説明

超音波診断装置および画像解析装置

【課題】超音波画像の解析を迅速に行なうこと。
【解決手段】表示制御部16aは、モニタ2にて表示された超音波画像を参照した操作者から入力装置3を介して超音波画像の保存要求を受け付けると、モニタ2に表示されている超音波画像を、当該超音波画像の生成時における超音波の走査領域の情報を示すビュー情報とともに画像メモリ15に格納する。そして、設定情報選択部16bは、操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像のビュー情報を、画像メモリ15から取得する。そして、設定情報選択部16bは、画像解析部18が格納している各種解析ツールから、取得したビュー情報に応じた解析ツールと、選択した解析ツールを用いて超音波画像を解析するための解析用パラメータを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波診断装置および画像解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波診断装置には、画像診断を行なう際に有益な情報となる診断情報を超音波画像から抽出するために、様々な解析ツールが搭載されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
例えば、超音波診断装置による心臓の機能診断では、被検体に対し運動負荷あるいは薬物負荷を与えた状態で時系列に沿って生成した超音波画像を解析することで、心筋の運動機能を評価する「ストレスエコー法」が広く行なわれている。ストレスエコー法では、検査プロトコルにしたがって、予め設定されたビュー名の超音波画像(例えば、肋骨左縁長軸像、肋骨左縁短軸像、心尖部長軸像、心尖部四腔像、心尖部二腔像など)が時系列に沿って生成される。具体的には、超音波診断装置の操作者は、ストレスエコー法の検査プロトコルにしたがって、超音波プローブの位置を移動させて被検体に対する超音波の走査領域を移動させることで、予め設定されたビュー名の超音波画像の撮影を行なう。
【0004】
そして、操作者は、超音波診断装置に搭載されている解析ツールからストレスエコー検査用の解析ツールを選択して起動させ、さらに、撮影した超音波画像(例えば、心尖部四腔像など)を用いた解析を行なうための解析用パラメータを設定する。これにより、ストレスエコー検査用の解析ソフトウェアは、心尖部四腔像それぞれから左室の容積などを計測して、左室容積の時系列に沿った変化率を算出することで、心筋梗塞が発生しているか否かの診断を行なうための診断情報を抽出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】(社)日本画像医療システム工業会編集 「医用画像・放射線機器ハンドブック」名古美術印刷株式会社 平成13年、p.228〜231
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した従来の技術は、解析対象となる超音波画像ごとに、操作者が超音波画像を解析するための解析ツールを選択し、さらに、選択した解析ツールによる解析を実行させるための解析用パラメータを設定する必要がある。
【0007】
すなわち、上記した従来の技術は、超音波画像の解析を迅速に行なうことができないという課題があった。
【0008】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、超音波画像の解析を迅速に行なうことが可能となる超音波診断装置および画像解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、被検体に送信した超音波の反射波に基づいて生成した超音波画像を画像解析する超音波診断装置であって、操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像の生成時における超音波の走査領域情報に基づいて、当該超音波画像を画像解析する際の設定情報を選択する設定情報選択手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の本発明は、被検体に送信した超音波の反射波に基づいて生成された超音波画像を画像解析する画像解析装置であって、操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像の生成時における超音波の走査領域情報に基づいて、当該超音波画像を画像解析する際の設定情報を選択する設定情報選択手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1または4の発明によれば、超音波画像の解析を迅速に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1における超音波診断装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、表示制御部による格納制御処理を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例1における画像メモリを説明するための図である。
【図4】図4は、実施例1における設定情報選択部を説明するための図である。
【図5】図5は、実施例1における超音波診断装置の画像保存処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、実施例1における超音波診断装置の設定情報選択処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、実施例2における設定情報選択部を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例2における超音波診断装置の設定情報選択処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る超音波診断装置および画像解析装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明を実行する超音波診断装置を実施例として説明する。
【実施例1】
【0014】
まず、実施例1における超音波診断装置の構成について説明する。図1は、実施例1における超音波診断装置の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施例における超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0015】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生するとともに、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
【0016】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0017】
なお、本発明は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ1により、被検体Pを2次元で走査する場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ1や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ1により、被検体Pを3次元で走査する場合であっても、適用可能である。
【0018】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボールなどを有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、入力装置3は、操作者からの画像保存要求などを受け付ける。
【0019】
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像を表示したりする。
【0020】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置であり、図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像生成部14と、画像メモリ15と、制御部16と、内部記憶部17と、画像解析部18とを有する。
【0021】
送受信部11は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0022】
また、送受信部11は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行ない、A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0023】
このように、送受信部11は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信部11は、後述する制御部16の制御により、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数などを瞬時に変更可能な機能を有している。また、送受信部11は、1フレームもしくはレートごとに、異なる波形を送信して受信することも可能である。
【0024】
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0025】
ドプラ処理部13は、送受信部11から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0026】
画像生成部14は、Bモード処理部12が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像、ドプラ処理部13が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、または、これらの組み合わせ画像としてのドプラ画像を超音波画像として生成する。
【0027】
画像メモリ15は、画像生成部14が生成した超音波画像を記憶するメモリである。
【0028】
画像解析部18は、画像メモリ15に格納された超音波画像を解析することで、画像診断を行なう際の診断情報を抽出する処理部である。具体的には、画像解析部18は、格納された超音波画像を解析するための各種解析ツールを格納している。そして、画像解析部18は、操作者から解析対象として指定された超音波画像を、指定された超音波画像に適した解析ツールにより解析して診断情報を抽出する。なお、画像解析部18については、のちに詳述する。
【0029】
内部記憶部17は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行なうための制御プログラムや、上述した診断情報や、検査プロトコルなどの各種データを記憶する。また、内部記憶部17は、必要に応じて、画像メモリ15が記憶する画像の保管などにも使用される。なお、内部記憶部17が記憶するデータは、図示しないインターフェース回路を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
【0030】
制御部16は、超音波診断装置における処理全体を制御する。具体的には、制御部16は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、後述する内部記憶部17から読込んだ各種制御プログラムに基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13および画像生成部14の処理を制御することで、超音波画像生成処理を制御する。
【0031】
ここで、実施例1における超音波診断装置は、超音波画像を画像解析部18により解析する場合に、以下詳細に説明するように、図1に示す制御部16が有する表示制御部16aおよび設定情報選択部16bによる処理が実行されることで、超音波画像の解析を迅速に行なうことが可能となることに主たる特徴がある。以下、この主たる特徴について、図1とともに、図2〜4を用いて説明する。なお、図2は、表示制御部による格納制御処理を説明するための図であり、図3は、実施例1における画像メモリを説明するための図であり、図4は、実施例1における設定情報選択部を説明するための図である。
【0032】
まず、超音波診断装置の操作者は、例えば、被検体Pの心臓機能診断をストレスエコー法により行なうために、入力装置3を介して、内部記憶部17からストレスエコー法に対応する検査プロトコルの読み出し要求を入力する。
【0033】
そして、入力装置3から検査プロトコルの読み出し要求を受け付けると、制御部16の表示制御部16aは、ストレスエコー法に対応する検査プロトコルを内部記憶部17から読み出して、読み出したストレスエコー法に対応する検査プロトコルをモニタ2にて表示するように制御する。なお、ストレスエコー法とは、被検体Pに対し運動負荷あるいは薬物負荷を与えた状態で時系列に沿って生成した超音波画像を解析することで、心筋の運動機能を評価する検査法である。
【0034】
そして、超音波診断装置の操作者は、モニタ2にて表示された検査プロトコルを参照して、超音波プローブ1の位置を移動させることで、検査プロトコルにて予め設定されたビュー名(例えば、肋骨左縁長軸像、肋骨左縁短軸像、心尖部長軸像、心尖部四腔像、心尖部二腔像など)の超音波画像が撮影されるように、超音波の走査領域を移動させる。
【0035】
ここで、ストレスエコー法などの検査により、心臓機能診断を行なうために撮影される超音波画像のビュー名の撮影時における超音波プローブ1の位置について、以下、説明する。
【0036】
「ビュー名:胸骨左縁長軸像」の撮影において、操作者は、超音波プローブ1を第3・第4肋間の胸骨左縁からアプローチさせる。また、「ビュー名:肋骨左縁短軸像」の撮影において、操作者は、胸骨左縁長軸像の撮影時における位置から90度時計回りに超音波プローブ1を回転させ、さらに、超音波プローブ1を扇状に動かすことで、異なるレベル(僧房弁レベル、乳頭筋レベル、心尖部レベル、大動脈レベル)における短軸像の撮影が行なわれる。
【0037】
また、「ビュー名:心尖部長軸像」の撮影において、操作者は、胸骨左縁長軸像の撮影時における位置の超音波プローブ1を心尖部からアプローチさせる。また、「ビュー名:心尖部四腔像」の撮影において、操作者は、心尖部長軸像の撮影時より超音波プローブ1を時計方向へ90度回転させる。また、「ビュー名:心尖部二腔像」の撮影において、操作者は、心尖部長軸像の撮影時より超音波プローブ1を時計方向へ45度回転させる。
【0038】
このように、操作者は、検査プロトコルにしたがって、超音波プローブ1から送信される超音波ビームの走査領域を移動させることで、各種ビュー名の超音波画像の撮影を行なう。これにより、画像生成部14は、各種ビュー名の超音波画像を順次生成する。
【0039】
なお、胸骨左縁長軸像は、大動脈と左心房と左心室との位置および壁運動や、僧帽弁前尖、僧帽弁後尖、大動脈弁の状態などの解析に用いられる。また、肋骨左縁短軸像(僧房弁レベル)は、僧帽弁前尖、僧帽弁後尖および僧帽弁前後の交連が描出され、僧帽弁の器質的変化の評価や左室壁の運動評価の解析に用いられる。また、肋骨左縁短軸像(乳頭筋レベル)は、前後の乳頭筋が描出され、左室前壁、心室中隔、下壁、後壁および側壁の壁運動の解析に用いられる。また、肋骨左縁短軸像(心尖部レベル)は、左心室の壁運動の解析に用いられる。肋骨左縁短軸像(大動脈レベル)は、左冠尖、右冠尖および無冠尖の三尖で構成される大動脈弁や右室流出路の形態や動態の解析に用いられる。
【0040】
また、心尖部長軸像は、胸骨左縁長軸像では観察されない心尖部を含む左室長軸像であり、前壁中隔、後壁の虚血性心疾患を診断するための解析などに用いられる。また、心尖部四腔像は、左右の心腔、中隔、側壁、僧帽弁および三尖弁が描出され、左室の壁運動の解析などに用いられる。また、心尖部二腔像は、前壁および下壁の解析や、心尖部四腔像と同様に、左室の壁運動の解析などに用いられる。
【0041】
図1に戻って、表示制御部16aは、画像生成部14が生成した超音波画像をモニタ2にて表示するように制御する。
【0042】
そして、表示制御部16aは、モニタ2にて表示された超音波画像を参照した操作者から入力装置3を介して超音波画像の保存要求を受け付けると、モニタ2に表示されている超音波画像を画像メモリ15に格納するように制御する。例えば、操作者は、入力装置3が備える「画像保存ボタン」を押下することで、超音波画像の保存要求を入力する。
【0043】
ここで、表示制御部16aは、超音波画像を画像メモリ15に格納する際に、検査プロトコルに記述されているビュー名の情報(ビュー情報)を対応付けて格納するように制御する。すなわち、表示制御部16aは、超音波画像を、当該超音波画像の生成時における超音波の走査領域の情報を示すビュー情報とともに画像メモリ15に記憶させる。
【0044】
例えば、表示制御部16aは、図2に示すように、保存要求された超音波画像と、当該超音波画像のビュー情報である「心尖部四腔像」とを対応付けて画像メモリ15に格納する。
【0045】
かかる表示制御部16aの格納制御により、例えば、ストレスエコー法において被検体Pの心尖部四腔像が時系列に沿って順次生成表示されている状態で、操作者が順次「画像保存ボタン」を押下することで、図3に示すように、画像メモリ15は、「画像:I2〜I6」それぞれと、「ビュー情報:心尖部四腔像」とを対応付けて記憶する。
【0046】
図1に戻って、設定情報選択部16bは、操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像の生成時における超音波の走査領域の情報(ビュー情報)に基づいて、当該超音波画像を画像解析部18により解析する際の各種設定情報を選択する。
【0047】
すなわち、まず、設定情報選択部16bは、操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像のビュー情報を画像メモリ15から取得する。例えば、設定情報選択部16bは、図4の(A)に示すように、操作者によって「画像:I2〜I6」が画像解析の対象として指定されると、「画像:I2〜I6」それぞれに対応付けられている「ビュー情報:心尖部四腔像」を取得する。
【0048】
そして、設定情報選択部16bは、画像解析部18が格納している各種解析ツールから、取得したビュー情報に応じた解析ツールを選択する。例えば、設定情報選択部16bは、図4の(B)に示すように、解析対象画像のビュー情報がストレスエコー法に用いられる「心尖部四腔像」であることから、画像解析部18が格納している各種解析ツールからストレスエコー用解析ツールを選択する。これにより、画像解析部18は、ストレスエコー用解析ツールを起動する。
【0049】
さらに、設定情報選択部16bは、取得したビュー情報を対応付けられている超音波画像を、選択した解析ツールを用いて解析するための解析用パラメータを選択する。
【0050】
例えば、設定情報選択部16bは、図4の(C)に示すように、解析対象画像のビュー情報が「心尖部四腔像」であることから、左心室の解析用パラメータとして、左心室の各種情報を計測するための基本解析用パラメータ(距離計測、面積計測、容積計測)を設定する。さらに、設定情報選択部16bは、図4の(C)に示すように、基本解析用パラメータを用いた解析結果から診断情報を抽出するための情報を算出するために用いられる応用解析用パラメータ(容積変化率)を選択する。すなわち、設定情報選択部16bは、左心室にて梗塞が発生しているか否かの診断を行なう際に有益な容積変化率を抽出するための応用解析用パラメータを選択する。
【0051】
上述した設定情報選択部16bの処理により、画像解析部18は、ストレスエコー用解析ツールを起動し、さらに、ストレスエコー用解析ツールを用いて操作者が解析を行なうための解析用パラメータが設定された解析用GUIをモニタ2にて表示させる。
【0052】
次に、図5および図6を用いて、実施例1における超音波診断装置の処理について説明する。図5は、実施例1における超音波診断装置の画像保存処理を説明するためのフローチャートであり、図6は、実施例1における超音波診断装置の設定情報選択処理を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、超音波診断装置の操作者により、検査プロトコルが選択され、選択された検査プロトコルに応じたビュー名に対応する走査領域にて超音波ビームが送信されることで、超音波画像が順次生成表示されている状況で実行される処理について説明する。
【0053】
図5に示すように、実施例1における超音波診断装置は、表示制御部16aによりモニタ2にて表示されている超音波画像を参照する操作者から入力装置3を介して、超音波画像の画像保存要求を受け付けると(ステップS101肯定)、表示制御部16aは、表示されている超音波画像にビュー情報(例えば、心尖部四腔像など)を対応付けて画像メモリ15に格納し(ステップS102)、処理を終了する。
【0054】
そして、図6に示すように、実施例1における超音波診断装置は、操作者から入力装置3を介して、解析対象となる超音波画像の指定を受け付けると(ステップS201肯定)、設定情報選択部16bは、解析対象となる超音波画像のビュー情報を画像メモリ15から取得する(ステップS202)。
【0055】
そののち、設定情報選択部16bは、取得したビュー情報に対応する解析ツールおよび解析用パラメータを選択して(ステップS203)、処理を終了する。すなわち、設定情報選択部16bは、画像解析部18が格納している各種解析ツールから、取得したビュー情報に応じた解析ツールを選択し、取得したビュー情報を対応付けられている超音波画像を、選択した解析ツールを用いて解析するための解析用パラメータを選択する。
【0056】
上述してきたように、実施例1では、表示制御部16aは、モニタ2にて表示された超音波画像を参照した操作者から入力装置3を介して超音波画像の保存要求を受け付けると、モニタ2に表示されている超音波画像を、当該超音波画像の生成時における超音波の走査領域の情報を示すビュー情報とともに画像メモリ15に格納する。そして、設定情報選択部16bは、操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像のビュー情報を、画像メモリ15から取得する。
【0057】
そして、設定情報選択部16bは、画像解析部18が格納している各種解析ツールから、取得したビュー情報に応じた解析ツールと、選択した解析ツールを用いて解析するための解析用パラメータを選択する。
【0058】
したがって、実施例1によれば、操作者は、超音波画像の生成時における走査領域の位置情報や超音波画像に描出されている検査対象臓器の形状に応じて、超音波画像を解析するための各種設定情報を手動で入力することなく、自動的に選択された解析ツールおよび解析用パラメータを用いて、即座に超音波画像の解析を行なうことができ、上記した主たる特徴の通り、超音波画像の解析を迅速に行なうことが可能となる。また、実施例1によれば、即座に超音波画像の解析を行なって診断情報を迅速に抽出することができるので、画像診断に要する時間を短縮することが可能となる。
【実施例2】
【0059】
上述した実施例1では、画像保存時に超音波画像とともに保存されたビュー情報を用いて、解析対象となる超音波画像を解析するための各種設定情報を選択する場合について説明したが、実施例2では、画像処理により抽出されたビュー情報を用いて、解析対象となる超音波画像を解析するための各種設定情報を選択する場合ついて、図7を用いて説明する。なお、図7は、実施例2における設定情報選択部を説明するための図である。
【0060】
実施例2における超音波診断装置は、図1を用いて説明した実施例1における超音波診断装置と同様の構成からなるが、設定情報選択部16bの処理が実施例1とは異なる。以下、これを中心に説明する。
【0061】
実施例2においては、実施例1で説明した超音波画像保存時におけるビュー情報格納処理は実行されない。このため、実施例2においては、設定情報選択部16bによるビュー情報抽出処理が行なわれる。
【0062】
すなわち、実施例2の設定情報選択部16bは、操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像から取得した特徴量に基づいて、当該超音波画像のビュー情報を抽出する。
【0063】
例えば、設定情報選択部16bは、図7に示すように、指定された超音波画像を閾値処理することで、2値化した超音波画像を生成する。そして、設定情報選択部16bは、図7に示すように、2値化した超音波画像を解析することで、4つの心腔を特徴量として取得する。そして、設定情報選択部16bは、図7に示すように、4つの心腔が特徴量として取得されたことから、指定された超音波画像が、右心房(RA)、右心室(RV)、左心房(LA)および左心室(LV)が描出されている心尖部四腔像であるとして、「ビュー情報:心尖部四腔像」を抽出する。
【0064】
そして、設定情報選択部16bは、抽出したビュー情報に基づいて、実施例1と同様に、解析ツールおよび解析用パラメータの設定を行なう。
【0065】
なお、本実施例では、2値化処理などの画像処理により超音波画像からビュー情報を抽出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ビュー情報に対応する代表的な超音波画像を鋳型画像として予め記憶しておき、指定された超音波画像と鋳型画像とをパターンマッチングすることにより、ビュー情報を抽出する場合であってもよい。
【0066】
また、本実施例では、設定情報選択部16bによりビュー情報が抽出される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、画像解析部18や別途設置した画像処理を行なう処理部によりビュー情報が抽出される場合であってもよい。
【0067】
次に、図8を用いて、実施例2における超音波診断装置の処理について説明する。図8は、実施例2における超音波診断装置の設定情報選択処理を説明するためのフローチャートである。なお、実施例2における超音波診断装置の画像保存処理は、図5を用いて説明したステップS102において、表示されている超音波画像のみを画像メモリ15に格納することが実施例1と異なるので、説明を省略する。
【0068】
図8に示すように、実施例2における超音波診断装置は、操作者から入力装置3を介して、解析対象となる超音波画像の指定を受け付けると(ステップS301肯定)、設定情報選択部16bは、解析対象となる超音波画像の特徴量を取得してビュー情報を抽出する(ステップS302)。
【0069】
そして、設定情報選択部16bは、抽出したビュー情報に対応する解析ツールおよび解析用パラメータを選択して(ステップS303)、処理を終了する。
【0070】
上述してきたように、実施例2では、解析対象として指定された超音波画像からビュー情報を抽出することで、解析ツールおよび解析用パラメータの選択を行なうことができ、ビュー情報の格納処理を実行しなくとも、超音波画像の解析を迅速に行なうことが可能となる。
【0071】
なお、上記した実施例1および2では、心臓を検査対象とした検査プロトコルにより撮影された超音波画像を解析する際に、設定情報選択部16bにより解析ツールおよび解析用パラメータが選択される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、胎児を検査対象とした検査プロトコルにより撮影された超音波画像を解析する際に、設定情報選択部16bにより解析ツールおよび解析用パラメータが選択される場合であってもよい。
【0072】
また、上記した実施例1および2では、超音波診断装置において、ビュー情報に基づいた解析ツールおよび解析用パラメータが選択される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、超音波画像を解析するために別途設置された画像解析装置において、ビュー情報に基づいた解析ツールおよび解析用パラメータが選択される場合であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明に係る超音波診断装置および画像解析装置は、超音波画像を画像解析する場合に有用であり、特に、超音波画像の解析を迅速に行なうことに適する。
【符号の説明】
【0074】
1 超音波プローブ
2 モニタ
3 入力装置
10 装置本体
11 送受信部
12 Bモード処理部
13 ドプラ処理部
14 画像生成部
15 画像メモリ
16 制御部
16a 表示制御部
16b 設定情報選択部
17 内部記憶部
18 画像解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に送信した超音波の反射波に基づいて生成した超音波画像を画像解析する超音波診断装置であって、
操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像の生成時における超音波の走査領域情報に基づいて、当該超音波画像を画像解析する際の設定情報を選択する設定情報選択手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
超音波画像が生成されるごとに、当該生成された超音波画像と当該超音波画像の生成時における超音波の走査領域情報とを対応付けて所定の記憶部に格納するように制御する制御手段をさらに備え、
前記設定情報選択手段は、前記操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像の生成時における超音波の走査領域情報を前記所定の記憶部から取得し、当該取得した超音波の走査領域情報に基づいて、当該超音波画像を画像解析する際の設定情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像から取得した特徴量に基づいて、当該超音波画像の生成時における超音波の走査領域情報を抽出する走査領域情報抽出手段をさらに備え、
前記設定情報選択手段は、前記走査領域情報抽出手段によって抽出された前記走査領域情報に基づいて、前記操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像を画像解析する際の設定情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
被検体に送信した超音波の反射波に基づいて生成された超音波画像を画像解析する画像解析装置であって、
操作者によって画像解析の対象として指定された超音波画像の生成時における超音波の走査領域情報に基づいて、当該超音波画像を画像解析する際の設定情報を選択する設定情報選択手段を備えたことを特徴とする画像解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−50608(P2011−50608A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203109(P2009−203109)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】