超音波ホーン
【課題】超音波ホーンの共振時にフランジ部の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにし、かつフランジ支持強度を保って、超音波ホーンの上下方向の振動を防止する。
【解決手段】超音波ホーンの長手方向中心軸上に、取付フランジの中心に対して先後に延びて、その長さが超音波ホーンのフランジ部の幅寸法以上のスリットと、少なくともその一部がスリット部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点が内側にあるようにする。
【解決手段】超音波ホーンの長手方向中心軸上に、取付フランジの中心に対して先後に延びて、その長さが超音波ホーンのフランジ部の幅寸法以上のスリットと、少なくともその一部がスリット部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点が内側にあるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置等に用いられる超音波ホーンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置等に用いられる超音波ホーン10は、図23(a)に示すように、キャピラリ12、フランジ13、超音波振動子11が取り付けられている。超音波ホーン10は、振幅拡大のためにテーパが形成されており、先端に行くほど先が細い円錐台状になっており、超音波振動子11は超音波ホーン10の後端部に固定されている。この超音波振動子11の発生する超音波振動は、縦波として超音波ホーン10を伝わり、超音波ホーン10はその形状や材質で定まった共振周波数で共振し、定在波が発生する。超音波ホーン10には振幅の大きい部分16と振幅の発生しない節18が発生する。図23(b)はこの振幅を示した図で、縦軸は中心線に垂直な面(先後方向)の振幅を示している。ボンディング用のキャピラリ12は先端部で振幅の大きくなる位置16に取り付けられている。また、超音波ホーン10は振幅の発生しない節18の位置に取り付けられたフランジ13によって、ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置等に取り付けられている。
【0003】
また、フリップチップボンディングに用いられる超音波ホーン60は、図28(a)に示すように、超音波ホーン60の中央部に加工装置であるツール61が取り付けられ、超音波ホーン60の後端部65に超音波振動子11が取り付けられている。超音波ホーン60は振動拡大のために両端からツール61の取り付けられている中央部に向かって細くなっている。超音波振動子11の発生する超音波振動は縦波として超音波ホーン60を伝わり、先端部64で反射されて超音波ホーン60に定在波を発生させる。図28(b)は、この定在波の様子を示した模式図である。超音波振動子11の取り付けられている後端部65と、超音波が反射される先端部64には定在波の振幅の大きい腹部63が形成され、また、中央のツール61の取り付けられている部分も振動の腹部63となって前後に振動する。一方、ツール61の両側には振幅の発生しない節部18が発生する。この節部18の位置にフランジ13が取り付けられている。フランジ13はその外側にU字型の取り付け部70を有しており、この取り付け部70によって超音波ホーン60はフリップチップボンディング装置に取り付けられている。
【0004】
図24に示すように、このような超音波ホーン10,60が共振状態にあるときには、節となっているフランジ13の取り付け部分には、後端部よりの共振による圧縮応力P1と先端部よりの共振による圧縮応力P2がかかる。この応力によりフランジ取り付け部分は超音波ホーン10の軸方向に圧縮応力を受ける。この圧縮応力によって超音波ホーン10のフランジ取り付け部分には軸方向の縦ひずみが発生すると共にポアソン比分だけの軸直角方向の横ひずみが発生する。この結果、超音波ホーン10,60はフランジ取り付け部分において、軸方向に圧縮変形すると共に、軸直角方向には膨張変形を生じ、フランジ取り付け部分の中心線からの半径r2は、膨張変形によって軸直角方向にε1だけ変位し、その寸法がr2+ε1となる。これにしたがって、フランジ13の先端位置及びフランジ取り付け孔15の位置も共に軸直角方向にほぼε1だけ変位することとなる。この変形は超音波ホーンの共振に起因するものであることから、変位は振動となって現れてくる。また、フランジ13は装置に固定されていることからこの変位により、フランジ13及び取り付け孔15に応力が発生することとなる。
【0005】
このような、フランジ取り付け部分の応力を緩和するために、図23(a)に示すようにフランジの取り付け孔15と超音波ホーン10の間のフランジの肉厚を薄くした構造(たとえば、特許文献1参照)や、フランジ13に円筒部分を設けて、この部分で超音波ホーン10を支持するようにした構造(たとえば、特許文献2参照)や、フランジ13の外側にU字型の取り付け部70を備えてこの部分で超音波ホーンを支持するようにした構造(例えば、特許文献3参照)が用いられている。また、図25、図26に示すようにフランジ13の取り付け孔15との間にスロットを設けた構造が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。これらの構造はいずれも、装置への固定部分と超音波ホーン10の間に強度を低くした部分を設けて、その部分の変形で歪を吸収するようにして、固定部分での応力の緩和を図ったものである。また、図27に示すように超音波ホーン10のフランジ取り付け部にスロット21Sを入れたものもある(たとえば、特許文献1参照)。この構造は、圧縮による膨張により超音波ホーン10がスロット21S側に変形して応力の低減を図ることはできるが、フランジの取り付け強度上から超音波ホーンの円周に沿って超音波ホーンがフランジに固定されているため、上記圧縮による膨張に起因する超音波ホーンのフランジの振動を抑えることができない。
【0006】
【特許文献1】米国特許5,595,328号明細書
【特許文献2】特開2001−24025号公報
【特許文献3】特開2001−38291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような、超音波による圧縮応力による膨張変形は、非常に小さいものであるが、これが固定点となるフランジ部に発生すると、インピーダンスが大きくなり最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響が発生し、ボンディング品質を劣化させるという問題があった。また、微小振動の発生は、リークといわれる超音波ホーンの振動エネルギーの損失を発生させ、これによりキャピラリやツールの振動が不十分となってボンディング品質を劣化させるという問題があった。
【0008】
また、ワイヤボンディング装置やフリップチップボンディング装置を高速化しようとすると、超音波ホーンの高速上下動が必要になってくる。このような高速上下動は、従来よりも大きな力を支持部に及ぼすこととなる。しかし、上記のような従来技術では、取り付け部に強度の低い部分を設けて固定部分に発生する応力を吸収させていることから、支持強度が高速化によって生じる大きな力に対抗できず、超音波ホーン10は、その上下動に伴って上下方向に振動する。特にワイヤボンディング装置では、このような上下方向の振動が発生すると、ボンディング中にボールに余計な力が掛り、ボールのつぶれ形状の不良が発生し、半導体装置のファインピッチ化により小さくなったボール径には対処できなくなるという問題があった。また逆に取り付け部の強度を確保しようとするとフランジ部の振動を抑えられないという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにして、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる超音波ホーンを提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、上記の微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにしつつフランジ支持強度を保って、超音波ホーンの上下方向の振動を防止し、ワイヤボンディング装置及びフリップチップボンディング装置の高速化及びワイヤボンディング装置が半導体のファインピッチ化に対応できるような超音波ホーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、先端部と後端部の間の両側面の超音波振動子によって発生される振動の節部位置に装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、超音波ホーンの長手方向中心軸上にその長さが取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、少なくともその一部が、スリット部の超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、対向するフランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心点が内側にあることによって達成することができる。また、本発明の目的は、上記の断面変更部をフランジ部と先端部及びフランジ部と後端部の中間部側面がそれぞれ、あるいはその片側を曲面とすることによっても達成することができるし、先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広くても達成できる。また、スリットは複数であり、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側のスリットと超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側のスリットと超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が、内側にあることによっても達成できる。
【0012】
本発明の目的は、先に述べた超音波ホーンにおいて、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太い後端部と、先端部と後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、超音波振動子の中央位置で超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成され、振動子と両側の各取り付け用フランジとの間に、複数のスリットが設けられ、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が内側にあること
によっても達成することができる。
【0013】
また、本発明の目的は、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、先端部と後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、第1の材質からなる第1材料部分と、第1の材質よりもヤング率が小さい第2の材質からなる第2材料部分とを有し、取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられた第1材料部分と、取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、スリットに対向する超音波ホーン各外側面からスリットに向かって半円柱状に形成された前記第2材料部分とを含み、スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の断面の応力中心点が、内側にあることによっても達成できる。
【0014】
本発明の目的は、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる円筒状の後端部と、先端部と後端部の間の両側面の、超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、取り付けフランジ中心に対して先後方向に伸びて、超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが取り付けフランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、少なくともその一部が、円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、円環状隙間の先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心円が内側にあることによっても達成できる。また、この断面変更部は円筒形状のフランジ部外周と、円筒形状の後端部外周を結ぶ曲面であってもよい。そして、上記の円環状隙間のために、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた中心孔と、中心孔と同軸上に配設されたその中心孔径より外径寸法が小さい心棒とを有していてもよいし、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔と、中心孔のネジ部に超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、円環状隙間部の前記中心内径よりも外径が小さい突端部分を有する固定ネジとを有していてもよい。そして、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた先端部側端部と後端部側端部の中心孔の直径は、フランジ部の前記中心孔の直径よりも大きくなっていることでもよい。
【0015】
本発明の目的は、先に述べた超音波ホーンにおいて、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太い後端部と、先端部と後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、超音波振動子の中央位置で前記超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成されていることでも達成できる。また、本発明の目的は、振動子は、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔内に配設され、中心孔のネジ部に前記超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、振動子に当接して振動子を固定する固定ネジを有することによっても達成できる。さらに本発明の目的は、超音波ホーンのフランジが一体加工にて形成されていることによっても達成できるし、
本発明の超音波ホーンをワイヤボンディング装置またはフリップチップボンディング装置に用いることによっても達成できる。
【0016】
本発明の目的は、超音波振動子が取り付けられる後端部と、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられる加工装置と、前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置にあって、前記加工装置の反対側に形成された装置取り付け用フランジと、を備えた超音波ホーンであって、前記それぞれの取り付けフランジ中心に対して先後に延びて、前記取り付けフランジの側から前記加工装置の側に向かって湾曲している湾曲部を有することによって達成できる。
【0017】
本発明の目的は、超音波振動子が取り付けられる後端部と、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、前記超音波振動子は、前記装置取り付けフランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記それぞれの取り付け用フランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、前記超音波ホーンの断面にあるスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあることによって達成できる。ここで、それぞれの前記取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて設けられたそれぞれのスリット部は複数のスリットを有し、超音波ホーン側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのフランジ部の応力中心点が内側にあること、としてもよい。
【0018】
本発明の目的は、先端部と後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、前記超音波振動子は、前記装置取り付けフランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波振動子と両側面のそれぞれの取り付け用フランジとの間にあって、その長さが前記それぞれの取り付けフランジの厚さ以上の複数のスリットが設けられたスリット部と、少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあることによって達成できる。ここで、それぞれの前記スリットの先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広いこととしてもよい。
【0019】
本発明の目的は、円筒状の先端部と円筒状の後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、前記超音波振動子は、前記装置取り付け用フランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後方向に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが前記それぞれの取り付け用フランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、少なくともその一部が、前記それぞれの円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、前記超音波ホーンの前記それぞれの円環状隙間の先端部と後端部の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、前記超音波ホーンのそれぞれのフランジ部の応力中心円が内側にあることによって達成できる。ここで、それぞれの前記円環状隙間の先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方の円環状隙間外径はフランジ部の円環状隙間外径よりも広いこと、としてもよいし、それぞれの前記断面変更部は、それぞれの前記フランジ取り付け中心に対し先後に延びた前記超音波ホーン側面のいずれか一方又は両方の曲面部分であること、としてもよい。
【0020】
また、本発明の目的は、本発明の超音波ホーンをフリップチップボンディング装置に用いることによっても達成できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにして、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を有する。また、本発明は、フランジ支持強度を保って、超音波ホーンの上下方向の振動を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1から第12の実施形態について以下に説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の第1の実施形態について図1、図2を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態の超音波ホーンを示す全体斜視図であり、図2はフランジ部分の拡大斜視図である。本発明の第1の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、図1に示すように、キャピラリ12、フランジ13、超音波振動子11を有している。超音波ホーン10の先端部、フランジ取り付け部分は矩形断面形状であり、後端部は円形断面形状を有している。フランジ取り付け部分から先端部にかけては振幅拡大のために幅が徐々に狭くなり、先端部が最も細くなっている。この先端部には加工用装置であるキャピラリ12が取り付けられている。また、超音波ホーン10の後端部は円形断面形状を有し、ここに超音波振動子11がナット37によって固定されている。従来技術で説明したのと同様、節となる部分にフランジ13が取り付けられている。このフランジ13は超音波ホーン10の両側面に、超音波ホーン10と一体に削り出し加工によって形成されている。そして、フランジ13にあけられた取り付け孔15によって超音波ホーンはワイヤボンディング装置に固定される。
【0024】
超音波ホーン10の上下面は、フランジ取り付け部分から後端部の少し手前まで、厚さが一様の平坦面になっている。そして、この平坦面から後端部にかけて斜面状の切り上げ部分があり、矩形断面形状から円形断面形状につながっている。一方、超音波ホーン10のフランジ13が取り付けられている両側面は、フランジ取り付け部に接して後端部の方向に延びている円筒面で矩形断面から円形断面形状につながっている。この部分は側面の円筒面に応じてその断面形状が変化する断面形状変更部24である。
【0025】
超音波ホーン10には、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象で、上面から下面に垂直に貫通したスリット22が設けられている。スリット22の一端は断面形状変更部24まで延びており、スリット22の先端側の端部と後端側の端部はフランジ中心部分よりスリット幅が広くなって、端部は超音波振動の反射を防止するために略円筒面をなしている。また、スリット22の長さはフランジ13の厚さ以上であればよいが、本発明の第1の実施形態では、これより長く、超音波ホーンのフランジ部の幅Wよりも長くなっている。スリットはフランジ中心線付近で平行部を有していてもよいし、全体的に曲面で構成された繭形の形状であってもよい。
【0026】
次に、本発明の第1の実施形態の動作について、図3、図4(a)、図4(b)、図4(c)、図4(d)、図4(e)を参照しながら説明する。従来技術の超音波ホーンの動作と同様、超音波振動子11の発生する超音波振動は、縦波として超音波ホーン10を伝わり、超音波ホーン10はその形状や材質で定まった共振周波数で共振し、定在波が発生する。超音波ホーン10には先後方向の振幅の大きい部分と振幅の発生しない節が発生し、この節の位置にフランジ13が取り付けられている。図3に示すように、このような超音波ホーン10が共振状態にあるときには、節となっているフランジ13の取り付け部分には、後端部よりの共振による圧縮応力P1と先端部よりの共振による圧縮応力P3がかかる。この応力によりフランジ取り付け部分は超音波ホーン10の軸方向に圧縮応力を受ける。
【0027】
このような圧縮応力がかかるときのスリット22の周りの変形は次のように説明される。ここで、図3に示すように、スリット後端部の超音波ホーン断面はスリット後端部における超音波ホーンの断面又は後端部に円筒面のようにスリット幅が狭くなる部分を有している時には、後端部に近いスリット幅が最も広くなっている部分の超音波ホーンの断面をいうものとする。また、スリット先端部の超音波ホーン断面はスリット先端部における超音波ホーンの断面又は先端部に円筒面のようにスリット幅が狭くなる部分を有している時には、先端部に近いスリット幅が最も広くなっている部分の超音波ホーンの断面をいうものとする。フランジ部超音波ホーン断面はフランジの中心線上の超音波ホーンの断面をいうものとする。
【0028】
超音波ホーン後端部からかかる圧縮応力P1はスリット後端部の超音波ホーン断面にも圧縮応力として作用する。このスリット後端部の超音波ホーン断面の断面積に圧縮応力を掛けるとスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心点25に作用する荷重F1が求められる。ここで応力中心点25は通常は、スリット後端部超音波ホーン断面の図心となり、応力分布を考慮する必要があるときは応力分布の重み付けをして求めた図心である。これによって、超音波ホーン後端部からの圧縮応力P1はスリット後端部超音波ホーン断面の応力中心点25に作用する荷重F1に置き換えることができる。同様に超音波ホーン先端部からの圧縮応力P3もスリット先端部超音波ホーン断面の応力中心点27に作用する荷重F3に置き換えることができる。また、超音波ホーン後端部と先端部からの圧縮応力は共にフランジ部にもかかる。フランジ中心位置では後端部と先端部からの応力の方向が反対で大きさが等しい状態となっている。これを先と同様の方法で、フランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26に作用する、方向が逆で同じ大きさの荷重F2に置き換えることができる。
【0029】
図3に上記の各荷重F1、F2、F3及び各応力中心点25、26、27を示す。各応力中心点25、26、27は、それぞれ超音波ホーンの中心軸からの距離がそれぞれL1,L2,L3である。L1は断面形状変更部とスリット後端部のスリット幅がフランジ部のスリット幅よりも広くなっていることからL2より大きく、L1とL2の差はδ1である。また、L3はスリット先端部のスリット幅がフランジ部のスリット幅よりも広くなっていることからL2より大きく、L3とL2の差はδ3である。これにより、フランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26はスリット後端部超音波ホーン断面の応力中心25、スリット先端部超音波ホーン断面の応力中心点27より内側になっている。そしてフランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26はスリット後端部超音波ホーン断面の応力中心25とスリット先端部超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりもδ2だけ内側になっている。
【0030】
以上のように、各応力を各荷重に置き換え、フランジ部の超音波ホーン断面とスリット後端部の超音波ホーン断面の間の部分の要素を取り出すと、図4(a)のようになる。
要素には後端部側から荷重F1左向きにかかり、先端部側から荷重F3が右向きにかかり、要素は圧縮を受けている。図4(b)に示すように、この圧縮荷重によって要素は先後方向に圧縮されると共に、ポアソン比に応じた分だけ軸直角方向に膨張し、フランジの取り付けられている側面を外側にε2だけ押し出し、スリットの面を中心線側にε2だけ押し出すように変形する。一方、荷重F1のかかるスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25と荷重F3のかかるスリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心27を結ぶ直線と、フランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26は荷重の方向と直角方向にδ2だけずれているので、このδ2によって要素には要素をスリット側に曲げようとする曲げモーメント働く。図4(c)に示すように、要素はこの曲げモーメントによってスリットのある中心線側に曲がり変形を生じる。図4(d)に示すように、この曲がりによる中心軸側への変位量ε3とフランジの取り付けられている側面の外側への変位量ε2は方向が逆で大きさが略等しく、フランジが取り付けられている側面の変位量はその差、ε2−ε3=ε5となって非常に小さくなる。逆にスリットのある中心軸側は両方の変位量の合計量、ε2+ε3=ε4となって大きく中心軸側に変位することとなる。フランジが取り付けられている側面の変位が非常に小さくなるので、フランジ13にあけられている取り付け孔15の位置の変化量も非常に小さくなる。
【0031】
図4(e)に超音波ホーンのフランジ部分の全体の変形の様子を示す。図4(e)において、実線は変形後の形状を示し、破線は変形前の形状を示す。後端側の圧縮応力P1と先端側からの圧縮応力P3によって全体的に圧縮変形をする。一方、フランジ部の超音波ホーン断面の応力中心点26はスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25とスリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりも内側にあることから、フランジが取り付けられている側面はほとんど変位せず、スリットのある中心軸側は大きく中心軸側にε6だけ変位することとなる。フランジが取り付けられている側面の変位が非常に小さくなることからフランジの取り付け孔15までの距離L4もほとんど変化しないこととなる。
【0032】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、超音波ホーンに発生する圧縮による膨張変位の振動を逆方向の曲げ変位振動で相殺するという効果を奏する。この効果はコンピュータによる構造解析でも確認されている。構造解析結果によると、特に断面形状変更部24の効果は大きく、単に超音波ホーン10にスリット22を設けた場合には、フランジの取り付け孔15の軸直角方向の変位量は10-7のオーダーであるものが、断面形状変更部24を設けることによってその変位量が10-9のオーダーに減少している。このことから、断面形状変更部24を設けることによってフランジの取り付け孔15の変位量を数10分の1以下に低減できるという顕著な効果を奏することがわかる。また、この構造解析によるとスリットの長さは超音波ホーンのフランジ部の幅W以上にすると効果が顕著になるという結果が出ている。本発明の第1の実施形態は断面形状変更部24がフランジ部と超音波ホーンの後端部の間に設けられているが、この断面形状変更部24はフランジ部と超音波ホーン先端部との間にも設けられていてもよい。この場合はさらにフランジの取り付け孔15の変位量を低減することができる。
【0033】
本発明の第1の実施形態は、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができるので、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を有する。さらに、本発明の第1の実施形態は、フランジ13の固定点となる取り付け孔15と超音波ホーン10の間に強度を低下させた部分を設けずに、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができるので、フランジ13は十分な支持強度を有することとなり、超音波ホーン10の上下方向の振動を防止することができるという効果を奏する。この結果、ワイヤボンディング装置の高速化に対応できると共にワイヤ先端のボール径の不良を防止できるので半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。さらにスリット22の先端部と後端部を略円筒面として超音波の振動が反射されることを防止しているので、スリット22を設けることによる超音波伝達効率を低下させることもない。
【実施例2】
【0034】
図5を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。
【0035】
本発明の第2の実施形態はスリット22を複数本(図中では2本入れたものを示す)有するものである。スリット22は第1の実施形態と同様に先端部と後端部を略円筒面としているが、円筒面の中心を側面側にオフセットしてスリットが超音波ホーン10の中心線側に突出しないような形状としている。動作は実施形態1の動作と同様で、超音波ホーン断面の応力中心点26が一番外側のスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25と、一番外側のスリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりも内側になっていることから、超音波ホーン側面の膨張による変位と曲げによる変位が相殺されて、その側面の変位が非常に小さくなる。また、圧縮応力が複数のスリットへの変形によって吸収されることから、フランジの変位を抑えつつ、第1の実施形態よりも超音波ホーン10に発生する応力を低減することができる効果を奏する。
【実施例3】
【0036】
図6を参照しながら本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。
【0037】
図6において、超音波ホーン10の中心軸周りは第1の材料部分39であり、その中にスリット22を有している。図中斜線を付した部分は第2の材料部分である。第1の材料は例えばステンレス鋼であり、第2の材料はこの第1の材料よりもヤング率が小さい例えばアルミである。第1の材料部分と第2の材料部分によって超音波ホーン10が形成され、第1の実施形態と同様、フランジ取り付け部は矩形断面を有し、第2の材料部分はこの矩形断面の両側面から中心のスリット22に向かって半円柱状に形成され、フランジ中心線付近で厚く、フランジ中心線から離れるに従って薄くなっている。第1の材料部分と第2の材料部分は境界41を有している。
【0038】
以下、第3の実施形態の動作について説明する。第1の実施形態と同様に超音波ホーンには、先端部、後端部から圧縮応力が作用する。この力は第1の材料部分39にかかると共に第2の材料部分40にも作用する。しかし、第2の材料は第1の材料に対してヤング率が低い材料であることから、その変形は第1の材料部分の変形に追従することとなる。つまり、全体の変形は第1の材料部分の変形によって決定されることとなる。第1の実施形態と同様に超音波ホーン後端部からかかる圧縮応力P1はスリット後端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面にも圧縮応力として作用する。このスリット後端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の断面積に圧縮応力を掛けると第1材料部分のスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心点55に作用する荷重F11が求められる。ここで応力中心点55は通常は、スリット後端部超音波ホーンの第1材料部分の断面の図心となり、応力分布を考慮する必要があるときは応力分布の重み付けをして求めた図心である。これによって、超音波ホーン後端部からの圧縮応力P1はスリット後端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点55に作用する荷重F11に置き換えることができる。同様に超音波ホーン先端部からの圧縮応力P3もスリット先端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点57に作用する荷重F13に置き換えることができる。また、超音波ホーン後端部と先端部からの圧縮応力は共にフランジ部にもかかる。フランジ中心位置では後端部と先端部からの応力の方向が反対で大きさが等しい状態となっている。これを先と同様の方法で、フランジ部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点56に作用する、方向が逆で同じ大きさの荷重F12に置き換えることができる。
【0039】
図6に上記の各荷重F11、F12、F13及び各応力中心点55、56、57を示す。各応力中心点55、56、57は、第1の実施形態と同様、それぞれ超音波ホーンの中心軸からの距離がそれぞれL11,L12,L13である。第1の材料部分はフランジ中心線付近では細くなっており、フランジ中心線から離れるに従って太くなっていることから、フランジ部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点56は、スリット先端及び後端部超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心55、57を結ぶ直線54よりもδ12だけ内側になっている。これによって、第1の実施形態と同様、圧縮力による第1の材料部分の膨張変位の振動を逆方向の曲げ変位振動で相殺するという効果を奏する。一方、第2の材料部分は第1の材料よりヤング率が低く、第1の材料の変形に追従して変形することから、フランジ中心線と第1の材料部分と第2の材料部分の境界41の交点42の位置ほとんど変位せず、フランジ13の取り付け孔15の位置もほとんど変形せず、第1の実施形態と同様、フランジの変位、振動を防止することができる効果を奏する。
【実施例4】
【0040】
図7を参照しながら本発明の第4の実施形態について説明する。図7は本発明の第4の実施形態のフランジ部の斜視図であり第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。
【0041】
本発明の第4の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、その内部に孔30が明けられその中に超音波振動子11が超音波ホーン後端部からねじ込まれたボルト31によって固定されている。この孔30は超音波振動子11よりもほんの僅か直径が大きく、外周には微小な円環状隙間33があり、超音波ホーン10と超音波振動子11は接触しないようになっている。超音波振動子11はその軸方向の中央位置において振動の節を形成することから、この超音波振動子11の軸方向の中央位置にあたる超音波ホーンの両側面にフランジ13が設けられている。また、本発明の第1の実施形態と同様にフランジ13と超音波ホーン後端部との間の側面には断面形状変更部24が設けられ、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象で、上面から下面に垂直にスリット22が設けられている。スリットの位置、形状、長さは本発明の第1の実施形態と同様である。
【0042】
本発明の第4の実施形態の動作は実施形態1の動作と同様で、超音波ホーン断面の応力中心点26がスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25と、スリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりも内側になっていることから、超音波ホーン側面の膨張による変位と曲げによる変位が相殺されて、その側面の変位が非常に小さくなる。
【0043】
これにより、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができるとともに、フランジ13が十分な支持強度を持っているので、本発明の第1の実施形態と同様に、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させると同時に音波ホーンの上下方向の振動を防止しうることができるという効果を奏する。また、超音波振動子11とフランジ13を同一の節におくことにより、節の位置とフランジ13の位置のずれによって生じるフランジの振動を防止しうるという効果を奏する。さらに超音波振動子11が超音波ホーンの内部に取り付けられていることから構造をコンパクトにできることから、より上下方向の振動を防止することができると共にワイヤ先端のボール径の不良を防止できるので、よりいっそうのワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例5】
【0044】
図8を参照しながら、本発明の第5の実施形態について説明する。図8は本発明の第5の実施形態のフランジ部の斜視図であり、第5の実施形態において、第1または第4の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。本発明の第5の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、第4実施形態と同様の構造で内部に超音波振動子11が超音波ホーン後端部からボルト31によって固定されている。この超音波振動子11の軸方向の中央位置にあたる超音波ホーンの両側面にフランジ13が設けられ、本発明の第1の実施形態と同様にフランジ13と超音波ホーン後端部との間の側面には断面形状変更部24が設けられている。内部の孔30と超音波ホーンの両側面とのそれぞれの間に、上面から下面に貫通して垂直にスリット22が設けられている。このスリット22は長手方向にはフランジ中心線に対して先後方向に対象になっている。スリットの形状は第1の実施形態と同様である。
【0045】
本発明の第5の実施形態の動作は実施形態1の動作と同様で、フランジ部超音波ホーンのスリット22と超音波ホーン側面間の断面の応力中心点26がスリット先端部及び後端部の超音波ホーンのスリット22と超音波ホーン側面間の断面の応力中心25と27を結ぶ直線14よりも内側になっていることによって、超音波ホーン側面の膨張による変位と曲げによる変位が相殺されて、その側面の変位が非常に小さくなる。第5の実施例ではスリット22が2つ設けられていることから超音ホーン側面の変位は、第1、第4の実施形態よりもさらに低減されるという効果を奏する。これによって本発明の第2の実施形態の効果に加えて、さらにボンディング品質の向上、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例6】
【0046】
本発明の第6の実施形態について図9から図11を用いて説明する。図9は本発明の第6の実施形態の超音波ホーンを示すフランジ部分の拡大斜視図であり、図10はフランジ部分の軸直角方向の断面図であり、図11はフランジ取り付け部分の平面図断面図である。本発明の第6の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、先端部、フランジ取り付け部、後端部共に円形断面形状を有している。フランジ取り付け部分から先端部にかけては振幅拡大のために直径が徐々に小さくなり、先端部が最も細くなっている。この先端部には加工用装置であるキャピラリ12が取り付けられる。また、超音波ホーン10の後端部に超音波振動子11が固定されている。本発明の第1の実施形態と同様、振動の節となる部分にフランジ13が取り付けられている。このフランジ13は超音波ホーン10の両側面に、超音波ホーン10と一体に削り出し加工によって形成されている。そして、フランジ13にあけられた取り付け孔15によって超音波ホーンは装置に固定される。
【0047】
一方、超音波ホーン10のフランジ13から後端部にかけて、フランジ取り付け部に接して後端部の方向に延びている断面形状変更部24を有している。この断面形状変更部24は、円弧を超音波ホーン10の中心軸周りに回転させて形成されるラッパ形の形状をしており、フランジ取り付け部から後端部に向かってその断面形状が大きくなっていくように変化していく。
【0048】
超音波ホーン10には、その内部に孔30が明けられその中に同軸上に心棒32が超音波ホーン後端部から挿入され、ボルト31によって固定されている。この孔30は心棒32よりもほんの僅か直径が大きく、外周には微小な円環状隙間33が形成されている。この孔30と心棒32と円環状隙間33は、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象になるように配設されており、その一端は断面形状変更部24まで延びている。この円環状隙間33の長手方向長さはフランジ13の厚さ以上であればよいが、本発明の第6の実施形態では、これより長く超音波ホーンのフランジ部の直径よりも長くなっている。
【0049】
次に、本発明の第6の実施形態の動作について説明する。第1の実施形態と同様に超音波振動子11の発生する超音波振動によって節となるフランジ取り付け部分は超音波ホーン10の長手方向に圧縮応力を受ける。
【0050】
このような圧縮応力がかかるときの円環状隙間33の周りの変形は次のように説明される。ここで、図10、11に示すように、超音波ホーン後端部からかかる圧縮応力P1は円環状隙間後端部の超音波ホーン断面にも圧縮応力として作用する。円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の断面積に圧縮応力を掛け、応力中心円34の周長で割ると円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の応力中心円34に作用する円環荷重F4が求められる。ここで応力中心円34は通常は、円環状隙間後端部における孔30の直径と超音波ホーン外面の直径の平均直径であり、応力分布を考慮する必要があるときは半径方向の応力分布の重み付けをして求めた平均直径である。これによって、超音波ホーン後端部からの圧縮応力P1は円環状隙間後端部超音波ホーン断面の応力中心円34に作用する円環荷重F4に置き換えることができる。同様に超音波ホーン先端部からの圧縮応力P3も円環状隙間先端部の超音波ホーン断面の応力中心円36に作用する円環荷重F6に置き換えることができる。また、フランジ中心位置では後端部と先端部からの応力の方向が反対で大きさが等しい状態となっている。これを先と同様の方法で、フランジ部の超音波ホーン断面の応力中心円35に作用する方向が逆で同じ大きさの円環荷重F5に置き換えることができる。
【0051】
図11に上記の各円環荷重F4、F5、F6及び各応力中心円34、35、36を示す。各応力中心円34、35、36は、それぞれ直径D1、D2、D3である。D1は断面形状変更部があることからD2より大きくなっている。そして、円環状隙間の先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心円36及び34を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心円35が内側になっている。
【0052】
第1の実施形態と同様に、各応力を各円環荷重に置き換え、フランジ部超音波ホーン断面と円環状隙間後端部超音波ホーン断面の間の部分の要素を取り出すと、先に第1の実施形態の動作説明で述べたのと同様、応力中心円34、35、36の大きさの差による曲げモーメントによって、この要素は、円環状隙間の方向に向かって直径が小さくなるように変形する。図12に示すように、超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径はほとんど変化せず、逆に円環状隙間の設けられている内径側は直径が小さくなる変形に直径が小さくなる方向への膨張変形が加わり、より内径側に変形する。
【0053】
このことから、本発明の第6の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏することができ、さらに、超音波ホーンのフランジ取り付け部の外周面全部に渡ってその変位を非常に少なくすることができるので、第1の実施形態よりも大きなフランジを取り付けあるいは一体成型によって設けることができる。このことより、超音波ホーンのフランジ13は側面に設けるのみでなく、全周に渡って設けることができ、より支持強度の大きいフランジとしてさらに超音波ホーンの上下方向の振動を防止することができる。このことにより、よりいっそうワイヤ先端のボール径の不良を防止でき、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【0054】
本発明の第6の実施形態は断面形状変更部24がフランジ部と超音波ホーンの後端部の間に設けられているが、この断面形状変更部24はフランジ部と超音波ホーン先端部との間にも設けられていてもよい。この場合はさらにフランジの取り付け孔15の変位量を低減することができる。また、本発明の第6の実施形態は心棒32とボルト31を別々のものとしたが、ボルト31の先端に心棒と同様の直径、長さの突起部分を設けてこれを超音波ホーンの後端部からねじ込んで構成することとしても同様の効果を奏することができる。また、図18に示すように、このボルト31は後端部にネジを回すことができるような角柱部分38を設けて、この角柱部分でネジを回して心棒32を固定し、その後、超音波振動子11を後端部からはめ込んで、ナット37で超音波振動子11を固定するように構成することができる。
【実施例7】
【0055】
図13を参照して、本発明の第7の実施形態について説明する。第6実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。本発明の第7の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、その内部に孔30が明けられその中に超音波振動子11と心棒32が超音波ホーン後端部からボルト31によって固定されている。この孔30は超音波振動子11及び心棒32よりもほんの僅か直径が大きく、外周には実施形態4と同様に微小な円環状隙間33が形成されている。この隙間によって超音波ホーン10と超音波振動子11は接触しないようになっている。超音波振動子11は第4の実施形態同様、その軸方向の中央位置において振動の節を形成することから、この超音波振動子11の軸方向の中央位置にあたる超音波ホーン10の両側面にフランジ13が設けられている。円環状隙間33の長手方向長さは、第6の実施形態と同様、フランジ取付部の超音波ホーンのフランジ幅よりも長くなっている。
【0056】
本発明の第7の実施形態の動作は第6の実施形態の動作と同様、応力中心円34、35、36の大きさの差による曲げモーメントによって、内径側は円環状隙間の方向に向かって直径が小さくなるように変形し、超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径はほとんど変化せず、超音波ホーンのフランジ取り付け部の外周面全部に渡ってその変位を非常に少なくすることができる。これにより実施形態4と同様の効果を奏すると共に、本発明の実施形態2と同様に、超音波振動子11とフランジ13が同じ節に設けられていることとなり、節の位置とフランジ13の位置のずれによって生じるフランジの振動を防止しうるという効果および超音波振動子11が超音波ホーンの内部に取り付けられていることから構造をコンパクトにできることから、より上下方向の振動を防止することができ、よりいっそうのワイヤ先端のボール径の不良を防止でき、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例8】
【0057】
本発明の第8の実施形態について図14、15、16を参照しながら説明する。本発明の第6の実施形態と同様の部分については同様の符号を用いて説明は省略する。本発明の第8の実施形態はワイヤボンディング装置に用いられるもので、第6の実施形態と同様、超音波ホーン10には、その内部に孔30が明けられその中の同軸上に心棒32が超音波ホーン後端部からボルト31によって固定されている。図14及び15に示すように、この孔30はフランジ中心線上にて心棒32よりもほんの僅か直径が大きく、後端部及び先端部に行くほどその直径が大きい、円錐台を二つ合わせたような形状をしている。一方、心棒32は一様な直径の丸棒であることから、心棒32の外周の微小な円環状隙間33はフランジ中心線上で最も狭く、後端部及び先端部の方向に隙間が大きくなるように形成されている。また、この孔30と心棒32と円環状隙間33は、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象になるように配設されており、その一端は断面形状変更部24まで延びている。第6の実施形態と同様、円環状隙間33の軸方向長さはフランジ部の超音波ホーンの直径よりも大きくなっている。
【0058】
このような形状としているため、図15、16に示すように、円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の応力中心円34及び円環状隙間先端部の超音波ホーン断面の応力中心円36はいずれもフランジ部の超音波ホーン断面の応力中心円35よりも直径が大きく、円環状隙間の先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心円36及び34を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心円35が内側になっている。そして、応力中心円34、35の大きさの差および、応力中心円35、36の大きさの差によって発生する曲げモーメントにより、フランジ中心線付近では、第6の実施形態の場合より円環状隙間の方向に向かってより直径が小さくなるように変形する。超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径は本発明の実施形態6の場合より更に小さくなる。
【0059】
このことから、本発明の第8の実施形態は、第6の実施形態以上に超音波ホーンのフランジ取り付け部の外周面全部に渡ってその変位をさらに少なくすることができるので、第6の実施形態よりも共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響がさらに固定部分に及ばないようにすることができる。したがって、第6の実施形態の効果に加えてさらに最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を有する。
【0060】
本発明の第8の実施形態は第6の実施形態と同様、ボルト31の先端に心棒と同様の直径、長さの突起部分を設けてこれを超音波ホーンの後端部からねじ込んで構成すること
もできるし、図18に示すように、ボルト31の後端部の角柱部分38で心棒32を締め付けて、その後、超音波振動子11を後端部からナット37で固定するように構成することもできる。
【実施例9】
【0061】
本発明の第9の実施形態について、図17を参照して説明する。本発明の第7、第8の実施形態と同様の部分については同様の符号を用いて説明は省略する。本発明の第9の実施形態は第8の実施形態と同様、超音波ホーン10は、その内部に円錐台を二つ合わせたような形状の孔30を有し、その内部に本発明の第5の実施形態と同様に超音波振動子11、心棒32が配設されている。
【0062】
このため、本発明の第9の実施形態は本発明の第8の実施形態と同様に、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の応力中心円34及び円環状隙間先端部の超音波ホーン断面の応力中心円36はいずれもフランジ部の超音波ホーン断面の応力中心円35よりも直径が大きくなっており、応力中心円34、35の大きさの差および、応力中心円35、36の大きさの差によって、フランジ中心線付近では、第6の実施形態より円環状隙間の方向に向かってより直径が小さくなるように変形する。超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径は本発明の第6の実施形態の場合より更に変化が小さくなるという効果と、本発明の第4、第7の実施形態と同様に、超音波振動子11がフランジ13と同じ節に設けられているため、節の位置とフランジ13の位置のずれによって生じるフランジの振動を防止しうるという効果および超音波振動子11が超音波ホーンの内部に取り付けられていることから構造をコンパクトにできる。これにより、より上下方向の振動を防止することができることから、ワイヤ先端のボール径の不良を防止し、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例10】
【0063】
本発明の第10の実施形態について、図19、図20を参照しながら説明する。図19は本発明の第10の実施形態の超音波ホーン60の斜視図であり、図20は本発明の第10の実施形態の超音波ホーン60の側面図及び動作説明図である。
【0064】
図19に示すように、本発明の第10の実施形態の超音波ホーン60は後端部65に超音波振動子11が取り付けられ、中央の下面には加工装置であるツール61が取り付けられている。そしてツール61と先端部64との間およびツール61と後端部65の間の上面にはフランジ13a,13bが取り付けられ、それぞれのフランジは接続部材66で接続されている。超音波ホーン60のフランジ13a,13bの取り付けられている部分はフランジ13a,13bの側からツール61のほうに向かって湾曲している湾曲部62を有している。湾曲部62の下面62c,62fは最も下側に湾曲しているフランジ取り付け部分で超音波ホーン60の下面より下側に出ないように、湾曲部62の両側は超音波ホーン60の下面から上に向かって段差がつけられている。
【0065】
図20(a)は本発明の第10の実施形態の側面図でその動作を示し、図20(b)は超音波振動の様子を示した図である。図20(a)の破線は超音波振動子11による振動が発生していない静止状態を示し、実線は超音波振動子11によって後端部65から圧縮力がかかっている状態における超音波ホーン60の変形状態を示している。超音波振動子11によって発生した超音波振動は超音波ホーン60に縦波の定在波を発生させる。この定在波は図20(b)に示すように、超音波振動子11の取り付けられている超音波ホーンの後端部65、超音波が反射する先端部64及び中央部においては先後方向の振幅の大きな腹部となり、中央の腹部にはツール61が取り付けられている。一方、定在波はその先後方向の振幅がほとんどない節部18を生ずる。ツール61の先端部側と後端部側にはそれぞれ節部18が発生し、この節部18の位置にフランジ13a,13bが形成されている。超音波振動子11が図20(a)の実線で示すように、超音波ホーン60の後端部65に圧縮力を加える状態のときには、図20(a)の矢印で示すように、ツール61と後端部65の間の超音波ホーン60は定在波によって両側から圧縮荷重を受ける。すると先に図4(a)〜図4(d)において説明した動作原理と同様の原理によって、湾曲部62の上面62a,62bはそれぞれフランジ13aの方向に向かって図20(b)の破線から実線のように曲げ変形を生じる。また、湾曲部の下面62cは圧縮力による膨張と湾曲部62自体の下方向に凸となるような曲げ変形によって図20(b)の破線から実線のように下方向に変位する。しかし、湾曲部62の上面のフランジ13aの取り付け部は、曲げ変形による下方向への変位と膨張による上方向への変位が相殺されるため、ほとんど変位しない。
【0066】
一方、ツール61と超音波ホーン60の先端部64の間は、上記の定在波によって逆に引っ張り荷重を受ける。すると上記の圧縮荷重の場合と反対に、湾曲部62の上面62d,62eはそれぞれフランジ13bを中心から超音波ホーン60の先端部64と後端部65の方向かって図20(b)の破線から実線のように曲げ変形を生じる。また、湾曲部の下面62fは引っ張り力による収縮と湾曲部62自体の上方向に凸となるような曲げ変形によって図20(b)の破線から実線のように上方向に変位する。しかし、湾曲部62の上面のフランジ13bの取り付け部は、曲げ変形による上方向への変位と収縮による下方向への変位が相殺されるため、ほとんど変位しない。
【0067】
このように、本発明の第10の実施形態は、2つのフランジ13a,13b共に超音波振動子11による定在波によって発生する圧縮、引っ張り応力によっても、超音波ホーン60との取り付け位置が変位しないことから、共振時の圧縮、引っ張り応力による微小膨張、収縮変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができる。これにより、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を奏する。さらに、フランジ13a,13bは十分な支持強度を有することとなり、超音波ホーン60の振動を防止することができ、フリップチップボンディング装置の高速化に対応できるという効果を奏する。
【実施例11】
【0068】
本発明の第11の実施形態について図21を参照しながら説明する。図21(a)は本発明の第11の実施形態の超音波ホーン60の平面図で、図21(b)は超音波振動の様子を示した図である。この超音波ホーン60も先の本発明の第10の実施形態と同様に後端部65に超音波振動子11が取り付けられており、発生した超音波は先端部64で反射され、中央と先端部64と後端部65に超音波振動の腹部63が発生する。ツール61は中央の腹部63に配設されている。そして超音波振動の節部18位置の両側面にフランジ13a,13bが形成されている。超音波ホーン両側のフランジ13a,13bはそれぞれ接続材66によって接続され、それぞれの接続部材66には固定用の孔15が備えられている。超音波ホーン60の中心軸上のそれぞれのフランジ13a,13bの位置にはスリット22a,22bがそれぞれのフランジ13a,13bの中心から超音波ホーンの先端部64及び後端部65の方向に延びて配設されている。超音波ホーン60の両側面であって、後端部側のフランジ13aと後端部65の間には、フランジ13aの取り付け部から後端部65に向かって超音波ホーン60の幅が広くなっていくような曲面を持つ断面形状変更部24aが形成されている。同様に、超音波ホーン60の両側面であって先端部側のフランジ13bと先端部64の間には、フランジ13bの取り付け部から先端部64に向かって超音波ホーン60の幅が広くなっていくような曲面を持つ断面形状変更部24bが形成されている。
【0069】
超音波ホーン60の動作時の、フランジ13a,13b、スリット22a,22b、断面形状変更部24a,24bの動作は先に述べた本発明の第1の実施形態と同様で、異なるのは、上記の本発明の第10の実施形態と同様、どちらか一方のフランジ部分が圧縮状態となっている時に他の一方のフランジ部分は引っ張り状態となっていることである。しかし、圧縮状態、引っ張り状態のいずれの状態となってもフランジ13a,13bの取り付け部分はほとんど変位せず、これによる微小膨張、収縮変形の影響が装置への固定孔15の位置に及ばないようにすることができるので、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を奏する。さらに、フランジ13a,13bは十分な支持強度を有することとなり、超音波ホーン60の上下方向の振動を防止することができ、フリップチップボンディング装置の高速化に対応できるという効果を奏する。
【0070】
また、本実施形態でも、本発明の第2の実施形態と同様に複数のスリットを設けるようにしてもよい。また、本発明の第4、第5の実施形態と同様にフランジ部分に超音波振動子11を取り付けるようにしてもよいし、超音波ホーン60の内部に配設した超音波振動子11の両側にスリット22を形成するようにしてもよい。更に超音波振動子11は2つのフランジ13a,13bのそれぞれの位置に取り付けてもよいし、いずれか一方の位置にのみ取り付けるようにしてもよい。超音波振動子11を超音波ホーン60の内部に取り付ける場合には、超音波振動の節部18がフランジ13の中心になるように、超音波振動子11の中央部をフランジ13の中心に一致させて配設するのが好適である。また、いずれか一方のフランジ部分の内部にのみ超音波振動子11を取り付ける場合には、他方のフランジ部分には1つのスリット22を設けてもよいし、複数のスリットを設けてもよい。このように超音波振動子11を超音波ホーン60の内部に取り付けた場合には、本発明の上記の効果に加えて、後端部65に超音波振動子11を設ける必要がなくなることから、超音波ホーン60の全体長さ短くでき、フリップチップボンディング装置をコンパクトにすることができるという効果を奏する。
【実施例12】
【0071】
本発明の第12の実施形態について図22を参照しながら説明する。図22(a)は本発明の第12の実施形態の超音波ホーン60の部分側断面図で、図22(b)は超音波振動の様子を示した図である。この超音波ホーン60は超音波振動子11a,11bを超音波ホーン60の内部に配設して全体の長さが短くなる様にしたものである。超音波ホーン60は円筒状の先端部64と後端部65を有しており、超音波振動子11a,11bの発振する超音波振動による定在波によって先端部64と後端部65と中央部に振幅の大きくなる腹部63が発生し、中央部とそれぞれの端部との間に節部18が発生するような長さとなっている。そして節部18の超音波ホーン外面は鼓型の形状の断面形状変更部24が形成されており、外面にはフランジ13a,13bが取り付けられ、各フランジ13a,13bは接続部材66によって接続されている。超音波ホーン60の内部には、超音波振動子11a,11bがその中心がフランジ13a,13bの中心に一致するような位置であって、超音波ホーンの中心軸上に心棒32a,32bとボルト31a,31bによって固定されている。このように超音波振動子11を取り付けることによって、超音波振動の節部18とフランジ13a,a3bの中心を合わせて、フランジ13a,13bの振動の低減を図ることが出来る。超音波振動子11a,11bの外面と超音波ホーン60の内面との間には円環状隙間33a,33bが形成されている。この円環状隙間33a,33bはそれぞれのフランジ13a,13bの中心から先端部64、後端部65の方向に伸びて、各フランジの中心から離れるほど円環状隙間33a,33bの幅が広くなるように、各フランジの中心から離れるほど円環状隙間33a,33bの外径が大きくなるよう形成されている。
【0072】
本実施形態の動作時のフランジ13a,13b、円環状隙間33a,33b、断面形状変更部24a,24bの動作は先に述べた本発明の第6の実施形態と同様で、異なるのは、上記の本発明の第10の実施形態と同様、どちらか一方のフランジ部分が圧縮状態となっている時に他の一方のフランジ部分は引っ張り状態となっていることである。本実施形態は本発明の第11の実施形態と同様の効果を奏すると共に、全体をコンパクトにすることができるという効果を奏する。本実施形態でも、超音波振動子11は、どちらか一方のフランジ部にのみ取付けて、他方のフランジ部は超音波振動子11を有する側と同様の形状の円環状隙間のみを持つように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、先端または中央に取り付けられた加工装置を変更することによって、ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置以外の超音波接合装置にも適用できる。また、先端の形状を変更することによって、超音波を利用した外科手術用装置などの医用機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のフランジ部分の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の動作説明図(1)である。
【図4(a)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(2)である。
【図4(b)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(3)である。
【図4(c)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(4)である。
【図4(d)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(5)である。
【図4(e)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(6)である。
【図5】本発明の第2の実施形態のフランジ部斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態のフランジ部の長手方向平面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態を示すフランジ部の斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施形態を示すフランジ部の斜視図である。
【図9】本発明の第6の実施形態を示すフランジ部の斜視図である。
【図10】本発明の第6の実施形態を示すフランジ部軸断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態を示すフランジ部長手方向断面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態の動作説明図である。
【図13】本発明の第7の実施形態を示すフランジ部斜視図である。
【図14】本発明の第8の実施形態を示すフランジ部斜視図である。
【図15】本発明の第8の実施形態を示すフランジ部軸断面図である。
【図16】本発明の第8の実施形態を示すフランジ部長手方向断面図である。
【図17】本発明の第9の実施形態のフランジ部斜視図である。
【図18】超音波振動子と心棒の固定方法を示す説明図である。
【図19】本発明の第10の実施形態のフランジ部斜視図である。
【図20】本発明の第10の実施形態の側面図及び動作説明図である。
【図21】本発明の第11の実施形態の平面図である。
【図22】本発明の第12の実施形態の部分側断面図である。
【図23】従来技術による超音波ホーンの部分断面図(1)である。
【図24】従来技術による超音波ホーンの振動説明図である。
【図25】従来技術による超音波ホーンの部分断面図(2)である。
【図26】従来技術による超音波ホーンのフランジ部軸断面図(1)である。
【図27】従来技術による超音波ホーンのフランジ部軸断面図(2)である。
【図28】従来技術による超音波ホーンの平面図及び動作説明図である。
【符号の説明】
【0075】
10,60 超音波ホーン、11,11a,11b 超音波振動子、12 キャピラリ、13,13a,13b フランジ、14 直線、15 孔、16 位置、18 節、22,22a,22b スリット、24,24a,24b 断面形状変更部、25−27 応力中心点、30 孔、31,31a,31b ボルト、32,32a,32b 心棒、33,33a,33b 円環状隙間、34−36 応力中心円、37 ナット、38 角柱部分、39 第1材料部分、40 第2材料部分、41 境界、42 交点、55−57 応力中心点、61 ツール、62 湾曲部、62a〜62f 湾曲面、63 腹部、D1−D3 直径、r2 半径、F1−F3 荷重、F4−F6 円環荷重、F11−F13 荷重、L1−L4 距離、L11−L13 距離、P1−P3 圧縮応力、W 幅、δ1−δ3 距離差、δ11−δ13 距離差、ε1−ε5 変位量。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置等に用いられる超音波ホーンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置等に用いられる超音波ホーン10は、図23(a)に示すように、キャピラリ12、フランジ13、超音波振動子11が取り付けられている。超音波ホーン10は、振幅拡大のためにテーパが形成されており、先端に行くほど先が細い円錐台状になっており、超音波振動子11は超音波ホーン10の後端部に固定されている。この超音波振動子11の発生する超音波振動は、縦波として超音波ホーン10を伝わり、超音波ホーン10はその形状や材質で定まった共振周波数で共振し、定在波が発生する。超音波ホーン10には振幅の大きい部分16と振幅の発生しない節18が発生する。図23(b)はこの振幅を示した図で、縦軸は中心線に垂直な面(先後方向)の振幅を示している。ボンディング用のキャピラリ12は先端部で振幅の大きくなる位置16に取り付けられている。また、超音波ホーン10は振幅の発生しない節18の位置に取り付けられたフランジ13によって、ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置等に取り付けられている。
【0003】
また、フリップチップボンディングに用いられる超音波ホーン60は、図28(a)に示すように、超音波ホーン60の中央部に加工装置であるツール61が取り付けられ、超音波ホーン60の後端部65に超音波振動子11が取り付けられている。超音波ホーン60は振動拡大のために両端からツール61の取り付けられている中央部に向かって細くなっている。超音波振動子11の発生する超音波振動は縦波として超音波ホーン60を伝わり、先端部64で反射されて超音波ホーン60に定在波を発生させる。図28(b)は、この定在波の様子を示した模式図である。超音波振動子11の取り付けられている後端部65と、超音波が反射される先端部64には定在波の振幅の大きい腹部63が形成され、また、中央のツール61の取り付けられている部分も振動の腹部63となって前後に振動する。一方、ツール61の両側には振幅の発生しない節部18が発生する。この節部18の位置にフランジ13が取り付けられている。フランジ13はその外側にU字型の取り付け部70を有しており、この取り付け部70によって超音波ホーン60はフリップチップボンディング装置に取り付けられている。
【0004】
図24に示すように、このような超音波ホーン10,60が共振状態にあるときには、節となっているフランジ13の取り付け部分には、後端部よりの共振による圧縮応力P1と先端部よりの共振による圧縮応力P2がかかる。この応力によりフランジ取り付け部分は超音波ホーン10の軸方向に圧縮応力を受ける。この圧縮応力によって超音波ホーン10のフランジ取り付け部分には軸方向の縦ひずみが発生すると共にポアソン比分だけの軸直角方向の横ひずみが発生する。この結果、超音波ホーン10,60はフランジ取り付け部分において、軸方向に圧縮変形すると共に、軸直角方向には膨張変形を生じ、フランジ取り付け部分の中心線からの半径r2は、膨張変形によって軸直角方向にε1だけ変位し、その寸法がr2+ε1となる。これにしたがって、フランジ13の先端位置及びフランジ取り付け孔15の位置も共に軸直角方向にほぼε1だけ変位することとなる。この変形は超音波ホーンの共振に起因するものであることから、変位は振動となって現れてくる。また、フランジ13は装置に固定されていることからこの変位により、フランジ13及び取り付け孔15に応力が発生することとなる。
【0005】
このような、フランジ取り付け部分の応力を緩和するために、図23(a)に示すようにフランジの取り付け孔15と超音波ホーン10の間のフランジの肉厚を薄くした構造(たとえば、特許文献1参照)や、フランジ13に円筒部分を設けて、この部分で超音波ホーン10を支持するようにした構造(たとえば、特許文献2参照)や、フランジ13の外側にU字型の取り付け部70を備えてこの部分で超音波ホーンを支持するようにした構造(例えば、特許文献3参照)が用いられている。また、図25、図26に示すようにフランジ13の取り付け孔15との間にスロットを設けた構造が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。これらの構造はいずれも、装置への固定部分と超音波ホーン10の間に強度を低くした部分を設けて、その部分の変形で歪を吸収するようにして、固定部分での応力の緩和を図ったものである。また、図27に示すように超音波ホーン10のフランジ取り付け部にスロット21Sを入れたものもある(たとえば、特許文献1参照)。この構造は、圧縮による膨張により超音波ホーン10がスロット21S側に変形して応力の低減を図ることはできるが、フランジの取り付け強度上から超音波ホーンの円周に沿って超音波ホーンがフランジに固定されているため、上記圧縮による膨張に起因する超音波ホーンのフランジの振動を抑えることができない。
【0006】
【特許文献1】米国特許5,595,328号明細書
【特許文献2】特開2001−24025号公報
【特許文献3】特開2001−38291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような、超音波による圧縮応力による膨張変形は、非常に小さいものであるが、これが固定点となるフランジ部に発生すると、インピーダンスが大きくなり最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響が発生し、ボンディング品質を劣化させるという問題があった。また、微小振動の発生は、リークといわれる超音波ホーンの振動エネルギーの損失を発生させ、これによりキャピラリやツールの振動が不十分となってボンディング品質を劣化させるという問題があった。
【0008】
また、ワイヤボンディング装置やフリップチップボンディング装置を高速化しようとすると、超音波ホーンの高速上下動が必要になってくる。このような高速上下動は、従来よりも大きな力を支持部に及ぼすこととなる。しかし、上記のような従来技術では、取り付け部に強度の低い部分を設けて固定部分に発生する応力を吸収させていることから、支持強度が高速化によって生じる大きな力に対抗できず、超音波ホーン10は、その上下動に伴って上下方向に振動する。特にワイヤボンディング装置では、このような上下方向の振動が発生すると、ボンディング中にボールに余計な力が掛り、ボールのつぶれ形状の不良が発生し、半導体装置のファインピッチ化により小さくなったボール径には対処できなくなるという問題があった。また逆に取り付け部の強度を確保しようとするとフランジ部の振動を抑えられないという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにして、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる超音波ホーンを提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、上記の微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにしつつフランジ支持強度を保って、超音波ホーンの上下方向の振動を防止し、ワイヤボンディング装置及びフリップチップボンディング装置の高速化及びワイヤボンディング装置が半導体のファインピッチ化に対応できるような超音波ホーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、先端部と後端部の間の両側面の超音波振動子によって発生される振動の節部位置に装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、超音波ホーンの長手方向中心軸上にその長さが取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、少なくともその一部が、スリット部の超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、対向するフランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心点が内側にあることによって達成することができる。また、本発明の目的は、上記の断面変更部をフランジ部と先端部及びフランジ部と後端部の中間部側面がそれぞれ、あるいはその片側を曲面とすることによっても達成することができるし、先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広くても達成できる。また、スリットは複数であり、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側のスリットと超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側のスリットと超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が、内側にあることによっても達成できる。
【0012】
本発明の目的は、先に述べた超音波ホーンにおいて、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太い後端部と、先端部と後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、超音波振動子の中央位置で超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成され、振動子と両側の各取り付け用フランジとの間に、複数のスリットが設けられ、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が内側にあること
によっても達成することができる。
【0013】
また、本発明の目的は、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、先端部と後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、第1の材質からなる第1材料部分と、第1の材質よりもヤング率が小さい第2の材質からなる第2材料部分とを有し、取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられた第1材料部分と、取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、スリットに対向する超音波ホーン各外側面からスリットに向かって半円柱状に形成された前記第2材料部分とを含み、スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の断面の応力中心点が、内側にあることによっても達成できる。
【0014】
本発明の目的は、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる円筒状の後端部と、先端部と後端部の間の両側面の、超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、取り付けフランジ中心に対して先後方向に伸びて、超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが取り付けフランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、少なくともその一部が、円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、円環状隙間の先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心円が内側にあることによっても達成できる。また、この断面変更部は円筒形状のフランジ部外周と、円筒形状の後端部外周を結ぶ曲面であってもよい。そして、上記の円環状隙間のために、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた中心孔と、中心孔と同軸上に配設されたその中心孔径より外径寸法が小さい心棒とを有していてもよいし、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔と、中心孔のネジ部に超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、円環状隙間部の前記中心内径よりも外径が小さい突端部分を有する固定ネジとを有していてもよい。そして、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた先端部側端部と後端部側端部の中心孔の直径は、フランジ部の前記中心孔の直径よりも大きくなっていることでもよい。
【0015】
本発明の目的は、先に述べた超音波ホーンにおいて、加工用装置が取り付けられる先端部と、先端部より太い後端部と、先端部と後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、超音波振動子の中央位置で前記超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成されていることでも達成できる。また、本発明の目的は、振動子は、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔内に配設され、中心孔のネジ部に前記超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、振動子に当接して振動子を固定する固定ネジを有することによっても達成できる。さらに本発明の目的は、超音波ホーンのフランジが一体加工にて形成されていることによっても達成できるし、
本発明の超音波ホーンをワイヤボンディング装置またはフリップチップボンディング装置に用いることによっても達成できる。
【0016】
本発明の目的は、超音波振動子が取り付けられる後端部と、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられる加工装置と、前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置にあって、前記加工装置の反対側に形成された装置取り付け用フランジと、を備えた超音波ホーンであって、前記それぞれの取り付けフランジ中心に対して先後に延びて、前記取り付けフランジの側から前記加工装置の側に向かって湾曲している湾曲部を有することによって達成できる。
【0017】
本発明の目的は、超音波振動子が取り付けられる後端部と、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、前記超音波振動子は、前記装置取り付けフランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記それぞれの取り付け用フランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、前記超音波ホーンの断面にあるスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあることによって達成できる。ここで、それぞれの前記取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて設けられたそれぞれのスリット部は複数のスリットを有し、超音波ホーン側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのフランジ部の応力中心点が内側にあること、としてもよい。
【0018】
本発明の目的は、先端部と後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、前記超音波振動子は、前記装置取り付けフランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波振動子と両側面のそれぞれの取り付け用フランジとの間にあって、その長さが前記それぞれの取り付けフランジの厚さ以上の複数のスリットが設けられたスリット部と、少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあることによって達成できる。ここで、それぞれの前記スリットの先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広いこととしてもよい。
【0019】
本発明の目的は、円筒状の先端部と円筒状の後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、前記超音波振動子は、前記装置取り付け用フランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後方向に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが前記それぞれの取り付け用フランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、少なくともその一部が、前記それぞれの円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、前記超音波ホーンの前記それぞれの円環状隙間の先端部と後端部の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、前記超音波ホーンのそれぞれのフランジ部の応力中心円が内側にあることによって達成できる。ここで、それぞれの前記円環状隙間の先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方の円環状隙間外径はフランジ部の円環状隙間外径よりも広いこと、としてもよいし、それぞれの前記断面変更部は、それぞれの前記フランジ取り付け中心に対し先後に延びた前記超音波ホーン側面のいずれか一方又は両方の曲面部分であること、としてもよい。
【0020】
また、本発明の目的は、本発明の超音波ホーンをフリップチップボンディング装置に用いることによっても達成できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにして、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を有する。また、本発明は、フランジ支持強度を保って、超音波ホーンの上下方向の振動を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1から第12の実施形態について以下に説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の第1の実施形態について図1、図2を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態の超音波ホーンを示す全体斜視図であり、図2はフランジ部分の拡大斜視図である。本発明の第1の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、図1に示すように、キャピラリ12、フランジ13、超音波振動子11を有している。超音波ホーン10の先端部、フランジ取り付け部分は矩形断面形状であり、後端部は円形断面形状を有している。フランジ取り付け部分から先端部にかけては振幅拡大のために幅が徐々に狭くなり、先端部が最も細くなっている。この先端部には加工用装置であるキャピラリ12が取り付けられている。また、超音波ホーン10の後端部は円形断面形状を有し、ここに超音波振動子11がナット37によって固定されている。従来技術で説明したのと同様、節となる部分にフランジ13が取り付けられている。このフランジ13は超音波ホーン10の両側面に、超音波ホーン10と一体に削り出し加工によって形成されている。そして、フランジ13にあけられた取り付け孔15によって超音波ホーンはワイヤボンディング装置に固定される。
【0024】
超音波ホーン10の上下面は、フランジ取り付け部分から後端部の少し手前まで、厚さが一様の平坦面になっている。そして、この平坦面から後端部にかけて斜面状の切り上げ部分があり、矩形断面形状から円形断面形状につながっている。一方、超音波ホーン10のフランジ13が取り付けられている両側面は、フランジ取り付け部に接して後端部の方向に延びている円筒面で矩形断面から円形断面形状につながっている。この部分は側面の円筒面に応じてその断面形状が変化する断面形状変更部24である。
【0025】
超音波ホーン10には、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象で、上面から下面に垂直に貫通したスリット22が設けられている。スリット22の一端は断面形状変更部24まで延びており、スリット22の先端側の端部と後端側の端部はフランジ中心部分よりスリット幅が広くなって、端部は超音波振動の反射を防止するために略円筒面をなしている。また、スリット22の長さはフランジ13の厚さ以上であればよいが、本発明の第1の実施形態では、これより長く、超音波ホーンのフランジ部の幅Wよりも長くなっている。スリットはフランジ中心線付近で平行部を有していてもよいし、全体的に曲面で構成された繭形の形状であってもよい。
【0026】
次に、本発明の第1の実施形態の動作について、図3、図4(a)、図4(b)、図4(c)、図4(d)、図4(e)を参照しながら説明する。従来技術の超音波ホーンの動作と同様、超音波振動子11の発生する超音波振動は、縦波として超音波ホーン10を伝わり、超音波ホーン10はその形状や材質で定まった共振周波数で共振し、定在波が発生する。超音波ホーン10には先後方向の振幅の大きい部分と振幅の発生しない節が発生し、この節の位置にフランジ13が取り付けられている。図3に示すように、このような超音波ホーン10が共振状態にあるときには、節となっているフランジ13の取り付け部分には、後端部よりの共振による圧縮応力P1と先端部よりの共振による圧縮応力P3がかかる。この応力によりフランジ取り付け部分は超音波ホーン10の軸方向に圧縮応力を受ける。
【0027】
このような圧縮応力がかかるときのスリット22の周りの変形は次のように説明される。ここで、図3に示すように、スリット後端部の超音波ホーン断面はスリット後端部における超音波ホーンの断面又は後端部に円筒面のようにスリット幅が狭くなる部分を有している時には、後端部に近いスリット幅が最も広くなっている部分の超音波ホーンの断面をいうものとする。また、スリット先端部の超音波ホーン断面はスリット先端部における超音波ホーンの断面又は先端部に円筒面のようにスリット幅が狭くなる部分を有している時には、先端部に近いスリット幅が最も広くなっている部分の超音波ホーンの断面をいうものとする。フランジ部超音波ホーン断面はフランジの中心線上の超音波ホーンの断面をいうものとする。
【0028】
超音波ホーン後端部からかかる圧縮応力P1はスリット後端部の超音波ホーン断面にも圧縮応力として作用する。このスリット後端部の超音波ホーン断面の断面積に圧縮応力を掛けるとスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心点25に作用する荷重F1が求められる。ここで応力中心点25は通常は、スリット後端部超音波ホーン断面の図心となり、応力分布を考慮する必要があるときは応力分布の重み付けをして求めた図心である。これによって、超音波ホーン後端部からの圧縮応力P1はスリット後端部超音波ホーン断面の応力中心点25に作用する荷重F1に置き換えることができる。同様に超音波ホーン先端部からの圧縮応力P3もスリット先端部超音波ホーン断面の応力中心点27に作用する荷重F3に置き換えることができる。また、超音波ホーン後端部と先端部からの圧縮応力は共にフランジ部にもかかる。フランジ中心位置では後端部と先端部からの応力の方向が反対で大きさが等しい状態となっている。これを先と同様の方法で、フランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26に作用する、方向が逆で同じ大きさの荷重F2に置き換えることができる。
【0029】
図3に上記の各荷重F1、F2、F3及び各応力中心点25、26、27を示す。各応力中心点25、26、27は、それぞれ超音波ホーンの中心軸からの距離がそれぞれL1,L2,L3である。L1は断面形状変更部とスリット後端部のスリット幅がフランジ部のスリット幅よりも広くなっていることからL2より大きく、L1とL2の差はδ1である。また、L3はスリット先端部のスリット幅がフランジ部のスリット幅よりも広くなっていることからL2より大きく、L3とL2の差はδ3である。これにより、フランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26はスリット後端部超音波ホーン断面の応力中心25、スリット先端部超音波ホーン断面の応力中心点27より内側になっている。そしてフランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26はスリット後端部超音波ホーン断面の応力中心25とスリット先端部超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりもδ2だけ内側になっている。
【0030】
以上のように、各応力を各荷重に置き換え、フランジ部の超音波ホーン断面とスリット後端部の超音波ホーン断面の間の部分の要素を取り出すと、図4(a)のようになる。
要素には後端部側から荷重F1左向きにかかり、先端部側から荷重F3が右向きにかかり、要素は圧縮を受けている。図4(b)に示すように、この圧縮荷重によって要素は先後方向に圧縮されると共に、ポアソン比に応じた分だけ軸直角方向に膨張し、フランジの取り付けられている側面を外側にε2だけ押し出し、スリットの面を中心線側にε2だけ押し出すように変形する。一方、荷重F1のかかるスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25と荷重F3のかかるスリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心27を結ぶ直線と、フランジ部超音波ホーン断面の応力中心点26は荷重の方向と直角方向にδ2だけずれているので、このδ2によって要素には要素をスリット側に曲げようとする曲げモーメント働く。図4(c)に示すように、要素はこの曲げモーメントによってスリットのある中心線側に曲がり変形を生じる。図4(d)に示すように、この曲がりによる中心軸側への変位量ε3とフランジの取り付けられている側面の外側への変位量ε2は方向が逆で大きさが略等しく、フランジが取り付けられている側面の変位量はその差、ε2−ε3=ε5となって非常に小さくなる。逆にスリットのある中心軸側は両方の変位量の合計量、ε2+ε3=ε4となって大きく中心軸側に変位することとなる。フランジが取り付けられている側面の変位が非常に小さくなるので、フランジ13にあけられている取り付け孔15の位置の変化量も非常に小さくなる。
【0031】
図4(e)に超音波ホーンのフランジ部分の全体の変形の様子を示す。図4(e)において、実線は変形後の形状を示し、破線は変形前の形状を示す。後端側の圧縮応力P1と先端側からの圧縮応力P3によって全体的に圧縮変形をする。一方、フランジ部の超音波ホーン断面の応力中心点26はスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25とスリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりも内側にあることから、フランジが取り付けられている側面はほとんど変位せず、スリットのある中心軸側は大きく中心軸側にε6だけ変位することとなる。フランジが取り付けられている側面の変位が非常に小さくなることからフランジの取り付け孔15までの距離L4もほとんど変化しないこととなる。
【0032】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、超音波ホーンに発生する圧縮による膨張変位の振動を逆方向の曲げ変位振動で相殺するという効果を奏する。この効果はコンピュータによる構造解析でも確認されている。構造解析結果によると、特に断面形状変更部24の効果は大きく、単に超音波ホーン10にスリット22を設けた場合には、フランジの取り付け孔15の軸直角方向の変位量は10-7のオーダーであるものが、断面形状変更部24を設けることによってその変位量が10-9のオーダーに減少している。このことから、断面形状変更部24を設けることによってフランジの取り付け孔15の変位量を数10分の1以下に低減できるという顕著な効果を奏することがわかる。また、この構造解析によるとスリットの長さは超音波ホーンのフランジ部の幅W以上にすると効果が顕著になるという結果が出ている。本発明の第1の実施形態は断面形状変更部24がフランジ部と超音波ホーンの後端部の間に設けられているが、この断面形状変更部24はフランジ部と超音波ホーン先端部との間にも設けられていてもよい。この場合はさらにフランジの取り付け孔15の変位量を低減することができる。
【0033】
本発明の第1の実施形態は、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができるので、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を有する。さらに、本発明の第1の実施形態は、フランジ13の固定点となる取り付け孔15と超音波ホーン10の間に強度を低下させた部分を設けずに、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができるので、フランジ13は十分な支持強度を有することとなり、超音波ホーン10の上下方向の振動を防止することができるという効果を奏する。この結果、ワイヤボンディング装置の高速化に対応できると共にワイヤ先端のボール径の不良を防止できるので半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。さらにスリット22の先端部と後端部を略円筒面として超音波の振動が反射されることを防止しているので、スリット22を設けることによる超音波伝達効率を低下させることもない。
【実施例2】
【0034】
図5を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。
【0035】
本発明の第2の実施形態はスリット22を複数本(図中では2本入れたものを示す)有するものである。スリット22は第1の実施形態と同様に先端部と後端部を略円筒面としているが、円筒面の中心を側面側にオフセットしてスリットが超音波ホーン10の中心線側に突出しないような形状としている。動作は実施形態1の動作と同様で、超音波ホーン断面の応力中心点26が一番外側のスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25と、一番外側のスリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりも内側になっていることから、超音波ホーン側面の膨張による変位と曲げによる変位が相殺されて、その側面の変位が非常に小さくなる。また、圧縮応力が複数のスリットへの変形によって吸収されることから、フランジの変位を抑えつつ、第1の実施形態よりも超音波ホーン10に発生する応力を低減することができる効果を奏する。
【実施例3】
【0036】
図6を参照しながら本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。
【0037】
図6において、超音波ホーン10の中心軸周りは第1の材料部分39であり、その中にスリット22を有している。図中斜線を付した部分は第2の材料部分である。第1の材料は例えばステンレス鋼であり、第2の材料はこの第1の材料よりもヤング率が小さい例えばアルミである。第1の材料部分と第2の材料部分によって超音波ホーン10が形成され、第1の実施形態と同様、フランジ取り付け部は矩形断面を有し、第2の材料部分はこの矩形断面の両側面から中心のスリット22に向かって半円柱状に形成され、フランジ中心線付近で厚く、フランジ中心線から離れるに従って薄くなっている。第1の材料部分と第2の材料部分は境界41を有している。
【0038】
以下、第3の実施形態の動作について説明する。第1の実施形態と同様に超音波ホーンには、先端部、後端部から圧縮応力が作用する。この力は第1の材料部分39にかかると共に第2の材料部分40にも作用する。しかし、第2の材料は第1の材料に対してヤング率が低い材料であることから、その変形は第1の材料部分の変形に追従することとなる。つまり、全体の変形は第1の材料部分の変形によって決定されることとなる。第1の実施形態と同様に超音波ホーン後端部からかかる圧縮応力P1はスリット後端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面にも圧縮応力として作用する。このスリット後端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の断面積に圧縮応力を掛けると第1材料部分のスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心点55に作用する荷重F11が求められる。ここで応力中心点55は通常は、スリット後端部超音波ホーンの第1材料部分の断面の図心となり、応力分布を考慮する必要があるときは応力分布の重み付けをして求めた図心である。これによって、超音波ホーン後端部からの圧縮応力P1はスリット後端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点55に作用する荷重F11に置き換えることができる。同様に超音波ホーン先端部からの圧縮応力P3もスリット先端部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点57に作用する荷重F13に置き換えることができる。また、超音波ホーン後端部と先端部からの圧縮応力は共にフランジ部にもかかる。フランジ中心位置では後端部と先端部からの応力の方向が反対で大きさが等しい状態となっている。これを先と同様の方法で、フランジ部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点56に作用する、方向が逆で同じ大きさの荷重F12に置き換えることができる。
【0039】
図6に上記の各荷重F11、F12、F13及び各応力中心点55、56、57を示す。各応力中心点55、56、57は、第1の実施形態と同様、それぞれ超音波ホーンの中心軸からの距離がそれぞれL11,L12,L13である。第1の材料部分はフランジ中心線付近では細くなっており、フランジ中心線から離れるに従って太くなっていることから、フランジ部の超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心点56は、スリット先端及び後端部超音波ホーンの第1材料部分の断面の応力中心55、57を結ぶ直線54よりもδ12だけ内側になっている。これによって、第1の実施形態と同様、圧縮力による第1の材料部分の膨張変位の振動を逆方向の曲げ変位振動で相殺するという効果を奏する。一方、第2の材料部分は第1の材料よりヤング率が低く、第1の材料の変形に追従して変形することから、フランジ中心線と第1の材料部分と第2の材料部分の境界41の交点42の位置ほとんど変位せず、フランジ13の取り付け孔15の位置もほとんど変形せず、第1の実施形態と同様、フランジの変位、振動を防止することができる効果を奏する。
【実施例4】
【0040】
図7を参照しながら本発明の第4の実施形態について説明する。図7は本発明の第4の実施形態のフランジ部の斜視図であり第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。
【0041】
本発明の第4の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、その内部に孔30が明けられその中に超音波振動子11が超音波ホーン後端部からねじ込まれたボルト31によって固定されている。この孔30は超音波振動子11よりもほんの僅か直径が大きく、外周には微小な円環状隙間33があり、超音波ホーン10と超音波振動子11は接触しないようになっている。超音波振動子11はその軸方向の中央位置において振動の節を形成することから、この超音波振動子11の軸方向の中央位置にあたる超音波ホーンの両側面にフランジ13が設けられている。また、本発明の第1の実施形態と同様にフランジ13と超音波ホーン後端部との間の側面には断面形状変更部24が設けられ、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象で、上面から下面に垂直にスリット22が設けられている。スリットの位置、形状、長さは本発明の第1の実施形態と同様である。
【0042】
本発明の第4の実施形態の動作は実施形態1の動作と同様で、超音波ホーン断面の応力中心点26がスリット後端部の超音波ホーン断面の応力中心25と、スリット先端部の超音波ホーン断面の応力中心点27を結ぶ直線14よりも内側になっていることから、超音波ホーン側面の膨張による変位と曲げによる変位が相殺されて、その側面の変位が非常に小さくなる。
【0043】
これにより、共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができるとともに、フランジ13が十分な支持強度を持っているので、本発明の第1の実施形態と同様に、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させると同時に音波ホーンの上下方向の振動を防止しうることができるという効果を奏する。また、超音波振動子11とフランジ13を同一の節におくことにより、節の位置とフランジ13の位置のずれによって生じるフランジの振動を防止しうるという効果を奏する。さらに超音波振動子11が超音波ホーンの内部に取り付けられていることから構造をコンパクトにできることから、より上下方向の振動を防止することができると共にワイヤ先端のボール径の不良を防止できるので、よりいっそうのワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例5】
【0044】
図8を参照しながら、本発明の第5の実施形態について説明する。図8は本発明の第5の実施形態のフランジ部の斜視図であり、第5の実施形態において、第1または第4の実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。本発明の第5の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、第4実施形態と同様の構造で内部に超音波振動子11が超音波ホーン後端部からボルト31によって固定されている。この超音波振動子11の軸方向の中央位置にあたる超音波ホーンの両側面にフランジ13が設けられ、本発明の第1の実施形態と同様にフランジ13と超音波ホーン後端部との間の側面には断面形状変更部24が設けられている。内部の孔30と超音波ホーンの両側面とのそれぞれの間に、上面から下面に貫通して垂直にスリット22が設けられている。このスリット22は長手方向にはフランジ中心線に対して先後方向に対象になっている。スリットの形状は第1の実施形態と同様である。
【0045】
本発明の第5の実施形態の動作は実施形態1の動作と同様で、フランジ部超音波ホーンのスリット22と超音波ホーン側面間の断面の応力中心点26がスリット先端部及び後端部の超音波ホーンのスリット22と超音波ホーン側面間の断面の応力中心25と27を結ぶ直線14よりも内側になっていることによって、超音波ホーン側面の膨張による変位と曲げによる変位が相殺されて、その側面の変位が非常に小さくなる。第5の実施例ではスリット22が2つ設けられていることから超音ホーン側面の変位は、第1、第4の実施形態よりもさらに低減されるという効果を奏する。これによって本発明の第2の実施形態の効果に加えて、さらにボンディング品質の向上、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例6】
【0046】
本発明の第6の実施形態について図9から図11を用いて説明する。図9は本発明の第6の実施形態の超音波ホーンを示すフランジ部分の拡大斜視図であり、図10はフランジ部分の軸直角方向の断面図であり、図11はフランジ取り付け部分の平面図断面図である。本発明の第6の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、先端部、フランジ取り付け部、後端部共に円形断面形状を有している。フランジ取り付け部分から先端部にかけては振幅拡大のために直径が徐々に小さくなり、先端部が最も細くなっている。この先端部には加工用装置であるキャピラリ12が取り付けられる。また、超音波ホーン10の後端部に超音波振動子11が固定されている。本発明の第1の実施形態と同様、振動の節となる部分にフランジ13が取り付けられている。このフランジ13は超音波ホーン10の両側面に、超音波ホーン10と一体に削り出し加工によって形成されている。そして、フランジ13にあけられた取り付け孔15によって超音波ホーンは装置に固定される。
【0047】
一方、超音波ホーン10のフランジ13から後端部にかけて、フランジ取り付け部に接して後端部の方向に延びている断面形状変更部24を有している。この断面形状変更部24は、円弧を超音波ホーン10の中心軸周りに回転させて形成されるラッパ形の形状をしており、フランジ取り付け部から後端部に向かってその断面形状が大きくなっていくように変化していく。
【0048】
超音波ホーン10には、その内部に孔30が明けられその中に同軸上に心棒32が超音波ホーン後端部から挿入され、ボルト31によって固定されている。この孔30は心棒32よりもほんの僅か直径が大きく、外周には微小な円環状隙間33が形成されている。この孔30と心棒32と円環状隙間33は、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象になるように配設されており、その一端は断面形状変更部24まで延びている。この円環状隙間33の長手方向長さはフランジ13の厚さ以上であればよいが、本発明の第6の実施形態では、これより長く超音波ホーンのフランジ部の直径よりも長くなっている。
【0049】
次に、本発明の第6の実施形態の動作について説明する。第1の実施形態と同様に超音波振動子11の発生する超音波振動によって節となるフランジ取り付け部分は超音波ホーン10の長手方向に圧縮応力を受ける。
【0050】
このような圧縮応力がかかるときの円環状隙間33の周りの変形は次のように説明される。ここで、図10、11に示すように、超音波ホーン後端部からかかる圧縮応力P1は円環状隙間後端部の超音波ホーン断面にも圧縮応力として作用する。円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の断面積に圧縮応力を掛け、応力中心円34の周長で割ると円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の応力中心円34に作用する円環荷重F4が求められる。ここで応力中心円34は通常は、円環状隙間後端部における孔30の直径と超音波ホーン外面の直径の平均直径であり、応力分布を考慮する必要があるときは半径方向の応力分布の重み付けをして求めた平均直径である。これによって、超音波ホーン後端部からの圧縮応力P1は円環状隙間後端部超音波ホーン断面の応力中心円34に作用する円環荷重F4に置き換えることができる。同様に超音波ホーン先端部からの圧縮応力P3も円環状隙間先端部の超音波ホーン断面の応力中心円36に作用する円環荷重F6に置き換えることができる。また、フランジ中心位置では後端部と先端部からの応力の方向が反対で大きさが等しい状態となっている。これを先と同様の方法で、フランジ部の超音波ホーン断面の応力中心円35に作用する方向が逆で同じ大きさの円環荷重F5に置き換えることができる。
【0051】
図11に上記の各円環荷重F4、F5、F6及び各応力中心円34、35、36を示す。各応力中心円34、35、36は、それぞれ直径D1、D2、D3である。D1は断面形状変更部があることからD2より大きくなっている。そして、円環状隙間の先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心円36及び34を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心円35が内側になっている。
【0052】
第1の実施形態と同様に、各応力を各円環荷重に置き換え、フランジ部超音波ホーン断面と円環状隙間後端部超音波ホーン断面の間の部分の要素を取り出すと、先に第1の実施形態の動作説明で述べたのと同様、応力中心円34、35、36の大きさの差による曲げモーメントによって、この要素は、円環状隙間の方向に向かって直径が小さくなるように変形する。図12に示すように、超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径はほとんど変化せず、逆に円環状隙間の設けられている内径側は直径が小さくなる変形に直径が小さくなる方向への膨張変形が加わり、より内径側に変形する。
【0053】
このことから、本発明の第6の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏することができ、さらに、超音波ホーンのフランジ取り付け部の外周面全部に渡ってその変位を非常に少なくすることができるので、第1の実施形態よりも大きなフランジを取り付けあるいは一体成型によって設けることができる。このことより、超音波ホーンのフランジ13は側面に設けるのみでなく、全周に渡って設けることができ、より支持強度の大きいフランジとしてさらに超音波ホーンの上下方向の振動を防止することができる。このことにより、よりいっそうワイヤ先端のボール径の不良を防止でき、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【0054】
本発明の第6の実施形態は断面形状変更部24がフランジ部と超音波ホーンの後端部の間に設けられているが、この断面形状変更部24はフランジ部と超音波ホーン先端部との間にも設けられていてもよい。この場合はさらにフランジの取り付け孔15の変位量を低減することができる。また、本発明の第6の実施形態は心棒32とボルト31を別々のものとしたが、ボルト31の先端に心棒と同様の直径、長さの突起部分を設けてこれを超音波ホーンの後端部からねじ込んで構成することとしても同様の効果を奏することができる。また、図18に示すように、このボルト31は後端部にネジを回すことができるような角柱部分38を設けて、この角柱部分でネジを回して心棒32を固定し、その後、超音波振動子11を後端部からはめ込んで、ナット37で超音波振動子11を固定するように構成することができる。
【実施例7】
【0055】
図13を参照して、本発明の第7の実施形態について説明する。第6実施形態と同一の部分には同一の符号を用いて説明は省略する。本発明の第7の実施形態の超音波ホーン10は、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、その内部に孔30が明けられその中に超音波振動子11と心棒32が超音波ホーン後端部からボルト31によって固定されている。この孔30は超音波振動子11及び心棒32よりもほんの僅か直径が大きく、外周には実施形態4と同様に微小な円環状隙間33が形成されている。この隙間によって超音波ホーン10と超音波振動子11は接触しないようになっている。超音波振動子11は第4の実施形態同様、その軸方向の中央位置において振動の節を形成することから、この超音波振動子11の軸方向の中央位置にあたる超音波ホーン10の両側面にフランジ13が設けられている。円環状隙間33の長手方向長さは、第6の実施形態と同様、フランジ取付部の超音波ホーンのフランジ幅よりも長くなっている。
【0056】
本発明の第7の実施形態の動作は第6の実施形態の動作と同様、応力中心円34、35、36の大きさの差による曲げモーメントによって、内径側は円環状隙間の方向に向かって直径が小さくなるように変形し、超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径はほとんど変化せず、超音波ホーンのフランジ取り付け部の外周面全部に渡ってその変位を非常に少なくすることができる。これにより実施形態4と同様の効果を奏すると共に、本発明の実施形態2と同様に、超音波振動子11とフランジ13が同じ節に設けられていることとなり、節の位置とフランジ13の位置のずれによって生じるフランジの振動を防止しうるという効果および超音波振動子11が超音波ホーンの内部に取り付けられていることから構造をコンパクトにできることから、より上下方向の振動を防止することができ、よりいっそうのワイヤ先端のボール径の不良を防止でき、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例8】
【0057】
本発明の第8の実施形態について図14、15、16を参照しながら説明する。本発明の第6の実施形態と同様の部分については同様の符号を用いて説明は省略する。本発明の第8の実施形態はワイヤボンディング装置に用いられるもので、第6の実施形態と同様、超音波ホーン10には、その内部に孔30が明けられその中の同軸上に心棒32が超音波ホーン後端部からボルト31によって固定されている。図14及び15に示すように、この孔30はフランジ中心線上にて心棒32よりもほんの僅か直径が大きく、後端部及び先端部に行くほどその直径が大きい、円錐台を二つ合わせたような形状をしている。一方、心棒32は一様な直径の丸棒であることから、心棒32の外周の微小な円環状隙間33はフランジ中心線上で最も狭く、後端部及び先端部の方向に隙間が大きくなるように形成されている。また、この孔30と心棒32と円環状隙間33は、長手方向にフランジ中心線に対して先後方向に対象になるように配設されており、その一端は断面形状変更部24まで延びている。第6の実施形態と同様、円環状隙間33の軸方向長さはフランジ部の超音波ホーンの直径よりも大きくなっている。
【0058】
このような形状としているため、図15、16に示すように、円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の応力中心円34及び円環状隙間先端部の超音波ホーン断面の応力中心円36はいずれもフランジ部の超音波ホーン断面の応力中心円35よりも直径が大きく、円環状隙間の先端部と後端部の超音波ホーンの断面の応力中心円36及び34を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の超音波ホーンの断面の応力中心円35が内側になっている。そして、応力中心円34、35の大きさの差および、応力中心円35、36の大きさの差によって発生する曲げモーメントにより、フランジ中心線付近では、第6の実施形態の場合より円環状隙間の方向に向かってより直径が小さくなるように変形する。超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径は本発明の実施形態6の場合より更に小さくなる。
【0059】
このことから、本発明の第8の実施形態は、第6の実施形態以上に超音波ホーンのフランジ取り付け部の外周面全部に渡ってその変位をさらに少なくすることができるので、第6の実施形態よりも共振時の圧縮応力による微小膨張変形の影響がさらに固定部分に及ばないようにすることができる。したがって、第6の実施形態の効果に加えてさらに最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を有する。
【0060】
本発明の第8の実施形態は第6の実施形態と同様、ボルト31の先端に心棒と同様の直径、長さの突起部分を設けてこれを超音波ホーンの後端部からねじ込んで構成すること
もできるし、図18に示すように、ボルト31の後端部の角柱部分38で心棒32を締め付けて、その後、超音波振動子11を後端部からナット37で固定するように構成することもできる。
【実施例9】
【0061】
本発明の第9の実施形態について、図17を参照して説明する。本発明の第7、第8の実施形態と同様の部分については同様の符号を用いて説明は省略する。本発明の第9の実施形態は第8の実施形態と同様、超音波ホーン10は、その内部に円錐台を二つ合わせたような形状の孔30を有し、その内部に本発明の第5の実施形態と同様に超音波振動子11、心棒32が配設されている。
【0062】
このため、本発明の第9の実施形態は本発明の第8の実施形態と同様に、ワイヤボンディング装置に用いられるもので、円環状隙間後端部の超音波ホーン断面の応力中心円34及び円環状隙間先端部の超音波ホーン断面の応力中心円36はいずれもフランジ部の超音波ホーン断面の応力中心円35よりも直径が大きくなっており、応力中心円34、35の大きさの差および、応力中心円35、36の大きさの差によって、フランジ中心線付近では、第6の実施形態より円環状隙間の方向に向かってより直径が小さくなるように変形する。超音波ホーンの外面ではこの直径が小さくなる変形と圧縮荷重による膨張で直径が大きくなる方向の変形が相殺されて、外面の直径は本発明の第6の実施形態の場合より更に変化が小さくなるという効果と、本発明の第4、第7の実施形態と同様に、超音波振動子11がフランジ13と同じ節に設けられているため、節の位置とフランジ13の位置のずれによって生じるフランジの振動を防止しうるという効果および超音波振動子11が超音波ホーンの内部に取り付けられていることから構造をコンパクトにできる。これにより、より上下方向の振動を防止することができることから、ワイヤ先端のボール径の不良を防止し、ワイヤボンディング装置の高速化、半導体装置のファインピッチ化に対応できるという効果を奏する。
【実施例10】
【0063】
本発明の第10の実施形態について、図19、図20を参照しながら説明する。図19は本発明の第10の実施形態の超音波ホーン60の斜視図であり、図20は本発明の第10の実施形態の超音波ホーン60の側面図及び動作説明図である。
【0064】
図19に示すように、本発明の第10の実施形態の超音波ホーン60は後端部65に超音波振動子11が取り付けられ、中央の下面には加工装置であるツール61が取り付けられている。そしてツール61と先端部64との間およびツール61と後端部65の間の上面にはフランジ13a,13bが取り付けられ、それぞれのフランジは接続部材66で接続されている。超音波ホーン60のフランジ13a,13bの取り付けられている部分はフランジ13a,13bの側からツール61のほうに向かって湾曲している湾曲部62を有している。湾曲部62の下面62c,62fは最も下側に湾曲しているフランジ取り付け部分で超音波ホーン60の下面より下側に出ないように、湾曲部62の両側は超音波ホーン60の下面から上に向かって段差がつけられている。
【0065】
図20(a)は本発明の第10の実施形態の側面図でその動作を示し、図20(b)は超音波振動の様子を示した図である。図20(a)の破線は超音波振動子11による振動が発生していない静止状態を示し、実線は超音波振動子11によって後端部65から圧縮力がかかっている状態における超音波ホーン60の変形状態を示している。超音波振動子11によって発生した超音波振動は超音波ホーン60に縦波の定在波を発生させる。この定在波は図20(b)に示すように、超音波振動子11の取り付けられている超音波ホーンの後端部65、超音波が反射する先端部64及び中央部においては先後方向の振幅の大きな腹部となり、中央の腹部にはツール61が取り付けられている。一方、定在波はその先後方向の振幅がほとんどない節部18を生ずる。ツール61の先端部側と後端部側にはそれぞれ節部18が発生し、この節部18の位置にフランジ13a,13bが形成されている。超音波振動子11が図20(a)の実線で示すように、超音波ホーン60の後端部65に圧縮力を加える状態のときには、図20(a)の矢印で示すように、ツール61と後端部65の間の超音波ホーン60は定在波によって両側から圧縮荷重を受ける。すると先に図4(a)〜図4(d)において説明した動作原理と同様の原理によって、湾曲部62の上面62a,62bはそれぞれフランジ13aの方向に向かって図20(b)の破線から実線のように曲げ変形を生じる。また、湾曲部の下面62cは圧縮力による膨張と湾曲部62自体の下方向に凸となるような曲げ変形によって図20(b)の破線から実線のように下方向に変位する。しかし、湾曲部62の上面のフランジ13aの取り付け部は、曲げ変形による下方向への変位と膨張による上方向への変位が相殺されるため、ほとんど変位しない。
【0066】
一方、ツール61と超音波ホーン60の先端部64の間は、上記の定在波によって逆に引っ張り荷重を受ける。すると上記の圧縮荷重の場合と反対に、湾曲部62の上面62d,62eはそれぞれフランジ13bを中心から超音波ホーン60の先端部64と後端部65の方向かって図20(b)の破線から実線のように曲げ変形を生じる。また、湾曲部の下面62fは引っ張り力による収縮と湾曲部62自体の上方向に凸となるような曲げ変形によって図20(b)の破線から実線のように上方向に変位する。しかし、湾曲部62の上面のフランジ13bの取り付け部は、曲げ変形による上方向への変位と収縮による下方向への変位が相殺されるため、ほとんど変位しない。
【0067】
このように、本発明の第10の実施形態は、2つのフランジ13a,13b共に超音波振動子11による定在波によって発生する圧縮、引っ張り応力によっても、超音波ホーン60との取り付け位置が変位しないことから、共振時の圧縮、引っ張り応力による微小膨張、収縮変形の影響が固定部分に及ばないようにすることができる。これにより、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を奏する。さらに、フランジ13a,13bは十分な支持強度を有することとなり、超音波ホーン60の振動を防止することができ、フリップチップボンディング装置の高速化に対応できるという効果を奏する。
【実施例11】
【0068】
本発明の第11の実施形態について図21を参照しながら説明する。図21(a)は本発明の第11の実施形態の超音波ホーン60の平面図で、図21(b)は超音波振動の様子を示した図である。この超音波ホーン60も先の本発明の第10の実施形態と同様に後端部65に超音波振動子11が取り付けられており、発生した超音波は先端部64で反射され、中央と先端部64と後端部65に超音波振動の腹部63が発生する。ツール61は中央の腹部63に配設されている。そして超音波振動の節部18位置の両側面にフランジ13a,13bが形成されている。超音波ホーン両側のフランジ13a,13bはそれぞれ接続材66によって接続され、それぞれの接続部材66には固定用の孔15が備えられている。超音波ホーン60の中心軸上のそれぞれのフランジ13a,13bの位置にはスリット22a,22bがそれぞれのフランジ13a,13bの中心から超音波ホーンの先端部64及び後端部65の方向に延びて配設されている。超音波ホーン60の両側面であって、後端部側のフランジ13aと後端部65の間には、フランジ13aの取り付け部から後端部65に向かって超音波ホーン60の幅が広くなっていくような曲面を持つ断面形状変更部24aが形成されている。同様に、超音波ホーン60の両側面であって先端部側のフランジ13bと先端部64の間には、フランジ13bの取り付け部から先端部64に向かって超音波ホーン60の幅が広くなっていくような曲面を持つ断面形状変更部24bが形成されている。
【0069】
超音波ホーン60の動作時の、フランジ13a,13b、スリット22a,22b、断面形状変更部24a,24bの動作は先に述べた本発明の第1の実施形態と同様で、異なるのは、上記の本発明の第10の実施形態と同様、どちらか一方のフランジ部分が圧縮状態となっている時に他の一方のフランジ部分は引っ張り状態となっていることである。しかし、圧縮状態、引っ張り状態のいずれの状態となってもフランジ13a,13bの取り付け部分はほとんど変位せず、これによる微小膨張、収縮変形の影響が装置への固定孔15の位置に及ばないようにすることができるので、最適な周波数からずれた周波数で発振する等の超音波共振への悪影響およびリークを防止し、ボンディングの品質を向上させる効果を奏する。さらに、フランジ13a,13bは十分な支持強度を有することとなり、超音波ホーン60の上下方向の振動を防止することができ、フリップチップボンディング装置の高速化に対応できるという効果を奏する。
【0070】
また、本実施形態でも、本発明の第2の実施形態と同様に複数のスリットを設けるようにしてもよい。また、本発明の第4、第5の実施形態と同様にフランジ部分に超音波振動子11を取り付けるようにしてもよいし、超音波ホーン60の内部に配設した超音波振動子11の両側にスリット22を形成するようにしてもよい。更に超音波振動子11は2つのフランジ13a,13bのそれぞれの位置に取り付けてもよいし、いずれか一方の位置にのみ取り付けるようにしてもよい。超音波振動子11を超音波ホーン60の内部に取り付ける場合には、超音波振動の節部18がフランジ13の中心になるように、超音波振動子11の中央部をフランジ13の中心に一致させて配設するのが好適である。また、いずれか一方のフランジ部分の内部にのみ超音波振動子11を取り付ける場合には、他方のフランジ部分には1つのスリット22を設けてもよいし、複数のスリットを設けてもよい。このように超音波振動子11を超音波ホーン60の内部に取り付けた場合には、本発明の上記の効果に加えて、後端部65に超音波振動子11を設ける必要がなくなることから、超音波ホーン60の全体長さ短くでき、フリップチップボンディング装置をコンパクトにすることができるという効果を奏する。
【実施例12】
【0071】
本発明の第12の実施形態について図22を参照しながら説明する。図22(a)は本発明の第12の実施形態の超音波ホーン60の部分側断面図で、図22(b)は超音波振動の様子を示した図である。この超音波ホーン60は超音波振動子11a,11bを超音波ホーン60の内部に配設して全体の長さが短くなる様にしたものである。超音波ホーン60は円筒状の先端部64と後端部65を有しており、超音波振動子11a,11bの発振する超音波振動による定在波によって先端部64と後端部65と中央部に振幅の大きくなる腹部63が発生し、中央部とそれぞれの端部との間に節部18が発生するような長さとなっている。そして節部18の超音波ホーン外面は鼓型の形状の断面形状変更部24が形成されており、外面にはフランジ13a,13bが取り付けられ、各フランジ13a,13bは接続部材66によって接続されている。超音波ホーン60の内部には、超音波振動子11a,11bがその中心がフランジ13a,13bの中心に一致するような位置であって、超音波ホーンの中心軸上に心棒32a,32bとボルト31a,31bによって固定されている。このように超音波振動子11を取り付けることによって、超音波振動の節部18とフランジ13a,a3bの中心を合わせて、フランジ13a,13bの振動の低減を図ることが出来る。超音波振動子11a,11bの外面と超音波ホーン60の内面との間には円環状隙間33a,33bが形成されている。この円環状隙間33a,33bはそれぞれのフランジ13a,13bの中心から先端部64、後端部65の方向に伸びて、各フランジの中心から離れるほど円環状隙間33a,33bの幅が広くなるように、各フランジの中心から離れるほど円環状隙間33a,33bの外径が大きくなるよう形成されている。
【0072】
本実施形態の動作時のフランジ13a,13b、円環状隙間33a,33b、断面形状変更部24a,24bの動作は先に述べた本発明の第6の実施形態と同様で、異なるのは、上記の本発明の第10の実施形態と同様、どちらか一方のフランジ部分が圧縮状態となっている時に他の一方のフランジ部分は引っ張り状態となっていることである。本実施形態は本発明の第11の実施形態と同様の効果を奏すると共に、全体をコンパクトにすることができるという効果を奏する。本実施形態でも、超音波振動子11は、どちらか一方のフランジ部にのみ取付けて、他方のフランジ部は超音波振動子11を有する側と同様の形状の円環状隙間のみを持つように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、先端または中央に取り付けられた加工装置を変更することによって、ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置以外の超音波接合装置にも適用できる。また、先端の形状を変更することによって、超音波を利用した外科手術用装置などの医用機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のフランジ部分の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の動作説明図(1)である。
【図4(a)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(2)である。
【図4(b)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(3)である。
【図4(c)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(4)である。
【図4(d)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(5)である。
【図4(e)】本発明の第1の実施形態の動作説明図(6)である。
【図5】本発明の第2の実施形態のフランジ部斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態のフランジ部の長手方向平面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態を示すフランジ部の斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施形態を示すフランジ部の斜視図である。
【図9】本発明の第6の実施形態を示すフランジ部の斜視図である。
【図10】本発明の第6の実施形態を示すフランジ部軸断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態を示すフランジ部長手方向断面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態の動作説明図である。
【図13】本発明の第7の実施形態を示すフランジ部斜視図である。
【図14】本発明の第8の実施形態を示すフランジ部斜視図である。
【図15】本発明の第8の実施形態を示すフランジ部軸断面図である。
【図16】本発明の第8の実施形態を示すフランジ部長手方向断面図である。
【図17】本発明の第9の実施形態のフランジ部斜視図である。
【図18】超音波振動子と心棒の固定方法を示す説明図である。
【図19】本発明の第10の実施形態のフランジ部斜視図である。
【図20】本発明の第10の実施形態の側面図及び動作説明図である。
【図21】本発明の第11の実施形態の平面図である。
【図22】本発明の第12の実施形態の部分側断面図である。
【図23】従来技術による超音波ホーンの部分断面図(1)である。
【図24】従来技術による超音波ホーンの振動説明図である。
【図25】従来技術による超音波ホーンの部分断面図(2)である。
【図26】従来技術による超音波ホーンのフランジ部軸断面図(1)である。
【図27】従来技術による超音波ホーンのフランジ部軸断面図(2)である。
【図28】従来技術による超音波ホーンの平面図及び動作説明図である。
【符号の説明】
【0075】
10,60 超音波ホーン、11,11a,11b 超音波振動子、12 キャピラリ、13,13a,13b フランジ、14 直線、15 孔、16 位置、18 節、22,22a,22b スリット、24,24a,24b 断面形状変更部、25−27 応力中心点、30 孔、31,31a,31b ボルト、32,32a,32b 心棒、33,33a,33b 円環状隙間、34−36 応力中心円、37 ナット、38 角柱部分、39 第1材料部分、40 第2材料部分、41 境界、42 交点、55−57 応力中心点、61 ツール、62 湾曲部、62a〜62f 湾曲面、63 腹部、D1−D3 直径、r2 半径、F1−F3 荷重、F4−F6 円環荷重、F11−F13 荷重、L1−L4 距離、L11−L13 距離、P1−P3 圧縮応力、W 幅、δ1−δ3 距離差、δ11−δ13 距離差、ε1−ε5 変位量。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記先端部と前記後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、
前記取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、
少なくともその一部が、前記スリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、
スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項2】
断面変更部はフランジ部と先端部及び前記フランジ部と後端部の中間部側面がそれぞれ、あるいはその片側が曲面であること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波ホーン。
【請求項3】
スリットの先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広いこと、
を特徴とする請求項1または2に記載の超音波ホーン。
【請求項4】
複数のスリットが設けられ、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が、内側にあること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項5】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太い後端部と、
前記先端部と前記後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、前記超音波振動子の中央位置で前記超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成され、
振動子と両側の各取り付け用フランジとの間に、複数のスリットが設けられ、
スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が内側にあること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項6】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記先端部と前記後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、
第1の材質からなる第1材料部分と、
前記第1の材質よりもヤング率が小さい第2の材質からなる第2材料部分とを有し、
前記取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられた第1材料部分と、
前記取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、前記スリットに対向する超音波ホーン各外側面からスリットに向かって半円柱状に形成された前記第2材料部分とを含み、
前記スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の断面の応力中心点が、内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項7】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる円筒状の後端部と、
前記先端部と前記後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、
前記取り付けフランジ中心に対して先後方向に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが前記取り付けフランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、
少なくともその一部が、前記円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、
前記円環状隙間の先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の応力中心円が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項8】
断面変更部は円筒形状のフランジ部外周と、円筒形状の後端部外周を結ぶ曲面であること、
を特徴とする請求項7に記載の超音波ホーン。
【請求項9】
超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた中心孔と、
前記中心孔と同軸上に配設された前記中心孔径より外径寸法が小さい心棒とを有すること、
を特徴とする請求項7又は8に記載の超音波ホーン。
【請求項10】
超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔と、
前記中心孔のネジ部に超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、円環状隙間部の前記中心内径よりも外径が小さい突端部分を有する固定ネジとを有すること、
を特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項11】
超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた中心孔の先端部側端部と後端部側端部の直径は、フランジ部の前記中心孔の直径よりも大きいこと、
を特徴とする請求項9または10に記載の超音波ホーン。
【請求項12】
フランジが一体加工にて形成されていること、
を特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項13】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太い後端部と、
前記先端部と前記後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、前記超音波振動子の中央位置で前記超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成されていること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項または請求項6から12のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項14】
振動子は、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔内に配設され、
前記中心孔のネジ部に前記超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、前記振動子に当接して前記振動子を固定する固定ネジを有すること、
を特徴とする請求項13に記載の超音波ホーン。
【請求項15】
ワイヤボンディング装置に用いられること
を特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項16】
超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられる加工装置と、
前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置にあって、前記加工装置の反対側に形成された装置取り付け用フランジと、を備えた超音波ホーンであって、
前記それぞれの取り付けフランジ中心に対して先後に延びて、前記取り付けフランジの側から前記加工装置の側に向かって湾曲している湾曲部を有すること、
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項17】
超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、
前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備えた超音波ホーンであって、
前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記それぞれの取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、
少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、
前記超音波ホーンの断面にあるスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項18】
それぞれの前記取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて設けられたそれぞれのスリット部は複数のスリットを有し、超音波ホーン側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのフランジ部の応力中心点が内側にあること、
を特徴とする請求項17に記載の超音波ホーン。
【請求項19】
先端部と後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、
前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、
前記超音波振動子は、前記装置取り付けフランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、
前記装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波振動子と両側面の装置取り付け用フランジとの間にあって、その長さが前記取り付け用フランジの厚さ以上の複数のスリットが設けられたスリット部と、
少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、
超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあること、
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項20】
それぞれの前記スリットの先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広いこと、
を特徴とする請求項17から19のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項21】
円筒状の先端部と円筒状の後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、
前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、
前記超音波振動子は、前記装置取り付け用フランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、
前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後方向に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが前記それぞれの取り付け用フランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、
少なくともその一部が、前記それぞれの円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、
前記超音波ホーンの前記それぞれの円環状隙間の先端部と後端部の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、前記超音波ホーンのそれぞれのフランジ部の応力中心円が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項22】
それぞれの前記円環状隙間の先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方の円環状隙間外径はフランジ部の円環状隙間外径よりも広いこと、
を特徴とする請求項21に記載の超音波ホーン。
【請求項23】
それぞれの前記断面変更部は、それぞれの前記フランジ取り付け中心に対し先後に延びた前記超音波ホーン側面のいずれか一方又は両方の曲面部分であること、
を特徴とする請求項17から22のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項24】
フリップチップボンディング装置に用いられること、
を特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項1】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記先端部と前記後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、
前記取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、
少なくともその一部が、前記スリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、
スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の応力中心点が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項2】
断面変更部はフランジ部と先端部及び前記フランジ部と後端部の中間部側面がそれぞれ、あるいはその片側が曲面であること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波ホーン。
【請求項3】
スリットの先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広いこと、
を特徴とする請求項1または2に記載の超音波ホーン。
【請求項4】
複数のスリットが設けられ、スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が、内側にあること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項5】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太い後端部と、
前記先端部と前記後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、前記超音波振動子の中央位置で前記超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成され、
振動子と両側の各取り付け用フランジとの間に、複数のスリットが設けられ、
スリット先端部と後端部の超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの側面側の前記スリットと前記超音波ホーン側面間の断面の応力中心点が内側にあること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項6】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記先端部と前記後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、
第1の材質からなる第1材料部分と、
前記第1の材質よりもヤング率が小さい第2の材質からなる第2材料部分とを有し、
前記取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられた第1材料部分と、
前記取り付けフランジ中心に対して先後に伸びて、前記スリットに対向する超音波ホーン各外側面からスリットに向かって半円柱状に形成された前記第2材料部分とを含み、
前記スリット先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の応力中心点を結ぶ直線よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の第1材料部分の断面の応力中心点が、内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項7】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太く、超音波振動子が取り付けられる円筒状の後端部と、
前記先端部と前記後端部の間の両側面の、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に、装置取り付け用フランジが形成されている超音波ホーンであって、
前記取り付けフランジ中心に対して先後方向に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが前記取り付けフランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、
少なくともその一部が、前記円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、
前記円環状隙間の先端部と後端部の前記超音波ホーンの断面の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、フランジ部の前記超音波ホーンの断面の応力中心円が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項8】
断面変更部は円筒形状のフランジ部外周と、円筒形状の後端部外周を結ぶ曲面であること、
を特徴とする請求項7に記載の超音波ホーン。
【請求項9】
超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた中心孔と、
前記中心孔と同軸上に配設された前記中心孔径より外径寸法が小さい心棒とを有すること、
を特徴とする請求項7又は8に記載の超音波ホーン。
【請求項10】
超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔と、
前記中心孔のネジ部に超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、円環状隙間部の前記中心内径よりも外径が小さい突端部分を有する固定ネジとを有すること、
を特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項11】
超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に設けられた中心孔の先端部側端部と後端部側端部の直径は、フランジ部の前記中心孔の直径よりも大きいこと、
を特徴とする請求項9または10に記載の超音波ホーン。
【請求項12】
フランジが一体加工にて形成されていること、
を特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項13】
加工用装置が取り付けられる先端部と、
前記先端部より太い後端部と、
前記先端部と前記後端部の間にありその内部に超音波振動子が取り付けられ、前記超音波振動子の中央位置で前記超音波ホーンの両側面に装置取り付け用フランジが形成されていること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項または請求項6から12のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項14】
振動子は、超音波ホーン長手方向中心軸と同軸上に後端部から開けられたネジ部を有する中心孔内に配設され、
前記中心孔のネジ部に前記超音波ホーン後端部側よりネジ込まれ、前記振動子に当接して前記振動子を固定する固定ネジを有すること、
を特徴とする請求項13に記載の超音波ホーン。
【請求項15】
ワイヤボンディング装置に用いられること
を特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項16】
超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられる加工装置と、
前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置にあって、前記加工装置の反対側に形成された装置取り付け用フランジと、を備えた超音波ホーンであって、
前記それぞれの取り付けフランジ中心に対して先後に延びて、前記取り付けフランジの側から前記加工装置の側に向かって湾曲している湾曲部を有すること、
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項17】
超音波振動子が取り付けられる後端部と、
前記超音波振動子によって発生される振動の腹部端となる先端部と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、
前記加工装置の先後側で、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備えた超音波ホーンであって、
前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心軸上に、その長さが前記それぞれの取り付けフランジの厚さ以上のスリットが設けられたスリット部と、
少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、
前記超音波ホーンの断面にあるスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項18】
それぞれの前記取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて設けられたそれぞれのスリット部は複数のスリットを有し、超音波ホーン側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのフランジ部の応力中心点が内側にあること、
を特徴とする請求項17に記載の超音波ホーン。
【請求項19】
先端部と後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、
前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置の両側面に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、
前記超音波振動子は、前記装置取り付けフランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、
前記装置取り付け用フランジ中心に対して先後に伸びて、前記超音波振動子と両側面の装置取り付け用フランジとの間にあって、その長さが前記取り付け用フランジの厚さ以上の複数のスリットが設けられたスリット部と、
少なくともその一部が、前記それぞれのスリット部の前記超音波ホーン外面にある、断面形状変更部とを有し、
超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるそれぞれのスリット先端部と後端部の応力中心点を結ぶ直線よりも、前記超音波ホーンの側面側スリットと前記超音波ホーン側面との間の断面にあるフランジ部の応力中心点が内側にあること、
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項20】
それぞれの前記スリットの先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方のスリット幅はフランジ部のスリット幅よりも広いこと、
を特徴とする請求項17から19のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項21】
円筒状の先端部と円筒状の後端部との間にあって、その内部に取り付けられた超音波振動子と、
前記先端部と前記後端部との間にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の腹部位置に取り付けられた加工装置と、
前記加工装置の先後側にあって、前記超音波振動子によって発生される振動の節部位置に形成された装置取り付け用フランジと、を備え、
前記超音波振動子は、前記装置取り付け用フランジの中心に前記超音波振動子の中央位置が合うように配設されている超音波ホーンであって、
前記それぞれの装置取り付け用フランジ中心に対して先後方向に伸びて、前記超音波ホーンの長手方向中心と同軸に、その長さが前記それぞれの取り付け用フランジの厚さ以上の円環状隙間が設けられた円環状隙間部と、
少なくともその一部が、前記それぞれの円環状隙間部の超音波ホーン外面にある断面形状変更部とを有し、
前記超音波ホーンの前記それぞれの円環状隙間の先端部と後端部の応力中心円を結ぶ円筒面よりも、前記超音波ホーンのそれぞれのフランジ部の応力中心円が内側にあること
を特徴とする超音波ホーン。
【請求項22】
それぞれの前記円環状隙間の先端部側端部と後端部側端部の両方あるいは片方の円環状隙間外径はフランジ部の円環状隙間外径よりも広いこと、
を特徴とする請求項21に記載の超音波ホーン。
【請求項23】
それぞれの前記断面変更部は、それぞれの前記フランジ取り付け中心に対し先後に延びた前記超音波ホーン側面のいずれか一方又は両方の曲面部分であること、
を特徴とする請求項17から22のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【請求項24】
フリップチップボンディング装置に用いられること、
を特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載の超音波ホーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図4(e)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図4(e)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2007−129181(P2007−129181A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93294(P2006−93294)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000146722)株式会社新川 (128)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000146722)株式会社新川 (128)
【Fターム(参考)】
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