説明

超音波式応力測定装置及び超音波式応力測定方法

【課題】装置の大型化を防ぐと共に、作業効率の向上を図ることができる超音波式応力測定装置及び超音波式応力測定方法を提供すること。
【解決手段】第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2により、振動方向が水平方向の超音波音速度データを2つ得ることができる。これら2つの音速度データの平均値を求めれば、この平均値の音速度データは、2つの横波探触子P1,P2の中間位置つまり縦波探触子P0の位置で水平方向の横波超音波を送受信することにより得られたデータと見做すことができる。第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4についても同様に考えることができる。したがって、図1(b)のように各探触子を配置すれば、駆動機構の力を借りなくても、探触子を入れ換えたのと同様の効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料劣化診断等の技術に用いる超音波式応力測定装置及び超音波式応力測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
材料劣化の診断を正確に行うためには残留応力を高精度に測定する必要がある。残留応力を測定する手法には種々のものがあるが、超音波を用いる手法は、測定が簡単であり、また材料を破壊する必要がないので比較的広汎に実施されている。
【0003】
そして、超音波を用いる手法についても種々のものがあり、その中の有力な手法として弾性表面波を利用して残留応力を測定する手法がある。ところが、この弾性表面波を利用する手法の場合、表面組織音響異方性を求める必要があるが、通常、材料には表面組織音響異方性及び応力異方性の双方が混在しており、表面組織音響異方性だけを分離して求める技術は存在していなかった。
【0004】
そこで、出願人は先に特許文献1に係る出願において、表面組織音響異方性を分離する技術を提示している。これは、縦波探触子の送受信により得られる縦波超音波データと、横波探触子の送受信により得られる、2以上の異なる振動方向を有する横波超音波データとから、それぞれ縦波音速度、横波音速度、及び弾性表面波音速度を求め、これらの音速度データに基づき表面組織音響異方性を演算するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−76387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る装置では、縦波探触子及び横波探触子を同一位置に配置して送受信動作を行うようにしており、また、横波探触子については少なくとも直交する2方向の振動方向の超音波データを得られるようにする必要がある。そのため、特許文献1に係る装置では、縦波探触子と横波探触子との入れ換え、及び横波探触子の回転を可能にするための駆動機構を具備している。
【0007】
しかし、このような駆動機構を具備することは装置全体の大形化につながり、また、探触子の入れ換え及び回転の際のセットアップ作業に少なからぬ時間及び労力を要し、作業効率の低下を招く結果となる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、装置の大型化を防ぐと共に、作業効率の向上を図ることができる超音波式応力測定装置及び超音波式応力測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、応力測定対象材料の内部を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に振動方向が水平方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に振動方向が垂直方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4を配設して成る探触子組立体と、前記探触子組立体の各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、応力測定対象材料の内部又は表面を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波と、進行方向が互いに直交する2つの弾性表面波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に振動方向が水平方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に振動方向が垂直方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4を配設し、更に前記第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2のそれぞれ外側に進行方向が水平方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する水平方向弾性表面波送信探触子P5及び水平方向弾性表面波受信探触子P6を配設すると共に、前記第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4のそれぞれ外側に進行方向が垂直方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7及び垂直方向弾性表面波受信探触子P8を配設して成る探触子組立体と、前記探触子組立体の各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、応力測定対象材料の内部又は表面を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波と、進行方向が互いに直交する2つの弾性表面波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に進行方向が水平方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する水平方向弾性表面波送信探触子P5及び水平方向弾性表面波受信探触子P6を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に進行方向が垂直方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7及び垂直方向弾性表面波受信探触子P8を配設し、更に前記垂直方向弾性表面波送信探触子P7の水平方向両側に振動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向である横波超音波を送受信する第1の水平方向横波探触子P1及び第1の垂直方向横波探触子P3を配設すると共に、前記垂直方向弾性表面波受信探触子P8の水平方向両側に振動方向がそれぞれ垂直方向及び水平方向である横波超音波を送受信する第2の垂直方向横波探触子P4及び第2の水平方向横波探触子P2を配設して成る探触子組立体と、前記探触子組立体の各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、応力測定対象材料の内部又は表面を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波と、進行方向が互いに直交する2つの弾性表面波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に進行方向が水平方向である弾性表面波を受信する第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に進行方向が垂直方向である弾性表面波を受信する第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82を配設し、更に前記第1の垂直方向弾性表面波受信探触子P81の水平方向両側に振動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向である横波超音波を送受信する第1の水平方向横波探触子P1及び第1の垂直方向横波探触子P3を配設すると共に、前記第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P82の水平方向両側に振動方向がそれぞれ垂直方向及び水平方向である横波超音波を送受信する第2の垂直方向横波探触子P4及び第2の水平方向横波探触子P2を配設して成る探触子組立体と、前記第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62同士を結ぶ延長線上であって前記探触子組立体の外側の位置に配設され、前記第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62に対して、前記進行方向が水平方向である弾性表面波を送信する水平方向弾性表面波送信探触子P5と、前記第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82同士を結ぶ延長線上であって前記探触子組立体の外側の位置に配設され、前記第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82に対して、前記進行方向が垂直方向である弾性表面波を送信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7と、前記探触子組立体の各探触子、及びこの探触子組立体の外側位置に配設された各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、を備え、しかも、前記測定データ解析部は、前記第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62の各受信時点間の時間差に基づき水平方向弾性表面波の音速度を求めると共に、前記第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82の各受信時点間の時間差に基づき垂直方向弾性表面波の音速度を求めるものである、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、応力測定対象材料の内部を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定方法において、縦波探触子が縦波超音波を受信し、前記縦波探触子を中心にして水平方向両側に配設された第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2が、振動方向が水平方向である横波超音波を送受信し、前記縦波探触子を中心にして垂直方向両側に配設された第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4が、振動方向が垂直方向である横波超音波を送受信し、前記第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2が受信した各音速度データの平均値を算出して垂直方向横波超音波の音速度データとし、前記第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4が受信した各音速度データの平均値を算出して垂直方向横波超音波の音速度データとし、前記水平方向横波超音波の音速度データ及び前記垂直方向横波超音波の音速度データから水平方向及び垂直方向の弾性表面波音速度データを演算し、この水平方向及び垂直方向の弾性表面波音速度データを用いて表面組織音響異方性を演算して残留応力の解析を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置の大型化を防ぐと共に、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図。
【図5】図4の構成の動作を説明するための波形チャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図である。
【0017】
図1(a)において、被検査材1(応力測定対象材料)の上面に接触媒質2を介して、1つの縦波探触子P0及び4つの横波探触子P1〜P4(図1(a)ではP1,P0,P2のみを図示)が配設されて成る探触子組立体3が配置されている。これらの縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4はいずれも送受信兼用探触子であり、被検査材1の内部に向けて縦波超音波W0及び横波超音波W1〜W4(図1(a)ではW1,W0,W2のみを図示)を送信すると共に、底面からの反射波の受信も行うようになっている。
【0018】
縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4の送受信動作は超音波送受信制御部4により制御されるようになっている。そして、超音波送受信制御部4は、縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4からの測定データを測定データ解析部5に送出し、測定データ解析部5は、これらの測定データを用いて被検査材1の残留応力の解析を行うようになっている。
【0019】
なお図示は省略しているが、探触子組立体3は、実際には、縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4を一体的に収納又は保持するカバー部材又はホルダ部材を有している。
【0020】
また、接触媒質2としては、可能であれば縦波探触子P0には縦波専用のものを使用し、横波探触子P1〜P4には横波専用のものを使用するのが好ましいが、2種類の接触媒質を隣接した位置に使用すると実際には両者が融合状態になる。したがって、本実施形態では接触媒質2として横波専用のものを使用するようにしている。
【0021】
探触子組立体3を構成する縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4の平面上での配設状態は図1(b)に示す通りである。なお、図1(a)における探触子P1,P0,P2は、図1(b)のA−A矢視により示されたものである。また、横波探触子P1〜P4の水平方向及び垂直方向の矢印は、それぞれの探触子の振動方向を示している。
【0022】
図1(b)において、縦波超音波W0を送受信する縦波探触子P0が中心に配設されており、この縦波探触子P0の水平方向両側には、振動方向が水平方向である横波超音波W1,W2を送受信する第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2が配設されている。また、縦波探触子P0の垂直方向両側には、振動方向が垂直方向である横波超音波W3,W4を送受信する第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4が配設されている。
【0023】
縦波探触子の送受信動作及び横波探触子の送受信動作は、本来的には同一位置において行われるのが好ましい。そのため、特許文献1の従来装置では、縦波探触子の送受信動作が終了した後に、駆動機構の力を借りて縦波探触子と横波探触子とを入れ換えるようにしている。しかし、上記の図1(b)のように各探触子を配置すれば、駆動機構の力を借りなくても、探触子を入れ換えたのと同様の効果を得ることができる。
【0024】
すなわち、第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2により、振動方向が水平方向の超音波音速度データを2つ得ることができる。これら2つの音速度データの平均値を求めれば、この平均値の音速度データは、2つの横波探触子P1,P2の中間位置つまり縦波探触子P0の位置で水平方向の横波超音波を送受信することにより得られたデータと見做すことができるのである。第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4についても同様に考えることができる。
【0025】
次に、本実施形態に係る装置を用いて行う応力測定のための作業すなわち超音波式応力測定方法につき説明する。オペレータは、まず、探触子組立体3の各探触子の先端部に接触媒質2を塗布した後、この探触子組立体3を被検査材1の上面に配置する。
【0026】
次いで、オペレータは、超音波送受信制御部4の操作釦(図示せず)を操作して、縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4に送受信動作を同時に行わせる。そして、超音波送受信制御部4は、縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4からの受信データを測定データ解析部5に送出する。測定データ解析部5は、超音波送受信制御部4からの各探触子の超音波受信データを入力すると、各超音波の音速度データを求めて被検査材1の残留応力の解析を行う。
【0027】
このとき、測定データ解析部5は、水平方向横波超音波の音速度データとしては第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2の各音速度データの平均値を採用し、また、垂直方向横波超音波の音速度データとしては第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4の平均値を採用する。
【0028】
そして、測定データ解析部5は、上記のようにして得られた縦波超音波及び横波超音波の各音速度データから水平方向及び垂直方向の弾性表面波音速度データを近似式により演算して求め、更にこれらの弾性表面波音速度データを用いて表面組織音響異方性の演算を行って残留応力の解析を行う。このときの演算の内容は特許文献1に開示されているので、重複した記載は省略する。
【0029】
このように、図1の構成によれば、縦波探触子と、水平方向横波探触子及び垂直方向横波探触子とを実質的に同一位置に配置したのと同様に見なすことができるので、従来装置のように縦波探触子と横波探触子とを入れ換えるための駆動機構を具備させる必要がなくなる。それ故、装置全体が大形化するのを防ぐことができ、また、探触子の入れ換え及び回転の際のセットアップ作業に少なからぬ時間及び労力を要することもなくなるので作業効率の向上を図ることができる。
【0030】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図である。図2が図1と異なるのは探触子組立体3Aの構成である。
【0031】
図1の第1の実施形態では、縦波超音波及び横波超音波の各音速度データから測定データ解析部5が水平方向及び垂直方向の弾性表面波音速度データを近似式により演算して求めるようにしていたので、用いる探触子は縦波探触子P0及び横波探触子P1〜P4だけであり、弾性表面波用の探触子は用いていなかった。これに対し、図2の第2の実施形態では、弾性表面波送信探触子P5,P7及び弾性表面波受信探触子P6,P8(図2(a)ではP5,P6のみを図示)を付加することにより弾性表面波W56,W78(図2(a)ではW56のみを図示)の送信及び受信を行うようにし、これにより直接的に弾性表面波音速度データを得られる構成としている。
【0032】
探触子組立体3Aを構成する縦波探触子P0、横波探触子P1〜P4、弾性表面波送信探触子P5,P7及び弾性表面波受信探触子P6,P8の平面上での配設状態は図2(b)に示す通りである。
【0033】
すなわち、縦波超音波W0を送受信する縦波探触子P0が中心に配設されており、この縦波探触子P0の水平方向両側には、振動方向が水平方向である横波超音波W1,W2を送受信する第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2が配設されている。また、縦波探触子P0の垂直方向両側には、振動方向が垂直方向である横波超音波W3,W4を送受信する第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4が配設されている。ここまでは図1(b)と同様の配設状態である。
【0034】
しかし、図2(b)では更に、第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2のそれぞれ外側に進行方向が水平方向である弾性表面波W56をそれぞれ送信及び受信する水平方向弾性表面波送信探触子P5及び水平方向弾性表面波受信探触子P6が配設されると共に、第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4のそれぞれ外側に進行方向が垂直方向である弾性表面波W78をそれぞれ送信及び受信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7及び垂直方向弾性表面波受信探触子P8が配設されている。
【0035】
したがって、この第2の実施形態における測定データ解析部5は、水平方向及び垂直方向の弾性表面波音速度データを求めるために、第1の実施形態のように、縦波超音波及び横波超音波の各音速度データから近似式を用いて演算する必要はなく、探触子P5,P6及び探触子P7,P8の測定結果から直接的に求めることができる。それ故、応力解析の精度を向上させると共に、演算時間を短縮することができる。
【0036】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図である。図3が図2と異なるのは探触子組立体3Bにおける各探触子の配設状態である。
【0037】
図2(b)において、本来は、探触子P5,P6を探触子P1,P2と同一位置とすると共に、探触子P7,P8を探触子P3,P4と同一位置として、全ての探触子の測定データをほぼ同じ領域内で得られるようにすることが応力解析精度を向上させるためには望ましい。しかし、探触子の入れ換えを行わない限りこれらの探触子を同一位置に配設することは不可能である。そのため、図2(b)では、探触子P1,P2の外側に探触子P5,P6を配設し、探触子P3,P4の外側に探触子P7,P8を配設するようにしている。
【0038】
つまり、探触子P5,P6間の距離は探触子P1,P2間の距離よりも長くなり、探触子P7,P8間の距離は探触子P3,P4間の距離よりも長くなっている。したがって、全ての探触子の測定データがほぼ同じ領域内で得られたものであるとは言い難い。そこで、この第3の実施形態では、次善の策として、水平方向における探触子P5,P6間の距離を探触子P1,P2間の距離と等しくすると共に、垂直方向における探触子P7,P8間の距離を探触子P3,P4間の距離と等しくしている。
【0039】
探触子組立体3Bを構成する縦波探触子P0、横波探触子P1〜P4、弾性表面波送信探触子P5,P7及び弾性表面波受信探触子P6,P8の平面上での配設状態は図3(b)に示す通りである。
【0040】
すなわち、縦波超音波W0を送受信する縦波探触子P0が中心に配設されており、この縦波探触子P0の水平方向両側には、進行方向が水平方向である弾性表面波W56をそれぞれ送信及び受信する水平方向弾性表面波送信探触子P5及び水平方向弾性表面波受信探触子P6が配設されると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側には、進行方向が垂直方向である弾性表面波W78をそれぞれ送信及び受信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7及び垂直方向弾性表面波受信探触子P8が配設されている。
【0041】
更に、垂直方向弾性表面波送信探触子P7の水平方向両側には、振動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向である横波超音波W1,W3を送受信する第1の水平方向横波探触子P1及び第1の垂直方向横波探触子P3が配設されると共に、前記垂直方向弾性表面波受信探触子P8の水平方向両側には、振動方向がそれぞれ垂直方向及び水平方向である横波超音波W4,W2を送受信する第2の垂直方向横波探触子P4及び第2の水平方向横波探触子P2が配設されている。
【0042】
このような図3(b)における各探触子の配設状態は、表現を変えれば、図1(b)における探触子P1,P2及び探触子P3,P4を探触子P0を中心にして45°だけ時計回り方向に回転させ、探触子P0の水平方向両側に探触子P5,P6、探触子P0の垂直方向両側に探触子P7,P8を配設したものである、ということもできる。
【0043】
ここで、図3(b)における探触子P1,P2の各音速度データは、探触子の配設位置が異なることから図1(b)の場合とは異なるものとなる可能性がある。しかし、両者の平均値を取れば、これらは同じになる筈であるから測定上、解析上は問題となることはない。探触子P3,P4についても同様である。
【0044】
そして、水平方向における探触子P5,P6間の距離は探触子P1,P2間の距離と等しく、垂直方向における探触子P7,P8間の距離は探触子P3,P4間の距離と等しくなっているので、全ての探触子の測定データがほぼ同じ領域内で得られるようになっている。したがって、このような配設状態を有する本実施形態の探触子組立体3Bによれば、応力解析精度を向上させることができる。
【0045】
また、図3(b)と図2(b)とを対比してみれば明らかなように、探触子組立体3Bは探触子組立体3Aに比べて外形寸法が小さくコンパクトになっている。したがって、本実施形態の探触子組立体3Bを用いることにより測定時の作業性も向上させることができる。
【0046】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る超音波式応力測定装置の説明図であり、(a)は概略ブロック構成図、(b)は(a)のB−B矢視図である。図4が図3と異なるのは探触子組立体3Cにおける各探触子の配設状態と、探触子組立体3Cの外部に探触子P5,P7が配設されている点である。この探触子組立体3Cに組み込まれる弾性表面波探触子P61,P62,P81,P82は受信用のものであり、外部に配設される上記の探触子P5,P7は送信用の弾性表面波探触子である。
【0047】
探触子組立体3Cを構成する縦波探触子P0、横波探触子P1〜P4、弾性表面波受信探触子P61,P62,P81,P82の平面上での配設状態、及び探触子組立体3Cの外部に配設される弾性表面波送信探触子P5,P7の平面上での配設状態は図4(b)に示す通りである。
【0048】
すなわち、縦波超音波W0を送受信する縦波探触子P0が中心に配設されており、この縦波探触子P0の水平方向両側には、進行方向が水平方向である弾性表面波W56を受信する第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62が配設されると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側には、進行方向が垂直方向である弾性表面波W78を受信する第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82が配設されている。
【0049】
更に、第1の垂直方向弾性表面波受信探触子P81の水平方向両側には、振動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向である横波超音波W1,W3を送受信する第1の水平方向横波探触子P1及び第1の垂直方向横波探触子P3が配設されると共に、第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P82の水平方向両側には、振動方向がそれぞれ垂直方向及び水平方向である横波超音波W4,W2を送受信する第2の垂直方向横波探触子P4及び第2の水平方向横波探触子P2が配設されている。
【0050】
また、水平方向弾性表面波送信探触子P5が、第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62同士を結ぶ延長線上であって探触子組立体3Cの外側の位置に配設されている。この水平方向弾性表面波送信探触子P5が、第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62に対して、進行方向が水平方向である弾性表面波W56を送信するようになっている。
【0051】
また、垂直方向弾性表面波送信探触子P7が、第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82同士を結ぶ延長線上であって探触子組立体3Cの外側の位置に配設されている。この垂直方向弾性表面波送信探触子P7が、第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82に対して、進行方向が垂直方向である弾性表面波W78を送信するようになっている。
【0052】
そして、測定データ解析部5は、第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62の各受信時点間の時間差に基づき水平方向弾性表面波W56の音速度を求めると共に、第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82の各受信時点間の時間差に基づき垂直方向弾性表面波W78の音速度を求めるようになっている。
【0053】
上記のように、本実施形態の測定データ解析部5が、弾性表面波の音速度を2つの受信探触子の各受信時点間の時間差に基づき求めることとした理由を図5の波形チャートを参照しつつ説明する。
【0054】
例えば弾性表面波W56の音速度を求めるには、通常、探触子P5の送信タイミングと探触子P61(又はP62)の受信タイミングとの間の時間T1で探触子P5,P61間の距離を割ればよい。しかし、探触子P5の送信タイミング付近、又は探触子P61の受信タイミング付近にノイズパルスが発生した場合、オペレータ(又は測定データ解析部5の演算手段)はこのノイズパルス発生時点を送信タイミング又は受信タイミングと誤認識することがある。このような場合には、時間T1の誤差が大きくなり、音速度も不正確なものとなる。
【0055】
しかし、本実施形態のように、2つの受信探触子P61,P62を設けた場合、これらの受信タイミングにノイズパルスが発生するとしても、必ず双方のタイミングにノイズパルスが発生し、一方のタイミングのみにノイズパルスが発生するということはない。したがって、これらのノイズパルス発生時点を受信タイミングと誤認識したとしても、これら2つのノイズパルス発生時点間の時間差は、結局、ノイズパルスが発生しなかった場合の時間差ΔTと同じになり、測定精度に影響を及ぼすことはない。受信探触子P81,P82についても同様に考えることができる。
【0056】
以上のことから、本実施形態の構成は、探触子組立体の配置個所がノイズパルスの発生しやすい環境であるような場合に有効であるということができる。
【0057】
なお、図3の第3の実施形態において、全ての探触子の測定データがほぼ同じ領域内で得られるようにすることが応力解析精度を向上させるためには望ましい旨を記述した。しかし、図4の探触子配設状態は、探触子P5,P7が探触子組立体3Cの外側に配設されているので、全ての探触子の測定データがほぼ同じ領域内で得られるとは言い難い面がある。したがって、図3の構成又は図4の構成のいずれを採用するかについては、探触子組立体の配置個所付近の環境や被検査材1の種類などの種々の条件を考慮した上で決定することが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
1:被検査材(応力測定対象材料)
2:接触媒質
3,3A,3B,3C:探触子組立体
4:超音波送受信制御部
5:測定データ解析部
P0:縦波探触子
P1:第1の水平方向横波探触子
P2:第2の水平方向横波探触子
P3:第1の垂直方向横波探触子
P4:第2の垂直方向横波探触子
P5:水平方向弾性表面波送信探触子
P6:水平方向弾性表面波受信探触子
P61:第1の水平方向弾性表面波受信探触子
P62:第2の水平方向弾性表面波受信探触子
P7:垂直方向弾性表面波送信探触子
P8:垂直方向弾性表面波受信探触子
P81:第1の垂直方向弾性表面波受信探触子
P82:第2の垂直方向弾性表面波受信探触子
W0:縦波超音波
W1:横波超音波
W2:横波超音波
W56:水平方向弾性表面波
W78:垂直方向弾性表面波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応力測定対象材料の内部を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、
前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に振動方向が水平方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に振動方向が垂直方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4を配設して成る探触子組立体と、
前記探触子組立体の各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、
前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、
を備えたことを特徴とする超音波式応力測定装置。
【請求項2】
応力測定対象材料の内部又は表面を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波と、進行方向が互いに直交する2つの弾性表面波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、
前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に振動方向が水平方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に振動方向が垂直方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4を配設し、更に前記第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2のそれぞれ外側に進行方向が水平方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する水平方向弾性表面波送信探触子P5及び水平方向弾性表面波受信探触子P6を配設すると共に、前記第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4のそれぞれ外側に進行方向が垂直方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7及び垂直方向弾性表面波受信探触子P8を配設して成る探触子組立体と、
前記探触子組立体の各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、
前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、
を備えたことを特徴とする超音波式応力測定装置。
【請求項3】
応力測定対象材料の内部又は表面を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波と、進行方向が互いに直交する2つの弾性表面波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、
前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に進行方向が水平方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する水平方向弾性表面波送信探触子P5及び水平方向弾性表面波受信探触子P6を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に進行方向が垂直方向である弾性表面波をそれぞれ送信及び受信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7及び垂直方向弾性表面波受信探触子P8を配設し、更に前記垂直方向弾性表面波送信探触子P7の水平方向両側に振動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向である横波超音波を送受信する第1の水平方向横波探触子P1及び第1の垂直方向横波探触子P3を配設すると共に、前記垂直方向弾性表面波受信探触子P8の水平方向両側に振動方向がそれぞれ垂直方向及び水平方向である横波超音波を送受信する第2の垂直方向横波探触子P4及び第2の水平方向横波探触子P2を配設して成る探触子組立体と、
前記探触子組立体の各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、
前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、
を備えたことを特徴とする超音波式応力測定装置。
【請求項4】
応力測定対象材料の内部又は表面を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波と、進行方向が互いに直交する2つの弾性表面波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置において、
前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に進行方向が水平方向である弾性表面波を受信する第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に進行方向が垂直方向である弾性表面波を受信する第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82を配設し、更に前記第1の垂直方向弾性表面波受信探触子P81の水平方向両側に振動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向である横波超音波を送受信する第1の水平方向横波探触子P1及び第1の垂直方向横波探触子P3を配設すると共に、前記第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P82の水平方向両側に振動方向がそれぞれ垂直方向及び水平方向である横波超音波を送受信する第2の垂直方向横波探触子P4及び第2の水平方向横波探触子P2を配設して成る探触子組立体と、
前記第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62同士を結ぶ延長線上であって前記探触子組立体の外側の位置に配設され、前記第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62に対して、前記進行方向が水平方向である弾性表面波を送信する水平方向弾性表面波送信探触子P5と、
前記第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82同士を結ぶ延長線上であって前記探触子組立体の外側の位置に配設され、前記第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82に対して、前記進行方向が垂直方向である弾性表面波を送信する垂直方向弾性表面波送信探触子P7と、
前記探触子組立体の各探触子、及びこの探触子組立体の外側位置に配設された各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、
前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、
を備え、
しかも、前記測定データ解析部は、
前記第1及び第2の水平方向弾性表面波受信探触子P61,P62の各受信時点間の時間差に基づき水平方向弾性表面波の音速度を求めると共に、前記第1及び第2の垂直方向弾性表面波受信探触子P81,P82の各受信時点間の時間差に基づき垂直方向弾性表面波の音速度を求めるものである、
ことを特徴とする超音波式応力測定装置。
【請求項5】
応力測定対象材料の内部を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定方法において、
縦波探触子が縦波超音波を受信し、
前記縦波探触子を中心にして水平方向両側に配設された第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2が、振動方向が水平方向である横波超音波を送受信し、
前記縦波探触子を中心にして垂直方向両側に配設された第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4が、振動方向が垂直方向である横波超音波を送受信し、
前記第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2が受信した各音速度データの平均値を算出して垂直方向横波超音波の音速度データとし、
前記第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4が受信した各音速度データの平均値を算出して垂直方向横波超音波の音速度データとし、
前記水平方向横波超音波の音速度データ及び前記垂直方向横波超音波の音速度データから水平方向及び垂直方向の弾性表面波音速度データを演算し、この水平方向及び垂直方向の弾性表面波音速度データを用いて表面組織音響異方性を演算して残留応力の解析を行う、
ことを特徴とする超音波式応力測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−236892(P2010−236892A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82426(P2009−82426)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】