説明

超音波内視鏡装置

【課題】撮像素子による撮像画像と超音波断層画像とを同一画面で違和感の無い色の画像で観察する。
【解決手段】先端部に超音波プローブと撮像素子とを搭載した内視鏡3と、内視鏡3から出力される撮像素子による撮像画像信号を画像処理すると共に赤色寄りの画像信号として生成し出力する映像用画像プロセッサ5と、内視鏡3から出力される超音波プローブの検出信号を画像処理する共に青色寄りの画像信号として生成し且つ映像用画像プロセッサ5の出力信号とピクチャインピクチャで混合するミキサ7bを有する超音波用画像プロセッサ7と、超音波用画像プロセッサ7の出力信号を画面に画像として表示するモニタ装置9と、映像用画像プロセッサ5とミキサ7bとの間に設けられた赤色強調を行う補正回路11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波プローブと撮像素子とが搭載された超音波内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡装置は、食道や胃,腸等の体腔内に挿入する細長い挿入部を持ち、この挿入部の先端部に、超音波プローブが取り付けられている。しかし、挿入部先端を目的部位に到達するまで挿入するには、どこまで挿入したかをモニタ画面で確認しながら内視鏡を操作する必要があり、このため、挿入部先端には撮像素子も搭載され、撮像素子による撮影画像もモニタ表示される様になっている。
【0003】
超音波プローブにより取得された超音波断層画像と、撮像素子により取得された撮影画像とを別々のモニタに表示するものもあるが、近年では、両画像を1つのモニタ画面にピクチャインピクチャ機能により、親画面,子画面として同時に表示するが普通になってきている。
【0004】
この様な超音波内視鏡装置として、例えば下記の特許文献1に記載されている様に、親画面の色合い等を調整する操作ツマミとは別に、子画面の色調整を独立にできる赤色調整ツマミと青色調整ツマミを設けたものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平7―194598号公報(段落〔0055〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超音波内視鏡装置は、超音波プローブからの信号を処理して断層画像データを生成する超音波用の画像処理プロセッサと、撮像素子からの信号を処理して撮影画像データを生成する光学画像用の画像処理プロセッサの2つを搭載している。
【0007】
これに更に、親画面の色調整を行う操作装置と、子画面の色調整を行う操作装置とを独立に持つ構成にすれば、親画面,子画面ともに見易い画像が得られることになる。しかし、子画面用の調整内容が親画面側に影響を与えないように装置全体の構成を変える必要が生じるため、超音波内視鏡装置の製造コストが嵩み、高価な装置になってしまう。
【0008】
本発明の目的は、低コストで両画面共に見やすい画像を得ることができる超音波内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波内視鏡装置は、先端部に超音波プローブと撮像素子とを搭載した内視鏡と、該内視鏡から出力される前記撮像素子による撮像画像信号を画像処理すると共に赤色寄りの画像信号として生成し出力する映像用画像プロセッサと、前記内視鏡から出力される前記超音波プローブの検出信号を画像処理する共に青色寄りの画像信号として生成し且つ前記映像用画像プロセッサの出力信号とピクチャインピクチャで混合するミキサを有する超音波用画像プロセッサと、該超音波用画像プロセッサの出力信号を画面に画像として表示するモニタ装置と、前記映像用画像プロセッサと前記ミキサとの間に設けられた赤色強調を行う補正回路とを備える。
【0010】
本発明の超音波内視鏡装置の前記補正回路は、前記モニタ装置との間で情報授受を行い該モニタ装置の色調整設定値に基づき前記赤色強調を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の超音波内視鏡装置は、先端部に超音波プローブと撮像素子とを搭載した内視鏡と、該内視鏡から出力される前記撮像素子による撮像画像信号を画像処理し、画像信号を生成して出力する映像用画像プロセッサと、前記内視鏡から出力される前記超音波プローブの検出信号を画像処理し、画像信号を生成するとともに、この画像信号と前記映像用画像プロセッサの出力信号とをピクチャインピクチャで混合するミキサを有する超音波用画像プロセッサと、該超音波用画像プロセッサの出力信号に基づく画像を表示するモニタ装置と、前記映像用画像プロセッサと前記ミキサとの間に設けられた所定の強調を行う補正回路とを備え、 前記補正回路は、前記モニタ装置との間で情報授受を行い、少なくとも前記モニタ装置の色調整設定値とディフォルト値との差分をキャンセルするように色補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、補正回路を追加するだけで、超音波用画像プロセッサと映像用画像プロセッサに改変を加えることなく、撮像画像と断層画像とを違和感の無い夫々の色合いの画像として同一画面で観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態を説明するための超音波内視鏡装置の全体構成図である。この超音波内視鏡装置1は、内視鏡3と、映像用画像プロセッサ5と、超音波用画像プロセッサ7と、液晶モニタ装置9と、赤色だけを調整できる補正回路としての赤強調回路11とを備えて構成され、更にはファイリング装置13に接続される。
【0015】
内視鏡3は、先端部に図示省略の超音波プローブと撮像素子とが搭載され、撮像素子からの撮像画像信号は映像用画像プロセッサ5に接続され、超音波プローブからの信号は超音波用画像プロセッサ7に接続される。
【0016】
映像用画像プロセッサ5は、取り込んだ撮像画像信号を画像処理し、モニタ装置9と、赤強調回路11とに出力する。
【0017】
超音波用画像プロセッサ7は、超音波プローブから取り込んだ信号を画像処理し、モニタ装置9に出力する。モニタ装置9への出力信号が、外部のファイリング装置13にも接続されていれば、モニタ装置9への出力信号は、ファイリング装置13に格納保存される。
【0018】
モニタ装置9には、映像用画像プロセッサ5からの信号配線と、超音波用画像プロセッサ7からの信号配線とが両方とも接続され、通常時には、超音波用画像プロセッサ7からの信号が優先されモニタ表示される。超音波用画像プロセッサ7の電源スイッチがオフになったとき、モニタ装置9は、映像用画像プロセッサ5からの信号を全画面表示する。
【0019】
赤強調回路11は、映像用画像プロセッサ5がモニタ装置9に出力するのと同じ画像信号を取り込み、赤色強調処理を行い、超音波用画像プロセッサ7に出力する。この赤強調回路11には、調整器11aがついており、赤色の強調程度がマニュアル操作可能となっている。
【0020】
超音波用画像プロセッサ7は、超音波プローブからの信号を受け取って画像処理するプロセッサ部7aと、ミキサ7bとを備える。ミキサ7bは、超音波画像信号と赤強調回路11からの出力信号とを混合し、ピクチャインピクチャにより、例えば超音波断層画像信号をモニタ装置9の親画面9aに表示し、赤強調回路11からの出力信号を子画面9bに表示する。
【0021】
ミキサ7bは、赤強調回路11からの信号を受信しないときは、子画面7bの表示画像データは作成せずに、超音波断層画像信号を、モニタ装置9に全画面表示する。
【0022】
超音波による断層画像は、超音波内視鏡による画像に限らず、慣習的に、青っぽい画像で表示される。このため、超音波内視鏡による断層画像も、青色寄りの画像でないと、この断層画像を観察する医者も違和感を持つため、超音波用画像プロセッサ7は、青色寄りの画像を生成し出力する仕様となっている。画像を青色寄りにするには、画像信号のうち、赤色信号を弱め、輝度を高めにすることで行われる。
【0023】
これに対し、撮像素子による撮影画像は、例えば血管などが明瞭に見えるように、赤色寄りの画像が好まれている。赤色寄り画像は、画像信号のうち、赤色を強めることで行われる。
【0024】
映像用画像プロセッサ5は、赤色寄りの画像を生成し出力するが、もし、この出力信号を、赤強調回路11を通さずに超音波用画像プロセッサ7に入力すると、青色寄りの画像とすべく赤色が弱められる処理が超音波用画像プロセッサ7で行われる。この結果、子画面9bに表示される画像は、赤色寄りでない画像が表示され、内視鏡画像を見慣れた医者から見ると、違和感のある色の悪い画像になってしまう。
【0025】
この不具合は、映像用画像プロセッサ5で、更に赤色を強調した画像信号を生成し出力する仕様にすれば解消するが、このとき、超音波用画像プロセッサ7の電源がオフされ、映像用画像プロセッサ5の出力信号がモニタ装置9に全画面表示されると、赤色が強調されすぎた画像が表示されてしまうことになる。
【0026】
そこで、本実施形態では、映像用画像プロセッサ5と超音波用画像プロセッサ7のミキサ7bとの間に、赤色強調を行う赤強調回路11を介挿する。これにより、親画面9aに表示された超音波断層画像は青っぽい画像として表示され、子画面9bに表示された撮像素子の撮像画像は、赤っぽい画像として表示され、両画像共に、違和感の画像となる。
【0027】
また、ファイリング装置13に、超音波用画像プロセッサ7の出力画像信号を格納保存すれば、後日、このファイリングされた画像データを見ても、親画面9a,子画面9b共に違和感のない色の画像が表示される。
【0028】
本実施形態では、赤強調回路11を設けこの赤強調回路11で赤色強調だけを行う構成としたため、映像用画像プロセッサ5や超音波用画像プロセッサ7に改変を加えることなく、通常仕様のプロセッサ5,7を使用でき、低コストで実現可能となる。赤強調回路11は、映像用画像プロセッサ5の筐体内に収納しても、超音波用画像プロセッサ7の筐体内に収納しても、また、図示する様に単体構成としても良い。
【0029】
図示する超音波内視鏡装置1には、点線15でモニタ装置9と赤強調回路11とを接続している。モニタ装置9に、その色調整設定値を外部出力する機能(有線や無線)を持っていれば、点線15に示す様に、その色調整設定値を赤強調回路11が取り込み、モニタ設定値とディフォルト値との差分をキャンセルするように、子画面9bの画像表示が違和感のない色の画像となる様な赤色強調(または赤色低減)を自動的に行う。
【0030】
また、モニタ装置9に色調整設定値をディフォルト値に戻す外部端子があれば、赤強調回路11がディフォルト値に戻す指示を出して、ディフォルト値で子画面9bの画像表示が違和感のない色の画像となるような赤色強調を自動的に行う。
【0031】
以上述べた様に、上述した実施形態によれば、赤強調回路11を追加するだけで、プロセッサ5,7の構成に改変を加えることなく、青っぽい超音波断層画像と赤っぽい撮像画像とを同一画面に表示することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、青っぽい超音波断層画像と赤っぽい撮像画像とを同一画面に表示することを低コストで実現できるため、超音波内視鏡装置に適用すると有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波内視鏡装置の構成図である。
【符号の説明】
【0034】
1 超音波内視鏡装置
3 内視鏡
5 映像用画像プロセッサ
7 超音波用画像プロセッサ
7a プロセッサ部
7b ミキサ
9 モニタ装置
9a 親画面
9b 子画面
11 補正回路(赤色強調回路)
13 ファイリング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に超音波プローブと撮像素子とを搭載した内視鏡と、
該内視鏡から出力される前記撮像素子による撮像画像信号を画像処理し、赤色寄りの画像信号を生成して出力する映像用画像プロセッサと、
前記内視鏡から出力される前記超音波プローブの検出信号を画像処理し、青色寄りの画像信号を生成するとともに、この青色寄りの画像信号と前記映像用画像プロセッサの出力信号とをピクチャインピクチャで混合するミキサを有する超音波用画像プロセッサと、
該超音波用画像プロセッサの出力信号に基づく画像を表示するモニタ装置と、
前記映像用画像プロセッサと前記ミキサとの間に設けられた赤色強調を行う補正回路とを備える超音波内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波内視鏡装置であって、
前記補正回路は、前記モニタ装置との間で情報授受を行い該モニタ装置の色調整設定値に基づき前記赤色強調を行うことを特徴とする超音波内視鏡装置。
【請求項3】
先端部に超音波プローブと撮像素子とを搭載した内視鏡と、
該内視鏡から出力される前記撮像素子による撮像画像信号を画像処理し、画像信号を生成して出力する映像用画像プロセッサと、
前記内視鏡から出力される前記超音波プローブの検出信号を画像処理し、画像信号を生成するとともに、この画像信号と前記映像用画像プロセッサの出力信号とをピクチャインピクチャで混合するミキサを有する超音波用画像プロセッサと、
該超音波用画像プロセッサの出力信号に基づく画像を表示するモニタ装置と、
前記映像用画像プロセッサと前記ミキサとの間に設けられた所定の強調を行う補正回路とを備え、
前記補正回路は、前記モニタ装置との間で情報授受を行い、
少なくとも前記モニタ装置の色調整設定値とディフォルト値との差分をキャンセルするように色補正することを特徴とする超音波内視鏡装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−5279(P2010−5279A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170721(P2008−170721)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】