説明

超分岐ポリマーおよびそれらの適用

本発明は、複数の分岐を含むポリマー骨格を有する分岐した樹状の、または超分岐したポリ(アミノエステル)を提供し、ポリマー骨格は少なくとも1つの第二級および少なくとも1つの第三級アミン結合を有する。分岐したポリ(アミノエステル)は、トリス(アクリレートエステル)モノマーまたはテトラキス(アクリレートエステル)モノマーとジアミンモノマーとのマイケル付加反応を介して調製される。1つの局面において、ジアミンモノマーは、1つの第一級アミノ基および1つの第二級アミノ基を有する。ポリ(アミノエステル)化合物は、適当な剤と反応させることによって、末端キャップすることができる。本発明は適応も提供し、限定されることなく、薬物、DNAまたはRNAのような生理活性剤の送達;または生体適合性イメージングを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書にその全体を全ての目的で組み入れる、2005年4月29日に出願された米国特許仮出願第60/676,451号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ウィルス媒介送達の従来のアプローチは患者においてウィルス誘発免疫応答を引き起こし、または患者に対する癌の危険性を増加させ得るので、DNA、RNA、タンパク質または薬物のような生理活性剤の送達に対する安全かつ効果的なベクターに対する要望がある。
【0003】
非ウィルスベクターは、それらの免疫原性の問題の欠如のため多くの注意を引きつけてきた。ポリ(エチレンイミン)(PEI)は、DNA凝縮剤およびトランスフェクティングベクターとして広く研究されてきた。しかしながら、PEIポリマーはインビトロおよびインビボの双方において有意なレベルの細胞傷害性を示し、生分解性ではなく、これは長期の治療では安全でない。
【0004】
いくつかのポリ(エステルアルキレンイミン)は、部分的には、該ポリマーが生理学的溶液中で生分解性でカチオン性であり、かつ低い細胞傷害性を有するために、生理活性剤の送達用のベクターとして潜在的に有用である。しかしながら、当技術分野において公知のポリ(エステルアルキレンイミン)は生理学的条件において限定された溶解性を有するか、または調製するのが困難である。多くの他のタイプのカチオン性ポリマーが、PEIに対して低いトランスフェクション効率を呈するベクターとして用いるのに提案されており、トランスフェクション効率はトランスフェクトすべき細胞のタイプに依存して変化できる。
【0005】
従って、前記および他の問題を克服するために他の生分解性ポリマーを開発する要望がある。驚くべきことに、本発明はこのおよび他の要望を満足する。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、ポリマー骨格中に2つの置換されてもよい窒素単位の間のエステル結合またはエステル様結合を有する新規な分岐した、樹状のまたは超分岐したポリ(アミノエステル)化合物に関する。1つの局面において、該化合物はポリマー骨格中に少なくとも1つの第二級アミン結合および少なくとも1つの第三級アミン結合を有する。有利には、分岐したポリ(アミノエステル)はより高い密度の第二級および第三級アミノ基、低い細胞傷害性、高いトランスフェクション効率および高い溶解性を有する。加えて、ポリマーの樹状構造もまた、効果的な送達のために生理活性剤をカプセル化する利点を有する。また、樹状ポリマーの球様構造は、容量当たりより多数のアミンおよびエステル官能性を有するユニークな利点を提供し、これは、良好な生分解性および高い細胞トランスフェクション効率を達成するのに必須かつ重要である。
【0007】
本発明は、2つの置換されてもよい窒素単位の間に挿入されたエステル結合またはエステル様結合を有する生分解性ポリ(アミノエステル)を提供する。いくつかの態様において、ポリマー骨格は、生分解性ポリ(アミノエステル)が超分岐ポリエチレンイミンのそれと同様なアミン構成によって第一級、第二級および第三級アミンを有するように、少なくとも1つの第二級アミン結合および少なくとも1つの第三級アミン結合および周辺における少なくとも1つの第一級アミンを含む。
【0008】
1つの局面によると、本発明は、式:

を有する分岐したポリ(アミノエステル)化合物を提供する。式(I)において、添字xは1〜約10,000の間の整数であり;R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムまたはヒドロカルビルであり;L1およびL2の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、各R12は、独立して、ヒドロカルビル、ヒドロキシルまたはチオヒドロキシルであり;ならびにR13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、およびR10、R11、R13およびR14の各々は、独立して、そのいずれも、任意で、N、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR12は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することはできず;Y1はN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリルおよび金属からなる群より選択され;AはH、NH2、ヒドロカルビル、シリル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリール、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノからなる群より選択され;ならびにB1およびB2の各々は、独立して、Hおよびヒドロカルビルである。
【0009】
もう1つの局面において、本発明は、式:

を有する分岐したポリ(アミノエステル)化合物を提供する。式(II)において、添字xは、独立して、1〜約10,000の間の整数であり;R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;各R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;L1、L2およびL3の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、各R12は独立してヒドロカルビル、ヒドロキシルおよびチオヒドロキシルであり、ならびにR13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、R10、R11、R13、R14およびR17の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R12、R15、R16およびR18は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートした炭素-炭素二重結合を有することができず;Y2はC、シリル、テトラアルキル、テトラアリール、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノ、テトラ-N,N-ジアリールアミノ、テトラへテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、ヘテロアリーレンおよび金属からなる群より選択され;AはH、NH2、ヒドロカルビル、シリル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリール、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノからなる群より選択され;B1、B2およびB3の各々は、独立して、Hまたはヒドロカルビルである。
【0010】
なおもう1つの局面において、分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法が提供される。該方法は、式:

を有するアクリレートモノマーを

からなる群より選択される式を有するジアミンモノマーと反応させる段階を含む。
【0011】
前記式において、R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルであり;R12はヒドロカルビルまたはヒドロキシルまたはチオヒドロキシルであり;R13、R14、R19およびR20の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり;Y1はN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、および金属からなる群より選択され;ならびにZは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、RaおよびRbの各々は、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR12は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することはできない。
【0012】
さらにもう1つの局面において、分岐したポリ(アミノエステル)を調製するための方法が提供される。該方法は、式:

を有するモノマーをホモ重合する段階を含む。
【0013】
前記式において、R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムまたはヒドロカルビルであり;L1およびL2の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、R13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、各R5は独立してヒドロカルビルまたはヒドロキシルまたはチオヒドロキシルであり;R13、R14、R10およびR11の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することができず;ならびにY1はN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリルおよび金属からなる群より選択される。
【0014】
もう1つのさらなる局面において、分岐したポリ(アミノエステル)を調製するための方法が提供される。該方法は式:

を有するモノマーをホモ重合する段階を含む。
【0015】
式(IV)において、R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムまたはヒドロカルビルであり;L1、L2およびL3の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、各R12は、独立して、ヒドロカルビル、ヒドロキシルまたはチオヒドロキシルであり、ならびにR13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、R10、R11、R13、R14およびR17の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R12、R15、R16およびR18は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することができず;Y2はC、シリル、テトラアルキル、テトラアリール、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノ、テトラ-N,N-ジアリールアミノ、テトラへテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、ヘテロアリーレンおよび金属からなる群より選択され;AはH、NH2、ヒドロカルビル、シリル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリール、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノからなる群より選択され;B1、B2およびB3の各々は、独立して、Hまたはヒドロカルビルである。
【0016】
さらになおもう1つの局面において、分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法が提供される。該方法は式:

を有するアクリレートモノマーを

からなる群より選択される式を有するジアミンモノマーと反応させる段階を含む。
【0017】
前記式において、R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムまたはヒドロカルビルであり;R12は、独立して、ヒドロカルビル、またはヒドロキシルまたはチオヒドロキシルであり;R13、R14、R19およびR20の各々、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり;Y2はC、シリル、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラキス-N,N-ジアルキルアミノ、テトラキス-N,N-ジアリールアミノ、および金属からなる群より選択され;ならびにZはN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R12、R15、R16およびR18は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することができない。
【0018】
異なる局面において、本発明は分岐したポリ(アミノエステル)および生理活性剤を有する薬学的組成物を提供する。
【0019】
さらなる局面において、薬学的組成物を調製する方法が提供される。該方法は本発明の分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液中に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得、次いで、該化合物のプロトン化形態を生理活性剤と混合して、混合物を生じさせる段階を含む。
【0020】
もう1つの局面において、本発明は、DNAまたはRNA分子またはその塩、および分岐したポリ(アミノエステル)を有する細胞をトランスフェクトするための組成物を提供する。いくつかの態様において、DNAまたはRNA分子またはその塩は分岐したポリ(アミノエステル)化合物との複合体を形成する。
【0021】
さらなる局面において、細胞をトランスフェクトするための方法が提供される。該方法は、細胞を、DNAまたはRNA分子またはその塩と複合体化させた分岐したポリ(アミノエステル)を有する組成物と接触させる段階を含む。
【0022】
なおさらにもう1つの局面において、本発明は、造影剤として有用な組成物を提供する。該組成物は分岐したポリ(アミノエステル)および、任意で、標的化剤を含む。
【0023】
なおさらなる局面において、造影剤の調製における本発明の組成物の使用が提供される。
【0024】
本発明の詳細な説明
本発明は、新規な分岐した、樹状のまたは超分岐したポリ(アミノエステル)化合物およびそれらの適用に関する。適当な適用は、限定されることなく、薬物、DNAまたはRNAのような生理活性剤;または生体適合性イメージングの送達を含む。
【0025】
I.定義
本明細書において、用語「ヒドロカルビル」とは、一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基をいい、限定されることなく、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミジルアルキル、チオアルキル、カルボキシアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シリルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アリールスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアミド、アリールスルホニルアミド、スルホニルアミジルアルキル、チオアルキルおよびハロアルキルのような分岐したおよび分岐していないアルキル;ヒドロキシアルケニル、アミノアルケニル、アミジルアルケニル、チオアルケニル、カルボキシアルケニル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、シリルアルケニル、アルケニルスルホニルアルケニル、アリールスルホニルアルケニル、アルケニルスルフィニルアルケニル、アリールスルフィニルアルケニル、アルケニルスルホニルアミド、アリールスルホニルアミド、スルホニルアミジルアルケニルおよびハロアルケニルのような分岐したおよび分岐していないアルケニル;ヒドロキシアルキニル、アミノアルキニル、アミジルアルキニル、チオアルキニル、カルボキシアルキニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキニル、シリルアルキニル、アルキニルスルホニルアルキニル、アリールスルホニルアルキニル、アルキニルスルフィニルアルキニル、アリールスルフィニルアルキニル、アルキニルスルホニルアミド、アリールスルホニルアミド、スルホニルアミジルアルキニルおよびハロアルキニルのような分岐したおよび分岐していないアルキニル;アリール、ヘテロアリール、カルバモイル、カルバモイル-アミノ、カルバモイル-オキシ、チオカルバモイル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボニルジオキシ、シアノ、アルカノイル、アロイル、シクロアルキル、環状芳香族、およびヘテロシクロアルキルを含み、それらの各々は、分岐したおよび分岐していないアルキル、分岐したおよび分岐していないアルケニル、分岐したおよび分岐していないアルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルバモイル、カルバモイル-アミノ、カルバモイル-オキシ、チオカルバモイル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボニルジオキシ、シアノ、アルカノイル、アロイル、シクロアルキル、環状芳香族、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシル、アミジル、アルキルシリル、アリールシリル、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、スルホネート、アルキルスルホニルオキシ、カルボニルジオキシ、ウレイド、チオウレイド、イソシナチル、ヒドロキシル、チオ、アミノおよびシリルからなる群より選択される一つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。本分脈においては、用語「ヒドロカルビル」は、ヘテロ原子を介して該化合物に連結された炭化水素基、例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシル、アミジル、アルキルシリル、アリールシリル、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アルキルスルホニルオキシ、カルボニルジオキシ、ウレイド、チオウレイドおよびイソシナチルを含む。
【0026】
本明細書において、用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0027】
本明細書において、用語「アルキル」は、それ自体で、またはもう1つの置換基の部分として、特に断りのない限り、示された炭素原子の数を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味する(すなわち、C1-8は1〜8個の炭素を意味する)。アルキル基の例はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどを含む。用語「アルケニル」とは、一つまたは複数の二重結合を有する不飽和のアルキル基をいう。同様に、用語「アルキニル」とは、一つまたは複数の三重結合を有する不飽和のアルキル基をいう。そのような不飽和のアルキル基の非限定的例はビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、およびより高級なホモログおよび異性体を含む。
【0028】
本明細書において、用語「ヘテロアルキル」とは、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有するアルキル基(または環)をいい、ここで窒素および硫黄原子は任意で酸化されていてもよく、窒素原子は任意で四級化されていてもよい。ヘテロ原子は炭素原子とで二重結合を形成することができる。ヘテロアルキル基はヘテロ原子を通じて分子の残りに結合することができる。
【0029】
本明細書において、用語「アルキレン」は、それ自体で、またはもう1つの置換基の一部として、本明細書において定義された一つまたは複数のヘテロ原子を含有することができる分岐したまたは分岐していないアルカンから誘導される二価基を意味する。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は1〜30の炭素原子を有し、12以下の炭素原子を有する基が本発明で好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般には、8以下の炭素原子を有するより短い鎖のアルキルまたはアルキレン基である。本分脈では、用語「アルキレン」はヘテロ原子を介して化合物に連結される二価基も含む。例えば、-OCH2CH2CH2CH2CH2O-。
【0030】
本明細書において、用語「アルケニレン」とは、それ自体で、またはもう1つの置換基の一部として、本明細書において定義された一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい分岐したまたは分岐していないアルケンから誘導される二価基を意味する。典型的には、アルケニル(またはアルケニレン)基は1〜30の炭素原子を有し、12以下の炭素原子を有する基が本発明で好ましい。「低級アルケニル」または「低級アルケニレン」は、一般には、8以下の炭素原子を有するより短い鎖のアルケニルまたはアルケニレン基である。本分脈では、用語「アルケニレン」はヘテロ原子を介して化合物に連結される二価基も含む。例えば、-OCH=CH2CH2CH=CHO-。
【0031】
本明細書において、用語「アルキニレン」は、それ自体で、またはもう1つの置換基の一部として、本明細書において定義された一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい分岐したまたは分岐していないアルキンから誘導される二価基を意味する。典型的には、アルキニル(またはアルキニレン)基は1〜30の炭素原子を有し、12以下の炭素原子を有する基が本発明で好ましい。「低級アルキニル」または「低級アルキニレン」は、一般に8以下の炭素原子を有するより短い鎖のアルキニルまたはアルキニレン基である。本分脈では、用語「アルケニレン」はヘテロ原子を介して化合物に連結される二価基を含む。例えば、-OCCCH2CCO-。
【0032】
本明細書において、用語「シクロアルキル」とは、約3〜約12の炭素原子を含む飽和または不飽和の環状炭化水素基をいう。シクロアルキル基は、独立して、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アリール、アミジル、エステル、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソ、アルキルスルフィニルおよびニトロから選択される1、2または3の置換基で非置換または置換され得る。例示的なシクロアルキル基はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ-1,3-ジエニルなどを含む。「シクロアルキル」は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどのような二環または多環炭化水素環をいうことも意味する。
【0033】
本明細書において、用語「シクロアルキレン」とは、約3〜約12の炭素原子を含む飽和または不飽和の二価環状炭化水素基をいう。シクロアルキレン基は、独立して、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アリール、アミジル、エステル、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソ、アルキルスルフィニル、およびニトロから選択される1、2または3の置換基で非置換または置換され得る。例示的なシクロアルキル基はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ-1,3-ジエニル等を含む。「シクロアルキレン」は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等のような二環および多環炭化水素環をいうことも意味する。
【0034】
本明細書において、用語「複素環の環または基」または「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」とは、約2〜約12の炭素原子(好ましくは、約4〜約6の炭素原子)を有する飽和または不飽和の環状炭化水素基をいい、1〜約4の炭素原子は一つまたは複数の窒素、酸素および/または硫黄原子によって置き換えられている。窒素および硫黄原子は任意で酸化されていてもよく、窒素原子は任意で四級化されていてもよい。硫黄はチオ、スルフィニルまたはスルホニル酸化状態にあってもよい。複素環の環または基は芳香族炭化水素基に縮合できる。複素環基は、独立して、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、ヒドロキシ、オキソ、チオール、ハロ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アミジル、エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルフィニル、カルボモイル、チオカルバモイル、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミドおよびニトロから選択される1、2、3または4の置換基で非置換または置換され得る。例示的な複素環基はピロリル、フラニル、チエニル、3-ピロリニル、4,5,6-トリヒドロ-2H-ピラニル、ピリジニル、1,4-ジヒドロピリジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、インドリル、チオフェニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、テトラゾリル、ピノリニル、ピロリンジニル、オキサゾリンジニル、1,3-ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリンジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ピペリジニル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、チオモルホリニル、ピラジニル、ピペラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、ベンゾ(b)チオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリニル、キノリニル等を含む。
【0035】
本明細書において、用語「ヘテロシクロアルキレン」とは、約2〜約12の炭素原子(好ましくは、約4〜約6の炭素原子)を有する飽和または不飽和の環状炭化水素基をいい、1〜約4の炭素原子は一つまたは複数の窒素、酸素および/または硫黄原子によって置き換えられている。窒素および硫黄原子は任意で酸化されていてもよく、窒素原子は任意で四級化されていてもよい。硫黄はチオ、スルフィニルまたはスルホニル酸化状態にあってもよい。複素環の環または基は芳香族炭化水素基に縮合できる。複素環基は、ヘテロシクロアルキルについて前記したように1、2、3または4の置換基で置換されてもよい。
【0036】
本明細書において、用語「複素環化合物」とは、少なくとも1つのアリールまたは複素環を含む単環および多環化合物をいう。
【0037】
本明細書において、用語「アリール」は、特に断りのない限り、一緒に縮合し、または共有結合により連結される単一の環または複数の環(3までの環)であり得る多不飽和、典型的な芳香族の炭化水素基を意味する。アリール基の非限定的例はフェニル、ピリジル、ナフチル、ビフェニル、キノイル、テトラヒドロナフチル、フラニル、インダニル、インデニル、インドイル等を含む。(2環アリール基を含む)アリール基は、独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、ハロ、シアノ、アルキルスルフィニル、ヒドロキシ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミジル、エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、カルボニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミドおよびニトロから選択される1、2または3の置換基で非置換または置換され得る。例示的な置換されたアリール基はテトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、スルホンアミド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル等を含む。
【0038】
用語「ヘテロアリール」とは、N、O、およびSから選択される1〜5のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)をいい、窒素および硫黄原子は任意で酸化されていてもよく、窒素原子は任意で四級化されていてもよい。ヘテロアリール基はヘテロ原子を通じて分子の残りに結合させることができる。ヘテロアリール基の非限定的例は1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、6-キノリルおよび1,2,3,4-テトラ-ヒドロキノリンを含む。前記したヘテロアリール環系の各々についての置換基はアリール定義セクションにおいて前記した許容される置換基の群から選択される。
【0039】
本明細書において、用語「アリールアルキル」とは、本明細書において定義したアルキル基に結合した本明細書において定義したアリール基をいう。簡単に述べると、用語「アリール」は、他の用語と組み合わせて用いた場合、(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)は、本明細書において定義されたアリールおよびヘテロアリール環を共に含む。非限定的なアリールアルキル基は、ベンジル、フェニルエチル、ピリジルメチル、4-ヒドロキシベンジル、3-フルオロベンジル、2-フルオロフェニルエチル等を含む。
【0040】
本明細書において、用語「アリールアルケニル」とは、本明細書において定義されたアルケニル基に結合した本明細書において定義されたアリール基をいう。アリールアルケニル基の非限定的例はスチリル、プロペニルフェニル等を含む。
【0041】
本明細書において、用語「複素環アルキル」または「ヘテロアルキル」とは、本明細書において定義されたアルキル基に結合した本明細書において定義された複素環基をいう。
【0042】
本明細書において、用語「アルコキシ」とはR50O-をいい、R50はアルキル基である。R50はC1-8低級アルキル基であり得る。アルコキシ基の非限定的例はメトキシ、エトキシ、t-ブトキシ、シクロペンチルオキシ、トリフルオロメトキシ等を含む。
【0043】
本明細書において、用語「アリールオキシ」とはR55O-をいい、R55は本明細書において定義されたアリールまたはヘテロアリール基である。アリールオキシ基の非限定的例はナフチルオキシ、キノリルオキシ、イソキノリジニルオキシ等を含む。
【0044】
本明細書において、用語「アルキルチオ」とはR50S-をいい、R50は本明細書において定義されたアルキル基である。
【0045】
本明細書において、用語「アリールアルコキシ」または「アルコキシアリール」とは、それに対して本明細書において定義されたアリール基が付着した本明細書において定義されたアルコキシ基をいう。アリールアルコキシ基の非限定的例はベンジルオキシ、フェニルエトキシ、クロロフェニルエトキシなどを含む。
【0046】
本明細書において、用語「アルコキシアルキル」とは、本明細書において定義されたアルキル基に付着した本明細書において定義されたアルコキシ基をいう。アルコキシアルキル基の非限定的例はメトキシメチル、メトキシエチル、イソプロポキシメチル等を含む。
【0047】
本明細書において、用語「シクロアルコキシ」とはR54O-をいい、R54はシクロアルキル基または架橋シクロアルキル基である。シクロアルコキシ基の例はシクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ノルボルニルオキシ等を含む。
【0048】
本明細書において、用語「シクロアルキルチオ」とはR54S-をいい、ここにR54は本明細書において定義されたシクロアルキル基または架橋シクロアルキル基である。シクロアルキルチオ基の非限定的例はシクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、ノルボニルチオ等を含む。
【0049】
本明細書において、用語「オキソ」とは-O-または=Oをいう。
【0050】
本明細書において、用語「ヒドロキシアルキル」または「ヒドロキシアリール」とは、本明細書において定義されたアルキルまたはアリール基に付着したヒドロキシ基をいう。
【0051】
本明細書において、用語「ハロゲン」または「ハロ」とはヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、および/またはフッ素(F)をいう。
【0052】
本明細書において、用語「アミノ」とは、本明細書において定義されたような-NH2、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アナリルアルキルアミノ基、ヘテロアリールまたは複素環をいう。
【0053】
本明細書において、用語「アルキルアミノ」とは、R50NH-をいい、R50は本明細書において定義されたアルキル基である。アルキルアミノ基の非限定的例はメチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、シクロヘキシルアミノ等を含む。
【0054】
本明細書において、用語「アリールアミノ」とはR55NH-をいい、R55は本明細書において定義されたアリール基である。
【0055】
本明細書において、用語「ジアルキルアミノ」とはR52R53N-をいい、R52およびR53は、各々独立して、本明細書において定義されたアルキル基である。例示的なジアルキルアミノ基はジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロパルギルアミノなどを含む。
【0056】
本明細書において、用語「ジアリールアミノ」とはR55R60N-をいい、R55およびR60は、各々、独立して、本明細書において定義されたアリール基である。
【0057】
本明細書において、用語「アルキルアリールアミノまたはアリールアルキルアミノ」とはR52R55N-をいい、R52は本明細書において定義されたアルキル基であり、R55は本明細書において定義されたアリール基である。
【0058】
本明細書において、用語「アルキルアリールアルキルアミノ」とはR52R79N-をいい、R52は本明細書において定義されたアルキル基であり、R79はアリールアルキル基である。
【0059】
本明細書において、用語「アルキルシクロアルキルアミノ」とはR52R80N-をいい、R52は本明細書において定義されたアルキル基であり、R80は本明細書において定義されたシクロアルキル基である。
【0060】
本明細書において、用語「アミノアルキル」とは、それに本明細書において定義されるアルキル基が付着した、本明細書において定義されたアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基または複素環をいう。アミノアルキル基の非限定的例はジメチルアミノプロピル、ジフェニルアミノシクロペンチル、メチルアミノメチル等を含む。
【0061】
本明細書において、用語「アミノアリール」とは、それにアルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアリールアルキルアミノ基が付着したアリール基をいう。アミノアリール基の非限定的例はアニリノ、N-メチルアニリノ、N-ベンジルアニリノ等を含む。
【0062】
本明細書において、用語「チオ」とは-S-または-SHをいう。
【0063】
本明細書において、用語「スルフィニル」とは-S(O)-をいう。
【0064】
本明細書において、用語「スルホニル」とは-S(O)2-をいう。
【0065】
本明細書において、用語「スルホネート」とは-O-S(O)2-O-、R50O-S(O)2-O-またはR55-O-S(O)2-O-をいい、本明細書において定義したように、R50はアルキル基であり、R55はアリール基である。
【0066】
本明細書において、用語「スルホンアミド」とは-S(O)2-N(R51)(R57)をいい、R51およびR57は、各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、アリール基もしくはヘテロアリールであり、またはR51およびR57は、一緒になった場合には、本明細書において定義された、複素環、シクロアルキル基または架橋シクロアルキル基である。
【0067】
本明細書において、用語「アルキルスルホンアミド」とは、本明細書において定義されたアルキル基に付着した本明細書において定義されたスルホンアミド基をいう。
【0068】
本明細書において、用語「アリールスルホンアミド」とは、本明細書において定義されたアリール基に付着した本明細書において定義されたスルホンアミド基をいう。
【0069】
本明細書において、用語「アルキルチオ」とはR50S-をいい、R50は本明細書において定義されたアルキル基(好ましくは、本明細書において定義された低級アルキル基)である。
【0070】
本明細書において、用語「アリールチオ」とはR55S-をいい、R55は本明細書において定義されたアリール基である。
【0071】
本明細書において、用語「アリールアルキルチオ」とは本明細書において定義されたアルキルチオ基に付着した本明細書において定義されたアリール基をいう。
【0072】
本明細書において、用語「アルキルスルフィニル」とはR50-S(O)-をいい、R50は本明細書において定義されたアルキル基である。
【0073】
本明細書において、用語「アルキルスルホニル」とはR50-S(O)2-をいい、R50は本明細書において定義されたアルキル基である。
【0074】
本明細書において、用語「アルキルスルホニルオキシ」とはR50-S(O)2-O-をいい、R50は本明細書において定義されたアルキル基である。
【0075】
本明細書において、用語「アリールスルフィニル」とはR55-S(O)-をいい、R55は本明細書において定義されたアリール基である。
【0076】
本明細書において、用語「アリールスルホニル」とはR55-S(O)2-をいい、R55は本明細書において定義されたアリール基である。
【0077】
本明細書において、用語「アリールスルホニルオキシ」とはR55-S(O)2-O-をいい、R55は本明細書において定義されたアリール基である。
【0078】
本明細書において、用語「アミジル」とはR51C(O)N(R57)-をいい、R51およびR57は、各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールである。
【0079】
本明細書において、用語「カルバモイル」とは-C(O)N(R51)(R57)をいい、R51およびR57は、各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、シクロアルキル、アリール基、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリール環であるか、またはR51およびR57は一緒になって、本明細書において定義された、複素環または架橋シクロアルキル基である。
【0080】
本明細書において、用語「チオカルバモイル」とは-C(S)N(R51)(R57)をいい、R51およびR57は、各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、シクロアルキル、アリール基、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリール環であるか、またはR51およびR57は一緒になって、本明細書において定義された、複素環または架橋シクロアルキル基である。
【0081】
本明細書において、用語「カルバモイル-オキシ」とは-OC(O)N(R51)(R57)をいい、用語「カルバモイル-アミノ」とは-N(R61)C(O)N(R51)(R57)をいい、R51、R57およびR61は、各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、シクロアルキル、アリール基、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリール環であるか、またはR51およびR57は一緒になって、本明細書において定義された複素環または架橋シクロアルキル基である。
【0082】
本明細書において、用語「チオカルバモイル-オキシ」とは-OC(S)N(R51)(R57)をいい、用語「チオカルバモイル-アミノ」とは-N(R61)C(S)N(R51)(R57)をいい、R51、R57およびR61は、各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、シクロアルキル、アリール基、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリール環であるか、またはR51およびR57は一緒になって、本明細書において定義された、複素環または架橋シクロアルキル基である。
【0083】
本明細書において、用語「カルボキシル」とはR76(O)CO-をいい、R76は、本明細書において定義された水素原子、アルキル基、シクロアルキル、アリール基、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール環である。
【0084】
本明細書において、用語「アルカノイル」とはR52-C(O)-をいい、R52は、本明細書において定義された、アルキル基、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基である。
【0085】
本明細書において、用語「アロイル」とはR55-C(O)-をいい、R55は、本明細書において定義された、アリール基、ヘテロアリール基である。
【0086】
本明細書において、用語「アルコキシカルボニル」とは-C(O)OR52をいい、R52は、本明細書において定義された、H、アルキル基、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルである。
【0087】
本明細書において、用語「アリールオキシカルボニル」とは-C(O)OR56をいい、R56は、本明細書において定義された、アリールまたはヘテロアリールである。
【0088】
本明細書において、用語「アルキルカルボン酸エステル」とは、本明細書において定義されたカルボン酸エステル基に付着した本明細書において定義されたアルキル基をいう。
【0089】
本明細書において、用語「アリールカルボン酸」とは、本明細書において定義されたカルボキシル基に付着した本明細書において定義されたアリール基をいう。
【0090】
本明細書において、用語「アリールカルボン酸エステル」および「アリールカルボキシル」とは、本明細書において定義されたカルボン酸エステル基に付着した本明細書において定義されたアリール基をいう。
【0091】
本明細書において、用語「ウレイド」とは-N(R59)C(O)N(R51)(R57)をいい、ここにR51、R57およびR59は、各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、シクロアルキル、アリール基、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリール環であるか、またはR51およびR57は一緒になって、本明細書において定義された複素環または架橋シクロアルキル基である。
【0092】
本明細書において、用語「チオウレイド」とは-N(R59)C(S)N(R51)(R57)をいい、R51、R57およびR59は各々、独立して、本明細書において定義された、水素原子、アルキル基、シクロアルキル、アリール基、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリール環であるか、またはR51およびR57は、本明細書において定義された複素環または架橋シクロアルキル基である。
【0093】
本明細書において、用語「シリル」とは-Si(R73)(R74)(R75)をいい、R73、R74およびR75は、各々、独立して、本明細書において定義された共有結合、H、低級アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アリールアルコキシ、ハライドまたはカルボキシルである。
【0094】
本明細書において、用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)はそれらの従来の意味で用いられ、各々、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りに付着したアルキル基をいう。または、ジアルキルアミノ基では、アルキル部分は同一または異なってよく、各々が付着した窒素原子とで3〜12員の環を形成するように合わせることもできる。従って、-NRmRnとして表される基はピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニル等を含むことを意味する。
【0095】
本明細書において、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、それ自体で、またはもう1つの置換基の一部として、特に断りのない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」のような用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語
「C1-4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピル等を含むことを意味する。
【0096】
本明細書において、用語「アリーレン」は、それ自体で、またはもう1つの置換基の一部として、一緒に縮合するかまたは共有結合により連結される単一の環または複数の環(3つまでの環)であり得る多不飽和、典型的には芳香族の炭化水素基から誘導される二環基を意味する。任意で、芳香族環は一つまたは複数のヘテロ原子を有することができる。典型的には、アリール(またはアリーレン)基は1〜30の炭素原子を有し、12以下の炭素原子を有する基が本発明では好ましい。
【0097】
本明細書において、用語「トリアリーレン」および「テトラアリーレン」は、各々、単一の環もしくは一緒に縮合した、または共有結合により連結される複数の環(3つまでの環)であり得る多不飽和、典型的には芳香族炭化水素基から誘導される、三価および四価の基を意味する。任意で、芳香族環は一つまたは複数のヘテロ原子を有することができる。典型的には、トリアリール(またはトリアリーレン)基は1〜30の炭素原子を有し、12以下の炭素原子を有する基が本発明で好ましい。
【0098】
アルキル基のための置換基(しばしば、アルキレン、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルといわれる基を含む)は、0から(2m’+1)の範囲の数であり、m’が基における炭素原子の合計数である、-ハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-SiR’R”R'''、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R'''、-NR”C(O)2R’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-CNおよび-NO2から選択される種々の基であり得る。R’、R”およびR'''は、各々、独立して、水素、置換されていないC1-8アルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないアリール、1〜3のハロゲンで置換されたアリール、置換されていないC1-8アルキル、C1-8アルコキシまたはC1-8チオアルコキシ基、または置換されていないアリール-C1-4アルキル基をいう。R’およびR”が同一の窒素原子に結合する場合、それらは窒素原子と合わされて、3-、4-、5-、6-、または7-員環を形成することができる。例えば、-NR’R”は1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味する。
【0099】
同様に、アリールおよびヘテロアリール基のための置換基は、一般には、0〜、芳香族環系での開いた原子価の合計数の範囲の数の、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R”、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R”、-C(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR”C(O)2R’、-NR’-C(O)NR”R'''、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-N3、ペルフルオロ(C1-C8)アルコキシ、およびペルフルオロ(C1-C8)アルキルから選択され;R’、R”およびR'''は、独立して、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、置換されていないアリールおよびヘテロアリール、(置換されていないアリール)-C1-8アルキル、および置換されていないアリールオキシ-C1-8アルキルから選択される。他の適当な置換基は、1〜8の炭素原子のアルキレン連結基によって環原子に結合した前記アリール置換基の各々を含む。
【0100】
本明細書において、用語「樹状単位」または「分岐した単位」とは、少なくとも3つの共有結合を介してポリマー骨格に共有結合し、それにより、ポリマー骨格の分岐を引き起こす、ポリ(アミノエステル)の構造的単位をいう。本発明の分岐した単位は前記式によって定義される構造を有することができる。また、本明細書において、用語「樹状」または「分岐した」または「超分岐した」は互換的であって、ポリマー骨格の1つの分岐が少なくとも1つの他の分岐を有する分岐したポリマーをいう。樹状単位は以下に示す例示的な構造を有することができる。

【0101】
本明細書において、用語「分岐点」とは、1つのポリマー骨格または分岐(複数の反応したモノマーを含む)が2以上の他のポリマー骨格または分岐(複数の反応したモノマーを含む)に共有結合によりカップリングしたポリマー中の点をいう。
【0102】
本明細書において、用語「アクリレート」または「アクリレートモノマー」とは、アクリレートのカルボニル基とコンジュゲートした炭素-炭素二重結合を有する少なくとも1つのアクリレート官能性を含有する分子をいう。本明細書において、用語「アクリレート」とは、アクリレートのカルボニル基とコンジュゲートした炭素-炭素二重結合を有する少なくとも1つのアクリレート官能性を含有する構造的モチーフもいう。
【0103】
本明細書において、用語「トリアクリレート」または「トリ(アクリレートエステル)」または「トリアクリレートエステル」は交互に用いられ、共通の構造に結合された3つのアクリレート官能性を有するアクリレートモノマーをいう。
【0104】
本明細書において、用語「テトラアクリレート」または「テトラキス(アクリレートエステル)」または「テトラアクリレートエステル」は交互に用いられ、共通の構造に結合した4つのアクリレート官能性を有するアクリレートモノマーをいう。
【0105】
本明細書において、用語「エステル結合」とは、ポリマー骨格中に式-OC(O)-CH(R70)-を有する構造単位をいい、R70は、本明細書において定義された、H、ヒドロキシル、チオヒドロキシルまたはヒドロカルビルである。
【0106】
本明細書において、用語「線状単位」とは、2つの共有結合を介してポリマー骨格に共有結合し、それにより、ポリマー骨格を実質的に線状に延長するポリ(アミノエステル)の構造的単位をいう。線状単位は以下に示す例示的な構造を有することができる。

【0107】
本明細書において、用語「末端単位」とは、ポリマー鎖の端部または末端で生じるポリ(アミノエステル)の構造的単位をいう。末端単位は以下に示す例示的な構造を有することができる。

【0108】
本明細書において、用語「ジアミンモノマー」とは、1つの第二級アミノ基および1つの第一級アミノ基を有する化合物をいう。化合物は、さらに、一つまたは複数の第三級アミノ基を含むことができる。
【0109】
本明細書において、用語「アクリレートモノマー」とは、少なくとも1つのアクリレート官能性/部分またはアクリレート様官能性/部分を含有する化合物をいう。アクリレート官能性はカルボニルまたはエステル基/部分とコンジュゲートした炭素-炭素二重結合を有する。好ましくは、アクリレートモノマーは3、4、5または6のアクリレート官能性を有する。
【0110】
本明細書において、用語「治療的有効量」とは、所望の治療的結果を達成するのに、必要な用量および時間での、有効な量をいう。任意の特定の治療剤の治療的有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、および個体において所望の応答を誘発する化合物の能力のような因子に従って変化することができる。投与計画は、最適治療応答を提供するように調整することができる。治療的有効量は、化合物のいずれの毒性または有害効果も治療的に有利な効果によって十分に補われるものでもある。
【0111】
本明細書において、用語「予防的有効量」とは、種々の疾患の開始または進行の速度の防止または阻害のような、所望の予防的効果を達成するのに、必要な用量および期間における、有効な量をいう。予防的有効量は、治療的有効量について前記のように決定することができる。任意の特定の対象では、特異的な投与計画を、個々の要望、および組成物を投与する、または組成物の投与を監督する個人の専門的判断に従って経時的に調整することができる。
【0112】
本明細書において、「薬学的に許容される担体」または「賦形剤」は、生理学的に適合する、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤等を含む。1つの態様において、担体は非経口投与に適している。または、担体は静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下もしくは経口投与に適し得る。薬学的に許容される担体は滅菌水性溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。薬学的活性物質のためのそのような薬学的に許容される担体および賦形剤の使用は当技術分野において周知である。任意の従来の薬学的に許容される担体および賦形剤も活性化合物に適合しない限り、本発明の薬学的組成物でのその使用が考えられる。補助的な活性化合物もまた組成物に取り込むこともできる。
【0113】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書において記載された化合物で見出される特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が比較的酸性官能性を含有する場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性形態を、純物または適当な不活性な溶媒中の十分な量の所望の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される無機塩基から誘導される塩の例は、アルミニウム、アンモニア、カルシウム、銅、三価鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む。薬学的に許容される有機塩基に由来する塩は、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペラジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等のような、置換されたアミン、環状アミン、天然に生じるアミン等を含む第一級、第二級および第三級アミンの塩を含む。本発明の化合物が比較的塩基性の官能性を有する場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、純物または適当な不活性な溶媒中の十分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸等のような無機酸に由来する塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等のような比較的非毒性有機酸に由来する塩を含む。また、アルギネート等のようなアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等のような有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.,et al,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19参照)。本発明のある特別な化合物は、化合物を塩基または酸付加塩いずれかに変換させる塩基性および酸性双方の官能性を含有する。
【0114】
化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を従来の方法で単離することによって再生することができる。化合物の親形態は、極性溶媒中への溶解度のようなある物理的特性において種々の塩形態とは異なるが、そうでなければ、塩は本発明の目的では化合物の親形態と同等である。
【0115】
本発明のある化合物は、未溶媒和形態、ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在することができる。一般には、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲内に含めることを意図する。本発明のある種の化合物は複数の結晶またはアモルファス形態で存在することができる。一般に、全ての物理的形態は、本発明で考えられる使用に対して同等であり、本発明の範囲内にあることを意図する。
【0116】
本発明のある化合物は不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を保有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体および個々の異性体(例えば、別々のエナンチオマー)は、全て、本発明の範囲内に含まれることを意図する。本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子の一つまたは複数において原子同位体の非天然特性も含有することができる。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)のような放射性同位体で標識することができる。本発明の化合物の全ての同位体変種は、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0117】
II.概要
本発明は、2つの置換されてもよい窒素単位の間のエステルまたはエステル様結合を有する分岐したポリ(アミノエステル)を提供する。1つの局面において、化合物は、少なくとも1つの第二級アミン結合および少なくとも1つの第三級アミン結合を含む樹状ポリマー骨格構造を有する。超分岐したまたは樹状ポリ(アミノエステル)は、付加重合反応を用いて調製することができる。本発明は、疾患の治療および診断における化合物の適用も提供する。有利には、本発明の分岐したポリ(アミノエステル)は、PEIのような他のポリマーと比較して、第二級および第三級アミノ基のより高い濃度、低い細胞傷害性、良好な生態適合性および生分解性、優れたトランスフェクション効率および高い溶解度を有する。樹状または超分岐したポリ(アミノエステル)の球様構造は、良好な生分解性および高い細胞トランスフェクション効率を達成するのに重要な、より高い密度のアミンおよびエステル官能性結合のユニークな利点も提供する。
【0118】
1つの局面において、本発明の生分解性ポリ(アミノエステル)は、少なくとも3つのアクリレート官能性を含むアクリレートモノマーのジアミンモノマーとのマイケル付加反応によって調製することができ、該ジアミンモノマーは1つの第一級アミノ基および1つの第二級アミノ基を有する。生分解性化合物の分岐の程度のような特性は、アクリレートおよびジアミンモノマーの供給比率を変化させることによって調節することができる。安定性を増強し、および/またはポリマーをさらに官能化するためには、分岐したポリ(アミノエステル)を適当な末端キャッピング剤と反応させることによって末端をキャップすることもできる。有利には、該方法は、操作が容易であり、高い収率にて所望の化合物を与える。
【0119】
もう1つの局面において、本発明は、薬学的組成物および細胞をトランスフェクトするための組成物を提供する。該組成物は、疾患を治療するのに、または遺伝子治療におけるベクターとして用いることができる。異なる局面において、本発明の樹状または超分岐したポリ(アミノエステル)化合物は、予期せぬことに、UV光によって励起した場合に強い蛍光特性を呈することが判明する。本発明では、生体適合性造影剤を調製するのに有用な組成物も企図される。
【0120】
III.化合物
本発明は、少なくとも1つの第二級アミン結合および少なくとも1つの第三級アミン結合を含むポリマー骨格を有する分岐したポリ(アミノエステル)化合物を提供する。さらに詳しくは、分岐したポリ(アミノエステル)化合物は、2つの置換されてもよい窒素単位の間にエステルまたはエステル様結合を有する。
【0121】
1つの局面において、本発明は式:

を有する分岐したポリ(アミノエステル)化合物を提供する。
【0122】
前記式(I)において、添字xは1〜約10,000の間の整数である。好ましくは、xは1〜2000の間である。1つの態様において、xは1である。いくつかの態様において、化合物は約1〜約10、1〜3、2〜4、1〜5、2〜6、3〜7、または6〜10の多分散度指標を有する。好ましくは、多分散度指標は約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5.0のような約1〜約5である。もう1つの態様において、化合物は1に近い多分散度指標を有する。多分散度指標は調製されたポリマーの多分散度の尺度である。狭い多分散度指標は、試料中の全てのポリマーが同様な鎖の長さまたは反復単位の数を有することを示す。例えば、同一のサイズおよび/または分子重量の分子を含有する純粋な試料は1に等しい多分散度指標を有する。
【0123】
R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様においては、R1、R2およびR3の各々は水素、ジューテリウムまたはヒドロカルビルである。好ましくは、ヒドロカルビルはC1-8アルキルまたはC1-8ヘテロアルキルである。他のより好ましい態様において、R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウムまたはCH3である。なおより好ましい態様において、R1、R2およびR3は水素またはジューテリウムである。
【0124】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、またはヒドロカルビルである。好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の2つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。もう1つの好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の3つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。なおもう1つの好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の4つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。なおもう1つの好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の5つは、水素、ジューテリウム、トリチウムである。最も好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は水素またはジューテリウムである。
【0125】
L1およびL2は二価連結基である。L1およびL2の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、R13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成する。いくつかの態様において、L1およびL2はNR12である。なお他の態様において、L1はNR12であり、L2はN(-R13-)(-R14-)Zであり;またはL2はNR12であり、L1はN(-R13-)(-R14-)Zである。なお他の態様において、L1およびL2はN(-R13-)(-R14-)Zである。
【0126】
R12は、独立して、H、ヒドロカルビル、ヒドロキシルまたはチオヒドロキシルであり得る。いくつかの好ましい態様において、R12はH、ヒドロカルビルまたはヒドロキシルである。いくつかのより好ましい態様において、R12はH、C1-8アルキル、C1-8シクロアルキル、C1-8ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールである。
【0127】
R10、R11、R13およびR14の各々は、独立して、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレン、または置換されてもよいC6-18アリーレンであり得るが、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい。いくつかの好ましい態様において、R10、R11、R13およびR14は置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレン、または置換されてもよいC6-18アリーレンであり得る。より好ましくは、R10、R11、R13およびR14は置換されてもよいC1-30アルキレン、例えば、CH2-CH2である。
【0128】
各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、トリス-N-アルキル、N-アリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-または12-員の炭素環または複素環を形成し、好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR12は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートした炭素-炭素二重結合を有さない。C-ヒドロカルビルはCC1-8アルキル、C-シクロアルキル、C-ヘテロアルキル、C-アリールまたはC-ヘテロアリールであり得る。トリアリーレンはトリフェニレン等を含む。トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノおよびトリス-N-アルキル、N-アリールアミノは式[NRak3Rkを有し、RakおよびRkの各々は、独立して、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである。Rakは、好ましくは、C1-8アルキル、C1-8シクロアルキル、C6-10アリールまたはC6-10アリールアルキルである。シリル基はSiH、アリールシリル、アリールアルキルシリルまたはアルキルシリルであり得る。金属はB、Al、Ga、InまたはTlのような主族金属;またはFe、Ru、Cr、V、TaまたはAuのような遷移金属であり得る。いくつかの好ましい態様において、ZはN、CH、CC1-8アルキル、SiH、SiC1-8アルキル、またはB、Al、GaおよびInからなる群より選択される金属である。
【0129】
記号Y1はN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアルールアミノ、シリルおよび金属からなる群より選択される。好ましいC-ヒドロカルビルは、限定されることなく、CH、CRdを含み、RdはC1-12アルキル、C1-8シクロアルキル、C1-8ヘテロアルキル、C6-10アリールおよびC4-6ヘテロアリールである。好ましいトリアルキルはRe(Rf-)3を含み、ReはN、アリール、ヘテロアリール、C1-8アルキルまたはC3-8シクロアルキルであり;Rfは結合、C1-30アルキルまたはC1-30アリールアルキルである。Rfは0〜8の炭素を有するのが好ましい。シリル基はSiRgであり得、RgはH、C1-8アルキル、C1-8ヘテロアルキル、アリールアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。用いる金属はFe、Al、Ga、B、In等であり得る。いくつかの好ましい態様において、Y1はN、CH、(CH2)3C(CH2CH3)、(CH2)3Nまたは(CH2)3Si(CH2CH3)である。
【0130】
式(I)中の記号A、B1およびB2は末端基を表す。末端基は樹状ポリマー構造の周辺に位置した官能基である。好ましくは、「A」基は求核体である。各Aは、独立して、H、NH2、ヒドロカルビル、ヒドロキシル、カルボキシル、チオ、アミジル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノからなる群より選択される。好ましい末端基は、限定されることなく、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、モルホリニル、置換されてもよいピペラジニル、置換されてもよいピペリジニル、置換されてもよいアゼチジニルおよび置換されてもよいピロリジニルを含む。より好ましい末端基はモルホリニル、N-メチルピペラジニル、N-エチルピペラジニル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、および1-メチル-4-メチルアミノ-ピペリジニル、ベンジル-1-ピペラジニルカルボキシレートを含む。
【0131】
式(I)中の記号B1およびB2は末端基を表す。好ましいB1およびB2は、各々、独立して、求電子体である。B1およびB2の各々は、独立して、H、ヒドロキシルまたはヒドロカルビルであり得る。末端基B1およびB2を形成できる適当な剤は、限定されることなく、アクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、アルカノイルハライド、アルケニルハライド、アリールハライド、ヘテロアリールハライド、アリールアルキルハライド、アルデヒド、ケトン、トシルハライド、メシルハライド、アルキルハライド、ヘテロアルキルハライド、カルボン酸、カルボン酸無水物およびイソシアネートを含む。
【0132】
いくつかの好ましい態様において、本発明は式(Ia):

を有する化合物を提供する。式(Ia)において、xは1〜約2000の整数である。Y1はCH、C-(C1-8アルキル)、C-(C1-8ヘテロアルキル)、C-(C7-12アリールアルキル)、C-(C6-10アリール)、C-(C4-6ヘテロアリール)、SiH、Si-(C1-8アルキル)、Si-(C1-8ヘテロアルキル)、Si-(C6-10アリール)、Si-(C4-6ヘテロアリール)、またはBまたはAlのような金属である。R10、R11、R13、R14、R21およびR22は、各々、独立して、C1-8アルキレン;好ましくはCH2CH2である。Z1およびZ2は、各々、独立して、N、CH、C-(C1-8アルキル)、C-(C1-8ヘテロアルキル)、C-(C7-12アリールアルキル)、C-(C6-10アリール)、C-(C4-6ヘテロアリール)、SiH、Si-(C1-8アルキル)、Si-(C1-8ヘテロアルキル)、Si-(C6-10アリール)、Si-(C4-6ヘテロアリール)、またはBまたはAlのような金属である。好ましくは、末端基「A」は、限定されることなく、H、NH2、C1-8アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミジル、アルキコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノを含む。より好ましくは、末端基「A」は、限定されることなく、C1-8アルキルアミノ、ジC1-8アルキルアミノ、C6-10アリールアミノ、ジC6-10アリールアミノ、C1-8アルキルC6-10アリールアミノ、モルホリニル、置換されてもよいピペラジニル、置換されてもよいピペリジニル、置換されてもよいアゼチジニルおよび置換されてもよいピロリジニル、モルホリニル、N-メチルピペラジニル、N-エチルピペラジニル、および1-メチル-4-メチルアミノ-ピペリジニル、ベンジル-1-ピペラジニルカルボキシレートを含む。独立した末端基B1およびB2を形成できる好ましい剤は、限定されることなく、アクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、アルカノイルハライド、アルケニルハライド、アリールハライド、ヘテロアリールハライド、アリールアルキルハライド、アルデヒド、ケトン、トシルハライド、メシルハライド、アルキルハライド、ヘテロアルキルハライド、カルボン酸、カルボン酸無水物およびイソシアネートを含む。
【0133】
もう1つの局面において、本発明は式:

を有する分岐したポリ(アミノエステル)化合物を提供する。
【0134】
前記式(II)において、添字xは1〜約10,000の間の整数である。好ましくは、xは1〜2000の間である。1つの態様において、xは1である。いくつかの態様において、該化合物は約1〜約10、1〜3、2〜4、1〜5、2〜6、3〜7、または6〜10の多分散度指標を有する。好ましくは、多分散度指標は、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0のような約1〜約6である。もう1つの態様において、化合物は1に近い多分散度指標を有する。
【0135】
R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、R1、R2、R3およびR18の各々は水素、ジューテリウム、またはヒドロカルビルである。好ましくは、該ヒドロカルビルはC1-8アルキルまたはC1-8ヘテロアルキルである。より好ましい態様において、R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウムまたはCH3である。なおより好ましい態様において、R1、R2、R3およびR18は水素またはジューテリウムである。
【0136】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、またはヒドロカルビルである。好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の2つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。もう1つの好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の3つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。なおもう1つの好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の4つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。さらにもう1つの好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の5つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。なおさらなる好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の6つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。なおさらなる好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の7つは水素、ジューテリウム、トリチウムである。最も好ましい態様において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16は水素またはジューテリウムである。
【0137】
L1、L2およびL3は連結基である。L1、L2およびL3の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、R13およびR14の各々はNおよびZと結合して環状構造を形成する。いくつかの態様において、L1、L2およびL3はNR12である。他の態様において、L1、L2およびL3はN(-R13-)(-R14-)Zである。さらに他の態様において、L1、L2およびL3からの結合の任意の2つは第三のものと異なり得る。例えば、L1およびL2はNR12であり、L3はN(-R13-)(-R14-)Zであり;またはL2およびL3はNR12であり、L1はN(-R13-)(-R14-)Zであり;またはL1およびL3はNR12であり、L2はN(-R13-)(-R14-)Zであり;またはL1はNR12であり、L2およびL3はN(-R13-)(-R14-)Zであり;またはL2はNR12であり、L1およびL3はN(-R13-)(-R14-)Zであり;またはL3はNR12であり、L1およびL2はN(-R13-)(-R14-)Zである。
【0138】
R12は、独立して、H、ヒドロカルビル、ヒドロキシルまたはチオヒドロキシルであり得る。いくつかの好ましい態様において、R12はH、ヒドロカルビルまたはヒドロキシルである。いくつかのより好ましい態様において、R12はH、C1-8アルキル、C1-8シクロアルキル、C1-8ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールである。
【0139】
R10、R11、R13、R14およびR17の各々は、独立して、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい。いくつかの好ましい態様において、R10、R11、R13、R14およびR17の各々は、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり得る。より好ましくは、R10、R11、R13、R14およびR17の各々は、置換されてもよいC1-30アルキレンである。最も好ましくは、R10、R11、R13、R14およびR17はCH2CH2である。
【0140】
式(II)において、各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、トリス-N-アルキル、N-アリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって、4-〜12-員炭素環または複素環を形成し、好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR12は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有さない。C-ヒドロカルビルはCC1-8アルキル、C-シクロアルキル、C-ヘテロアルキル、C-アリールまたはC-ヘテロアリールであり得る。トリアリーレンはトリフェニレン等を含む。トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノおよびトリス-N-アルキル、N-アリールアミノは式[NRak3Rkを有し、RakおよびRkの各々は、独立して、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである。Rakは、好ましくは、C1-8アルキル、C1-8シクロアルキル、C6-10アリールまたはC6-10アリールアルキルである。シリル基はSiH、アリールシリル、アリールアルキルシリルまたはアルキルシリルであり得る。該金属はB、Al、Ga、InまたはTlのような主族金属;またはFe、Ru、Cr、V、TaまたはAuのような遷移金属であり得る。いくつかの好ましい態様において、ZはN、CH、CC1-8アルキル、SiH、SiC1-8アルキル、またはB、Al、GaおよびInからなる群より選択される金属である。いくつかのなおより好ましい態様において、R10、R11、R13、R14、R17の各々は、独立して、CH2CH2であり、ZはCHまたはNである。
【0141】
Y2はC、シリル、テトラアルキル、テトラアリール、テトラアリーレン、テトラヘテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、テトラヘテロシクロアルキレン、テトラヘテロアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノ、テトラ-N,N-ジアリールアミノ、テトラヘテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、ヘテロアリーレン、および金属からなる群より選択される。好ましいテトラアルキルはRh(Ri-)4であり、RhはC、Si、アリール、またはC4-8テトラシクロアルキルである。RiはH、C1-30アルキレンまたはC1-30アリールアルキレンであり得る。好ましいテトラアリールはRh(Arl-)4であり、Arlはアリーレンまたはヘテロアリーレンである。好ましくは、ArlはC6-10アリーレン、C8-12アリールアルキレンまたはC4-6ヘテロアリーレンである。用いる金属はTi、Zr、Mn、Ge、Sn等であり得る。いくつかの好ましい態様において、Y2はC、Si、(C1-30アルキレン)4C、(C8-12アリールアルキレン)4Cまたは(C1-30アルキレン)4Siである。いくつかのより好ましい態様において、Y2は(C1-8アルキレン)4C、(C8-12アリールアルキレン)4Cまたは(C1-8アルキレン)4Siである。特に好ましい態様において、Y2は(CH2)4C、(CH2C6H4CH2)4Cまたは(CH2)4Siである。
【0142】
式(II)中の記号Aは末端基を表す。好ましいA基は求核体である。各Aは、独立して、H、NH2、ヒドロカルビル、ヒドロキシル、カルボキシル、チオ、アミジル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ジアルキルアミノ、およびジアリールアミノからなる群より選択される。好ましい末端基は、限定されることなく、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、モルホリニル、置換されてもよいピペラジニル、置換されてもよいピペリジニル、置換されてもよいアゼチジニル、置換されてもよいピロリジニルを含む。より好ましい末端基はモルホリニル、N-メチルピペラジニル、N-エチルピペラジニル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、および1-メチル-4-メチルアミノ-ピペリジニル、ベンジル-1-ピペラジニルカルボキシレートを含む。
【0143】
式(II)中の記号B1、B2およびB3はもう1つのタイプの末端基を表す。好ましいB1、B2およびB3は独立して求核体となる。B1およびB2の各々は、独立して、H、ヒドロキシルまたは、ヒドロカルビルであり得る。末端基B1、B2およびB3を形成できる適当な剤は、限定されることなく、アクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、アルカノイルハライド、アルケニルハライド、アリールハライド、ヘテロアリールハライド、アリールアルキルハライド、アルデヒド、ケトン、トシルハライド、メシルハライド、アルキルハライド、ヘテロアルキルハライド、カルボン酸、カルボン酸無水物およびイソシアネートを含む。
【0144】
いくつかの好ましい態様において、本発明は式(IIa):

を有する化合物を提供する。式(IIa)において、xは1〜約2000の整数である。R10、R11、R13、R14、R17、R21、R22、R23およびR24の各々は、独立して、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい。好ましくは、R10、R11、R13、R14、R17、R21、R22、R23およびR24の各々は、独立して、C1-30アルキレン、より好ましくはC1-8アルキレン、例えば、CH2CH2である。Y2はC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラヘテロアルキレン、テトラシクロアルキレンまたはテトラヘテロアリーレンである。好ましいテトラアルキルはRh(Ri-)4を含み、RhはC、SiまたはC4-8テトラシクロアルキルである。RiはH、C1-30アルキレンまたはC1-30アリールアルキレンであり得る。好ましいテトラアリールはRh(Arl-)4を含み、Arlはアリーレン、ヘテロアリーレンである。好ましくは、ArlはC6-10アリーレン、C8-12アリールアルキレンまたはC4-6ヘテロアリーレンである。用いる金属はTi、Zr、Mn、Ge、Sn等であり得る。いくつかの他の好ましい態様において、Y2はC、Si、(C1-30アルキレン)4C、C8-12アリールアルキレンまたは(C1-30アルキレン)4Siである。いくつかのより好ましい態様において、Y2は(C1-8アルキレン)4Cまたは(C1-8アルキレン)4Siである。特別な好ましい態様において、Y2は(CH2)4C、(CH2C6H4CH2)4Cまたは(CH2)4Siである。Z1、Z2およびZ3は、各々、独立して、N、CH、C-(C1-8アルキル)、C-(C1-8ヘテロアルキル)、C-(C6-10アリール)、C-(C4-6ヘテロアリール)、SiH、Si-(C1-8アルキル)、Si-(C1-8ヘテロアルキル)、Si-(C6-10アリール)、Si-(C4-6ヘテロアリール)、またはTiまたはZrのような金属である。末端基Aは式(I)、(Ia)および(II)について前記で記載したのと同一に定義される。末端基B1、B2およびB3は式(I)、(Ia)および(II)について前記したのと同一に定義される。
【0145】
異なる局面において、本発明は式:

を有する化合物を提供する。
【0146】
前記式(III)においては、全ての置換基は式(I)について前記で定義したのと同一である。R1、R2およびR3の各々は、独立して、Hまたはヒドロカルビル、好ましくは、水素、ジューテリウムまたはアルキルであり得る。R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々はHまたはヒドロカルビルである。ヒドロカルビルは好ましくはアルキルまたはヘテロアルキルであり、第一級、第二級、またはカルボニル基にコンジュゲートした炭素-炭素二重結合を有さない。L1およびL2の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、各R12は、独立して、ヒドロカルビル、ヒドルキシルまたはチオヒドロキシルであってR13およびR14の各々は、NおよびZに結合して環状構造を形成する。いくつかの好ましい態様において、L1およびL2はN(-R13-)(-R14-)Zである。R10、R11、R13およびR14の各々は、好ましくは、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレン、より好ましくはC1-8アルキレンである。Zは、好ましくは、N、CH、CC1-8アルキル、SiH、SiC1-8アルキル、またはB、Al、GaおよびInからなる群より選択される金属である。好ましいY1はC-アルキル、CH、(C1-8アルキレン)3、および、(C1-8アルキレン)3Nを含む。もう1つの好ましい態様において、R1、R2およびR3はHまたはCH3であり;R4、R5、R6、R7、R8およびR9はHまたはジューテリウムであり;L1およびL2はN(CH2CH2)Zであり、ZはN、CHまたはC1-8アルキルであり;R10およびR11はCH2CH2である。
【0147】
さらに異なる局面において、本発明は式:

を有する化合物を提供する。
【0148】
置換基は式(II)で定義したのと同一である。
【0149】
ある局面において、化合物は式(I)および式(II)のポリ(アミノエステル)のコポリマーまたはブレンドであり得る。1つの態様において、化合物は式(I)および式(II)を有するポリ(アミノエステル)のブロックコポリマーであり得る。もう1つの態様において、化合物は式(I)および式(II)を有するポリ(アミノエステル)のランダムコポリマーであり得る。なおもう1つの態様において、化合物は式(I)および(II)を有するポリ(アミノエステル)の交互コポリマーであり得る。なおもう1つの態様において、化合物は式(I)および(II)を有するポリ(アミノエステル)のブレンドであり得る。なお他の態様において、化合物は式(I)および/または(II)を有するポリ(アミノエステル)、および線状単位のコポリマーであり得る。
【0150】
IV.ポリ(アミノエステル)化合物を調製する方法
1つの局面において、本発明は分岐した、または樹状の、または超分岐したポリ(アミノエステル)化合物を調製する方法を提供する。該方法は式:

を有するアクリレートモノマーを

からなる群より選択される式を有するジアミンモノマーと反応させる段階を含む。
【0151】
R1、R2およびR3は式(I)〜(III)で定義したのと同一である。R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR12は式(I)および(II)についてと同一に定義される。R13およびR14は式(I)〜(III)についてと同一に定義される。Zは式(I)〜(III)についてと同一に定義される。
【0152】
R19およびR20の各々は、独立して、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-18アリーレンであり得るが、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のへテロ原子を含有してもよい。いくつかの好ましい態様において、R19およびR20は置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンまたは置換されてもよいC6-10アリーレンであり得る。より好ましくはR19およびR20は置換されてもよいC1-30アルキレン、例えば、(CH2)nのようなC1-8アルキレンであり、nは1〜8の整数である。
【0153】
もう1つの局面において、本発明は分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法を提供する。該方法は式(III)または式(IV)を有するモノアクリレートモノマーをホモ重合する段階を含む。
【0154】
なおもう1つの局面において、本発明は分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法を提供する。該方法は式:

を有するアクリレートモノマーを式(VI)または(VII)を有するジアミンモノマーと反応させる段階を含む。
【0155】
式(VIII)中の置換基は式(I)についてと同一に定義される。例えば、R1、R2およびR3は式(II)についてと同一に定義される。R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16は式(II)における対応する置換基と同一に定義される。Y2は式(II)における対応する置換基と同一に定義される。
【0156】
ある例において、より第二級アミノ基を有するポリ(アミノエステル)は好ましい。なぜなら、第二級アミンは第三級アミンよりも容易にプロトン化され、例えば、ポリ(アミノエステル)の水溶解性を増強させ、または生理活性剤と相互作用するポリ(アミノエステル)の能力を増強させることによってポリ(アミノエステル)の用途を改良することができるからである。第二級アミノ基は、ポリマー骨格、または式(VI)または式(VII)の単位中に第二級アミン結合を有する線状ポリ(アミノエステル)の付加を介してポリマーに導入することができる。
【0157】
いくつかの態様において、本発明のポリ(アミノエステル)は1〜2000の間の線状単位を有することができる。例えば、ポリ(アミノエステル)は少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の線状単位を含有することができる。
【0158】
ある他の態様において、本発明のポリ(アミノエステル)は、式(I)、式(II)、式(VI)または式(VII)の1〜2000の間の樹状単位を有することができる。例えば、ポリ(アミノエステル)は式(I)または式(II)の、少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の樹状単位を含有することができる。いくつかの態様において、樹状単位は、任意で少なくとも1つの線状単位によって連結される。
【0159】
本発明のポリ(アミノエステル)は、式(VI)、または式(VII)は1〜2000の間のジアミン単位を含有することができる。例えば、本発明のポリ(アミノエステル)は、式(VI)または式(VII)の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の単位を含有することができる。
【0160】
いくつかの態様において、ポリ(アミノエステル)はポリマー骨格中に不斉窒素を有することができる。例えば、式(I)および(III)においては、L1および/もしくはL2は、R12が窒素上の他の置換基と異なる場合、またはR13、R14および第三の置換基が相互に異なる場合、不斉窒素基を含有することができる。同様に、式(II)および式(IV)において、L1、L2およびL3の各々は、独立して、R12が窒素上の他の置換基と異なる場合、またはR13、R14および第三の置換基が相互に異なる場合、不斉窒素基を含有することができる。一般に反応性が異なる第二級アミノ基、および第一級アミノ基を有する、ポリ(アミノエステル)を調製するのに用いるジアミンモノマーは、非対称的に置換することもできる。例えば、式(VI)において、モノマーは、R12、R19およびHが相互に異なる場合、不斉窒素を有することができる。同様に、式(VII)において、モノマーは、R13、R14およびHが相互に異なる場合、不斉窒素を有することができる。Zもまた、R13、R14およびR20が相互に異なる場合、不斉窒素であり得るか、またはH、R13、R14およびR20が相互に異なる場合、不斉炭素であり得る。式(V)において、トリス(アクリレート)エステルモノマーもまた、置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の選択に依存して不斉であり得る。式(VIII)において、テトラ(アクリレート)エステルモノマーもまた、置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18の選択に依存して不斉であり得る。不斉ジアミンとトリス(アクリレート)エステルモノマーとの反応は、多数のジアステレオマー樹状単位を生じさせることができる。置換基の向きは、反応条件を調整することによって制御することができる。
【0161】
いくつかの態様において、分岐したポリ(アミノエステル)はアタクチックである。他の態様において、分岐されたポリ(アミノエステル)はアイソタクチックまたはシンジオタクチックである。さらに他の態様において、分岐したポリ(アミノエステル)はポリマー骨格に複数の不斉中心を有する。いくつかのさらなる態様において、分岐したポリ(アミノエステル)は光学的に活性である。
【0162】
本発明は、10000までの末端または樹状単位を有するポリ(アミノエステル)も提供する。好ましくは、ポリマーは、約1〜100、50〜200、150〜300、200〜500、300〜800、700〜1200、1000〜1600、1500〜2000、1〜2000、2〜2500、および1〜3000の範囲の末端または樹状単位を有することができる。いくつかの態様において、ポリ(アミノエステル)の分子量は約400g/モル〜ほぼ600,000g/モルの範囲、好ましくは、ほぼ400g/モル〜100,000g/モルの間の範囲とすることができる。
【0163】
図1は、本発明の1つの局面、およびトリス(アクリレート)エステルおよびジアミンの重合のメカニズムを示す。1つの態様において、反応は、トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)を、1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEPZ)のような第二級および第一級アミノ基を有するジアミンと反応させることによって行われる。1つの二重結合官能基および2つのアミノ基を有する(アクリレート)1(ジアミン)2タイプの中間体は、1当量のトリス(アクリレート)を2当量のジアミンと反応させることによって形成される。例えば、中間体TMPTA1-AEPZ2は反応の間に形成される。1つの態様において、中間体のさらなる重合は、内部において第二級および第三級アミン、および周辺において第一級アミンを有する超分岐したポリ(アミノエステル)を生じさせる。図1に例示されるように、末端単位が、アクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、アルカノイルクロライド、アルキルハライド、無水物、エステルまたはイソシアネートのような末端キャッピング剤と;またはジアクリレート/ジアミン、カーボンテトラアクリレート/ジアミンまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートのような線状または樹状形成モノマーのもう1つのバッチとさらに反応して、コポリマーを形成することができる未反応の元来の第一級アミノ基を有する。1つの態様において、図1は、第三級アミンおよび第二級アミンを有するリンカーを通じて、線状または樹状単位がポリマー骨格に連結され得ることを示し、低下した活性を有する第二級アミンは依然としてアクリレートと反応することができる。
【0164】
種々の市販されているアクリレートモノマーおよびジアミンモノマーを、ポリ(アミノエステル)の調製で用いることができる。適当なアクリレートモノマーは、限定されることなく、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレートペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(Mn=428、604または912)、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート(Mn=470または644)、トリス(2-(アクリロイルオキシ)エチル)イソシアノレート、カーボンテトラアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む。
【0165】
非商業的アクリレートモノマーは置換反応を用いて容易に調製することができる。いくつかの態様において、種々のトリアクリレートまたはテトラアクリレートモノマーは、各々、3つまたは4つの脱離基を有する部分を有する分子とアクリレートとを反応させることによって調製することができる。適当な脱離基は限定されることなく、ハライド、カルボキシレート、アルコキシ、アルコール、スルホニウム、アンモニウム、スルホニルおよびスルホネートを含む。例えば、炭素ベースの中心構造を有するトリアクリレートは、アクリレートのカルボキシレートをオルトエステルと反応させることによって合成することができる。中心構造を含有するケイ素を有するトリアクリレートは、アクリレートのカルボキシレートをアルキルシロキサンまたはトリハロアルキルシランと反応させることによって合成することができる。炭素ベースの中心を有するテトラアクリレートモノマーは、アクリレートのカルボキシレートのようなアクリレートを、4つの脱離基を有する分子と反応させることによって合成することができる。テトラアクリレートモノマーは、アクリレートのカルボキシレートを、シロキサンまたはテトラハロシランのような脱離基を有するシリル基と反応させることによって形成することができる。
【0166】
本発明では、式(III)および(IV)を有する化合物のような鍵となる中間体の調製および単離も考えられる。本発明は、式(III)または(IV)を有する化合物をホモ重合して超分岐したポリマーを形成する方法も提供する。該方法は、正確に制御された供給比率および分岐の数、またはポリマー骨格における分岐の度合いの利点を提供する。いくつかの態様において、式(III)を有するモノマーはトリアクリレートを2当量のジアミンと反応させることによって調製することができる。式(IV)を有するモノマーは、テトラアクリレートを3当量のジアミンと反応させることによって調製することができる。いくつかの態様において、重合は、式(III)または(IV)を有するモノマーの自己-開始重合によって行われる。他の態様において、重合は、触媒のような剤の存在下で開始させることができる。適当な剤はアミンのような塩基;またはHまたは金属イオンのような酸であり得る。いくつかのさらなる態様において、超分岐したポリマーは、式(III)および(IV)を有するモノマーの混合物を重合させることによって調製することができる。超分岐したブロックコポリマーは、式(III)および(IV)を有するモノマーの順次の重合によって調製することができる。
【0167】
ポリ(アミノエステル)を調製するのに用いることができる適当なジアミンモノマーは限定されることなく、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルエチレンジアミン、4-(アミノメチル)ピペリジン、4-アミノ-ピペリジン、3-アミノピロリジン、N-エチルエチレンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-イソプロピルエチレンジアミン、N-ヘキシルエチレンジアミン、N-ブチルエチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびN,N-ジエチルジ-エチレントリアミンを含む。
【0168】
ジアミンおよびアクリレートの種々の供給モル比を用いることができる。いくつかの態様において、トリス(アクリレートエステル)モノマーに対するジアミンモノマーのモル比は、約4:1〜約1:4;約2:1〜約1:2;および約2:1〜約1:1の範囲とすることができる。好ましい供給モル比率は、重合の間にゲル化を回避することができるものである。他の態様において、テトラ(アクリレートエステル)モノマーに対するジアミンモノマーのモル比は約6:1〜約1:6;約3:1〜約1:3;および約3:1〜約1:1の範囲とすることができる。好ましい供給モル比は、重合の間にゲル化を回避できるものである。
【0169】
反応は広い範囲の温度および圧力にわたって行うことができる。例えば、反応は約-20℃〜約100℃の間で行うことができる。好ましくは、反応は約-10℃〜約90℃の間、より好ましくは約0℃〜約80℃の間、なおより好ましくは、約10℃〜約70℃の間、なおより好ましくは20℃〜50℃の間でインキュベートする。いくつかの態様において、反応は、10時間〜24時間、1〜3日、3〜7日、5〜10日、8〜15日、12〜20日、18〜30日、25〜35日、30〜40日のような約10時間〜約40日の期間インキュベートすることができる。例えば、用いるジアミンに対するトリス(アクリレート)エステルの比率が約1:2である場合、反応は好ましくは24時間〜240時間の間、より好ましくは24〜168時間の間インキュベートする。もう1つの例において、用いるジアミンに対するテトラ(アクリレート)エステルの比率が約1:3である場合、反応は好ましくは10時間〜300時間の間、より好ましくは24〜200時間の間インキュベートする。圧力は反応系に任意で適用することもできる。
【0170】
反応は純物でまたは溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、反応は溶媒の存在下で行う。用いることができる溶媒は限定されることなく、水、有機溶媒およびそれらの組合せを含む。用いる有機溶媒は、限定されることなく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールおよびオクタノールのようなC1-8アルコール;アセトンのようなケトン;クロロホルム、ジクロロメタン、塩化メチル、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタンのような塩素化溶媒;塩素化芳香族溶媒;テトラヒドロフラン;プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのようなC3-8アルカン;トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族溶媒;グライム;ジエチルエーテルのようなエーテル;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドのようなアミド;ならびにそれらの組合せを含む。
【0171】
調製されたモノマーおよびポリ(アミノエステル)は直接用いることができるか、または使用に先立って予め精製することができる。精製は、限定されることなく、沈殿、結晶化、クロマトグラフィー、真空下での乾燥などを含めた当技術分野において公知の技術によって達成することができる。例えば、ポリ(アミノエステル)は、塩酸(HCl)のような酸を含有するアセトンのような溶媒での沈殿によって精製することができ、引き続いて、アセトンで洗浄し、次いで、真空下で乾燥することができる。本発明のポリ(アミノエステル)は、エーテルでの沈殿によって精製し、次いで、新鮮なエーテルで洗浄し、真空下で乾燥することもできる。調製されたモノマーはフラッシュクロマトグラフィーおよび/または再結晶によって精製することができる。
【0172】
いくつかの態様において、ポリ(アミノエステル)中に形成された第二級アミノ基または末端第一級アミノ基は末端キャッピング剤とさらに反応させる。末端キャッピング剤は求電子体であり得る。適当な末端キャッピング試薬は、限定されることなく、アクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、アルカノイルハライド、アロイルハライド、アルケノイルハライド、アルキルハライド、トシルハライド、メシルハライド、エステル、無水物、塩化チオニルおよびイソシアネートを含む。
【0173】
1つの局面において、ポリ(アミノエステル)中の分岐の程度は、用いるモノマーのタイプ、および反応に存在させるその関連量を変化させることによって制御することができる。例えば、過剰のトリス(アクリレートエステル)モノマーの使用は、分岐の程度を増加させることができる。いくつかの態様において、トリス(アクリレートエステル)およびジアミンのモル比率は、約1:1.5〜1:3、好ましくは約1:2に変化させることができる。テトラアクリレートおよびジアミンのモル比率は、約3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、1:1.3〜1:4、1:1.5〜1:4、1:1.5〜1:4、1:2〜1:4、1:3〜1:4、好ましくは約1:3変化させることができる。ジアミンモノマーに対するトリス(アクリレートエステル)モノマーの量の増加はポリ(アミノエステル)における分岐の程度を増加させることができるが、より長い反応時間が反応を完了させるのに必要である。もう1つの局面において、分岐の程度は、反応温度、時間および溶媒を調整することによって変化させることもできる。
【0174】
先の反応によって得られた化合物の構造は、13C NMR分光学のような多数の分析方法によって特徴付けることができる。例えば、13C NMR分光学を用いて、ポリマー骨格中の第一級アミノ基、第二級アミノ基または第三級アミノ基に連結される炭素原子の存在または非存在を同定し、および/または確認することができる。
【0175】
図2は本発明の態様を説明する。例えば、図2において、8つのピークが、1:2の供給モノマーモル比率にて、トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)および1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEPZ)の重合から調製されたポリ(アミノエステル)の13C NMRスペクトルで観察される。結果が、ポリ(アミノエステル)は、第二級および第三級アミン結合を有する樹状単位ならびに第一級および第三級アミン結合を有する末端単位を含有することを示す。例えば、42.6ppmに位置するピーク(a1)は第一級アミンに連結された炭素に対応し;43.5ppmおよび41.2ppmに位置するピーク(a2およびg2)は第二級アミンに連結された炭素に対応し;51.4ppm、52.5ppm、48.8ppm、48.8ppm、48.4ppm、48.4ppm、51.9ppmおよび51.9ppmに位置するピーク(b1、b2、C1、C2、d1、d2、e1およびe2)は第三級アミンに連結された炭素に対応する。逆ゲーテッドブロードバンドデカップルド技術(INVGATE)を用いて決定された42.6ppmおよび43.5ppmにおける2つのピークの吸収強度の比率は1:1に近い。図1は、高い分子量を有するポリ(アミノエステル)が、イン-サイチュで生じた(アクリレート)(ジアミン)2タイプ中間体の重合によって調製することができることを示す。いくつかの態様において、本発明では、モノマーとしての単離された(アクリレート)(ジアミン)2タイプの中間体を重合して、高い分子量のポリ(アミノエステル)を得ることが考えられる。
【0176】
V.生理活性組成物
本発明の分岐したポリ(アミノエステル)化合物は優れた溶解性、良好な生分解性および生体適合性の利点を有する。ユニークな超分岐した構造およびアミン基の高い密度のため、化合物は水性または有機溶媒中でかなり可溶性であって、水性溶液中で容易に分解することができる。化合物の良好な生分解性特性は、部分的には、生理学的条件下でのエステル結合の容易な加水分解に帰することができる。インビボまたはインビトロいずれかにて生理活性剤を細胞および組織に送達する際、ベクターとして用いるためには、該化合物は生体適合性であって生分解性であるのが必須である。本発明では、分岐した、樹状の、または超分岐したポリ(アミノエステル)は、非毒性モノマーを用いて生体適合性かつ生分解性の双方とすることができる。1つの局面において、アクリレートのような非毒性モノマーはポリ(アミノエステル)の調製用の出発物質として用いられる。
【0177】
種々の生理活性剤は、インビボまたはインビトロいずれかにて本発明の化合物によって送達することができる。該剤は治療、診断または予防剤であり得る。剤は、例えば、小分子、有機金属化合物、核酸、タンパク質、ペプチド、ポリヌクレオチド金属、同位体により標識された化学化合物、薬物、ワクチン、免疫学的剤等であり得る。該剤は単一の存在、化合物、または存在または化合物の組合せとして記載することができる。
【0178】
1つの態様において、生理活性剤は臨床的に有用な薬物のような薬学的活性を持つ化合物である。適当な薬物は、限定されることなく、抗生物質、抗ウィルス剤、麻酔剤、ステロイド剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、抗原、ワクチン、抗体、鬱血除去剤、抗高血圧剤、鎮静剤、避妊剤、プロゲステロン作用薬、抗コリン作動性剤、鎮痛剤、抗鬱剤、抗精神剤、利尿剤、心血管活性剤、血管活性剤、非ステロイド抗炎症剤および栄養剤を含む。
【0179】
送達すべき生理活性剤は診断またはスクリーニングで用いるための剤でもあり得る。本発明のポリ(アミノエステル)によってインビボにて送達することができる診断剤はガス、金属、陽電子放射断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影(CAT)、X線、蛍光測定法、磁気共鳴映像法(MRI)において使用される市販されている造影剤およびコントラスト剤を含む。MRIにおいてコントラスト剤として用いるための適当な材料の例はガドリニウムキレート、鉄、マグネシウム、マンガン、銅、クロムおよびそれらのキレートを含む。CATおよびX線イメージングで有用な材料の例はヨウ素ベースの材料を含む。1つの態様において、樹状ポリ(アミノエステル)は生体適合性造影剤として用いられる。
【0180】
本発明のポリ(アミノエステル)によって送達することができる予防剤は、限定されることなく、抗生物質、栄養サプリメントおよびワクチンを含む。ワクチンは単離されたタンパク質またはペプチド、不活化された生物およびウィルス、死滅した生物およびウィルス、遺伝子的に改変された生物およびウィルス、および細胞抽出物を含むことができる。
【0181】
1つの態様において、本発明のポリ(アミノエステル)によって送達されるべき生理活性剤はポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドは、限定されることなく、RNAおよびDNAを含めた任意の核酸であり得る。ポリヌクレオチドはいずれのサイズおよび配列のものであってよく、それらは一本鎖または二本鎖であってよい。ポリヌクレオチドは、例えば、1000を超える塩基対の長さであり得、または10,000よりも大きな塩基対の長さであり得る。いくつかの好ましい態様において、ポリヌクレオチドは使用に先立って精製され、汚染物を実質的に含まず、すなわち、ポリヌクレオチドは好ましくは約50%よりも大きな純度、より好ましくは約75%よりも大きな純度、なおより好ましくは約95%よりも大きな純度である。ポリヌクレオチドは当技術分野において公知のいずれの手段によって得ることもできる。具体的には、ポリヌクレオチドは組換え技術を用いて作成することができる。加えて、該ポリヌクレオチドは天然源から入手でき、天然で通常は見出される汚染成分から精製し、またはポリヌクレオチドは実験室で化学合成してもよい。例えば、ポリヌクレオチドは、標準固相化学を用いて合成される。ポリヌクレオチドは化学的または生物学的手段によって修飾して、例えば、ポリヌクレオチドの安定性を増加させることができる。ポリヌクレオチドの修飾のための方法はメチル化、リン酸化、末端キャッピングなどを含む。ポリヌクレオチドの誘導体もまた本発明で用いることができる。これらの誘導体は基剤、糖および/またはポリヌクレオチドのリン酸結合の修飾を含む。
【0182】
生理活性剤を送達するためには、本発明のポリ(アミノエステル)は送達すべき特定の剤と接触されて、複合体を形成する。生理活性剤が負の電荷を保持する場合、ポリ(アミノエステル)を生理活性剤と接触させるに先立ってポリ(アミノエステル)中の(すなわちポリ(アミノエステル)の骨格中の)窒素原子をプロトン化し、それにより、生理活性剤に存在する負の電荷と会合して、静電気引力によって複合体を形成できる正に荷電したポリ(アミノエステル)を提供するのが望ましい。または、反復単位を形成するのに用いられるモノマーを選択して、生理活性剤とで共有結合を形成するのに利用できる官能基を持つポリ(アミノエステル)を提供することができる。1つの態様において、ポリ(アミノエステル)は、生理活性剤を物理的にカプセル化することによって複合体を形成できる。もう1つの態様において、ポリ(アミノエステル)は水素結合相互作用を通じて複合体を形成することができる。
【0183】
ポリ(アミノエステル)剤複合体を修飾して、標的化剤を含めて、特定の細胞、細胞のコレクション、核または組織を標的化し、または複合体のエンドサイトーシスもしくはファゴサイトーシスを促進することができる。標的化剤は共有結合リンクを通じて本発明のポリ(アミノエステル)に結合させることができ、ある場合には、ポリ(アミノエステル)剤複合体の形成の間に加えることができる。1つの態様において、標的化剤は複合体系の表面に留まってもよい。標的化剤の例は、限定されることなく、タンパク質、ペプチド、炭水化物、糖タンパク質、脂質、小分子、抗生物質、抗体の断片、低密度リポタンパク質(LDL)、トランスフェリン、アシア糖タンパク質、HIV gp120、エンベロープタンパク質、受容体リガンド、シアル酸などを含む。
【0184】
1つの態様において、ポリ(アミノエステル)剤複合体は、ポリヌクレオチドまたはその塩を本発明のポリ(アミノエステル)と接触させることを介して形成される。この目的では、ポリ(アミノエステル)は、負に荷電したポリヌクレオチドと静電気的に相互作用するように好ましくは少なくとも部分的にプロトン化する。ポリ(アミノエステル)は、例えば、ポリ(アミノエステル)を、ポリ(アミノエステル)に存在する少なくとも第一級アミンをプロトン化するのに適したpHの水性溶液に可溶化することによってプロトン化することができる。ポリ(アミノエステル)-ポリヌクレオチド複合体はナノ-粒子を形成し、次いで、これを用いて、ポリヌクレオチドを細胞に送達することができる。ポリ(アミノエステル)-ポリヌクレオチド複合体系を用いて、送達および取り込みプロセスの間に少なくとも部分的に分解を妨げるように、ポリヌクレオチドを保護することができる。ポリヌクレオチドの骨格上の電荷を中和することによって、中性またはわずかに陽性に荷電したポリ(アミノエステル)-ポリヌクレオチド複合体は細胞の疎水性膜を容易に通過することができる。
【0185】
もう1つの局面において、前記したポリ(アミノエステル)-ポリヌクレオチド複合体を用いて、インビトロまたはインビボにて治療遺伝子を個体の細胞に送達することができる。遺伝子治療のための一般的な方法は当技術分野において公知である。例えば、参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,399,346号参照。遺伝子物質を送達するための生体適合性カプセルは、参照により本明細書に組み入れる、PCT公開WO 95/05452に記載されている。造血系細胞への遺伝子導入の方法もまた従前に報告されている(Clapp,D.W.,and et al.,Blood 1991,78,1132-1139;Anderson,Science 2000,288,627-629;およびCavazzana-Calvo and et al.,Science 2000,288,669-672参照)。DNAを、細胞-表面受容体のためにリガンドにカップリングされたポリリシンのようなカチオンに複合体化させることによって、裸のDNAを細胞に導入することができることが公知である(例えば、Wu,G,and et al J.Biol.Chem,1988,263,14621;Wilson and et al.J.Biol.Chem.1992,267,963-967;および米国特許第5,166,320号参照)。受容体へのDNA-リガンド複合体の結合は、受容体媒介エンドサイトーシスによるDNAの取り込みを容易とすることができる。エンドソームを破壊し、それにより、物質を細胞質に放出させるアデノウィルスキャプシドに連結されたDNA-リガンド複合体を用いて、細胞内リソソームによる複合体の分解を回避することができる(例えば、Curiel and et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1991,88,8850;Cristiano and et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993,90,2122-2126参照)。従って、本発明のポリ(アミノエステル)-ヌクレオチド複合体は、受容体媒介ポリヌクレオチド取り込み、ウィルス媒介トランスフェクションまたは非ウィルストランスフェクションにおいて、単独で、または標的化剤と組み合わせて用いることができる。
【0186】
本発明のポリ(アミノエステル)-ポリヌクレオチド複合体を含有する組成物は、任意で、他のトランスフェクション容易化化合物を含有することができる。多数のそのような組成物が、参照により本明細書に組み入れる、WO 93/18759、WO 93/19768、WO 94/25608、およびWO 95/02397に記載されている。それらは、核膜(例えば、WO 93/18759参照)、ならびにGALA、グラミシジンS、およびカチオン性胆汁塩のような膜浸透性化合物(例えば、WO 93/19768参照)を介してDNAの輸送を容易とするのに有用なスペルミン誘導体を含む。
【0187】
種々の態様において、本発明のポリ(アミノエステル)剤複合体は、薬学的組成物または医薬において治療的に用いて、種々の疾患を予防または治療することができる。本発明は医学的治療の方法を提供し、そこでは、治療用量のポリ(アミノエステル)-治療剤複合体を薬理学的に許容される処方にて、例えば、患者またはそれを必要とする対象に投与する。従って、本発明は、本発明のポリ(アミノエステル)と複合体化した治療的に活性な化合物、および薬理学的に許容される賦形剤または担体を含む薬学的組成物も提供する。薬学的組成物は生理学的に許容されるpHにおいて水性溶液に可溶性である。
【0188】
意図される投与の様式に依存して、薬学的組成物は、例えば、錠剤、坐薬、丸剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液、ローション、クリーム、ゲルなどのような固体、半固体または液体投与形態の形態、好ましくは正確な用量の単一投与に適した単位投与形態であってよい。組成物は、前記のように、薬学的に許容される担体と組み合わせて有効量の選択された薬物を含むことができ、加えて、他の医薬剤、薬剤、担体、補助剤、希釈剤などを含むことができる。
【0189】
インビボでの投与は非経口投与によって、例えば、標的細胞を有する組織または器官を供給する血管を通じる局所灌流を含む静脈内注射によって行うことができる。他の投与手段は、エアロゾルの吸入、皮下、腹腔内または筋肉内注射、例えば、引き続いて対象に移植される器官への移植用に調製された、骨髄細胞への直接的トランスフェクションを含むことができる。さらなる投与方法は、特に、複合体がカプセル化された場合の経口投与、または特に複合体が坐薬形態である場合の直腸投与を含むことができる。
【0190】
薬学的組成物は、典型的には、滅菌されなければならず、かつ製造および貯蔵の条件下で安定でなければならない。組成物は溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、凍結乾燥粉末、噴霧乾燥粉末、または高い薬物濃度に適した他の秩序立った構造として処方することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適当な流動性は、例えば、レクチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むのが好ましい。注射組成物の延長された吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアレート塩およびゼラチンを含めることによって行うことができる。さらに、ポリ(アミノエステル)剤複合体は、時間放出処方にて、例えば、遅延放出ポリマーを含む組成物にて投与することができる。活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む、制御放出処方のような迅速な放出に対して化合物を保護するキャリアーを用いて調製される。この目的では、限定されることなく、エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸およびポリ乳酸、ポリグリコール酸コポリマー(PLG)を含む、生分解性の生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような処方の調製のための多くの方法は特許され、または一般には当業者に公知である。
【0191】
滅菌注射用液は、必要な量のポリ(アミノエステル)剤複合体を、前記した成分の一つまたは組合せと適当な溶媒中で混合することによって調製し、必要であれば、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般には、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒体、および前記したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに配合することによって調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合には、ポリマーの好ましい調製方法は真空乾燥、凍結乾燥および噴霧乾燥であり、これは、その既に滅菌-濾過した溶液からの有効成分+任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる。本発明の別局面によると、ポリ(アミノエステル)剤複合体は、ポリ(アミノエステル)剤複合体の溶解性を増強する一つまたは複数のさらなる化合物で処方することができる。
【0192】
本発明のもう1つの局面によると、ポリ(アミノエステル)剤複合体を含む本発明の薬学的組成物が、種々の疾患の予防および/または治療のような治療的使用のためのポリ(アミノエステル)剤複合体の使用のための指示書をさらに含む容器または商業的パッケージ中にて提供することができる。
【0193】
本発明は、分岐したポリ(アミノエステル)標的化剤複合体を含む造影剤も提供する。1つの態様において、分岐したポリ(アミノエステル)化合物は標識として用いることができる。蛍光の波長および強度は、分子量、分岐の程度、および用いる溶媒を変化させることによって調整することができる。造影剤は、種々の分子量および分岐の程度を有する超分岐したポリ(アミノエステル)ホモポリマー、コポリマーまたはブレンドを含むことができる。コポリマーもしくはブレンドは、異なるアクリレート-ジアミン反復単位を有する超分岐したポリ(アミノエステル)のコポリマーもしくはブレンド、または他の線状の超分岐した分岐ポリマーを持つ超分岐したポリ(アミノエステル)のコポリマーまたはブレンドであり得る。1つの局面において、標的化剤は治療標的化剤であり得る。いくつかの態様において、標的化剤は、内皮細胞表面を含む細胞表面に発現される標的化タンパク質に対する抗体であり得る;または、標的化剤は内皮細胞表面に発現される標的化タンパク質の結合パートナーであり得る。加えて、治療的標的化剤は活性剤成分および標的化剤成分を有する剤でもあり得、標的化剤成分は、内皮細胞表面に発現された標的化タンパク質に特異的に結合する剤(例えば、内皮細胞表面に発現された標的化タンパク質に対する抗体);または内皮細胞表面に発現される標的化タンパク質の特異的結合パートナーである。これらの態様において、活性剤成分は、例えば、放射性核種;化学療法剤;免疫刺激剤;抗腫瘍薬;抗炎症剤;炎症誘発剤;プロアポトーシス剤;凝血促進剤;トキシン;抗生物質;ホルモン;酵素;タンパク質(例えば、組換えタンパク質または組換え修飾タンパク質)、キャリアータンパク質(例えば、アルブミン、修飾されたアルブミン)、溶解剤;小分子;アプタマー;修飾された細胞を含む細胞;ワクチン誘導または他の免疫細胞;ナノ粒子(例えば、アルブミンベースのナノ粒子);導入;免疫グロブリン;多価抗体;脂質;リポタンパク質;リポソーム;改変された天然リガンド;遺伝子または核酸;RNA;siRNA;ウイルスまたは非ウイルス遺伝子送達ベクター;プロドラッグ;またはプロ分子であり得る。
【0194】
もう1つの局面において、本発明は、分岐したポリ(アミノエステル)標的化剤複合体を含む造影剤を用いる方法も提供する。1つの態様において、標的化剤成分および分岐したポリ(アミノエステル)成分を含む造影剤を個体に投与する段階を含む、個体の物理的イメージングを行う方法であり、標的化剤成分は内皮細胞表面に発現される標的化タンパク質に特異的に結合する。投与に際して、標的化造影剤は(造影剤のために設計された)従来の外部検出手段によって非侵入的に可視化して、新生物における優先的または特異的蓄積を検出することができる。他の態様において、本発明では、そのような造影剤をインビボにて新生物特異的に送達し、次いで、造影剤の存在について生体標本を評価する方法が考えられ;該方法は、新生物特異的に造影剤を組織試料に送達することに関する。なお他の態様において、本発明は、そのような造影剤を新生物特異的に組織(例えば、腫瘍)試料に送達する方法を提供する。いくつかのさらなる態様において、本発明では、新形成の存在または非存在について個体を評価し、該個体に、前記した造影剤成分および標的化剤成分を含む対象となる剤を個体に投与し、次いで、対象となる剤の存在または非存在の濃度について個体を評価する方法が考えられ、ある濃度の対象となる剤の存在は新形成の存在を示す。
【0195】
従って、本発明は、関連疾患の予防、診断および/または治療のための指示書と共にポリ(アミノエステル)剤複合体または前記した組成物を含む商業的パッケージをさらに提供する。
【0196】
以下の実施例は説明のために掲げられ、限定するものではない。
【0197】
VI.実施例
材料および試薬
プラスミドDNA(pCMV-Luc)(National Institute of Infectious Diseases、東京、日本)。プラスミドDNAを大腸菌(E.coli)中で増幅させ、供給業者のプロトコル(Qiagen,Hilden,Germany)に従ってQiagenカラムによって精製し、1mg/mlの濃度のTE(Tris 10mM,EDTA 1mM)に再懸濁させ、アリコットを-20℃で貯蔵した。
【0198】
1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEPZ)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、臭化3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)およびペンタエリスリトールテトラアクリレートはAldrich(Milwaukee,WI,USA)から購入し、さらに精製することなく用いた。溶媒を含めた全ての他の材料は受け取ったまま、すなわち、さらに精製することなく用いた。
【0199】
一般的な特徴付け
1H NMR(400MHz)および13C NMR(100MHz)スペクトルはBruker DRX-400スペクトルメーターで記録した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、1.0ml/分の液速にて、溶離剤として0.5M酢酸/0.5M酢酸ナトリウムを用いて、カラム(Waters Ultrahydrogel 500 and 250)およびWaters 410屈折率ディテクターを備えたWaters 2690装置で行った。分子量はポリ(エチリレンオキサイド)標準に対してキャリブレートした。
【0200】
実施例1:重合のメカニズムおよびポリマーの構造
AEPZにおける3つのタイプのアミンの反応性の順序は、ジアクリレートとのマイケル付加重合において、20アミン(オリジナル)>10アミン>>20アミン(形成)である。AEPZをトリアクリレートとの重合で用いる場合、AEPZにおける3つのタイプのアミンの反応性の順序は、ジアクリレートとの重合で報告したものと同様である。なぜなら、トリアクリレートおよびジアクリレートは同様なビニル化学を有するからである。従って、1:2のモル比でのTMPTAおよびAEPZの重合において、反応メカニズムは図1に記載したように予測され、すなわち、まず、2モル当量の20アミン(オリジナル)はTMPTAと反応して、(アクリレート)1(アミノ)2タイプ中間体を形成し、次いで、超分岐したポリマーがインサイチューにて生じた(アクリレート)1(アミノ)2タイプ中間体の重合から得られた。13C-NMRを用いるCDCl3中で行った2当量のAEPZと1当量のTMPTAの重合のインサイチューモニタリングにより、(アクリレート)1(アミノ)2タイプ中間体の形成が確認された。図1Aに示された反応の開始において、各々、約39.1ppm、61.4ppm、53.3ppm、53.2ppm、53.8ppmおよび32.6ppmにおける新しいピークa1、b1、c1、d1、e1、およびf1の唯一の出現、および約38.9ppm、62.1ppm、55.0ppmおよび46.4ppmにおけるピークa0、b0、c0およびd0の低下した強度、ほとんどの反応性20アミン(オリジナル)はTMPTAと反応して、(アクリレート)1(アミノ)2タイプ中間体と形成したことを示す。図1Bは、重合の進行につれて、全てのAEPZモノマーは、62.1ppmにおけるピークb0のようなその特徴的な共鳴の合計消失によって示されるように消費され、(アクリレート)1(アミノ)2タイプの中間体の重合からの幾らかのオリゴマーは、各々、約46.6ppm、58.1ppm、45.5ppmおよび35.1ppmにおけるa2、b2、g2およびh2のような新しいピークによって示されるように形成されたことを示す。さらに、図1Cは高分子量を持つ超分岐したポリ(アミノエステル)は、ビニル共鳴の合計消失、および約39.1ppmおよび46.6ppmにおけるピークa1およびa2のほとんど同一の強度によって反映されるように得られたことを示す。図1に記載されたメカニズムに基づき、内部に第二級および第三級アミン、および周辺に第一級および第三級アミンを含有する超分岐したポリ(アミノエステル)を調製することができる。
【0201】
実施例2:超分岐したポリ(アミノエステル)の合成のための一般的な手法
nが3〜6の整数であるnの置換されてもよい炭素-炭素二重結合、および二重結合の各々を有するアクリレートモノマーは、アクリレート官能性のカルボニル基とコンジュゲートしている。該モノマーは溶媒に溶解され、(n-1)当量のジアミンモノマーで処理する。形成されたポリマーを収集し、真空中で乾燥する。ポリマーの構造は、種々の分析方法によって決定される。
【0202】
実施例3:超分岐したポリ(TMPTA1-AEPZ2)の合成
AEPZ(10.8ミリモル)を室温にてクロロホルム(15ml)に溶解させた。TMPTA(5.4ミリモル)を攪拌しつつ溶液に滴下し、続いて、5mlのクロロホルムで濯いだ。混合物を雰囲気温度にて約1週間撹拌した。生成物は、5mlの塩酸(10M)を含有する400mlのアセトンを用いて反応から沈殿させた。沈殿を集め、新鮮なアセトンで洗浄し、50℃にて真空中で5日間乾燥させた。
【0203】
実施例4:超分岐したポリ(アミノエステル)の特徴付け
GPCによって測定して2.32の広い分子量分布指標を持つ19100g/モルの平均分子量を有する水溶性ポリ(アミノエステル)が得られた。
【0204】
13C NMR分光学を行って、化合物の構造を確認した。図2に示すように、生成物は、c2と共にc1、d2と共にd1およびe2と共にe1の炭素の同様な化学的環境のため、各々、42.6ppmに位置したピーク(a1)を持つ第一級アミンに連結された1つのタイプの炭素、各々、43.5ppmおよび40.3ppmに位置したピーク(a2およびg2)を持つ第二のアミンに連結された2つのタイプの炭素、および48.4ppm(d1+d2)、48.8ppm(C1+C2)、51.4ppm(b1)、51.9ppm(e1+e2)、52.5ppm(b2)における5つのピークのみによって反映されるような、第三級アミンに連結された8つのタイプの炭素を有する。これらの結果は、内部に第二級および第三級アミン、および(図2に示すように)周辺に第一級および第三級アミンを有するポリ(アミノエステル)は首尾よく調製されたことを示す。
【0205】
分岐の程度(DB)は、超分岐したポリマーの構造的特徴付けのための最も重要なパラメーターの1つである。ポリ(TMPTA1-AEPZ2)のDBは、出発モノマーとして(アクリレート)1(アミノ)2タイプの中間体を取ることによって評価し、末端、線状、および樹状単位を図3に示す。しかしながら、図3に定義される末端、線状および樹状単位の間の構造的差は1Hまたは13C NMRを用いて明瞭に区別できず、従って、この定義によるDBは測定するのが困難であった。
【0206】
実施例5:超分岐したポリ(アミノエステル)の生分解性実験
ポリ(TMPTA1-AEPZ2)を分解性についてテストした。図4は水性溶液中のポリ(TMPTA1-AEPZ2)の1H NMRスペクトルを示す。エステル基の加水分解に際して、トリメチロールプロパン中のα炭素に結合したプロトンに帰属されるピークは4.2ppm程度から3.5ppm程度にシフトした。しかしながら、トリメチロールプロパン中のメチル基に結合したプロトンに帰属されるピークはポリ(TMPTA1-AEPZ2)の加水分解の間は0.9ppmで変化しなかった。従って、加水分解の程度は、4.2ppmおよび0.9ppmにおける2つのピークの積分強度(I4.2/I0.9)の比率の変化によってモニターすることができる。結果は、エステル結合の約12%が11日以内に分解したことを示した。同様の生分解もまたポリ(PETA1-AEPZ3)化合物で観察される。
【0207】
実施例6:超分岐したポリ(PETA1-AEPZ3)の合成および特徴付け
超分岐したポリ(PETA1-AEPZ3)は、前記実施例3に記載したのと同様な手法を用いて合成される。反応は、3当量のジアミンモノマーのペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)溶液への滴下によって行われる。反応は室温にて、または40℃〜80℃の間のような上昇した温度で行われる。形成されたポリマーはアセトンのような溶媒中で沈殿させ、真空中で乾燥することができる。ポリマーの構造は13C NMR分光測定によって特徴付けられる。ポリ(TMPTA1-AEPZ2)と同様な共鳴がポリ(PETA1-AEPZ3)化合物について観察される。分子量はGPCによって測定され、これは100000g/モル〜1000000g/モルの範囲にある。
【0208】
実施例7:TMPTA1-AEPZ2モノマーの合成および単離
モノマーTMPTA1-AEPZ2は、シリンジポンプを用いる1週間に渡るクロロホルム中のTMPTAの希薄溶液へのAEPZのゆっくりとした添加によって合成した。形成されたTMPTA1-AEPZ2は、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーまたは再結晶を用いて単離される。化合物はNMRおよびIR分光測定によって特徴付けられる。1H、13C NMRおよび質量分析からのデータにより、TMPTA1-AEPZ2モノマーの形成が確認される。
【0209】
実施例8:PETA1-AEPZ3モノマーの合成
PETA1-AEPZ3は、実施例7においてTMPTA1-AEPZ2の調製について記載された同様な手法に従って、合成し単離する。化合物の構造はNMRおよび質量分析によって特徴付ける。
【0210】
実施例9:TMPTA1-AEPZ2の重合を介する超分岐したポリ(TMPTA1-AEPZ2)の合成
TMPTA1-AEPZ2の重合は、TMPTA1-AEPZ2モノマーをクロロホルムのような溶媒に溶解させ、室温にて約1週間撹拌することによって行う。ポリマーはアセトンのような溶媒への沈殿によって単離され、真空中で乾燥される。ポリマーはNMR分光測定によって特徴付けられ、分子量はGPCを用いて測定される。
【0211】
実施例10:PETA1-AEPZ3の重合
重合は実施例9に記載された手法に従って同様に行われる。得られるポリマーをアセトン中への沈殿によって単離し、真空中で乾燥する。該材料はNMRおよびIR分光測定によってさらに特徴付けられる。
【0212】
実施例11:DNA/ポリ(アミノエステル)複合体の形成および分析
プラスミドDNA(pRE-Luc)を、渦巻かせつつ、5%グルコース中の選択された濃度(通常0.5〜2.0μg/μl)まで希釈した。5%グルコース中のポリ(TMPTA1-AEPZ2)の0.1M溶液の種々の量をDNA溶液にゆっくりと加えた。ポリ(TMPTA1-AEPZ2)の量はポリ(TMPTA1-AEPZ2)DNAの選択された重量比に基づいて計算した。溶液を温和に渦巻かせつつ雰囲気温度にて30分間インキュベートした後、ポリ(TMPTA1-AEPZ2)/DNA複合体が形成された。複合体を負荷緩衝液と混合し、臭化エチジウムを含有する1%アガロースゲルに負荷した。ゲル電気泳動は、80VのHEPES緩衝液(20mM、pH=7.2)中にて室温で60分間行った。DNAバンドはUV(254nm)イリュミネーターによって可視化した。同様に、5%グルコース中のポリ(PETA1-AEPZ3)の0.1M溶液のDNA溶液へのゆっくりとした添加によって、ポリ(PETA1-AEPZ3)/DNAが形成される。
【0213】
実施例12:DNA移動の遅延に対する重量比の効果
ポリ(TMPTA1-AEPZ2)中の全ての第一級、第二級および第三級アミンは生理学的pHにおいてプロトン化された形態にあり、ポリ(アミノエステル)が負に荷電したDNAと相互作用することを可能とした。図5におけるアガロースゲル電気泳動の結果は、ポリ(TMPTA1-AEPZ2)/DNAの重量比が1.5:1よりも高い場合に、DNAの移動が完全に遅延されたことを示す。ポリ(PETA1-AEPZ3)複合体は同様な効果を示す。
【0214】
実施例13:ポリ(アミノエステル)/DNA複合体の寸法および形状に対する重量比の効果
図6は、ポリ(TMPTA1-AEPZ2)およびDNAが、1:5を超えるDNA/ポリマー比率において50〜150nmの範囲の直径を有する複合体を形成できることを示す。結果は、1/5を超える比率で形成された複合体がエンドサイトーシスを介して細胞に効果的に入ることができることを示唆する。粒子サイズのデータは、やはり、図7に示されたξ-ポテンシャルのそれと合致する。一般に、複合体は、電荷の中性が達成され、凝集が起こるにつれて最大の直径に到達できる。図7は、粒子が5/1を超えるポリマー/DNAにおいて+30〜+50mVの範囲の限定された値に近づくにつれ、電荷の中性が0.5および1の間のポリマー/DNA比率およびξ-ポテンシャルで起こり、これは、凝集の防止によって小さなサイズの粒子の形成に導いたことを示す。同様な傾向はポリ(PETA1-AEPZ3)/DNA複合体で観察される。
【0215】
実施例14:ポリ(アミノエステル)細胞傷害性アッセイ
293細胞を、10% FCSを補ったDMEM中にて、37℃、10% CO2、および95%相対的湿度で培養した。細胞生存率アッセイでは、ポリマー溶液を血清補足組織培養基中で調製した。調製物のオズモル、およびpHはルーチン的に測定し、例えば、pHおよびオズモルは、各々、7.4および280-320mosm/kgに調整した。細胞(10,000細胞/ウェル)を96-ウェルマイクロタイタープレート(Nunc,Wiesbaden,Germany)に蒔いた。一晩のインキュベーションの後、培養基をポリマーの100μl系列希釈で置き換えた細胞をさらに12時間インキュベートした。次いで、ポリマー抽出物と共に培地を吸引し、血清を含まない100μl DMEMによって交換して、タンパク質およびポリマーの荷電した部位の間の凝集体形成の変化を最小化し、その後、臭化3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)アッセイを付け加えた。リン酸緩衝化セーライン(PBS)中の滅菌濾過したMTT(20μl、5mg/ml)ストック溶液を各ウェルに加えて、0.5mg/mlの最終MTT濃度に到達させた。4時間の後、未反応の色素を吸引によって除去した。ホルマザン結晶を100μl/ウェル DMSO(BDH laboratory Supplies, England)に溶解させ、570nmの波長において、ELISAリーダー(Model550,Bio-Rad)にて分光光度法により測定した。分光光度計を、細胞を含まない培養基を用いて0の吸光度にキャリブレートした。ポリマーを含まない細胞培養基を含有する対照細胞に対する相対的細胞成長(%)を[A]テスト/[A]対照×100によって計算した。同様な低い細胞傷害性がポリ(PETA1-AEPZ3)においても観察される。
【0216】
実施例15:ポリ(アミノエステル)およびPEI細胞傷害性の比較
図8は、細胞傷害性アッセイの結果を示す。ポリ(TMPTA1-AEPZ2)は、150μg/mlのポリマー濃度までは細胞生存率に対して効果を有さない。比較において、DNAの送達のための最も効果的なポリマーの1つである。ポリ(エチレンイミン)(PEI)(25K)は、40μg/mlポリマー濃度において有意な減少した細胞生存率によって反映されるように明らかな毒性を示す。ポリ(PETA1-AEPZ3)化合物を用いて、細胞傷害性アッセイも行う。実験データは、ポリ(PETA1-AEPZ3)化合物が、200μg/mlのポリマー濃度までは細胞生存率に対して効果を有さないことを示す。
【0217】
実施例16:超分岐したポリ(アミノエステル)の細胞トランスフェクション効率
ポリ(アミノエステル)のインビトロトランスフェクション効率は、ポリ(TMPTA1-AEPZ2)およびpCAG-Luc DNAおよびポリ(PETA1-AEPZ3)/pCAG-Luc DNAで形成された複合体を用いて293細胞において評価した。0.5mlの完全培地を含むウェル当たり5×104の密度にて、24-ウェルプレート(Becton-Dickinson,Lincoln Park,N.J)へのトランスフェクションに24時間先立って細胞を蒔いた。トランフェクションの時点において、各ウェル中の培地を500μlの無血清DMEMで交換した。2μg/ウェルのDNA用量での種々のw/w(またはN/P)を持つポリマー/DNA複合体(100μl)を各ウェルに落とし、細胞と共に37℃にて4時間インキュベートした。培地を0.5mlの新鮮な完全培地で置き換え、細胞をさらに48時間インキュベートした。インキュベーションの後、培地を吸い出し、ウェルを0.3ml 1×PBSで洗浄し、細胞を200μlの細胞溶解緩衝液(1×)(Promega Co.,Wis.)で浸透化させた。複合体を-78℃にて20分間冷却し、次いで、室温に戻し、-78℃にて20分間再度冷却し、室温に戻し、0.6mlのチューブに収集した。遠心分離(4℃において15000/5分)の後に、テストのために試料を用意した。細胞抽出物におけるルシフェラーゼ活性を、単一-ウェルのルミノメーター(Berthold Lumat LB 9507,Germany)にてルシフェラーゼアッセイキット(Promega Co.,Madison,Wis.)を用いて10秒間測定した。光単位(LU)を細胞抽出物におけるタンパク質濃度に対して正規化し、これは、タンパク質アッセイキット(Bio-Rad Labs,Hercules,California)を用いて測定した。高いトランスフェクション効率がポリ(PETA1-AEPZ3)/DNA複合体においても観察される。
【0218】
実施例17:ポリ(アミノエステル)のトランスフェクション効率に対する重量比率の効果
図9は、ポリマーおよびDNAの異なる重量比率からなる複合体についての結果を呈する。ポリ(TMPTA1-AEPZ2)は、20:1のポリマー/DNA重量比における最高のトランスフェクション効率を生じ、これは、ポリ(エチレンイミン)(PEI)(25k)を使用する対照実験の約70%であった。ポリ(TMPTA1-AEPZ2)について測定された非最適化トランスフェクション効率が、エンドソームからのDNAベクターの放出を容易とすることを介してインビトロトランスフェクションを増強させる通常に使用される弱塩基であるクロロキノンの非存在下で得られた。ポリ(TMPTA1-AEPZ2)の高いトランスフェクション効率は、恐らくは、リン酸基とのイオン相互作用を介してDNAとで複合体を形成するのに参画する存在する第一級アミン、およびエンドソームからのDNAの放出を容易とする同時に存在する第二級アミンおよび第三級アミンからの緩衝液の能力によるものである。高いトランスフェクション効率のポリ(PETA1-AEPZ3)でも観察される。
【0219】
実施例18:超分岐したポリ(アミノエステル)の蛍光発光
超分岐したポリ(TMPTA1-AEPZ2)-HCl(30mg)を、7.5mg/ml(w/V)の濃度にて、脱イオン水(4ml)に溶解させた。溶液を室温にて2時間振盪させ、続いて、NaOH溶液(1.0M)を用いてpHを7に調整した。無色溶液は365nmのUV光によって照射させた場合、青色ルミネセンスを呈する。ポリ(PETA1-AEPZ3)はまたUV-vis吸収を有し、UV光によって励起した場合、より強い蛍光発光さえ呈する。種々の分子量および分岐の程度を有するポリ(アミノエステル)の蛍光特性も調べる。
【0220】
図10は、ポリ(TMPTA1-AEPZ2)のような超分岐したポリ(アミノエステル)の励起および発光蛍光スペクトルを共に示す。ポリ(アミノエステル)は366nmにおける励起バンド、460nmにおける発光バンドを表す。
【0221】
本明細書において記載された実施例および態様は説明目的だけのものであって、その観点から種々の修飾または変形は当業者に示唆され、本出願の精神および目的、および添付の特許請求の範囲内に含まれるべきことは理解される。本明細書において引用した全ての刊行物、特許、特許出願は全ての目的で参照により本明細書にその全体を組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)のようなトリス(アクリレートエステル)モノマーと、1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEPZ)のようなジアミンモノマーとのマイケル付加重合のメカニズムの模式図である。図1A〜Cは、1:2の供給モル比、および20%(w/v)のモノマー濃度でのTMPTAおよびAEPZの重合につき、CDCl3中で室温にてインサイチューで記録した13C-NMRスペクトルである。反応時間は、各々、図1A、図1B、および図1Cに示すように0.4時間、11.8時間および197.0時間である。
【図2】TMPTAおよびAEPZを反応させることによって形成されたプロトン化樹状ポリ(アミノエステル)の13C-NMRスペクトルを示す。
【図3】(TMPTA)(AEPZ)2中間体を出発モノマーとして用いて、重合を行う場合に形成される超分岐したポリ(アミノエステル)(ポリ(TMPTA1-AEPZ2))の末端、線状および樹状単位の構造を示す。
【図4】各々、図4Aおよび図4Bに示すように、a)1時間;およびb)11日間水中でインキュベートした後における、(ポリ(TMPTA1-AEPZ2))のようなプロトン化ポリ(アミノエステル)の1H-NMRスペクトルを示す。
【図5】超分岐したポリ(TMPTA1-AEPZ2)を用いるpRE-Luc DNAのアガロースゲル電気泳動遅延の結果を示す。各レーン数は、異なるDNA/ポリマー重量比に対応する。例えば、レーン1、比率=1:0(DNAのみ);レーン2、比率=1:0.6;レーン3、比率=1:0.8;レーン4、比率=1:1;レーン5、比率=1:1.5;レーン6、比率=1:2;レーン7、比率=1:3;およびレーン8、比率=1:4。
【図6】異なるw/w比率でのポリ(TMPTA1-AEPZ2)/DNA(pCMV-Luc)複合体の平均有効直径のグラフ表示を示す。
【図7】異なるw/w比率でのポリ(ポリ(TMPTA1-AEPZ2)/DNA(pCMV-Luc))の平均ξ-ポテンシャルのグラフ表示を示す。
【図8】HEK293細胞における、PEI(MW=25kDa)での超分岐したポリ(TMPTA1-AEPZ2)の細胞傷害性プロフィールのグラフ比較を示す。
【図9】最適条件下、PEI(MW=25kDa)媒介トランスフェクションでの、293細胞における超分岐したポリ(TMPTA1-AEPZ2)/DNA複合体のトランスフェクション効率のグラフ比較を示す。
【図10】pH=7における超分岐したポリ(TMPTA1-AEPZ2)試料の発光および励起スペクトルを共に示す。試料は366nmにおいて照射する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分岐を含むポリマー骨格を有する分岐したポリ(アミノエステル)化合物であって、該ポリマー骨格は少なくとも1つの第二級アミン結合、少なくとも1つの第三級アミン結合および少なくとも3つのエステル結合を有する、分岐したポリ(アミノエステル)化合物。
【請求項2】
エステル結合の少なくとも1つが第三級アミン結合に連結される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記式を有する、分岐したポリ(アミノエステル)化合物:

式中、xは1〜約10,000の間の整数であり;
R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
L1およびL2の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、各R12は、独立して、H、ヒドロカルビル、ヒドロキシルおよびチオヒドロキシルからなる群より選択され、ならびにR13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、およびR10、R11、R13およびR14の各々は、独立して、そのいずれも、任意で、N、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR12は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することはできず;
Y1はN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリルおよび金属からなる群より選択され;
AはH、NH2、ヒドロカルビル、シリル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリール、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノからなる群より選択され;ならびに
B1およびB2の各々は、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択される。
【請求項4】
Aがモルホリニル、置換されてもよいピペラジニル、置換されてもよいピペリジニル、置換されてもよいアゼチジニルおよび置換されてもよいピロリジニルからなる群より選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
xが1〜約2000の整数である、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
約1〜約4の間の多分散度を有する、請求項3記載の化合物。
【請求項7】
各L1およびL2が、独立して、NR12であり;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々が、独立して、Hおよびアルキルからなる群より選択され;R1、R2およびR3の各々が、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R10およびR11の各々が、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;ならびに
Y1が(アルキレン)3CRc、(アルキレン)3SiRcおよび(アルキレン)3N、トリフェニレンおよびトリフェニレンメチレンからなる群より選択され、各Rcは独立してアルキルまたはアリールである、請求項3記載の化合物。
【請求項8】
Y1が(C1-8アルキレン)3CRc、(C1-8アルキレン)3SiRcおよび(C1-8アルキレン)3Nからなる群より選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Y1が(CH2)3CRc、(CH2)3SiRcおよび(CH2)3Nからなる群より選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々がHであり;ならびにY1が(CH2)3CRcである、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
Y1が(CH2)3CCH2CH3である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々がHであり;R1、R2およびR3がHまたはC1-C8アルキルであり;各R10およびR11が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;ならびにY1が(アルキレン)3CCH2CH3、(アルキレン)3SiCH2CH3、(アルキレン)3N、トリフェニレンおよびトリフェニレンメチレンからなる群より選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項13】
L1がNR12であり、L2がN(-R13-)(-R14-)Zであり;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々が、独立して、Hおよびアルキルからなる群より選択され;
R1、R2およびR3の各々が、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R10、R11、R13およびR14の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;
ZがN、CH、またはC(C1-30アルキル)であり;ならびに
Y1が(アルキレン)3CRc、(アルキレン)3SiRc、(アルキレン)3N、トリフェニレンおよびトリフェニレンメチレンからなる群より選択され、各Rcが、独立して、アルキルまたはアリールである、請求項3記載の化合物。
【請求項14】
Y1が(C1-8アルキレン)3CRc、(C1-8アルキレン)3SiRcおよび(C1-8アルキレン)3Nからなる群より選択される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
Y1が(CH2)3CRc、(CH2)3SiRcおよび(CH2)3Nからなる群より選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9がHであり;ならびにY1が(CH2)3CRcである、請求項14記載の化合物。
【請求項17】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9がHであり;R1、R2およびR3がHまたはC1-C8アルキルであり;R10およびR11の各々が置換されてもよいC1-30アルキレンであり、およびY1が(アルキレン)3CCH2CH3、(アルキレン)3SiCH2CH3および(アルキレン)3N、トリフェニレンおよびトリフェニレンメチレンからなる群より選択される、請求項13記載の化合物。
【請求項18】
L1およびL2の各々が、独立して、N(-R13-)(-R14-)Zであり;R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々が、独立して、Hおよびアルキルからなる群より選択され;R1、R2およびR3の各々が、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R10、R11、R13およびR14の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;ZがN、CH、およびC(C1-30アルキル)からなる群より選択され;ならびにY1が(アルキレン)3CRc、(アルキレン)3SiRc、(アルキレン)3N、トリフェニレンおよびトリフェニレンメチレンからなる群より選択され、Rcがアルキルまたはアリール基である、請求項3記載の化合物。
【請求項19】
Y1が(C1-8アルキレン)3CRc、(C1-8アルキレン)3SiRcおよび(C1-8アルキレン)3Nからなる群より選択される、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
Y1が(CH2)3CRc、(CH2)3SiRcおよび(CH2)3Nからなる群より選択される、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9がHであり、Y1が(CH2)3CRcである、請求項19記載の化合物。
【請求項22】
Y1が(CH2)3CCH2CH3である、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9がHであり;R1、R2およびR3がHまたはC1-C8アルキルであり;R10およびR11の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり、Y1が(アルキレン)3CCH2CH3、(アルキレン)3SiCH2CH3、および(アルキレン)3N、トリフェニレンおよびトリフェニレンメチレンからなる群より選択される、請求項18記載の化合物。
【請求項24】
R1、R2、R3およびR4、R5、R6、R7、R8およびR9がHであり;R10、R11、R13およびR14の各々が、独立して、CH2CH2であり;ZがNであり;A、B1およびB2がHであり;ならびにY1が(アルキレン)3CRcであり、Rcはアルキルまたはアリールである、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
xが1〜約2000の整数であり;およびY1が(CH2)3CCH2CH3である、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
xが1である、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
約500g/モル〜約600,000g/モルの間の数分子量を有する、請求項3記載の化合物。
【請求項28】
下記式を有する、分岐したポリ(アミノエステル)化合物:

式中、xは独立して1〜約10,000の間の整数であり;
R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
L1、L2およびL3の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、各R12は独立してヒドロカルビル、ヒドロキシルおよびチオヒドロキシルからなる群より選択され、ならびにR13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、R10、R11、R13、R14およびR17の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R12、R15、R16およびR18は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートした炭素-炭素二重結合を有することができず;
Y2はC、シリル、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノ、テトラ-N,N-ジアリールアミノ、テトラへテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、ヘテロアリーレンおよび金属からなる群より選択され;
AはH、NH2、ヒドロカルビル、シリル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリール、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノからなる群より選択され;
B1、B2およびB3の各々は、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択される。
【請求項29】
Aがモルホリニル、置換されてもよいピペラジニル、置換されてもよいピペリジニル、置換されてもよいアゼチジニルおよび置換されてもよいピロリジニルからなる群より選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項30】
xが1〜約2000の整数である、請求項3記載の化合物。
【請求項31】
約1〜約5の間の多分散度を有する、請求項28記載の化合物。
【請求項32】
L1、L2およびL3の各々が、独立して、NR12であり;各R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18が独立してHおよびアルキルからなる群より選択され;R1、R2、R3およびR18の各々が、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項33】
Y2がC、Si、テトラアルキルおよびテトラアリーレンからなる群より選択される、請求項32記載の化合物。
【請求項34】
Y2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHである、請求項33記載の化合物。
【請求項36】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;R1、R2およびR3の各々が、独立して、HおよびC1-C8アルキルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり、Y2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項32記載の化合物。
【請求項37】
各L1が独立してNR12であり、L2およびL3の各々が、独立して、N(-R13-)(-R14-)Zであり;各R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18が、独立して、Hおよびアルキルからなる群より選択され;R1、R2、R3およびR18の各々が、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項38】
Y2がC、Si、テトラアルキルおよびテトラアリーレンからなる群より選択される、請求項37記載の化合物。
【請求項39】
Y2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項38記載の化合物。
【請求項40】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり、Y2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項38記載の化合物。
【請求項41】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;R1、R2、R3およびR18の各々がHおよびC1-8アルキルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり、ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項37記載の化合物。
【請求項42】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;R10、R11、R13、R14およびR17がCH2CH2であり;ZがNであり;Y2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項41記載の化合物。
【請求項43】
L1およびL2の各々が、独立して、NR12であり、L3が、独立して、N(-R13-)(-R14-)Zであり;R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18の各々が、独立して、Hおよびアルキルからなる群より選択され;R1、R2、R3およびR18の各々が、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項44】
Y2がC、Si、テトラアルキルおよびテトラアリーレンからなる群より選択される、請求項43記載の化合物。
【請求項45】
Y2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項44記載の化合物。
【請求項46】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;ならびにY2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項44記載の化合物。
【請求項47】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;R1、R2、R3およびR18の各々が、独立して、HおよびC1-8アルキルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり、ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項43記載の化合物。
【請求項48】
L1、L2およびL3の各々が、独立して、N(-R13-)(-R14-)Zであり;各R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18が、独立して、Hおよびアルキルからなる群より選択され;R1、R2、R3およびR18の各々が、独立して、Hおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり;ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項49】
Y2がC、Si、テトラアルキルおよびテトラアリーレンからなる群より選択される、請求項48記載の化合物。
【請求項50】
Y2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項49記載の化合物。
【請求項51】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;ならびにY2がCおよびSiからなる群より選択される、請求項49記載の化合物。
【請求項52】
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;R1、R2、R3およびR18の各々が、独立して、HおよびC1-C8アルキルからなる群より選択され;R10、R11およびR17の各々が、独立して、置換されてもよいC1-30アルキレンであり、ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノおよびテトラ-N,N-ジアリールアミノからなる群より選択される、請求項48記載の化合物。
【請求項53】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18がHであり;R13、R14、R10、R11およびR17がCH2CH2であり;ZがNであり;xが1〜約2000の整数であり;ならびにY2がC、Si、(CH2)4Cおよび(CH2)Siからなる群より選択される、請求項52記載の化合物。
【請求項54】
xが1である、請求項53記載の化合物。
【請求項55】
約500g/モル〜約600,000g/モルの間の分子量を有する、請求項28記載の化合物。
【請求項56】
式:

を有するアクリレートモノマーを以下からなる群より選択される式を有するジアミンモノマーと反応させる段階を含む、分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法:

式中、R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R12はヒドロカルビル、ヒドロキシルおよびチオヒドロキシルからなる群より選択され;
R13、R14、R19およびR20の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;
Y1はN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、および金属からなる群より選択され;ならびに
Zは独立してN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N、N-ジアルキルアミノ、トリス-N、N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、RaおよびRbの各々は、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR12は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することはできない。
【請求項57】
末端キャッピング剤と反応させる工程をさらに含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
末端キャッピング剤が求電子体である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
末端キャッピング剤が求核体である、請求項57記載の方法。
【請求項60】
アクリレートモノマーおよびジアミンが約4:1〜約1:4の範囲のモル比で存在する、請求項56記載の方法。
【請求項61】
アクリレートモノマーおよびジアミンが約1:2のモル比で存在する、請求項60記載の方法。
【請求項62】
反応工程が溶媒の存在下で行われる、請求項56記載の方法。
【請求項63】
溶媒が水、テトラヒドロフラン、ケトン、エーテル、アルコール、ジメチルスルホキシド、アミド、塩素化溶媒、C4-8炭化水素溶媒およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項62記載の方法。
【請求項64】
反応工程が約-20℃〜約100℃の間の温度で行われる、請求項56記載の方法。
【請求項65】
反応工程が約10℃〜約70℃の間の温度で行われる、請求項64記載の方法。
【請求項66】
反応工程が約20℃〜約50℃の間の温度で行われる、請求項65記載の方法。
【請求項67】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9がH、ジューテリウム、トリチウムまたはCH3であり;ならびにY1がN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリルおよび金属からなる群より選択される、請求項56記載の方法。
【請求項68】
Y1が(CH2)3CRc、(CH2)3SiRcおよび(CH2)3Nからなる群より選択され、各Rcがアルキルまたはアリールである、請求項67記載の方法。
【請求項69】
アクリレートモノマーがトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールプロポキシレート、(1PO/OH)トリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレートおよびトリス-(2-(アクリロイルオキシ)エチル)イソシアヌレートからなる群より選択される、請求項67記載の方法。
【請求項70】
アクリレートモノマーがトリメチロールプロパントリアクリレートである、請求項69記載の方法。
【請求項71】
ジアミンモノマーが下記式を有する、請求項56記載の方法:

式中、R12はヒドロカルビルであり;ならびに
R19は、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、置換されてもよいC1-30アルキレンおよび置換されてもよいC3-8シクロアルキレンからなる群より選択される。
【請求項72】
ジアミンモノマーが下記式を有する、請求項56記載の方法:

式中、R13、R14およびR20の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;ならびに
ZはN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、RaおよびRbの各々は、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成する。
【請求項73】
R13、R14およびR20がCH2CH2であり;ならびにZがNである、請求項72記載の方法。
【請求項74】
R13、R14およびR20がCH2CH2であり;ならびにZがCHである、請求項72記載の方法。
【請求項75】
ジアミンが1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルエチレンジアミン、4-(アミノメチル)ピペリジン、4-アミノピペリジン、3-アミノピロリジン、N-エチルエチレンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-イソプロピルエチレンジアミン、N-ヘキシルエチレンジアミン、N-ブチルエチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンおよびN,N-ジエチルジエチレントリアミンからなる群より選択される、請求項72記載の方法。
【請求項76】
ジアミンが1-(2-アミノエチル)ピペラジンである、請求項75記載の方法。
【請求項77】
アクリレートモノマーがトリメチロールプロパントリアクリレートであり;およびジアミンモノマーが1-(2-アミノエチル)ピペラジンである、請求項56記載の方法。
【請求項78】
下記式を有するモノマーをホモ重合する段階を含む、分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法:

式中、R1、R2およびR3の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
L1およびL2の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、R13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、各R5は独立してヒドロカルビル、ヒドロキシルおよびチオヒドロキシルからなる群より選択され;R13、R14、R10およびR11の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することができず;ならびに
Y1はN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリルおよび金属からなる群より選択される。
【請求項79】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9、R11がH、ジューテリウムおよびトリチウムからなる群より選択され;R10およびR11がCH2CH2であり;ならびにL1およびL2がN(-CH2CH2-)(-CH2CH2-)NCH2CH2NHである、請求項78記載の方法。
【請求項80】
末端キャッピング剤と反応させる工程をさらに含む、請求項78記載の方法。
【請求項81】
末端キャッピング剤が求電子体である、請求項80記載の方法。
【請求項82】
末端キャッピング剤が求核体である、請求項80記載の方法。
【請求項83】
反応工程が溶媒の存在下で行われる、請求項78記載の方法。
【請求項84】
溶媒が水、テトラヒドロフラン、ケトン、エーテル、アルコール、ジメチルスルホキシド、アミド、塩素化溶媒、C4-8炭化水素溶媒およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項83記載の方法。
【請求項85】
反応工程が約-20℃〜約100℃の間の温度で行われる、請求項78記載の方法。
【請求項86】
反応工程が約10℃〜約70℃の間の温度で行われる、請求項85記載の方法。
【請求項87】
反応工程が約20℃〜約50℃の間の温度で行われる、請求項86記載の方法。
【請求項88】
下記式を有するモノマーをホモ重合する段階を含む、分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法:

式中、xは独立して1〜約10,000の間の整数であり;
R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
L1、L2およびL3の各々は、独立して、NR12およびN(-R13-)(-R14-)Zからなる群より選択され、各R12は独立してヒドロカルビル、ヒドロキシルおよびチオヒドロキシルからなる群より選択され、ならびにR13およびR14の各々はNおよびZに結合して環状構造を形成し、R10、R11、R13、R14およびR17の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;ならびに各Zは、独立して、N、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリス-N,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R12、R15、R16およびR18は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することができず;
Y2はC、シリル、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノ、テトラ-N,N-ジアリールアミノ、テトラへテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、ヘテロアリーレンおよび金属からなる群より選択され;
AはH、NH2、ヒドロカルビル、シリル、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリール、ジアルキルアミノおよびジアリールアミノからなる群より選択され;
B1、B2およびB3の各々は、独立して、Hまたはヒドロカルビルである。
【請求項89】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R12、R15、R16およびR18がH、ジューテリウムおよびトリチウムからなる群より選択され;R10、R11およびR17がCH2CH2であり;L1、L2およびL3がN(-CH2CH2-)(-CH2CH2-)NCH2CH2NHであり;ならびにY2がC、Si、(CH2)4Cおよび(CH2)4Siからなる群より選択される、請求項88記載の方法。
【請求項90】
末端キャッピング剤と反応させる工程をさらに含む、請求項88記載の方法。
【請求項91】
末端キャッピング剤が求電子体である、請求項90記載の方法。
【請求項92】
末端キャッピング剤が求核体である、請求項90記載の方法。
【請求項93】
反応工程が溶媒の存在下で行われる、請求項88記載の方法。
【請求項94】
溶媒が水、テトラヒドロフラン、ケトン、エーテル、アルコール、ジメチルスルホキシド、アミド、塩素化溶媒、C4-8炭化水素溶媒およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項93記載の方法。
【請求項95】
反応工程が約-20℃〜約100℃の間の温度で行われる、請求項88記載の方法。
【請求項96】
反応工程が約10℃〜約70℃の間の温度で行われる、請求項95記載の方法。
【請求項97】
反応工程が約20℃〜約50℃の間の温度で行われる、請求項96記載の方法。
【請求項98】
式:

を有するアクリレートモノマーを、以下からなる群より選択される式を有するジアミンモノマーと反応させる段階を含む、分岐したポリ(アミノエステル)を調製する方法:

式中、R1、R2、R3およびR18の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウム、ヒドロキシル、チオヒドロキシルおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15およびR16の各々は、独立して、水素、ジューテリウム、トリチウムおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R12は、独立して、ヒドロカルビル、ヒドロキシルおよびチオヒドロキシルからなる群より選択され;
R13、R14、R19およびR20の各々は、独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、オキソ、-S-、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;
Y2はC、シリル、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノ、テトラ-N,N-ジアリールアミノ、テトラへテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、ヘテロアリーレンおよび金属からなる群より選択され;ならびに
ZはN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、トリアリーレン、ヘテロアリーレン、トリシクロアルキレン、トリヘテロシクロアルキレン、トリスN,N-ジアルキルアミノ、トリス-N,N-ジアリールアミノ、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbは、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成し、但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R12、R15、R16およびR18は第一級アミノ基、第二級アミノ基、またはカルボニル基にコンジュゲートされた炭素-炭素二重結合を有することができない。
【請求項99】
末端キャッピング剤と反応させる工程をさらに含む、請求項98記載の方法。
【請求項100】
末端キャッピング剤が求電子体である、請求項99記載の方法。
【請求項101】
末端キャッピング剤が求核体である、請求項99記載の方法。
【請求項102】
アクリレートモノマーおよびジアミンが約4:1〜約1:4の範囲のモル比で存在する、請求項98記載の方法。
【請求項103】
アクリレートモノマーおよびジアミンが約1:2のモル比で存在する、請求項102記載の方法。
【請求項104】
反応工程が溶媒の存在下で行われる、請求項98記載の方法。
【請求項105】
溶媒が水、テトラヒドロフラン、ケトン、エーテル、アルコール、ジメチルスルホキシド、アミド、塩素化溶媒、C4-8炭化水素溶媒およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項104記載の方法。
【請求項106】
反応工程が約-20℃〜約100℃の間の温度で行われる、請求項98記載の方法。
【請求項107】
反応工程が約10℃〜約70℃の間の温度で行われる、請求項106記載の方法。
【請求項108】
反応工程が約20℃〜約50℃の間の温度で行われる、請求項107記載の方法。
【請求項109】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R15、R16およびR18の各々が、独立して、H、ジューテリウム、トリチウムおよびCH3からなる群より選択され;ならびにY2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレン、テトラ-N,N-ジアルキルアミノ、テトラ-N,N-ジアリールアミノ、テトラヘテロアルキレン、テトラシクロアルキレン、ヘテロアリーレンおよび金属からなる群より選択される、請求項98記載の方法。
【請求項110】
Y2がC、Si、テトラアルキル、テトラアリーレンおよび金属からなる群より選択される、請求項109記載の方法。
【請求項111】
アクリレートモノマーがカーボンテトラアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートからなる群より選択される、請求項110記載の方法。
【請求項112】
ジアミンモノマーが下記式を有する、請求項98記載の方法:

式中、R12はヒドロカルビルであり;ならびに
R19は、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、置換されてもよいC1-30アルキレンおよび置換されてもよいC3-8シクロアルキレンからなる群より選択される。
【請求項113】
ジアミンモノマーが下記式を有する、請求項98記載の方法:

式中、R13、R14およびR20の各々は独立して、そのいずれも任意でN、OおよびSからなる群より選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、置換されてもよいC1-30アルキレン、置換されてもよいC2-30アルケニレン、置換されてもよいC2-30アルキニレン、置換されてもよいC3-8シクロアルキレンおよび置換されてもよいC6-18アリーレンからなる群より選択され;ならびに
ZはN、CH、C-ヒドロカルビル、トリアルキル、シリル、金属およびC(RaRb)からなる群より選択され、各RaおよびRbの各々は、独立して、共有結合、Hもしくはヒドロカルビルであるか、またはC接合と一緒になって4-〜12-員の炭素環または複素環を形成する。
【請求項114】
ジアミンが1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルエチレンジアミン、4-(アミノメチル)ピペリジン、4-アミノピペリジン、3-アミノピロリジン、N-エチルエチレンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-イソプロピルエチレンジアミン、N-ヘキシルエチレンジアミン、N-ブチルエチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンおよびN,N-ジエチルジエチレントリアミンからなる群より選択される、請求項98記載の方法。
【請求項115】
ジアミンが1-(2-アミノエチル)ピペラジンである、請求項114記載の方法。
【請求項116】
アクリレートモノマーがペンタエリスリトールテトラアクリレートであり;およびジアミンモノマーが1-(2-アミノエチル)ピペラジンである、請求項98記載の方法。
【請求項117】
生理活性剤および請求項1〜55のいずれか一項記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項118】
生理活性剤および請求項25または53記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項119】
生理活性剤および請求項56〜115のいずれか一項記載の方法によって調製された化合物を含む薬学的組成物。
【請求項120】
生理活性剤および請求項77、89または116のいずれか一項記載の方法によって調製された化合物を含む薬学的組成物。
【請求項121】
生理活性剤が正味の負の電荷を有するか、または電気的に中性である、請求項117記載の組成物。
【請求項122】
生理活性剤が正味の負の電荷を有するか、または電気的に中性である、請求項119記載の組成物。
【請求項123】
生理活性剤がDNA分子、RNA分子、タンパク質および薬物からなる群より選択される、請求項117記載の組成物。
【請求項124】
生理活性剤がDNA分子、RNA分子、タンパク質および薬物からなる群より選択される、請求項119記載の組成物。
【請求項125】
生理活性剤がDNA分子、RNA分子、タンパク質および薬物からなる群より選択される、請求項117記載の組成物。
【請求項126】
生理活性剤がDNA分子、RNA分子、タンパク質および薬物からなる群より選択される、請求項119記載の組成物。
【請求項127】
生理活性剤がDNA分子またはRNA分子である、請求項123記載の組成物。
【請求項128】
生理活性剤がDNAである、請求項123記載の組成物。
【請求項129】
生理活性剤がタンパク質である、請求項123記載の組成物。
【請求項130】
生理活性剤が薬物である、請求項123記載の組成物。
【請求項131】
薬物が抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔剤、ステロイド剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、抗原、ワクチン、抗体、鬱血除去剤、降圧薬、鎮静剤、避妊剤、プロゲステロン作用薬、抗コリン作動性剤、鎮痛剤、抗鬱剤、抗精神剤、利尿剤、心血管活性剤、血管活性剤、非ステロイド抗炎症剤および栄養剤からなる群より選択される、請求項130記載の組成物。
【請求項132】
凍結乾燥された形態である、請求項117記載の薬学的組成物。
【請求項133】
凍結乾燥された形態である、請求項119記載の薬学的組成物。
【請求項134】
噴霧乾燥された形態である、請求項117記載の薬学的組成物。
【請求項135】
噴霧乾燥された形態である、請求項119記載の薬学的組成物。
【請求項136】
凍結乾燥された形態である、請求項118記載の薬学的組成物。
【請求項137】
凍結乾燥された形態である、請求項120記載の薬学的組成物。
【請求項138】
噴霧乾燥された形態である、請求項118記載の薬学的組成物。
【請求項139】
噴霧乾燥された形態である、請求項120記載の薬学的組成物。
【請求項140】
請求項1〜55のいずれか一項記載の分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態を生理活性剤と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、薬学的組成物を調製する方法。
【請求項141】
生理活性剤が正味の負の電荷を有するか、または電気的に中性である、請求項140記載の方法。
【請求項142】
生理活性剤がDNA分子、RNA分子、タンパク質および薬物からなる群より選択される、請求項140記載の方法。
【請求項143】
生理活性剤がDNA分子またはRNA分子である、請求項142記載の方法。
【請求項144】
生理活性剤がDNAである、請求項142記載の方法。
【請求項145】
生理活性剤がタンパク質である、請求項142記載の方法。
【請求項146】
生理活性剤が薬物である、請求項142記載の方法。
【請求項147】
薬物が抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔剤、ステロイド剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、抗原、ワクチン、抗体、鬱血除去剤、降圧薬、鎮静剤、避妊剤、プロゲステロン作用薬、抗コリン作動性剤、鎮痛剤、抗鬱剤、抗精神剤、利尿剤、心血管活性剤、血管活性剤、非ステロイド抗炎症剤および栄養剤からなる群より選択される、請求項146記載の方法。
【請求項148】
混合物を凍結乾燥する段階をさらに含む、請求項140記載の方法。
【請求項149】
混合物を噴霧乾燥する段階をさらに含む、請求項140記載の方法。
【請求項150】
請求項25または53記載の分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態を生理活性剤と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、薬学的組成物を調製する方法。
【請求項151】
請求項56〜115のいずれか一項の方法に従って調製された分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態を生理活性剤と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、薬学的組成物を調製する方法。
【請求項152】
生理活性剤が正味の負の電荷を有するか、または電気的に中性である、請求項151記載の方法。
【請求項153】
生理活性剤がDNA分子、RNA分子、タンパク質および薬物からなる群より選択される、請求項151記載の方法。
【請求項154】
生理活性剤がDNA分子またはRNA分子である、請求項153記載の方法。
【請求項155】
生理活性剤がDNAである、請求項153記載の方法。
【請求項156】
生理活性剤がタンパク質である、請求項153記載の方法。
【請求項157】
生理活性剤が薬物である、請求項153記載の方法。
【請求項158】
薬物が抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔剤、ステロイド剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、抗原、ワクチン、抗体、鬱血除去剤、降圧薬、鎮静剤、避妊剤、プロゲステロン作用薬、抗コリン作動性剤、鎮痛剤、抗鬱剤、抗精神剤、利尿剤、心血管活性剤、血管活性剤、非ステロイド抗炎症剤および栄養剤からなる群より選択される、請求項157記載の方法。
【請求項159】
混合物を凍結乾燥する段階をさらに含む、請求項151記載の方法。
【請求項160】
混合物を噴霧乾燥する段階をさらに含む、請求項151記載の方法。
【請求項161】
請求項77、89または116に定義するように、分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態を生理活性剤と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、薬学的組成物を調製する方法。
【請求項162】
請求項1〜55のいずれか一項記載の化合物もしくはその塩と複合体化されたDNA分子またはその塩を含む、細胞をトランスフェクトするための組成物。
【請求項163】
化合物がプロトン化された形態である、請求項162記載の組成物。
【請求項164】
請求項25または53記載の化合物もしくはその塩と複合体化されたDNA分子またはその塩を含む、細胞をトランスフェクトするための組成物。
【請求項165】
細胞を請求項162記載の組成物と接触させる段階を含む、細胞をトランスフェクトする方法。
【請求項166】
細胞を請求項163記載の組成物と接触させる段階を含む、細胞をトランスフェクトする方法。
【請求項167】
細胞を請求項164記載の組成物と接触させる段階を含む、細胞をトランスフェクトする方法。
【請求項168】
請求項56〜115のいずれか一項記載の方法によって調製された化合物もしくはその塩と複合体化されたDNA分子またはその塩を含む、細胞をトランスフェクトするための組成物。
【請求項169】
化合物がプロトン化形態である、請求項168記載の組成物。
【請求項170】
請求項77、89または116のいずれか一項記載の方法によって調製された化合物もしくはその塩と複合体化されたDNA分子またはその塩を含む、細胞をトランスフェクトするための組成物。
【請求項171】
細胞を請求項168記載の組成物と接触させる段階を含む、細胞をトランスフェクトする方法。
【請求項172】
細胞を請求項169記載の組成物と接触させる段階を含む、細胞をトランスフェクトする方法。
【請求項173】
細胞を請求項170記載の組成物と接触させる段階を含む、細胞をトランスフェクトする方法。
【請求項174】
DNA分子またはその塩、および請求項1〜55のいずれか一項記載の化合物またはその塩を含み、該化合物はプロトン化された形態であり、正味の正の電荷を保持する、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物。
【請求項175】
請求項1〜55のいずれか一項記載の分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態をDNA分子またはその塩と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物を調製する方法。
【請求項176】
治療的有効量の請求項174記載の組成物をそれを必要とする対象に投与する段階を含む、遺伝子治療を用いて疾患を治療する方法。
【請求項177】
DNA分子またはその塩、および請求項25または53記載の化合物またはその塩を含み、該化合物はプロトン化形態であり、正味の正の電荷を保持する、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物。
【請求項178】
請求項25または53記載の分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態をDNA分子またはその塩と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物を調製する方法。
【請求項179】
治療的有効量の請求項177記載の組成物をそれを必要とする対象に投与する段階を含む、遺伝子治療を用いて疾患を治療する方法。
【請求項180】
DNA分子またはその塩、および請求項56〜115のいずれか一項記載の方法によって調製された化合物またはその塩を含み、該化合物はプロトン化形態であり、正味の正の電荷を保持する、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物。
【請求項181】
請求項56〜115のいずれか一項記載の方法によって調製された分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態をDNA分子またはその塩と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物を調製する方法。
【請求項182】
治療的有効量の請求項180記載の組成物を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、遺伝子治療を用いて疾患を治療する方法。
【請求項183】
DNA分子またはその塩、および請求項77、89または116のいずれか一項記載の方法に従う化合物またはその塩を含み、該化合物はプロトン化形態であり、正味の正の電荷を保持する、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物。
【請求項184】
請求項77、89または116のいずれか一項記載の方法によって調製された分岐したポリ(アミノエステル)化合物を水性緩衝液に可溶化して、該化合物のプロトン化形態を得る段階;および
該化合物の該プロトン化形態をDNA分子またはその塩と混合して混合物を生じさせる段階;
を含む、遺伝子治療を必要とする患者を治療するための薬学的組成物を調製する方法。
【請求項185】
治療的有効量の請求項183記載の組成物を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、遺伝子治療を用いて疾患を治療する方法。
【請求項186】
請求項1〜55のいずれか一項記載の化合物を含む、イメージング用の組成物。
【請求項187】
請求項56〜115のいずれか一項記載の方法によって調製された化合物を含む、イメージング用の組成物。
【請求項188】
請求項25または53記載の化合物を含む、イメージング用の組成物。
【請求項189】
請求項77、89または116のいずれか一項記載の方法に従う化合物を含む、イメージング用の組成物。
【請求項190】
造影剤の調製における、請求項186記載の組成物の使用。
【請求項191】
造影剤の調製における、請求項187記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−539299(P2008−539299A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508806(P2008−508806)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000109
【国際公開番号】WO2006/118547
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506425505)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (21)
【氏名又は名称原語表記】AGENCY FOR SCIENCE, TECHNOLOGY AND RESEARCH
【住所又は居所原語表記】20 Biopolis Way #07−01, Centros, Singapore 138668, Singapore
【Fターム(参考)】