説明

超音波水位制御装置及び水位の測定方法

【課題】液体や容器等に影響を与えることなく貯蔵された種々の液体の水位を決定する。
【解決手段】本発明は、タンクを改良して貯蔵体積内で作動する高さ計器を有するタンクをつくるのが難しいなどのように内部体積を測定しにくい閉ざされた容器やパイプ内で連続的に点水位検出を行う装置及び方法を含んでいる。この発明は、局在化した超音波エネルギーに対する結合された貯蔵タンク/流体の応答または貯蔵パイプ/流体の応答を周波数領域で解析することが基礎となっている。また、この発明は、数個の数式と信号分析手順とを用いて実行され、縦方向の厚みの応答のうちの1つの応答の近くでの容器の壁における透過特性を利用して実行される。このようにして、パルス-エコー超音波技術において用いる刺激電圧のピークよりも低いピークの刺激電圧が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して容器内の水位を決定することに関し、特には液体や容器などに影響を与えることなく(non-invasively)水位を決定するために超音波を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
液体や容器などに影響を与えることなくまた貯えられている液体の型に構わずに、閉ざされた容器内に貯えられた液体の水位をモニターするための絶え間ない要求がある。水位を決定するための現在の音響学的方法は、変換器を用いて発生され貯蔵物質を通って伝播した局在化された圧力の乱れに頼っている。その乱れは、液体表面から反射されて出発点である変換器地点の近くで受信される。発信から受信までの時間は測定され、水位は数4により決定される。
【0003】
【数4】

【0004】
ここで、cは、液体中の音波の伝播速度であり、Δtは、音の乱れの発生から受信までに経過した時間である。係数の2は、音の乱れが液体の柱を発信機から反射機へ、反射機から受信機へと2回移動した結果である。音響領域のパルス-エコー(pulse-echo)法、ピッチ-キャッチ(pitch-catch)法及びトーン-バースト(tone-burst)法は、このような測定方法に含まれる。
【0005】
時間領域における音響水位検出に関する米国特許は、米国特許6427532号、米国特許599407号、米国特許5877997号、米国特許5827943号、米国特許5793705号、米国特許5697248号及び米国特許5400376号である。米国特許6427532号は、「容器内の水位を測定するための装置」であり、2002年8月6日にDieter Kellerに発行された。米国特許599407号は、「多周波数超音波水位精密測定システム」であり、1999年12月7日にMartin Hewittに発行された。米国特許5877997号は、「パルスエコー距離測定法」であり、1999年3月2日にRoger Fellに発行された。米国特許5827943号は、「水位測定における補正方法」であり、1998年10月27日にHelmut Schmidtに発行された。米国特許5793705号は、「移動と振動の影響を受けたタンクに対する超音波水位精密測定」であり、1998年8月11日にDenos Constantinos Gazis et al.に発行された。米国特許5697248号は、「水位センサー」であり、1997年12月16日にRichard Hunter Brownに発行された。米国特許5400376号は、「状態機械制御を用いた超音波流体精密測定システム」であり、1995年3月21日にChristian L. Trudeauに発行された。
【0006】
仮想の周波数領域の水位検出を用いた周波数変調連続波(FMCW)法は、米国特許5799534号に記載されており、米国特許5799534号は、「レーダーの原理に従ってタンク内の液体の高さを測定するための方法」であり、1998年9月1日にRonald van der Polに発行された。この技術は、レーダーの距離計に用いられており、水位は、液体の外側で発生した超音波信号の液体表面からの反射を観察することにより決定される。
【0007】
米国特許6053041号は、「容器内における水位と密度とを決定するための非侵略的な方法」であり、2000年4月25日にDipen N. Sinhaに発行された。この特許には、曲げ超音波が、液体を貯蔵している容器の壁内で発生し、壁を進行して検出された曲げ超音波と初めに発生した超音波との位相差が、初めに超音波が発生した位置から選択された距離で測定される。発生手段と検出手段とが容器の外表面に亘って移動し、位相差の変化により液体/気体界面が横切られていることを示唆する。これにより、水位がわかる。他の実施形態には連続水位測定が記載されており、連続水位測定は、容器の上部近くに取り付けられた第1変換器と容器の下部近くに取り付けられた第2変換器とを有する装置を用いて行われる。壁の曲げモードの音波速度は壁が液体と接触しているか否かに依存するため、一方の変換器から発信され他方の変換器で受信された音の破裂の飛ぶ時間は、水位に線形的に変化することがわかった。水位は、曲げ音波の進行時間を液体に曝されている壁の面積の関数で補正することにより得られた。
【0008】
米国特許5767407号は、「掃引周波数の音響干渉による流体の非侵略的な同定方法」であり、1998年6月16日にDipen N. Sinhaに発行された。この特許には、封印された容器内における化学物質の非侵略的な同定方法とその化学物質のモニター方法とが記載されている。なお、この化学物質に直接接触することは不可能である。外部変換器は、周波数領域に亘って、定常波の超音波振動パターンを流体内に導入するために使用される。液体特性は、干渉パターンにおけるピークの間隔、ピークの減少、ピーク幅及びピーク幅の周波数依存性から決定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、液体や容器などに影響を与えることなく貯蔵された種々の液体の水位を決定する方法を提供する。
【0010】
本発明の他の目的は、種々の容器に貯蔵された液体の水位を決定する方法を提供する。
【0011】
本発明のまた別の目的は、液体や容器などに影響を与えることなく貯蔵された可燃性液体の水位を決定する方法を提供する。
【0012】
本発明の付加的な目的、有利な点及び顕著な特徴は、部分的には以下の記述内で明らかにされるだろうし、部分的には以下に記載する実験に長けた人や本発明を実施して学習した人には明白となるであろう。発明の目的及び有利な点は、添付の請求項で特に指摘されている手段及び結合により実現されて達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的または他の目的を達成するために、また、具体的にまた幅広く記載された本発明の目的に従って、容器内の水位を測定する装置は、液体表面よりも下側の容器の外壁に物理的に接触し、且つ少なくとも2つの音響共鳴応答を液体表面に対して実質的に垂直に液体内に発生させる変換器と、選択された音響周波数の範囲に亘って変換器を電気的に刺激し、且つ選択された波形を有する掃引発生装置と、少なくとも2つの共鳴応答の周波数を決定する受信機とを備えている。
【0014】
本発明の他の面では、本発明のねらい及び目的に従って、容器内の水位を測定する方法は、少なくとも2つの音響共鳴を液体表面に対して実質的に垂直に液体内に発生させるステップと、少なくとも2つの音響共鳴の周波数を決定するステップとを備えている。
【0015】
本発明のまた他の面では、本発明のねらい及び目的に従って、容器内の水位を測定する装置は、液体表面より下側の容器の外壁に物理的に接触して液体表面に対して実質的に平行に音響共鳴応答を発生させる変換器と、変換器を電気的に刺激する発生装置と、液体からの共鳴応答の存在を検出する受信機とを備えている。
【0016】
本発明のまた別の面では、本発明のねらい及び目的に従って、容器内の水位を測定する方法は、少なくとも2つの音響共鳴を液体表面に対して実質的に平行に発生させるステップと、液体からの音響共鳴の存在を検出するステップとを備えている。
【0017】
本発明の効果及び有利な点は、液体や容器などに影響されることなく種々の容器内に貯蔵された種々の液体の水位を決定する方法を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
要するに、本発明は、音響を基礎とする周波数領域の装置及び方法であって水位を検出する装置及び方法を含む。以下において、音響は、低周波数音波と超音波とを含んでいる(すなわち、音波の周波数は、20kHz以上である。)
具体例が対応する図面に記載された本発明の好ましい実施形態を詳細に言及する。以下において、同一の構造または同様の構造は、同一の名称を用いて記載されている。図面については、図1は、本発明の装置の一つの実施形態の模式図である。この図では、定常波は、液体表面及び変換器の近くに形成された音響キャビティ内で発生する。液体表面は、反射板として作用する。変換器は、液体表面と液体を貯蔵している壁の外部から壁を通して振動エネルギーを液体へ導入する。この定常波は、エネルギー発信変換器の近くに位置している変換器またはエネルギー発信変換器に連結されている変換器を用いて検出されるか、または、エネルギー発信変換器自身により検出される。そして、系の応答は、周波数の関数として測定される。
【0019】
図1には、液体12の表面10近くに形成された共鳴キャビティと、表面10の下であり容器18の壁16の外部に配置された一つの圧電性結晶変換ユニット14とが示されている。圧電性結晶変換ユニット14は、液体12の内部に音響エネルギーを発信する発信機と、発信機と同心円上に配置され共鳴応答を受信する受信機とを含んでいる。なお、発信変換器と受信変換器とを用いてもよく、その場合であっても一つの変換器を用いた場合と同一の結果を得ることができる。一つの変換器を実装するために使用されるブリッジ回路は、米国特許5886262号に記載されている。米国特許5886262号は、「液体中の対応する音響共鳴を比較するための装置と方法」であり、1999年3月23日にDipen N. Sinhaに発行された。本発明には、この特許の技術が組み込まれている。表面10と変換器14とは距離L+h離れている。Lは表面10と容器の内面との間の距離であり、hは変換器14が取り付けられる壁16の部分の厚みである。一方が音響エネルギー発信機として作用し他方が音響エネルギー受信機として作用する2つの圧電性変換器を用いても、同様の結果を得ることができる。音響乱れが液体12の内部で発生して壁16を通ったとき、波形発生器20により発生され増幅器22により増幅された音響周波数での電気的なサイン波刺激は、変換器14へ導入される。この刺激に対する液体の応答は、変換器14を用いて観察されて増幅器24で増幅される。増幅された信号は、RMS-DC変換器26へ伝えられ、それからA/D変換器28へ伝えられる。マイクロコントローラ30は、A/D変換器28からのデータを受信して、情報を処理するとともに適切な掃引が発生するように波形発生器を制御する。音響共鳴は、キャビティ長がキャビティ内に導入された音波の半波長の整数倍に等しいなどのような刺激周波数での構造上の干渉の結果として、共鳴キャビティ内で起こる。
【0020】
本発明の結果は、液体や容器などに影響を与えることなく、閉ざされた容器内において水位を決定する方法として用いることができる。この装置のスペクトル応答は、液体長さLを横切った共鳴と壁の厚みhを横切って発生した共鳴とが結合された共鳴のピークの重ね合わせである。そのように重ね合わせられたスペクトルの例は、図2(a)に示されている。図2(a)は、直径1mであり1000ガロンに密閉されたプロパンタンクから得られたスペクトルデータのグラフ(ボルト単位の増幅値を与えられた周波数の関数として表示されたもの)である。周波数の掃引は、タンクの壁の長さ方向の厚みの共鳴に近い周波数、約345kHz、を中心としている。スペクトルは、液体キャビティ内での音響共鳴と関係のある等間隔の共鳴ピークを含んでおり、その間隔Δfは、約740Hzである。図2(b)は、図2(a)に示すスペクトルデータの高速フーリエ変換(FFT)である。FFTの出力は、図2(a)の周期性を1.35kHz-1付近の大きなピークとして表している。この測定では、周波数は、周波数領域に亘って個別に掃引されている。各周波数における経過時間は、系が定常状態に到達するために要する長さまたは期間である。
【0021】
壁と関係のある応答ピークは、典型的に、周波数においてきれいに分離され(図2(a)には、一つの壁の構造のみが示されている)、液体に関係のある応答ピークは、壁のピークの最大値付近の領域で容易に見極めることができる。壁の厚みhは、数5により求められる。
【0022】
【数5】

【0023】
ここで、Cwは、壁の材質内における音波速度であり、ΔFは、壁内部で生じた共鳴と関係のある共鳴ピーク間の間隔である。壁と関係のある応答ピークの形状は、測定に用いたタンクの物理定数の結果である。
【0024】
典型的な測定をするためには、ほとんどパワーを必要としない。キャビティは、定常状態の信号に対して、キャビティのQ因子(Quality factor)に比例する機械的な得失を提供する。キャビティ内での振幅は、キャビティ内での大きなエネルギー密度に帰着して、徐々に形成される。これにより、受信される信号のSN比が非常に高くなるとともに変換器がより低い入力電圧で駆動可能となる。壁共鳴の所在は、この信号利得の現れである。
【0025】
厚み(現在の状況では容器の壁の厚み)hの金属板を通る音の伝播は、壁の厚みモード共鳴の周波数で最大となる。この共鳴は一定の幅を持っており、共鳴のこの幅は壁の形状、壁の材質の特性及び変換器の結合に依存する。刺激の周波数が壁共鳴の幅に相当する周波数領域内で選択されたときに容器の壁の内部表面と液体表面との間で発生した定常波から生じた液体のピークが最も顕著であるということは、本願発明者らにより観察された。壁を通った音の伝播がこの周波数領域で最大となり、また、エネルギーがより高い効率でキャビティを満たす液体中に伝播するということは、本願発明者らにより信じられている。この周波数領域以外の周波数では、液体内での共鳴ピークは、大きさが急激に小さくなり、観察されないこともある。結果として、ここで記載した測定は、壁共鳴のピーク幅の範囲内にある周波数に限定される。壁共鳴は複数あり、また、測定は使用する変換器のバンド幅に依存するこれらの壁共鳴のいずれかで行うことができるということに注意すべきである。この効果は図2(a)で証明されており、装置の最大の共鳴が壁共鳴のピーク付近でおこっていることがわかる。結果として、壁共鳴の周波数付近で測定を行うことにより、より大きな効率が得られ、また、低い刺激電圧(約1Vrms)を用いることができる。このような低い電圧は、火花が発生する虞が低いため、可燃性液体の存在下で安全に測定を行うことができる。壁共鳴の周波数は、数5を用いて容易に求めることができる。
【0026】
壁共鳴の幅は、液体の特性(本質的には、壁と内部の液体との間における音響のインピーダンスの不釣り合い)にも依存している。液体と関係のある応答の線幅は、液体内での音の吸収と音響のインピーダンスの不釣り合いとの結合から生じる。本発明の測定は音のピード(共鳴ピークの間隔)を含んでいるため、液体と関係のある応答の線幅はそれほど重要ではない。対照的に、壁共鳴の幅が広くなれば広くなるほど多くの液体共鳴の特徴が鮮明に観察されるため、壁共鳴の幅は本当に熟考する必要がある。実際、求められた測定結果が周波数の間隔(データのFFTから得られる)から液体の高さを決定するために充分であるため、壁共鳴の幅は、概ね注意して観察される。
【0027】
小さな周期的なピークは、液体中の共鳴状態を示唆しており、また、数6によりキャビティ長Lと関係がある間隔Δfだけ、周波数領域において離れている。
【0028】
【数6】

【0029】
液体中における音波速度c(プロパンでは、c=780m/s)とスペクトル応答から求めたΔfとから、発信機/受信機ペアーが取り付けられた壁と液体表面との間の距離が数5から絶えず求められ、従って、水位が絶えず測定されてモニターされている。図2(a)に示す測定結果では、水位は、約0.52mであると求められ、タンクの約半分であると求められる。プロパン中の音波速度は温度に依存することがよく知られている。従って、容器内の流体の温度が決定されると、水位を決定するための音波速度が決まる。
【0030】
図2(a)に示すスペクトル応答の高速フーリエ変換(FFT)を行うことにより、Δfを決定することができる。フーリエ変換は波形における主要な周期性を与え、図2(a)に示すデータから求められた支配的な周期性Δfが図2(b)に示されている。ここで、1/Δf〜1.35kHz-1付近のプロットにおける最大のピークは、最大のスペクトルの寄与であり、そのため、数6内のΔfの値となる。
【0031】
発明の他の実施形態では、水柱の高さに関連するスペクトルの情報は、図1に示す変換器14から得られ、連続周波数で変調された波形電圧刺激V(t)は数7で表される。
【0032】
【数7】

【0033】
ここで、f0は掃引波形の初期周波数であり、αは瞬間周波数の変化率と関連している。波形の瞬間周波数は時間の関数であるため、系の応答に関する情報に依存しない周波数が時間に依存する。液体表面と液体内で発生させるために変換器が取り付けられた壁との間での多重反射がおこるように刺激を充分な時間与えれば、受信された信号は、周期的な振幅変調を示すだろう。変調されて受信された信号の例は、図3に示している。ここで、間隔ΔTは、数8からタンク内の流体の高さを決定するために用いられる。
【0034】
【数8】

【0035】
調整され低い周波数がフィルタされて受信された信号は、図3に示すように時間の関数として表され、山と谷とが周期的に連続して観察される。山は、タンク内において、多重に反射した信号が構造的に干渉して表れたものである。Lを測定するために、Δfを決定するのと同様に、図3に示す信号から間隔ΔTを決定する方法がいくつかある。例えば、発信された信号のαが3.3×106Hz/s2であれば、ΔTの測定値は3.7msとなる。タンク内における液体(水)の音波速度がc=1640m/sであるので、水位LはL=1640/(3.3×106×3.7×10-3)=0.134mとなる。
【0036】
数7で記載された刺激の利用は、データ取得が非常に速いという点において、掃引周波数の方法よりも有利である。掃引周波数方法における周波数の掃引の間、定常状態での共鳴状態が各周波数で起こりうる。このようにして、選択された各周波数において、液体中の音響波は、少なくとも数ミリ秒で定常状態となりうる。典型的なタンクにおける周波数の掃引測定は、30秒から1分の間で行われる。対照的に、数7に記載の刺激は全ての周波数を含んでおり、単一の測定を行えばよい。水位の測定は、1秒以下(電子機器の精度に依存する)で行うことができる。流体の高さが変動するのであれば、すなわち、基準振動、風、流体が容器内に導入されたり容器内から流出したりするなどの結果として流体の高さが変化するのであれば、有利な点は他にもある。数7の刺激電圧は各周波数に対する信号ではなく一つの発信された信号を要求しているため、数ミリ秒より大きなどんなレベルの振動も測定に影響を与えない。しかしながら、掃引測定では、約30秒の間、流体の高さが変動しないことが必要である。
【0037】
流体の高さが発信機/受信機よりも下であれば、共鳴ピークが容器の全体的な形状や容器の材質に依存してスペクトル中に存在するかもしれないことを言及しておくべきであろう。しかしながら、数6により決定される周期的な間隔Δfは、多くの場合、存在しない。発信機と受信機の位置は容器上で相互に連結されている必要はないことも言及しておくべきであろう。発信機と受信機との位置関係に関しては、発信機から発信された音の乱れは、受信機により交差されるということだけが必要である。例えば、受信機が発信機とは容器の反対側に配置されているという発信機/受信機の配置は、要求された結果を達成しうる。
【0038】
発明の別の実施形態では、点水位検出装置が図4に示されている。この点水位検出装置では、発信機/受信機ペアー14が柱状容器18の一側壁に取り付けられ、また、容器の反対側の側壁が変換器14から距離Dだけ離れて配置された堅い反射板として作用する。明らかに、容器に関する他の配置は、本発明の技術に応じて可能である。すなわち、容器は、開放系容器、閉鎖系容器及び液体を流すパイプが配置された容器を含んでいる。流体の水位を測定する状況では、液体表面は水平な部分(液体表面)を有していなければならず、測定する間、振動が除かれていなければならない(数7に関連する上記記述を参照)。変換器14の発信機及び受信機の機能は、容器の反対側に配置されている。変換器14は、応答が液体内で発生するように、容器の壁共鳴付近の周波数の範囲に亘って刺激する。Dと液体中での音速cとが固定されているため、数6のΔfは定数であり、間隔Δfを有するスペクトルピークの存在は流体の高さ10が変換器14の位置よりも上であることを示唆し、間隔Δfを有するスペクトルピークが存在していないことは流体の高さ10が変換器14の位置よりも下であることを示唆している。
【0039】
液体が存在していなければ、音は、固体の壁と気体との間のとても高い音響インピーダンスの不釣り合いがあるために、苦労して、空気中(つまり、液体表面より上の気体中)を進行する。しかしながら、原理的には、気体中で発生した共鳴を観察することは可能であるが、そのような信号の大きさは液体が存在している場合に液体中で発生する信号の大きさよりも非常に小さい。
【0040】
さらに、音が液体中を通過して定常波の共鳴パターンが発生したときに、共鳴パターンにおける最小の信号の高さが存在し、その信号の高さは、壁と液体との間の音響インピーダンスの不釣り合いと関係がある。音響インピーダンスの値が近づけば近づくほど、観察される最小信号の高さは高くなる(すなわち、観察される最小信号の高さは0より大きくなる)。たいていの液体の音響インピーダンス(密度×音速)は気体の音響インピーダンスよりも何倍も大きくなるため(原理的には、密度の大きな差による)、液体存在下において観察される共鳴パターンの最小値は、容器内に空気や他の気体が存在している場合に比べて高くなる。従って、液体が容器内にあるかないかを決定するためには、周期的パターンの存在または不存在に加えて、検出された信号の高さを観察することもできる。例として、検出された信号の平均値または2乗平均平方根を観察し、液体の存在を決定するためのしきい値を設定することができる。勿論、液体の特徴を有した周期的な信号が観察されれば、液体が存在しているはずである。
【0041】
図5は、図4に示す装置を用いて刺激された水位センサから得られた2つの信号を示すグラフである。すぐわかるように、液体がセンサレベルの下にあれば周期的応答が観察されていないのに対して、液体の高さがセンサよりも上であれば共鳴の応答として間隔ΔTが観察されている。
【0042】
仮想的に連続して水位をモニターするための装置は、図6に示されている。数個の点センサー14a〜14fが、容器の壁に取り付けられている。この配置では、個別に水位を測定する。液体の高さは2つの発信機/受信機ペアーの間と決定される。すなわち、あるペアー14cで間隔Δfを有する共鳴ピークが観察されたのに対して、隣りのペアー14bで間隔Δfを有する共鳴ピークが観察されないまたは非常に小さな値しか観察されなかった場合、液体の高さはペアー14bとペアー14cとの間であると決定される。
【0043】
本発明の上記記述は、図や記述の目的のために存在するのであり、余すところなく記載されたものではなく、発明が開示された内容に限定されることはなく、また、上記記述を考慮して改変や修正を行うことができる。実施形態は、発明の本質と実質的な応用例とを最もよく説明するために選択されて記載されたものであり、従って、この技術分野における熟練者が変形された実施形態において、また熟考して特別に利用するために適した種々の修正において、本願を最も良く利用することができるために、選択されて記載されたものである。本発明の範囲は、請求項により規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の装置の一実施形態の模式図であり、音響エネルギーの反射板として作用する液体表面付近に形成された音響キャビティと音響エネルギーが発信機から発信されて受信機で反射するような結合された発信機/受信機ペアーとを示している。
【図2】図2(a)は、1mの直径を有する1000ガロンのプロパンタンクからのスペクトルデータのグラフであり、周波数掃引はタンクの壁の長さ方向の厚みの共鳴付近約345kHzを中心としている。図2(b)は、図2(a)に示すスペクトルデータのFFT(高速フーリエ変換)である。
【図3】受信され、修正され、低周波数がフィルタされたチャープ信号のグラフであり、グラフ中の時間間隔ΔTはタンク内の流体の水位を決定するために用いられる。
【図4】点水位検知の装置の模式図であり、発信用センサと受信用センサはタンクの側面に連結されて配置されている。例えば、水位がセンサよりも上にあれば共鳴ピークは受信用変換器ですぐに観察される一方、水位がセンサよりも下にあれば共鳴ピークは著しく減少するまたは観察されない。
【図5】点水位センサから得られた2つの信号を示すグラフである。液体がセンサーよりも下にあれば、センサが設置されている位置には流体が存在していないことを示唆しており、周期的な繰り返しは観察されない。一方、液体がセンサよりも上にあれば、間隔ΔTの共鳴の繰り返しを得ることができる。
【図6】仮の連続水位モニターの模式図であり、複数の点水位センサは貯蔵容器の各々の高さの壁に配置されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体表面よりも下側の容器の外壁に物理的に接触され、少なくとも2つの音響共鳴応答を該液体表面に対して実質的に垂直に液体内に発生させる変換器と、
選択された音響周波数の範囲に亘って前記変換器を電気的に刺激し、選択された波形を有している掃引発生装置と、
少なくとも2つの共鳴応答の音響周波数を測定する受信機と
を備えている容器内の水位を測定するための装置。
【請求項2】
前記選択された波形は、サイン波を含んでいる請求項1に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの共鳴応答は、高速フーリエ変換法により解析される請求項2に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項4】
前記選択された音響周波数の範囲は、少なくとも1つの音響壁共鳴を含んでいる請求項1に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項5】
前記選択された波形は、連続的に周波数変調され、数1で表される波形電圧刺激V(t)を含んでいる請求項1に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【数1】

(数1において、tは時間であり、f0は掃引波形の初期周波数であり、αは瞬間周波数の変化率と関連している)
【請求項6】
液体表面よりも下側の容器の外壁に物理的に接触され、少なくとも2つの音響共鳴応答を該液体表面に対して実質的に垂直に液体内に発生させ少なくとも2つの共鳴応答の音響周波数を決定する手段と、
選択された音響周波数の範囲に亘って前記少なくとも2つの音響共鳴応答を発生させる前記手段を電気的に刺激し、選択された波形を有している手段と
を備えている容器内の水位を測定するための装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの音響共鳴応答を発生させ前記少なくとも2つの共鳴応答の前記音響周波数を決定する前記手段は、音響変換器と音響受信機とを含んでいる請求項6に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの音響共鳴応答を発生させる前記手段を電気的に刺激する前記手段は、掃引発生装置を含んでいる請求項6に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項9】
前記選択された波形は、サイン波を含んでいる請求項6に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの共鳴応答は、高速フーリエ変換法により解析される請求項9に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項11】
前記選択された音響周波数の範囲は、少なくとも1つの音響壁共鳴を含んでいる請求項6に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【請求項12】
前記選択された波形は、連続的に周波数変調され、数2で表される波形電圧刺激V(t)を含んでいる請求項6に記載の容器内の水位を測定するための装置。
【数2】

(数2において、tは時間であり、f0は掃引波形の初期周波数であり、αは瞬間周波数の変化率と関連している)
【請求項13】
少なくとも2つの音響共鳴を液体表面に対して実質的に垂直に液体内に発生させるステップと、
前記少なくとも2つの音響共鳴の周波数を決定するステップと
を備えている容器内の水位の測定方法。
【請求項14】
前記音響共鳴は、サイン波を含む波形を用いて発生する請求項13に記載の容器内の水位の測定方法。
【請求項15】
前記サイン波は、前記液体表面に対して垂直に、前記容器の壁の音響壁共鳴の少なくとも1つを含む周波数に亘って掃引される請求項14に記載の容器内の水位の測定方法。
【請求項16】
前記音響共鳴は、連続的に周波数変調され、数3で表される波形電圧刺激V(t)を含む波形を用いて発生する請求項13に記載の容器内の水位の測定方法。
【数3】

(数3において、tは時間であり、f0は掃引波形の初期周波数であり、αは瞬間周波数の変化率と関連している)
【請求項17】
液体表面よりも下側の容器の外壁に物理的に接触され、音響共鳴応答を該液体表面に対して実質的に平行に液体内に発生させる変換器と、
前記変換器を電気的に刺激する発生装置と、
液体からの共鳴応答の存在を検出する受信機と
を備えている容器内の水位を測定するための装置。
【請求項18】
液体表面よりも下側の容器の外壁に物理的に接触され、音響共鳴応答を該液体表面に対して実質的に平行に液体内に発生させ共鳴応答を検出する手段と、
前記音響共鳴応答を発生させる前記手段を電気的に刺激する手段と
を備えている容器内の水位を測定するための装置。
【請求項19】
液体表面よりも下側の容器の外壁に物理的に接触され、音響共鳴応答を該液体表面に対して実質的に平行に液体内に発生させる手段と、
前記音響共鳴応答を発生させる前記手段を電気的に刺激する手段と、
液体からの共鳴応答の存在を検出する手段と
を備えている容器内の水位を測定するための装置。
【請求項20】
少なくとも2つの音響共鳴を液体表面に対して実質的に平行に液体内に発生させるステップと、
液体からの音響共鳴の存在を検出するステップと
を備えている容器内の水位測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−518045(P2006−518045A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503660(P2006−503660)
【出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/004728
【国際公開番号】WO2004/074782
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505307574)アデプト サイエンス アンド テクノロジーズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】