説明

超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法および装置

【課題】 アーチファクトと生体組織信号とを抑えるとともに、穿刺針信号を強調する方法および装置を提供する。
【解決手段】 超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法であって、穿刺針画像フレームの総合利得を下げる調整ステップと、穿刺針の画像フレームに対して非線形写像を行う写像ステップとを備えており、前記非線形写像は、強い信号が写像された後でさらに強くなり、弱い信号は、写像された後でさらに弱くなる態様が設定されている前記方法を提供している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波撮像技術に係わり、さらに詳しくは、画像ガイド下の利用において超音波画像における穿刺針の視認性を向上する方法および装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
多くの医療場面において、例えば吸引穿刺針または生検穿刺針等のような種々の侵襲型医療機器を患者体内の特定のターゲットまで案内すべく、医療機器の超音波ガイドを用いることが必要とされる。ガイドを用いてこのような作業を簡単にすることによって、それらの作業がさらに安全そして速やかに行われるようになる。穿刺針の視認を最も効果的に行うべく、穿刺針の方向に垂直である広指向角走査画像フレームを用いることにより穿刺針からの最大のエコーを取得することが必要とされる。そのためには、通常Bモードガイドのような普通の方法を用いるが、かかる方法を用いると、広指向角画像フレームを直接合成する際にアーチファクトが取り込まれることになる。
【0003】
したがって、画像フレームを合成する前に広指向角画像フレームにおける穿刺針信号を強調するとともに、アーチファクトと生体組織信号とを抑えることが可能な方法および装置が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、公知技術に存在する課題を解決することにより、アーチファクトと生体組織信号とを抑えるとともに、穿刺針信号を強調する方法および装置を提供することである。このような目的を実現するため、本発明に用いられた技術案は、次のようなものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の観点は、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法である。この方法は、穿刺針画像フレームの総合利得を下げる調整ステップと、穿刺針の画像フレームに対して非線形写像を行う写像ステップとを備えており、前記非線形写像は、強い信号が写像された後でさらに強くなり、弱い信号は、写像された後でさらに弱くなる態様が設定される方法を提供する。
【0006】
一つの実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法は、穿刺針の画像フレームに対して縁部強調フィルタリングを行う強調ステップをさらに備えても良い。
【0007】
別の実施例によると、前記強調ステップにて、穿刺針の平均方向に沿って非ゼロ係数を有するフィルタテンプレートを定義してから、穿刺針の画像フレームとフィルタテンプレートとの間で相互相関処理を行う。
【0008】
別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法には、穿刺針の画像フレーム中の各々の画素に対して、その相互相関値が所定の閾値より小さい場合、それをゼロに設置する閾値取得ステップをさらに備えても良い。
【0009】
さらに別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法には、均等な穿刺針輝度に対して、深さに沿って時間利得制御を行う制御ステップをさらに備えても良い。
【0010】
また別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法は、最低限のアーチファクトを有する穿刺針の画像を取得すべく、穿刺針画像フレームの伝送周波数と、受信等化フィルタリングと、ビーム密度と、および/または帯状集束領域の位置とに対して異なる設定を行う設定ステップをさらに備えても良い。
【0011】
さらに別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法は、同一起源であって偏向角の異なるビームを用いて、穿刺針画像フレームの線形ビーム分布の欠損領域を充填する充填ステップをさらに備える。好ましくは、一つの実施例において、穿刺針からの各々のビームの異なる反射効果を補正すべく、偏向角の異なるビームに異なる利得を付加する。
【0012】
本発明実施例の第二の観点は、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法である。この方法は、ノイズを取り除くとともに縁部情報を保つべく、異方性フィルタを用いて穿刺針の広指向角画像に対してフィルタリングを行うフィルタリングステップと、画像の縁部を検出する検出ステップと、検出された画像に対してハフ変換を行う変換ステップと、ハフ変換の結果を用いて平行線を決定する決定ステップと、パターン行列を生成し、かつ平行線の間の領域を1で充填し、その他の領域を0で充填する生成ステップとを備える方法をさらに提供する。
【0013】
本発明実施例の第三の観点によると、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置である。その装置は、穿刺針画像フレームの総合利得を下げる調整モジュールと、穿刺針の画像フレームに対して非線形写像を行う写像モジュールとを備えており、前記写像モジュールは、非線形写像後に強い信号は、さらに強くなり、弱い信号は、さらに弱くなる態様に設定されている装置を提供する。
【0014】
一つの実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置は、穿刺針の画像フレームに対して縁部強調フィルタリングを行う強調モジュールをさらに備えても良い。
【0015】
もう一つの実施例によると、前記強調モジュールは、穿刺針の平均方向に沿って非ゼロ係数を有するフィルタテンプレートを定義してから、穿刺針の画像フレームとフィルタテンプレートとに相互相関処理を行う。
【0016】
別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置は、穿刺針の画像フレーム中の各々の画素に対して、その相互相関値が所定の閾値より小さい場合、それをゼロに設置する閾値取得モジュールをさらに備えても良い。
【0017】
さらに別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置は、均等な穿刺針輝度に対して、深さに沿って時間利得制御を行う制御モジュールをさらに備えても良い。
【0018】
また別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置には、最低限のアーチファクトを有する穿刺針の画像を強調すべく、穿刺針画像フレームの伝送周波数と、受信等化フィルタリングと、ビーム密度と、および/または帯状集束領域の位置とに対して異なる設定を行う設定モジュールとをさらに備えても良い。
【0019】
さらに別の実施例によると、前記超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置は、同一起源であって偏向角の異なるビームを用いて、穿刺針画像フレームの線形ビーム分布の欠損領域を充填する充填モジュールをさらに備えても良い。
【0020】
本発明実施例の第四の観点によると、超音波撮像ガイドシステムであって、本発明実施例の第三の方面によるに超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置を備える前記システムを提供している。
【発明の効果】
【0021】
本発明実施例による方法および装置は、穿刺針の視認性を効果的に向上し、画像品質の劣化がほぼ起こらず、ハードウェアの追加または変更が不要であり、穿刺針ガイド作業の流れの改善に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施例による、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法を用いた超音波撮像プロセスの見取り図である。
【図2】図2は、一つの実施例による、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法のフローチャート図である。
【図3】図3は、一つの実施例による、穿刺針の画像フレームに対して縁部の強調を行うモジュールを行う方法を説明した見取り図である。
【図4】図4は、一つの実施例による非線形写像の見取り図である。
【図5】図5は、生体組織画像フレームに用いられる線形ビーム分布の見取り図である。
【図6】図6は、穿刺針の画像フレームに用いられる線形ビーム分布の見取り図である。
【図7】図7は、線形ビームを用いて取得した画像を合成した後に、穿刺針情報の欠損が発生したことを説明する見取り図である。
【図8】図8は、一つの実施例による、同一起源であって偏向角の異なるビームを用いて、欠損領域を充填する見取り図である。
【図9】図9は、一つの実施例による、穿刺針情報欠損のない合成画像フレームの見取り図である。
【図10】図10は、別の実施例による、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法のフローチャート図である。
【図11】図11は、一つの実施例による、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置の見取り図である。
【図12】図12は、別の実施例による、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置の見取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、かつ実施例を用いながら本発明に対して具体的に説明する。説明において同一またはほぼ同一の部材に対して同一の記号を用いて表す。
【0024】
穿刺針は、高反射率物体であり、走査角度が穿刺針の角度に垂直であるか、またはほぼ垂直である時に、超音波画像において穿刺針は、視認性が高い。ところが、後処理においては、画像データが8ビットに圧縮されるので、穿刺針と正常な生体組織とを区別するのは、非常に困難である。もしこのような穿刺針の画像フレームと正常な生体組織の画像フレームとを直接合成する場合、グレーティングローブおよび生体組織が劣化した画像と強い穿刺針信号とともに発生するアーチファクトが取り込まれるようになる。したがって肝心なのは、合成する前に広指向角画像フレーム中の穿刺針信号を強調するとともに、アーチファクトと生体組織信号とを抑えることである。図1に示すように、本発明実施例に従う方法は、生体組織画像フレーム(ブロック100)と穿刺針の画像フレーム(ブロック102)とを合成する(ブロック106)最初に穿刺針の画像フレームに対して幅と空間との処理を行うと(ブロック104)、最後に穿刺針の視認性が向上された画像の取得が可能となる(ブロック108)。
【0025】
図2は、一つの実施例による超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法のフローチャート図である。主に調整ステップ208と写像ステップ212とを備えており、その他の実施例においては、さらにオプションとして、充填ステップ200と、設定ステップ202と、強調ステップ204と、閾値取得ステップ206と、および/または制御ステップ210とを備えても良い。以下これらのステップについてそれぞれ具体的に説明する。
【0026】
生体組織データの一つまたは複数の画像フレームと、穿刺針データの一つまたは複数の画像フレームとを採集する。生体組織画像フレームは、生体組織画像品質が最良になる態様で設定しても良い。生体組織画像フレームは、例えば通常のBモード画像の直線画像フレームを備えても良く、または通常空間合成で実現される。例えば−15度、0度、15度の偏向角を有する多重画像フレームを備えても良い。
【0027】
ビームの方向を穿刺針の方向に垂直またはほぼ垂直するべく、穿刺針の画像フレームは、例えば45度の偏向角など、大きい偏向角を有する画像フレームである。同時に、穿刺針の画像フレームは、多角度画像フレームの合成画像フレームであっても良い。異なる利用場面で医者が穿刺針を刺す角度は、異なっており、また穿刺針画像フレームのビーム入射方向が穿刺針の方向に垂直となる時に最適な効果が現れるので、例えば25度と45度のような多角度掃査を用いて取得した穿刺針の画像フレームを合成しても良く、この二つの画像フレームを直接合成して穿刺針の画像フレームを取得する。最低限のアーチファクトを有する穿刺針の画像を最大限に強調すべく、穿刺針の画像フレームは、異なる設定を行っても良い(ステップ202)。異なる設定には、伝送周波数と、受信等化フィルタリングと、ビーム密度と、帯状集束領域の位置とを含有しても良い。さらに良い画像品質を取得すべく、又はさらに少ない資源を用いるべく、穿刺針の画像フレームの設定は、生体組織画像フレームと異なっても良い。例えば、画像品質を改善するとともにグレーティングローブを抑え、画像の周波数を下げることにより送信素子の指向性を向上させる。これは、低周波数波形を送信するか、または受信用帯域通過フィルタの中心周波数を下げることにより実現可能である。オプションとして、調波撮像を用いることによりグレーティングローブを減らしても良い。その他の設定を変えても良く、例えばさらに良い画像フレームレートを取得すべく、帯状集束領域の送信数を減らしても良い。さらに、周波数が下がったため、Bモード画像フレームを構築するためのビーム数を減らすことが可能であり、これによりフレームレートをさらに上げることが可能である。
【0028】
また、穿刺針を強調し、かつ、生体組織とアーチファクトを抑えるべく、穿刺針の画像フレームをさらに処理しても良い。一つの実施例による方法では、幅情報または空間情報あるいは、その組合せに基づいて、穿刺針の画像フレームに対して処理を行っても良い。幅の処理には、利得の調整と、増幅と、閾値の取得と、非線形写像等とを備えても良い。空間の処理には、異方性の平滑化と、テンプレートとの交差関連により縁部の強調を行う処理等とを含有しても良い。処理済の穿刺針の画像フレームは、生体組織画像フレームと合成した後で、最終的に強調された画像が形成可能である。このような合成は、算術平均、最大値抽出等を用いて実現可能である。
【0029】
一つの実施例において、生体組織画像フレームは、−15度、0度、15度のような、三つの規則的な偏向角の画像フレームからなる。穿刺針の画像フレームは、45度の偏向角を有するか、または複数の広指向角掃査画像フレームを合成して前記穿刺針の画像フレームを取得する。
【0030】
上記において、縁部の強調は、穿刺針の画像フレームに対して縁部強調フィルタリングを行うことであり(ステップ204)、一つの実施例による縁部の強調方法は、下記のようなものである。非ゼロ係数を穿刺針の平均方向に沿って有するフィルタテンプレートを定義し、穿刺針の画像フレームとテンプレートとの間で相互相関処理を行う。その結果、穿刺針が強調され、その他の生体組織信号とアーチファクトとは、抑えられる。
【0031】
なお、穿刺針以外の信号をさらに抑えるべく、結果データに対して閾値を取得しても良い(ステップ206)。図3に示すように、EEフィルタテンプレートと穿刺針との画像フレームの畳み込みを行う。穿刺針の画像フレーム中の座標が(x、y)である各々のドットI(x、y)に対して、もしその相互相関値が所定の閾値(Threshold)より小さい場合、すなわち、sum(I(i)*EE(i))/sum(I(i))<(Threshold)である場合、I(x、y)は、0に設定される。上記において、所定の閾値(threshold)は、[0、1]の間の経験値であり、実験により決まることが可能であるが、通常は、0.4を取る。
【0032】
その後、穿刺針画像フレームの総合利得をさらに調整しても良く(ステップ208)、すなわち穿刺針データの総合利得を抑えても良い。穿刺針の画像フレーム中の穿刺針信号がかなり強いため、利得を抑えることにより生体組織/アーチファクトをさらに抑えられるとともに、比較的に良質な穿刺針信号強度が維持可能である。オプションとして、均等な穿刺針輝度に対して、時間利得制御(TGC)を深さに沿って利用しても良い(ステップ210)。
【0033】
その後、穿刺針を強調しかつ生体組織/アーチファクトを抑えるべく、非線形写像を付加しても良い(ステップ212)。非線形写像は、強い信号(穿刺針からの信号)がさらに強くなり、弱い信号(生体組織またはアーチファクトからの信号)がさらに弱くなる態様で設計しても良い。図4に示す非線形写像は、穿刺針の画像フレーム中の各々のドットに対応する出力値をこの曲線に沿って見出すことが可能であり、変換後の画像では、弱い信号が抑えられて、強い信号は、強調される。
【0034】
なお、穿刺針の画像フレームと生体組織画像フレームとのビームパターンは、異なっても良い。図5及び図6に示すように、従来の生体組織画像フレームと穿刺針の画像フレームは、いずれも線形ビーム分布を用いている。この場合、図7における矢印が指しているB領域が示すように、合成画像において三角形領域内の部分の穿刺針の情報が失われる。
【0035】
図8に示すように、一つの実施例において、同一起源であって偏向角の異なるビームを用いて、該三角形領域を充填する(ステップ200)穿刺針の画像フレームビーム分布を用いても良い。偏向角が小さくなるに伴い、穿刺針反射は、次第に弱くなっても良く、従来の突然切れる設定と比べてさらに優れた効果を有する。
【0036】
穿刺針の画像フレームにおいて、掃査ビームの偏向角が小さくなるに伴い、穿刺針信号の振幅も小さくなるので、穿刺針からの各々のビームの異なる反射効果を補正すべく、異なる偏向角を有するビームに異なる利得を付加する必要がある。したがって、図9に示すような一致する穿刺針画像が取得可能である。
【0037】
別の実施例によると、穿刺針の画像フレームにおいて穿刺針信号を維持しながら生体組織/アーチファクトを抑えるためのオプションとしての方法は、パターン識別方法を用いて穿刺針領域を識別する方法である。その後でマスクを生成して、穿刺針領域外のデータをゼロにする。以下、実例を説明する。
【0038】
図10に示すように、まずフィルタリングを行い、異方性フィルタを用いて穿刺針の広指向角画像に対してフィルタリングを行う。異方性フィルタは、ノイズを取り除くとともに縁部情報を残すことが可能である(ステップ1000)。その次に、画像縁部の検出を行う(ステップ1002)。その次に、検出された画像に対してハフ変換を行う(ステップ1004)。その後、ハフ変換の結果を用いて平行線を決定する(ステップ1006)。さらにその後、一つのパターン行列を生成し、かつ平行線の間の領域を1で充填し、その他の領域は、0で充填する(ステップ1008)。それからパターン行列と元の画像を乗算し、最後に取得した乗積を正常な走査系列への合成が可能となる。
【0039】
図11は、一つの実施例による超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置1100の見取り図である。該装置1100は、主に、調整モジュール1110と、写像モジュール1114とを備えている。その他の実施例では、さらにオプションとして、充填モジュール1102と、設定モジュール1104と、強調モジュール1106と、閾値取得モジュール1108と、および/または制御モジュール1112とを備えも良い。これらのモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウエアまたはそれらの組合せにより実現可能である。前記において、
充填モジュール1102は、ステップ200を実行するのに用いられており、
設定モジュール1104、ステップ202を実行するのに用いられており、
強調モジュール1106は、ステップ204を実行するのに用いられており、
閾値取得モジュール1108は、ステップ206を実行するのに用いられており、
調整モジュール1110は、ステップ208を実行するのに用いられており、
制御モジュール1112は、ステップ210を実行するのに用いられており、および
写像モジュール1114は、ステップ212を実行するのに用いられている。
【0040】
図12は、超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置1100の別の実施例である。該装置1100は、例えばMCU(Micro Controller Unit)、DSP(Di gital Signal Processor)またはCPU(Central Processing Unit)等のような処理ユニット1213を備える。処理ユニット1213は、前記と異なるステップを実行すべく、シングルまたは複数のユニットであっても良い。なお、該装置1100は、オプションとして、インタラクティブインターフェース1280および出力ユニット1290をさらに備えても良い。該インタラクティブインターフェース1280および該出力ユニット1290は、採集した穿刺針画像データの入力および経過処理の穿刺針画像データの出力に用いられる。なお、該装置1100は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリまたはハードディスク等のような、不揮発性メモリ形態の少なくとも一つのコンピュータプログラム製品1210をさらに備える。該コンピュータプログラム製品1210は、コンピュータプログラム1211を備えている。コンピュータプログラム1211は、プログラムコードを備えており、該プログラムは、コードが実行される際に、該装置1100に図2に示すようなステップを実行させる。
【0041】
具体的には、装置1100のコンピュータプログラム1211中のプログラムコードは、ステップ200を実行するための充填モジュール1211aと、ステップ202を実行するための設定モジュール1211bと、ステップ204を実行するための強調モジュール1211cと、ステップ206を実行するための閾値取得モジュール1211dと、ステップ208を実行する調整モジュール1211eと、ステップ210を実行するための制御モジュール1211fと、ステップ212を実行する写像モジュール1211gとを備える。言い換えれば、処理ユニット1213で異なるモジュール1211a乃至1211gを実行する場合、それらは、図11に示すようなモジュール1102、1104、1106、1108、1110、1112、および1114に対応する。
【0042】
超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための上記実施例による装置1100は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウエアまたはそれらの組合せにより種々の超音波撮像ガイドシステムの中で実現されても良い。このような実現は、当該分野の普通の技術者にとって容易なので、ここでは、その詳細な説明を省くこととする。
【0043】
以上、具体的な実施例を用いて本発明を説明したが、本発明は、これら具体的な実施例により限定されるものでは、ない。当該分野の技術者は、本発明に対して種々の修正、等価入替え、変化等をさらに行えることは、理解可能なものである。例えば上記実施例における一つのステップまたはモジュールを、二つまたは複数のステップまたはモジュールに分割して実現するか、または逆に上記実施例における二つまたは複数のステップまたはモジュールの機能を、一つのステップまたはモジュールに併合して実現するようなことである。しかし、これらの変換は、本発明の精神から逸脱しない限り、いずれも本発明の保護範囲内に属すべくものである。なお、本願の明細書と特許請求の範囲に用いられた一部の用語は、規制には、ならず、単に記述の便利のためである。また、上記において、前記「一つの実施例」、「別の一つの実施例」等が多数記載しているが、これらは、異なる実施例を表しており、もちろんその全部または一部を一つの実施例にまとめても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺針画像フレームの総合利得を下げる調整ステップと、
穿刺針の画像フレームに対して非線形写像を行う写像ステップと、を備えており、
前記非線形写像は、強い信号が写像された後でさらに強くなり、弱い信号は、写像された後でさらに弱くなる態様で設定されていることを特徴とする超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項2】
穿刺針の画像フレームに対して縁部強調フィルタリングを行う強調ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項3】
前記強調ステップにて、穿刺針の平均方向に沿って非ゼロ係数を有するフィルタテンプレートを定義してから、穿刺針の画像フレームとフィルタテンプレートとの間で相互相関処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項4】
穿刺針の画像フレーム中の各々の画素に対して、その相互相関値が所定の閾値より小さい場合、それをゼロに設置する閾値取得ステップをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項5】
均等な穿刺針輝度に対して、深さに沿って時間利得制御を行う制御ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項6】
最低限のアーチファクトを有する穿刺針の画像を強調すべく、穿刺針画像フレームの送信周波数と、受信等化フィルタリングと、ビーム密度と、および/または帯状集束領域の位置とに対して異なる設定を行う設定ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項7】
同一起源であって偏向角の異なるビームを用いて、穿刺針画像フレームの線形ビーム分布の欠損領域を充填する充填ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項8】
前記充填ステップにて、穿刺針からの各々のビームの異なる反射効果を補正すべく、偏向角の異なるビームに異なる利得を付加することを特徴とする請求項7に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項9】
ノイズを取り除くとともに縁部情報を保つべく、異方性フィルタを用いて穿刺針の広指向角画像に対してフィルタリングを行うフィルタリングステップと、
画像の縁部を検出する検出ステップと、
検出された画像に対してハフ変換を行う変換ステップと、
ハフ変換の結果を用いて平行線を決定する決定ステップと、
パターン行列を生成してかつ、平行線の間の領域を1で充填し、その他の領域を0で充填する生成ステップと、
を備えることを特徴とする超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための方法。
【請求項10】
穿刺針画像フレームの総合利得を下げる調整モジュールと、
穿刺針の画像フレームに対して非線形写像を行う写像モジュールと、を備えており、
前記写像モジュールは、非線形写像後に強い信号がさらに強くなり、弱い信号は、さらに弱くなる態様で設定されている、
ことを特徴とする超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置。
【請求項11】
穿刺針の画像フレームに対して縁部強調フィルタリングを行うための強調モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置。
【請求項12】
前記強調モジュールが、穿刺針の平均方向に沿って非ゼロ係数を有するフィルタテンプレートを定義してから、穿刺針の画像フレームとフィルタテンプレートとを相互相関処理を行うのに用いられることを特徴とする請求項11に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置。
【請求項13】
穿刺針の画像フレーム中の各々の画素に対して、その相互相関値が所定の閾値より小さい場合、それをゼロに設置する閾値取得モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置。
【請求項14】
均等な穿刺針輝度に対して、深さに沿って時間利得制御を行う制御モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置。
【請求項15】
最低限のアーチファクトを有する穿刺針の画像を取得すべく、穿刺針画像フレームの送信周波数と、受信等化フィルタリングと、ビーム密度と、および/または帯状集束領域の位置に対して異なる設定を行う設定モジュールとをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置。
【請求項16】
同一起源であって偏向角の異なるビームを用いて、穿刺針画像フレームの線形ビーム分布の欠損領域を充填する充填モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置。
【請求項17】
請求項10乃至16のうちのいずれかの一項に記載の超音波撮像における穿刺針の視認性を向上するための装置、
を備えることを特徴とする超音波撮像ガイドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−135617(P2012−135617A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279087(P2011−279087)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】