の偏心錘と第2の偏心錘との突き当て面は、メインシャフトに対して互いに螺旋状に形成されている。このため、一方の突き当て面を螺旋方向にずらすことにより、第1及び第2の偏心錘に形成された互いの錘部の位置を無段階に調節することができる。これにより、簡単な構造で偏心モーメントを切り換え可能とすることができる。突き当て面を螺旋方向にずらすには、第2の偏心錘を第1の偏心錘から離間させる方向にメインシャフトの軸方向に沿って移動させて任意の位置で軸方向に対して固定し、第1の偏心錘をメインシャフトの軸廻りに回転させることで、互いの突き当て面を突き当てて固定させればよい。このとき、第2の偏心錘の軸方向への移動量で第2の偏心錘の錘部の位置が決定される。この移動量と錘部の位置は比例関係にあるため、発生させるべき偏心モーメントの切り換え制御が容易となる。すなわち、任意の偏心モーメントを得ることが容易となる。また、メインシャフトは中実のものを利用できるので、メインシャフトが歪むことはなく、メインシャフトの強度を確保することができ、設計の自由度も高くなる。すなわち、製品としての信頼性の高い起振装置を得ることができる。なお、発生している偏心モーメントを変化させる際に、振動モータによるメインシャフトの回転数や回転方向を変える必要はないので、舗装面の締固め作業性を損なうことはない。
【0011】
請求項2の発明によれば、第2の偏心錘をメインシャフトの軸方向に沿って移動させるために、移動体を介したプッシュプルワイヤを用い、振動ローラの外部から操作可能であるため、容易に偏心モーメントの切り換えを行うことができる。
請求項3の発明によれば、第2の偏心錘に嵌め込まれた第1の円環部を有する管状ユニットと、この管状ユニットに備わる第2の円環部を掴むクランプ部を有する連結ユニットとを利用して、確実に第2の偏心錘をメインシャフトの軸方向に移動させて偏心モーメントを発生させ、振動ローラに起振力を与えることができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、錘部は、基台部に対してボルトを介して固定されているため、簡単な構造で錘部を形成することができる。したがって、メインシャフトの回転数に好適な起振力を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る起振装置を備えた振動ローラ車両を示す側面図である。
【図2】図1のII-II概略断面図である。
【図3】図2に示す概略断面図の一部拡大図である。
【図4】本発明に係る起振装置の概略斜視図である。
【図5】本発明に係る起振装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る起振装置について図面を参照して説明する。
図1を参照すれば、振動ローラ車両1は、フロントフレーム2とリアフレーム4とからなる車体を備えている。フロントフレーム2は前輪を兼用する振動ローラ6を有し、この振動ローラ6はフロントフレーム2から延びるサイドプレート3に回転可能に支持されている。また、リアフレーム4は、その後部に後輪8を有する。なお、これらフロント及びリアフレーム2、4は連結部材としてのステアリングリンク10を介して関節方式により互いに連結されている。
【0015】
また、リアフレーム4の上部には運転席12が設けられており、この運転席12の前方には操作スタンド13が配置されている。操作スタンド13にはハンドル、前後進操作レバー、振動切換レバー及び計器類等が配置されている。このため、リアフレーム4の側面にはステップ14が設けられており、作業者はステップ14を昇って運転席12に乗り込むことができる。
【0016】
一方、フロントフレーム2にはエンジン(図示しない)が配置され、このエンジンは開閉可能なエンジンカバー16により覆われている。さらに、フロントフレーム2にはタンク装置(図示しない)が配置され、このタンク装置は燃料タンク及び作動油タンクから構成されている。
また、エンジンの近傍には油圧ポンプ(図示しない)が配置されており、この油圧ポンプはエンジンにより駆動され、振動ローラ6のローラ軸を回転させる走行用モータ及び起振力を発生させるためのメインシャフト22を回転させる振動用モータ等の油圧機器に向け、タンク装置の作動油タンク内から吸い上げた作動油を供給する。なお、タンク装置の燃料タンクにはエンジンのための燃料が貯留されている。
【0017】
フロント及びリアフレーム2、4はそれぞれ、振動ローラ6及び後輪8の近傍にスクレーパ15を有し、これらスクレーパ15は振動ローラ6及び後輪8の周面に付着した泥等を掻き落とすためのものである。詳しくは、これらスクレーパ15は、振動ローラ6の前側及び後側のそれぞれ、及び、後輪8の後側に配置されている。また、これらスクレーパ15は、振動ローラ6及び後輪8と略等しい幅をそれぞれ有し、その先端が振動ローラ6及び後輪8の周面にそれぞれ摺接して泥を掻き落とす。
【0018】
振動ローラ6には、振動ローラ車両1を走行させるための走行装置18と、振動ローラ6に起振力を生じさせるための起振装置20とが内蔵されている。これら走行及び起振装置18、20について図2及び図3を参照して説明する。
走行装置18は、振動ローラ6を回転させるための走行用モータ19を備え、この走行用モータ19はフロントフレーム2から延びるサイドプレート3に取り付けられている。また、走行用モータ19の出力部には一対のドライブプレート72がボルト71を介して取り付けられている。これらドライブプレート72はそれぞれ防振ゴム74を介して隔板76に取り付けられている。ドライブプレート72と防振ゴム74とはボルト73a及びナット73bを介して締結されている。また、防振ゴム74と隔板76とはボルト75を介して締結されている。なお、隔板76は円環状を有し、振動ローラ6の内周面に固定されている。したがって、走行用モータ19が駆動され、隔板76がドライブプレート72及び防振ゴム74を介して回転することにより、振動ローラ6は回転する。
【0019】
一方、起振装置20は、振動モータ24を備えている。この振動モータ24は、後述するハウジング84に取付部材100を介して取り付けられている。詳しくは、振動モータ24はボルト90により取付部材100に取り付けられ、この取付部材100はボルト94を介してハウジング84に取り付けられている。また、振動モータ24は、振動ローラ6の軸方向において走行用モータ19が配置されている側とは反対側に配設されている。そして、振動用モータ24の出力軸にはカップリング80を介してメインシャフト22が接続されている。メインシャフト22は、振動ローラ6の軸心位置に設けられ、振動モータ24により回転する。
【0020】
また、メインシャフト22の振動モータ24側にある基端部は、ベアリング81を介して支持ブラケット82に支持されている。この支持ブラケット82は、隔板26にボルト82aを介して取り付けられている。隔板26は、振動ローラ6内に突出する円環状の板材であり、上述した隔板76と振動ローラ6の幅方向に間隔を存して配置されたものである。また、支持ブラケット82は、走行用ベアリング83を介してハウジング84に支持されている。このハウジング84は、防振ゴム86を介してサイドプレート3に取り付けられている。なお、ハウジング84と防振ゴム86とはボルト87を介して締結されている。また、防振ゴム86とサイドプレート3とはボルト88a及びナット88bを介して締結されている。一方、メインシャフト22の先端部は、ベアリング79を介して支持ブラケット78に回転可能に支持されている。この支持ブラケット78は、ボルト78aを介して上述した隔板76に取り付けられている。
【0021】
このような構造によれば、支持ブラケット82は、隔板26にボルト82aを介して取り付けられているので、走行用モータ19の駆動に伴い振動ローラ6と一緒に回転する。しかしながら、メインシャフト22はベアリング81を介して支持ブラケット82に回転自在に支持されているので、振動ローラ6の回転に拘わらず振動モータ24により回転される。なお、走行用モータ19及び振動モータ24による振動は、防振ゴム74、86によりそれぞれ減衰される。
【0022】
ここで、起振装置20は、メインシャフト22に固定された第1の偏心錘30と、メインシャフト22の軸方向に沿って摺動可能に取り付けられた第2の偏心錘40とを備えている。これら第1及び第2の偏心錘30、40はそれぞれ、メインシャフト22の一部を周方向に沿って連続して覆い、メインシャフト22の径方向に均一に広がる略中空円筒状の基台部32、42と、これら基台部32、42の一部にそれぞれ形成された錘部34、44とからなる。また、第1の偏心錘30と第2の偏心錘40との突き当て面36、46はそれぞれ、メインシャフト22に対して互いに螺旋状に形成されている。なお、これら第1の及び第2の偏心錘30、40は中空円筒状の円筒壁28に覆われている。円筒壁28は、隔板26、76間に架け渡され、メインシャフト22に沿って延びている。
【0023】
上述した起振装置20によれば、第1の偏心錘30と第2の偏心錘40との突き当て面36、46は、メインシャフト22に対して互いに螺旋状に形成されている。このため、突き当て面36、46を螺旋方向にずらすことにより、第1及び第2の偏心錘30、40に形成された互いの錘部34、44の位置を無段階に調節することができる。これにより、簡単な構造で偏心モーメントを切り換え可能とすることができる。
【0024】
詳しくは、図4を参照すれば、第1の偏心錘30の錘部34と第2の偏心錘40の錘部44とは、メインシャフト22を挟んで反対側にそれぞれ位置付けられている。この場合、メインシャフト22を回転させた際に発生する偏心錘モーメントはゼロであるので、振動ローラ6が振動することはない。この状態から、図5に示すように、第2の偏心錘40を突き当て面36、46に沿って螺旋状に移動させることで偏心モーメントを得る。
【0025】
また、突き当て面36、46を螺旋方向にずらすには、第2の偏心錘40を第1の偏心錘30から離間させる方向にメインシャフト22の軸方向に沿って移動させて任意の位置で軸方向に対して固定し、第1の偏心錘30をメインシャフト22の軸廻りに回転させることで互いの突き当て面36、46を突き当てて固定させる。このとき、第2の偏心錘40の軸方向への移動量で第2の偏心錘40の錘部44の位置が決定される。この移動量と錘部44の位置は比例関係にあるため、発生させるべき偏心モーメントの切り換え制御が容易となる。すなわち、任意の偏心モーメントを得ることが容易となる。また、メインシャフト22は中実のものを利用できるので、メインシャフト22が歪むことはなく、メインシャフト22の強度を確保することができ、設計の自由度も高くなる。すなわち、製品としての信頼性の高い起振装置20を得ることができる。なお、発生している偏心モーメントを変化させる際に、振動モータ24によるメインシャフト22の回転数や回転方向を変える必要はないので、舗装面の締固め作業性を損なうことはない。
【0026】
また、起振装置20は、第2の偏心錘40に係合し、メインシャフト22の軸方向に沿って往復運動する移動体50と、この移動体50に連結され、振動ローラ6の外部から操作可能なプッシュプルワイヤ60とをさらに備えている。このプッシュプルワイヤ60は、前述したキャブ12内の振動切換レバーに接続されている。
したがって、第2の偏心錘40をメインシャフト22の軸方向に沿って移動させるために、移動体50を介したプッシュプルワイヤ60を用い、振動ローラ6の外部から振動切換レバーにより第2の偏心錘40を操作可能である。この結果、第2の偏心錘40を上述のように移動させて起振装置20の偏心モーメントの切り換えを容易に行うことができる。
【0027】
さらに、移動体50は、メインシャフト22を覆う管状ユニット52と、この管状ユニット52とプッシュプルワイヤ60とを連結する連結ユニット62とを有している。詳しくは、管状ユニット52は、第2の偏心錘40の外周に沿って連続して嵌め込まれた第1の円環部54と、この第1の円環部54の外縁からメインシャフト22の軸方向に沿って延びる2本の棒部材56と、これら棒部材56の端部に突き当てられた第2の円環部58とを含む。具体的には、第1の円環部54は、第2の偏心錘40の周方向に連続して形成された溝55にベアリング95を介して嵌め込まれている。また、棒部材56はそれぞれベアリング59を介して支持ブラケット82を貫通し、それらの先端はハウジング84内に位置付けられている。そして、第2の円環部58はボルト57を介して棒部材56それぞれの先端に固定されている。なお、棒部材56は3本以上設けられていてもよい。
【0028】
一方、連結ユニット62は、第2の円環部58の外側縁をベアリング96を介して掴むクランプ部64と、このクランプ部64から延び、プッシュプルワイヤ60に接続された接続部66とを含む。クランプ部64は、ハウジング84内に形成された移動空間85をメインシャフト22の軸方向に移動可能である。また、接続部66はハウジング84に形成された貫通孔70に貫通されている。したがって、接続部66の一端はハウジング84内に位置付けられる一方、その他端はハウジング84外に位置付けられている。また、ハウジング84の貫通孔70にはベアリング68及びオイルシール69が配設されている。
【0029】
このような移動体50によれば、第2の偏心錘40に嵌め込まれた第1の円環部54を有する管状ユニット52と、この管状ユニット52に備わる第2の円環部58を掴むクランプ部64を有する連結ユニット62とを利用して、確実に第2の偏心錘40をメインシャフト22の軸方向に移動させて偏心モーメントを発生させ、振動ローラ6に起振力を与えることができる。
【0030】
さらに、図より明らかなように、第1及び第2の偏心錘30、40の錘部34、44はそれぞれ、各基台部32、42に対してボルト38、48を介して固定されているため、簡単な構造で錘部34、44を形成することができる。したがって、メインシャフト22の回転数に好適な起振力を容易に設定することができる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。
【0031】
例えば、第1及び第2の偏心錘30、40は、各基台部32、42と錘部34、44とが一体的に形成されていてもよい。この場合、第1及び第2の偏心錘30、40は、例えば楕円形状を有している。
起振装置20は、偏心モーメントがゼロの場合も設定可能であるから、メインシャフト22の回転初期及び終期、即ち、振動モータ24の駆動時及び停止時、フロントフレーム2等との共振を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 振動ローラ車両
2 フロントフレーム
3 サイドプレート
4 リアフレーム
6 振動ローラ
8 後輪
10 ステアリングリンク
12 運転席
14 ステップ
15 スクレーパ
16 エンジンカバー
18 走行装置
19 走行用モータ
20 起振装置
22 メインシャフト
24 振動モータ
26 隔板
28 円筒壁
30 第1の偏心錘
32 基台部
34 錘部
36 突き当て面
38 ボルト
40 第2の偏心錘
42 基台部
44 錘部
46 突き当て面
48 ボルト
50 移動体
52 管状ユニット
54 第1の円環部
55 溝
56 棒部材
57 ボルト
58 第2の円環部
59 ベアリング
60 プッシュプルワイヤ
62 連結ユニット
64 クランプ部
66 接続部
68 ベアリング
69 オイルシール
70 貫通孔
71 ボルト
72 ドライブプレート
73a ボルト
73b ナット
74 防振ゴム
75 ボルト
76 隔板
77 ボルト
78 支持ブラケット
79 ベアリング
80 カップリング
81 ベアリング
82 支持ブラケット
83 走行用ベアリング
84 ハウジング
85 移動空間
86 防振ゴム
87 ボルト
88a ボルト
88b ナット
90、94 ボルト
95、96 ベアリング
100 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を兼用する振動ローラの軸心位置に設けられたメインシャフトと、
該メインシャフトを回転させる振動モータと、
前記メインシャフトに固定された第1の偏心錘と、
前記メインシャフトの軸方向に沿って摺動可能に取り付けられた第2の偏心錘と
を備え、
前記第1及び第2の偏心錘はそれぞれ、前記メインシャフトの軸方向一部を周方向に沿って連続して覆い、前記メインシャフトの径方向に均一に広がる略中空円筒状の基台部と、該基台部の一部に形成された錘部とからなり、
前記第1の偏心錘と前記第2の偏心錘との突き当て面は、前記メインシャフトに対して互いに螺旋状に形成されていることを特徴とする起振装置。
【請求項2】
前記第2の偏心錘に係合し、前記メインシャフトの軸方向に沿って往復運動する移動体と、
該移動体に連結され、前記振動ローラの外部から操作可能なプッシュプルワイヤとをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の起振装置。
【請求項3】
前記移動体は、前記メインシャフトを覆う管状ユニットと、該管状ユニットと前記プッシュプルワイヤとを連結する連結ユニットとを有し、
前記管状ユニットは、前記第2の偏心錘の外周に沿って連続して嵌め込まれた第1の円環部と、該第1の円環部の外縁から前記メインシャフトの軸方向に沿って延びる棒部材と、該棒部材の端部に突き当てられた第2の円環部とを含み、
前記連結ユニットは、前記第2の円環部の外側縁を掴むクランプ部と、該クランプ部から延び、前記プッシュプルワイヤに接続された接続部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の起振装置。
【請求項4】
前記錘部は、前記基台部に対してボルトを介して固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の起振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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