説明

超格子構造のウェル層及び/又は超格子構造のバリア層を有する発光ダイオード

【課題】活性領域内のウェル層とバリア層の格子不整合による結晶欠陥の発生を減少させることができる発光ダイオードを提供すること。
【解決手段】N型の窒化ガリウム系化合物半導体層とP型の窒化ガリウム系化合物半導体層との間に活性領域を有する発光ダイオードにおいて、前記活性領域が超格子構造のウェル層及び/又はバリア層を有する。超格子構造のウェル層及び/又は超格子構造のバリア層を採用することにより、ウェル層とバリア層との間の格子不整合による欠陥の発生を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに関し、より詳しくは、超格子構造のウェル層及び/又は超格子構造のバリア層を有する発光ダイオードに関する。
【0002】
一般に、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)等のようなIII族元素の窒化物は、熱的安定性に優れ、直接遷移型のエネルギーバンド構造を有しており、最近、青色及び紫外線領域の発光ダイオード用物質として多くの脚光を浴びている。特に、窒化インジウムガリウム(InGaN)化合物半導体は、狭いバンドギャップにより、多くの注目を集めている。このような窒化ガリウム系化合物半導体を用いた発光ダイオードは、大規模の天然色フラットパネルディスプレイ、バックライト光源、信号灯、室内照明、高密度光源、高解像度出力システム、及び光通信等の様々な応用分野に活用されている。また、近紫外線を放出する発光ダイオードは、偽金鑑識、樹脂硬化及び紫外線治療等に用いられており、また、蛍光体と組み合わせられ、様々な色相の可視光線を具現することができる。
【0003】
図1は、従来の発光ダイオードを説明するための断面図である。
図1を参照すると、発光ダイオードは、N型半導体層17とP型半導体層21を有し、前記N型及びP型半導体層17、21間に活性領域19が介在される。前記N型半導体層及びP型半導体層は、III族元素の窒化物半導体層、すなわち、(Al、In、Ga)N系化合物半導体層で形成される。一方、活性領域19は、一つのウェル層を有する単一量子井戸構造であり、又は、図示のように、複数個のウェル層を有する多重量子井戸構造で形成される。多重量子井戸構造の活性領域は、InGaNウェル層19aとGaN又はAlGaNバリア層19bが交互に積層され形成される。前記ウェル層19aは、N型及びP型半導体層17、21及びバリア層19bに比べて、バンドギャップの小さな半導体層で形成され、電子と正孔が再結合される量子井戸を提供する。
【0004】
このようなIII族元素の窒化物半導体層は、六方晶系構造を有するサファイアや炭化ケイ素(SiC)等の異種基板11にて、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)等の工程を通じて成長される。しかしながら、III族元素の窒化物半導体層が異種基板11上に形成される場合、半導体層と基板との間の格子定数及び熱膨張係数の差により、半導体層内にクラックまたは反りが発生し、転位が生成してしまう。
【0005】
これを防ぐために、基板11上にバッファ層が形成され、一般に、低温バッファ層13と高温バッファ層15が形成される。低温バッファ層13は、一般に、AlGa1−xN(0≦x≦1)であり、MOCVD工程等を用いて400〜800℃の温度で形成される。次いで、低温バッファ層13上に高温バッファ層15が形成される。高温バッファ層15は、900〜1200℃の温度でGaN層で形成される。これにより、N型GaN層17、活性領域19、及びP型GaN層21の結晶欠陥を相当除去することができる。
【0006】
しかしながら、バッファ層13、15の採用にもかかわらず、活性領域19内の結晶欠陥密度は依然として高い方である。特に、活性領域19は、電子と正孔の結合効率を高くするために、N型GaN層17及びP型GaN層21に比べて、バンドギャップの小さな半導体層で形成され、また、ウェル層19aは、バリア層19bに比べて、バンドギャップの小さな半導体層で形成され、一般に、Inを多く含有する。Inは、Ga及びAlに比べて相当大きいため、ウェル層の格子定数がバリア層の格子定数に比べて相対的に大きい。これにより、ウェル層19aとバリア層19bとの間に、また、ウェル層19aとN型半導体層17との間に、格子不整合が生じ、このような層間の格子不整合は、ピンホール、表面粗さ等を発生させ、ウェル層の結晶質を減少させ、光効率を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、活性領域内のウェル層とバリア層の格子不整合による結晶欠陥の発生を減少させることができる発光ダイオードを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、活性領域内の結晶欠陥の発生を減少させると共に、活性領域の表面粗さを改善した近紫外線発光ダイオードを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によると、超格子構造のウェル層を有する発光ダイオードを提供する。本発明の一態様による発光ダイオードは、N型の窒化ガリウム系化合物半導体層とP型の窒化ガリウム系化合物半導体層との間に活性領域を有する発光ダイオードにおいて、前記活性領域内に超格子構造のウェル層とバリア層を有する。超格子構造のウェル層を採用することにより、ウェル層とバリア層との間の格子不整合による欠陥の発生を減少させることができる。
【0010】
前記超格子構造のウェル層は、InN及びGaNを交互に成長させて形成された超格子構造であってもよく、前記バリア層は、GaNで形成されてもよい。前記ウェル層のIn組成を調節し、紫外線または可視光線領域の光を具現することができる。
【0011】
前記ウェル層は、InGa1−xN及びInGa1−yNが交互に積層された超格子構造であってもよく、ここで、0≦x、y≦1であり、x>yである。
一方、前記バリア層も超格子構造であってもよい。これにより、前記ウェル層とバリア層との間の格子不整合による欠陥の発生をさらに減少させることができる。
【0012】
前記超格子構造のバリア層は、InN及びGaNを交互に成長させて形成された超格子構造であってもよい。また、前記超格子構造のバリア層は、InGa1−uN及びInGa1−vNが交互に積層された超格子構造であってもよく、ここで、0≦u、v≦1であり、u>vである。
【0013】
前記InvGa1−vNは、前記超格子構造のウェル層に比べて、相対的にバンドギャップが大きい。例えば、前記ウェル層のInxGa1−xNと比べて、前記InvGa1−vNは、Inを少なく含有する。
【0014】
本発明の他の態様によると、超格子構造のバリア層を有する近紫外線発光ダイオードを提供する。本発明の他の態様による近紫外線発光ダイオードは、N型の窒化ガリウム系化合物半導体層とP型の窒化ガリウム系化合物半導体層との間に活性領域を有する発光ダイオードにおいて、前記活性領域が、ウェル層と超格子構造のバリア層を有し、360〜410nmの波長範囲の近紫外線を放出することを特徴とする。超格子構造のバリア層を採用することにより、ウェル層とバリア層との間の格子不整合による欠陥の発生を減少させることができる。
【0015】
前記ウェル層は、InGaN層で形成され、前記バリア層は、InGaN及びGaNが交互に積層された超格子構造であってもよい。この際、前記ウェル層のInGaNは、バリア層のInGaNに比べて、Inをさらに多く含有する。これにより、前記ウェル層のIn組成を変化させて、近紫外線領域から多様な波長の光を放出する近紫外線発光ダイオードを提供することができる。
【0016】
一方、前記バリア層内のInGaNがInを多く含有するほど、ピンホールは減少するものの、ヒルロックが発生し得る。これは、Inがピンホールを充填してピンホールの発生を防止するが、Inが過度に増加する場合、余分のInによりヒルロックが生成するものと考えられる。したがって、バリア層内のInGaNのIn含量を適合に選択することにより、ピンホール及びヒルロックが発生することを防ぐことができる。
【0017】
いくつかの実施例において、前記ウェル層は、InGa(1−x)Nであり、前記バリア層は、InGa(1−y)N及びGaNが交互に積層された下部超格子と、InGa(1−y)N及びGaNが交互に積層された上部超格子と、前記下部超格子と上部超格子との間に介在され、InGa(1−z)N及びGaNが交互に積層された中部超格子と、を有してもよい。ここで、0<x<0.5、0<y<0.05、0<z<0.1、及びy<z<xであってもよい。本実施例によると、In含量の多い超格子が、In含量の少ない超格子間に配置される。これにより、In含量の異なる超格子を積層して、ピンホール及びヒルロックの発生を抑えることができる。
【0018】
他の実施例において、前記ウェル層及び超格子構造のバリア層内のInGaNの組成比は、0<x<0.5、0<y<0.1、0<z<0.05、及びz<y<xであってもよい。すなわち、上記の実施例とは異なり、In含量の多い超格子構造間に、In含量の少ない超格子構造を配置させて、ピンホール及びヒルロックの発生を抑えることができる。
【0019】
超格子構造内の各層は、一般に、30Å以下の厚さを有する。本実施例において、前記バリア層内のInGa(1−y)N、GaN、及びInGa(1−z)Nは、それぞれ2.5Å〜20Åの範囲の厚さを有してもよい。また、前記バリア層内の各層は、略同一の厚さを有して形成されてもよい。
【0020】
また、前記下部超格子は、InGa(1−y)N及びGaNが4〜10回交互に積層され、前記中部超格子は、InGa(1−z)N及びGaNが6〜20回交互に積層され、前記上部超格子は、InGa(1−y)N及びGaNが4〜10回交互に積層されてもよい。InGaN及びGaNの積層数は、前記バリア層の厚さを過度に増加させないながら、ピンホール及びヒルロックを抑えるように設定される。
【0021】
一方、前記活性領域は、単一量子井戸または多重量子井戸であってもよく、多重量子井戸の場合、前記ウェル層と前記超格子構造のバリア層が交互に積層された多重量子井戸であってもよい。
【0022】
これに加えて、前記ウェル層は、超格子構造のバリア層間に介在されてもよい。これにより、前記N型化合物半導体層またはP型化合物半導体層と前記ウェル層との間の格子不整合によるストレインを緩和することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、超格子構造のウェル層及び/又は超格子構造のバリア層を採用することにより、活性領域内での格子不整合による転位又はピンホール等の結晶欠陥の発生を減少させ、表面粗さを改善することができ、光効率を向上させることができる発光ダイオードを提供することができる。また、InGaNとGaNが交互に積層された超格子構造のバリア層を採用することにより、バリア層とウェル層との間の格子不整合を緩和することができる近紫外線発光ダイオードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の発光ダイオードを説明するための断面図である。
【図2】本発明の一実施例による超格子構造のウェル層を有する発光ダイオードを説明するための断面図である。
【図3】本発明の実施例による超格子構造のウェル層を説明するための断面図である。
【図4】本発明の他の実施例による発光ダイオードを説明するための断面図である。
【図5】本発明のまた他の実施例による超格子構造のバリア層を有する近紫外線発光ダイオードを説明するための断面図である。
【図6】本発明のまた他の実施例による超格子構造のバリア層を説明するために、図5の活性領域を拡大して示した断面図である。
【図7】本発明のまた他の実施例による超格子構造のバリア層を有する近紫外線発光ダイオードを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面に基づき、本発明の実施例について詳述する。以下に紹介される実施例は、本発明の思想を当業者に充分伝達するために、例として提供されるものである。したがって、本発明は、後述する実施例に限定されず、他の形態に具体化され得る。なお、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さ等は、便宜のために誇張して表現されることもある。明細書の全体にわたって、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0026】
図2は、本発明の一実施例による発光ダイオードを説明するための断面図である。
図2を参照すると、基板51上にN型化合物半導体層57が位置する。また、基板51とN型化合物半導体層57との間にバッファ層が介在されてもよく、前記バッファ層は、低温バッファ層53及び高温バッファ層55を有してもよい。前記基板51は、特に限定されず、例えば、サファイア、スピネル、炭化ケイ素基板等であってもよい。一方、低温バッファ層53は、一般に、AlGa1−xN(0≦x≦1)で形成されてもよく、前記高温バッファ層55は、例えば、アンドープGaN又はn型不純物ドープn型GaNであってもよい。
【0027】
前記N型化合物半導体層57の上部にP型化合物半導体層61が位置し、前記N型化合物半導体層57とP型化合物半導体層61との間に活性領域59が介在される。前記N型化合物半導体層及びP型化合物半導体層は、(Al、In、Ga)N系III族窒化物半導体層で形成されてもよい。例えば、前記N型化合物半導体層57及びP型化合物半導体層61は、それぞれN型及びP型GaN、又はN型及びP型AlGaNであってもよい。
【0028】
一方、前記活性領域59は、超格子構造のウェル層59aとバリア層59bを有する。前記活性領域59は、単一のウェル層59aを有する単一量子井戸構造であってもよく、図示のように、超格子構造のウェル層59a及びバリア層59bが交互に積層された多重量子井戸構造であってもよい。すなわち、多重量子井戸構造の活性領域59は、N型化合物半導体層57上に超格子構造のウェル層59a及びバリア層59bが交互に積層される。前記バリア層は、GaN又はAlGaNで形成されてもよい。
【0029】
前記ウェル層59aを超格子構造で形成することにより、ウェル層とバリア層との間の格子不整合により転位及びピンホール等の結晶欠陥が発生することを防ぐことができる。
図3は、本発明の実施例による超格子構造のウェル層を説明するために、図2の活性領域を拡大して示した断面図である。
【0030】
図3を参照すると、前記ウェル層59aは、InNとGaNを交互に成長させて形成された超格子構造であってもよい。例えば、MOCVD工程を用いて、チェンバ内にInソースとNソースを流入し、InNを成長させ、次いで、Inソースの流入を中断し、Gaソースを流入し、GaNを成長させ、再度、Gaソースの流入を中断し、Inソースを流入し、InNを成長させることを繰り返すことにより、超格子構造のウェル層59aが成長される。
【0031】
この際、前記InNを成長させる間、チェンバ内に残留するGaソースがInソース及びNソースと一緒に反応し、InGa1−xN層71aが形成されてもよく、また、GaNを成長させる間、チェンバ内に残留するInソースがGaソース及びNソースと一緒に反応し、InyGa1−yN層71bが形成されてもよい。ここで、0≦x、y≦1であり、x>yである。前記InGa1−xN層71a及びInGa1−yN層71bは、800〜900℃で、MOCVD技術を用いて、例えば、2.5〜20Å範囲の厚さで繰り返し形成されてもよく、InGa1−xN層71a内のInの組成を調節することにより、近紫外線や可視光線領域の光を具現することができる。
【0032】
本実施例において、前記ウェル層59aを超格子構造で形成することにより、ウェル層59aとバリア層59bとの間の格子不整合による結晶欠陥の発生を防ぐことができる。
一方、本実施例において、前記N型化合物半導体層57上にウェル層59aを先に形成するものと図示しているが、N型化合物半導体層57上にバリア層59bを先に形成し、次いで、ウェル層59aを形成してもよい。また、InGa1−xN層71aを先に形成し、InGa1−yN層71bを形成するものと図示及び説明しているが、その順序は入れ替えてもよい。
【0033】
図4は、本発明の他の実施例による発光ダイオードを説明するための断面図である。
図4を参照すると、図2及び図3を参照して説明したように、基板51上にバッファ層、N型化合物半導体層57、P型化合物半導体層61が位置し、前記N型化合物半導体層57とP型化合物半導体層61との間に活性領域59が介在される。また、前記活性領域59は、超格子構造のウェル層59a及びバリア層59bを含む。但し、本実施例において、前記バリア層59bも超格子構造を有する。
【0034】
前記超格子構造のバリア層59bは、図3を参照して説明したように、InNとGaNを交互に成長させて形成された超格子構造であってもよい。例えば、MOCVD工程を用いて、チェンバ内にInソースとNソースを流入し、InNを成長させ、次いで、Inソースの流入を中断し、Gaソースを流入し、GaNを成長させ、再度、Gaソースの流入を中断し、Inソースを流入し、InNを成長させることを繰り返すことにより、超格子構造のバリア層59bが成長される。
【0035】
この際、前記InNを成長させる間、チェンバ内に残留するGaソースがInソース及びNソースと一緒に反応し、InGa1−uN層73aが形成されてもよく、また、GaNを成長させる間、チェンバ内に残留するInソースがGaソース及びNソースと一緒に反応し、InGa1−vN層73bが形成されてもよい。ここで、0≦u、v≦1であり、u>vである。前記InGa1−uN層73a及びInGa1−vN層73bは、800〜900℃で、MOCVD技術を用いて、例えば、2.5〜20Å範囲の厚さで繰り返し形成されてもよい。
【0036】
一方、前記バリア層59bは、ウェル層59aに比べて広いバンドギャップを有する。一般的に、InGaN層において、In組成比が小さいほどInGaN層のバンドギャップが大きくなる傾向にあり、したがって、InGa1−vN層73bのIn組成比vが、前記InGa1−xN層(図3の71a)のIn組成比xに比べて、相対的に小さな値を有するようにInGa1−vN層73bが成長される。
【0037】
本実施例において、前記バリア層59bを超格子構造で形成することにより、ウェル層59aとバリア層59bとの間の格子不整合による結晶欠陥の発生をさらに防ぐことができる。
【0038】
一方、本実施例において、InGa1−uN層73aを先に形成し、InGa1−vN層73bを形成するものと図示及び説明しているが、その順序は入れ替えてもよい。
また、本発明の実施例において、N型化合物半導体層57とP型化合物半導体層61は、互いに位置を入れ替えてもよい。
【0039】
図5は、本発明のまた他の実施例による近紫外線発光ダイオードを説明するための断面図である。
図5を参照すると、図2を参照して説明したように、基板151上にN型化合物半導体層157が位置し、基板151とN型化合物半導体層157との間にバッファ層が介在されてもよい。前記バッファ層は、低温バッファ層153及び高温バッファ層155を有してもよい。また、前記N型化合物半導体層157の上部にP型化合物半導体層161が位置し、前記N型化合物半導体層157とP型化合物半導体層161との間に活性領域159が介在される。前記N型化合物半導体層及びP型化合物半導体層は、(Al、In、Ga)N系III族窒化物半導体層で形成されてもよい。例えば、前記N型化合物半導体層157及びP型化合物半導体層161は、それぞれN型及びP型GaN、又はN型及びP型AlGaNであってもよい。
【0040】
一方、前記活性領域159は、ウェル層159aと超格子構造のバリア層159bを有する。前記活性領域159は、単一のウェル層159aを有する単一量子井戸構造であってもよく、この際、前記超格子構造のバリア層159bは、前記ウェル層159aの下部及び/又は上部に位置する。また、前記活性領域159は、図示のように、ウェル層159a及び超格子構造のバリア層159bが交互に積層された多情量子井戸構造であってもよい。すなわち、N型化合物半導体層157上にInGaNウェル層159a及びバリア層159bが交互に積層され、前記バリア層159bは、InGaNとGaNが交互に積層された超格子構造を有する。ウェル層159aのInGaNは、360〜410nmの波長範囲の光を放出するようにIn含量が選択され、バリア層159b内のInGaNに比べてより多くのInを含み、量子井戸を形成する。
【0041】
バリア層159bを超格子構造で形成することにより、ウェル層とバリア層との間の格子不整合により、転位及びピンホール等の結晶欠陥が発生することを防ぐことができる。これに加えて、バリア層159bをInGaN/GaN超格子構造で形成することにより、従来、InGaNウェル層とAlGaNバリア層との間に発生する格子不整合をさらに緩和することができる。一方、バリア層159bのInGaNのIn含量を増加させると、ピンホールの生成は防ぐことができるが、ヒルロックが生じてしまう。ヒルロックは、余分のInがInGaN層上に残って形成されるものと考えられる。したがって、バリア層159bのIn含量を適宜調節して、ピンホールとヒルロックを抑えることができ、Inは、0.01〜0.1の範囲内で調節され得る。
【0042】
一方、本発明のいくつかの実施例において、ピンホールとヒルロックを抑えるための超格子構造のバリア層は、異なるIn含量を有するInGaNを有してもよく、以下にて詳細に説明する。
【0043】
図6は、本発明の一実施例によるIn含量の異なるInGaNを有する超格子構造のバリア層を説明するために、図5の活性領域を拡大して示した断面図である。
図6を参照すると、前記ウェル層159aは、InGa(1−x)Nと表され、ここで、0<x<0.5である。前記Inの組成は、360〜410nmの波長範囲の近紫外線を放出するように選択される。一方、前記超構造のバリア層159bは、InGa(1−y)N層171a及びGaN層171bが交互に積層された下部超格子171と、InGa(1−y)N層175a及びGaN層175bが交互に積層された上部超格子175と、前記下部超格子と上部超格子との間に介在された中部超格子173と、を有する。前記中部超格子173は、InGa(1−z)N及びGaNが交互に積層されて形成される。ここで、0<x<0.5、0<y<0.05、0<z<0.1、及びy<z<xであってもよい。
【0044】
前記下部超格子及び上部超格子のInGa(1−y)N層171a、175aは、中部超格子のInGa(1−z)N層173aに比べて、少ない含量のIn組成を有する。したがって、下部超格子171を形成した段階で、微細なピンホールが形成され得る。しかしながら、その後に形成される中部超格子173は、余分のInを含有し、前記ピンホールを充填してピンホールを除去する。一方、中部超格子173の余分のInは、ヒルロックを生成させ得、このような余分のInは、上部超格子175により除去される。本実施例によると、In含量の少ないInGaNを含む超格子構造と、In含量の多いInGaNを含む超格子構造を採用して、ピンホールとヒルロックを抑えることができる。
【0045】
前記下部、中部及び上部超格子171、173、175内のInGaN及びGaNは、交互に積層され、InGaNとGaNが対をなしてそれぞれ4〜10回、6〜20回、及び4〜10回繰り返し積層されてもよい。このような積層数は、InGaN及びGaNの厚さ、InGaN内のInの含量により変更され得、ピンホールとヒルロックの発生を制御するように設定される。
【0046】
本実施例において、下部及び上部超格子171、175内のInGaN層が、中部超格子173内のInGaN層に比べて、In含量が少ないものと説明しているが、下部及び上部超格子171、175内のInGaN層が、中部超格子173内のInGaN層に比べて、In含量が多くてもよい。すなわち、前記ウェル層及びバリア層内のIn組成比は、0<x<0.5、0<y<0.1、0<z<0.05、及びz<y<xを満たしてもよい。
【0047】
前記下部超格子171、中部超格子173及び上部超格子175内のInGaN及びGaNは、それぞれ800〜900℃でMOCVD技術を用いて形成されてもよく、前記バリア層159b内のInGaN及びGaNは、それぞれ2.5Å〜20Åの厚さに形成してもよく、略同一の厚さを有して形成されてもよい。
【0048】
一方、図6において、N型化合物半導体層157とウェル層159aが接触するものと図示されているが、図7に示すように、前記N型化合物半導体層157とウェル層159aとの間に、図6を参照して説明したような超格子構造のバリア層159bが介在されてもよい。N型化合物半導体層157とウェル層159aとの間に介在されたバリア層159bは、N型化合物半導体層157とウェル層159aとの間の格子不整合によるストレインを減少させ、ウェル層の結晶欠陥の発生を防ぐ。
【0049】
本発明の実施例において、N型化合物半導体層157とP型化合物半導体層161は、互いに位置を入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0050】
51,151…基板、53,153…低温バッファ層、55,155…高温バッファ層、57,157…N型化合物半導体層、59,159…活性領域、59a,159a…ウェル層、59b,159b…バリア層、61,161…P型化合物半導体層、71a…InGa1−xN層、71b…InGa1−yN層、73a…InGa1−uN層、73b…InGa1−vN層、171…下部超格子、171a…InGa(1−y)N、171b…GaN、173…中部超格子、173a…InGa(1−z)N、173b…GaN、175…上部超格子、175a…InGa(1−y)N、175b…GaN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N型の窒化ガリウム系化合物半導体層とP型の窒化ガリウム系化合物半導体層との間に活性領域を有する発光ダイオードにおいて、
前記活性領域は、超格子構造のウェル層と、超格子構造のバリア層とが交互に積層される構造を有し、
前記ウェル層は、InN及びGaNを交互に成長させて形成された超格子構造であり、
前記バリア層は、InN及びGaNを交互に成長させて形成された超格子構造であることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項2】
前記ウェル層は、InGa1−xN及びInGa1−yNが交互に積層された超格子構造であり、0≦x、y≦1であり、x>yであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記バリア層は、InGa1−uN及びInGa1−vNが交互に積層された超格子構造であり、0≦u、v≦1であり、u>vであり、v<xであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記バリア層は、InGa1−uN及びInGa1−vNが交互に積層された超格子構造であり、0≦u、v≦1であり、u>vであり、
前記InGa1−vNは、前記超格子構造のウェル層に比べて、相対的にバンドギャップが大きいことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42184(P2013−42184A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257990(P2012−257990)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2008−86945(P2008−86945)の分割
【原出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(506029004)ソウル オプト デバイス カンパニー リミテッド (101)
【Fターム(参考)】