説明

超電導磁石を用いたMRI装置

【課題】開放構造の超電導磁石でもクライオクーラーの着脱作業が安全で容易に行うことができるメンテナンス方法を提供する。
【解決手段】超電導磁石103のクライオクーラー装着位置に対して所定位置に予め設定した線に沿ってクライオクーラー106を移動させ、クライオクーラー106を超電導磁石103から取り外しまたは取り付ける。例えば、超電導磁石103あるいは周辺部に取付けた軌道401と、クライオクーラー106を搭載し、軌道401に沿って移動する移動体407とを用いる。これにより、交換前後のクライオクーラー106の位置合わせを容易におこなうことができるとともに、超電導磁石103の磁場によるクライオクーラー106の引き寄せに対抗できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング(以下、MRIと称する)装置に係わり、特に、クライオクーラーを備えたMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体を静磁場空間に配置して、その核磁気共鳴(以下、NMRと称する)信号から医学的診断画像を撮るMRI装置は、多様な撮像手法により、形態的な画像のみならず、生体の機能や代謝をも画像化することが可能であり、優れた病巣検出能を有する。その中でも、特許文献1に開示されている開放構造の超電導磁石を用いたMRI装置は、磁場強度が均一で強く、しかも被検者の配置される磁石内の空間が明るく開放的な印象を与えるという特長がある。しかしながら、開放構造の超電導磁石は、従来の円筒形状の超電導磁石と比較すると、クライオスタット内に収められる超電導コイルの支持機構の数が多く、しかもクライオスタットの表面積が大きくなるため、クライオスタット内への熱侵入が多くなる。そこで、特許文献2には、外部からの幅射熱を遮蔽する熱シールド板をクライオスタット内に多重に組込むとともに、気化したヘリウムガスをその沸点以下に再冷却して液体ヘリウムに戻す冷却能力を有するクライオクーラーをクライオスタットに取り付けることが開示されている。
【0003】
クライオクーラーは運転時間の経過に伴い、可動部分の磨耗や不純物の蓄積等により冷却能力が低下するため、定期的(通常は10,000時間毎)にメンテナンス作業を行って、冷却能力を維持回復する必要がある。特に、クライオクーラーは、ヘリウムを沸点(4.2ケルビン温度)以下にする冷却能力を維持していることが必要条件であり、クライオクーラーのメンテナンス作業がMRI装置を維持するために重要である。メンテナンス作業では、クライオクーラーを超電導磁石から取外す必要がある。
【0004】
従来、クライオクーラーの取外しは複数の作業者の人力で行なわれている。クライオクーラーは、先端部分がクライオスタットに設けられた挿入孔に挿入された構成であるため、取り外しの作業手順は、一人がクライオクーラーを持ち上げながら挿入孔から引抜き、もう一人が素早く挿入孔に蓋をし、クライオスタット内へ常温空気が侵入するのを防止するという手順になる。この作業を容易にするため、クライオクーラーの挿人孔に開閉可能なシャッター機構を取り付け、挿入孔を素早く塞ぐことができるようにした構造(特許文献3)や、挿入口にグローブボックスを取り付ける方法(特許文献4)が開示されている。また、クライオスタットにL字型の接続要素体を取り付けることにより、低い天井の部屋でもクライオクーラーを水平移動だけで着脱可能にした構造(特許文献5)なども開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−336216号公報
【特許文献2】特願2004−47391号公報
【特許文献3】特開平6−69029号公報
【特許文献4】特開2004−169991号公報
【特許文献5】特開2003−111745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した特許文献3〜5では、クライオクーラー交換時の挿入孔への常温空気の侵入や、クライオクーラーの移動方向については、改善が図られているが、それでもまだクライオクーラーのメンテナンス作業は容易ではなかった。開放構造の超電導磁石は、被検者の配置空間を挟んで上下に超電導コイルを配置するため、上側のクライオスタットの高さが高く、しかも天井との間の空間は狭くなっている。また、熱侵入量に対応した、大容量の冷却能力を有するクライオクーラーは大きくて重い(例えば長さ85cm、重さ30kg程度)ため、高くて狭い空間で、これを着脱する作業は、作業者にとって容易ではない。
【0007】
更に、クライオクーラーの内部には駆動モーター等の強磁性体が組込まれているため、クライオスタットから取り外した途端に、超電導磁石が形成する強い磁場によって引き寄せられ、作業員が意図しない方向に移動することがある。作業員は、クライオクーラーの重さだけでなく、超電導磁石がクライオクーラーを引き寄せる力に対抗してクライオクーラーを支えなければならないが、磁場による引き寄せ力は磁場空間に近い位置ほど強く作用するため、作業員が油断するとクライオクーラーが超電導磁石に衝突する可能性もある。
【0008】
また、クライオスタットに設けられたクライオクーラー挿入孔は、熱対流を防ぐためにクライオクーラーの外径に対して余分な間隙が生じないようにわずかなクリアランスに設計されているが、挿入孔とクライオクーラーとの中心軸を合わせる作業は、作業者の目視と人力で行われている。しかも、装着時には、常温の空気がクライオスタット内部に侵入しないように急いで作業を行う必要がある。そのため、作業員の目視で中心軸を合わせても、挿入孔の内側壁にクライオクーラーの先端を接触させることが避け難かった。クライオクーラーの先端部分は、ヘリウム液化の4.2ケルビン温度以下の冷却を達成する極めてデリケートな部分で、衝撃や、僅かな曲げモーメントの力が加わることにより、その冷却能力が悪影響を受けるという問題があった。
【0009】
特許文献3〜5の作業改善策を施したとしても、高所で狭い空間での作業であることや、超電導磁石の電磁力によりクライオクーラーが引き寄せられるという問題や、目視の中心軸合わせによりクライオクーラーの先端を挿入孔の内壁にクライオクーラーをぶつけるという問題は、解決できない。そればかりか、クライオクーラーの挿入孔にシャッター機構やグローブボックスが存在すると、作業員が中心軸を直視することが困難となり、かえって作業時間を要する場合もある。
【0010】
本発明の目的は、開放構造の超電導磁石であってもクライオクーラーの着脱作業が安全で容易に行うことができるメンテナンス方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法であって、
超電導磁石のクライオクーラー装着位置に対して所定位置に予め想定した線に沿ってクライオクーラーを移動させることにより、クライオクーラーを超電導磁石から取り外しまたは超電導磁石に取り付けるメンテナンス方法を提供する。このように、予め想定された線に沿ってクライオクーラーを移動させることにより、交換前後のクライオクーラーの位置合わせを容易におこなうことができるとともに、超電導磁石の磁場によるクライオクーラーの引き寄せに対抗できる。線は、例えば、クライオクーラー装着位置の中心軸の延長線と一致させる。
【0012】
例えば、線に沿ってクライオクーラーを移動させる際にクライオクーラーを支持する手段を超電導磁石あるいは周辺部に配置することができる。これにより、クライオクーラーの中心軸と、クライオクーラー装着位置の中心軸との位置関係を少なくとも上下方向について維持することが可能になる。
【0013】
上記クライオクーラーを支持する手段として、例えば、線に沿って超電導磁石あるいは周辺部に取付けた軌道と、クライオクーラーを搭載し、軌道に沿って移動する移動体とを有する構成を用いることができる。軌道は、少なくともその一部において曲線を描いているものを用いることができる。このとき、軌道の接線方向は、クライオクーラーが超電導磁石へ取り付けられる挿入孔の位置において、挿入孔の軸方向と平行にすることができる。
【0014】
上記クライオクーラーを搭載する移動体は、搭載したクライオクーラーの位置を少なくとも上下方向に調整する手段を有しているものを用いることができる。
【0015】
また、本発明の別の態様によれば、クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法であって、
超電導磁石またはその周辺に軌道を配置し、軌道に沿って移動する移動体を前記軌道に搭載し、
移動体に設けられたクライオクーラー搭載部の高さを、超電導磁石のクライオ挿入孔に装着されている状態のクライオクーラーと一致させた後、クライオクーラーをクライオクーラー搭載部に搭載し、
移動体を軌道に沿って超電導磁石から遠ざけた後、クライオクーラーをクライオクーラー搭載部から取り外し、移動体の前記クライオクーラー搭載部の高さを変更することなく、新たなクライオクーラーを搭載し、
軌道に沿って移動体を移動させ、新たなクライオクーラーを超電導磁石のクライオ挿入孔に装着するメンテナンス方法が提供される。
また、本発明によれば、以下のような磁気共鳴イメージング装置が提供される。すなわち、クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置であって、超電導磁石には、メンテナンス時にクライオクーラーを搭載した移動体を移動させるための軌道が備えられていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。このとき、軌道は曲線を描く構成にすることが可能であり、その場合軌道の接線方向はクライオクーラーが超電導磁石へ装着される挿入孔の位置において、挿入孔の軸方向と平行に設定する。
【0016】
また、本発明によれば、以下のような磁気共鳴イメージング装置が提供される。すなわち、クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置であって、超電導磁石には、メンテナンス時にクライオクーラーを移動させる際に用いる軌道を固定するための軌道固定部が備えられていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、開放構造の超電導磁石であってもクライオクーラーの着脱作業が安全で容易に行うことができる。これにより、クライオクーラーの冷却能力を保つことができるため、超電導磁石を高性能に維持した状態で運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態のオープンMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】図1に示すオープンMRI装置を構成する超電導磁石101の詳細構成を示す断面図。
【図3】図2のクライオスタット103の上部のクライオクーラー106とその挿入孔206の構造を示す断面図。
【図4】(a)第1の実施の形態においてクライオクーラー106の取り外しのためにレール401を取り付けた状態を示す説明、(b)レール401上の台車407にクライオクーラー106を固定し、移動させることを示す説明図。
【図5】第1の実施の形態において台車407にクライオクーラー106を固定した状態の正面図。
【図6】第1の実施の形態において台車407にクライオクーラー106(412)を搭載した状態の側面図。
【図7】第1の実施の形態の台車407の位置調整機構409の詳しい構成を示す断面図。
【図8】第2の実施の形態において曲線状レール601用いて、台車407でクライオクーラー106(412)を移動させる状態を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
第1の実施の形態のオープンMRI装置の全体概要を図1に示す。図1のように、このオープンMRI装置は、被検体102が配置される撮像空間に静磁場を発生するための開放構造の超電導磁石101と、超電導磁石101の冷媒(ヘリウム)を沸点以下に再冷却するためのクライオクーラー106と、撮像空間に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル108と、撮像空間に高周波磁場を照射する高周波コイル110と、被検体102からのNMR信号を検出する検出コイル112とを備えている。これらは、電磁遮蔽117によって覆われている。さらに、MRI装置は、クライオクーラー106に圧縮されたヘリウムガスを送る圧縮機ユニット107と、傾斜磁場コイル108に駆動電流を供給する傾斜磁場パワーアンプ109と、高周波コイル110に高周波電流を供給する高周波パワーアンプ111と、検出コイル112の検出信号を増幅する高周波増幅ユニット113と、これらの動作を制御するコンピュータ114と、ディスプレイ116とを備えている。これらは電磁遮蔽117の外側に配置され、フィルター回路118を介して電磁遮蔽117内の構成と接続されている。なお、図1は、被検体102を点線で示しているが、MRI装置のメンテナンス作業中は、実際には被検体102は配置されない。
【0021】
開放構造の超電導磁石101は、撮像空間を挟んで配置された上クライオスタット103と下クライオスタット104とを有する。そのため、撮像空間の前後左右は大きく開放された構造になっている。上クライオスタット103と下クライオスタット104は、図2に示すように、外側から順に真空容器211、熱シールド板209、ヘリウム容器203が配置された多層構造である。真空容器211は、15ミリメートル厚のステンレススチールで形成されている。真空容器211とヘリウム容器203の間隙は真空層になっており、その中間に存在する熱シールド板209と共にヘリウム容器203への熱侵入を防いでいる。
【0022】
上クライオスタット103と下クライオスタット104のヘリウム容器203の内部には、図2に示したようにそれぞれ超電導コイル201、202が収容され、撮像空間に静磁場を発生している。その磁場強度は、撮像空間の中心で0.7テスラであり、かつその磁場均一度は、直径40センチメートルの球空間で3ppm以下を達成している。なお、図2には上下のクライオスタット103,104にそれぞれ1つずつの超電導コイル201、202が配置されている例を示したが、通常は磁場強度および磁場均一度を高め、漏洩磁場強度を下げるために複数の超電導コイルが組み合わせて配置される。
【0023】
上クライオスタット103と下クライオスタット104の間には、連結管105が配置され、上下のクライオスタット103,104の内部空間を接続している。この連結管105により、上下に配置された超電導コイル201,202を電気的に接続することができる。また、連結管105により上クライオスタット103と下クライオスタット104をそれぞれ冷媒(液体ヘリウム)で満たすことができる。
【0024】
上クライオスタット103の上部には、図2および図3に示すように、L字型の蒸気貯めパイプ210が連接されている。蒸気貯めパイプ210は、クライオスタット103と同様の真空容器211、熱シールド板209、ヘリウム容器203の多層構造である。蒸気貯めパイプ210の開口206は、水平方向に向けられており、クライオクーラー挿入孔として用いられる。クライオクーラー挿入孔206には、クライオクーラー106の先端部(1段目ステージ207,2段目ステージ208)が挿入され、図3のようにクライオクーラー106のフランジ403がボルト404で真空容器211に固定されている。
【0025】
クライオクーラー106は、圧縮機ユニット107と接続されており、圧縮ヘリウムガスの供給を受ける。供給された圧縮ヘリウムガスは、クライオクーラー106内の蓄冷材が詰められた複数ステージ207,208を移動する過程で膨脹して、温度が低下し、徐々に蓄冷材を冷却する。本実施例では2段のステージを有しており、1段目ステージ207には鉛玉の蓄冷材が詰められ、2段目ステージ208にはホロビウム銅化合物(HoCu)の蓄冷材が詰められている。1段目ステージ207のアウターケースは50度ケルビン温度に、2段目ステージ208のアウターケースは3.7度ケルビン温度に冷却される。
【0026】
1段目ステージ207のアウターケースは、上クライオスタット103の熱シールド板209に熱接触しており、これを50度ケルビンまで冷却して幅射熱の侵入を極力低下させる。2段目ステージ208のアウターケースは、蒸気貯めパイプ210の内部空間に位置しており、クライオスタット103内で気化し、蒸気貯めパイプ210に貯まったヘリウムガスを直接その沸点(4.2度ケルビン温度)以下に冷却して、液体ヘリウムに戻す機能を有している。ここでは、直接ヘリウムガスを冷却する構造を用いているが、熱伝導の良好なインジューム材等を介して上ヘリウム容器203の一部を冷却する間接的な方法もある。
【0027】
1段目ステージ207のアウターケースと熱シールド板209とが接触する面の間には熱伝導の良好な材料、例えばインジューム線301が挟み込まれ、両接触面は噛み合わされている。これによって、接触面間の良好な熱伝導を実現している。
【0028】
傾斜磁場コイル108は、超電導磁石101の上下クライオスタット103、104の撮像空間側にそれぞれ配置されている。傾斜磁場コイル108は、超電導磁石101の開放的な構造を妨げることがないように平板構造であり、それぞれx、y、zコイル(図には示していない)を有する。上下一対の傾斜磁場コイル108のx、y、zコイルによって互いに直交する3軸方向に磁場勾配を生じさせる。例えば、上側のzコイルと下側のzコイルに電流が印加されると、上zコイルは、超電導磁石101の発生する磁束と同じ向きの磁束を発生し、下zコイルはそれとは180度向きの異なる磁束を発生する。この結果、撮像空間の垂直軸(z軸)の上から下に向けて磁束密度が徐々に少なくなる勾配が作られることになる。同様に、xコイルおよびyコイルも超電導磁石101の発生する磁場の磁束密度についてそれぞれx軸、y軸に沿って勾配を付与する。傾斜磁場パワーアンプ109は、傾斜磁場コイル108のxコイル、yコイル、zコイルにそれぞれ独立して所望の時間だけ電流を供給する。これにより、被検体102の検査部位の核スピンに三次元的な位置情報をラベリングすることができる。
【0029】
傾斜磁場コイル108の撮像空間側には、それぞれ高周波コイル110が組込まれている。この高周波コイル110も超電導磁石101の開放的な構造を妨げることがないように平板構造のコイルが採用されている。上下一対の高周波コイル110は、高周波パワーアンプ111より核スピンの共鳴周波数に対応した高周波電流の供給を受け、撮像空間の被検体102に高周波磁場を照射し、核スピンをほぼ一様に共鳴励起する。例えば、0.7テスラの磁場強度で水素原子核が核磁気共鳴を起こす29.8メガヘルツの高周波磁場を照射する。傾斜磁場とこの高周波磁場を組み合わせることで、特定位置の水素原子核スピンを選択的に共鳴励起することが可能となる。
【0030】
検出コイル112は、被検体102の検査部位の近傍に配置されている。検出コイル112は、核スピンの磁気的な運動により放出されるNMR信号を受信し、電気信号に変換する。電気信号に変換されたNMR信号は、高周波増幅ユニット113に入力され、増幅された後、コンピュータ処理に適したディジタル信号に変換される。
【0031】
コンピュータ114は、上記傾斜磁場パワーアンプ109、高周波パワーアンプ111、高周波増幅ユニット113の動作を定められたタイミングで制御する。例えば、コンピュータ114に内蔵されるパルスシーケンサー(図では示してない)は、システム信号ライン115を介して信号を傾斜磁場パワーアンプ109、高周波パワーアンプ111、高周波増幅ユニット113に出力し、所望の撮像パルスシーケンスを実行させる。一方で、コンピュータ114は、ディジタル信号に変換されたNMR信号を診断に供するためのスペクトルや画像に変換処理してコンピュータ114内のメモリー装置(図には示してない)に保存するとともに、ディスプレイ116に表示させる。更に、コンピュータ114は、MRI装置の動作状態を常時あるいは一定の間隔をおいて監視し、その状態を記録する。
【0032】
電磁遮蔽117およびフィルター回路118は、コンピュータ114などが発生する電磁波ノイズが検出コイル112に達するのを遮蔽している。
【0033】
通常時では、図2のようにクライオスタット103,104のヘリウム容器203には、液体ヘリウムが超電導コイル201を浸漬する深さまで満たされており、外部から侵入した熱等により気化したヘリウム蒸気は、蒸気貯めパイプ210内でクライオクーラー106の2段目ステージ208により冷却され、液体ヘリウムに戻される。これにより、ヘリウム容器203内の液体ヘリウム量は一定に保たれ、超電導コイル201の超伝導状態が維持される。超電導磁石101は、撮像空間に均一静磁場を発生する。コンピュータ114は、各部の動作を制御し、所定の撮像パルスシーケンスを実行させることにより、撮像空間に配置された被検体102について撮像を行う。
【0034】
クライオクーラー106は、運転時間の経過に伴い、可動部分の磨耗や不純物の蓄積等により冷却能力が低下するため、定期的(例えば10,000時間毎)にメンテナンス作業を行って冷却能力を維持回復させる。メンテナンス作業では、クライオクーラーを超電導磁石から取外す。本実施の形態では、図4(a)、(b)および図5に示すように、メンテナンス時には、上クライオスタット103の上面に2本の直線状レール401を取り付け、このレール401上に台車407を搭載し、台車407にクライオクーラー106を取り付ける。これにより、クライオクーラー106を、レール401に沿って、挿入孔206の延長線上を移動させることができる。
【0035】
図5〜図7を用いて、レール401、台車407の構造について説明する。レール401には、図5に示すように、台車の球体の車輪408と対応する断面が半円形の溝がレール401に沿って形成されている。レール401は、クライオクーラー106の全長よりも長く、しかも、超電導磁石101の磁場で急激に引き寄せられることのない位置までクライオクーラー106をクライオクーラー挿入孔206から遠ざけることができる長さと、クライオクーラー106の重量に耐える強度を有している。
【0036】
台車407は、図5および図6のように、ベース部501と、クライオクーラー106のフランジ部403を支持するための支持部502と、4個の車輪408と、車輪408の位置調整機構409と、引き手410とを有している。支持部402には、図5のようにクライオクーラー106の基部216を挿入するための取り付け穴422と、クライオクーラー106のフランジ403をボルト406によって固定するためのボルト穴413が設けられている。取り付け穴422とボルト穴413は、クライオクーラー106と支持部402との左右方向の位置調整を可能にするために、左右方向に長い長円形状に形成されている。
【0037】
位置調整機構409は、車輪408に対するベース部501の高さを調整することにより、支持部502の高さを、クライオスタット103に固定された状態のクライオクーラー106の高さに一致させるための機構である。ここでは、図7に示すように、位置調整機構409は、車輪408を保持する車輪支持棒503と、ベース部501に取り付けられたホルダー504と、ナット506とを含む。車輪支持棒503には、ネジ加工が施されている。一方、ホルダー504には、同じピッチの雌ネジ加工が施されている。これにより、車輪支持棒503は、ホルダー504内を回転するとともに上下に移動するため、車輪408に対するベース部501の高さ方向の位置調整を実現できる。車輪支持棒503の回転は車輪支持棒503の下部に設けられたハンドル505を回すことで行なうことができ、かつハンドル505に加わるトルクカで、作業者は車輪408とレール401の接触の程度を判断することができる。また、ハンドル505を操作し、上下の位置調整が完了したならば、その位置から車輪支持棒503が回転しないように、固定ナット506を締め上げることにより車輪支持棒503を固定できる。これにより、台車407のクライオクーラー106と新しいクライオクーラー412と積み換える際にも、車輪408の高さが変化することがなく、レール401に対するクライオクーラー106の高さ方向の位置関係を、積み換え前後に渡って維持できる。車輪支持棒503とホルダー504は、ネジ山間隔を1ミリメートルに設定しているので、車輪408の高さを極めて正確に調整することが可能である。また、4個の車輪408の高さ調整を個別に行なうことで、レール401設置時の水平度の多少の誤差をも吸収することができる。
【0038】
図4(a),(b)および図5を用いて、クライオクーラー106の着脱作業の手順を説明する。まず、現在、クライオスタット103に固定されているクライオクーラー106を取り外す手順を説明する。
(1−1)クライオスタット103の上面プレート(真空容器211)に、クライオクーラー挿入孔206の中心軸の延長線を挟むように2本のレール401を、取付け金具402を用いて平行に取り付ける。2本のレール401の間隔は、台車407の車輪408の間隔に設定する。なお、上クライオスタット103の上部には、製造時に、取り付け金具402を固定するためのネジ穴を予め設けておく。また、取り付け金具402用のネジ穴がなくても、上クライオスタット103の運搬用や組み立て用として、製造時には上面には複数のネジ穴が形成されているので、その内のクライオクーラー挿入孔206近傍に位置するネジ穴を利用することも可能である。金具402は2本のレール401の平行度や水平度を調整するためのもので、複数枚のステンレスシートで構成されている。その形状は、上クライオスタット103の上面のネジ穴の位置と、レール401を配置すべき位置とに合わせて予め設計されている。レール401は、ここでは長さ1メートルであり、20キログラムのクライオクーラー106が移動してもたわむことがないステンレス鋼で形成されている。
【0039】
(1−2)クライオクーラー106のフランジ部403を挿入孔206に固定しているボルト404を取外す。クライオクーラー106と挿入孔206の間隙には、ヘリウムガスが対流してクライオクーラー106の高温の部分と低温の部分とで熱置換が生じるのを防ぐためのフェルト302が詰められている。このため、ボルト404を外してもフェルト302が支えとなって、クライオクーラー106と超電導磁石101の相互の位置関係はほとんど変化しない。
【0040】
(1−3)レール401上に台車407を搭載し、クライオクーラー106に接近させ、図4(b)および図5のように、台車407の取り付け穴422にクライオクーラー106の基部216を挿入する。フランジ部403と支持部502のボルト穴413とを別のボルト406により固定する。
【0041】
(1−4)位置調整機構409を調整して4個の車輪408が2本のレール401の溝に正確に接するように上下方向の位置調整を行う。
【0042】
(1−5)作業者は、台車407の引き手410に水平に引く力を加えて、図4(b)の点線で示したように、台車407をクライオクーラー106とともに直線状レール401に沿って移動させる。これにより、クライオクーラー106の全体が挿入孔206から完全に抜け出る位置まで移動させる。この時点で、挿入孔206に遮蔽蓋(図には記載してない)をする。これは超電導磁石101内に空気が入り込み、内部で固結するのを防ぐためである。遮蔽蓋をする作業は、作業者が行ってもよいが、特開平6−69029号公報(特許文献3)に記載されているように自動的に蓋が閉まる機構を設けてもよい。
【0043】
さらに、台車407を移動させて挿入孔206から遠ざける。例えば、クライオクーラー106の先端が挿入孔206から1メートル程度離れる程度遠ざける。これにより、クライオクーラー106が超電導磁石101の電磁力により引き寄せられて意図しない移動軌跡を描くことなく、安全にクライオスタット103の上面から机上等に降ろすことができる。
【0044】
上記(1−1)〜(1−5)によるクライオクーラー106の取り外し作業は、レール401と台車407を用い、これらがクライオクーラー106を支持するため、(1−5)においてクライオクーラー106を挿入孔206から引き抜く際にもクライオクーラー106の重量を支える上向きの力を作業員が加える必要は一切なく、作業員は水平移動の力だけを台車407の引き手410に加えればよい。従来は、作業員が人力でクライオクーラー106の重量を支えていたため、作業員は、クライオクーラー106を水平移動させて引抜く力と、クライオクーラー106重量を支える上向きの力とを加える必要があった。その結果、斜め上方に向かう力がクライオクーラー106に加えられ、どうしても引出す瞬間にクライオクーラー106の先端部分を挿入孔206の壁面と接触させることが避け難かったが、本実施の形態の作業ではこのような接触を生じさせることがない。
【0045】
また、従来は、クライオクーラー106が抜けた瞬間に超電導磁石101の電磁力が作用して、予期しない移動軌跡を描く恐れがあったが、本実施の形態では移動軌跡は台車407とレール401によって定められているため、クライオクーラー106が超電導磁石101に引き寄せられる恐れがない。さらに本実施の形態では、台車407とレール401を用いることにより、クライオクーラー106の移動が容易であるため、作業のスピードをあげることができ、素早く挿入孔206に遮蔽板を当てることが可能である。よって、クライオスタット103に巻き込まれる空気も最小限にすることができる。
【0046】
次に、新たなクライオクーラー412をクライオスタット103に装着する手順について説明する。
(2−1)安定な机上に降ろした台車407のボルト406を外して、台車407からクライオクーラー106を分離する。このとき重要なポイントは、この分離作業に当たって、位置調整機構409のボルト506を緩めたり、ハンドル505を動かしたりしないようにすることである。
【0047】
(2−2)クライオクーラー106と同型の、新たに装着すべきクライオクーラー412を台車407に搭載し、基部216を図5のように取り付け穴422に挿入し、ボルト406をボルト穴413に固定し、フランジ403を台車407に固定する。このとき、ボルト406のボルト穴413における位置は、交換前のクライオクーラー106が固定されていた時の位置とほぼ同じ位置にすることが望ましい。これにより、左右方向の位置合わせを大まかに行うことができる。位置調整機構409は動かしていないので、上下方向の位置調整は、クライオクーラー106をクライオクーラー412に交換する前後で維持されている。
【0048】
(2−3)新たなクライオクーラー412を取り付けた台車407をレール401に搭載する。
【0049】
(2−4)挿入孔206の遮蔽蓋を外すと同時に、台車407の引き手410を押す。レール401に沿ってまっすぐに台車407を移動させ、新たなクライオクーラー412を挿人孔206に接近させる。このとき、作業員は、クライオクーラー412と挿入孔206の水平方向の位置がずれていないか確認し、ずれている場合にはボルト406を緩め、長穴になっているボルト穴413の範囲内でクライオクーラー412を水平方向にずらし、位置調整をする。この位置調整時には、クライオクーラー412の重量(20〜30kg)が台車407とレール401によって支持されているため、作業員は自由な体勢で容易に水平方向の位置を確認でき、容易に調整をすることができる。また、位置調整機構409の高さを交換の前後で変化させていないため、上下方向の位置合わせについては、クライオクーラー106を台車407に搭載した時点で完了している。
【0050】
作業員は、台車407をさらに移動させ、クライオクーラー412の先端を挿入孔206に挿入する。新たなクライオクーラー412の1段目ステージ207の外周には対流防止用のフェルト302が図6のように取り付けられているが、これが挿入孔206との間で圧縮されるように、力を加えて台車407を移動させ、クライオクーラー412を挿入孔206に押し込む。
【0051】
(2−5)人力で挿入できる限界の位置まで挿入したならば、この状態でクライオクーラー412は挿入孔206によって支持されているので、フランジ部403のボルト406を外し、台車407を新たなクライオクーラー412から取外す。
【0052】
(2−6)フランジ部403と超電導磁石101とを固定用ボルト404で締める。これにより、新たなクライオクーラー412は超電導磁石101に固定される。この作業により、インジューム線301が熱シールド板209と強固に同定される。新たなクライオクーラー412を約2時間程度運転して、熱収縮によりインジューム線301と熱シールド板209との熱接触が緩んだならば、ボルト403の増し締め作業を実施する。この間に、台車407、レール401ならびに金具402をクライオスタット103の上面から取外し、超電導磁石101を元の状態にする。これにより、メンテナンスが必要なクライオクーラー106を新しいクライオクーラー412に交換する作業が終了する。
【0053】
上記(2−1)〜(2−6)による新たなクライオクーラー412の取り付け作業においては、レール401と台車407とを用いるため、(2−4)の作業において、作業員は新たなクライオクーラー412の重量を支える必要がない。しかも、台車407の位置調整機構409により、クライオクーラー106の取り外し作業時の上下方向の位置関係をクライオクーラー412についても維持できるため、上下方向の位置合わせ作業は完了している。よって、水平移動に押す力だけを引き手410に加えればよく、容易に挿入孔206にクライオクーラー412を挿入できる。従来は、新たなクライオクーラー412を水平方向に移動させて挿入孔206に押し込む力と、新たなクライオクーラー412を狭い挿入孔206内で上下動しないように支持する上向きの力が必要であったため、結果として斜め上方に向かう力が新たなクライオクーラー412に働き、クライオクーラー412の先端部分を挿入孔206の壁面と接触させることが避け難かったが、本実施の形態ではこれを回避することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、作業員がクライオクーラー412の先端を挿入孔206に挿入する作業時が容易であり、かつ、作業のスピードをあげることができるため、挿入孔206の遮蔽蓋を外すと同時に、素早く新たなクライオクーラー412を挿入できる。よって、クライオスタット103内に巻き込まれる空気を最小限にすることができる。
【0055】
上記(2−4)において、クライオクーラー106の取り外し作業時の上下方向の位置関係をクライオクーラー412についても維持するために重要なポイントは、台車407の位置調整機構409の高さを変化させることなく、取り外したクライオクーラー106を新たなクライオクーラー412に載せ替えることである。これによって、クライオスタット103の挿入孔206と、台車407のクライオクーラー412取り付け用ボルト穴413との上下方向の位置関係が変化しない。即ち、旧新クライオクーラーの中心軸と挿入孔206の中心軸とが上下方向に正確に一致させることができ、上下方向の位置調整を行わなくてもクライオクーラーの先端部分に損傷を与えるトラブルを防止することができる。
【0056】
なお、水平方向の位置調整については、ボルト穴413が水平方向に長い長穴であり、クライオクーラー412の重量は台車407が支持しているので、作業者が目視等で位置を確認し、クライオクーラー412を水平に押すことにより、容易に位置合わせすることができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、水平方向の位置調整機構は長穴のボルト穴413のみであるが、上下方向の位置調整機構409と同様の位置調整機構を設けることも可能である。例えば、台車407の支持部502に上下および水平方向の位置調整機構を設けることが可能である。この場合は、上記(1−3)において、台車407をレール401上を移動させてクライオクーラー106に接近させ、フランジ部403と支持部502が一致するように上下および水平方向に調整してから、ボルト406を固定すればよい。上下および水平方向の位置調整機構を設けた場合には、旧新のクライオクーラー106(412)の中心線と超電導磁石101の挿入孔206の中心線の位置関係を上下方向のみならず水平方向にも一致させることができる。
【0058】
本発明の第2の実施の形態を図8を用いて説明する。第1の実施の例と大きく異なる点は、直線状のレール401に代えて、その一部が曲線を描いているレール601を用いていることである。超電導磁石101の設置空間の制約から、クライオスタット103にはシールド117の側壁や天井が間近に迫り、クライオクーラー106(412)の着脱作業に十分な空間を確保できないことがあるが、曲線を描いたレール601を用いることにより第1の実施の形態と同様にレール601と台車407を用いてメンテナンスを行うことが可能になる。なお、レール601以外の構成については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0059】
第2の実施の形態では、レール601が曲線を描いているため、これに沿って台車407を移動させるにしたがって、クライオクーラー106(412)の中心軸は挿入孔206の中心軸に対して斜め方向を向くため、クライオクーラー106(412)の全長より短い幅の空間でもクライオクーラーの着脱作業が可能になる。このように曲線レール601を用いても、着脱作業が可能なのは、クライオクーラー106(412)の先端部分(第2ステージ208)が基部(第1ステージ207)よりも細くなっていることを利用したものであり、先端部分は挿入孔206内である角度までは斜め向きになることができる。よって、レール601の描く曲線は、クライオクーラー106(412)が挿入孔206に対して斜め向きになっても挿入孔206の内壁には触れず、かつ、挿入孔206からは着脱可能な限界を予め計算により求めた曲率半径に設計する。また、曲線レール601は、その接線方向が、挿入孔206の開口位置において挿入孔206の中心軸と平行になるように設置する。これにより、曲線レール601に沿って曲線の軌跡を描いて移動してきたクライオクーラー106を、挿入孔206に挿入することができる。
【0060】
なお、第1および第2の実施の形態では、メンテナンスの度に上クライオスタット103上にレール401、601を取り付ける構成であったが、上クライオスタット103の製造時にレール401、601の一部を固定しておくことも可能である。例えば、上クライオスタット103の径の範囲内の長さのレール401、601を製造時に固定しておき、メンテナンス時にはこれを延長するレール401,601を連結して用いる構成にすることが可能である。
【0061】
上述してきたように、本実施の形態によれば、第1に開放構造の超電導磁石でも実質的に冷媒の消費がゼロとなるような冷却能力の高いクライオクーラーの着脱作業が安全かつ容易に実施できる。第2に、クライオクーラーの着脱作業に当たって、クライオクーラーに損傷を与えることなく作業が実施できる。第3に、超電導磁石の設置空間の制約から作業に必要十分な空間を確保できない場所であっても、クライオクーラーの着脱作業が実施可能となる。
【符号の説明】
【0062】
101…超電導磁石、102…被検体、103…上クライオスタット、104…下クライオスタット、105…連結管、106…クライオクーラー、108…傾斜磁場コイル、110…高周波コイル、118…フィルター回路、201、202…超電導コイル、203…ヘリウム容器、206…挿入孔、207…1段目ステージ、208…2段目ステージ、209…熱シールド板、210…蒸気貯めパイプ、211…真空容器、216…基部、301…インジューム線、302…フェルト、401…レール、403…フランジ、404…ボルト、406…ボルト、407…台車、408…車輪、409…位置調整機構、410…引き手、412…クライオクーラー、413…ボルト穴、422…取り付け穴、502…支持部、501…ベース部、503…車輪支持棒、504…ホルダー、505…ナット、601…レール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法であって、
前記超電導磁石のクライオクーラー装着位置に対して所定位置に予め想定した線に沿って前記クライオクーラーを移動させることにより、前記クライオクーラーを前記超電導磁石から取り外しまたは前記超電導磁石に取り付けることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法において、前記線に沿って前記クライオクーラーを移動させる際に前記クライオクーラーを支持する手段を前記超電導磁石あるいは周辺部に配置し、前記クライオクーラーの中心軸と、前記クライオクーラー装着位置の中心軸との位置関係を少なくとも上下方向について維持することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法において、前記クライオクーラーを支持する手段として、前記線に沿って前記超電導磁石あるいは周辺部に取付けた軌道と、前記クライオクーラーを搭載し、前記軌道に沿って移動する移動体とを有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法において、前記軌道は、少なくともその一部において曲線を描いていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法において、前記軌道の接線方向は、前記クライオクーラーが前記超電導磁石へ取り付けられる挿入孔の位置において、該挿入孔の軸方向と平行であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法において、前記クライオクーラーを搭載する移動体は、搭載したクライオクーラーの位置を少なくとも上下方向に調整する手段を有していることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法であって、
前記超電導磁石またはその周辺に軌道を配置し、
前記軌道に沿って移動する移動体を前記軌道に搭載し、
前記移動体に設けられたクライオクーラー搭載部の高さを、前記超電導磁石のクライオ挿入孔に装着されている状態の前記クライオクーラーと一致させた後、該クライオクーラーを前記クライオクーラー搭載部に搭載し、
前記移動体を前記軌道に沿って前記超電導磁石から遠ざけた後、前記クライオクーラーを前記クライオクーラー搭載部から取り外し、
前記移動体の前記クライオクーラー搭載部の高さを変更することなく、新たなクライオクーラーを搭載し、
前記軌道に沿って前記移動体を移動させ、前記新たなクライオクーラーを前記超電導磁石のクライオ挿入孔に装着することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置のメンテナンス方法。
【請求項8】
クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置であって、
前記超電導磁石には、メンテナンス時に前記クライオクーラーを搭載した移動体を移動させるための軌道が備えられていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記軌道は曲線を描いており、その接線方向は、前記クライオクーラーが前記超電導磁石へ装着される挿入孔の位置において、該挿入孔の軸方向と平行であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
クライオクーラーが装着された超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング装置であって、
前記超電導磁石には、メンテナンス時に前記クライオクーラーを移動させる際に用いる軌道を固定するための軌道固定部が備えられていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−131073(P2011−131073A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26799(P2011−26799)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2005−339009(P2005−339009)の分割
【原出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】