超微粒子の膜形成方法とその装置
【課題】 基板上に超微粒子の膜を制御性良く形成する方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 巻き上げガス供給管のガス噴出口を超微粒子粉内に埋設し容器に気密に接続させた搬送ガス供給管からの搬送ガスを整流して、密閉性容器に供給し、該搬送ガスにより搬送管を通ってエアロゾルを膜形成室内に導入するようにするか、または密閉性容器に更に気密に搬送ガス供給管を接続させ、該搬送ガス供給管のガス排出口には整流器を設け、該整流器から噴出される整流ガスを密閉性容器内に噴出させ、かつ、巻き上げガス供給管の噴出口は超微粒子粉内に埋設され、噴出口から噴出される巻上げガスにより発生されるエアロゾルを整流ガスにより搬送管内を搬送し、膜形成室内に配設された基板上に超微粒子の膜を付着させるようにした。
【解決手段】 巻き上げガス供給管のガス噴出口を超微粒子粉内に埋設し容器に気密に接続させた搬送ガス供給管からの搬送ガスを整流して、密閉性容器に供給し、該搬送ガスにより搬送管を通ってエアロゾルを膜形成室内に導入するようにするか、または密閉性容器に更に気密に搬送ガス供給管を接続させ、該搬送ガス供給管のガス排出口には整流器を設け、該整流器から噴出される整流ガスを密閉性容器内に噴出させ、かつ、巻き上げガス供給管の噴出口は超微粒子粉内に埋設され、噴出口から噴出される巻上げガスにより発生されるエアロゾルを整流ガスにより搬送管内を搬送し、膜形成室内に配設された基板上に超微粒子の膜を付着させるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超微粒子を含むエアロゾルを基板に吹き付け、超微粒子の膜を基板上に形成させる超微粒子の膜形成方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種技術として、特開2001−348658に開示された技術がある。図12はその一実施例であるが、密閉性容器111の上壁にガス導入管114及びエアロゾル排出管115が取り付けられている。密閉性容器111の底部には粉体113を収容する容器112が配設され、これは底に固定されたモータ116により回転される。
【0003】
ガス導入管114の噴出口は粉体113の表面の直上方にある。ある間隔をおいている。噴出口から噴き出すガスは表面の粉体を吹き付けて密閉性容器内にエアロゾル118を発生させる。これはエアロゾル排出管115から、これに接続されている搬送管をとおって図示されていない膜形成室内に搬送される。
【0004】
他方、容器内の粉体113には上方から整地具117の櫛歯が挿入されており、容器112の回転により粉体の表面層をかき混ぜる。これによりガス導入管114の噴出口の直下に生じていたくぼみは直ちに整地され、連続的に噴出口からの噴出ガスにより粉体が巻き上げられ、エアロゾルを発生させる。
【特許文献1】特開2001−348658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに、以上の装置では、粉体113を収容する容器112を回転させており、このためにモータ116や整地具117を設けており、装置全体を大型化している。また、膜形成室内に配設された基板上に形成される膜厚の制御については何ら記載されておらず、このためには例えば、ガス導入管114からのガス噴出量を調節することが考えられるが、密閉性容器111内のエアロゾル118は乱流状態でエアロゾル排出管115内に導入されるので、膜厚の制御性は悪いと考えられる。
【0006】
更に、モータ116の回転軸は密閉性容器111の底壁を貫通して内部の容器112の底壁に固定されているので、回転軸を貫通させるために、何らかのシール機構が必要である。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされ、装置をコンパクトかつ構造を簡単にして膜厚の制御性のよい超微粒子の膜形成方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題は、密閉性容器内に超微粒子粉を収容し、前記密閉性容器に気密に接続させた巻上げガス供給管のガス噴出口から巻き上げガスを噴出させて、前記密閉性容器内に前記超微粒子のエアロゾルを発生させ、前記密閉性容器に気密に接続させた搬送管を通って、前記エアロゾルを膜形成室内に導入して、該膜形成室内に配設された基板上に前記密閉性容器内と前記膜形成室内との差圧により前記超微粒子の膜を形成させるようにした超微粒子の膜形成方法において、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口を前記超微粒子粉内に埋設し前記密閉性容器に気密に接続させた搬送ガス供給管からの搬送ガスを整流して、前記密閉性容器内に供給し、該搬送ガスにより前記搬送管を通って前記エアロゾルを前記膜形成室内に導入するようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成方法、によって解決される。
【0009】
また、以上の課題は、微粒子粉を収容する密閉性容器と、該密閉容器に気密に接続された巻き上げガス供給管と、前記密閉性容器に気密に接続された搬送管と、該搬送管に接続された膜形成室とを備え、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口から巻上げガスを噴出させて前記密閉性容器内にエアロゾルを発生させ、該エアロゾルを前記搬送管を通って前記膜形成室内に導入して前記膜形成室内に配設された基板上に付着させるよぅにした超微粒子の膜形成装置において、前記密閉性容器に更に気密に搬送ガス供給管を接続させ、該搬送ガス供給管のガス排出口には整流器を設け、該整流器から噴出される整流ガスを前記密閉性容器内に噴出させ、かつ、前記巻き上げガス供給管の噴出口は前記超微粒子粉内に配置され、前記噴出口から噴出される巻上げガスにより発生されるエアロゾルを前記整流ガスにより前記搬送管内を搬送し、前記膜形成室内に配設された基板上に超微粒子の膜を付着させるようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成装置、によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成により、装置全体は小型化され、基板上に制御性良く、安定して超微粒子の膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[発明の実施の形態]
図1は本発明における第1実施形態の超微粒子の膜形成装置1の全体を示すが、エアロゾル発生装置2は密閉性容器からなっており、その内部詳細は図2で示されている。側壁部には巻き上げガス供給管3が気密に接続されている。これには不活性ガスがボンベ12から供給される。流量調整バルブ13、開閉バルブ14が接続されている。巻き上げガス供給管13内の圧力が図示する位置で圧力計15で測定される。
【0012】
また、搬送ガス供給管4が上壁部に気密に接続され、これにも同様にボンベ16から不活性ガスが供給される。17は流量調整バルブ、18は開閉バルブ、15は圧力計である。
【0013】
上壁部には更に搬送管5が接続され、これは開閉バルブ6を介して膜形成室7へと導入される。端部にはノズル8が接続される。膜形成室7内にはノズル8に対向して基板10が配設され、これは移動台9の上に載置されている。移動台9は搬送機11によって左右に搬送される。
【0014】
図2はエアロゾル発生装置2の内部詳細を簡略化して示す。なお、図を簡略化するために図1とは配管接続部を変えているが、勿論、同等である。
【0015】
密閉性容器Q1の上壁部に上述の巻き上げガス供給管3、搬送管5及び搬送ガス供給管4が気密に固定されている。なお図1において、対応する部分には同一の符号を付すものとする。
【0016】
搬送ガス供給管4の密閉性容器Q1内にある排出端部には整流器24が取り付けられている。この詳細は図3に示すが、これによって搬送ガス供給管4から噴出される搬送ガスは整流されて密閉性容器Q1内に排出される。
【0017】
密閉性容器Q1の底壁部には傾斜ブロック25が固定され、その傾斜面25a上に超微粒子粉Mを収容させている。巻き上げガス供給管3の下端のガス噴出口3aは超微粒子粉M内に埋設され、その底部に接近して配設されている。
【0018】
図3には整流器24の一例が示されているが、フィルタ部24aの長さLは約110mmでありフィルタ孔径は約3μmφであり、全周囲面積の50パーセントを占めている。この全周囲から整流ガスが密閉性容器Q1内の空間に排出される。端面図(B)において4aは搬送ガス供給管の接続口である。
【0019】
ガス通過面積が広く、かつ孔径が均一化されていることにより、大流量のガス供給においてもエアロゾルの流れを乱すことなく層流状態が達成できる。ガス供給口との接続径は1/4インチ径である。1/4インチ径に25SLMのガス流量を流すと流速は25m/sとなり、整流器24の孔での流速は1/100の0.25m/sである。エアロゾルの巻き上げ供給管3の噴出口3aから搬送管5の入口への流れ(0.25m/sよりはるかに大きい流速)を何ら乱すことがない。
【0020】
なお本実施形態に適用される超微粒子粉は一次平均粒子径が30nmのアルミナ粉である。またボンベ12と16には不活性ガスとしてヘリウムガスが充填され、巻き上げガスおよび搬送ガス源として用いられる。
【0021】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。
【0022】
まず必要に応じて膜形成室7及び密閉性容器Q1内を図示しない真空排気系により真空排気する。ボンベ12から巻き上げガス供給管3を通ってヘリウムガスを密閉性容器Q1内に供給する。またボンベ16からも搬送ガス供給管4を通ってヘリウムガスが密閉性容器Q1内に供給される。整流器24により搬送ガスは整流されて密閉性容器Q1内の空間に排出される。
【0023】
巻き上げガス供給管3の噴出口3aは超微粒子粉体M内にあるので、その周りの超微粒子粉を上方へと巻き上げる。もしくは吹き上げる。
【0024】
巻き上げガス供給管3の噴出口3aは粉体Mの底部にあるが、その周囲に超微粒子粉が存在する限り、連続的に超微粒子のエアロゾルを上方に発生させる。
【0025】
搬送ガス供給管4からのガス圧と膜形成室7内の圧力との差圧に応じた速さで搬送管5内へエアロゾルがヘリウム搬送ガスにより膜形成室7へと搬送される。
【0026】
ノズル8から搬送ガスにより搬送されてきたエアロゾルが基板10に向かって噴出される。搬送機11により搬送台9は所定の速さで所定の方向に移動される。基板10上には、上記速さに応じた厚さの超微粒子膜が形成される。
【0027】
傾斜板25の傾斜面25aの傾斜角に応じて粉体Mの減量と共に、粉体レベルが低下してくる。しかしながら、巻き上げガス供給管3の噴出口3aが粉体M内に埋設している限り、エアロゾルを発生し続ける。しかも搬送ガス供給管4からの搬送ガスは整流器24により整流されて密閉性容器Q1内に供給されるので、安定した速さで、エアロゾルが膜形成室7内に導入される。
【0028】
巻き上げガスの流量を変えて、基板10上に形成される膜厚がどのように変わるか実験した。
【0029】
使用したノズル8は、開口部が幅5mm×スリット0.3mmの幅広ノズル、搬送管5は1/4インチφのテフロン(商標)チュウブを使用した。差圧は100kPa、基板10の駆動速度は2mm/sec、積層回数は40回、基板加熱は120℃とした。
【0030】
図4はその結果を示す。そのグラフから明らかなように巻き上げガス流量(SLM)と膜厚(μm)との関係はかなり厳密に比例関係となっている。これにより本発明によれば超微粒子の基板上の膜厚管理を正確に行うことができる。
【0031】
又本実施の形態によれば、巻き上げガス供給管3からのガス供給を停止すれば、すなわちバルブ14を閉じると、直ちに膜形成を停止することができる。エアロゾルの供給を停止することができる。いわゆるシャッタ機能を果たすことができる。エアロゾル搬送経路中に何らシャッタを配設しなくても、バルブ14を閉じるだけでよい。なお、停止中も搬送ガス供給管4からのガス供給は続行される。これにより、搬送管5の内壁に付着せんとするエアロゾルを除去することができる。
【0032】
また搬送ガス供給管4に通す搬送ガスの圧力を増大させると、すなわち、密閉性容器Q1内と膜形成室7との間の差圧を増大させると、膜の密着力及び膜の緻密度を上げることができる。搬送ガスが整流器24により、層流として密閉性容器Q1内空間から搬送管へ導入され、これによりエアロゾルを搬送するので、上記差圧と膜の密着力、膜の緻密度とは強い相関関係を有する。乱れがない。
【0033】
膜の形成作業の時間と共に傾斜板25上の粉体Mは減少していくが、巻き上げガス供給管3の噴出口3aのレベルにまで超微粒子粉Mのレベルが低下すると、噴出口3aの周囲には超微粒子粉が存在しなくなるので、エアロゾルが発生しなくなる。
【0034】
更に膜形成するためには、バルブ21を開放してホッパ20から超微粒子粉が供給管22を通って密閉性容器Q内の傾斜板25上に供給される。再び図2に示す状態にまで粉体が充填されるとホッパ20からの粉体の供給が停止される。以後、上述の作用が繰り返される。なお、供給管22と密閉容器Q1との接続部やホッパ20と外気との間にはシール手段が設けられているものとする。また、ホッパ20から粉体の排出は振動器やスクリューコンベヤなどで行えばよい。
【0035】
図5は第2の実施の形態を示す。密閉容器Q2の他は、第1実施形態と同様である。
【0036】
すなわち本実施形態では、密閉性容器Q2の底壁部に矢印の方向に振動力を加える振動器Vが取り付けられる。巻き上げガス供給管3の噴出口3aは密閉性容器Q2の底面近くに位置するように巻き上げガス供給管3が配設される。膜形成作用は第一実施形態と同様であるが、時間と共に粉体Mが減量してきても、振動で粉が水平になるようにならされて、粉体が殆ど、空近くなるまでエアロゾルを連続的に発生し続ける。噴出口3aのまわりに超微粒子粉がなくなる、もしくは少なくなるということがない。なお振動器Vの構成によっては密閉性容器Q2全体を例えばコイルバネで床上に支持するようにしてもよい。
【0037】
図6は第3実施形態のエアロゾル発生器2の密閉容器Q3を示すが第一実施形態と異なるのは、側壁部に振動器Vを取り付けていることである。これにより傾斜台25の傾斜面25a上の粉体のすべりをよくしている。
【0038】
勿論、粉体と傾斜面25aとの摩擦係数が小さければ第一実施形態のように振動器Vは不要である。なお、振動力の方向は図示する矢印の方向に対して垂直の方向であってもよい。
【0039】
図7は第4実施形態を示すが、本実施形態では密閉性容器Q4全体が所定角度傾斜される。巻き上げガス供給管3の噴出口3aは粉体Mの最低部に位置される。作用は上記実施形態と同様である。
【0040】
図8は第5実施形態を示すが第1実施形態の構成に加えて密閉性容器Q5の底壁に振動器Vを固定させている。矢印の方向に振動力が加えられる。作用は第2実施形態と同様である。
【0041】
図9は第6実施形態を示すが密閉性容器Q6は円錐形状である。粉体は底部に収容される。円錐形容器Q6の内周壁面に沿って粉体が滑り落ちる。外周壁に固定された振動器Vにより、これが助長される。巻き上げガス供給管3の下端部は図示するように曲げられ、その噴出口3aができるだけ粉体の底部にあるようにされる。
【0042】
図10は第7実施形態を示すが密閉性容器Q7は四角錘形状である。これでも第6実施形態と同様な作用を行うことは明らかである。なお、図10では巻き上げガス供給管3、搬送ガス供給管4などは図示省略されている。
【0043】
図11は第8実施形態を示すが、この密閉性容器Q8の底部には溜め形成装置30が形成されている。ブロック部30Aの傾斜面32上には新規粉溜め部A、ブロック部30Bの傾斜面34上にはエアロゾル粉溜め部B、この右方には廃棄粉溜め部Cが形成されている。
【0044】
傾斜面32は矢印方向の振動力が振動器Vによって加えられる。これにより傾斜面32上の粉体は傾斜面32に沿う搬送力を受け、連続的に、かつ定量で最上層部の粉から隣のエアロゾル溜め部Bへ落下する。
【0045】
エアロゾル粉溜め部Bの粉体は、膜形成時間と共に減少していかんとするのであるが、上流側からの粉体の供給により溜め部Bの粉体のレベルはほぼ一定に保たれるが、オーバフロー気味に粉が供給され、このオーバフロー分は隣の廃棄粉溜め部C内へと排出される。
【0046】
超微粒子の種類や性状にもよるが溜め部B内で超微粒子が凝集し易いものがあり、凝集粉は溜め部の粉体の上層部を占めやすい。従って、ここでオーバフローした分は廃棄すべき粉であり、エアロゾルとして膜形成室7内に導入すれば、基板上の膜質を劣化するからである。
【0047】
別な見方をすれば、ある巻き上げ供給ガス圧では舞い上がらない大きさの粒子サイズであり、ガスデポジション成膜には不可とされるものである。巻き上げ供給管3の噴出口3aの周囲には粒径が一次的な超微粒子だけが存在しておれば、あるいは優先的に存在しておれば、これから発生するエアロゾルは良好な膜質の膜を基板上に形成させる。
【0048】
巻き上げにくい粉は一般的には溜め部Bの上層部を占めるので、前述したようにオーバフローさせるだけで廃棄粉溜め部Cへ廃棄することができ、間歇的に、例えば傾斜板を溜め部Cへと傾斜させて(シーソーの如く)廃棄するようにしても良い。あるいは、上流側の溜め部Aと同様に、ブロック30B内に振動器Vを取り付けて強制的に、かつ定量的に隣の溜め部Cへ排出するようにしても良い。
【0049】
なお、前述の実施形態においては、巻き上げ管3の噴出口3aのレベルまで粉体が減量するまでエアロゾルとして用いるように説明したが、勿論、途中で新規粉を上に供給するようににしても良い。あるいは、噴出口3aのレベルまでが減量せずともすべて排出して(シール性のゲートが必要となる)、この後、新規の超微粒子粉を充填させるようにしても良い。
【0050】
なおG1及びG2はそれぞれのぞき窓であり、密閉性容器Q8内のエアロゾルの発生状況、各溜め部A、B、Cの粉の溜まり状況などを常時観測させることができる。この観測結果に応じてホッパからの超微粒子の供給を調節することができる。なお廃粉溜め部Cの粉体はバルブ36を開放して、例えば真空排出手段により外方へと排出することができる。
【0051】
以上本発明の実施形態を説明したが勿論、本発明はこれらに限定されることなく本発明の技術的思想に基づいて種々の変形は可能である。
【0052】
例えば、以上の実施形態では、超微粒子としてアルミナの粉を説明したが、これに限ることなく、他の金属超微粒子でもよく、または金属でなくても良く、例えばセラミック粉のように壊れ易い粒子であってもよい。差圧も超微粒子の性状に応じて、適宜、調節可能としても良い。
【0053】
図11の新規粉溜め部Aの溜め容量を更に大きくして、ここから定量のひしゃくで連続的に、あるいは間歇的に粉をかい出して溜め部Bへ供給するようにしてもよい。この場合は勿論、外部のホッパ20や供給管22を省略することができる。あるいは溜め部Aを傾斜板で形成し、この傾斜を溜め部Bに向かって下向きに間歇的に傾動するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
基板上に超微粒子の膜を精度良く、正確な膜厚で膜質を良好にして形成するのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態の超微粒子の膜の形成装置の全体を示す配管系統図である。
【図2】図1におけるエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図3】図2における整流器の半部断面図(A)及び端面図(B)である。
【図4】巻き上げガス流量と膜厚との関係を示す実験結果を表すグラフである。
【図5】第2実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図6】第3実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図7】第4実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図8】第5実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図9】第6実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図10】第7実施形態のエアロゾル発生装置を示し、Aは平面図、Bは側面図である。
【図11】第8実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図12】従来例のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…超微粒子の膜形成装置、2…エアロゾル発生装置、3…巻き上げガス供給管、4…搬送ガス供給管、5…搬送管、7…膜形成室、8…ノズル、10…基板、12…ボンベ、13…流量調整バルブ、16…ボンベ、17…流量調整バルブ、20…ホッパ、21…開閉バルブ、22…超微粒子粉供給管、24…整流器、25…傾斜ブロック、32…傾斜面、34…傾斜面、Q1〜Q8…密閉性容器。
【技術分野】
【0001】
本発明は超微粒子を含むエアロゾルを基板に吹き付け、超微粒子の膜を基板上に形成させる超微粒子の膜形成方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種技術として、特開2001−348658に開示された技術がある。図12はその一実施例であるが、密閉性容器111の上壁にガス導入管114及びエアロゾル排出管115が取り付けられている。密閉性容器111の底部には粉体113を収容する容器112が配設され、これは底に固定されたモータ116により回転される。
【0003】
ガス導入管114の噴出口は粉体113の表面の直上方にある。ある間隔をおいている。噴出口から噴き出すガスは表面の粉体を吹き付けて密閉性容器内にエアロゾル118を発生させる。これはエアロゾル排出管115から、これに接続されている搬送管をとおって図示されていない膜形成室内に搬送される。
【0004】
他方、容器内の粉体113には上方から整地具117の櫛歯が挿入されており、容器112の回転により粉体の表面層をかき混ぜる。これによりガス導入管114の噴出口の直下に生じていたくぼみは直ちに整地され、連続的に噴出口からの噴出ガスにより粉体が巻き上げられ、エアロゾルを発生させる。
【特許文献1】特開2001−348658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに、以上の装置では、粉体113を収容する容器112を回転させており、このためにモータ116や整地具117を設けており、装置全体を大型化している。また、膜形成室内に配設された基板上に形成される膜厚の制御については何ら記載されておらず、このためには例えば、ガス導入管114からのガス噴出量を調節することが考えられるが、密閉性容器111内のエアロゾル118は乱流状態でエアロゾル排出管115内に導入されるので、膜厚の制御性は悪いと考えられる。
【0006】
更に、モータ116の回転軸は密閉性容器111の底壁を貫通して内部の容器112の底壁に固定されているので、回転軸を貫通させるために、何らかのシール機構が必要である。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされ、装置をコンパクトかつ構造を簡単にして膜厚の制御性のよい超微粒子の膜形成方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題は、密閉性容器内に超微粒子粉を収容し、前記密閉性容器に気密に接続させた巻上げガス供給管のガス噴出口から巻き上げガスを噴出させて、前記密閉性容器内に前記超微粒子のエアロゾルを発生させ、前記密閉性容器に気密に接続させた搬送管を通って、前記エアロゾルを膜形成室内に導入して、該膜形成室内に配設された基板上に前記密閉性容器内と前記膜形成室内との差圧により前記超微粒子の膜を形成させるようにした超微粒子の膜形成方法において、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口を前記超微粒子粉内に埋設し前記密閉性容器に気密に接続させた搬送ガス供給管からの搬送ガスを整流して、前記密閉性容器内に供給し、該搬送ガスにより前記搬送管を通って前記エアロゾルを前記膜形成室内に導入するようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成方法、によって解決される。
【0009】
また、以上の課題は、微粒子粉を収容する密閉性容器と、該密閉容器に気密に接続された巻き上げガス供給管と、前記密閉性容器に気密に接続された搬送管と、該搬送管に接続された膜形成室とを備え、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口から巻上げガスを噴出させて前記密閉性容器内にエアロゾルを発生させ、該エアロゾルを前記搬送管を通って前記膜形成室内に導入して前記膜形成室内に配設された基板上に付着させるよぅにした超微粒子の膜形成装置において、前記密閉性容器に更に気密に搬送ガス供給管を接続させ、該搬送ガス供給管のガス排出口には整流器を設け、該整流器から噴出される整流ガスを前記密閉性容器内に噴出させ、かつ、前記巻き上げガス供給管の噴出口は前記超微粒子粉内に配置され、前記噴出口から噴出される巻上げガスにより発生されるエアロゾルを前記整流ガスにより前記搬送管内を搬送し、前記膜形成室内に配設された基板上に超微粒子の膜を付着させるようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成装置、によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成により、装置全体は小型化され、基板上に制御性良く、安定して超微粒子の膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[発明の実施の形態]
図1は本発明における第1実施形態の超微粒子の膜形成装置1の全体を示すが、エアロゾル発生装置2は密閉性容器からなっており、その内部詳細は図2で示されている。側壁部には巻き上げガス供給管3が気密に接続されている。これには不活性ガスがボンベ12から供給される。流量調整バルブ13、開閉バルブ14が接続されている。巻き上げガス供給管13内の圧力が図示する位置で圧力計15で測定される。
【0012】
また、搬送ガス供給管4が上壁部に気密に接続され、これにも同様にボンベ16から不活性ガスが供給される。17は流量調整バルブ、18は開閉バルブ、15は圧力計である。
【0013】
上壁部には更に搬送管5が接続され、これは開閉バルブ6を介して膜形成室7へと導入される。端部にはノズル8が接続される。膜形成室7内にはノズル8に対向して基板10が配設され、これは移動台9の上に載置されている。移動台9は搬送機11によって左右に搬送される。
【0014】
図2はエアロゾル発生装置2の内部詳細を簡略化して示す。なお、図を簡略化するために図1とは配管接続部を変えているが、勿論、同等である。
【0015】
密閉性容器Q1の上壁部に上述の巻き上げガス供給管3、搬送管5及び搬送ガス供給管4が気密に固定されている。なお図1において、対応する部分には同一の符号を付すものとする。
【0016】
搬送ガス供給管4の密閉性容器Q1内にある排出端部には整流器24が取り付けられている。この詳細は図3に示すが、これによって搬送ガス供給管4から噴出される搬送ガスは整流されて密閉性容器Q1内に排出される。
【0017】
密閉性容器Q1の底壁部には傾斜ブロック25が固定され、その傾斜面25a上に超微粒子粉Mを収容させている。巻き上げガス供給管3の下端のガス噴出口3aは超微粒子粉M内に埋設され、その底部に接近して配設されている。
【0018】
図3には整流器24の一例が示されているが、フィルタ部24aの長さLは約110mmでありフィルタ孔径は約3μmφであり、全周囲面積の50パーセントを占めている。この全周囲から整流ガスが密閉性容器Q1内の空間に排出される。端面図(B)において4aは搬送ガス供給管の接続口である。
【0019】
ガス通過面積が広く、かつ孔径が均一化されていることにより、大流量のガス供給においてもエアロゾルの流れを乱すことなく層流状態が達成できる。ガス供給口との接続径は1/4インチ径である。1/4インチ径に25SLMのガス流量を流すと流速は25m/sとなり、整流器24の孔での流速は1/100の0.25m/sである。エアロゾルの巻き上げ供給管3の噴出口3aから搬送管5の入口への流れ(0.25m/sよりはるかに大きい流速)を何ら乱すことがない。
【0020】
なお本実施形態に適用される超微粒子粉は一次平均粒子径が30nmのアルミナ粉である。またボンベ12と16には不活性ガスとしてヘリウムガスが充填され、巻き上げガスおよび搬送ガス源として用いられる。
【0021】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。
【0022】
まず必要に応じて膜形成室7及び密閉性容器Q1内を図示しない真空排気系により真空排気する。ボンベ12から巻き上げガス供給管3を通ってヘリウムガスを密閉性容器Q1内に供給する。またボンベ16からも搬送ガス供給管4を通ってヘリウムガスが密閉性容器Q1内に供給される。整流器24により搬送ガスは整流されて密閉性容器Q1内の空間に排出される。
【0023】
巻き上げガス供給管3の噴出口3aは超微粒子粉体M内にあるので、その周りの超微粒子粉を上方へと巻き上げる。もしくは吹き上げる。
【0024】
巻き上げガス供給管3の噴出口3aは粉体Mの底部にあるが、その周囲に超微粒子粉が存在する限り、連続的に超微粒子のエアロゾルを上方に発生させる。
【0025】
搬送ガス供給管4からのガス圧と膜形成室7内の圧力との差圧に応じた速さで搬送管5内へエアロゾルがヘリウム搬送ガスにより膜形成室7へと搬送される。
【0026】
ノズル8から搬送ガスにより搬送されてきたエアロゾルが基板10に向かって噴出される。搬送機11により搬送台9は所定の速さで所定の方向に移動される。基板10上には、上記速さに応じた厚さの超微粒子膜が形成される。
【0027】
傾斜板25の傾斜面25aの傾斜角に応じて粉体Mの減量と共に、粉体レベルが低下してくる。しかしながら、巻き上げガス供給管3の噴出口3aが粉体M内に埋設している限り、エアロゾルを発生し続ける。しかも搬送ガス供給管4からの搬送ガスは整流器24により整流されて密閉性容器Q1内に供給されるので、安定した速さで、エアロゾルが膜形成室7内に導入される。
【0028】
巻き上げガスの流量を変えて、基板10上に形成される膜厚がどのように変わるか実験した。
【0029】
使用したノズル8は、開口部が幅5mm×スリット0.3mmの幅広ノズル、搬送管5は1/4インチφのテフロン(商標)チュウブを使用した。差圧は100kPa、基板10の駆動速度は2mm/sec、積層回数は40回、基板加熱は120℃とした。
【0030】
図4はその結果を示す。そのグラフから明らかなように巻き上げガス流量(SLM)と膜厚(μm)との関係はかなり厳密に比例関係となっている。これにより本発明によれば超微粒子の基板上の膜厚管理を正確に行うことができる。
【0031】
又本実施の形態によれば、巻き上げガス供給管3からのガス供給を停止すれば、すなわちバルブ14を閉じると、直ちに膜形成を停止することができる。エアロゾルの供給を停止することができる。いわゆるシャッタ機能を果たすことができる。エアロゾル搬送経路中に何らシャッタを配設しなくても、バルブ14を閉じるだけでよい。なお、停止中も搬送ガス供給管4からのガス供給は続行される。これにより、搬送管5の内壁に付着せんとするエアロゾルを除去することができる。
【0032】
また搬送ガス供給管4に通す搬送ガスの圧力を増大させると、すなわち、密閉性容器Q1内と膜形成室7との間の差圧を増大させると、膜の密着力及び膜の緻密度を上げることができる。搬送ガスが整流器24により、層流として密閉性容器Q1内空間から搬送管へ導入され、これによりエアロゾルを搬送するので、上記差圧と膜の密着力、膜の緻密度とは強い相関関係を有する。乱れがない。
【0033】
膜の形成作業の時間と共に傾斜板25上の粉体Mは減少していくが、巻き上げガス供給管3の噴出口3aのレベルにまで超微粒子粉Mのレベルが低下すると、噴出口3aの周囲には超微粒子粉が存在しなくなるので、エアロゾルが発生しなくなる。
【0034】
更に膜形成するためには、バルブ21を開放してホッパ20から超微粒子粉が供給管22を通って密閉性容器Q内の傾斜板25上に供給される。再び図2に示す状態にまで粉体が充填されるとホッパ20からの粉体の供給が停止される。以後、上述の作用が繰り返される。なお、供給管22と密閉容器Q1との接続部やホッパ20と外気との間にはシール手段が設けられているものとする。また、ホッパ20から粉体の排出は振動器やスクリューコンベヤなどで行えばよい。
【0035】
図5は第2の実施の形態を示す。密閉容器Q2の他は、第1実施形態と同様である。
【0036】
すなわち本実施形態では、密閉性容器Q2の底壁部に矢印の方向に振動力を加える振動器Vが取り付けられる。巻き上げガス供給管3の噴出口3aは密閉性容器Q2の底面近くに位置するように巻き上げガス供給管3が配設される。膜形成作用は第一実施形態と同様であるが、時間と共に粉体Mが減量してきても、振動で粉が水平になるようにならされて、粉体が殆ど、空近くなるまでエアロゾルを連続的に発生し続ける。噴出口3aのまわりに超微粒子粉がなくなる、もしくは少なくなるということがない。なお振動器Vの構成によっては密閉性容器Q2全体を例えばコイルバネで床上に支持するようにしてもよい。
【0037】
図6は第3実施形態のエアロゾル発生器2の密閉容器Q3を示すが第一実施形態と異なるのは、側壁部に振動器Vを取り付けていることである。これにより傾斜台25の傾斜面25a上の粉体のすべりをよくしている。
【0038】
勿論、粉体と傾斜面25aとの摩擦係数が小さければ第一実施形態のように振動器Vは不要である。なお、振動力の方向は図示する矢印の方向に対して垂直の方向であってもよい。
【0039】
図7は第4実施形態を示すが、本実施形態では密閉性容器Q4全体が所定角度傾斜される。巻き上げガス供給管3の噴出口3aは粉体Mの最低部に位置される。作用は上記実施形態と同様である。
【0040】
図8は第5実施形態を示すが第1実施形態の構成に加えて密閉性容器Q5の底壁に振動器Vを固定させている。矢印の方向に振動力が加えられる。作用は第2実施形態と同様である。
【0041】
図9は第6実施形態を示すが密閉性容器Q6は円錐形状である。粉体は底部に収容される。円錐形容器Q6の内周壁面に沿って粉体が滑り落ちる。外周壁に固定された振動器Vにより、これが助長される。巻き上げガス供給管3の下端部は図示するように曲げられ、その噴出口3aができるだけ粉体の底部にあるようにされる。
【0042】
図10は第7実施形態を示すが密閉性容器Q7は四角錘形状である。これでも第6実施形態と同様な作用を行うことは明らかである。なお、図10では巻き上げガス供給管3、搬送ガス供給管4などは図示省略されている。
【0043】
図11は第8実施形態を示すが、この密閉性容器Q8の底部には溜め形成装置30が形成されている。ブロック部30Aの傾斜面32上には新規粉溜め部A、ブロック部30Bの傾斜面34上にはエアロゾル粉溜め部B、この右方には廃棄粉溜め部Cが形成されている。
【0044】
傾斜面32は矢印方向の振動力が振動器Vによって加えられる。これにより傾斜面32上の粉体は傾斜面32に沿う搬送力を受け、連続的に、かつ定量で最上層部の粉から隣のエアロゾル溜め部Bへ落下する。
【0045】
エアロゾル粉溜め部Bの粉体は、膜形成時間と共に減少していかんとするのであるが、上流側からの粉体の供給により溜め部Bの粉体のレベルはほぼ一定に保たれるが、オーバフロー気味に粉が供給され、このオーバフロー分は隣の廃棄粉溜め部C内へと排出される。
【0046】
超微粒子の種類や性状にもよるが溜め部B内で超微粒子が凝集し易いものがあり、凝集粉は溜め部の粉体の上層部を占めやすい。従って、ここでオーバフローした分は廃棄すべき粉であり、エアロゾルとして膜形成室7内に導入すれば、基板上の膜質を劣化するからである。
【0047】
別な見方をすれば、ある巻き上げ供給ガス圧では舞い上がらない大きさの粒子サイズであり、ガスデポジション成膜には不可とされるものである。巻き上げ供給管3の噴出口3aの周囲には粒径が一次的な超微粒子だけが存在しておれば、あるいは優先的に存在しておれば、これから発生するエアロゾルは良好な膜質の膜を基板上に形成させる。
【0048】
巻き上げにくい粉は一般的には溜め部Bの上層部を占めるので、前述したようにオーバフローさせるだけで廃棄粉溜め部Cへ廃棄することができ、間歇的に、例えば傾斜板を溜め部Cへと傾斜させて(シーソーの如く)廃棄するようにしても良い。あるいは、上流側の溜め部Aと同様に、ブロック30B内に振動器Vを取り付けて強制的に、かつ定量的に隣の溜め部Cへ排出するようにしても良い。
【0049】
なお、前述の実施形態においては、巻き上げ管3の噴出口3aのレベルまで粉体が減量するまでエアロゾルとして用いるように説明したが、勿論、途中で新規粉を上に供給するようににしても良い。あるいは、噴出口3aのレベルまでが減量せずともすべて排出して(シール性のゲートが必要となる)、この後、新規の超微粒子粉を充填させるようにしても良い。
【0050】
なおG1及びG2はそれぞれのぞき窓であり、密閉性容器Q8内のエアロゾルの発生状況、各溜め部A、B、Cの粉の溜まり状況などを常時観測させることができる。この観測結果に応じてホッパからの超微粒子の供給を調節することができる。なお廃粉溜め部Cの粉体はバルブ36を開放して、例えば真空排出手段により外方へと排出することができる。
【0051】
以上本発明の実施形態を説明したが勿論、本発明はこれらに限定されることなく本発明の技術的思想に基づいて種々の変形は可能である。
【0052】
例えば、以上の実施形態では、超微粒子としてアルミナの粉を説明したが、これに限ることなく、他の金属超微粒子でもよく、または金属でなくても良く、例えばセラミック粉のように壊れ易い粒子であってもよい。差圧も超微粒子の性状に応じて、適宜、調節可能としても良い。
【0053】
図11の新規粉溜め部Aの溜め容量を更に大きくして、ここから定量のひしゃくで連続的に、あるいは間歇的に粉をかい出して溜め部Bへ供給するようにしてもよい。この場合は勿論、外部のホッパ20や供給管22を省略することができる。あるいは溜め部Aを傾斜板で形成し、この傾斜を溜め部Bに向かって下向きに間歇的に傾動するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
基板上に超微粒子の膜を精度良く、正確な膜厚で膜質を良好にして形成するのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態の超微粒子の膜の形成装置の全体を示す配管系統図である。
【図2】図1におけるエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図3】図2における整流器の半部断面図(A)及び端面図(B)である。
【図4】巻き上げガス流量と膜厚との関係を示す実験結果を表すグラフである。
【図5】第2実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図6】第3実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図7】第4実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図8】第5実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図9】第6実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図10】第7実施形態のエアロゾル発生装置を示し、Aは平面図、Bは側面図である。
【図11】第8実施形態のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【図12】従来例のエアロゾル発生装置の詳細断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…超微粒子の膜形成装置、2…エアロゾル発生装置、3…巻き上げガス供給管、4…搬送ガス供給管、5…搬送管、7…膜形成室、8…ノズル、10…基板、12…ボンベ、13…流量調整バルブ、16…ボンベ、17…流量調整バルブ、20…ホッパ、21…開閉バルブ、22…超微粒子粉供給管、24…整流器、25…傾斜ブロック、32…傾斜面、34…傾斜面、Q1〜Q8…密閉性容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉性容器内に超微粒子粉を収容し、前記密閉性容器に気密に接続させた巻上げガス供給管のガス噴出口から巻き上げガスを噴出させて、前記密閉性容器内に前記超微粒子のエアロゾルを発生させ、前記密閉性容器に気密に接続させた搬送管を通って、前記エアロゾルを膜形成室内に導入して、該膜形成室内に配設された基板上に前記密閉性容器内と前記膜形成室内との差圧により前記超微粒子の膜を形成させるようにした超微粒子の膜形成方法において、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口を前記超微粒子粉内に埋設し容器に気密に接続させた搬送ガス供給管からの搬送ガスを整流して、前記密閉性容器に供給し、該搬送ガスにより前記搬送管を通って前記エアロゾルを前記膜形成室内に導入するようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成方法。
【請求項2】
前記エアロゾルの前記膜形成室内への導入中は常に、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口は前記超微粒子粉内に埋設されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項3】
前記巻き上げガス供給管のガス流量を調節することにより前記基板上の膜厚を制御するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項4】
前記搬送管の搬送ガスのガス供給圧力により前記差圧を調節するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項5】
前記巻上げガス供給管の巻上げガスの供給停止により前記搬送管内へのエアロゾルの供給停止を行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項6】
前記密閉性容器に振動力を加えることにより前記巻き上げガス供給管のガス噴出口の周りには常に超微粒子粉が存在するようにしたことを特徴とする請求項1乃至5に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項7】
前記密閉性容器内に連続的または間歇的に新規の超微粒子粉を供給するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項8】
前記密閉容器内に超微粒子粉体の溜め部を3個設け、このうち第1の溜め部には新規の超微粒子粉体が収容され、第2の溜め部にはエアロゾル発生用の超微粒子粉体が収容されて、前記巻き上げガス供給管のガスの噴出口が埋設されており、第3の溜め部には廃棄すべき超微粒子粉体が収容されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至6に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項9】
超微粒子粉を収容する密閉性容器と、該密閉性容器に気密に接続された巻き上げガス供給管と、前記密閉性容器に気密に接続された搬送管と、該搬送管に接続された膜形成室とを備え、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口から巻上げガスを噴出させて前記密閉性容器内にエアロゾルを発生させ、該エアロゾルを前記搬送管を通って前記膜形成室内に導入して前記膜形成室内に配設された基板上に付着させるよぅにした超微粒子の膜形成装置において、前記密閉性容器に更に気密に搬送ガス供給管を接続させ、該搬送ガス供給管のガス排出口には整流器を設け、該整流器から噴出される整流ガスを前記密閉性容器内に噴出させ、かつ,前記巻き上げガス供給管の噴出口は前記超微粒子粉内に埋設され、前記噴出口から噴出される巻上げガスにより発生されるエアロゾルを前記整流ガスにより前記搬送管内を搬送し、前記膜形成室内に配設された基板上に超微粒子の膜を付着させるようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成装置。
【請求項10】
前記巻き上げガス供給管の噴出口からの噴出ガスにより噴出口周囲の超微粒子粉から連続的にエアロゾルを発生させるための超微粒子供給手段を設けたことを特徴とする請求項9に記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項11】
前記超微粒子供給手段は前記密閉性容器の底部に設けられ、前記噴出口側に超微粒子粉を集める働きをする傾斜面であることを特徴とする請求項10に記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項12】
前記超微粒子供給手段は前記密閉性容器に取り付けられた振動器であることを特徴とする請求項10または11に記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項13】
前記搬送ガス供給管にはガス供給流量調整手段が設けられており、そのガス供給により前記密閉性容器の圧力を調整する手段が設けられていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項14】
前記巻上げガス供給管には前記密閉性容器内に巻上げガスを供給、停止するためのバルブが接続されていることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項15】
前記密閉性容器内に超微粒子粉の貯蔵部を設け、該貯蔵部に外部から超微粒子粉を連続的または間歇的に供給するようにし、前記貯蔵部から連続的または間歇的に前記傾斜面上に堆積されている超微粒子粉上に超微粒子粉を供給するようにしたことを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項1】
密閉性容器内に超微粒子粉を収容し、前記密閉性容器に気密に接続させた巻上げガス供給管のガス噴出口から巻き上げガスを噴出させて、前記密閉性容器内に前記超微粒子のエアロゾルを発生させ、前記密閉性容器に気密に接続させた搬送管を通って、前記エアロゾルを膜形成室内に導入して、該膜形成室内に配設された基板上に前記密閉性容器内と前記膜形成室内との差圧により前記超微粒子の膜を形成させるようにした超微粒子の膜形成方法において、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口を前記超微粒子粉内に埋設し容器に気密に接続させた搬送ガス供給管からの搬送ガスを整流して、前記密閉性容器に供給し、該搬送ガスにより前記搬送管を通って前記エアロゾルを前記膜形成室内に導入するようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成方法。
【請求項2】
前記エアロゾルの前記膜形成室内への導入中は常に、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口は前記超微粒子粉内に埋設されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項3】
前記巻き上げガス供給管のガス流量を調節することにより前記基板上の膜厚を制御するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項4】
前記搬送管の搬送ガスのガス供給圧力により前記差圧を調節するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項5】
前記巻上げガス供給管の巻上げガスの供給停止により前記搬送管内へのエアロゾルの供給停止を行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項6】
前記密閉性容器に振動力を加えることにより前記巻き上げガス供給管のガス噴出口の周りには常に超微粒子粉が存在するようにしたことを特徴とする請求項1乃至5に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項7】
前記密閉性容器内に連続的または間歇的に新規の超微粒子粉を供給するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項8】
前記密閉容器内に超微粒子粉体の溜め部を3個設け、このうち第1の溜め部には新規の超微粒子粉体が収容され、第2の溜め部にはエアロゾル発生用の超微粒子粉体が収容されて、前記巻き上げガス供給管のガスの噴出口が埋設されており、第3の溜め部には廃棄すべき超微粒子粉体が収容されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至6に記載の超微粒子の膜形成方法。
【請求項9】
超微粒子粉を収容する密閉性容器と、該密閉性容器に気密に接続された巻き上げガス供給管と、前記密閉性容器に気密に接続された搬送管と、該搬送管に接続された膜形成室とを備え、前記巻き上げガス供給管のガス噴出口から巻上げガスを噴出させて前記密閉性容器内にエアロゾルを発生させ、該エアロゾルを前記搬送管を通って前記膜形成室内に導入して前記膜形成室内に配設された基板上に付着させるよぅにした超微粒子の膜形成装置において、前記密閉性容器に更に気密に搬送ガス供給管を接続させ、該搬送ガス供給管のガス排出口には整流器を設け、該整流器から噴出される整流ガスを前記密閉性容器内に噴出させ、かつ,前記巻き上げガス供給管の噴出口は前記超微粒子粉内に埋設され、前記噴出口から噴出される巻上げガスにより発生されるエアロゾルを前記整流ガスにより前記搬送管内を搬送し、前記膜形成室内に配設された基板上に超微粒子の膜を付着させるようにしたことを特徴とする超微粒子の膜形成装置。
【請求項10】
前記巻き上げガス供給管の噴出口からの噴出ガスにより噴出口周囲の超微粒子粉から連続的にエアロゾルを発生させるための超微粒子供給手段を設けたことを特徴とする請求項9に記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項11】
前記超微粒子供給手段は前記密閉性容器の底部に設けられ、前記噴出口側に超微粒子粉を集める働きをする傾斜面であることを特徴とする請求項10に記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項12】
前記超微粒子供給手段は前記密閉性容器に取り付けられた振動器であることを特徴とする請求項10または11に記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項13】
前記搬送ガス供給管にはガス供給流量調整手段が設けられており、そのガス供給により前記密閉性容器の圧力を調整する手段が設けられていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項14】
前記巻上げガス供給管には前記密閉性容器内に巻上げガスを供給、停止するためのバルブが接続されていることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の超微粒子の膜形成装置。
【請求項15】
前記密閉性容器内に超微粒子粉の貯蔵部を設け、該貯蔵部に外部から超微粒子粉を連続的または間歇的に供給するようにし、前記貯蔵部から連続的または間歇的に前記傾斜面上に堆積されている超微粒子粉上に超微粒子粉を供給するようにしたことを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の超微粒子の膜形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−169606(P2006−169606A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366257(P2004−366257)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(504273254)有限会社 渕田ナノ技研 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(504273254)有限会社 渕田ナノ技研 (9)
【Fターム(参考)】
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