説明

超音波探傷装置及び超音波探傷方法

【課題】探傷方法を改良することで、受信する妨害エコーを低減する。
【解決手段】超音波探傷装置1は、異なるチャンネルをなす複数の素子11を有し、該素子11により接触媒質を介して試験体20へ超音波を照射し、試験体20からの反射波を接触媒質を介して受信して電気信号に変換するアレイ探触子10と、素子11に励振信号を送信して駆動させ、素子11からの電気信号を受信する送受信器とを備え、送受信器は、励振信号の送信と電気信号の受信を同じ素子に対して行う機能と、励振信号の送信と電気信号の受信を異なる素子に対して行う機能とを併用して試験体内部の探傷領域22,23,24,25に発生した傷21を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば試験体に発生した傷を非破壊で検出するための超音波探傷装置及び超音波探傷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波探傷装置としては、試験体内部の音響的不連続部分をアレイ探触子を用いて検出することで探傷する構成がある。例えば特許文献1には、試験体としての丸棒鋼の周囲にアレイ探触子が配置され、そのアレイ探触子から丸棒鋼に超音波ビームを照射する構成が開示されている。図4に示すように、特許文献1の超音波探傷装置100は、丸棒鋼120の径方向の周囲に接触媒質130を介して複数の素子111からなるアレイ探触子110(110a〜110d)を4個配置しており、アレイ探触子110の素子111は送受信器140からの励振信号を受けることで超音波を丸棒鋼120に照射する。そして、送受信器140によりアレイ探触子110の異なる素子111に順に励振信号を与えて照射位置を回転させ、丸棒鋼120が軸方向に搬送されることで丸棒鋼120全域を探傷可能にしている。例えば図5に示すように、アレイ探触子110cは、素子111から丸棒鋼120に対して垂直に超音波を照射し、丸棒鋼120の軸周辺の1/4の探傷領域122に傷121aがある場合、傷121aによる反射波を素子111で受信する(垂直探傷)。また、図6に示すように、アレイ探触子110cは、素子111から丸棒鋼120に対して斜角に超音波を照射し、丸棒鋼120の表面層の1/4の探傷領域125に傷121bがある場合、傷121bによる反射波を素子111で受信する(斜角探傷)。
アレイ探触子110cで受信する丸棒鋼120からの反射波(エコー)は、例えば図7に示すように、丸棒鋼120表面で反射された表面エコー151、探傷領域123(または探傷領域124)で反射された傷エコー152、探傷領域122(または探傷領域125)で反射された傷エコー153があり、表面エコー151が他のエコーに比べ非常に大きく時間的な尾引きが長いので、傷エコー152と重なるような状況になる。そこで、表面エコー151と傷エコー152を受信しないように、探傷領域122(または探傷領域125)からの傷エコー153だけを検出するための時間的範囲(探傷ゲート154)を予め設定している。よって、この超音波探傷装置100においては、1個のアレイ探触子110aで探傷できる領域(探傷領域)が丸棒鋼120全体の1/4であり、4個のアレイ探触子110a〜110dで丸棒鋼120全体を探傷する。
【0003】
ここで、接触媒質130には気泡131や金属粉等が混在することが多く、これらの音響的不連続部分を反射源とする反射波(エコー)が発生し、アレイ探触子110がそのエコーを受信してしまう。このエコーは丸棒鋼120内部に傷が無い場合にも受信されるため、本来受信させたくないエコーである。以降、このような接触媒質130内部の音響的不連続部分によるエコーを「妨害エコー」と呼ぶ。アレイ探触子110が受信するエコーは、図8の一点鎖線の伝搬経路で示すように、直接気泡131で反射された直接エコーa、丸棒鋼120の表面で反射された表面エコーb、丸棒鋼120の表面で反射された超音波が気泡131で反射され、再び丸棒鋼120の表面で反射された妨害エコーcと、図8の実線の伝搬経路で示す丸棒鋼120内部の傷で反射された傷エコーdがある。これらのエコーは、例えば図9に示すように、時間的に直接エコー161が一番早く受信され、次に表面エコー162が受信され、続いて妨害エコー163または傷エコー164が受信される。ここで、超音波探傷装置100に傷エコー164を検出するための時間的範囲として探傷ゲート165が設定されている場合、直接エコー161と表面エコー162は、探傷ゲート165以外で受信され、傷として判定されないため問題にはならないが、妨害エコー163と傷エコー164は、気泡及び傷の位置関係によって、どちらが早く受信されるかが異なるため、妨害エコー163も傷エコーとして判定してしまい探傷試験結果の精度を劣化させてしまう。
【0004】
このような妨害エコー163と傷エコー164を識別する技術が特許文献2,3に開示されている。特許文献2によれば、径の大きさが異なる2つの探触子を用いて、両者で受信したエコーを気泡エコー(妨害エコー)とし、大きな径の探触子だけで受信したエコーを介在物エコー(傷エコー)と識別していた。特許文献3によれば、アレイ探触子による超音波ビームの走査をインタリーブ化することで、例えば2回パルスを照射し、1回だけエコーが受信されれば気泡エコー(妨害エコー)として識別し、2回エコーが受信されれば傷エコーとして識別するように、エコーが受信される回数を用いて識別していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−145114号公報
【特許文献2】特開2001−4602号公報
【特許文献3】特開2000−214100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、偏芯を補正するように超音波ビームの方向を制御するものであり、受信した妨害エコーに関しては対応していない。特許文献2と特許文献3に記載された発明は、探傷方法自体が改良されておらず、妨害エコーの受信を低減させることができないという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、探傷方法を改良することで、受信する妨害エコーを低減させた超音波探傷装置及び超音波探傷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る超音波探傷装置は、異なるチャンネルをなす複数の素子を有し、該素子により接触媒質を介して試験体へ超音波を照射し、試験体からの反射波を接触媒質を介して受信して電気信号に変換するアレイ探触子と、アレイ探触子の素子に励振信号を送信して駆動させ、アレイ探触子の素子からの電気信号を受信する送受信器とを備え、送受信器は、励振信号の送信と電気信号の受信を同じ素子に対して行う機能と、励振信号の送信と電気信号の受信を異なる素子に対して行う機能とを併用して試験体内部の音響的不連続部を検出するものである。
また、この発明に係る超音波探傷方法は、送受信器により、励振信号の送信と電気信号の受信をアレイ探触子の同じ素子に対して行う第1のステップと、送受信器により、励振信号を送信してから所定時間経過以降に、励振信号を送信した素子と同じ素子で電気信号の受信を行う第2のステップと、送受信器により、第1のステップと第2のステップを併用して受信した電気信号を用いて試験体内部の音響的不連続部を検出する第3のステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る超音波探傷装置及び超音波探傷方法によれば、上記のように構成したことにより、1個のアレイ探触子で従来の2倍の探傷領域の試験を行うよう探傷方法が改良され、アレイ探触子の配置位置を上半分または下半分にして接触媒質内の気泡または金属粉による妨害エコーの受信を低減させることができる。その結果、探傷試験において妨害エコーによる誤判定が低減し、探傷試験結果の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る超音波探傷装置における探傷試験の一例を説明する図(a)、(b)である。
【図3】実施の形態1に係る超音波探傷装置における探傷試験の一例を説明する図(a)、(b)である。
【図4】従来の超音波探傷装置の構成を示す図である。
【図5】従来の超音波探傷装置の探傷試験における動作を説明する図である。
【図6】従来の超音波探傷装置の探傷試験における動作を説明する図である。
【図7】従来の超音波探傷装置の探傷試験で受信したエコーを時系列で示す図である。
【図8】従来の超音波探傷装置の探傷試験におけるエコーを示す図である。
【図9】従来の超音波探傷装置の探傷試験で受信したエコーを時系列で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る超音波探傷装置1の構成を示している。超音波探傷装置1は、容器(不図示)の下半分に配置されたアレイ探触子10と、アレイ探触子10を動作させる送受信器40で構成されており、容器に満たされた接触媒質30の中の略中心に位置するよう試験体20が配置されている。
【0012】
アレイ探触子10は、2個のアレイ探触子10a,10bを組み合わせて構成されており、例えばアレイ探触子10a,10bを構成する複数の素子11により試験体20の下側から超音波を照射するよう配置されている。素子11は、それぞれ送受信器40からの励振信号に基づいて異なるチャンネルで超音波の送受信を行う機能を有しており、励振により超音波の出力とその反射波の受信を行うことができ、超音波を出力する素子とその反射波を受信する素子に分けて動作するよう構成することもできる。素子11は、例えば容器中の接触媒質30を介して試験体20へ超音波を照射し、試験体20表面、試験体20内部の音響的不連続部または接触媒質30内部の音響的不連続部で反射された反射波(エコー)を受信し、電気信号に変換して送受信器40へ出力する。ここで、試験体20内部の音響的不連続部とは、試験体20内の傷または試験体20内の介在物の傷を示しており、傷エコーの発生源である。また、接触媒質30内部の音響的不連続部とは、気泡や金属粉であり、妨害エコーの発生源である。
【0013】
図1におけるアレイ探触子10は、試験体20の下側から超音波を照射するように容器の下半分に配置されており、接触媒質30より軽い気泡31が容器の上側に移動することにより、気泡31による妨害エコーの受信を低減するようにしている。
【0014】
試験体20は、例えば丸棒鋼であり、径周囲半分がアレイ探触子10の素子11と対向するよう接触媒質30中に配置され、探傷試験時に軸方向に搬送される。
接触媒質30は、例えば探傷試験用の容器中に満たされた水である。
【0015】
送受信器40は、アレイ探触子10を構成する素子11毎に励振信号を送信して素子11を駆動させ、エコーの電気信号をアレイ探触子10から受信し、その電気信号に基づき試験体20内部の音響的不連続部(傷)を検出するよう機能する。
また、送受信器40は、励振信号の送信と電気信号の受信を同じ素子11に対して行う機能と、励振信号の送信と電気信号の受信を異なる素子11に対して行う機能を有しており、これらの機能を併用して音響的不連続部を検出する。送受信器40は、例えば、励振信号により素子(ここでは素子11aとする)を励振させて超音波を照射させ、予め設定した時間(所定時間)を経過するまで素子11aとは異なる素子(ここでは素子11bとする)からの電気信号を受信し、所定時間経過後、受信対象を素子11bから素子11aに切り替えて電気信号を受信する。送受信器40は、予め設定した複数の時間的範囲内(探傷ゲート)に受信した傷エコーの電気信号に基づき傷エコーを検出し、試験体20の音響的不連続部を傷として判定する。ここで、探傷ゲートとは、試験体20内部の探傷範囲で反射されたエコーを受信するための時間的範囲であり、探傷範囲毎に予め設定されたものである。
さらに、送受信器40は、素子11毎に超音波の照射角度を変更可能に制御し、試験体20に対する垂直探傷と斜角探傷を行うよう機能する。送受信器40は、例えば垂直探傷により試験体20の軸周辺を探傷し、斜角探傷により試験体20の表面層を探傷することで、試験体20全域を探傷する。
【0016】
次に、実施の形態1の超音波探傷装置1における探傷試験の一例について説明する。図2(a)は垂直探傷による探傷試験を示しており、図2(b)はその際のエコーを時系列で示している。なお、説明を容易にするため、図2(a)においてはアレイ探触子10のうちアレイ探触子10aを用いて説明する。
【0017】
超音波探傷装置1の送受信器40は、図2(a)に示すように、アレイ探触子10aの素子11aへ励振信号を与え素子11aから試験体20に対して垂直に超音波を照射させる。照射された超音波は、試験体20の表面でアレイ探触子10a側に反射され、素子11aの方向を中心として素子11bの方向にも戻ってくるが、素子11bで受信する表面エコーの方が素子11aで受信する表面エコーよりも小さい。送受信器40は、励振信号を素子11aに送信してから(素子11aにより超音波が照射されてから)所定時間を経過するまで、素子11aとは異なる素子11bにより、探傷領域22における傷21aからの傷エコー52の電気信号を受信する。送受信器40は、超音波が照射されてから所定時間を経過すると、受信対象を素子11bから素子11aに切り替え、探傷領域23における傷21bからの傷エコー53の電気信号を受信する。
【0018】
このとき、送受信器40は、図2(b)に示すように、超音波を照射してから所定時間を経過する時刻Aまで、素子11bからの電気信号を受信し、時刻A以降に素子11aからの電気信号を受信する。最初に受信した表面エコー51は、励振して超音波を出力した素子11a(励振素子)で受信した表面エコー(図7で示した表面エコー151)よりも振幅が小さく、尾引きも短い。次に受信した傷エコー52は、素子11aで受信した傷エコー(図7で示した傷エコー152)に比べて表面エコー51と分離され(図7で示した傷エコー152と表面エコー151との間隔が離れ)、探傷が可能になっている。傷エコー53は、素子11aで受信した傷エコーであり、従来の探傷方法と同じ方法で探傷される。ここで、送受信器40は、傷エコー52と傷エコー53をそれぞれ受信するための複数の時間的範囲として探傷ゲート54が設定されており、探傷ゲート54内に受信したエコーの電気信号に基づき試験体20の傷であるかを判定することで、表面エコー51を探傷試験の判定に含めないようにしている。
【0019】
図3(a)は斜角探傷による探傷試験を示しており、図3(b)はその際のエコーを時系列で示している。なお、説明を容易にするため、図3(a)においてはアレイ探触子10のうちアレイ探触子10bを用いて説明する。
【0020】
また、超音波探傷装置1の送受信器40は、図3(a)に示すように、アレイ探触子10aの素子11aへ励振信号を与え素子11aから試験体20に対して斜角(例えば試験体20の面に対して18°)に超音波を照射させる。照射された超音波は、試験体20の表面で屈折して入射するが、試験体20の表面でアレイ探触子10a側にも反射され、表面エコーとして受信される。送受信器40は、励振信号を素子11aに送信し、探傷領域24における傷21cからの傷エコー62の電気信号を受信する。また、探傷領域25における傷21dからの傷エコー63の電気信号を受信する。
【0021】
このとき、送受信器40は、図3(b)に示すように、超音波を照射してから所定時間を経過する時刻Bまで探傷領域24を探傷し、時刻B以降に探傷領域25を探傷する。最初に受信した表面エコー61は、垂直探傷の表面エコー(図2(b)の表面エコー51)よりも振幅が小さく、尾引きも短い。次に受信した傷エコー62は、表面エコー61と十分に分離されているため、探傷可能であり、従来の探傷方法と同じ方法で探傷される。傷エコー63は、傷エコー62と十分に分離されているため、従来の探傷方法と同じ方法で探傷される。ここで、送受信器40は、傷エコー62と傷エコー63をそれぞれ受信するための複数の時間的範囲として探傷ゲート64を予め設定しており、探傷ゲート64内に受信したエコーの電気信号に基づき試験体20の傷であるかを判定することで、表面エコー61を探傷試験の判定に含めないようにしている。
【0022】
このようにして、送受信器40は、1個のアレイ探触子10が試験体20の2/4を探傷範囲とするよう動作させることで、アレイ探触子10が従来の2倍の探傷領域の探傷試験を行うようにしている。すなわち、アレイ探触子を従来の数の1/2とすることができる。
【0023】
以上のように、実施の形態1の超音波探傷装置1は、異なるチャンネルをなす複数の素子11で超音波を送受信するアレイ探触子10と、アレイ探触子10を駆動させる送受信器40とを備え、垂直探傷の場合には、送受信器40により、素子11を励振させると、励振素子と受信素子を異なる素子11で行う機能を用いてエコーを受信し、素子11を励振させてから所定時間経過後に励振素子と受信素子を同じ素子11で行う機能を用いてエコーを受信するよう構成したことにより、1個のアレイ探触子10a(または10b)で従来の2倍の探傷領域の試験を行うよう探傷方法が改良され、アレイ探触子10(10a,10b)の配置位置を下半分または上半分にして接触媒質30内の気泡または金属粉による妨害エコーの受信を低減させることができる。その結果、探傷試験において妨害エコーによる誤判定が低減し、探傷試験結果の精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0024】
また、超音波探傷装置1は、例えば1個のアレイ探触子10aにより探傷領域23の探傷に加えて探傷領域22も探傷するよう探傷方法を改良したことにより、設置するアレイ探触子10の個数を1/2にすることができる。その結果、従来の装置に比べてコストを低減できるという効果が得られる。
【0025】
さらに、超音波探傷装置1は、複数の時間的範囲としての探傷ゲート54(または64)で受信したエコーの電気信号を試験体の音響的不連続部からのエコー(傷エコー)として検出するので、より確実に複数の探傷領域22,23,24,25毎に傷エコー52,53,62,63を検出することができるという効果が得られる。
【0026】
なお、実施の形態1では、アレイ探触子10が試験体20の下側から超音波を照射するように容器の下半分に配置される構成で説明したが、試験体20の上側から超音波を照射するように容器の上半分に配置するように構成してもよい。その場合、接触媒質30より重い金属粉が容器の下側に移動することにより、金属粉による妨害エコーの受信を低減することができる。
【0027】
なお、アレイ探触子10の個数を従来と同じ個数設けるよう構成してもよい。その場合、コスト低減という効果は得られないが、より精度の良い探傷試験結果が得られるという効果が得られる。また、アレイ探触子10を試験体の周囲に配置し、そのアレイ探触子10の下半分を駆動させる探傷方法、またはアレイ探触子10の上半分を駆動させる探傷方法を用いるようにしても良い。この場合もコスト低減という効果は得られないが、より精度の良い探傷試験結果が得られるという効果が得られる。
【0028】
なお、実施の形態1では、2個のアレイ探触子10a,10bを用いた構成を説明したが、アレイ探触子10の個数は2個に限定するものではなく、上述した探傷方法を用いて試験体を全面探傷できるよう構成されていれば良い。例えば、1個で全面探傷が可能な場合、1個のアレイ探触子を設ける構成でもよいし、2個で不十分な場合、3個以上のアレイ探触子を用いた構成であっても良い。
【0029】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 超音波探傷装置、10,10a,10b,110,110a,110b,110c,110d アレイ探触子、11,11a,11b,111 素子、20 試験体、21,21a,21b,21c,21d,121,121a,121b 傷(試験体内部の音響的不連続部)、22,23,24,25,122,123,124,125 探傷領域、30,130 接触媒質、31,131 気泡(接触媒質内の音響的不連続部)、40 送受信器、51,61,151,162 表面エコー、52,53,62,63,152,153,164 傷エコー、54,154,64,165 探傷ゲート、100 従来の超音波探傷装置、120 丸棒鋼(試験体)、140 従来の送受信器、161 直接エコー、163 妨害エコー、165 探傷ゲート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるチャンネルをなす複数の素子を有し、該素子により接触媒質を介して試験体へ超音波を照射し、前記試験体からの反射波を前記接触媒質を介して受信して電気信号に変換するアレイ探触子と、
前記アレイ探触子の素子に励振信号を送信して駆動させ、前記アレイ探触子の素子からの電気信号を受信する送受信器とを備え、
前記送受信器は、励振信号の送信と電気信号の受信を同じ素子に対して行う機能と、励振信号の送信と電気信号の受信を異なる素子に対して行う機能とを併用して前記試験体内部の音響的不連続部を検出する
ことを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
前記送受信器は、複数の探傷ゲートで受信した電気信号を前記試験体の音響的不連続部とすることを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。
【請求項3】
前記アレイ探触子は、前記試験体の下側から超音波を照射するよう配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の超音波探傷装置。
【請求項4】
前記アレイ探触子は、前記試験体の上側から超音波を照射するよう配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の超音波探傷装置。
【請求項5】
異なるチャンネルをなす複数の素子を有し、該素子により接触媒質を介して試験体へ超音波を照射し、前記試験体からの反射波を前記接触媒質を介して受信して電気信号に変換するアレイ探触子と、前記アレイ探触子の素子に励振信号を送信して駆動させ、前記アレイ探触子の素子からの電気信号を受信する送受信器とを用いた超音波探傷方法において、
前記送受信器により、励振信号の送信と電気信号の受信を前記アレイ探触子の異なる素子に対して行う第1のステップと、
前記送受信器により、励振信号を送信した素子と同じ素子で電気信号の受信を行う第2のステップと、
前記送受信器により、前記第1のステップと前記第2のステップを併用して受信した電気信号を用いて前記試験体内部の音響的不連続部を検出する第3のステップと
を有することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項6】
前記第3のステップは、前記送受信器により、複数の探傷ゲートで受信した電気信号を前記試験体の音響的不連続部とする第4のステップをさらに有することを特徴とする請求項5記載の超音波探傷方法。
【請求項7】
前記アレイ探触子により、前記試験体の下側から超音波を照射する第5のステップをさらに有することを特徴とする請求項5または請求項6記載の超音波探傷方法。
【請求項8】
前記アレイ探触子により、前記試験体の上側から超音波を照射する第6のステップをさらに有することを特徴とする請求項5または請求項6記載の超音波探傷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−198104(P2012−198104A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62457(P2011−62457)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】