説明

超音波診断装置及びプログラム

【課題】異なる画像処理パラメータで作成された複数の超音波画像を並べて表示させることができる超音波診断装置であって、スキャン終了後であっても、任意の画像処理パラメータの設定を行って画像処理を行いに複数の超音波画像を表示させることができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータを記憶するシネメモリ51と、シネメモリ51に記憶されたエコーデータについて、異なる画像処理パラメータで画像処理を行う画像処理部52と、画像処理部52で画像処理されたデータに基づいて複数の超音波画像を作成し、並べて表示させるディジタルスキャンコンバータ53と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置においては、被検体に対して超音波プローブによるスキャンを行ってエコーデータを取得する。そして、このエコーデータについて各種の画像処理パラメータを用いて画像処理した後に走査変換を行って超音波画像を作成し、これを表示部に表示させている。
【0003】
前記画像処理パラメータとしては、例えばゲイン、ダイナミックレンジ及びTGC(Time Gain Control)などがある。ゲインを調節することにより超音波画像の輝度が調節され、ダイナミックレンジを調節することにより超音波画像の分解能が調節される。また、TGCを調節することにより超音波画像を深さ方向において一様な輝度にすることができる。操作者は、診断に適した画質の超音波画像を得られるように、最適と思われる画像処理パラメータを設定する。
【0004】
従来、画像処理パラメータの設定は、操作者が表示部に表示された一枚の超音波画像を見ながら、操作部において各画像処理パラメータを変えつつ行なっていた。しかし、操作者が画像処理パラメータの調節中にいくつか最適と思われる画像処理パラメータを見つけた場合であっても、各画像処理パラメータで作成された超音波画像を比較することができなかったので、短時間の設定が困難であり、さらには最適な画像処理パラメータを設定することができないことがあった。そこで、特許文献1では、各種の画像処理パラメータについて異なる数値を設定して画像処理を行い、得られた複数の超音波画像を表示部に並べて表示する超音波診断装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−266539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の超音波診断装置では、表示部に並べて表示される複数の超音波画像は、リアルタイム画像であるか、またはスキャン中にフリーズさせた画像であり、スキャン終了後の画像とはなっていない。しかし、例えば不慣れな操作者が画像処理パラメータを設定してスキャンを行って装置に記憶した超音波画像を、スキャン終了後に経験を積んだ操作者が見る場合がある。この場合、並べて表示された複数の超音波画像を見て、画像処理パラメータを設定し直したいこともある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、異なる画像処理パラメータで作成された複数の超音波画像を並べて表示させることができる超音波診断装置であって、スキャン終了後であっても、任意の画像処理パラメータの設定を行って画像処理を行いに複数の超音波画像を表示させることができる超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、第1の観点の発明は、被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータを記憶する記憶部と、該記憶部に記憶されたエコーデータについて、異なる画像処理パラメータで画像処理を行う画像処理部と、該画像処理部で画像処理されたデータに基づいて複数の超音波画像を作成し、並べて表示させる表示処理部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記複数の超音波画像は、動画又は静止画のいずれかであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第3の観点の発明は、第1又は2の観点の発明において、被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータからなる同一時相のフレームデータについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部が画像処理を行い、また前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成及び表示を行うことを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第4の観点の発明は、第3の観点の発明において、複数のフレームデータからなる単位データについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部がフレームデータ毎の画像処理を行い、また前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成をフレームデータ毎に行って動画の表示を行うことを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第5の観点の発明は、第1又は2の観点の発明において、被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータからなる異なる時相のフレームデータについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部が画像処理を行い、前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成及び表示を行うことを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第6の観点の発明は、第5の観点の発明において、複数のフレームデータからなる単位データを所定のフレーム数に分割してなる分割単位データのそれぞれについて、互いに異なる画像処理パラメータで前記画像処理部がフレームデータ毎の画像処理を行い、また前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成をフレームデータ毎に行って動画の表示を行うことを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第7の観点の発明は、第6の観点の発明において、さらに、少なくともいずれか一の前記分割単位データについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部が画像処理を行い、前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成及び表示を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【0015】
第8の観点の発明は、第1〜7のいずれか一の観点の発明において、前記画像処理部は、異なる画像処理パラメータの画像処理を並行して行うことを特徴とする超音波診断装置である。
【0016】
第9の観点の発明は、第1〜8のいずれか一の観点の発明において、前記画像処理パラメータは、ゲイン、ダイナミックレンジ及びTGCゲインであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
第10の観点の発明は、コンピュータに、被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータを記憶部から読み出して異なる画像処理パラメータで画像処理を行う画像処理機能と、該画像処理機能で画像処理されたデータに基づいて複数の超音波画像を作成し、並べて表示させる表示処理機能と、を実行させることを特徴とする超音波画像表示制御プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、前記記憶部に画像処理前のエコーデータが記憶されているので、スキャン終了後においても、このエコーデータについて異なる画像処理パラメータで画像処理を行い、この画像処理後のデータに基づいて複数の超音波画像を作成してこれを並べて表示させることができる。この時、前記記憶部に記憶されているエコーデータは画像処理前のデータであるので、任意の画像処理パラメータの設定を行って画像処理を行い、複数の超音波画像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】表示部に表示された超音波画像を示す図である。
【図4】複数のフレームデータからなる単位データの説明図である。
【図5】複数のフレームデータからなる単位データを分割した分割単位データの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本例の超音波診断装置1は、超音波の送受信を行う超音波プローブ2と、この超音波プローブ2を駆動させてスキャン面を走査し、また前記超音波プローブ2で得られたエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行って音線毎のエコーデータとする送受信部3と、この送受信部3から出力されたエコーデータについて、対数圧縮処理、包絡線検波処理等の処理を行うBモード処理部4と、このBモード処理部4からのエコーデータに基づいて後述する表示部6に表示する超音波画像(Bモード画像)を作成し、これをこの表示部6に表示させる制御を行う表示制御部5と、超音波画像が表示される表示部6とを備える。
【0021】
また、前記超音波診断装置1は、装置全体を制御する制御部7と、キーボード及びポインティングデバイスなどを含み、操作者が指示を入力する操作部8とを備えている。前記制御部7は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、図示しない記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することにより、例えば前記表示制御部5における後述の画像処理機能や表示処理機能など、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行するようになっている。
【0022】
前記表示制御部5は、図2に示すように、シネメモリ51と、画像処理部52とディジタルスキャンコンバータ(DSC:Digital Scan Converter)53とを有している。前記シネメモリ51には、前記Bモード処理部4から出力されるエコーデータが記憶される。ここで、エコーデータとは、前記超音波プローブ2による超音波の送受信を行って得られたデータであって、前記画像処理部52で画像処理される前のデータ、すなわちローデータ(Raw Data)のことを云うものとする。このように、前記シネメモリ51に記憶するデータをローデータとすることにより、スキャン終了後であっても任意の画像処理パラメータを設定して画像処理を行うことが可能になる。前記シネメモリ51は、本発明における記憶部の実施の形態の一例である。
【0023】
前記画像処理部52は、前記シネメモリ51に記憶されたエコーデータを読み出し、異なる画像処理パラメータで画像処理を行う(画像処理機能)。前記制御部7は、前記記憶装置(図示省略)に記憶されたプログラムを読み出して、前記画像処理部52に前記画像処理機能を実行させる。前記画像処理部52は、本発明における画像処理部の実施の形態の一例である。
【0024】
前記画像処理部52による画像処理機能について具体的に説明する。本例では、前記画像処理部52は、異なる四つの数値の画像処理パラメータで、第一画像処理P1、第二画像処理P2、第三画像処理P3及び第四画像処理P4を並行して行う。ここで、前記各画像処理P1〜P4においては複数の処理が行われる。この複数の処理において設定される各種の画像処理パラメータとしては、例えばゲイン、ダイナミックレンジ及びSTGゲインなどが挙げられる。従って、前記各画像処理P1〜P4では、ゲイン、ダイナミックレンジ及びSTGゲインなどが異なる数値で設定されている。すなわち、前記第一画像処理P1では、ゲインGa1、ダイナミックレンジDr1、STGゲインGs1などが設定され、前記第二画像処理P2では、ゲインGa2、ダイナミックレンジDr2、STGゲインGs2などが設定され、前記第三画像処理P3では、ゲインGa3、ダイナミックレンジDr3、STGゲインGs3などが設定され、前記第四画像処理P4では、ゲインGa4、ダイナミックレンジDr4、STGゲインGs4などが設定される。
【0025】
前記各種の画像処理パラメータは、前記操作部8において入力され、前記制御部7を介して前記記憶装置に記憶される。前記制御部7は、前記記憶装置に記憶された前記各種の画像処理パラメータを読み出して、前記画像処理部52による画像処理を行わせる。
【0026】
前記ディジタルスキャンコンバータ53は、前記画像処理部52による前記各画像処理P1〜P4で得られたデータを走査変換して第一超音波画像G1、第二超音波画像G2、第三超音波画像G3及び第四超音波画像G4を作成し、これらを図3に示すように前記表示部6に並べて表示させる(表示処理機能)。前記制御部7は、前記記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して、前記ディジタルスキャンコンバータ53による前記表示処理機能を実行させる。前記ディジタルスキャンコンバータ53は、本発明における表示処理部の実施の形態の一例である。
【0027】
前記表示部6の表示について具体的に説明すると、この表示部6は四つの領域R1,R2,R3,R4に分割され、各領域R1〜R4に前記各超音波画像G1〜G4が表示されている。前記領域R1に表示される前記超音波画像G1は、前記第一画像処理P1で得られたデータに基づいて作成された画像であり、前記領域R2に表示される前記超音波画像G2は、前記第二画像処理P2で得られたデータに基づいて作成された画像である。また、前記領域R3に表示される前記超音波画像G3は、前記第三画像処理P3で得られたデータに基づいて作成された画像であり、前記領域R4に表示される前記超音波画像G4は、前記第四画像処理P4で得られたデータに基づいて作成された画像である。
【0028】
本例の超音波診断装置1の動作について説明する。前記超音波プローブ2によって被検体に対する超音波の送受信を行うと、前記送受信部3及びBモード処理部4において処理を行い、得られたエコーデータは前記シネメモリ51に記憶される。前記シネメモリ51に記憶されるエコーデータは音線毎のデータであり、このエコーデータが1フレーム分集まってフレームデータFDを構成する。前記シネメモリ51には、例えば図4に示すようにフレームデータFD1〜FD100まで、経時的に取得された100個のフレームデータFD(図4では一部のみ図示)が記憶されているものとする。
【0029】
そして、異なる画像処理パラメータで作成された複数の超音波画像を表示させるための操作を前記操作部8において行うと、前記画像処理部52は、前記シネメモリ51に記憶された音線毎のエコーデータを順次読み出して前記各画像処理P1〜P4を行う。前記各画像処理P1〜P4における画像処理パラメータ(ゲインG1〜G4、ダイナミックレンジDr1〜Dr4、STGゲインGs1〜Gs4)は、前記記憶装置(図示省略)に予め記憶されていたものであってもよいし、操作者が改めて設定してもよい。
【0030】
前記各画像処理P1〜P4について詳しく説明すると、本例では、前記画像処理部52は、前記フレームデータFD1〜FD100によって構成される単位データXについて、前記各画像処理P1〜P4を並行して行う。そして、これら各画像処理P1〜P4では、同一時相のフレームデータFDについて並行して異なる画像処理パラメータによる画像処理を行う。すなわち、例えば第一フレーム目の超音波画像を得るために、フレームデータFD1について前記各画像処理P1〜P4を並行して行った後、第二フレーム目の超音波画像を得るために、フレームデータFD2について前記各画像処理P1〜P4を並行して行う。そして、第三フレーム目以降の超音波画像を得るために、フレームデータFD3,FD4,・・・,FD100について、順次前記各画像処理P1〜P4を並行して行う。
【0031】
前記ディジタルスキャンコンバータ53は、前記各画像処理P1〜P4で得られたデータに基づいて、フレームデータFD毎に前記各超音波画像G1〜G4を作成し、これを前記表示部6に表示させる。この表示部6に表示される前記各超音波画像G1〜G4は、同一時相のフレームデータFDについて、画像処理パラメータが異なるBモード画像である。すなわち、前記表示部6には、第一フレーム目の画像として、フレームデータFD1に基づいて異なる画像処理パラメータで作成された超音波画像G1〜G4が表示され、次の第二フレーム目ではフレームデータFD2に基づいて異なる画像処理パラメータで作成された超音波画像G1〜G4が表示される。そして、フレームデータFD3,FD4,・・・,FD100の順で超音波画像G1〜G4の作成及び表示が行われる。従って、前記表示部4には、異なる画像処理パラメータで作成された同一時相の四枚の超音波画像G1〜G4が、フレームデータFD1〜FD100までの動画で表示される。
【0032】
本例の超音波診断装置1によれば、前記超音波プローブ2によるスキャン終了後であっても、前記シネメモリ51に記憶されたエコーデータを読み出して異なる画像処理パラメータで画像処理を行い、四つの超音波画像G1〜G4を作成してこれらを並べて表示することができる。この時、前記シネメモリ51に記憶されているエコーデータは、前記画像処理部52で画像処理される前のデータであるので、任意の画像処理パラメータの設定を行って画像処理を行い超音波画像G1〜G4を表示させることができる。
【0033】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。この変形例では、図5に示すように前記フレームデータFD1〜FD100からなる単位データXを四つに分割した分割単位データX1,X2,X3,X4について、前記画像処理部52が前記各画像処理P1〜P4を並行して行い、また前記ディジタルスキャンコンバータ53が、分割単位データX1についての超音波画像G1と、分割単位データX2についての超音波画像G2と、分割単位データX3についての超音波画像G3と、分割単位データX4についての超音波画像G4を作成し表示させる。以下、具体的に説明する。
【0034】
前記各分割データX1〜X4は、25個のフレームデータFDからなる。すなわち、前記分割単位データX1はフレームデータFD1〜FD25からなり、前記分割単位データX2はフレームデータFD26〜FD50からなり、前記分割単位データX3はフレームデータFD51〜FD75からなり、前記分割単位データX4はフレームデータFD76〜FD100からなる。
【0035】
この変形例において、前記各画像処理P1〜P4では、異なる時相のフレームデータFDについて並行して異なる画像処理パラメータによる画像処理を行う。具体的には、前記第一画像処理P1では、前記分割単位データX1についての画像処理、すなわちフレームデータFD1〜FD25の画像処理を行い、前記第二画像処理P2では、前記分割単位データX2についての画像処理、すなわちフレームデータFD26〜FD50の画像処理を行う。また、前記第三画像処理P3では、前記分割単位データX3についての画像処理、すなわちフレームデータFD51〜FD75の画像処理を行い、前記第四画像処理P4では、前記分割単位データX4についての画像処理、すなわちフレームデータFD76〜FD1000の画像処理を行う。
【0036】
前記画像処理部52は、例えば第一フレーム目の超音波画像を得るために、フレームデータFD1についての第一画像処理P1と、フレームデータFD26についての第二画像処理P2と、フレームデータFD51についての第三画像処理P3と、フレームデータFD76についての第四画像処理P4とを並行して行い、前記各画像処理P1〜P4で処理されたデータを前記ディジタルスキャンコンバータ53へ出力する。次に、第二フレーム目の超音波画像を得るために、前記画像処理部52は、フレームデータFD2についての第一画像処理P1と、フレームデータFD27についての第二画像処理P2と、フレームデータFD52についての第三画像処理P3と、フレームデータFD77についての第四画像処理P4とを並行して行い、前記各画像処理P1〜P4で処理されたデータを前記ディジタルスキャンコンバータ53へ出力する。そして、前記画像処理部52は、第三フレーム目以降について、上記と同様にして順次異なる時相のフレームデータFDについて各画像処理P1〜P4を行い、各画像処理P1〜P4で得られたデータを前記ディジタルスキャンコンバータ53へ出力する。
【0037】
前記ディジタルスキャンコンバータ53によって前記表示部6に表示される超音波画像G1〜G4は、異なる時相のフレームデータFDに基づいて作成された画像である。すなわち、前記表示部6には、第一フレーム目の画像として、フレームデータFD1に基づいて作成された超音波画像G1、フレームデータFD26に基づいて作成された超音波画像G2、フレームデータFD51に基づいて作成された超音波画像G3、フレームデータFD76に基づいて作成された超音波画像G4が表示される。次の第二フレーム目の画像としては、フレームデータFD2に基づいて作成された超音波画像G1、フレームデータFD27に基づいて作成された超音波画像G2、フレームデータFD52に基づいて作成された超音波画像G3、フレームデータFD77に基づいて作成された超音波画像G4が表示される。そして、第三フレーム目以降についても、上記と同様にして順次異なる時相のフレームデータに基づいて作成された超音波画像G1〜G4が表示される。従って、前記表示部4には、異なる画像処理パラメータで作成された異なる時相の四枚の超音波画像G1〜G4が動画で表示される。
【0038】
ちなみに、前記超音波画像G1は、フレームデータFD1〜FD25についての動画像であり、前記超音波画像G2は、フレームデータFD26〜FD50についての動画像であり、前記超音波画像G3は、フレームデータFD51〜FD75についての動画像であり、前記超音波画像G4は、フレームデータFD76〜FD100についての動画像である。
【0039】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記表示部6に表示される超音波画像は四つに限られるものではない。また、上記単位フレームデータXのフレーム数も上記実施形態に限られるものではなく、さらに変形例における前記単位データXの分割数(分割単位データの数)も四つに限られず、表示する超音波画像の数に応じた数とする。
【0040】
また、超音波画像はBモード画像のみに限られるものではない。例えば、Bモード画像とともにMモード画像を表示させてもよく、この場合においても前記シネメモリ51に記憶されたエコーデータについて異なる画像処理パラメータで画像処理を行って複数のMモード画像を表示させる。さらに、Bモード画像にカラードップラ画像を重畳して表示してもよい。この場合、前記シネメモリ51には、超音波の送受信により得られた信号をドップラ処理してエコー源の速度、分散及びパワーを記憶する。そして、これらのデータを読み出し、異なる画像処理パラメータで画像処理を行って複数のカラードップラ画像を作成し、これを複数のBモード画像に重畳させる。
【0041】
さらに、変形例において、前記分割単位データX1〜X4について、上述のように互いに異なる画像処理パラメータで画像処理を行って複数の超音波画像を作成して表示するとともに、少なくともいずれか一の分割単位データについて、異なる画像処理パラメータで画像処理を行って複数の超音波画像を作成して表示してもよい。例えば、前記分割単位データX1について異なる数値の画像処理パラメータで画像処理を行って複数の超音波画像を作成して表示するとともに、前記分割単位データX2〜X4については、それぞれ所定の画像処理パラメータで画像処理を行って、前記分割単位データX2についての一の超音波画像と、前記分割単位データX3についての一の超音波画像と、前記分割単位データX4についての一の超音波画像とを表示してもよい。この場合、前記分割単位データX2〜X4についての画像処理におけるパラメータは、互いに異なるものとする。
【符号の説明】
【0042】
1 超音波診断装置
51 シネメモリ(記憶部)
52 画像処理部
53 ディジタルスキャンコンバータ(表示処理部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータを記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶されたエコーデータについて、異なる画像処理パラメータで画像処理を行う画像処理部と、
該画像処理部で画像処理されたデータに基づいて複数の超音波画像を作成し、並べて表示させる表示処理部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記複数の超音波画像は、動画又は静止画のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータからなる同一時相のフレームデータについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部が画像処理を行い、また前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成及び表示を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
複数のフレームデータからなる単位データについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部がフレームデータ毎の画像処理を行い、また前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成をフレームデータ毎に行って動画の表示を行うことを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータからなる異なる時相のフレームデータについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部が画像処理を行い、前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成及び表示を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
複数のフレームデータからなる単位データを所定のフレーム数に分割してなる分割単位データのそれぞれについて、互いに異なる画像処理パラメータで前記画像処理部がフレームデータ毎の画像処理を行い、また前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成をフレームデータ毎に行って動画の表示を行うことを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
さらに、少なくともいずれか一の前記分割単位データについて、異なる画像処理パラメータで前記画像処理部が画像処理を行い、前記表示処理部が前記複数の超音波画像の作成及び表示を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、異なる画像処理パラメータの画像処理を並行して行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記画像処理パラメータは、ゲイン、ダイナミックレンジ及びTGCゲインであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
コンピュータに、
被検体に対して超音波を送受信して得られたエコーデータを記憶部から読み出して異なる画像処理パラメータで画像処理を行う画像処理機能と、
該画像処理機能で画像処理されたデータに基づいて複数の超音波画像を作成し、並べて表示させる表示処理機能と、
を実行させることを特徴とする超音波画像表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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