説明

超伝導スイッチング素子

【課題】誘電体障壁を用いない超伝導スイッチング素子を提案する。
【解決手段】超伝導層ごとのスピン交換相関作用が最大となるように、超伝導層と常伝導層の厚みを最適化することによって、常伝導層が、あたかも、絶縁体を配置したように働く。その状態では、半導体超格子と同様にBloch共鳴が発生し、Gate層の電子状態を変調すること、または、外部環境からのSingle−eventsを導入することにより、スイッチ動作を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
この発明は、S−N−S超格子を用いたスイッチング素子に属する。
【発明の背景】
【0002】
W.B.Shockley、J.Bardeen、W.H.Brattainらが、1948年にトランジスタ効果を発見して以来、コンピューターに用いられる半導体素子は、世界を変貌させる概念を数々創り出してきた。データを処理する速度は、概念の変化の流れに合わせ、最高速であることを要求されてきた。電子デバイス分野においても、この「流れ」に追従するために、構成素子は、「縮小則」に基づき集積されてきた。「縮小則」とは、集積回路の基本要素である、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)を含む回路全体の、抵抗値と静電容量の積を小さくすることによって、高速のスイッチングを可能にするという概念である。しかし、私たちは、現代社会の要請をこの「縮小則」によって乗り越えることができないことに気付き始めている。なぜなら、FETのスイッチング動作は、FETのゲート近傍のキャリアをバイアス電圧によって制御することによって行っているため、キャリアの移動度に依存してしまうのである。最近、Y.Nishiは、2010年までの長期的な中央演算装置(Central Processing Unit;CPU)の動作周波数上昇の見通しを立てた。それによると、2010年においても、動作周波数は、1.1x10Hzまでであることが予言されている。つまり、CPUの情報処理能力は、高々数倍になるだけである。このことは、巨大なソフトウェアによって処理される莫大な量の情報処理量が、キャリアの移動度に依存していることを意味する。
一方、B.D.Josephsonによって提唱された超伝導素子は、高速で動作し、低消費電力であることが知られている。しかし、Josephson素子は、7x10Hz以上のスイッチング周波数において、カオス的な信号のゆらぎによる雑音が支配的となるため、高周波数領域での実用には、供されていない。その上、トンネル障壁が存在することによる透過率の減少、信号の遅延、および、熱

J.G.Bednorzらによって発見された酸化物超伝導体は、高速で動作する素子への応用が期待されていたが、未だにスイッチング素子として実用化されていない。数多くの試行にもかかわらず実用化されなかったのは、酸化物超伝導体自らが有する特性のためであった。この申請書では、金属超伝導体超格子を用いることによって、実用化へ向けての問題をすべて解決できることを示す。
酸化物超電導体がJosephson素子として実用化されなかった理由は2つある。第一に、結晶粒界などの整合性の低い界面が存在することによって、波動関数の位相が揺らいでしまうことがあげられる。第二に、このような整合性の低い界面では、波動関数の透過率が非常に小さいため集積化の際に信号が極度に減衰してしまう。
酸化物超伝導体の可干渉距離は、超伝導層転移温度(Tc)を上昇させるために極度に短く(〜0.1nm)設計されている。しかし、そのためには、可干渉領域を誘電率の高いイオン性結晶で仕切らなくてはならない。その結果、結晶自身の誘電率が上昇し、伝導層の層間での波動関数の遅れが避けられない(FIG.1A)。また、整合性の低い界面では、この遅れが均一でなくなってしまう(FIG.1B)。このような不均一性から素子の動的インピーダンスが上昇してしまい5,6、透過率が下がってしまう。すなわち、酸化物超伝導体の問題も、誘電率の存在に帰結できる。
超伝導現象の特性は、クーパーペアの波動関数の可干渉性で描写され、その可干渉性はスピン交換相関によって実現される。このことは、スピン交換相関が制御できれば電子の流れを操作することができることを意味している。そこで、スピン交換相関を人為的に制御している例として巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto−Resistance,GMR)の発現機構を考察してみることとする。巨大磁気抵抗効果は、メゾスコピックな構造を有する金属系で発現することが報告されているが、外部磁気を印加することによって、電気抵抗が50%も上昇するというものである。巨大磁気抵抗効果は、スピンまで記述された波動関数が隣り合う層の間で異なるとき、近藤効果によって遍歴電子の遷移が制限されるために起こる。巨大磁気抵抗効果を示す系における、メゾスコピックな磁気秩序に関する報告があるが、それによると、超格子周期の2倍の磁気秩序が存在することが中性子回折によって確認されている。
ここで強調しておきたいことは、メゾスコピックな磁区構造が、超格子の周期を制御することによって発現することである。このことは、スピン交換相関という立場で、強く相関する超伝導層の積層周期を変化させることによって、誘電体を配置することなく、遍歴電子の遷移を制御していることを意味している。この示唆によって、誘電体を用いずにスイッチ動作する超格子を作成できるのである。


【発明の概要】
【0003】
ここに提示された発明の目的は、超電導体を誘電体障壁で仕切らないで用いることである。また、ここに提示された発明の、もうひとつの目的は、高速度で動作するスイッチング素子を提供することである。これらの目標を達成するために、超伝導体/常伝導金属/超伝導体超格子構造を有する超伝導スイッチング素子が発明された。
【具体化のための詳しい説明】
【0004】
超伝導金属−常伝導金属−超伝導金属(Superconducting metal−Normal metal−Superconducting metal;S−N−S)超格子においては、次元クロスオーバー現

る次元クロスオーバー現象の調査に関して先駆的な役割を演じている10。その報告によると、Nb/Cu系超格子の可干渉距離が、メゾスコピックな系でのみ異方性を有し、超格子周期を最適化することによって、超伝導層間での相関が極大化する。申請者は、かねてより、この層間の相関を利用して、スピンまで記述した波動関数を仕切ることを提案してきた。
最近、申請者らは、メゾスコピックな超格子周期を有するNb/Cu超格子において、超伝導層ごとの反強磁性磁気秩序が存在することを報告した11。Nb、Cu、各層の層厚を16.8nm、14.7nmに固定したNb/Cu系の超伝導超格子の電気抵抗を測定したところ、抵抗異常が再現性よく観察された。この抵抗異常が、層間の相関が極大になったときのみに出現することを考えると、メゾスコピックなスケールで、電子バンドの反強磁性的磁気秩序が実現されていること、また、抵抗異常が近藤効果による遍歴電子の挙動であることを導いた(FIG.2)。もし、超伝導の系において反強磁性的磁気秩序が形成されているとすると、超伝導現象とGMRのアナロジーが結論付けられる。前述したとおり、GMRを示す系においては、電子の流れを誘電体障壁を用いずに仕切ることができる。それゆえ、S−N−S接合においてもCooper pairsの流れを誘電体障壁を用いずに仕切ることができると考えられる。
FIG.3に4端子スイッチング素子の概要を図解したものを示す。層間での電子の遷移は、スピンの記述まで含めた波動関数が一致したときのみ支配的となり、となりの層への遷移は、反強磁性的的なスピン配列のために制限されることになる(FIG.3A)。この哲学に基づき、Source層、Gate層、Drain層を有した4端子素子が、申請者によって提案されてきた(FIG.3B)。スイッチング動作の動作原理は、Bloch共鳴の変調12,13と、Bloch共鳴における電子輸送の非線形性による。FIG.4に描写したとおり、超伝導層における異なったスピンを有する占有軌道は、半導体超格子と同様に、常伝導層によって仕切られている。超格子内部のCooper pairsは、共鳴状態にあり、その共鳴状態は、Gateの操作や外部から導入されるSingle eventsによって変調を受ける。Bloch共鳴が変調される結果、Source−Drain間の電圧は、超格子の非線形輸送によって多値化される14。その現象は、半導体超格子と同一のものであるが、超格子におけるトンネル障壁の取り扱いが異なる。
S−N−S超格子の場合、遍歴電子は、常伝導金属中を伝搬する。しかし、ある超伝導層から、となりの超伝導層への低温での遷移は、近藤効果によって制限される。遍歴電子による電気抵抗の値(ρ)は、次の式によって決定される

電気抵抗の値は、温度と常伝導金属のフェルミ準位における電子密度(NPara(E))の関数となる。その結果、100K以下での遍歴電子の遷移確率は、著しく低下し、挿入されている常磁性金属は、絶縁体障壁と同様の働きをする。この働きは、半導体超格子のバンドギャップとも同様である。この「トンネル障壁効果」は、スピン交換相関の強い層の電子と、その間に挿入された常磁性金属中の電子の角運動量量子数が異なる場合に起こる現象として認知されている15。結論として、この素子は、Bloch共鳴によって超伝導電流が維持されている間、動作が可能である。それゆえ、動作は、典型的なRC−TypeのJosephson junctionの場合に問題になるGap Energyによって決定される周波数限界によって制限を受けない。
さらに、前述の素子の単位胞を、FIG.3Bに示す超格子のように、Source層(S)/Gate層(G)/Drain層(D)/G/S/G/D/G…、または、S/G/D/S/G/Dという順序で積層させるため、Source層からDrain層への相関は、等比級数的に1に近付く。たとえば、Source層は、Source層同士、Gate層は、Gate層同士、Drain層は、Drain層同士、接続することによって、透過率の問題を回避できることになる。誘電体障壁を有するJosephson junctionでは、カオス的な雑音、波動関数のゆらぎ、透過率の低さ、機械的な脆さなどに悩まされてきたが、提案した素子は、金属しか用いておらず、超伝導素子の実用化に向けてのすべての問題を解決したことになる。また、この素子は、超伝導状態を壊すことによって動作する素子のようなエネルギー損失もないまま、超高周波数での動作が可能である。動作周波数の上限は、金属のプラズモン損失(Cuの場合10eVのオーダー)を考慮すると、1018Hzに及ぶことが期待される。仮に、そのような高周波での動作が可能であるならば、電気的な信号を高エネルギーのフォトンに変換すること、または、その逆の変換、高エネルギー粒子の検出が可能になると考えられる。
上述したように、申請者は、「縮小則」による高速化ではない方法による、高周波数動作について議論してきた。超伝導体を用いた超高速動作が可能な素子を作成するためには、接合近傍の寄生容量(電子分極)を無くさなくてはならない。そのような素子の一例として、申請者は誘電体障壁を用いることなく電子の流れをコントロールするための、S−N−S超格子を用いた超伝導4端子素子を提案した。


【実施例】
【0005】
本発明は、高速スイッチングを目標としているが、Gate層の「電子状態」だけでなく、外部環境から導入された「Single events」によっても素子の変調は可能である。FIG.5に示すとおり、素子はマグネトロン・スパッタリング法により作製されており、Nb層とCu層よりなる。素子は、Cu製のベース層によって下地から独立しており、Cu製のキャップ層により覆われ保護されている。各層は、到達真空度2.6×10−5PaのBase pressureにおいて、超高純度Arを3.0Paにて製膜チャンバーに導入し、残留する水分子を液体窒素シュラウドによって凝縮した環境において作製された。素子の超伝導相転移温度は、6.5Kであった。素子のSource−Drain間の動的インピーダンス(印加電流100μA、周波数2.5KHz、温度3.4K)をロックインアンプを用いた4端子法によってGate Bias=0において測定した。その結果、FIG.6に示すとおり、外部環境からの事象を測定した証として、位相が進んだ領域に、Energy Lossによる窪みができていることがわかる。標準偏差は、0.01mV以下であり、窪みの大きさは、電力6.0x10−11Wの約10%、6.0x10−12Wに相当する。明らかに、時間反転対称性(Time
Reversal Symmetry;T)が破られており、金属で構成される素子内部には局在した電子による分極が無いことから、真空の相転移に関わる事象が測定されたことがわかる。「Single events」は、分極を有する素粒子の反転と全エネルギーの緩和(水素核の発生)であった。また、このような事象の際に発生する紫外光も、今回、観測されている。FIG.7に示されるようにISO400フィルム上に光度が記録され、測定に用いたProbeの陰が写っていることから、その正当性が評価された16。「Single events」によって動作することがわかったが、同時に、素子の動作によって、これを誘発させる可能性があることも付け加えたい。

【図面の簡単な説明】
【図1】酸化物超伝導体の内部における電子分極が伝導シート間の波動関数の伝搬に及ぼす影響(FIG.1A)。酸化物超電導体を用いたJosephson素子の場合、10Hz以上のスイッチング周波数において、熱雑音が支配的となる。K.K.likharevの報告によると、そのような熱雑音は、高周波領域での動的なインピーダンスが上昇するためであるとされている。つまり、ペロブスカイト構造の結晶には、大きな電子分極が存在することになる。波動関数は、それらの電子分極の存在によって、伝搬の際に遅れを生じてしまう。FIG.1Bには、整合性の低い界面の近傍で、波動関数の遅れにゆらぎが生じることを説明した図を示す。波動関数の遅れによって界面近傍の秩序パラメターは小さくなり、必然的に波動関数は、弱結合となる。
【図2】抵抗測定の実験11の結論として得られた、メゾスコピックな構造を有する超電導体における層ごとの反強磁性的スピン秩序。各々の層における電子状態は、非経験的分子軌道法であるDV−Xα法17によって計算された。同時に提案された「Cooper pairsの熱的安定化機構11」によってスピンのゆらぎは、ノーマルな電子状態と独立して考えることができる。そのため、メゾスコピックなスピン秩序をノーマルな電子状態をもとに描写することが可能となる。となりの層のスピンの方向は、交換相関パラメターの関数によって表される全エネルギーを下げるために反対になる。もし、このような反強磁性的磁気秩序が超伝導体に存在するとすると、電子の流れは、誘電体を用いなくても仕切ることができる。
【図3】4端子スイッチング素子の概略図と、その動作原理。スピンまで含めた波動関数が一致する層の間での遷移は優先的になる(FIG.3A)。近藤効果の結果、となりの層への遷移は制限される。4端子素子の単位胞は、Source層、Gate層、Drain層からなる(FIG.3B)。スイッチのOFF動作は、素子内に存在するBloch共鳴が、Gate層の電子状態か、外部環境からのSingle eventsによって変調されることによって行われる。また、超伝導現象とGMR(Giant Magneto−Resistance)がアナロジーであることを考慮すると、電子の流れは誘電体を用いなくても仕切ることができる。すなわち、スピン交換相関作用の強い層を積層すれば、この素子を作成することが可能であることがわかる。
【図4】提案された4端子素子の単位胞内部での、エネルギーバンドの概略図。前述しているとおり、スピンのゆらぎは、「Cooper pairsの熱的安定化機構」によって、ノーマルな電子状態と独立して考えることができる。そのためメゾスコピックなスピン秩序をノーマルな電子状態をもとに描写することが可能となる。超伝導内部の電子状態は、メゾスコピックなスケールで反強磁性的に配列し、常伝導金属によって仕切られている。近藤効果、または、「トンネル障壁効果」の結果として、半導体超格子と同様のBloch共鳴状態が確立されている。
【図5】超伝導スイッチング素子試料の外観。素子は、NbとCuから構成されている。素子は、Cuのベース層の上に作製され、超格子はCuのキャップ層によって保護されている。各層は、到達真空度2.6×10−5PaのBase pressureにおいて、超高純度Arを3.0Paまで製膜チャンバーに導入し、残留する水分子を液体窒素シュラウドにて凝縮した環境において作製された。超格子の詳細は、超高電圧超高分解能電子顕微鏡法によって確認されている。
【図6】素子のSource−Drain間の動的インピーダンス(印加電流100μA、周波数2.5kHz、温度3.4K)をロックインアンプを用いた4端子法によってGate Bias=0において測定した結果。外部環境からの事象を測定した証として、位相が進んだ領域に、Energy Lossによる窪みができていることがわかる。標準偏差は、0.01mV以下であり、窪みの大きさは、電力6.0x10−11Wの約10%、6.0x10−12Wに相当する。明らかに、時間反転対称性(Time Reversal Symmetry;T)が破られており、素子内部には局在した電子による分極が無いことから、真空の相転移に関わる事象が測定されたことがわかる。「Single events」は、分極を有する素粒子の反転と全エネルギーの緩和(水素核の発生)であった。
【図7】素子の発光を示す、抵抗測定が行われた際に得られた際に得られたネガティブ・フィルムのスキャン結果。真空紫外光(λ=19.3nm)の発光が認められる。明るさの更正は、フィルムに写った端子の陰で行った。抵抗測定の結果、明らかに「時間反転対称性」が破られていることから、真空の相転移に関わる事象が測定されていたことがわかる。発光は、分極を有する素粒子が分極反転し、全エネルギーが緩和された際(水素核の発生)に観測されたと考えられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を有する、超伝導スイッチング素子。
(1)1番目の超伝導層(Nb層、Source)は、Source−Drain Current Pathにおいて、Current pathを終端させる。
(2)1番目の常伝導層(Cu層)は、上記1番目の超伝導層上に作成される。
(3)2番目の超伝導層(Nb層、Gate)は、上記1番目の常伝導層上に作成され、Current PathにおけるOn、Offを制御するControl電極となる。(4)2番目の常伝導層(Cu層)は、上記2番目の超伝導層上に作成される。
(5)3番目の超伝導層(Nb層、Drain)は、上記2番目の常伝導層上に作成され、Current Pathを終端する。
【請求項2】
請求項1の素子における、1番目、2番目、3番目の超伝導層にそれぞれの端子を有する超伝導スイッチング素子。
【請求項3】
請求項1の素子における、1番目から3番目の超伝導層と、1番目、2番目の常伝導層は、1番目から3番目の超伝導層の電子が共鳴する厚さを有する、超伝導スイッチング素子。
【請求項4】
請求項3の素子における1番目、2番目、3番目の超伝導層(Nb層)、および、1番目、2番目の常伝導層(Cu層)の層厚は、各々16.8nm、14.7nmである、超伝導スイッチング素子。
【請求項5】
請求項4の素子において、1番目の超伝導層はSource電極が備えられているSource層と呼び、2番目の超伝導層はGate電極が備えられたGate層と呼び、3番目の超伝導層はDrain電極が備えられたDrain層と呼ぶ、超伝導スイッチング素子。
【請求項6】
請求項5の素子において、1番目と2番目の常伝導層は、金属で構成されている、超伝導スイッチング素子。
【請求項7】
請求項5の素子において、1番目の超伝導層と3番目の超伝導層の間の電気抵抗が、Gate層の電子状態、および、外部環境から導入された「Single events」によって制御される、超伝導スイッチング素子。
【請求項8】
請求項1の素子において、1番目の超伝導層と、3番目の超伝導層の間の電気抵抗が、Gate層の電子状態、および、外部環境から導入された「Single events」によって制御される、超伝導スイッチング素子。
【請求項9】
請求項4の素子において、Source−Drain電圧が多値化され、Gate層の電子状態、および、外部環境から導入された「Single events」に相当するSource−Drain電圧を示す、超伝導スイッチング素子。
【請求項10】
請求項1の素子において、1番目、2番目、3番目の超伝導層、および、1番目、2番目の常伝導層を、単位胞として、複数の単位胞を有する場合を含む、超伝導スイッチング素子。
【請求項11】
請求項10の素子において、単位胞の1番目の超伝導層、単位胞の2番目の超伝導層、単位胞の3番目の超伝導層の、それぞれを、複数の単位胞において接続した、超伝導スイッチング素子。
【請求項12】
以下の特徴を有する、超伝導スイッチング素子。
(1)1番目の超伝導層(Nb層、Source)は、Source−Drain Current Pathを終端する。
(2)1番目の常伝導層(Cu層)は、上記1番目の超伝導層上に作成される。
(3)2番目の超伝導層(Nb層、Gate)は、上記1番目の常伝導層上に作成され、Current PathにおけるOn、Offを制御するControl電極となる。(4)2番目の常伝導層(Cu層)は、上記2番目の超伝導層上に作成される。)
(5)3番目の超伝導層(Nb層、Drain)は、上記2番目の常伝導層上に作成され、Current Pathを終端する。
(6)3番目の常伝導層(Cu層)は、上記3番目の超伝導層上に作成される。
(7)4番目の超伝導層(Nb層、Source)は、Source−Drain Current Pathを終端し、1番目の超伝導層に接続される。
(8)4番目の常伝導層(Cu層)は、上記4番目の超伝導層上に作成される。
(9)5番目の超伝導層(Nb層、Gate)は、上記4番目の常伝導層上に作成され、Current PathにおけるOn、Offを制御するControl電極となる。(10)5番目の常伝導層(Cu層)は、上記5番目の超伝導層上に作成される。
(11)6番目の超伝導層(Nb層、Drain)は、上記5番目の常伝導層上に作成され、Current Pathを終端する。
【請求項13】
1番目の超伝導層、1番目の常伝導層、2番目の超伝導層、2番目の超伝導層、2番目の常伝導層、3番目の超伝導層のうち、1番目から3番目の超伝導層は自らの端子を有し、1番目から3番目の超伝導層、および、1番目から2番目の常伝導層の厚みは、「次元クロスオーバー現象」に基づいて決定されるところの、超伝導スイッチング素子。
【請求項14】
請求項13の超伝導スイッチング素子のうち、1番目の超伝導層はSource層として供され、2番目の超伝導層はGate層として供され、3番目の超伝導層はDrain層として供されるところの超伝導スイッチング素子。
【請求項15】
請求項13の超伝導スイッチング素子のうち、Gate層自らの電子状態、および、外部環境から導入される「Single events」によって、素子内部の超格子のBloch共鳴を変調することによって動作する超伝導スイッチング素子。
【請求項16】
請求項15の超伝導スイッチング素子のうち、Source−Drain電圧がBloch共鳴による非線形電子輸送によって多値化される超伝導スイッチング素子。
【請求項17】
請求項13の超伝導スイッチング素子のうち、以下の構造を有するもの。
(1)Source層、Gate層、Drain層、Gate層、Source層、Gate層、Drain層、Gate層の順に積層された構造。
(2)または、Source層、Gate層、Drain層、Gate層、Drain層、Gate層、Source層の順に積層された構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−50424(P2010−50424A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243294(P2008−243294)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(594135450)
【Fターム(参考)】