説明

超広角二回転軸構造

【課題】電子装置に異なる角度の回転を行わせることができる二回転軸構造の提供。
【解決手段】連接片、抵抗回転軸及びカム回転軸で構成された二回転軸構造により、電子装置の第1機体と第2機体を連結し、使用者が自己の習慣により、回転して一般のノートブック型コンピュータの操作状態となすか、或いは、回転して背中合わせの操作状態となすことができ、これにより使用者が手に保持するか或いは卓上に置いて入力操作するのに便利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の超広角二回転軸構造に係り、特に、電子装置に異なる角度の回転を行わせる二回転軸構造であって、使用者が手で持つか或いは卓上に置いて入力操作を行える超広角二回転軸構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータはポータブルの方向に発展し、各メーカーは携行していつでもどこでも操作できるコンピュータを進めており、電力の持久力と演算性能は考慮しなくてはならず、これは半導体メーカーによる省エネの装置の開発と、電池メーカーによる高容量のバッテリーの電池の開発に依存する。しかし、場所の制限を受けないメカニズムはシステム設計業者の設計に依存し、現行のノートブック型コンピュータは二つ折り式の機体を採用し、その一方はディスプレイとされ、もう一方の期待にはキーボードが設けられ、二つ折り方式により、両者が展開される時は、略垂直とされ、卓上に置いて使用するのに便利である。しかし手で保持して操作するのには不利である。手に保持して操作をするための方法としては、フラットパネルコンピュータが主流であり、いわゆるフラットパネルコンピュータはスクリーンがコンピュータ本体上面に設計され、使用者はコンピュータを片手で保持し、もう一方の手でタッチペンでスクリーン上で機能をクリックするか、或いは内容を書写する。
【0003】
フラットパネルコンピュータは手で保持して操作できるが、多くのコンピュータの重要な作業は文字入力に関係し、フラットパネルコンピュータはタッチペンによる書写方式が主要な入力方法であり、このような入力方法はキーボードによる入力に比べて緩慢で手間取り、携帯の便利性の面では大きな進歩があるものの、入力の便利性の面では却って後退している。ゆえに、フラットパネルコンピュータは特殊な用途、例えば医者による病室巡回、棚卸し等、選択項目を選択するだけでよく、文字入力が比較的少ない用途に制限される。
【0004】
フラットパネルコンピュータのなかには入力の問題を解決するため、タッチスクリーン上に扇形のキーボード表を設計し、使用者が両手でコンピュータを保持し、両手の親指で押圧動作を行えるものとしている。しかし、両手でコンピュータを保持しているため、親指の移動範囲は制限され、さらに、親指は本来、器用ではないため、操作速度は一般の実体キーボードに遥かに及ばない。
【0005】
別の設計は、スライド式の実体キーボードであり、大量の文字入力が必要であるとき、内部に内蔵された実体コンピュータを滑り出させて使用できる。しかし、この方法はタッチスクリーン上のタッチモードのキーボードと同様、親指以外の手指でコンピュータを保持しつつ、親指で操作しなければならず、手で保持する部分はキーボードとされ、さらにスクリーンからキーボードが延長された後、コンピュータの重心は両手の外にかかり、使用者は保持するのに苦労し且つ長く保持することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の問題を解決しようとすれば、キーとスクリーンを背中合わせとし、スクリーン中にキーボード表を表示する方式により、背向するキーに対応し、並びにキーにタッチセンサを設置し、目でスクリーン上に示されるキーボード表を通して、背後のキーの分布状況及び手指位置を判断すれば、親指以外の全ての手指によりキーボードを操作できる。
【0007】
しかし、このような全く新しい操作インタフェース及び方法は、使用者に対して接触上の障礙を形成し得て、使用者は最初に使用する時、慣れていないために、購入意欲或いは使用意欲を喪失してしまう恐れがある。このため、もし、使用者に伝統的なノートブック型コンピュータの操作方式を含む二種類の使用方式の選択を提供できれば、大幅に使用者の抵抗感を低減できるであろう。この伝統的なノートブック型コンピュータの使用方式では、図1に示されるように、スクリーン91の展開可能な角度θ1は約90度であり、キーボード921は本体92の上方に置かれ、このような操作方式の長所はすでに使用者の習慣になっており、障礙がないことであり、その欠点は台の上でなければ使用できないことである。
【0008】
周知の技術の欠点を鑑み、上述の問題を解決するためには、スクリーンは超広角の回転可能であり、且つその回転角度は少なくとも270度以上でなければならず、それによって親指以外の手指でキーエリアの一面を保持する時、スクリーンが使用者に対面し、また本体とスクリーンが閉じあわされる時の総夾角が90度より大きくてはならない。ゆえに、このような機能を可能とする構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一種の超広角二回転軸構造を提供し、それは、連接片、抵抗回転軸及びカム回転軸で構成された二回転軸構造により、電子装置の第1機体と第2機体を連結し、使用者が自己の習慣により、回転して一般のノートブック型コンピュータの操作状態となすか、或いは、回転して背中合わせの操作状態となすことができ、これにより使用者が手に保持するか或いは卓上に置いて入力操作するのに便利である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二回転軸構造により、使用者に二種類の使用方式の選択を提供でき、そのうち一種類は、伝統的なノートブック型コンピュータの使用方式であり、もう一種類はスクリーンを270度以上回転させてキーボードとスクリーンに背中合わせの状態を形成させ、これにより使用者が新しい操作インタフェースの使用に慣れる時間を短縮する。これにより本発明は実用性と進歩性を有し、周知の技術にあった欠点を解決するのに有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図2から図6に示されるように、本発明は連接片1、抵抗回転軸2及びカム回転軸3で構成され、電子装置Aに取り付けられて、電子装置Aの第1機体4と第2機体5を連結し、該第1機体4上にスクリーン41が設けられ、該第2機体5に少なくとも一つのキーエリア51が設けられ、該キーエリア51はタッチキーとされ得る。
【0012】
該連接片1は、該抵抗回転軸2に接続されて該抵抗回転軸2の位置を制限する第1制限孔11と、該カム回転軸3に接続されて該カム回転軸3の位置を制限する第2制限孔12を具え、これら第1制限孔11と第2制限孔12は非円形の貫通孔とされる。
【0013】
該抵抗回転軸2は、その一端が固定軸22とされ、該固定軸22は該連接片1に固定され、該抵抗回転軸2の別端は可動の軸スリーブ21とされ、該軸スリーブ21の一側に少なくとも一つのネジ止め孔211が設けられて、該第1機体4の一側端へのネジ止めに供され、該軸スリーブ21の別側に軸孔212が設けられ、該固定軸22の軸221が該軸孔212に挿入され、且つ該固定軸22の一側に制限部222が設けられ、該制限部222は該連接片1の第1制限孔11内に接続、制限される。
【0014】
該カム回転軸3は、その一端が該連接片1に接続、制限され、並びにその軸31が固定片32、第1ブロック33、第2ブロック34及びバネ35に通され、さらにナット36が螺合される。
【0015】
そのうち、該軸31は、該連接片1の第2制限孔12に通され、その一端にネジ部311が設けられ、該軸31は多角形部312を具え、それにより該連接片1の第2制限孔12に制限され、並びに該連接片1と協動する。
【0016】
該固定片32は第1片321と該第1片321と直角を呈するように接続された第2片322を具え、該第1片321に貫通孔3211と位置決め孔3212を具え、第2片322は該第2機体5の一側端にネジ止めされる。
【0017】
該第1ブロック33は、該軸31を通すための円形穿孔331を具え、該第1ブロック33の一側面に第1カム作用面332が設けられ、もう一つの側面334に係止柱335が設けられ、該係止柱335は該固定片32の位置決め孔3212中に係合する。
【0018】
該第2ブロック34は矩形穿孔341を具え、該矩形穿孔341に該軸31が通され並びにそれと協動し、該第2ブロック34の一側面に第2カム作用面342が設けられて、該第1ブロック33の第1カム作用面332と相互に噛み合う。
【0019】
該バネ35は、常態で該第2ブロック34を押圧している。
【0020】
該ナット36は、該軸31のネジ部311に螺合され、並びに上述の各部品を制限し、且つ該バネ35の該第2ブロック34を押圧する弾力の大きさを調整でき、これにより該第2ブロック34が回転する時、抵抗力を形成し、且つ該抵抗力は該抵抗回転軸2の回転時の抵抗より大きい。
【0021】
上述の部品で構成されることで、本発明は使用者に二種類の操作方式の選択を提供する。その操作方式の一つは、伝統的なノートブック型コンピュータと同様で、その回転の最大角度は180度であり(図6、7、8参照)、回転時にはまず、第1機体4を開き、並びに該抵抗回転軸2の固定軸22を利用し、それを回転時の軸とし、すなわち、第1段の回転の軸とし、該抵抗回転軸2の軸スリーブ21は回転可能であり、該固定軸22は固定されて不動であるため、該第1機体4は0〜180度の間で自由に回転し(その回転角度は90度から130度が最適である)、これにより使用者はノートブック型コンピュータと同様の使用方式で該第2機体5のキーエリア51を操作するか、或いは該第1機体4上のスクリーン41をみることができる。もう一種類の操作方式は、該第1機体4を270度以上開き、第1機体4と第2機体5に背中合わせの状態を形成させ(図9、10、11)、回転時にはまず該第1機体4を回転させ、並びに該抵抗回転軸2の固定軸22を軸とし、該第1機体4を180度回転させた後、続いて下向きに回転させ、この回転の力は該バネ35が該第2ブロック34を押圧する力より大きく、これにより回転の軸を軸31とすることができ、すなわち、第2段の回転の軸となし並びに該軸31と該第2ブロック34を協動させる(図11)。該第2ブロック34はその第2カム作用面342が該第1カム作用面332と接触し、最も突出する点hの位置まで移動可能で、該第1機体4は該カム回転軸3を軸とし、続いて約180度回転可能で、ゆえにその前後回転の角度は少なくとも270度から360度となり、これにより該第1機体4と第2機体5が背中合わせの状態を呈し、使用者はフラットパネルコンピュータのような使用方式で、手で該第1機体4、第2機体5を保持して入力操作を行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】周知の携帯式電子装置の使用表示図である。
【図2】本発明の実施例の立体図である。
【図3】本発明の立体図である。
【図4】本発明の立体分解図である。
【図5】本発明の断面図である。
【図6】本発明の実施例の動作表示図一である。
【図7】本発明の実施例の動作表示図二である。
【図8】本発明の実施例の断面図一である。
【図9】本発明の実施例の動作表示図三である。
【図10】本発明の実施例の動作表示図四である。
【図11】本発明の実施例の断面図二である。
【符号の説明】
【0023】
1 連接片
2 抵抗回転軸
3 カム回転軸
A 電子装置
4 第1機体
5 第2機体
41 スクリーン
51 キーエリア
11 第1制限孔
12 第2制限孔
22 固定軸
21 軸スリーブ
211 ネジ止め孔
212 軸孔
222 制限部
31 軸
32 固定片
33 第1ブロック
34 第2ブロック
35 バネ
36 ナット
311 ネジ部
312 多角形部
321 第1片
322 第2片
3211 貫通孔
3212 位置決め孔
331 円形穿孔
332 第1カム作用面
334 側面
335 係止柱
341 矩形穿孔
342 第2カム作用面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超広角二回転軸構造において、該超広角二回転軸構造は連接片、抵抗回転軸、及びカム回転軸で構成され、
該連接片は、該抵抗回転軸と接続されそれを制限する第1制限孔と、該カム回転軸と接続されてそれを制限する第2制限孔を具え、
該抵抗回転軸は、その一端が固定軸とされ、該固定軸は該連接片に固定され、該抵抗回転軸の別端は可動の軸スリーブとされ、
該カム回転軸は、その一端が該連接片に接続、制限され、並びにその軸が固定片、第1ブロック、第2ブロック及びバネに通され、さらにナットが螺合され、
該抵抗回転軸が第1段回転の軸とされ、回転してノートブック型コンピュータのような使用形態とでき、さらに該カム回転軸を第2段回転の軸とし、回転してフラットパネルコンピュータのような背中合わせの使用形態とできることを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項2】
請求項1記載の超広角二回転軸構造において、該超広角二回転軸構造は電子装置に取り付けられて、第1機体と第2機体を連接することを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項3】
請求項2記載の超広角二回転軸構造において、該第1機体にスクリーンが設けられ、該第2機体に少なくとも一つのキーエリアが設けられたことを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項4】
請求項1又は2記載の超広角二回転軸構造において、該軸スリーブの別側に、電子装置の第1機体の一側端にネジ止めするための少なくとも一つのネジ止め孔が設けられたことを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項5】
請求項1又は2記載の超広角二回転軸構造において、該固定片は電子装置の第2機体の一側端にネジ止めされることを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項6】
請求項1又は2記載の超広角二回転軸構造において、該固定片は第1片と該第1片に直角に接続された第2片を具え、該第2片は第2機体の一側端にネジ止めされることを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項7】
請求項1記載の超広角二回転軸構造において、該第1制限孔と第2制限孔が非円形の貫通孔とされたことを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項8】
請求項1記載の超広角二回転軸構造において、該軸スリーブが軸孔を具え、該固定軸の軸が該軸孔内に挿入されることを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項9】
請求項1記載の超広角二回転軸構造において、該軸が該連接片の該第2制限孔に通され、該軸の一端にネジ部が設けられ、該軸に多角形部が設けられ、該多角形部が該連接片の該第2制限孔に接続、制限され、該連接片と協動することを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項10】
請求項1記載の超広角二回転軸構造において、該第1ブロックの一側面に第1カム作用面が設けられたことを特徴とする、超広角二回転軸構造。
【請求項11】
請求項1記載の超広角二回転軸構造において、該第2ブロックの一側面に第2カム作用面が設けられたことを特徴とする、超広角二回転軸構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−222077(P2009−222077A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64324(P2008−64324)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(593061064)怡利電子工業股▲ふん▼有限公司 (18)
【Fターム(参考)】