超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法
本発明は、タングステン化合物とコバルト化合物を原材料として経済的に優れた超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末(Ultra−fine WC−Co Composite powder)を製造するための方法に関し、詳しくは、タングステン化合物とコバルト化合物、そして粒子成長抑制剤化合物及び酸化物を機械的方法により混合する工程と、混合した粉末のアンモニアと水分を除去して酸化物に形成するためのか焼工程と、か焼された酸化物粉末を純粋金属粉末に製造するための還元工程と、還元された金属複合粉末に炭素ソースを添加する混合工程と、混合した粉末を最終形態であるタングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造するための浸炭工程とからなる製造方法を提供する。本発明の製造方法を用いると、0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.4μmの超微粒の粒子サイズと結合相が均一に混合された高硬度・高靭性の高特性を有する超微粒超硬合金複合粉末を製造することができ、特に、タングステン化合物とコバルト化合物を用いた化合物の価格競争力と工程の単純化を通じた経済的な利点を以てタングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末(Ultra−fine WC−Co Composite powder)を製造するための方法に関する。より詳しくは、タングステン化合物とコバルト化合物を乾式混合後、一定の反応温度、ガス雰囲気でか焼、還元、浸炭工程を順次経て超微粒超硬合金粉末を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タングステンカーバイド−コバルト複合粉末は、硬度が高く耐磨耗性に優れ、切削工具、耐摩耗工具、耐衝撃工具及び金型素材などに広く用いられている。また、タングステンカーバイド(WC)のように、粒子が超微粒化するに伴い、高硬度及び耐摩耗の特性を有し、また、Co結合相の役目のために他の切削材料よりも高い靱性の機械的特性を有する。
【0003】
現在、工業的に量産されているタングステンカーバイド(WC)複合粉末の製造方法は、タングステン鉱石から抽出されたタングステン酸(H2WO4)、アンモニウムパラタングステン酸塩(APT、Ammonium para−tungstate)をか焼、還元して製造されたタングステン粉末をボールミリング工程により適当なサイズに粉砕してから、ここにさらに炭素粉末を混合して1400℃以上の高温で炭化させることによりタングステンカーバイド(WC)を製造する。これを商業的な製品にするために結合金属であるコバルト粉末(Co powder)を湿式ボールミリング過程を通じて混合して切削工具を含む各種工具を製造する。
【0004】
しかし、前記製造方法は、高温合成によりWCの粒子が粗大になるか、Co粉末の添加時にミリング工程を長時間にわたって行わなければならない問題点がある。また、この工程法は、還元及び浸炭工程が高温で行なわれるため、超微粒粉末の製造が不可能である。
【0005】
このような従来の方法を改善しようとする試みとして、韓国公開特許公報第1998−0083671号と第2001−0113364号のメカノケミカル法(Mechanochemical Process)に関するものがある。この方法を詳しく説明すると、タングステン塩であるAMT((NH4)6(H2W12O40)・4H2O)とコバルト塩(CO(NO3)2・6H2O)、そして粒子成長抑制剤としてV、Cr、Taの塩であるアンモニウムメタバナデート(AMV)、クロム硝酸塩(Cr−nitrate)、タンタリウムクロライド(Ta−Chloride)のような水溶性塩を水に溶解させて目的組成に合うように溶液を製造した後、これを噴霧乾燥器にて乾燥して均一前駆体を生成する。前記均一前駆体は、大気中で塩と水分を除去する塩除去工程を経て製造された均一なタングステン−コバルト酸化物が製造され、これを還元及び浸炭して超微粒超硬合金複合粉末を製造する方法である。この方法は、超微粒化したナノスケールの複合粉末を製造することができるが、水溶性塩の相対的に高い価格と溶液製造及び噴霧乾燥の工程が添加される短所がある。
【0006】
他の方法として、韓国公開特許公報第2003−0024174号においては、タングステン酸化物(WO3)とコバルト酸化物(Co3O4)をアトリター(attritor)で湿式ミリングした後、熱処理炉にて水素と高価のメタンガスを用いて還元と浸炭を同時に行うことにより超微粒超硬粉末を製造した。しかし、この工程は、アトリターを通じた湿式粉砕が少なくとも30時間以上の長時間所要されるだけでなく、後で乾燥工程が追加されるため、効率性及び経済性の面で根本的な問題点を抱えている。さらに、未粉砕工程では0.3μm級の超微粒粉末の製造が不可能であると知られている。また、水素、メタン、水素ガスを順次投入して還元と浸炭を同時に行うことにより製造された粉末品質の炭素含量の調節による特性安定化及び設備量産化の問題点を抱えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、上述したような既存のタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法が有している問題点を解決し、経済的に優れかつ特性に優れた工具素材用超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法を提供することにその目的がある。
【0008】
上記のような目的を達成するために、本発明は、タングステン化合物、コバルト化合物、そして場合によっては、粒子成長抑制剤化合物を乾式混合機を用いて混合する第1混合工程と、混合した粉末のアンモニアと水分を除去して酸化物に形成するためのか焼工程と、か焼された粉末を純粋金属粉末に製造するための還元工程と、還元された粉末に炭素ソースと、場合によっては粒子成長抑制剤を添加してミリングする第2混合工程と、混合した粉末を最終形態に製造するための浸炭工程とからなる超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法を提供する。
【0009】
前記製造方法は、図1の工程流れ図に分かりやすく図示されている。
【0010】
以下、本発明の製造方法をより詳しく説明する。
【0011】
本発明に用いられる原材料のうちタングステンの原材料は、か焼、還元工程を経て基本的にタングステンを製造することができる成分が含まれているアンモニウムパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)、タングステン酸(H2WO4)、アンモニウムメタタングステン酸(AMT:(NH4)6(H2W12O40)・4H2O)のようなタングステン化合物である。
【0012】
コバルトの原材料は、か焼、還元工程を経て基本的にコバルトを製造することができる成分が含まれているコバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、酢酸コバルト(Co・(CH3COO)2・4H2O))、コバルトスルフェート(CoO4S・7H2O)のようなコバルト化合物を用いることができる。
【0013】
一方、粒子成長抑制剤(Inhibitor)は、第1混合工程で用いられ得るのは、五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、三酸化クロム(Cr2O3)、酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、ニオビウムクロライド(NbCl5)、五酸化ニオビウム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2)、チタニウムクロライド(TiCl2)、タンタリウムクロライド(TaCl5)のような金属化合物及び酸化物である。
【0014】
前記粒子成長抑制剤は一つ又は二つ以上を混合して用いても構わない。
【0015】
前記のようなタングステン化合物、コバルト化合物、場合によっては粒子成長抑制剤をWC−2〜25wt%Co−0.1〜3wt%粒子成長抑制剤の目的組成で用意し、混合機(mixer)を用いて10〜180分混合する(第1混合工程)。
【0016】
この際、10分未満の時間の間混合すると、混合度が完全に行なわれずAPTとCo化合物の色分離が起きる。180分以上混合すると、混合時間が増加するに伴い混合機内で粉末間に吸着が現われる。
【0017】
前記第1混合工程での機械的混合方法に用いられる混合機は、無重力混合機、Vミキサー(V−mixer)、Yミキサー(Y−mixer)、ボールミリング(Ball milling)、ダブルコーンミキサー(Double cone mixer)、三次元混合機、スーパーミキサー(Super mixer)のうちいずれか一つを選択して用いることができる。
【0018】
第1混合工程において粒子成長抑制剤を添加することもできる。また、この工程で粒子成長抑制剤を添加せずに、後工程の混合工程において添加することもできる。
【0019】
混合が終わると、混合した粉末を熱処理炉にて500〜1000℃、10〜240分、大気雰囲気条件でか焼することによりタングステン酸化物とコバルト酸化物が混合された複合粉末を形成する。
【0020】
この際、500℃未満ではか焼が完全に行なわれず、1000℃を超えると酸化物1次粒子が不均一に成長するようになるため、か焼温度は500〜1000℃である。1000℃のか焼条件時に10分で反応が完了し、500℃では240分で反応が完了する。
【0021】
上記でか焼された粉末を熱処理炉にて500〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気で還元することによりタングステンとコバルト金属が混合された粉末を形成する。還元温度、反応時間、水素流量の条件により最終超硬合金複合粉末のサイズを0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.4μmの粒度に調節することができる。
【0022】
この際、500℃未満では還元反応が完全に起きず、1000℃を超えると還元粉末の1次粒子が粗大に成長する。そのため、か焼温度は500〜1000℃であり、500℃のか焼温度では10時間で反応が完了し、1000℃の温度では2時間で反応が完了する。
【0023】
前記1次混合工程において粒子成長抑制剤が添加されず、第2混合工程において添加される場合、還元された粉末に炭素ソースとともに、炭化物(VC、TaC、NbC、TiC、Cr3C2)又は酸化物(五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、三酸化クロム(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビオム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2))の形態で粒子成長抑制剤を添加し、前処理混合機(Premixer)及び混合機(mixer)にて粉砕、混合する。この際、混合機の性能により混合性及び時間が左右され、各成分が均一に分布された粉末を形成する。
【0024】
前記第2混合工程における機械的混合方法に用いられる混合機は、無重力混合機、Vミキサー(V−mixer)、Yミキサー(Y−mixer)、ボールミリング(Ball milling)、ダブルコーンミキサー(Double cone mixer)、三次元混合機、スーパーミキサー(Super mixer)のうちいずれか一つを選択して用いることができる。
【0025】
第2混合工程時には、既に還元工程が完了することから、塩、塩化物、酸形態の化合物状態の粒子成長抑制剤は素材にそのまま残存するようになり、特性に悪い影響を及ぼすため、使用しない。
【0026】
一方、炭素ソースは、高純度のカーボンブラック(Carbon black)を用いることが好ましい。
【0027】
炭素ソースが均一に混合された粉末は、熱処理炉にて600〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気で浸炭する。上記の浸炭条件により0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.4μmの粒子サイズに調節された超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造することができる。
【0028】
この際、600℃未満では浸炭反応が完全に行なわれず、1000℃以上では浸炭された粉末の粒子が粗大に成長する。そのため、浸炭温度は600〜1000℃であり、1000℃の浸炭条件時に2時間で反応が完了し、600℃では10時間前後で反応が完了する。
【発明の効果】
【0029】
上記したような本発明の製造法を用いると、0.1〜0.4μmの超微粒超硬合金複合粉末の合成及び製造が可能である。また、化合物の種類、工程別の合成条件、粒子成長抑制剤の添加時点により、0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.4μmの超微粒粒子サイズの調節も可能である。特に本発明で製造された超微粒化した超硬合金複合粉末の長所は、同一組成で高い硬度と高い抗磁力の特性を有する。そして、一般的に超硬粒子サイズが微細になると減少する抗折力値である。しかし、結合上、コバルトの均一混合効果により、粗大な粒子素材と比較して類似した抗折力を有する超微粒超硬合金複合粉末の製造が可能であった。
【0030】
そして、価格競争力のある低価のタングステン化合物、コバルト化合物、粒子成長抑制剤化合物を原材料として用い、製造工程の短縮と単純化により超微粒超硬合金複合粉末を経済的に製造することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下においては、本発明のより詳細な理解のために本発明の実施例を詳述する。しかし、本発明が実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
[実施例1]
アンモニウムパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)、コバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、五酸化バナジウム(V2O5)、クロム酸化物(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビジウム(Nb2O5)をWC−12wt%Co−0.3wt%Cr3C2/0.3wt%VC/0.2wt%TaNbCの目的組成で無重力混合機を用いて粉末を嵩割合で65%を装入し、ピンミル速度を1300RPM、60分の運転条件で均一に混合した後、この粉末を熱処理炉で650℃、30分、大気雰囲気下でか焼してタングステン酸化物とコバルト酸化物を形成する。か焼された粉末をトンネル式連続熱処理炉で最終反応温度800℃、4時間、水素雰囲気で還元してタングステンとコバルト金属が混合された複合粉末を形成した。その後、この粉末に炭素ソースであるカーボンブラックを浸炭工程中に発生する脱炭を考慮して化学量論値より1.15倍を添加するミリング工程を行い、添加された全ての成分が均一に混合された粉末を形成した。混合された粉末は、トンネル式連続熱処理炉で最終反応温度800℃、4時間、水素雰囲気で浸炭して最終的にWC−12wt%Co−0.3wt%Cr3C2/0.3wt%VC/0.2wt%TaNbC組成の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造した。
【0033】
(1)製造された粉末の形状とサイズを電界放射型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electric Microscope、FE−SEM)で観察した結果、図2のように、0.1〜0.2μmサイズの粒子が生成された。製造された粉末の相(phase)をX線回折分析した結果、図3のように、WC相とCo相が存在する超硬合金複合粉末であった。このような分析結果から、全体的に均一な0.1〜0.2μmサイズの超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末が製造されたことが確認された。
【0034】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用い、素材に焼結した際に示される機械的特性をナノスケールである0.2μm級の超硬合金素材と比較して表1に示した。図4は、前記素材において電界放射型走査顕微鏡で0.1〜0.2μmサイズの超微粒タングステンカーバイド−コバルト焼結粒子を観察したものを示している。
分析の結果、焼結体内のタングステンカーバイド−コバルトの微細化を示す抗磁力と硬度値が優位にあり、抗折力値は類似することを示している。このような結果は、海外ナノスケール(nano phase)の超硬粉末を用いて製造された素材よりも高い特性値であり、0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末であることを示す素材特性(bulk properties)である。
【0035】
【表1】
【0036】
[実施例2]
初期出発原料物質としてパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)、コバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、タンタリウムクロライド(TaCl5)、ニオビウムクロライド(NbCl5)を用いて目的組成をWC−9wt%Co−0.3wt%Cr3C2/0.3wt%VC/0.15wt%TaNbCで合成したことと、トンネル式熱処理炉で最終還元温度を820℃、3時間、水素雰囲気下で金属複合粉末を形成し、トンネル式浸炭熱処理炉で820℃、3時間、水素雰囲気で合成したことを除いては、実施例1と同一の方法により0.2〜0.3μm級の超微粒超硬合金複合粉末を製造した。これは、図5において電界放射型走査顕微鏡により確認された。
【0037】
特に、実施例1と前記粉末粒度を比較してみると、各工程別の反応温度及び反応時間により最終超硬合金複合粉末の粒度が調節され得ることを示している。
【0038】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用いて素材に焼結した際に示される機械的特性を0.3μm級の材種と比較して表2に示した。図6は、前記素材において電界放射型走査顕微鏡で0.2〜0.3μmサイズの超微粒超硬合金焼結粒子を観察したものを示している。WC−9wt.%Co同一の組成で焼結体内の超硬粒子の微細化を示す抗磁力と硬度値が優位にあり、WC/Coの均一混合により抗折力値もまた優位にある結果を示している。このような結果は、0.2〜0.3μm級の超微粒超硬合金複合粉末であることを示す素材特性(bulk properties)である。
【0039】
【表2】
【0040】
[実施例3]
初期出発原料物質としてタングステン酸(H2WO4)、コバルトアセテート(Co・(CH3COO)2 ・4H2O))、五酸化バナジウム(V2O5)、クロム酸化物(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビジウム(Nb2O5)を用い、目的組成をWC−10wt%Co−0.4wt%Cr3C2/0.2wt%VC/0.2wt%TaNbCで合成したことと、Y−mixerを用いて粉末を嵩割合で55%を装入し、主軸回転を100RPM、副軸回転を350RPM、120分の運転条件で混合したことと、ロータリキルン形態の連続式か焼炉で温度を700℃、30分、大気雰囲気下で酸化物を形成させ、トンネル式浸炭熱処理炉で820℃、4時間、水素雰囲気で合成したことを除いては、実施例1と同一の方法により0.3〜0.4μm級の超微粒超硬合金複合粉末を製造した。これは、図7で電界放射型走査顕微鏡により確認された。特に、実施例1と前記粉末粒度を比較してみると、タングステンとコバルト原材料化合物の種類と反応温度により最終超硬合金複合粉末の粒度は調節され得ることを示す。
【0041】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用いて素材に焼結した際に示される機械的特性を、現在、常用されている0.6μm級の材種と比較して表3に示した。図8は、前記素材において電界放射型走査顕微鏡により0.3〜0.4μmサイズの超微粒超硬合金焼結粒子を観察したものを示している。分析してみると、WC−10wt.%の同一の組成で焼結体内の超硬粒子が0.3〜0.4μmと微細になったにもかかわらず、抗折力値は類似しており、抗磁力及び硬度が絶対的な優位を示した。
【0042】
【表3】
【0043】
[実施例4]
初期出発原料物質としてパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)とコバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)を用い、目的組成をWC−8wt%Co−0.4wt%Cr3C2/0.4wt%VC/0.2wt%TaNbCで合成したことと、粒子成長抑制剤を第1混合工程において金属化合物(バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、ニオビウムクロライド(NbCl5))及び酸化物状態(五酸化タンタリウム(Ta2O5))で添加する方法と、第2混合工程において金属炭化物状態(VC、Cr3C2、TaNbC)と酸化物(V2O5、Cr2O3、Ta2O5、Nb2O5)の形態とに添加時点を変化したことと、ボールミルマシン(Ball mill machine)を用いて粉末を嵩割合で50%を装入し、主軸回転を30RPM、180分の運転条件で混合したことを除いては、実施例1と同一の方法により超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造した。それぞれ図9、図11、図13において電界放射型走査顕微鏡で超硬合金複合粉末粒子のサイズを確認した。
【0044】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用いて、素材に焼結した際に示される機械的特性を比較して表4に示した。図10、図12、図14は、電界放射型走査顕微鏡により粒子成長抑制剤の添加時点及び状態による超微粒超硬合金焼結粒子の変化を示している。分析してみると、WC−8wt%Co−0.4wt%Cr3C2/0.4wt%VC/0.2wt%TaNbCの同一の組成で焼結体内の超硬粒子の微細化を示す抗磁力と硬度値が乾式機械的混合工程に添加された素材が相対的に多少高い特性値を示した。炭素ソースに添加された粒子成長抑制剤の炭化物と酸化物状態の差による粒子成長抑制効果は類似していた。
【0045】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造工程図。
【図2】図2は、本発明の実施例1で製造された0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図3】図3は、本発明の実施例1で製造された0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末のX線回折分析結果を図示するグラフ図。
【図4】図4は、本発明の実施例1で製造された0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末に製造された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図5】図5は、本発明の実施例2で製造された0.2〜0.3μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図6】図6は、本発明の実施例2で製造された0.2〜0.3μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末に製造された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図7】図7は、本発明の実施例3で製造した0.3〜0.4μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図8】図8は、本発明の実施例3で製造した0.3〜0.4μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末に製造された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図9】図9は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を化合物状態で第1混合工程時に添加して製造した超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図10】図10は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を化合物状態で第1混合工程時に添加して製造した超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の焼結された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図11】図11は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において炭化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図12】図12は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において炭化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の焼結された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図13】図13は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において酸化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図14】図14は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において酸化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の焼結された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末(Ultra−fine WC−Co Composite powder)を製造するための方法に関する。より詳しくは、タングステン化合物とコバルト化合物を乾式混合後、一定の反応温度、ガス雰囲気でか焼、還元、浸炭工程を順次経て超微粒超硬合金粉末を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タングステンカーバイド−コバルト複合粉末は、硬度が高く耐磨耗性に優れ、切削工具、耐摩耗工具、耐衝撃工具及び金型素材などに広く用いられている。また、タングステンカーバイド(WC)のように、粒子が超微粒化するに伴い、高硬度及び耐摩耗の特性を有し、また、Co結合相の役目のために他の切削材料よりも高い靱性の機械的特性を有する。
【0003】
現在、工業的に量産されているタングステンカーバイド(WC)複合粉末の製造方法は、タングステン鉱石から抽出されたタングステン酸(H2WO4)、アンモニウムパラタングステン酸塩(APT、Ammonium para−tungstate)をか焼、還元して製造されたタングステン粉末をボールミリング工程により適当なサイズに粉砕してから、ここにさらに炭素粉末を混合して1400℃以上の高温で炭化させることによりタングステンカーバイド(WC)を製造する。これを商業的な製品にするために結合金属であるコバルト粉末(Co powder)を湿式ボールミリング過程を通じて混合して切削工具を含む各種工具を製造する。
【0004】
しかし、前記製造方法は、高温合成によりWCの粒子が粗大になるか、Co粉末の添加時にミリング工程を長時間にわたって行わなければならない問題点がある。また、この工程法は、還元及び浸炭工程が高温で行なわれるため、超微粒粉末の製造が不可能である。
【0005】
このような従来の方法を改善しようとする試みとして、韓国公開特許公報第1998−0083671号と第2001−0113364号のメカノケミカル法(Mechanochemical Process)に関するものがある。この方法を詳しく説明すると、タングステン塩であるAMT((NH4)6(H2W12O40)・4H2O)とコバルト塩(CO(NO3)2・6H2O)、そして粒子成長抑制剤としてV、Cr、Taの塩であるアンモニウムメタバナデート(AMV)、クロム硝酸塩(Cr−nitrate)、タンタリウムクロライド(Ta−Chloride)のような水溶性塩を水に溶解させて目的組成に合うように溶液を製造した後、これを噴霧乾燥器にて乾燥して均一前駆体を生成する。前記均一前駆体は、大気中で塩と水分を除去する塩除去工程を経て製造された均一なタングステン−コバルト酸化物が製造され、これを還元及び浸炭して超微粒超硬合金複合粉末を製造する方法である。この方法は、超微粒化したナノスケールの複合粉末を製造することができるが、水溶性塩の相対的に高い価格と溶液製造及び噴霧乾燥の工程が添加される短所がある。
【0006】
他の方法として、韓国公開特許公報第2003−0024174号においては、タングステン酸化物(WO3)とコバルト酸化物(Co3O4)をアトリター(attritor)で湿式ミリングした後、熱処理炉にて水素と高価のメタンガスを用いて還元と浸炭を同時に行うことにより超微粒超硬粉末を製造した。しかし、この工程は、アトリターを通じた湿式粉砕が少なくとも30時間以上の長時間所要されるだけでなく、後で乾燥工程が追加されるため、効率性及び経済性の面で根本的な問題点を抱えている。さらに、未粉砕工程では0.3μm級の超微粒粉末の製造が不可能であると知られている。また、水素、メタン、水素ガスを順次投入して還元と浸炭を同時に行うことにより製造された粉末品質の炭素含量の調節による特性安定化及び設備量産化の問題点を抱えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、上述したような既存のタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法が有している問題点を解決し、経済的に優れかつ特性に優れた工具素材用超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法を提供することにその目的がある。
【0008】
上記のような目的を達成するために、本発明は、タングステン化合物、コバルト化合物、そして場合によっては、粒子成長抑制剤化合物を乾式混合機を用いて混合する第1混合工程と、混合した粉末のアンモニアと水分を除去して酸化物に形成するためのか焼工程と、か焼された粉末を純粋金属粉末に製造するための還元工程と、還元された粉末に炭素ソースと、場合によっては粒子成長抑制剤を添加してミリングする第2混合工程と、混合した粉末を最終形態に製造するための浸炭工程とからなる超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法を提供する。
【0009】
前記製造方法は、図1の工程流れ図に分かりやすく図示されている。
【0010】
以下、本発明の製造方法をより詳しく説明する。
【0011】
本発明に用いられる原材料のうちタングステンの原材料は、か焼、還元工程を経て基本的にタングステンを製造することができる成分が含まれているアンモニウムパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)、タングステン酸(H2WO4)、アンモニウムメタタングステン酸(AMT:(NH4)6(H2W12O40)・4H2O)のようなタングステン化合物である。
【0012】
コバルトの原材料は、か焼、還元工程を経て基本的にコバルトを製造することができる成分が含まれているコバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、酢酸コバルト(Co・(CH3COO)2・4H2O))、コバルトスルフェート(CoO4S・7H2O)のようなコバルト化合物を用いることができる。
【0013】
一方、粒子成長抑制剤(Inhibitor)は、第1混合工程で用いられ得るのは、五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、三酸化クロム(Cr2O3)、酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、ニオビウムクロライド(NbCl5)、五酸化ニオビウム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2)、チタニウムクロライド(TiCl2)、タンタリウムクロライド(TaCl5)のような金属化合物及び酸化物である。
【0014】
前記粒子成長抑制剤は一つ又は二つ以上を混合して用いても構わない。
【0015】
前記のようなタングステン化合物、コバルト化合物、場合によっては粒子成長抑制剤をWC−2〜25wt%Co−0.1〜3wt%粒子成長抑制剤の目的組成で用意し、混合機(mixer)を用いて10〜180分混合する(第1混合工程)。
【0016】
この際、10分未満の時間の間混合すると、混合度が完全に行なわれずAPTとCo化合物の色分離が起きる。180分以上混合すると、混合時間が増加するに伴い混合機内で粉末間に吸着が現われる。
【0017】
前記第1混合工程での機械的混合方法に用いられる混合機は、無重力混合機、Vミキサー(V−mixer)、Yミキサー(Y−mixer)、ボールミリング(Ball milling)、ダブルコーンミキサー(Double cone mixer)、三次元混合機、スーパーミキサー(Super mixer)のうちいずれか一つを選択して用いることができる。
【0018】
第1混合工程において粒子成長抑制剤を添加することもできる。また、この工程で粒子成長抑制剤を添加せずに、後工程の混合工程において添加することもできる。
【0019】
混合が終わると、混合した粉末を熱処理炉にて500〜1000℃、10〜240分、大気雰囲気条件でか焼することによりタングステン酸化物とコバルト酸化物が混合された複合粉末を形成する。
【0020】
この際、500℃未満ではか焼が完全に行なわれず、1000℃を超えると酸化物1次粒子が不均一に成長するようになるため、か焼温度は500〜1000℃である。1000℃のか焼条件時に10分で反応が完了し、500℃では240分で反応が完了する。
【0021】
上記でか焼された粉末を熱処理炉にて500〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気で還元することによりタングステンとコバルト金属が混合された粉末を形成する。還元温度、反応時間、水素流量の条件により最終超硬合金複合粉末のサイズを0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.4μmの粒度に調節することができる。
【0022】
この際、500℃未満では還元反応が完全に起きず、1000℃を超えると還元粉末の1次粒子が粗大に成長する。そのため、か焼温度は500〜1000℃であり、500℃のか焼温度では10時間で反応が完了し、1000℃の温度では2時間で反応が完了する。
【0023】
前記1次混合工程において粒子成長抑制剤が添加されず、第2混合工程において添加される場合、還元された粉末に炭素ソースとともに、炭化物(VC、TaC、NbC、TiC、Cr3C2)又は酸化物(五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、三酸化クロム(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビオム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2))の形態で粒子成長抑制剤を添加し、前処理混合機(Premixer)及び混合機(mixer)にて粉砕、混合する。この際、混合機の性能により混合性及び時間が左右され、各成分が均一に分布された粉末を形成する。
【0024】
前記第2混合工程における機械的混合方法に用いられる混合機は、無重力混合機、Vミキサー(V−mixer)、Yミキサー(Y−mixer)、ボールミリング(Ball milling)、ダブルコーンミキサー(Double cone mixer)、三次元混合機、スーパーミキサー(Super mixer)のうちいずれか一つを選択して用いることができる。
【0025】
第2混合工程時には、既に還元工程が完了することから、塩、塩化物、酸形態の化合物状態の粒子成長抑制剤は素材にそのまま残存するようになり、特性に悪い影響を及ぼすため、使用しない。
【0026】
一方、炭素ソースは、高純度のカーボンブラック(Carbon black)を用いることが好ましい。
【0027】
炭素ソースが均一に混合された粉末は、熱処理炉にて600〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気で浸炭する。上記の浸炭条件により0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.4μmの粒子サイズに調節された超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造することができる。
【0028】
この際、600℃未満では浸炭反応が完全に行なわれず、1000℃以上では浸炭された粉末の粒子が粗大に成長する。そのため、浸炭温度は600〜1000℃であり、1000℃の浸炭条件時に2時間で反応が完了し、600℃では10時間前後で反応が完了する。
【発明の効果】
【0029】
上記したような本発明の製造法を用いると、0.1〜0.4μmの超微粒超硬合金複合粉末の合成及び製造が可能である。また、化合物の種類、工程別の合成条件、粒子成長抑制剤の添加時点により、0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.4μmの超微粒粒子サイズの調節も可能である。特に本発明で製造された超微粒化した超硬合金複合粉末の長所は、同一組成で高い硬度と高い抗磁力の特性を有する。そして、一般的に超硬粒子サイズが微細になると減少する抗折力値である。しかし、結合上、コバルトの均一混合効果により、粗大な粒子素材と比較して類似した抗折力を有する超微粒超硬合金複合粉末の製造が可能であった。
【0030】
そして、価格競争力のある低価のタングステン化合物、コバルト化合物、粒子成長抑制剤化合物を原材料として用い、製造工程の短縮と単純化により超微粒超硬合金複合粉末を経済的に製造することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下においては、本発明のより詳細な理解のために本発明の実施例を詳述する。しかし、本発明が実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
[実施例1]
アンモニウムパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)、コバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、五酸化バナジウム(V2O5)、クロム酸化物(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビジウム(Nb2O5)をWC−12wt%Co−0.3wt%Cr3C2/0.3wt%VC/0.2wt%TaNbCの目的組成で無重力混合機を用いて粉末を嵩割合で65%を装入し、ピンミル速度を1300RPM、60分の運転条件で均一に混合した後、この粉末を熱処理炉で650℃、30分、大気雰囲気下でか焼してタングステン酸化物とコバルト酸化物を形成する。か焼された粉末をトンネル式連続熱処理炉で最終反応温度800℃、4時間、水素雰囲気で還元してタングステンとコバルト金属が混合された複合粉末を形成した。その後、この粉末に炭素ソースであるカーボンブラックを浸炭工程中に発生する脱炭を考慮して化学量論値より1.15倍を添加するミリング工程を行い、添加された全ての成分が均一に混合された粉末を形成した。混合された粉末は、トンネル式連続熱処理炉で最終反応温度800℃、4時間、水素雰囲気で浸炭して最終的にWC−12wt%Co−0.3wt%Cr3C2/0.3wt%VC/0.2wt%TaNbC組成の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造した。
【0033】
(1)製造された粉末の形状とサイズを電界放射型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electric Microscope、FE−SEM)で観察した結果、図2のように、0.1〜0.2μmサイズの粒子が生成された。製造された粉末の相(phase)をX線回折分析した結果、図3のように、WC相とCo相が存在する超硬合金複合粉末であった。このような分析結果から、全体的に均一な0.1〜0.2μmサイズの超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末が製造されたことが確認された。
【0034】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用い、素材に焼結した際に示される機械的特性をナノスケールである0.2μm級の超硬合金素材と比較して表1に示した。図4は、前記素材において電界放射型走査顕微鏡で0.1〜0.2μmサイズの超微粒タングステンカーバイド−コバルト焼結粒子を観察したものを示している。
分析の結果、焼結体内のタングステンカーバイド−コバルトの微細化を示す抗磁力と硬度値が優位にあり、抗折力値は類似することを示している。このような結果は、海外ナノスケール(nano phase)の超硬粉末を用いて製造された素材よりも高い特性値であり、0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末であることを示す素材特性(bulk properties)である。
【0035】
【表1】
【0036】
[実施例2]
初期出発原料物質としてパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)、コバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、タンタリウムクロライド(TaCl5)、ニオビウムクロライド(NbCl5)を用いて目的組成をWC−9wt%Co−0.3wt%Cr3C2/0.3wt%VC/0.15wt%TaNbCで合成したことと、トンネル式熱処理炉で最終還元温度を820℃、3時間、水素雰囲気下で金属複合粉末を形成し、トンネル式浸炭熱処理炉で820℃、3時間、水素雰囲気で合成したことを除いては、実施例1と同一の方法により0.2〜0.3μm級の超微粒超硬合金複合粉末を製造した。これは、図5において電界放射型走査顕微鏡により確認された。
【0037】
特に、実施例1と前記粉末粒度を比較してみると、各工程別の反応温度及び反応時間により最終超硬合金複合粉末の粒度が調節され得ることを示している。
【0038】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用いて素材に焼結した際に示される機械的特性を0.3μm級の材種と比較して表2に示した。図6は、前記素材において電界放射型走査顕微鏡で0.2〜0.3μmサイズの超微粒超硬合金焼結粒子を観察したものを示している。WC−9wt.%Co同一の組成で焼結体内の超硬粒子の微細化を示す抗磁力と硬度値が優位にあり、WC/Coの均一混合により抗折力値もまた優位にある結果を示している。このような結果は、0.2〜0.3μm級の超微粒超硬合金複合粉末であることを示す素材特性(bulk properties)である。
【0039】
【表2】
【0040】
[実施例3]
初期出発原料物質としてタングステン酸(H2WO4)、コバルトアセテート(Co・(CH3COO)2 ・4H2O))、五酸化バナジウム(V2O5)、クロム酸化物(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビジウム(Nb2O5)を用い、目的組成をWC−10wt%Co−0.4wt%Cr3C2/0.2wt%VC/0.2wt%TaNbCで合成したことと、Y−mixerを用いて粉末を嵩割合で55%を装入し、主軸回転を100RPM、副軸回転を350RPM、120分の運転条件で混合したことと、ロータリキルン形態の連続式か焼炉で温度を700℃、30分、大気雰囲気下で酸化物を形成させ、トンネル式浸炭熱処理炉で820℃、4時間、水素雰囲気で合成したことを除いては、実施例1と同一の方法により0.3〜0.4μm級の超微粒超硬合金複合粉末を製造した。これは、図7で電界放射型走査顕微鏡により確認された。特に、実施例1と前記粉末粒度を比較してみると、タングステンとコバルト原材料化合物の種類と反応温度により最終超硬合金複合粉末の粒度は調節され得ることを示す。
【0041】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用いて素材に焼結した際に示される機械的特性を、現在、常用されている0.6μm級の材種と比較して表3に示した。図8は、前記素材において電界放射型走査顕微鏡により0.3〜0.4μmサイズの超微粒超硬合金焼結粒子を観察したものを示している。分析してみると、WC−10wt.%の同一の組成で焼結体内の超硬粒子が0.3〜0.4μmと微細になったにもかかわらず、抗折力値は類似しており、抗磁力及び硬度が絶対的な優位を示した。
【0042】
【表3】
【0043】
[実施例4]
初期出発原料物質としてパラタングステン酸(APT:(NH4)10W12O42・5H2O)とコバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)を用い、目的組成をWC−8wt%Co−0.4wt%Cr3C2/0.4wt%VC/0.2wt%TaNbCで合成したことと、粒子成長抑制剤を第1混合工程において金属化合物(バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、ニオビウムクロライド(NbCl5))及び酸化物状態(五酸化タンタリウム(Ta2O5))で添加する方法と、第2混合工程において金属炭化物状態(VC、Cr3C2、TaNbC)と酸化物(V2O5、Cr2O3、Ta2O5、Nb2O5)の形態とに添加時点を変化したことと、ボールミルマシン(Ball mill machine)を用いて粉末を嵩割合で50%を装入し、主軸回転を30RPM、180分の運転条件で混合したことを除いては、実施例1と同一の方法により超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末を製造した。それぞれ図9、図11、図13において電界放射型走査顕微鏡で超硬合金複合粉末粒子のサイズを確認した。
【0044】
次は、前記工程を経て合成された超微粒超硬合金複合粉末を用いて、素材に焼結した際に示される機械的特性を比較して表4に示した。図10、図12、図14は、電界放射型走査顕微鏡により粒子成長抑制剤の添加時点及び状態による超微粒超硬合金焼結粒子の変化を示している。分析してみると、WC−8wt%Co−0.4wt%Cr3C2/0.4wt%VC/0.2wt%TaNbCの同一の組成で焼結体内の超硬粒子の微細化を示す抗磁力と硬度値が乾式機械的混合工程に添加された素材が相対的に多少高い特性値を示した。炭素ソースに添加された粒子成長抑制剤の炭化物と酸化物状態の差による粒子成長抑制効果は類似していた。
【0045】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造工程図。
【図2】図2は、本発明の実施例1で製造された0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図3】図3は、本発明の実施例1で製造された0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末のX線回折分析結果を図示するグラフ図。
【図4】図4は、本発明の実施例1で製造された0.1〜0.2μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末に製造された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図5】図5は、本発明の実施例2で製造された0.2〜0.3μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図6】図6は、本発明の実施例2で製造された0.2〜0.3μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末に製造された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図7】図7は、本発明の実施例3で製造した0.3〜0.4μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図8】図8は、本発明の実施例3で製造した0.3〜0.4μm級の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末に製造された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図9】図9は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を化合物状態で第1混合工程時に添加して製造した超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図10】図10は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を化合物状態で第1混合工程時に添加して製造した超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の焼結された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図11】図11は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において炭化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図12】図12は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において炭化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の焼結された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図13】図13は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において酸化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の電界放射型走査顕微鏡写真。
【図14】図14は、本発明の実施例4で粒子成長抑制剤を第2混合工程において酸化物状態で投入して製造したタングステンカーバイド−コバルト複合粉末の焼結された素材の電界放射型走査顕微鏡写真。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン化合物とコバルト化合物とを機械的方法により混合する第1混合工程と、
前記第1混合工程で混合した粉末のアンモニアと水分を除去して酸化物に形成するためのか焼工程と、
前記か焼された粉末を純粋金属粉末に製造するための還元工程と、
前記還元された粉末に炭素ソースを添加する工程である第2混合工程と、
前記第2混合工程で混合した粉末を浸炭して超硬合金粉末を製造する浸炭工程とからなることを特徴とする超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項2】
粒子成長抑制剤を第1混合工程又は第2混合工程のうちいずれか一つ以上の工程において金属の化合物の形態で添加することを特徴とする請求項1に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項3】
前記タングステン化合物は、アンモニウムパラタングステン酸((NH4)10W12O42・5H2O)、タングステン酸(H2WO4)、アンモニウムメタタングステン酸((NH4)6(H2W12O40)・4H2O)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項4】
前記コバルト化合物は、コバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、酢酸コバルト(Co・(CH3COO)2・4H2O))、コバルトスルフェート(CoO4S・7H2O)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項5】
前記第1混合工程における粒子成長抑制剤は、五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、三酸化クロム(Cr2O3)、酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、ニオビウムクロライド(NbCl5)、五酸化ニオビウム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2)、チタニウムクロライド(TiCl2)、タンタリウムクロライド(TaCl5)のうちいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項6】
前記第2混合工程における粒子成長抑制剤は、バナジウムカーバイド(VC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、タンタリウムニオビウムカーバイド(TaNbC)、チタニウムカーバイド(TiC)、五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、三酸化クロム(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビオム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2))のうちいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項7】
前記第1混合工程における機械的混合方法は、無重力混合機、Vミキサー(V−mixer)、Yミキサー(Y−mixer)、ボールミリング(Ball milling)、ダブルコーンミキサー(Double Cone mixer)、三次元混合機、スーパーミキサー(Super mixer)のうちいずれか一つの混合機を用いて混合する方法であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項8】
前記か焼工程のか焼条件が500〜1000℃、10〜240分、大気雰囲気条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項9】
前記還元工程の還元条件が500〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項10】
前記浸炭工程の浸炭条件が600〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気の条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項1】
タングステン化合物とコバルト化合物とを機械的方法により混合する第1混合工程と、
前記第1混合工程で混合した粉末のアンモニアと水分を除去して酸化物に形成するためのか焼工程と、
前記か焼された粉末を純粋金属粉末に製造するための還元工程と、
前記還元された粉末に炭素ソースを添加する工程である第2混合工程と、
前記第2混合工程で混合した粉末を浸炭して超硬合金粉末を製造する浸炭工程とからなることを特徴とする超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項2】
粒子成長抑制剤を第1混合工程又は第2混合工程のうちいずれか一つ以上の工程において金属の化合物の形態で添加することを特徴とする請求項1に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項3】
前記タングステン化合物は、アンモニウムパラタングステン酸((NH4)10W12O42・5H2O)、タングステン酸(H2WO4)、アンモニウムメタタングステン酸((NH4)6(H2W12O40)・4H2O)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項4】
前記コバルト化合物は、コバルトオキサレート(CoC2O4・2H2O)、酢酸コバルト(Co・(CH3COO)2・4H2O))、コバルトスルフェート(CoO4S・7H2O)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項5】
前記第1混合工程における粒子成長抑制剤は、五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、クロム塩(Cr(NO3)2)、三酸化クロム(Cr2O3)、酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、ニオビウムクロライド(NbCl5)、五酸化ニオビウム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2)、チタニウムクロライド(TiCl2)、タンタリウムクロライド(TaCl5)のうちいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項6】
前記第2混合工程における粒子成長抑制剤は、バナジウムカーバイド(VC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、タンタリウムニオビウムカーバイド(TaNbC)、チタニウムカーバイド(TiC)、五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化バナジウム(V2O3)、三酸化クロム(Cr2O3)、五酸化タンタリウム(Ta2O5)、五酸化ニオビオム(Nb2O5)、二酸化チタニウム(TiO2))のうちいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項7】
前記第1混合工程における機械的混合方法は、無重力混合機、Vミキサー(V−mixer)、Yミキサー(Y−mixer)、ボールミリング(Ball milling)、ダブルコーンミキサー(Double Cone mixer)、三次元混合機、スーパーミキサー(Super mixer)のうちいずれか一つの混合機を用いて混合する方法であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項8】
前記か焼工程のか焼条件が500〜1000℃、10〜240分、大気雰囲気条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項9】
前記還元工程の還元条件が500〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【請求項10】
前記浸炭工程の浸炭条件が600〜1000℃、2〜10時間、水素雰囲気の条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超微粒タングステンカーバイド−コバルト複合粉末の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−525646(P2008−525646A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506388(P2008−506388)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002476
【国際公開番号】WO2007/108575
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(502083026)株式会社ナノテック (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOTECH CO.LTD
【住所又は居所原語表記】38−4 SUNGSAN−RI, OCHANG−MYUN, CHEONGWON−GUN, CHUNGCHEONGBUK−DO, REPUBLIC OF KOREA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002476
【国際公開番号】WO2007/108575
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(502083026)株式会社ナノテック (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOTECH CO.LTD
【住所又は居所原語表記】38−4 SUNGSAN−RI, OCHANG−MYUN, CHEONGWON−GUN, CHUNGCHEONGBUK−DO, REPUBLIC OF KOREA
【Fターム(参考)】
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