説明

超音波モータのステータ

【課題】ロータを直線的に相対移動させることができ、エネルギ巡回効率の良い進行波型超音波モータを提供する。
【解決手段】本発明が適用された進行波型の超音波モータのステータ21は、周回する外側面を有する環状の弾性部材21と、弾性部材21の外側面に周回する進行波を発生させる圧電素子22,3とを備えている。弾性部材21には、環状の軸方向に貫通する調整孔37が形成されている。弾性部材21の外側面には、直線状とされ、ロータ10が接触する出力面20が形成されている。このようなステータ11では、調整孔37の形状、大きさ又は位置を調整することにより、最適な進行波を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行波型の超音波モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の直線型の進行波型超音波モータのステータ100は、図8に示すように、表面に進行波振動が発生する弾性部材からなる長尺状の振動棒101と、振動棒101の一端から当該振動棒101に進行波振動を与える振動源102と、振動棒101の他端に設けられて振動波エネルギーを吸収する終端部103とから構成されていた。
【0003】
このような従来のリニア型の進行波型超音波モータのステータ100では、終端部103で吸収した振動波エネルギーを電気エネルギーに変換し、振動源102に戻すことにより、エネルギーの還流を行っていた。
【0004】
しかしながら、従来の直線型の進行波型超音波モータでは、振動エネルギーから電気エネルギーへの変換損失があるため、エネルギー効率が非常に悪かった。
【0005】
一方、従来の回転型の進行波超音波モータ110は、図9に示すように、リング状の振動部材111が用いられる。従来の回転型の進行波超音波モータ110では、Sinωt及びCosωtという1/4の位相差をもった2つの振動モードにより駆動することにより、リング状の振動部材111の外側面に進行波が発生する。このため、従来の回転型の進行波超音波モータ110では、振動エネルギーがリング状の振動部材111の外側面を巡回することとなり、エネルギー効率が非常に良かった。
【0006】
しかしながら、従来の回転型の進行波超音波モータ110では、ステータの形状が円板や円環形状等であり、ロータとステータとを直線的に相対移動させることは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、以上のような問題を解決することにある。
【0008】
すなわち、本発明は、ロータを直線的に相対移動させることができる進行波型超音波モータを提供すること、換言すると、機械的にエネルギーの巡回を行うことが可能な直線型のモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る進行波型の超音波モータのステータは、周回する外側面を有する環状の弾性部材と、上記弾性部材の外側面上に周回する進行波を発生させる進行波発生手段とを備え、上記弾性部材には、環状の軸方向に貫通する調整孔が形成され、上記外側面には、直線状又は円弧状とされ、ロータが接触する出力面が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の進行波型の超音波モータのステータは、弾性部材が環状に形成され、当該環状の弾性部材の外側面に直線状又は円弧状とされた出力面が形成され、それとともに上記弾性部材に環状の軸方向に貫通する調整孔が形成されている。
【0011】
このように本発明では、円環ではない外形形状の弾性部材であっても、調整孔の形状、位置及び大きさを調整することによって、出力面に進行波を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明が適用された進行波型超音波モータについて説明をする。
【0013】
全体構成
図1に、本発明が適用された進行波型超音波モータ1の模式的な斜視図を示す。
【0014】
進行波型超音波モータ1は、図1に示すように、平板の長尺状のロータ10と、ステータ11とから構成されている。
【0015】
ステータ11には、平面状の出力面20が形成されている。ステータ11は、出力面20の表面に進行波を発生させる。
【0016】
進行波とは、ある一点から他点へエネルギを輸送する波である。出力面20に進行波が発生すると、出力面20の任意の一点は楕円運動をする。つまり、進行波を発生させるには、位相が1/4波長異なる2つの波(例えば、サイン波とコサイン波)を出力面20に発生させればよい。
【0017】
ロータ10は、平面部分がステータ11の出力面20に接触し、一定の圧力が加えられている。さらに、ロータ10は、その長手方向が、出力面20の進行波の発生方向に一致するように配置されている。
【0018】
このため、本発明が適用された進行波型超音波モータ1では、ステータ11の出力面20に発生する進行波と、当該出力面20とロータ10との間の摩擦力とにより、ロータ10とステータ11とが進行波の発生方向(すなわち、ロータ10の長手方向X,X)に直線的に相対移動をする。
【0019】
なお、進行波型超音波モータ1では、ステータ11が固定されロータ10が移動して、ロータ10が固定されステータ11が移動してもよい。
【0020】
ステータの構成
つぎに、ステータ11についてさらに詳細に説明をする。
【0021】
ステータ11は、図1に示すように、弾性部材からなる振動基材21と、振動基材21に対して振動を与える第1の圧電素子22及び第2の圧電素子23と、第1の圧電素子22を電気的に駆動する第1の駆動源24と、第2の圧電素子23を電気的に駆動する第2の駆動源25とを備えている。
【0022】
図2に振動基材21の斜視図を示し、図3に振動基材21の平面図を示す。
【0023】
振動基材21は、アルミニウム,リン青銅、ステンレス及び鉄等の弾性を有する材料から構成されている。そのため、振動基材21は、第1の圧電素子22及び第2の圧電素子23により表面を振動させることができる。
【0024】
振動基材21は、互いに平行な表面31と裏面32とを有する平板形状となっている。
【0025】
振動基材21は、表面31(又は裏面32)の略中心位置に、厚み方向に貫通する中心孔33が形成されている。中心孔33の開口の形状は円となっている。振動基材21は、中心孔33が形成されていることにより、全体として中心孔33を軸とした環状となっている。
【0026】
なお、以下、中心孔33の軸のことを環状軸と呼び、この環状軸に平行な方向を環状軸方向zと呼ぶ。
【0027】
振動基材21は、外周を周回する外側面を有している。外側面は、出力面20と、左側面34と、右側面35と、下側面36とから構成されている。出力面20、左側面34、右側面35及び下側面36は、全て環状軸方向zに平行な面であり、表面側から向かって時計回りに、出力面20→右側面35→下側面36→左側面34→出力面20と連続している。
【0028】
出力面20は、長方形の平面である。出力面20は、中心孔33の開口中心を通り環状軸方向zの垂直な線に対して、垂直であり、且つ、その線が中心を通るように形成されている。
【0029】
なお、以下、上記の中心孔33の円形の開口の中心を通り環状軸に対して垂直な線(つまり、環状軸方向zに対して垂直、且つ、中心孔33の中心と出力面20の中心とを結ぶ線)のことを、垂直中心軸と呼び、この垂直中心軸に平行な方向を垂直中心軸方向yと呼ぶ。
【0030】
左側面34は、長方形の平面である。左側面34は、出力面20を構成する4辺のうち、表面31及び裏面32が接続されていない一辺と接続されている。すなわち、左側面34は、出力面20に連続した面となっている。また、左側面34と出力面20とは、鈍角に接続されている。つまり、環状軸方向zから見たときに、図3に示すように、左側面34と表面31(又は裏面32)とで形成される辺34aと、出力面20と表面31(又は裏面32)とで形成される辺20aとのなす角度(中心孔33側の角度)は、鈍角である。
【0031】
右側面35は、長方形の平面である。右側面35は、出力面20を構成する4辺のうち、表面31,裏面32及び左側面34が接続されていない一辺と接続されている。すなわち、右側面35は、出力面20に連続した面となっている。また、右側面35と出力面20とは、鈍角に接続されている。つまり、環状軸方向zから見たときに、図3に示すように、右側面35と表面31(又は裏面32)とで形成される辺35aと、出力面20と表面31(又は裏面32)とで形成される辺20aとのなす角度(中心孔33側の角度)は、鈍角である。
【0032】
下側面36は、環状軸方向zに平行な曲面である。左側面34を構成する4辺のうち出力面20及び表面31及び裏面32が接続されていない辺と、右側面35を構成する4辺のうち出力面20及び表面31及び裏面32が接続されていない辺とを、滑らかに連続的に接続する曲面である。具体的には、下側面36は、環状軸方向zから見たときに、左側面34から右側面35へ向かう方向の各線が、垂直中心軸方向yに垂直な直線36a、直線36aに連続した1/4円弧36b、1/4円弧36bと連続した出力面20と平行な直線36c、直線35cに連続した1/4円弧36d、及び、1/4円弧36dに連続した垂直中心軸方向yに垂直な直線36eにより構成されている。
【0033】
以上のように、振動基材21では、出力面20、左側面34、右側面35及び下側面36により外周を周回する外側面が形成されている。外側面は、環状の振動基材21の外周を周回しているので、その表面に進行波が発生したときに、進行波を巡回させることができる。従って、振動基材21は、いわゆる回転型の超音波モータのステータと同様に、振動エネルギの伝搬をさせることができる。
【0034】
なお、左側面34と下側面36との間及び右側面35と下側面36との間に、切り欠いた空間(詳細後述)が形成されているが、この空間には圧電素子22,23が挿入されるので、進行波を巡回させるには特に問題はない。
【0035】
振動基材21には、表面31から裏面32までを貫通する(すなわち、環状軸方向zに平行な方向に貫通する)調整孔37が形成されている。
【0036】
調整孔37は、出力面20の近傍に形成されている。具体的には、出力面20と中心孔33との間に挟まれた領域に形成されている。また、調整孔37の開口は、中心孔33より大きい。
【0037】
調整孔37の開口形状は、平行な同一の長さの2つの直線38a,38bと、平行な直線38a,38bの2つの辺の端部同士を結ぶ辺が2つの1/2円弧曲線39a,39bとから構成された形状となっている。このような形状の調整孔37は、平行な直線38a,38bが、垂直中心軸方向yに平行とされ、その中心が垂直中心軸上に位置している。
【0038】
振動基材21では、調整孔37の位置、大きさ、形状を調整することにより、外側面に発生する進行波の制御を行うことができる。すなわち、調整孔37の位置、大きさ、形状を変えることにより、発生する進行波の周波数(周期)特性が変化する。従って、ステータ11を作製した後、この調整孔37の位置、大きさ又は形状を適宜調整することによって、目的の周波数の進行波が出力面20上に発生させることができる。
【0039】
振動基材21には、第1の圧電素子22が挿入される第1の切り欠き空間41と、第2の圧電素子23が挿入される第2の切り欠き空間42とが形成されている。第1の切り欠き空間41及び第2の切り欠き空間42は、垂直中心軸を挟んで対称な形状となっている。
【0040】
第1の切り欠き空間41は、左側面34と下側面36とを接続する辺から、表面31から裏面32までを貫通する空間が、内部に進入したものである。第2の切り欠き空間42は、右側面35と下側面36とを接続する辺から、表面31から裏面32までを貫通する空間が、内部に進入したものである。
【0041】
第1の切り欠き空間41及び第2の切り欠き空間42は、外側面側に位置する挿入空間41a,42aと、挿入空間41a,42aに連続した内部側の保護孔41b,42bとから構成されている。
【0042】
挿入空間41a,42aは、平板形状の圧電素子22,23(詳細後述)が環状軸方向zに平行な状態で挿入され、その平板の圧電素子22,23の表面及び裏面を挟み込むように形成されている。すなわち、挿入空間41a,42aは、平面方向の幅が圧電素子22,23の厚さとほぼ同等の幅で内部に進入する切り欠き空間である。
【0043】
保護孔41b,42bは、挿入空間41a,42aの内部側の端部に連続した空間であり、挿入空間41a,42aの幅よりも大きい直径の円形の開口とされた孔となっている。保護孔41b,42bは、切り欠き空間41,42を形成する際や、圧電素子22,23を挿入する際に、挿入空間41a,42aの内部側の端部が応力集中等により壊れたりしないように保護的に設けられた空間である。
【0044】
図4に第1及び第2の圧電素子22,23の斜視図、図5に第1及び第2の圧電素子22,23が挿入された状態の振動基材21を示す。
【0045】
第1及び第2の圧電素子22,23は、振動基材21の外側面に進行波を発生させるための振動発生手段である。
【0046】
第1及び第2の圧電素子22,23は、図4に示すように、平板状の2つのピエゾ素子51,52が、薄板状の電極53を介して重ねあわされたものである。
【0047】
平板状のピエゾ素子51,52は、ともに厚さ方向dに電界が印加されたときに、その厚さ方向dに伸縮をするものである。
【0048】
このような第1及び第2の圧電素子22,23は、図5に示すように、第1の切り欠き空間41及び第2の切り欠き空間42の挿入空間41a,42aに挿入される。第1及び第2の圧電素子22,23は、挿入空間41a,42aに挿入されると、平板の主面(又は裏面)部分が、振動基材21に密着する。
【0049】
ここで、振動基材21は、導電性の材料からなり、電気的にグランドに接続がされている。さらに、第1の圧電素子22の電極53に第1の駆動源24からの電気信号が供給され、第2の圧電素子23の電極53に第2の駆動源25からの電気信号が供給される。
【0050】
従って、駆動源24,25から所定の周波数の電気信号を発生するとピエゾ素子51,52に電気信号が流れ、このため、第1及び第2の圧電素子22,23は、厚さ方向に所定の周波数で膨張及び収縮する。
【0051】
また、第1及び第2の圧電素子22,23は、出力面20に対して、45°の角度で配置されている(ただし、左右対称)。さらに、第1の圧電素子22の伸縮方向のベクトルEと、第2の圧電素子23の伸縮方向のベクトルEが、出力面20上で合成する。このことにより、出力面20の表面上で最も効率よく第1及び第2の圧電素子22,23から発生された力が合成される。
【0052】
以上のような構成のステータ11では、第1の駆動源24から高周波信号を発生すると、その高周波信号に応じて第1の圧電素子22が伸縮する。このため、第1の駆動源24から発生した信号に応じた振動が、振動基材21に伝搬される。同様に、第2の駆動源25から高周波信号を発生すると、その高周波信号に応じて第2の圧電素子23が伸縮する。このため、第2の駆動源25から発生した信号に応じた振動が、振動基材21に伝搬される。
【0053】
ここで、振動基材21の外側面に進行波を発生するため、第1の駆動源24と第2の駆動源25とから、同一周波数(周期)で1/4位相ずれた信号を発生する。例えば、第1の駆動源24から周波数ω/2πのサイン信号(sinωt)、第2の駆動源25から周波数ω/2πのコサイン信号(cosωt)を発生する。
【0054】
もっとも、振動の周波数が、ステータ11自身が有する機械特性と同調してなければ、外側面を巡回するような進行波は発生しない。
【0055】
そこで、振動基材21の調整孔37の位置、大きさ又は形状を調整し、外側面を巡回するような進行波を発生させる。
【0056】
特に、平面状の出力面20を有するような特殊形状の弾性部材を、回転型の超音波モータのステータとして用いる場合、調整孔37のような孔により特性を調整することは、設計者にとっては非常に簡単となる。
【0057】
具体的な設計例
つぎに、出力面20に進行波が発生する具体的な設計例を説明する。
【0058】
まず、振動基材21の材料は、アルミニウムである。
【0059】
圧電素子22,23は、Pb(Zr−Ti1−x)を含んだピエゾ素子である。ピエゾ素子の厚さは、1枚0.5mmである。
【0060】
振動基材21は、垂直中心軸に対して、左右対称の形状となっている。
【0061】
振動基材21の具体的な寸法は、図6及び下記に示す通りである。
【0062】
tsys(振動基材の厚さ) :5mm
lt(出力面20から調整孔37までの高さ) :1.5mm
lf(出力面20から調整孔37の垂直辺の下端までの高さ) :2.5mm
lg(調整孔37の垂直辺の下端から保護孔の中心までの高さ) :3.13mm
lb(保護孔の中心から下側面36の下端までの高さ) :2.0mm
lm(中心孔33の中心から下側面36の下端までの高さ) :6.0mm
wt(出力面20の幅) :1.0mm
wsep(左右の保護孔の間の空間の幅) :2.6mm
θ(出力面に対する圧電素子の角度) :45°
fsep(調整孔の円弧部分の半径) :1.8mm
rh(保護孔の半径) :0.75mm
rc(中心孔33の半径) :0.5mm
【0063】
このように設計したステータ11の特性を図7に示す。
【0064】
図7(A)は、ピエゾ素子からなる圧電素子22,23のアドミッタンスの周波数特性(周波数に対するアドミッタンスの大きさ及び位相)を示している。図7(B)は、周波数に対する出力面20の水平方向(出力面20に平行な方向)の振動の大きさを示しており、図7(C)は、周波数に対する出力面20の垂直方向(出力面に直交する方向)の振動の大きさを示している。図7(D)は、振動基材21の外側面の全周に亘って、同相の振動が生じているか(つまり、振動が巡回しているか)、異なる位相の振動が生じているかを示す周波数特性図である。
【0065】
このようなステータ11では、アドミッタンスが大きい周波数(つまり、圧電素子22,23に大きな電流が流れている周波数)で、出力面20に振動が発生するとともに、外側面に巡回的に発生していることがわかる。
【0066】
この周波数は、調整孔37の大きさ、位置及び形状を変えることによって、適宜変化させることができる。
【0067】
なお、出力面20の形状は、直線状(平面状)としているが、円弧状にしてもよい。このようにすることによって、円弧部分に円柱状のロータを接触させ、当該円柱状のロータを回転させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明が適用された進行波型の超音波モータの模試的な外観図である。
【図2】ステータの振動基材の斜視図である。
【図3】ステータの振動基材の平面図である。
【図4】圧電素子の斜視図である。
【図5】ステータに圧電素子が挿入された状態の模式的な平面図である。
【図6】ステータの振動基材の寸法例を示す図である。
【図7】ステータの特性を示す図である。
【図8】従来の直線型の進行波型超音波モータのステータを示す図である。
【図9】従来の回転型の進行波型超音波モータのステータを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 進行波型超音波モータ、 10 ロータ、 11 ステータ、 20 出力面、 21 振動基材、 22 第1の圧電素子、 23 第2の圧電素子、 24 第1の駆動源、 25 第2の圧電素子、 31 表面、 32 裏面、 33 中心孔、 34 左側面、 35 右側面、 36 下側面、 37 調整孔、 41 第1の切り欠き空間、 42 第1の切り欠き空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行波型の超音波モータのステータにおいて、
周回する外側面を有する環状の弾性部材と、
上記弾性部材の外側面上に周回する進行波を発生させる進行波発生手段とを備え、
上記弾性部材には、環状の軸方向に貫通する調整孔が形成され、
上記外側面には、直線状又は円弧状とされ、ロータが接触する出力面が形成されていること
を特徴とする超音波モータのステータ。
【請求項2】
上記調整孔は、上記出力面の近傍に形成されていること
を特徴とする請求項1記載の超音波モータのステータ。
【請求項3】
上記調整孔は、環状の中心の孔と上記出力面との間の領域に形成されていること
を特徴とする請求項2記載の超音波モータのステータ。
【請求項4】
上記調整孔は、環状の中心孔と上記出力面とに挟まれた領域に、1つ形成されていること
を特徴とする請求項3記載の超音波モータのステータ。
【請求項5】
上記調整孔の平面形状は、平行直線の2つの辺と、当該平行直線の2つの辺の端部同士を結ぶ辺が2つの曲線とから構成された形状となっており、
上記調整孔は、直線の辺が、上記出力面の中心位置と環状の中心孔の中心とを結ぶ直線と平行となるように位置していること
を特徴とする請求項4記載の超音波モータのステータ。
【請求項6】
上記進行波発生手段は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とから構成されており、
上記第1の圧電素子及び上記第2の圧電素子は、
平板形状とされ、
平板の厚み方向に伸縮し、
上記出力面の中心位置と環状の中心孔の中心とを結ぶ直線を挟んで対称に配置され、
平板の主面の面内方向が環状の軸方向に平行となるように配置され、
上記環状の弾性部材の外側面から内部に向かって、当該環状の弾性部材内に挿入されていること
を特徴とする請求項1記載の超音波モータのステータ。
【請求項7】
上記第1の圧電素子及び上記第2の圧電素子には、位相が1/4波長異なる同じ周波数の電気信号が入力されること
を特徴とする請求項6記載の超音波モータのステータ。
【請求項8】
上記環状の弾性部材の外周形状は、
上記出力面の中心位置と環状の中心孔の中心とを結ぶ直線を挟んで対称の形状とされているとともに、上記出力面の端辺に鈍角に接続された直線状の第1の側面及び第2の側面と、第1の側面及び第2の側面の出力面が接続されていない辺同士を接続したなだらかな曲線状とされた第3の側面とからなり、
第1の圧電素子は、第1の側面と第3の側面との接続部分から内部に挿入され、
第2の圧電素子は、第2の側面と第3の側面との接続部分から内部に挿入されていること
を特徴とする請求項7記載の超音波モータのステータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−87233(P2006−87233A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269966(P2004−269966)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月17日 社団法人日本音響学会発行の「日本音響学会2004年春季研究発表会講演論文集−2−」に発表
【出願人】(899000013)財団法人理工学振興会 (81)
【Fターム(参考)】