説明

超音波診断装置及びプログラム

【課題】超音波プローブとして従来の1D超音波プローブを用い、例えば乳腺等の連続構造物と微小石灰化部分等の微小構造物とを正確に区別し、所望の微小構造物抽出画像をリアルタイムで得ることができる超音波診断装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】被検体に対して超音波を送信してエコー信号を受信する超音波プローブ12と、前記エコー信号に基づいて前記被検体について複数の断層像を生成する画像生成ユニット25と、生成された前記断層像を記憶する画像メモリ26と、制御プロセッサ28とを具備する超音波診断装置であって、前記制御プロセッサは次の様な制御を行う。すなわち、前画像メモリ26に記憶された断層像と、現時点の前記超音波プローブ12の位置に対応する断層像と、の間の相関を利用して微小構造物を抽出する画像処理を実行させる制御を行う。この微小構造物抽出画像は所定の形態にて表示手段に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織のエコー信号から、生体臓器中の微小な構造物を抽出し表示する超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子をリアルタイム表示で得られる。また、超音波診断は、安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。さらには、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動させての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
このような種々の長所を持つ超音波診断の一つに、乳がんの早期診断がある。乳房組織においては、乳癌の徴候として微小石灰化が発生するケースが多いことが知られている。微小石灰化病変は1個あるいは数個で局所に散在する。石灰は生体組織に比べ硬いため、超音波をよく反射するため画像上高輝度となることが期待される。しかしながら、実際に画像の中から目視する場合には、数百ミクロン程度であっても抽出するのは難しいと言われている。
【0004】
なお、超音波画像上には、超音波のランダムな干渉に起因するスペックルパタンと呼ばれる干渉縞が発生する場合がある。このスペックルパタンは、肝硬変の診断等に利用される。
【0005】
一方、このスペックルパタンは、例えば上記乳癌検診の場合には見落とされがちな微小石灰化等の微小構造物と酷似しており、場合によっては紛らわしい画像情報となる。従って、乳癌診断においてはスペックルパタンを除去したいというニーズがある。
【0006】
このような事情に鑑みて、例えば空間コンパウンド、CFAR(Contrast False Alarm Rate:一定誤警報率)処理、類似度フィルタ等の技術が提案されている。ここで、空間コンパウンドとは、異なる方向からの送受信信号を重畳しスペックルを平滑化するものである。CFAR処理とは、対象画素を周囲の輝度平均で減算し、これを用いて高輝度部分を抽出するものである。類似度フィルタとは、その統計的性質を利用して、スペックルを除去するものである。また、これらのスペックルパタン除去の手法の他、超音波診断の分野ではないが、微小石灰化を自動認識する試みが、主にX線診断画像の応用として種々報告されている。
【0007】
ところで、診断対象の乳腺は乳管などの構造が複雑であり、もとより均質な臓器ではない。従って、従来のフィルタ処理を行うと、微小石灰化が検出されると同時に、乳腺構造も(構造物として)抽出されてしまい、両者を十分に区別することができない。
【0008】
また、乳管などは微小石灰化に比べて明らかに大きな構造物であるため、フィルタ処理にて残存しても、目視にて弁別が可能となることが期待されるが、それでも弁別が困難となることを、発明者らは研究でしばしば経験している。特に乳腺構造の一部のみが残存する場合は、フィルタ後の画像は点状に見えるため、微小石灰化に類似した画像となる場合がある。
【0009】
さらに、画像上のスペックルパタンがランダムに変動する場合がある。係る場合には、所定のスペックルリダクション処理を行ったとしても、スペックルが残存してしまい、石灰化部位と区別が困難になる。
【0010】
このような事情に鑑みて、例えば特許文献1には次のような技術が提案されている。すなわち、特許文献1には、第1の超音波画像及び当該第1の超音波画像の位置に基づいて決定される第2の超音波画像を用いて微小構造物を抽出する画像処理であって、前記第1の超音波画像上の各画素につき、前記第2の画像において空間的に対応する画素を含む参照領域内の最大画素値を差分する微小構造物抽出処理を実行することで、微小構造物抽出画像を生成する画像処理手段と、前記微小構造物抽出画像を所定の形態にて表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置が開示されている。
【0011】
この特許文献1に開示されている超音波診断装置によれば、微細構造物を抽出する信号処理において、断層像一面を利用するのではなく、空間的3次元情報を利用して信号処理を行い、例えば乳腺等の連続構造物と微小石灰化部分等の微小構造物とを正確に区別し、微小構造物を抽出することができる超音波診断装置等が提供される。
【特許文献1】特開2007−313114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、特許文献1に開示されている技術で用いられる超音波プローブは、被検体の3次元領域を超音波走査可能なものである。そのため、特許文献1に開示されている技術で用いられる超音波プローブは、振動子をその配列方向の直交方向に沿って機械的に揺動させ、3次元領域を超音波走査する構成の超音波プローブ(所謂メカ4D超音波プローブ)や、二次元的に配列された二次元振動素子を用いて電気的制御により3次元領域を超音波走査する構成の超音波プローブ(所謂リアルタイム3D超音波プローブ)等である。
【0013】
前記メカ4D超音波プローブでは、被検体の3次元的走査は前記揺動回路によって行われるため、検査者は超音波プローブ本体を被検体に接触させるだけで、自動的に複数の二次元断層像を取得することができる。また、制御された揺動速度から断面間の正確な距離も検知できる。他方、前記リアルタイム3D超音波プローブでは、原理的には、従来の二次元断層像を取得するのと同じ時間で、3次元領域を超音波走査することができる。
【0014】
しかしながら、前記メカ4D超音波プローブは、その大きさや重さに起因して、微細な構造物を捉える為の走査が困難であるという問題や、リアルタイム性が不十分である等の問題を抱えている。また、前記リアルタイム3D超音波プローブについては、開発に更なる時間を要することが予想されている。
【0015】
従って、あくまでも現状においては、超音波プローブとして従来の1D超音波プローブ(1.5D超音波プローブも含む)を用いて、臨床的に許容レベルの診断結果を得る(微小構造物の抽出を行うことができる)技術が強く望まれている。換言すれば、超音波プローブとして最も普及している1D超音波プローブを用い、リアルタイムで所望の微小構造物抽出画像を得ることが可能な技術が望まれている。
【0016】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、超音波プローブとして従来の1D超音波プローブを用い、例えば乳腺等の連続構造物と微小石灰化部分等の微小構造物とを正確に区別し、所望の微小構造物抽出画像をリアルタイムで得ることができる超音波診断装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による超音波診断装置は
被検体を超音波で走査して断層像を取得する超音波診断装置であって、
前記被検体に対して超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブによって受信されたエコー信号に基づいて、前記被検体について複数の断層像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された前記断層像を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された断層像と、現時点の前記超音波プローブの位置に対応する断層像と、の間の相関を利用して微小構造物を抽出する画像処理を実行し、微小構造物抽出画像を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段によって生成された前記微小構造物抽出画像を所定の形態にて表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする。
【0018】
前記の目的を達成するために、本発明の第2の態様によるプログラムは、
被検体を超音波で走査して断層像を取得する超音波診断装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
超音波プローブによって前記被検体に対して超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する機能と、
前記エコー信号に基づいて、前記被検体について複数の断層像を生成する画像生成機能と、
前記断層像を記憶する記憶機能と、
前記記憶機能によって記憶された断層像と、現時点の前記超音波プローブの位置に対応する断層像と、の間の相関を利用して微小構造物を抽出する画像処理を実行し、微小構造物抽出画像を生成する画像処理機能と、
前記微小構造物抽出画像を所定の形態にて表示する表示機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超音波プローブとして従来の1D超音波プローブを用い、例えば乳腺等の連続構造物と微小石灰化部分等の微小構造物とを正確に区別し、所望の微小構造物抽出画像をリアルタイムで得ることができる超音波診断装置及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本超音波診断装置1は、超音波プローブ12と、装置本体11と、入力装置13と、モニター14と、を具備する。
【0021】
超音波プローブ12は、超音波送信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を備える。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0022】
前記装置本体11は、超音波送信ユニット21と、超音波受信ユニット22と、Bモード処理ユニット23と、ドプラ処理ユニット24と、画像生成ユニット25と、画像メモリ26と、画像合成部27と、制御プロセッサ(CPU)28と、内部記憶部29と、インターフェース部30と、を有する。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0023】
前記超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を備える。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0024】
なお、前記超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0025】
前記超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を備える。アンプ回路では、超音波プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0026】
前記Bモード処理ユニット23は、超音波受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成ユニット25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0027】
前記ドプラ処理ユニット24は、超音波受信ユニット22から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0028】
前記画像生成ユニット25は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。
【0029】
また、画像生成ユニット25は、スキャンコンバート以外の種々の画像処理を実行する。すなわち、画像生成ユニット25は、後述する微小構造物抽出処理の他、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いた輝度の最大値画像を再生成する方法(平滑化処理)、画像間の差分を用いる方法(差分演算)等を実行する。なお、当該画像生成ユニット25に入る以前のデータは、「生データ」と呼ばれることがある。
【0030】
前記画像メモリ(シネメモリ)26は、例えばフリーズする直前の複数フレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。この画像メモリ26に記憶されている超音波画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
【0031】
前記画像合成部27は、画像生成ユニット25又から受け取った超音波画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0032】
前記制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ28は、内部記憶部29から微小構造物抽出機能を実現するための専用プログラム、所定の画像生成・表示等を実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0033】
前記内部記憶部29は、所定のスキャンシーケンス、各実施形態に係る微小構造物抽出機能を実現するための専用プログラム、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、CFAR処理制御プログラム、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶部29のデータは、インターフェース部30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0034】
前記インターフェース部30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0035】
前記入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0036】
前記モニター14は、画像生成ユニット25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報(Bモード画像)、血流情報(平均速度画像、分散画像、パワー画像等)、これらの組み合わせを画像として表示する。
【0037】
なお、本超音波診断装置1には、必要に応じて、位置検出装置15を設けることが可能である。この装置は、撮影対象(すなわち、診断部位)に対する超音波プローブ12の位置に関する情報を検出するものである。ここで、超音波プローブ12の位置に関する情報とは、超音波プローブ12の絶対位置情報、相対位置情報、超音波プローブ12の可動前の位置情報と可動速度及び時間、その他の走査時における超音波プローブ12の位置を特定するための情報である。
【0038】
図2は、位置検出装置15の一例を示した図である。同図に示すように、位置検出装置15は、可動ステージ150、駆動部151を有している。可動ステージ150には、専用アダプタを介して超音波プローブ12を設置することができる。駆動部151は、制御プロセッサ28からの制御に基づいて、設置された超音波プローブ12を可動ステージ150に沿って移動させる。また、駆動部151は、内部にロータリーエンコーダ等を有しており、可動ステージ150上における超音波プローブ12の位置を検出し、その検出結果を制御プロセッサ28に逐次送信する。
【0039】
超音波画像の取得に際しては、診断対象である乳房は、水槽17に水深させた状態で所定の位置に配置され、検査中は動かないよう固定される。また、超音波プローブ12及び位置検出装置15は、水槽17の底面側に配置される。制御プロセッサ28は、超音波プローブ12が所定の速度で移動するように駆動部151を制御させつつ超音波送受信を実行することで、自走式超音波走査を実行する。超音波プローブ12からの画像は、実施例1同様に装置本体に送られる。また、駆動部151から取得する位置情報は、後述する超音波プローブ位置に関する情報生成にリアルタイムで利用されると共に、各フレームの付帯情報として記入され管理される。
【0040】
以下、本第1実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムの主な特徴の一つである微小構造物の抽出処理について詳細に説明する。
【0041】
超音波断層像(Bモード像)で微小な構造物と思われる輝点(以下、単に輝点)が観察されたとき、実際にはそれが本当に微細石灰化のような構造物であるか、乳腺のような組織構造の一部なのかは、判断しにくい。特に1枚の静止画像では診断することができないと言われている。
【0042】
しかし両者は、例えば次のような点で異なる。
【0043】
(相違点1)微細石灰の組成は生体組織よりも硬く、原理的にはより大きな超音波反射信号が得られているはずである。我々の研究結果からも、微細石灰化による輝点の信号レベルは周囲のスペックルパタンの最大値よりもいくらか高いことが判明した。ただし輝度としてモニター表示された場合、この信号レベルの差を目視で判定することは難しいわけである。
【0044】
(相違点2)微細石灰化は局在する微小構造物であり、一方で乳腺等の生体組織は3次元的に一定の範囲で連続する構造を持つ連続構造物であり、その空間分布の形態において、本質的に大きく異なる。よって奥行き方向の3次元的な連続性も加味すれば、両者の違いが判定できると期待できる。
【0045】
本第1実施形態では、この点に着目し、例えば乳房、肝臓、膵臓等の診断において、輝度の微小な違い、および空間分布の形態に基づいて両者を区別し、微小構造物が積極的に抽出された画像生成(微小構造物抽出画像)を生成するものである。
【0046】
なお、本第1実施形態における微小構造物抽出処理は、画像群データをその対象とする。ここで、画像群データとは、複数の二次元画像を有するボリュームデータ、或いは異なる複数の二次元画像から構成されるデータ(完全なボリュームデータを必ずしも構成しない)を意味する。
【0047】
本第1実施形態においては、説明を具体的にするため、ボリュームデータとしての画像群データを用いた微小構造物抽出処理について説明する。この様な画像群データは、図2に示した自走式走査が可能なデバイスを用いる撮影、或いは、超音波振動素子が1次元的に配列された超音波プローブ(必要に応じて、位置センサが設けられたもの)を用いて、手動によって複数断層を取得する撮影等で取得することができる。
【0048】
図3は、微小構造物抽出処理を説明するための図である。同図に示すように、画像群データに含まれる複数の二次元画像から、対象画像31と参照画像32とを選択する。ここで、前記対象画像31は、本微小構造物抽出処理の対象とされる画像の一つであり、前記超音波プローブ12の直下の断層像(TimeSmooth等の処理を施された断層像も含む)である。前記参照画像32は、前記対象画像31とは空間的に異なる(例えば、対象画像からkフレーム離れた)別の断層像であり、本微小構造物抽出処理に利用されるものである。詳細には前記参照画像32は、前記対象画像31の前のフレームの画像であり、前記画像メモリ26に記録されている画像である。これらの画像は、Bモード診断同様、超音波プローブ本体から垂直方向の断面であることが望ましい。
【0049】
図4(a)は対象画像の模式図を、図4(b)は参照画像の模式図をそれぞれ示している。本微小構造物抽出処理では、対象画像から参照画像を差し引くことによって、差分画像を生成する。このとき、対象画像上の各画素(xi,yi)(対象画素)に対して、参上画像上に設定される参照領域Ri内に存在する画素の代表値を決定し、これを対象画素(xi,yi)の値から差し引くものとする。
【0050】
ここで、参照領域とは、参照画像上の座標が対象画素と同一な画素(対応画素)を含むように、任意のサイズで参照画像上に設定されるものである。なお、参照領域Riの代表値は、参照領域Riの特徴を代表するものであればどんなものでもよい。具体例としては、最大値、平均値、中央値等を挙げることができる。本第1実施形態においては、代表値として最大値を採用するものとする。この差分画像の生成は、次式(1)に示すように表すことができる。
【0051】
Qi(xi,yi) = Pi(xi,yi) - MAX [ Pi-k (xi+m,yi+n) ] ・・・(1)
ここで、Qi(xi,yi)は差分画像の各画素の値、Pi(xi,yi)は対象画像上の対象画素の値、Pi-k (xi,yi)はPi(xi,yi)と空間的に対応する位置にある参照画像上の各画素の値、Pi-k (xi+m,yi+n)は参照領域Ri内の各画素の値、m、nは参照領域の大きさを指定する任意の値、MAX[]は[]内から最大値を選択する演算をそれぞれ示している。従って、図4(b)は、x軸方向及びy軸方向共に±2画素、計25画素からなる参照領域Riを例示したものとなっている。なお、この減算処理において、結果が負数の場合は全てゼロ(輝度値=黒)とするのが望ましい。
【0052】
本第1実施形態における微小構造物抽出処理によって生成される差分画像は、連続構造物及びランダムなスペックルパタンを除去し、微小構造物を好適に映像化するものとなる。これは、以下の理由による。
【0053】
すなわち、画像群データを構成する二次元超音波画像上に残存する連続構造物は、微小石灰より大きな構造物であり、奥行き方法の連続性を持っていると考えられる。この観点より、超音波断層像のある1点に注目する場合、連続構造物は、例えば図5に示すような信号強度(画像の輝度)(a)の変化が緩やかであることが予想される。
【0054】
他方、微小構造物では、図5に示す信号強度(b)のごとく、特定の画像にのみ含まれることが予想される。従って、連続或いは近接するフレーム画像から差分画像を生成(例えば、画像Fi(対象画像)から画像Fi-f(参照画像)を減算)すると、当該差分画像により、不連続に存在する微小構造物(例えば微小石灰化部分)のみ抽出することができる。
【0055】
以下、微小構造物抽出処理によって得られた微小構造物抽出画像の表示形態について説明する。なお、以下に述べる各実施例に係る表示形態は、単独で、或いは複数を組み合わせて用いることが可能である。
【0056】
(表示形態例1)
本表示形態例1においては、微小構造物抽出画像としての差分画像を、当該差分画像の生成に用いた対象画像の取得時の超音波プローブ位置を示す情報と共に表示するものである。超音波プローブ位置を示す情報は、その目的を果たすものであればどの様なものであってもよいが、典型例としては、図6に示すような、ボディマーク上に設定される超音波プローブ12の模式図を挙げることができる。
【0057】
この様な超音波プローブ位置を示す情報は、例えば図2に示した位置検出装置15により検出さる超音波プローブ位置情報に基づいて生成することができる。図6のボディマークの場合、画像合成部27は、制御プロセッサ28の制御に従って、超音波プローブ位置が示されたボディマークを生成し、差分画像と合成してモニター14に送り出す。これにより、図6に示した形態で、超音波プローブ位置を示す情報と共に差分画像を表示することができる。なお、必要に応じて、画像群データを構成する二次元画像の全ての超音波プローブ位置情報に基づいて、超音波プローブ12の走査範囲或いは既に表示済みの領域を「軌跡」として、ボディマーク上に色別表示するようにしてもよい。
【0058】
(表示形態例2)
本表示形態例2においては、微小構造物抽出処理によって得られる複数の差分画像(例えば、画像群データに対応する差分画像)を用いて図7に示すようなMIP処理(Maximan Intensity Projection:最大値投影処理)を実行し、その結果得られるMIP画像を微小構造物抽出画像として表示するものである。これにより、複数の差分画像に含まれる微小構造物の情報を、1枚のMIP画像に凝縮することができる。このMIP画像を電子カルテ等の添付データとして利用することで、管理データサイズの縮減を図ることができる。
【0059】
(表示形態例3)
本表示形態例3においては、定量的解析を用いて画像群データから一定の信頼性を持つ差分画像を抽出し、これを用いて上記実施例2に係るMIP処理を実行するものである。すなわち、画像群データに対応する差分画像の各画素について輝度曲線を生成し、これを用いてある期間(例えばフレーム間隔)での時間的変化量及びその標準偏差を算出する。得られた結果のうち著しく異なる値を示す標準偏差(例えば、所定の閾値以上を持つ標準偏差)に対応する画素は、微小構造物である可能性が高いということができる。従って、当該画像を有する差分画像を抽出し、これらを用いたMIP処理を行うことで、微小構造物の抽出精度を向上させることができる。
【0060】
(表示形態例4)
本表示形態4においては、微小構造物抽出処理前のBモード画像、微小構造物抽出画像、差分画像を用いたMIP処理によって得られるMIP画像を、重畳表示、Dual表示、Triplex表示のいずれかの形態で表示することができる。重畳表示の場合、スペックルパタン除去前のBモード画像と、除去後の新たな画像は、基本色をそれぞれ変えて重畳することで、両者の識別が可能となる。また、Dual表示のような並列表示において、異なる種類の画像が同時に表示される各表示形態においては、各画像において同一の位置に対応するようにカーソルが配置される。従って、医師等の観察者は、目的に応じて所望の表示形態、所望のタイミングにて微小構造物抽出画像を表示できると共に、複数種類の画像によって微小構造物を迅速且つ簡単に特定し観察することができる。
【0061】
以下、本第1実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムによる微小構造物抽出処理を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、説明を具体的にするため、図8に示す例では、上記表示形態例1に係る表示形態を採用するものとする。同図に示すように、まず、ボリューム走査開始に伴って微小構造物抽出処理へ遷移する指令を受けて、必要なパラメータ群が読み込まれる(ステップS1、S2)。ここで、微小構造物抽出処理に必要なパラメータ群とは、参照画像の数、対象画像との距離、平滑処理(最大値演算)の領域等である。
【0062】
次に、所定の手法を用いたボリュームスキャンによって乳房に関する画像群データが取得され、メモリに格納される(ステップS3)。その後、画像生成ユニット25は、参照画像毎の参照領域の代表値を算出し(ステップS4)、これを用いて既述の微小構造物抽出処理を実行することで、画像群データに対応する複数の差分画像を生成する(ステップS5)。得られた差分画像は、モニター14に例えば超音波プローブ位置情報を有するボディマークと共に表示され、自動的に保存される(ステップS6)。
【0063】
その後、画像フリーズもしくは本発明の映像モードを終了する指令が行われるまで、診断装置は本微小構造物抽出処理を繰り返し実行する。
【0064】
なお、上述した本第1実施形態に係る超音波診断装置による一連の処理は、プログラム化することで、或いはプログラム化した後当該プログラムを記憶媒体に読み込むことによって、当該医用画像診断装置とは独立したソフトウェア製品単体としての販売、配布も容易になり、また本第1実施形態に係る技術を他のハードウェア上で利用することも可能となる。
【0065】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、超音波プローブとして従来の1D超音波プローブを用い、例えば乳腺等の連続構造物と微小石灰化部分等の微小構造物とを正確に区別し、所望の微小構造物抽出画像をリアルタイムで得ることができる超音波診断装置及びプログラムを提供することができる。
【0066】
すなわち、本第1実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムによれば、1D超音波プローブを利用してリアルタイムに、連続構造物と微細構造物との空間的広がり(空間(3D)情報)の相違を利用して、微細構造物の抽出を行うことができる。換言すれば、リアルタイム性を失わず且つ広く普及している1D超音波プローブを用いて、断層像内のみでの信号処理で取り除ききれなかった擬陽性を大幅に削減することができる。
【0067】
具体的には、本第1実施形態に係る超音波診断装置によれば、超音波プローブとして従来の1D超音波プローブ(1.5D超音波プローブも含む)を用いて、例えば乳房、肝臓、膵臓等の診断において、不連続に存在する微小構造物を、当該画像と実質的に直交する方向(奥行き方向)関する情報をも用いて、リアルタイムに抽出する。なお、微小構造物抽出処理における最大値平滑化は、対象画像と参照画像との単なる差分では除去しきれない、スペックルパタンの変動や、構造物の断面方向の位置ずれによる残存をも効果的に除去することを可能とする。
【0068】
図9(a)は、通常のBモード画像を示した図であり、図9(b)は、微小構造物抽出画像を示す図である。
【0069】
双方を比較した場合、図9(a)に示す通常のBモード画像では、微小石灰化部位に加えて、組織の一部をも映像化されてしまっており、点状の高輝度部位が多く散在している。従って、どの点が微小石灰化部位に対応するのかを、肉眼で識別することはできない。
【0070】
一方、図9(b)に示す微小構造物抽出画像では、微小石灰化部位のみが抽出され、点状の高輝度部位として映像化されている。従って、3次元的に連続して分布する連続構造物と局在する微小構造物とを弁別し、微小構造物が抽出された微小構造物抽出画像をリアルタイムで生成し表示することができる。医師等は、この微小構造物抽出画像を観察することで、目視ではスペックルパタンとの分別が難しく、且つある特定の断面像にのみ現れるような微小構造物を、短時間で発見することが可能となる。
【0071】
なお、本第1実施形態に係る超音波診断装置では、微小構造物抽出処理に用いる参照画像とするフレーム及び参照領域のサイズを任意に選択することができる。従って、検査目的や個体差に応じた参照画像とするフレーム及び参照領域のサイズを設定することで、個々の状況に対応させた微小構造物の好適な映像化が可能である。
【0072】
また、本第1実施形態に係る超音波診断装置では、対象画像取得時の超音波プローブ位置及び走査範囲が設定されたボディマークと共に微小構造物抽出画像を表示する、微小構造物抽出処理で得られた差分画像を用いて生成されるMIP画像を所定の形態で表示する、微小構造物抽出前後の画像を所定の形態で表示する等、種々の表示形態を採用することができる。
【0073】
従って、医師等は、所望の表示形態で微小構造物抽出画像を観察、又は種々の表示形態による微小構造物抽出画像を比較することで、目視ではスペックルパタンとの分別が難しく、かつある特定の断面像にのみ現れるような微小構造物を、リアルタイムで発見することが可能となる。
【0074】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムについて説明する。なお、前記第1実施形態と重複した説明を避ける為、前記第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0075】
本第2実施形態に係る超音波診断装置では、図10に示すように、前記超音波プローブ12に微小位置センサ101を装着又は内蔵させる。この微小位置センサ101は、前記超音波プローブ12の位置の移動量を検出し、フレームレート等に基づいて、目的の微細構造物201を抽出するのに適当な断層像フレーム間隔を算出する。そして、このように算出された断層像フレーム間隔に基づいて、第1実施形態において説明した微細構造物の抽出処理を行う。
【0076】
ところで、本第2実施形態においては、前記微小位置センサ101によって前記超音波プローブ12の移動停止が検出された場合、次のような処理を行う。
【0077】
(超音波プローブ停止時の処理例1)
前記微小位置センサ101によって前記超音波プローブ12の移動停止が検出された場合、当該時点における前記超音波プローブ12の直下の断層像のみを使用した処理(超音波プローブ12が同一位置で取得した断層像を複数使用しない処理)に切り換える。
【0078】
(超音波プローブ停止時の処理例2)
前記微小位置センサ101によって前記超音波プローブ12の移動停止が検出された場合、その停止期間に取得した断層像を削除し(又は利用せずとし)、前記超音波プローブ12の移動再開時には、当該停止期間の直前の断層像を利用して上述した処理を行う。
【0079】
以上説明したように、本第2実施形態によれば、前記第1実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムと同様の効果を奏する上に、より精度の高い微細構造物抽出の処理を行うことができる超音波診断装置及びプログラムを提供することができる。
【0080】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムについて説明する。なお、前記第1実施形態と重複した説明を避ける為、前記第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0081】
本第3実施形態に係る超音波診断装置では、断層像間の相関情報に基づいて、前記超音波プローブ12の位置の移動量又は当該断層像間の類似性を算出し、この算出結果に基づいて、断層像目的の微細構造物を抽出するのに適当な断層像フレーム間隔を算出する。そして、このように算出された断層像フレーム間隔に基づいて、第1実施形態において説明した微細構造物抽出の処理を行う。
【0082】
(超音波プローブの移動量を算出する場合)
算出した超音波プローブ12のフレームレート等に基づいて、目的の微細構造物を抽出するのに適当な断層像フレーム間隔を算出する。なお、前記超音波プローブ12の移動停止が検出された場合は、前記第2実施形態に係る超音波診断装置における超音波プローブ12の移動停止時の処理と同様の処理を行うとする。
【0083】
(断層像間の類似性を算出する場合)
算出した断層像間の類似性に基づいて、現フレームとその類似性の変化が大きくなるフレーム間で、前記第1実施形態において説明した微細構造物抽出の処理を行う。なお、前記画像メモリ26に保存された断層像に対して、予め指定した所定の枚数以上において類似性が常に高い場合には、超音波プローブ12の移動が停止していると判断し、前記第2実施形態に係る超音波診断装置における超音波プローブ12の移動停止時の処理と同様の処理を行うとする。
【0084】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、前記第1実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムと同様の効果を奏する上に、より精度の高い微細構造物抽出の処理を行うことができる超音波診断装置及びプログラムを提供することができる。
【0085】
以上、第1実施形態乃至第3実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0086】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】位置検出装置の一例を示した図。
【図3】微小構造物抽出処理を説明するための図。
【図4】図4(a)は対象画像の模式図を、図4(b)は参照画像の模式図をそれぞれ示す図。
【図5】画素毎の信号強度(画像の輝度)の変化例を示す図。
【図6】微小構造物抽出画像の表示形態の一例を示す図。
【図7】微小構造物抽出画像の表示形態の他の例を示す図。
【図8】本発明の第1実施形態に係る微小構造物抽出処理のフローチャートを示す図。
【図9】(a)は通常のBモード画像を示す図であり、(b)は微小構造物抽出画像を示す図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置の超音波プローブを示す図。
【符号の説明】
【0088】
1…超音波診断装置、 11…装置本体、 12…超音波プローブ、 13…入力装置、 14…モニター、 15…位置検出装置、 17…水槽、 21…超音波送信ユニット、 22…超音波受信ユニット、 23…Bモード処理ユニット、 24…ドプラ処理ユニット、 25…画像生成ユニット、 26…画像メモリ、 27…画像合成部、 28…制御プロセッサ、 29…内部記憶部、 30…インターフェース部、 31…対象画像、 32…参照画像、 101…微小位置センサ、 150…可動ステージ、 151…駆動部、 201…微細構造物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を超音波で走査して断層像を取得する超音波診断装置であって、
前記被検体に対して超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブによって受信されたエコー信号に基づいて、前記被検体について複数の断層像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された前記断層像を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された断層像と、現時点の前記超音波プローブの位置に対応する断層像と、の間の相関を利用して微小構造物を抽出する画像処理を実行し、微小構造物抽出画像を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段によって生成された前記微小構造物抽出画像を所定の形態にて表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記画像処理手段による前記画像処理とは、前記断層像間の相関を利用して、スペックルパタンを軽減する処理を含む処理であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記画像処理手段による前記画像処理とは、前記断層像間の相関を利用して、前記断層像における高輝度部分を抽出する処理を含む処理であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記画像処理手段による前記画像処理とは、前記断層像間の空間的に対応する画素を含む参照領域内の最大画素値を差分する処理を含む処理であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記超音波プローブの動きを検出するセンサ手段又は前記超音波プローブの動きを推定する推定手段を含み、
前記画像処理手段は、前記センサ手段又は前記推定手段によって前記超音波プローブの動きの停止が検出又は推定されると、当該停止時に取得した前記断層像を前記画像処理に用いないことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記超音波プローブの動きを検出するセンサ手段又は前記超音波プローブの動きを推定する推定手段を含み、
前記画像処理手段は、前記センサ手段又は前記推定手段によって検出又は推定された前記超音波プローブの移動量に基づいて、前記記憶手段に記憶された断層像のうち前記画像処理に用いる断層像を決定することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記超音波プローブの動きを検出するセンサ手段又は前記超音波プローブの動きを推定する推定手段と、
前記画像処理手段は、前記センサ手段又は前記推定手段によって検出又は推定された前記超音波プローブの移動量に基づいて、前記画像処理に用いる断層像のフレーム間隔を決定する断層像フレーム間隔決定手段と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
被検体を超音波で走査して断層像を取得する超音波診断装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
超音波プローブによって前記被検体に対して超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する機能と、
前記エコー信号に基づいて、前記被検体について複数の断層像を生成する画像生成機能と、
前記断層像を記憶する記憶機能と、
前記記憶機能によって記憶された断層像と、現時点の前記超音波プローブの位置に対応する断層像と、の間の相関を利用して微小構造物を抽出する画像処理を実行し、微小構造物抽出画像を生成する画像処理機能と、
前記微小構造物抽出画像を所定の形態にて表示する表示機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−143(P2010−143A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159560(P2008−159560)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】