超音波診断装置
【課題】生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を表示させることができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブと、超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、物理量データSD1,SD2,SD3,SD4,SD5,・・・を前記三次元領域における面P1,P2,P3,P4,P5について作成する物理量データ処理部と、前記各物理量データSD1,SD2,SD3,SD4,SD5に対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価部と、前記面P3において表示価値が無いと評価された前記物理量データSD3を、表示価値が有ると評価された物理量データSD2,SD4に基づく置換データRDに置換するデータ置換部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【解決手段】三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブと、超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、物理量データSD1,SD2,SD3,SD4,SD5,・・・を前記三次元領域における面P1,P2,P3,P4,P5について作成する物理量データ処理部と、前記各物理量データSD1,SD2,SD3,SD4,SD5に対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価部と、前記面P3において表示価値が無いと評価された前記物理量データSD3を、表示価値が有ると評価された物理量データSD2,SD4に基づく置換データRDに置換するデータ置換部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置及びその制御プログラムに関し、特に生体組織の弾性画像を表示する超音波診断装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のBモード画像と、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像とを合成して表示させる超音波診断装置が、例えば特許文献1などに開示されている。この種の超音波診断装置において、弾性画像は次のようにして作成される。先ず、生体組織に対し、例えば超音波プローブによる圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ってエコー信号を取得する。そして、得られたエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出し、この物理量を色相情報に変換してカラーの弾性画像を作成する。ちなみに、生体組織の弾性に関する物理量としては、例えば生体組織の歪みなどを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−118152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、直交三断面の弾性画像や三次元の弾性画像を表示しようとする場合には、三次元領域における超音波の走査、すなわち超音波振動子の配列方向への超音波の走査と、前記配列方向と直交する方向への超音波の走査とを行なって、三次元データを取得する。そして、三次元領域における各面について物理量を算出して物理量データを作成し、この物理量データに基づく弾性画像を表示する。
【0005】
しかし、算出された前記物理量が生体組織の弾性を正確に反映していない場合がある。例えば、圧迫動作から弛緩動作に変わる時、或いはその反対に弛緩動作から圧迫動作に変わる時は、圧迫動作も弛緩動作もなされない瞬間が存在することがある。このように生体組織の変形が不十分な場合には、生体組織の弾性を正確に反映した物理量を算出することができず、例えばある面について生体組織の弾性を正確に反映していない画像が表示されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブと、この超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成部と、前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価部と、一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記評価部は、前記弾性データに対して各面毎に評価を行ない、前記データ置換部は、面単位で前記弾性データの置換を行なうことを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第3の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面を含む複数面の弾性データを重み付け加算して得られたデータであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第4の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面の弾性データであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第5の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記評価部は、前記弾性データに対して各座標点毎に評価を行ない、前記データ置換部は、座標点単位で前記弾性データの置換を行なうことを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第6の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された複数の座標点の弾性データを重み付け加算して得られたデータであって、前記複数の座標点の弾性データには、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データが含まれることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第7の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第8の観点の発明は、第1〜7のいずれか一の観点の発明において、前記弾性データ及び前記置換データに基づいて作成された弾性画像を表示する表示部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第9の観点の発明は、コンピュータに、三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成機能と、前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価機能と、一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換機能と、を実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
上記観点の発明によれば、前記評価部により、前記三次元領域における各面の弾性データに対して表示価値の有無に関する評価が行なわれ、前記データ置換部により、一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データが、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに置換される。従って、生体組織の弾性を正確に反映した弾性データを得ることができない面については、前記置換データに基づく弾性画像を表示させることにより、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の超音波プローブの概略構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】Bモード画像と弾性画像とが合成された超音波画像が表示された表示部を示す図である。
【図5】直交三断面の弾性画像が表示された表示部を示す図である。
【図6】図3に示す表示制御部における評価部の構成を示すブロック図である。
【図7】物理量データの作成の説明図である。
【図8】物理量フレームデータを作成する際における物理量の算出を説明するための図である。
【図9】比算出部で用いられる関数のグラフを示す図である。
【図10】置換データへの置換の説明図である。
【図11】第一実施形態の第二変形例における評価部のブロック図である。
【図12】第一実施形態の第三変形例における評価部のブロック図である。
【図13】第一実施形態の第四変形例における評価部のブロック図である。
【図14】第一実施形態の第五変形例における評価部のブロック図である。
【図15】第一実施形態の第五変形例における評価部の他例を示すブロック図である。
【図16】第一実施形態の第六変形例における評価部のブロック図である。
【図17】第二実施形態における評価部のブロック図である。
【図18】相関係数に基づく物理量データの評価の一例を説明するための図である。
【図19】物理量データの置換を説明するための物理量データの概念図である。
【図20】物理量データの置換を説明するための他の物理量データの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について図1〜図10に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモードデータ処理部4、物理量データ処理部5、表示制御部6、表示部7、制御部8、操作部9及び記憶部10を備える。
【0018】
前記超音波プローブ2は、生体組織に対して超音波を送信しそのエコーを受信する。前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例である。この超音波プローブ2を生体組織の表面に当接させた状態で圧迫と弛緩を繰り返したり、この超音波プローブ2から生体組織へ音響放射圧を加えたりして、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なって取得されたエコー信号に基づいて、後述のように弾性画像が作成される。
【0019】
前記超音波プローブ2の概略構成について図2に基づいて説明する。前記超音波プローブ2は、メカニカル3Dプローブであり、振動子アレイ200、ダンパー210、モーター220を有し、これらを保護ケース230に収容することにより構成されている。前記振動子アレイ200は、例えばPZT(チタン(Ti)酸ジルコン(Zr)酸鉛)セラミックス等の圧電材料によって形成される複数の振動子200aが、第一方向aに沿って配列されることにより構成されている。かかる振動子アレイ200の一部の振動子200aを複数駆動することにより、超音波ビームが送信されるようになっている。そして、駆動する振動子200aを順次切り換えることにより、第一方向aに電子的走査を行い、一フレーム分のエコー信号が得られるようになっている。
【0020】
前記ダンパー210は、前記振動子アレイ200を駆動させて超音波ビームを被検体に送信した後に、前記振動子アレイ200の自由振動を抑制するものである。また、前記ダンパー210は、吸音効果を有する材料を用いて構成され、前記ダンパー210から後方のプローブケーブル300との接続側への超音波の不必要な伝搬を抑制するようになっている。
【0021】
前記モーター220は、前記振動子アレイ200を、機械的に前記振動子200aの配列方向(前記第一方向a)と直交する第二方向bに移動させる。これにより、第二方向bにおいて、複数フレーム分のエコー信号が得られ、三次元領域Xについてのボリュームデータを得ることができるようになっている。
【0022】
ちなみに、超音波の送受信方向は、図2に示すように第三方向cとする。ここで、第一方向aと第二方向bとを含む平面をab平面と云い、第二方向bと第三方向cとを含む平面をbc平面と云い、第一方向aと第三方向cとを含む平面をac平面と云うものとする。
【0023】
ただし、前記超音波プローブ2はこのようなメカニカル3Dプローブに限られるものではなく、電子的に第一方向a及び第二方向bに走査を行なう3Dプローブであってもよい。
【0024】
前記送受信部3は、前記制御部8からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2を所定の走査条件で駆動させて音線毎の超音波の走査を行なう。本例では、前記送受信部3は、前記超音波プローブ2に、第一方向aへの電子的走査を行なわせ、また前記モーター220を駆動させて第二方向bへの機械的走査を行なわせる。
【0025】
また、送受信部3は、前記超音波プローブ2で受信したエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行なう。前記送受信部3で信号処理されたエコー信号は、前記Bモードデータ処理部4及び前記物理量データ処理部5に出力される。
【0026】
前記Bモードデータ処理部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、BモードデータBDを作成する。このBモードデータBDは、前記Bモードデータ処理部4から前記表示制御部6へ出力される。
【0027】
前記物理量データ処理部5は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに基づいて、生体組織における弾性に関する物理量データSDを作成する(物理量データ作成機能)。前記物理量データ処理部5は、例えば特開2008−126079号公報に記載されているように、二つのフレームにおける各音線上のエコーデータに相関ウィンドウを設定し、この相関ウィンドウ間で相関演算を行なって前記弾性に関する物理量を算出し、三次元領域Xにおける各面について前記物理量データSDを作成する。前記物理量データ処理部5は、前記物理量として、生体組織の変形による歪みSを算出する。詳細は後述する。
【0028】
前記物理量データSDは、弾性画像の作成に用いられるデータであり、本発明における弾性データの実施の形態の一例である。ちなみに、本発明において弾性データとは、弾性画像の作成に用いられるデータを云う。前記物理量データ処理部5は本発明における弾性データ作成部の実施の形態の一例であり、前記物理量データ作成機能は本発明における弾性データ作成機能の実施の形態の一例である。
【0029】
前記表示制御部6には、前記Bモードデータ処理部4からのBモードデータBD及び前記物理量データ処理部5からの物理量データSDが入力されるようになっている。前記表示制御部6は、図3に示すようにメモリ61、Bモード画像データ作成部62、弾性画像データ作成部63、表示画像制御部64、評価部65及びデータ置換部66を有している。
【0030】
前記メモリ61には、前記BモードデータBD及び前記物理量データSDが記憶される。前記BモードデータBD及び前記物理量データSDは、音線毎のデータとして前記メモリ61に記憶される。そして、このメモリ61には、三次元の走査領域における複数の走査面PのBモードデータBD及び前記物理量データSDが記憶される。
【0031】
ここで、前記メモリ61に記憶される前記物理量データSDとしては、前記データ置換部66によって前記置換データに置換されたデータが記憶される。従って、このような物理量データSDに基づいて後述のように作成された弾性画像は、生体組織の弾性を正確に反映した画像になる。
【0032】
前記メモリ61は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリで構成されている。ちなみに、前記BモードデータBD及び前記物理量データSDは、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される前記記憶部10にも記憶されるようになっていてもよい。
【0033】
ここで、後述のBモード画像データ及びカラー弾性画像データに変換される前のエコーデータをローデータ(Raw Data)と云うものとする。前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶されるBモードデータBD及び物理量データSDは、ローデータである。
【0034】
前記記憶部10には、ローデータとして前記送受信部3で整相加算されたエコーデータが記憶されるようになっていてもよい。
【0035】
前記Bモード画像データ作成部62は、前記BモードデータBDを、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。また、前記弾性画像データ作成部63は、前記物理量データSDを歪みSに応じた色相情報を有するカラー弾性画像データに変換する。ちなみに、前記Bモード画像データにおける輝度情報及び前記カラー弾性画像データにおける色相情報は所定の階調(例えば256階調)からなる。
【0036】
前記表示画像制御部64は、前記Bモード画像データ及び前記カラー弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部7に表示する二次元の超音波画像の画像データを作成する。この画像データは、図4に示すように白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された二次元の超音波画像Gとして前記表示部7に表示される。本例では、前記弾性画像EGは、関心領域R内に半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。
【0037】
前記Bモード画像BGと前記弾性画像EGとが合成された二次元の超音波画像Gは、超音波の送受信時にリアルタイムで表示される。また、このリアルタイムの超音波画像Gとは別に、前記表示画像制御部64は、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された物理量データに基づいて、図5に示すように、三次元の走査領域における直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3を表示させる。ここで、直交三断面とは前記ab平面、前記bc平面及び前記ac平面である。本例において、前記弾性画像EG1は前記ac平面についての画像であり、前記弾性画像EG2は前記bc平面についての画像であり、前記弾性画像EG3は前記ab平面についての画像である。
【0038】
また、前記表示画像制御部64は、特に図示しないが、前記メモリ61及び前記記憶部10に記憶された前記BモードデータBD及び前記物理量データSDに基づいて、直交三断面について、弾性画像とBモード画像とを合成した画像を表示させてもよい。
【0039】
また、前記表示画像制御部64は、特に図示しないが前記メモリ61及び前記記憶部10に記憶された物理量データSDに基づいて、三次元の弾性画像を作成して前記表示部7に表示してもよい(例えば、特開2008−259605)。
【0040】
前記評価部65は、三次元領域Xにおける各面の物理量データSDに対して表示価値の有無に関する評価を行なう(評価機能)。前記評価部65は、物理量データSDが生体組織の弾性をどれだけ正確に反映したものであるかを基に、表示価値の有無に関する評価を行なう。前記評価部65は、本発明における評価部の実施の形態の一例であり、前記評価機能は本発明における評価機能の実施の形態の一例である。
【0041】
具体的には、前記評価部65は、各面の物理量データSDにおける物理量の平均と、予め設定された物理量の平均値との比較結果(後述のクオリティ値Q)に基づいて評価を行なう。具体的には、前記評価部65は、図6に示すように、物理量平均部651、比算出部652及び判定部653を有する。前記物理量平均部651は、各走査面Pについて、前記歪みSの平均値SrAVを算出する。前記物理量平均部651は、弾性画像作成領域である前記関心領域Rについて各面毎に平均値SrAVを算出する。
【0042】
前記比算出部652は、前記平均値SrAVを、予め設定された物理量の平均値と比較する比較部を構成するものであり、予め設定された物理量の平均値に対する前記平均値SrAVの比Raを算出する。本例では、予め設定された物理量の平均値として、一つの面(一フレーム)についての歪みSの平均の理想値SiAVを用いる。従って、前記比算出部652は、前記比Raとして、歪みSの平均の理想値SiAVに対する前記平均値SrAVの比Raを算出する。さらに、前記比算出部652は、前記比Raを用いて、後述するように(式1)の演算を行なってクオリティ値Qを算出する。このクオリティ値Qは、各面の物理量データSDについて得られ、弾性画像が生体組織の弾性をどれだけより正確に反映したものであるかを示すものであり、後述するように前記判定部653による表示価値の有無の判定指標となる。
【0043】
ここで、前記理想値SiAVは、生体組織の弾性をより正確に反映した弾性画像を得ることができる強さで、超音波の送受信時に前記超音波プローブ2による生体組織への圧迫とその弛緩などによる変形を加えた場合に、任意に設定される領域において得られる歪みSの平均値である。この理想値SiAVは、例えば腫瘍と同じ硬さの部分や正常組織と同じ硬さの部分などからなるファントム等を対象として実験を行ない、経験上得られる値である。また、この理想値SiAVは、操作者が前記操作部9において設定できるようになっていてもよいし、デフォルトとして装置に記憶されていてもよい。
【0044】
前記判定部653は、前記クオリティ値Qに基づいて、前記物理量データSDについて表示価値の有無を判定する。ここで、表示価値の有無とは、後述するように、物理量データSDに基づいて作成されるカラー弾性画像データに基づく弾性画像の表示価値の有無のことである。
【0045】
前記データ置換部66は、一の面において、前記評価部65により表示価値が無いと評価された前記物理量データSDを、他の面において表示価値が有ると評価された物理量データに基づく置換データに置換する(データ置換機能)。前記データ置換部66は、面単位で置換を行なう。詳細は後述する。前記データ置換部66は、本発明におけるデータ置換部の実施の形態の一例であり、前記データ置換機能は本発明におけるデータ置換機能の実施の形態の一例である。
【0046】
前記表示部7は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記表示部7は、本発明における表示部の実施の形態の一例である。前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、前記記憶部10に記憶された制御プログラムを読み出し、前記物理量データ作成機能、前記評価機能及び前記データ置換機能をはじめとする前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0047】
前記操作部9は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0048】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。この超音波診断装置1においては、超音波の送受信時におけるリアルタイムの超音波画像G(図4参照)の表示と、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された物理量データSDに基づく直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3(図5参照)の表示とが行なわれる。
【0049】
先ず、リアルタイムの超音波画像Gの表示について説明する。前記送受信部3は、前記超音波プローブ2から被検体の生体組織へ超音波を送信させ、そのエコー信号を取得する。この時、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なう。生体組織を変形させる手法としては、例えば前記超音波プローブ2により、被検体への圧迫とその弛緩を繰り返す手法や、前記超音波プローブ2により被検体へ音響放射圧を加える手法などが挙げられる。また、前記超音波プローブ2は、三次元領域について超音波の走査を行なう。
【0050】
超音波の送受信により得られたエコー信号は前記送受信部3で信号処理された後、前記Bモードデータ処理部4及び前記物理量データ処理部5に入力される。そして、前記Bモードデータ処理部4は前記BモードデータBDの作成を行ない、前記物理量データ処理部5は前記物理量データSDの作成を行なう。前記BモードデータBD及び前記物理量データSDは前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶される。
【0051】
ここで、前記物理量データSDの作成について詳細に説明する。前記物理量データ処理部5は、図7に示すように、隣り合う二フレームのエコーデータeD1,eD2に基づいて、前記三次元領域Xにおける一つの面の物理量データSDを作成する。前記物理量データ処理部5は、前記エコーデータeD1,eD2にあって、第一方向aにおいて同一座標の音線上のデータに基づいて歪みSを算出して物理量データSDの作成を行なう。
【0052】
より詳細には、前記物理量データ処理部5は、前記エコーデータeD1,eD2のそれぞれに相関ウィンドウを設定する。具体的には、前記物理量データ処理部5は、図8に示すように前記エコーデータeD1に相関ウィンドウW1を設定し、前記エコーデータeD2に属するエコーデータに相関ウィンドウW2を設定する。そして、前記物理量データ処理部5は、前記相関ウィンドウW1,W2間で相関演算を行なって歪みSを算出する。一対の前記相関ウィンドウW1,W2からは、一座標点分の歪みSのデータが得られ、この歪みSのデータを一フレーム分作成することにより、生体組織における各部の歪みSのデータからなる一フレーム分の物理量データSDが得られる。ちなみに、一座標点は一画素に対応する。
【0053】
さらに具体的に説明すると、図8において、前記エコーデータeD1,eD2は、複数本の音線上において取得されたエコーデータからなる。図8では、前記エコーデータeD1における複数本の音線の一部として、五本の音線L1a,L1b,L1c,L1d,L1eが示され、また前記エコーデータeD2において前記音線L1a〜L1eに対応する音線として、音線L2a,L2b,L2c,L2d,L2eが示されている。すなわち、前記音線L1a及び前記音線L2a、前記音線L1b及び前記音線L2b、前記音線L1c及び前記音線L2c、前記音線L1d及び前記音線L2d、前記音線L1e及び前記音線L2eは、異なる二つのフレームにあって第一方向aにおいて同一座標の音線に該当する。また、図8においてR(i),R(ii)は、前記関心領域Rに対応する領域を示している。
【0054】
例えば、前記音線L1c上のエコーデータに、前記相関ウィンドウW1として相関ウィンドウW1cが設定され、前記音線L2c上のエコーデータに、前記相関ウィンドウW2として相関ウィンドウW2cが設定されたとする。前記物理量データ処理部5は、前記相関ウィンドウW1c,W2c間で相関演算を行ない、歪みSを算出する。前記物理量データ処理部5は、前記音線L1c,L2c上において、前記領域R(i),R(ii)の上端100から下端101まで相関ウィンドウW1c,W2cを順次設定し、歪みSを算出する。また、前記物理量データ処理部5は、前記領域R(i),R(ii)内の他の音線についても同様にして歪みSを算出する。これにより、歪みSのデータからなる一フレーム分の物理量データSDが得られる。
【0055】
ちなみに、前記相関ウィンドウは、一音線上の複数のエコーデータに対して一つ設定される。
【0056】
前記BモードデータBD及び前記物理量データSDが得られると、前記Bモード画像データ作成部62がBモード画像データを作成し、前記弾性画像データ作成部63がカラー弾性画像データを作成する。そして、前記表示画像制御部64が図4に示すように白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された二次元の超音波画像Gを前記表示部7に表示させる。
【0057】
次に、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された前記物理量データSDに基づく直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3の表示について説明する。これら直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3は、三次元領域Xの各面について前記BモードデータBD及び前記物理量データSDが得られ、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された後に表示される。
【0058】
前記弾性画像EG1,EG2,EG3が表示される時は、前記弾性画像データ作成部63は、前記評価部65により表示価値が無いと評価された物理量データSDが、前記データ置換部66により、置換データRDに置換された物理量データSD′に基づいて前記カラー弾性画像データの作成を行なう。
【0059】
ここで、前記評価部65による表示価値の有無に関する評価と、前記データ置換部66による置換データRDへの置換について詳しく説明する。先ず、前記評価部65による評価について説明する。前記評価部65における前記物理量平均部651は、前記各面の前記物理量データについて、前記関心領域Rにおける歪みの平均値SrAVを算出する。前記物理量平均部651は、前記平均値SrAVとして、相関係数Cが所定の閾値CTH以上である相関演算が行なわれた相関ウィンドウを選択してその歪みSの平均値を算出してもよい。
【0060】
ちなみに、歪みSは負になることもあることから、前記平均値SrAVは負になることもあるものとする。次に、前記比算出部652が、SrAV/SiAVの演算を行ない、前記比Raを算出する。さらに、前記比算出部652は、前記比Raを次の(式1)に代入し、数値Yを得る。
Y=1.0−|log10|Ra||・・・(式1)
この(式1)によって得られるYは、面単位で得られる値であり、前記クオリティ値Qの一例である。
【0061】
前記(式1)は、前記比Raを0から1までの範囲にするためのものであり、この(式1)で得られるYは、前記理想値SiAVに対する平均値SrAVの比と同等である。この(式1)で表される関数をグラフで表すと、図9に示すグラフとなる。この図9に示すように、0≦Y≦1となる。
【0062】
また、0.1≦|Ra|≦10であるものとし、|Ra|がこの範囲を超えた場合、Yは零とする。
【0063】
0≦Y≦1であるため、0≦Q≦1となる。クオリティ値Qが1に近くなるほど、弾性画像のクオリティとしては良好であることを意味し、一方でクオリティ値Qが0に近くなるほど、弾性画像のクオリティとしては悪くなることを意味する。ここで、弾性画像のクオリティが良好であるとは、生体組織の弾性をより正確に反映した弾性画像であることを意味し、一方で弾性画像のクオリティが悪いとは、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像ではないことを意味する。
【0064】
クオリティ値Qと弾性画像のクオリティとの関係についてより詳細に説明すると、図9のグラフから分かるように、前記平均値SrAVが前記理想値SiAVと等しい場合(すなわち、|Ra|が1)、Yすなわちクオリティ値Qは1となる。従って、クオリティ値Qが1、または1に近い値であれば、前記超音波プローブ2による生体組織に対する変形の度合いが適切であり、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像が得られていることになる。
【0065】
一方で、前記平均値SrAVが前記理想値SiAVと離れた値になるほど(すなわち、|Ra|が1から離れた値になるほど)、クオリティ値Qは零に近づく。ここで、前記平均値SrAVが前記理想値SiAVと離れた値になるということは、前記超音波プローブ2による生体組織に対する変形の度合いが足りない、または過剰であることを意味する。従って、クオリティ値Qが零に近づくほど、生体組織に対する変形の度合いが足りないか、または過剰である結果、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像が得られていないことになる。
【0066】
前記判定部653は、前記クオリティ値Qに基づいて表示価値の有無を判定する。前記クオリティ値Qは三次元領域Xにおける各面毎に算出されるので、表示価値の有無も面毎に判定される。
【0067】
前記判定部653は、ある面についての物理量データSDの前記クオリティ値Qが閾値QTH以上であれば、その面の物理量データは表示価値が有ると判定する。一方、前記判定部653は、前記クオリティ値Qが前記閾値QTH未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0068】
前記判定部653により表示価値が無いと判定された物理量データSDについては、前記データ置換部66が置換データRDへの置換を行なう。詳細に説明すると、ある面Peの物理量データSDについて表示価値がないと判定された場合、前記データ置換部66は、前記表示価値が有ると判定された物理量データSDであって、前記面Peと最も近い面を含む複数面の物理量データSDを重み付け加算して得られた置換データRDに置換する。例えば、図10に示すように、面P1,P2,P3,P4,P5のうち、面P1,P2,P4,P5の物理量データSD1,SD2,SD4,SD5は表示価値が有ると判定されたデータであり、面P3の物理量データSD3は表示価値が無いと判定されたデータであるものとする。前記データ置換部66は、下記の(式2)に示すように、前記面P2の物理量データSD2と前記面P4の物理量データSD4とを重み付け加算して置換データRDを作成する。
RD=k1×SD2+k2×SD4・・・(式2)
ただし、上記(式2)において、k1,k2は重み付け係数である。
【0069】
ちなみに、前記データ置換部64は、前記物理量データSD2,SD4のほかに、前記物理量データSD1,SD5も重み付け加算の対象に加えてもよい。
【0070】
前記データ置換部64により、三次元の走査領域内において、表示価値が無いと評価された物理量データSDの全てが置換された物理量データSD′(ボリュームデータ)が作成されると、前記弾性画像データ作成部63は、この物理量データSD′に基づいて直交三断面についての弾性画像データを作成し、前記表示画像制御部64は、この弾性画像データに基づく前記弾性画像EG1,EG2,EG3を前記表示部7に表示させる。
【0071】
本例の超音波診断装置1によれば、前記データ置換部66により、表示価値が無いと評価された物理量データSDが前記置換データRDに置換されて前記物理量データSD′が作成され、この物理量データSD′に基づく弾性画像ED1,ED2,ED3が前記表示部7に表示されるので、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を表示させることができる。
【0072】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明すると、前記データ置換部66は、前記判定部653により表示価値が有ると判定された物理量データSDであって、物理量データSDについて表示価値が無いと評価された前記面Peと最も近い面の物理量データSDを前記置換データRDとしてもよい。例えば、上述の図10において、前記物理量データSD2又は前記物理量データSD4を前記置換データSDとしてもよい。
【0073】
次に、第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記評価部65は、図11に示すように、前記物理量平均部651、前記比算出部652、前記判定部653の他、相関係数平均部654及び乗算部655を有している。
【0074】
前記相関係数平均部654は、各面の物理量データSDにおける相関係数Cの平均値CAVを算出する。ここで、相関係数Cは、前記各相関ウィンドウにおいて歪みSを算出する相関演算において算出されるものであり、0≦C≦1である。相関係数が1に近づくほど、その相関演算により、生体組織の弾性をより正確に反映した歪みSが得られる。
【0075】
前記物理量平均部651は、相関係数Cが所定の閾値CTH以上である相関演算が行なわれた相関ウィンドウを選択してその歪みSの平均値SrAVを算出し、前記比算出部652が、前記平均値SrAVを用いて前記比Raを算出し、前記(式1)からYを算出する。
【0076】
そして、前記乗算部655は、前記相関係数平均部654で得られた相関係数Cの平均値CAVと、前記比算出部652で得られた算出値Yとを乗算し、乗算値Mを算出する。ここでは、この乗算値Mをクオリティ値Qnとし、前記判定部653による表示価値の有無の判定指標とする。
【0077】
ここで、相関係数Cは、0≦C≦1なので、0≦CAV≦1であり、また、0≦Y≦1であるので、0≦M≦1となる。従って、本例においても、0≦Qn≦1である。前記乗算値Mは、前記算出値Yと前記相関係数Cの平均値CAVとの乗算値であるため、乗算値M、すなわちクオリティ値Qnが1に近づくほど弾性画像のクオリティが良好になり、一方でQnが零に近づくほど弾性画像のクオリティが悪くなる。
【0078】
ここで、前記乗算部655は、前記算出値Yと前記相関係数Cの平均値CAVとを乗算する時に、重み付けをして乗算してもよい。
【0079】
本例においても、前記判定部653は前記クオリティ値Qが閾値QTH以上であれば、表示価値が有ると判定し、一方で前記クオリティ値Qが前記閾値QTH未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0080】
次に、第三変形例について説明する。この第三変形例では、前記評価部65は、図12に示すように、前記判定部653及び前記相関係数平均部654を有する。本例では、前記判定部653は、前記相関係数平均部654で算出された相関係数Cの平均値CAVに基づいて、各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。具体的には、前記判定部653は、前記平均値CAVが所定の閾値以上であれば表示価値が有ると判定し、一方で前記平均値CAVが前記所定の閾値未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0081】
次に、第四変形例について説明する。この第四変形例では、前記評価部65は、図13に示すように、前記判定部653と符号割合算出部656とを有する。
【0082】
ここで、歪みSは、生体組織の変形方向に応じた正負の符合を伴って算出される。例えば、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩を行ないながら超音波の送受信を行なう場合、圧迫方向を正方向とすると、前記超音波プローブ2による圧迫時に取得されたエコー信号に基づいて算出される歪みSは正の符号を伴って算出され、一方で弛緩時に取得されたエコー信号に基づいて算出される歪みSは負の符号を伴って算出される。前記符号割合算出部656は、各走査面Pについて歪みSの正の符号と負の符号との比を算出する。
【0083】
ここで、歪みSの正負の符号の割合と弾性画像のクオリティとの関係について説明する。例えば、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩が適切になされていれば、歪みSの符合の割合としては、正又は負のいずれか一方の符合の割合が大きくなる(すなわち、正と負の比が大きくなる)。しかし、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩の方向が適切でなく、生体組織に横ずれなどが生じている場合には、歪みSの符合の割合は、正又は負のいずれか一方に偏らず、双方の符号の割合が拮抗したものになってくる(すなわち、正と負の比が小さくなる)。
【0084】
従って、前記判定部653は、前記符号割合算出部656によって算出された符号の比に基づいて、各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。具体的には、前記判定部653は、符号の比が所定の閾値以上であれば、表示価値が有ると判定し、一方で符号の比が前記所定の閾値未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0085】
次に、第五変形例について説明する。この第五変形例では、前記評価部65は、図14に示すように、前記物理量平均部651と前記判定部653とを有する。本例では、前記判定部653は、前記物理量平均部651によって算出された歪みの平均値SrAVに基づいて、前記各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。例えば、前記判定部653は、前記平均値SrAVが所定の範囲内にあるか否か、すなわちs1≦SrAV≦s2であるか否かを判定する。ここで、前記s1,s2は、例えば生体組織の弾性を考慮して通常考えられる歪み値に設定されるものであり、著しく逸脱した歪み値をエラーとするような値に設定される。s1≦SrAV≦s2である物理量データSDであれば、所定の画質の弾性画像を得ることができる。従って、前記判定部653は、s1≦SrAV≦s2であれば前記物理量データSDについて表示価値が有ると判定し、一方でs1>SrAV又はs2<SrAVであれば、前記物理量データSDについて表示価値が無いと判定する。
【0086】
ちなみに、この第五変形例において、各面について歪みSの合計値を算出し、この合計値を歪みの平均値SrAVの代わりに用いてもよい。この場合、前記評価部65は、図15に示すように、前記判定部653と合計値算出部657を有する。この合計値算出部657は、座標点ごとの歪みSの合計値を各面について算出する。そして、前記判定部653は前記歪みSの合計値が所定の範囲内であれば表示価値があると判定し、一方で所定の範囲外であれば表示価値が無いと判定する。
【0087】
次に、第六変形例について説明する。この第六変形例では、前記評価部65は、図16に示すように、前記判定部653とエラー特定部658とを有する。
【0088】
前記エラー特定部658は、各座標点の前記歪みSについてエラーか否かを判定する。具体的には、前記エラー特定部658は、歪みSが予め設定された所定の範囲外になっている場合、すなわち歪みSが、s1≦S≦s2を満たさない場合に、エラーと判定する。
【0089】
ここで、前記エラー特定部658は、歪みSが所定の閾値STH以下になっている場合にエラーと判定してもよい。言い換えれば、前記エラー特定部658は、所定の前記超音波プローブ2で取得されたエコー信号の振幅が所定以下である部分に相当する画素をエラーとしてもよい。
【0090】
ちなみに、例えば、前記超音波プローブ2から送信された超音波の反射が無いか、或いは反射が少ない場合のエコー信号は、歪みSを適切に算出できる信号ではなく、所定の画質の弾性画像を得ることができるものではない。従って、前記所定の閾値STHは、エコー信号の振幅がほとんど無いようなエコー信号に基づいて算出された比較的低い歪み値に設定される。
【0091】
また、前記エラー特定部658は、各座標点毎の相関演算で得られた相関係数Cについてエラーか否かを判定してもよい。具体的には、前記エラー特定部658は、前記相関ウィンドウW1,W2間の相関演算で得られた相関係数Cが所定の閾値以下である場合にエラーと判定する。ここで、相関係数Cが1に近いほど、生体組織の弾性を正確に反映した歪みSが得られる。前記閾値は、生体組織の弾性をある程度正確に反映した歪みSが算出される相関演算で得られる相関係数の値に設定される。言い換えれば、前記閾値を超える相関係数の相関演算によって歪みSが算出されれば、所定の画質の弾性画像が得られる。
【0092】
前記エラー特定部658は、各面についてエラー数を算出する。そして、前記判定部653は、エラー数に基づいて、各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。具体的には、前記判定部653は、エラー数が所定の閾値未満であれば表示価値が有ると判定し、一方でエラー数が所定の閾値以上であれば表示価値が無いと判定する。
【0093】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、以下の説明では、第一実施形態と異なる事項について説明する。
【0094】
本例においては、前記評価部65は、図17に示すように、前記判定部653のみを有する。本例では、この判定部653は面単位での表示価値の有無の判定ではなく、座標点毎に表示価値の有無の判定を行なう。そして、前記データ置換部66は、表示価値が無いと判定された座標点の物理量データSDを置換データRDに置換する。本例では、この置換データRDは、表示価値が有ると評価された物理量データSDのうち、表示価値が無いと評価されたものと最も距離が近い物理量データSDに置換する。前記データ置換部66は、三次元領域X内において、表示価値が無いと判定された全ての座標点の物理量データSDを前記置換データRDに置換して物理量データSD′を作成する。
【0095】
具体的に表示価値の有無の判定及び物理量データの置換について説明する。前記判定部653は、座標点ごとの前記物理量データSDに対して、歪みSを算出する際の相関演算において得られた相関係数Cに基づいて、「H(High)」、「M(Middle)」、「L(Low)」の三段階で評価する。具体的には、図18に示すように、相関係数Cが所定値Ca未満である場合は「L」、所定値Ca以上Cb未満である場合は「M」、所定値Cb以上である場合は「H」とする。
【0096】
相関係数Cは0≦C≦1であり、1に近づくほど、生体組織の弾性をより正確に表わしている物理量データである。そして、Ca<Cbであるものとし、「L」、「M」、「H」の順で良好な評価、すなわち生体組織の弾性をより正確に反映している物理量データであるものとする。前記判定部653は、「L」の評価である物理量データSDを表示価値が無いと判定し、前記データ置換部66は、「L」の評価である物理量データSDを、置換データRDに置換する。置換データRDは、「L」の評価である物理量データSDと最も距離が近い物理量データSDであって、「H」の評価の物理量データである。ここで、距離とは生体組織における距離を意味する。
【0097】
例えば、互いに隣り合う面Pn、P(n+1)における一部の物理量データSDの評価が図19に示すものであったとする。ちなみに、前記面Pn、P(n+1)は互いに隣り合う面である。また、各升目が物理量データSDを意味するものとし、縦方向の升目は音線方向に沿ったものであるとする。従って、図19には隣り合う走査面について三音線分の一部の物理量データが示されている。
【0098】
前記走査面Pnの物理量データSDのうち、図19においてドットで示した物理量データSD1に注目すると、この物理量データSD1の評価は「L」である。この物理量データSD1と同一音線上であって、評価が「H」である物理量データSD2が、前記物理量データSD1と最も距離が近い物理量データであるとすると、前記物理量データSD2が前記置換データRDとなり、前記物理量データSD1と置換される。また、前記走査面P(n+1)における物理量データであって、前記物理量データSD1とac平面における座標が同一の座標の物理量データSD3の評価が「H」であり、この物理量データSD3が前記物理量データSD1と最も距離が近い場合、前記物理量データSD3が前記置換データRDとなり、前記物理量データSD1と置換される。
【0099】
また、図20に示すように、前記物理量データSD2及び前記物理量データSD3の評価が「M」であった場合、評価が「H」である物理量データSDのうち前記物理量データSD1と最も距離が近い物理量データSDが前記置換データRDとなる。図20では、前記走査面Pnにおける前記物理量データSD1の音線と隣り合う音線において、この物理量データSD1とc方向において座標が同じ(深さ位置が同じ)である物理量データSD4,5の評価が「H」になっている。また、前記物理量データSD3と同一音線上にあって、この物理量データSD3と隣り合う物理量データSD6の評価も「H」になっている。この場合において、隣り合う音線同士の距離よりも隣り合う走査面同士の距離の方が小さいとすると、前記物理量データSD4,5よりも前記物理量データSD6の方が、前記物理量データSD1との距離が小さくなる。従って、前記物理量データSD6が前記置換データRDとなり、前記物理量データSD1と置換される。
【0100】
本例によれば、相関係数Cが低く生体組織の弾性を正確に反映していない物理量データSDが、より相関係数Cが高い物理量データSDに置換されることによって得られる物理量データSD′に基づく直交三断面の弾性画像が表示されるので、第一実施形態と同様に、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を表示させることができる。
【0101】
なお、前記判定部653は、「H」、「M」、「L」の三段階の評価ではなく、相関係数Cが閾値以上か閾値未満かの評価を行なうようにしてもよい。この場合、前記判定部653は、相関係数Cが所定の閾値未満である物理量データSDを表示価値が無いと判定し、前記データ置換部66は、前記置換データRDとして、相関係数が所定の閾値以上である物理量データSDを用いる。
【0102】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。この変形例において、前記データ置換部66は、表示価値が無いと判定された物理量データSDを、表示価値が有ると評価された複数の座標点の物理量データを重み付け加算して得られた置換データRDに置換する。この置換データRDは、表示価値が有ると評価された物理量データSDのうち、表示価値が無いと評価された物理量データSD(置換されるデータ)と最も距離が近い物理量データSDを含む物理量データSDを重み付け加算して得られたデータである。
【0103】
例えば、上述の図19において、評価が「H」である物理量データSDのうち、前記物理量データSD1と距離が近い順に所定数の物理量データを重み付け加算して得られたデータを前記置換データRDとする。例えば、前記物理量データSD1との距離が最も近い物理量データが前記物理量データSD2であり、その次に距離が近い物理量データが前記物理量データSD3である場合、前記物理量データSD2及び前記物理量データSD3を重み付け加算して得られたデータを前記置換データRDとする。このように、表示価値が有ると評価された物理量データSDを、表示価値が無いと評価された物理量データSDとの距離が近い順に所定数重み付け加算することにより置換データRDが得られる。そして、この置換データRDを用いて作成された前記物理量データSD′に基づく弾性画像も生体組織の弾性を正確に反映した画像になる。
【0104】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、上記実施形態においては、物理量データSDに対して表示価値の有無に関する評価を行ない、表示価値が無いと評価された物理量データを、表示価値が有ると評価された物理量データに基づく置換データに置換しているが、本発明はこれに限られるものではない。具体的には、物理量データではなく、カラー弾性画像データに対して表示価値の有無に関する評価を行ない、表示価値が無いと評価されたカラー弾性画像データを、表示価値が有ると評価された物理量データに基づく置換データに置換してもよい。
【0105】
また、前記物理量データ処理部5は、生体組織の弾性に関する物理量として、歪みの代わりに生体組織の変形による変位や弾性率などを算出してもよく、また他の公知の手法によって生体組織の弾性に関する物理量を算出してもよい。
【0106】
また、表示価値が無いと評価された物理量データSDが置換データRDに置換された前記物理量データSD′に基づく三次元の弾性画像が、前記弾性画像ED1,ED2,ED3の代わりに表示されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
5 物理量データ処理部(弾性データ作成部)
7 表示部
8 制御部(走査制御部)
65 評価部
66 データ置換部
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置及びその制御プログラムに関し、特に生体組織の弾性画像を表示する超音波診断装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のBモード画像と、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像とを合成して表示させる超音波診断装置が、例えば特許文献1などに開示されている。この種の超音波診断装置において、弾性画像は次のようにして作成される。先ず、生体組織に対し、例えば超音波プローブによる圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ってエコー信号を取得する。そして、得られたエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出し、この物理量を色相情報に変換してカラーの弾性画像を作成する。ちなみに、生体組織の弾性に関する物理量としては、例えば生体組織の歪みなどを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−118152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、直交三断面の弾性画像や三次元の弾性画像を表示しようとする場合には、三次元領域における超音波の走査、すなわち超音波振動子の配列方向への超音波の走査と、前記配列方向と直交する方向への超音波の走査とを行なって、三次元データを取得する。そして、三次元領域における各面について物理量を算出して物理量データを作成し、この物理量データに基づく弾性画像を表示する。
【0005】
しかし、算出された前記物理量が生体組織の弾性を正確に反映していない場合がある。例えば、圧迫動作から弛緩動作に変わる時、或いはその反対に弛緩動作から圧迫動作に変わる時は、圧迫動作も弛緩動作もなされない瞬間が存在することがある。このように生体組織の変形が不十分な場合には、生体組織の弾性を正確に反映した物理量を算出することができず、例えばある面について生体組織の弾性を正確に反映していない画像が表示されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブと、この超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成部と、前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価部と、一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記評価部は、前記弾性データに対して各面毎に評価を行ない、前記データ置換部は、面単位で前記弾性データの置換を行なうことを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第3の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面を含む複数面の弾性データを重み付け加算して得られたデータであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第4の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面の弾性データであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第5の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記評価部は、前記弾性データに対して各座標点毎に評価を行ない、前記データ置換部は、座標点単位で前記弾性データの置換を行なうことを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第6の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された複数の座標点の弾性データを重み付け加算して得られたデータであって、前記複数の座標点の弾性データには、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データが含まれることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第7の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第8の観点の発明は、第1〜7のいずれか一の観点の発明において、前記弾性データ及び前記置換データに基づいて作成された弾性画像を表示する表示部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第9の観点の発明は、コンピュータに、三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成機能と、前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価機能と、一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換機能と、を実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
上記観点の発明によれば、前記評価部により、前記三次元領域における各面の弾性データに対して表示価値の有無に関する評価が行なわれ、前記データ置換部により、一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データが、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに置換される。従って、生体組織の弾性を正確に反映した弾性データを得ることができない面については、前記置換データに基づく弾性画像を表示させることにより、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の超音波プローブの概略構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】Bモード画像と弾性画像とが合成された超音波画像が表示された表示部を示す図である。
【図5】直交三断面の弾性画像が表示された表示部を示す図である。
【図6】図3に示す表示制御部における評価部の構成を示すブロック図である。
【図7】物理量データの作成の説明図である。
【図8】物理量フレームデータを作成する際における物理量の算出を説明するための図である。
【図9】比算出部で用いられる関数のグラフを示す図である。
【図10】置換データへの置換の説明図である。
【図11】第一実施形態の第二変形例における評価部のブロック図である。
【図12】第一実施形態の第三変形例における評価部のブロック図である。
【図13】第一実施形態の第四変形例における評価部のブロック図である。
【図14】第一実施形態の第五変形例における評価部のブロック図である。
【図15】第一実施形態の第五変形例における評価部の他例を示すブロック図である。
【図16】第一実施形態の第六変形例における評価部のブロック図である。
【図17】第二実施形態における評価部のブロック図である。
【図18】相関係数に基づく物理量データの評価の一例を説明するための図である。
【図19】物理量データの置換を説明するための物理量データの概念図である。
【図20】物理量データの置換を説明するための他の物理量データの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について図1〜図10に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモードデータ処理部4、物理量データ処理部5、表示制御部6、表示部7、制御部8、操作部9及び記憶部10を備える。
【0018】
前記超音波プローブ2は、生体組織に対して超音波を送信しそのエコーを受信する。前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例である。この超音波プローブ2を生体組織の表面に当接させた状態で圧迫と弛緩を繰り返したり、この超音波プローブ2から生体組織へ音響放射圧を加えたりして、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なって取得されたエコー信号に基づいて、後述のように弾性画像が作成される。
【0019】
前記超音波プローブ2の概略構成について図2に基づいて説明する。前記超音波プローブ2は、メカニカル3Dプローブであり、振動子アレイ200、ダンパー210、モーター220を有し、これらを保護ケース230に収容することにより構成されている。前記振動子アレイ200は、例えばPZT(チタン(Ti)酸ジルコン(Zr)酸鉛)セラミックス等の圧電材料によって形成される複数の振動子200aが、第一方向aに沿って配列されることにより構成されている。かかる振動子アレイ200の一部の振動子200aを複数駆動することにより、超音波ビームが送信されるようになっている。そして、駆動する振動子200aを順次切り換えることにより、第一方向aに電子的走査を行い、一フレーム分のエコー信号が得られるようになっている。
【0020】
前記ダンパー210は、前記振動子アレイ200を駆動させて超音波ビームを被検体に送信した後に、前記振動子アレイ200の自由振動を抑制するものである。また、前記ダンパー210は、吸音効果を有する材料を用いて構成され、前記ダンパー210から後方のプローブケーブル300との接続側への超音波の不必要な伝搬を抑制するようになっている。
【0021】
前記モーター220は、前記振動子アレイ200を、機械的に前記振動子200aの配列方向(前記第一方向a)と直交する第二方向bに移動させる。これにより、第二方向bにおいて、複数フレーム分のエコー信号が得られ、三次元領域Xについてのボリュームデータを得ることができるようになっている。
【0022】
ちなみに、超音波の送受信方向は、図2に示すように第三方向cとする。ここで、第一方向aと第二方向bとを含む平面をab平面と云い、第二方向bと第三方向cとを含む平面をbc平面と云い、第一方向aと第三方向cとを含む平面をac平面と云うものとする。
【0023】
ただし、前記超音波プローブ2はこのようなメカニカル3Dプローブに限られるものではなく、電子的に第一方向a及び第二方向bに走査を行なう3Dプローブであってもよい。
【0024】
前記送受信部3は、前記制御部8からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2を所定の走査条件で駆動させて音線毎の超音波の走査を行なう。本例では、前記送受信部3は、前記超音波プローブ2に、第一方向aへの電子的走査を行なわせ、また前記モーター220を駆動させて第二方向bへの機械的走査を行なわせる。
【0025】
また、送受信部3は、前記超音波プローブ2で受信したエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行なう。前記送受信部3で信号処理されたエコー信号は、前記Bモードデータ処理部4及び前記物理量データ処理部5に出力される。
【0026】
前記Bモードデータ処理部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、BモードデータBDを作成する。このBモードデータBDは、前記Bモードデータ処理部4から前記表示制御部6へ出力される。
【0027】
前記物理量データ処理部5は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに基づいて、生体組織における弾性に関する物理量データSDを作成する(物理量データ作成機能)。前記物理量データ処理部5は、例えば特開2008−126079号公報に記載されているように、二つのフレームにおける各音線上のエコーデータに相関ウィンドウを設定し、この相関ウィンドウ間で相関演算を行なって前記弾性に関する物理量を算出し、三次元領域Xにおける各面について前記物理量データSDを作成する。前記物理量データ処理部5は、前記物理量として、生体組織の変形による歪みSを算出する。詳細は後述する。
【0028】
前記物理量データSDは、弾性画像の作成に用いられるデータであり、本発明における弾性データの実施の形態の一例である。ちなみに、本発明において弾性データとは、弾性画像の作成に用いられるデータを云う。前記物理量データ処理部5は本発明における弾性データ作成部の実施の形態の一例であり、前記物理量データ作成機能は本発明における弾性データ作成機能の実施の形態の一例である。
【0029】
前記表示制御部6には、前記Bモードデータ処理部4からのBモードデータBD及び前記物理量データ処理部5からの物理量データSDが入力されるようになっている。前記表示制御部6は、図3に示すようにメモリ61、Bモード画像データ作成部62、弾性画像データ作成部63、表示画像制御部64、評価部65及びデータ置換部66を有している。
【0030】
前記メモリ61には、前記BモードデータBD及び前記物理量データSDが記憶される。前記BモードデータBD及び前記物理量データSDは、音線毎のデータとして前記メモリ61に記憶される。そして、このメモリ61には、三次元の走査領域における複数の走査面PのBモードデータBD及び前記物理量データSDが記憶される。
【0031】
ここで、前記メモリ61に記憶される前記物理量データSDとしては、前記データ置換部66によって前記置換データに置換されたデータが記憶される。従って、このような物理量データSDに基づいて後述のように作成された弾性画像は、生体組織の弾性を正確に反映した画像になる。
【0032】
前記メモリ61は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリで構成されている。ちなみに、前記BモードデータBD及び前記物理量データSDは、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される前記記憶部10にも記憶されるようになっていてもよい。
【0033】
ここで、後述のBモード画像データ及びカラー弾性画像データに変換される前のエコーデータをローデータ(Raw Data)と云うものとする。前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶されるBモードデータBD及び物理量データSDは、ローデータである。
【0034】
前記記憶部10には、ローデータとして前記送受信部3で整相加算されたエコーデータが記憶されるようになっていてもよい。
【0035】
前記Bモード画像データ作成部62は、前記BモードデータBDを、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。また、前記弾性画像データ作成部63は、前記物理量データSDを歪みSに応じた色相情報を有するカラー弾性画像データに変換する。ちなみに、前記Bモード画像データにおける輝度情報及び前記カラー弾性画像データにおける色相情報は所定の階調(例えば256階調)からなる。
【0036】
前記表示画像制御部64は、前記Bモード画像データ及び前記カラー弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部7に表示する二次元の超音波画像の画像データを作成する。この画像データは、図4に示すように白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された二次元の超音波画像Gとして前記表示部7に表示される。本例では、前記弾性画像EGは、関心領域R内に半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。
【0037】
前記Bモード画像BGと前記弾性画像EGとが合成された二次元の超音波画像Gは、超音波の送受信時にリアルタイムで表示される。また、このリアルタイムの超音波画像Gとは別に、前記表示画像制御部64は、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された物理量データに基づいて、図5に示すように、三次元の走査領域における直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3を表示させる。ここで、直交三断面とは前記ab平面、前記bc平面及び前記ac平面である。本例において、前記弾性画像EG1は前記ac平面についての画像であり、前記弾性画像EG2は前記bc平面についての画像であり、前記弾性画像EG3は前記ab平面についての画像である。
【0038】
また、前記表示画像制御部64は、特に図示しないが、前記メモリ61及び前記記憶部10に記憶された前記BモードデータBD及び前記物理量データSDに基づいて、直交三断面について、弾性画像とBモード画像とを合成した画像を表示させてもよい。
【0039】
また、前記表示画像制御部64は、特に図示しないが前記メモリ61及び前記記憶部10に記憶された物理量データSDに基づいて、三次元の弾性画像を作成して前記表示部7に表示してもよい(例えば、特開2008−259605)。
【0040】
前記評価部65は、三次元領域Xにおける各面の物理量データSDに対して表示価値の有無に関する評価を行なう(評価機能)。前記評価部65は、物理量データSDが生体組織の弾性をどれだけ正確に反映したものであるかを基に、表示価値の有無に関する評価を行なう。前記評価部65は、本発明における評価部の実施の形態の一例であり、前記評価機能は本発明における評価機能の実施の形態の一例である。
【0041】
具体的には、前記評価部65は、各面の物理量データSDにおける物理量の平均と、予め設定された物理量の平均値との比較結果(後述のクオリティ値Q)に基づいて評価を行なう。具体的には、前記評価部65は、図6に示すように、物理量平均部651、比算出部652及び判定部653を有する。前記物理量平均部651は、各走査面Pについて、前記歪みSの平均値SrAVを算出する。前記物理量平均部651は、弾性画像作成領域である前記関心領域Rについて各面毎に平均値SrAVを算出する。
【0042】
前記比算出部652は、前記平均値SrAVを、予め設定された物理量の平均値と比較する比較部を構成するものであり、予め設定された物理量の平均値に対する前記平均値SrAVの比Raを算出する。本例では、予め設定された物理量の平均値として、一つの面(一フレーム)についての歪みSの平均の理想値SiAVを用いる。従って、前記比算出部652は、前記比Raとして、歪みSの平均の理想値SiAVに対する前記平均値SrAVの比Raを算出する。さらに、前記比算出部652は、前記比Raを用いて、後述するように(式1)の演算を行なってクオリティ値Qを算出する。このクオリティ値Qは、各面の物理量データSDについて得られ、弾性画像が生体組織の弾性をどれだけより正確に反映したものであるかを示すものであり、後述するように前記判定部653による表示価値の有無の判定指標となる。
【0043】
ここで、前記理想値SiAVは、生体組織の弾性をより正確に反映した弾性画像を得ることができる強さで、超音波の送受信時に前記超音波プローブ2による生体組織への圧迫とその弛緩などによる変形を加えた場合に、任意に設定される領域において得られる歪みSの平均値である。この理想値SiAVは、例えば腫瘍と同じ硬さの部分や正常組織と同じ硬さの部分などからなるファントム等を対象として実験を行ない、経験上得られる値である。また、この理想値SiAVは、操作者が前記操作部9において設定できるようになっていてもよいし、デフォルトとして装置に記憶されていてもよい。
【0044】
前記判定部653は、前記クオリティ値Qに基づいて、前記物理量データSDについて表示価値の有無を判定する。ここで、表示価値の有無とは、後述するように、物理量データSDに基づいて作成されるカラー弾性画像データに基づく弾性画像の表示価値の有無のことである。
【0045】
前記データ置換部66は、一の面において、前記評価部65により表示価値が無いと評価された前記物理量データSDを、他の面において表示価値が有ると評価された物理量データに基づく置換データに置換する(データ置換機能)。前記データ置換部66は、面単位で置換を行なう。詳細は後述する。前記データ置換部66は、本発明におけるデータ置換部の実施の形態の一例であり、前記データ置換機能は本発明におけるデータ置換機能の実施の形態の一例である。
【0046】
前記表示部7は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記表示部7は、本発明における表示部の実施の形態の一例である。前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、前記記憶部10に記憶された制御プログラムを読み出し、前記物理量データ作成機能、前記評価機能及び前記データ置換機能をはじめとする前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0047】
前記操作部9は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0048】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。この超音波診断装置1においては、超音波の送受信時におけるリアルタイムの超音波画像G(図4参照)の表示と、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された物理量データSDに基づく直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3(図5参照)の表示とが行なわれる。
【0049】
先ず、リアルタイムの超音波画像Gの表示について説明する。前記送受信部3は、前記超音波プローブ2から被検体の生体組織へ超音波を送信させ、そのエコー信号を取得する。この時、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なう。生体組織を変形させる手法としては、例えば前記超音波プローブ2により、被検体への圧迫とその弛緩を繰り返す手法や、前記超音波プローブ2により被検体へ音響放射圧を加える手法などが挙げられる。また、前記超音波プローブ2は、三次元領域について超音波の走査を行なう。
【0050】
超音波の送受信により得られたエコー信号は前記送受信部3で信号処理された後、前記Bモードデータ処理部4及び前記物理量データ処理部5に入力される。そして、前記Bモードデータ処理部4は前記BモードデータBDの作成を行ない、前記物理量データ処理部5は前記物理量データSDの作成を行なう。前記BモードデータBD及び前記物理量データSDは前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶される。
【0051】
ここで、前記物理量データSDの作成について詳細に説明する。前記物理量データ処理部5は、図7に示すように、隣り合う二フレームのエコーデータeD1,eD2に基づいて、前記三次元領域Xにおける一つの面の物理量データSDを作成する。前記物理量データ処理部5は、前記エコーデータeD1,eD2にあって、第一方向aにおいて同一座標の音線上のデータに基づいて歪みSを算出して物理量データSDの作成を行なう。
【0052】
より詳細には、前記物理量データ処理部5は、前記エコーデータeD1,eD2のそれぞれに相関ウィンドウを設定する。具体的には、前記物理量データ処理部5は、図8に示すように前記エコーデータeD1に相関ウィンドウW1を設定し、前記エコーデータeD2に属するエコーデータに相関ウィンドウW2を設定する。そして、前記物理量データ処理部5は、前記相関ウィンドウW1,W2間で相関演算を行なって歪みSを算出する。一対の前記相関ウィンドウW1,W2からは、一座標点分の歪みSのデータが得られ、この歪みSのデータを一フレーム分作成することにより、生体組織における各部の歪みSのデータからなる一フレーム分の物理量データSDが得られる。ちなみに、一座標点は一画素に対応する。
【0053】
さらに具体的に説明すると、図8において、前記エコーデータeD1,eD2は、複数本の音線上において取得されたエコーデータからなる。図8では、前記エコーデータeD1における複数本の音線の一部として、五本の音線L1a,L1b,L1c,L1d,L1eが示され、また前記エコーデータeD2において前記音線L1a〜L1eに対応する音線として、音線L2a,L2b,L2c,L2d,L2eが示されている。すなわち、前記音線L1a及び前記音線L2a、前記音線L1b及び前記音線L2b、前記音線L1c及び前記音線L2c、前記音線L1d及び前記音線L2d、前記音線L1e及び前記音線L2eは、異なる二つのフレームにあって第一方向aにおいて同一座標の音線に該当する。また、図8においてR(i),R(ii)は、前記関心領域Rに対応する領域を示している。
【0054】
例えば、前記音線L1c上のエコーデータに、前記相関ウィンドウW1として相関ウィンドウW1cが設定され、前記音線L2c上のエコーデータに、前記相関ウィンドウW2として相関ウィンドウW2cが設定されたとする。前記物理量データ処理部5は、前記相関ウィンドウW1c,W2c間で相関演算を行ない、歪みSを算出する。前記物理量データ処理部5は、前記音線L1c,L2c上において、前記領域R(i),R(ii)の上端100から下端101まで相関ウィンドウW1c,W2cを順次設定し、歪みSを算出する。また、前記物理量データ処理部5は、前記領域R(i),R(ii)内の他の音線についても同様にして歪みSを算出する。これにより、歪みSのデータからなる一フレーム分の物理量データSDが得られる。
【0055】
ちなみに、前記相関ウィンドウは、一音線上の複数のエコーデータに対して一つ設定される。
【0056】
前記BモードデータBD及び前記物理量データSDが得られると、前記Bモード画像データ作成部62がBモード画像データを作成し、前記弾性画像データ作成部63がカラー弾性画像データを作成する。そして、前記表示画像制御部64が図4に示すように白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された二次元の超音波画像Gを前記表示部7に表示させる。
【0057】
次に、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された前記物理量データSDに基づく直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3の表示について説明する。これら直交三断面の弾性画像EG1,EG2,EG3は、三次元領域Xの各面について前記BモードデータBD及び前記物理量データSDが得られ、前記メモリ61又は前記記憶部10に記憶された後に表示される。
【0058】
前記弾性画像EG1,EG2,EG3が表示される時は、前記弾性画像データ作成部63は、前記評価部65により表示価値が無いと評価された物理量データSDが、前記データ置換部66により、置換データRDに置換された物理量データSD′に基づいて前記カラー弾性画像データの作成を行なう。
【0059】
ここで、前記評価部65による表示価値の有無に関する評価と、前記データ置換部66による置換データRDへの置換について詳しく説明する。先ず、前記評価部65による評価について説明する。前記評価部65における前記物理量平均部651は、前記各面の前記物理量データについて、前記関心領域Rにおける歪みの平均値SrAVを算出する。前記物理量平均部651は、前記平均値SrAVとして、相関係数Cが所定の閾値CTH以上である相関演算が行なわれた相関ウィンドウを選択してその歪みSの平均値を算出してもよい。
【0060】
ちなみに、歪みSは負になることもあることから、前記平均値SrAVは負になることもあるものとする。次に、前記比算出部652が、SrAV/SiAVの演算を行ない、前記比Raを算出する。さらに、前記比算出部652は、前記比Raを次の(式1)に代入し、数値Yを得る。
Y=1.0−|log10|Ra||・・・(式1)
この(式1)によって得られるYは、面単位で得られる値であり、前記クオリティ値Qの一例である。
【0061】
前記(式1)は、前記比Raを0から1までの範囲にするためのものであり、この(式1)で得られるYは、前記理想値SiAVに対する平均値SrAVの比と同等である。この(式1)で表される関数をグラフで表すと、図9に示すグラフとなる。この図9に示すように、0≦Y≦1となる。
【0062】
また、0.1≦|Ra|≦10であるものとし、|Ra|がこの範囲を超えた場合、Yは零とする。
【0063】
0≦Y≦1であるため、0≦Q≦1となる。クオリティ値Qが1に近くなるほど、弾性画像のクオリティとしては良好であることを意味し、一方でクオリティ値Qが0に近くなるほど、弾性画像のクオリティとしては悪くなることを意味する。ここで、弾性画像のクオリティが良好であるとは、生体組織の弾性をより正確に反映した弾性画像であることを意味し、一方で弾性画像のクオリティが悪いとは、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像ではないことを意味する。
【0064】
クオリティ値Qと弾性画像のクオリティとの関係についてより詳細に説明すると、図9のグラフから分かるように、前記平均値SrAVが前記理想値SiAVと等しい場合(すなわち、|Ra|が1)、Yすなわちクオリティ値Qは1となる。従って、クオリティ値Qが1、または1に近い値であれば、前記超音波プローブ2による生体組織に対する変形の度合いが適切であり、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像が得られていることになる。
【0065】
一方で、前記平均値SrAVが前記理想値SiAVと離れた値になるほど(すなわち、|Ra|が1から離れた値になるほど)、クオリティ値Qは零に近づく。ここで、前記平均値SrAVが前記理想値SiAVと離れた値になるということは、前記超音波プローブ2による生体組織に対する変形の度合いが足りない、または過剰であることを意味する。従って、クオリティ値Qが零に近づくほど、生体組織に対する変形の度合いが足りないか、または過剰である結果、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像が得られていないことになる。
【0066】
前記判定部653は、前記クオリティ値Qに基づいて表示価値の有無を判定する。前記クオリティ値Qは三次元領域Xにおける各面毎に算出されるので、表示価値の有無も面毎に判定される。
【0067】
前記判定部653は、ある面についての物理量データSDの前記クオリティ値Qが閾値QTH以上であれば、その面の物理量データは表示価値が有ると判定する。一方、前記判定部653は、前記クオリティ値Qが前記閾値QTH未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0068】
前記判定部653により表示価値が無いと判定された物理量データSDについては、前記データ置換部66が置換データRDへの置換を行なう。詳細に説明すると、ある面Peの物理量データSDについて表示価値がないと判定された場合、前記データ置換部66は、前記表示価値が有ると判定された物理量データSDであって、前記面Peと最も近い面を含む複数面の物理量データSDを重み付け加算して得られた置換データRDに置換する。例えば、図10に示すように、面P1,P2,P3,P4,P5のうち、面P1,P2,P4,P5の物理量データSD1,SD2,SD4,SD5は表示価値が有ると判定されたデータであり、面P3の物理量データSD3は表示価値が無いと判定されたデータであるものとする。前記データ置換部66は、下記の(式2)に示すように、前記面P2の物理量データSD2と前記面P4の物理量データSD4とを重み付け加算して置換データRDを作成する。
RD=k1×SD2+k2×SD4・・・(式2)
ただし、上記(式2)において、k1,k2は重み付け係数である。
【0069】
ちなみに、前記データ置換部64は、前記物理量データSD2,SD4のほかに、前記物理量データSD1,SD5も重み付け加算の対象に加えてもよい。
【0070】
前記データ置換部64により、三次元の走査領域内において、表示価値が無いと評価された物理量データSDの全てが置換された物理量データSD′(ボリュームデータ)が作成されると、前記弾性画像データ作成部63は、この物理量データSD′に基づいて直交三断面についての弾性画像データを作成し、前記表示画像制御部64は、この弾性画像データに基づく前記弾性画像EG1,EG2,EG3を前記表示部7に表示させる。
【0071】
本例の超音波診断装置1によれば、前記データ置換部66により、表示価値が無いと評価された物理量データSDが前記置換データRDに置換されて前記物理量データSD′が作成され、この物理量データSD′に基づく弾性画像ED1,ED2,ED3が前記表示部7に表示されるので、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を表示させることができる。
【0072】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明すると、前記データ置換部66は、前記判定部653により表示価値が有ると判定された物理量データSDであって、物理量データSDについて表示価値が無いと評価された前記面Peと最も近い面の物理量データSDを前記置換データRDとしてもよい。例えば、上述の図10において、前記物理量データSD2又は前記物理量データSD4を前記置換データSDとしてもよい。
【0073】
次に、第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記評価部65は、図11に示すように、前記物理量平均部651、前記比算出部652、前記判定部653の他、相関係数平均部654及び乗算部655を有している。
【0074】
前記相関係数平均部654は、各面の物理量データSDにおける相関係数Cの平均値CAVを算出する。ここで、相関係数Cは、前記各相関ウィンドウにおいて歪みSを算出する相関演算において算出されるものであり、0≦C≦1である。相関係数が1に近づくほど、その相関演算により、生体組織の弾性をより正確に反映した歪みSが得られる。
【0075】
前記物理量平均部651は、相関係数Cが所定の閾値CTH以上である相関演算が行なわれた相関ウィンドウを選択してその歪みSの平均値SrAVを算出し、前記比算出部652が、前記平均値SrAVを用いて前記比Raを算出し、前記(式1)からYを算出する。
【0076】
そして、前記乗算部655は、前記相関係数平均部654で得られた相関係数Cの平均値CAVと、前記比算出部652で得られた算出値Yとを乗算し、乗算値Mを算出する。ここでは、この乗算値Mをクオリティ値Qnとし、前記判定部653による表示価値の有無の判定指標とする。
【0077】
ここで、相関係数Cは、0≦C≦1なので、0≦CAV≦1であり、また、0≦Y≦1であるので、0≦M≦1となる。従って、本例においても、0≦Qn≦1である。前記乗算値Mは、前記算出値Yと前記相関係数Cの平均値CAVとの乗算値であるため、乗算値M、すなわちクオリティ値Qnが1に近づくほど弾性画像のクオリティが良好になり、一方でQnが零に近づくほど弾性画像のクオリティが悪くなる。
【0078】
ここで、前記乗算部655は、前記算出値Yと前記相関係数Cの平均値CAVとを乗算する時に、重み付けをして乗算してもよい。
【0079】
本例においても、前記判定部653は前記クオリティ値Qが閾値QTH以上であれば、表示価値が有ると判定し、一方で前記クオリティ値Qが前記閾値QTH未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0080】
次に、第三変形例について説明する。この第三変形例では、前記評価部65は、図12に示すように、前記判定部653及び前記相関係数平均部654を有する。本例では、前記判定部653は、前記相関係数平均部654で算出された相関係数Cの平均値CAVに基づいて、各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。具体的には、前記判定部653は、前記平均値CAVが所定の閾値以上であれば表示価値が有ると判定し、一方で前記平均値CAVが前記所定の閾値未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0081】
次に、第四変形例について説明する。この第四変形例では、前記評価部65は、図13に示すように、前記判定部653と符号割合算出部656とを有する。
【0082】
ここで、歪みSは、生体組織の変形方向に応じた正負の符合を伴って算出される。例えば、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩を行ないながら超音波の送受信を行なう場合、圧迫方向を正方向とすると、前記超音波プローブ2による圧迫時に取得されたエコー信号に基づいて算出される歪みSは正の符号を伴って算出され、一方で弛緩時に取得されたエコー信号に基づいて算出される歪みSは負の符号を伴って算出される。前記符号割合算出部656は、各走査面Pについて歪みSの正の符号と負の符号との比を算出する。
【0083】
ここで、歪みSの正負の符号の割合と弾性画像のクオリティとの関係について説明する。例えば、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩が適切になされていれば、歪みSの符合の割合としては、正又は負のいずれか一方の符合の割合が大きくなる(すなわち、正と負の比が大きくなる)。しかし、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩の方向が適切でなく、生体組織に横ずれなどが生じている場合には、歪みSの符合の割合は、正又は負のいずれか一方に偏らず、双方の符号の割合が拮抗したものになってくる(すなわち、正と負の比が小さくなる)。
【0084】
従って、前記判定部653は、前記符号割合算出部656によって算出された符号の比に基づいて、各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。具体的には、前記判定部653は、符号の比が所定の閾値以上であれば、表示価値が有ると判定し、一方で符号の比が前記所定の閾値未満であれば表示価値が無いと判定する。
【0085】
次に、第五変形例について説明する。この第五変形例では、前記評価部65は、図14に示すように、前記物理量平均部651と前記判定部653とを有する。本例では、前記判定部653は、前記物理量平均部651によって算出された歪みの平均値SrAVに基づいて、前記各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。例えば、前記判定部653は、前記平均値SrAVが所定の範囲内にあるか否か、すなわちs1≦SrAV≦s2であるか否かを判定する。ここで、前記s1,s2は、例えば生体組織の弾性を考慮して通常考えられる歪み値に設定されるものであり、著しく逸脱した歪み値をエラーとするような値に設定される。s1≦SrAV≦s2である物理量データSDであれば、所定の画質の弾性画像を得ることができる。従って、前記判定部653は、s1≦SrAV≦s2であれば前記物理量データSDについて表示価値が有ると判定し、一方でs1>SrAV又はs2<SrAVであれば、前記物理量データSDについて表示価値が無いと判定する。
【0086】
ちなみに、この第五変形例において、各面について歪みSの合計値を算出し、この合計値を歪みの平均値SrAVの代わりに用いてもよい。この場合、前記評価部65は、図15に示すように、前記判定部653と合計値算出部657を有する。この合計値算出部657は、座標点ごとの歪みSの合計値を各面について算出する。そして、前記判定部653は前記歪みSの合計値が所定の範囲内であれば表示価値があると判定し、一方で所定の範囲外であれば表示価値が無いと判定する。
【0087】
次に、第六変形例について説明する。この第六変形例では、前記評価部65は、図16に示すように、前記判定部653とエラー特定部658とを有する。
【0088】
前記エラー特定部658は、各座標点の前記歪みSについてエラーか否かを判定する。具体的には、前記エラー特定部658は、歪みSが予め設定された所定の範囲外になっている場合、すなわち歪みSが、s1≦S≦s2を満たさない場合に、エラーと判定する。
【0089】
ここで、前記エラー特定部658は、歪みSが所定の閾値STH以下になっている場合にエラーと判定してもよい。言い換えれば、前記エラー特定部658は、所定の前記超音波プローブ2で取得されたエコー信号の振幅が所定以下である部分に相当する画素をエラーとしてもよい。
【0090】
ちなみに、例えば、前記超音波プローブ2から送信された超音波の反射が無いか、或いは反射が少ない場合のエコー信号は、歪みSを適切に算出できる信号ではなく、所定の画質の弾性画像を得ることができるものではない。従って、前記所定の閾値STHは、エコー信号の振幅がほとんど無いようなエコー信号に基づいて算出された比較的低い歪み値に設定される。
【0091】
また、前記エラー特定部658は、各座標点毎の相関演算で得られた相関係数Cについてエラーか否かを判定してもよい。具体的には、前記エラー特定部658は、前記相関ウィンドウW1,W2間の相関演算で得られた相関係数Cが所定の閾値以下である場合にエラーと判定する。ここで、相関係数Cが1に近いほど、生体組織の弾性を正確に反映した歪みSが得られる。前記閾値は、生体組織の弾性をある程度正確に反映した歪みSが算出される相関演算で得られる相関係数の値に設定される。言い換えれば、前記閾値を超える相関係数の相関演算によって歪みSが算出されれば、所定の画質の弾性画像が得られる。
【0092】
前記エラー特定部658は、各面についてエラー数を算出する。そして、前記判定部653は、エラー数に基づいて、各面における物理量データSDの表示価値の有無を判定する。具体的には、前記判定部653は、エラー数が所定の閾値未満であれば表示価値が有ると判定し、一方でエラー数が所定の閾値以上であれば表示価値が無いと判定する。
【0093】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、以下の説明では、第一実施形態と異なる事項について説明する。
【0094】
本例においては、前記評価部65は、図17に示すように、前記判定部653のみを有する。本例では、この判定部653は面単位での表示価値の有無の判定ではなく、座標点毎に表示価値の有無の判定を行なう。そして、前記データ置換部66は、表示価値が無いと判定された座標点の物理量データSDを置換データRDに置換する。本例では、この置換データRDは、表示価値が有ると評価された物理量データSDのうち、表示価値が無いと評価されたものと最も距離が近い物理量データSDに置換する。前記データ置換部66は、三次元領域X内において、表示価値が無いと判定された全ての座標点の物理量データSDを前記置換データRDに置換して物理量データSD′を作成する。
【0095】
具体的に表示価値の有無の判定及び物理量データの置換について説明する。前記判定部653は、座標点ごとの前記物理量データSDに対して、歪みSを算出する際の相関演算において得られた相関係数Cに基づいて、「H(High)」、「M(Middle)」、「L(Low)」の三段階で評価する。具体的には、図18に示すように、相関係数Cが所定値Ca未満である場合は「L」、所定値Ca以上Cb未満である場合は「M」、所定値Cb以上である場合は「H」とする。
【0096】
相関係数Cは0≦C≦1であり、1に近づくほど、生体組織の弾性をより正確に表わしている物理量データである。そして、Ca<Cbであるものとし、「L」、「M」、「H」の順で良好な評価、すなわち生体組織の弾性をより正確に反映している物理量データであるものとする。前記判定部653は、「L」の評価である物理量データSDを表示価値が無いと判定し、前記データ置換部66は、「L」の評価である物理量データSDを、置換データRDに置換する。置換データRDは、「L」の評価である物理量データSDと最も距離が近い物理量データSDであって、「H」の評価の物理量データである。ここで、距離とは生体組織における距離を意味する。
【0097】
例えば、互いに隣り合う面Pn、P(n+1)における一部の物理量データSDの評価が図19に示すものであったとする。ちなみに、前記面Pn、P(n+1)は互いに隣り合う面である。また、各升目が物理量データSDを意味するものとし、縦方向の升目は音線方向に沿ったものであるとする。従って、図19には隣り合う走査面について三音線分の一部の物理量データが示されている。
【0098】
前記走査面Pnの物理量データSDのうち、図19においてドットで示した物理量データSD1に注目すると、この物理量データSD1の評価は「L」である。この物理量データSD1と同一音線上であって、評価が「H」である物理量データSD2が、前記物理量データSD1と最も距離が近い物理量データであるとすると、前記物理量データSD2が前記置換データRDとなり、前記物理量データSD1と置換される。また、前記走査面P(n+1)における物理量データであって、前記物理量データSD1とac平面における座標が同一の座標の物理量データSD3の評価が「H」であり、この物理量データSD3が前記物理量データSD1と最も距離が近い場合、前記物理量データSD3が前記置換データRDとなり、前記物理量データSD1と置換される。
【0099】
また、図20に示すように、前記物理量データSD2及び前記物理量データSD3の評価が「M」であった場合、評価が「H」である物理量データSDのうち前記物理量データSD1と最も距離が近い物理量データSDが前記置換データRDとなる。図20では、前記走査面Pnにおける前記物理量データSD1の音線と隣り合う音線において、この物理量データSD1とc方向において座標が同じ(深さ位置が同じ)である物理量データSD4,5の評価が「H」になっている。また、前記物理量データSD3と同一音線上にあって、この物理量データSD3と隣り合う物理量データSD6の評価も「H」になっている。この場合において、隣り合う音線同士の距離よりも隣り合う走査面同士の距離の方が小さいとすると、前記物理量データSD4,5よりも前記物理量データSD6の方が、前記物理量データSD1との距離が小さくなる。従って、前記物理量データSD6が前記置換データRDとなり、前記物理量データSD1と置換される。
【0100】
本例によれば、相関係数Cが低く生体組織の弾性を正確に反映していない物理量データSDが、より相関係数Cが高い物理量データSDに置換されることによって得られる物理量データSD′に基づく直交三断面の弾性画像が表示されるので、第一実施形態と同様に、生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を表示させることができる。
【0101】
なお、前記判定部653は、「H」、「M」、「L」の三段階の評価ではなく、相関係数Cが閾値以上か閾値未満かの評価を行なうようにしてもよい。この場合、前記判定部653は、相関係数Cが所定の閾値未満である物理量データSDを表示価値が無いと判定し、前記データ置換部66は、前記置換データRDとして、相関係数が所定の閾値以上である物理量データSDを用いる。
【0102】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。この変形例において、前記データ置換部66は、表示価値が無いと判定された物理量データSDを、表示価値が有ると評価された複数の座標点の物理量データを重み付け加算して得られた置換データRDに置換する。この置換データRDは、表示価値が有ると評価された物理量データSDのうち、表示価値が無いと評価された物理量データSD(置換されるデータ)と最も距離が近い物理量データSDを含む物理量データSDを重み付け加算して得られたデータである。
【0103】
例えば、上述の図19において、評価が「H」である物理量データSDのうち、前記物理量データSD1と距離が近い順に所定数の物理量データを重み付け加算して得られたデータを前記置換データRDとする。例えば、前記物理量データSD1との距離が最も近い物理量データが前記物理量データSD2であり、その次に距離が近い物理量データが前記物理量データSD3である場合、前記物理量データSD2及び前記物理量データSD3を重み付け加算して得られたデータを前記置換データRDとする。このように、表示価値が有ると評価された物理量データSDを、表示価値が無いと評価された物理量データSDとの距離が近い順に所定数重み付け加算することにより置換データRDが得られる。そして、この置換データRDを用いて作成された前記物理量データSD′に基づく弾性画像も生体組織の弾性を正確に反映した画像になる。
【0104】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、上記実施形態においては、物理量データSDに対して表示価値の有無に関する評価を行ない、表示価値が無いと評価された物理量データを、表示価値が有ると評価された物理量データに基づく置換データに置換しているが、本発明はこれに限られるものではない。具体的には、物理量データではなく、カラー弾性画像データに対して表示価値の有無に関する評価を行ない、表示価値が無いと評価されたカラー弾性画像データを、表示価値が有ると評価された物理量データに基づく置換データに置換してもよい。
【0105】
また、前記物理量データ処理部5は、生体組織の弾性に関する物理量として、歪みの代わりに生体組織の変形による変位や弾性率などを算出してもよく、また他の公知の手法によって生体組織の弾性に関する物理量を算出してもよい。
【0106】
また、表示価値が無いと評価された物理量データSDが置換データRDに置換された前記物理量データSD′に基づく三次元の弾性画像が、前記弾性画像ED1,ED2,ED3の代わりに表示されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
5 物理量データ処理部(弾性データ作成部)
7 表示部
8 制御部(走査制御部)
65 評価部
66 データ置換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブと、
該超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成部と、
前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価部と、
一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記弾性データに対して各面毎に評価を行ない、
前記データ置換部は、面単位で前記弾性データの置換を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面を含む複数面の弾性データを重み付け加算して得られたデータであることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面の弾性データであることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記評価部は、前記弾性データに対して各座標点毎に評価を行ない、
前記データ置換部は、座標点単位で前記弾性データの置換を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された複数の座標点の弾性データを重み付け加算して得られたデータであって、前記複数の座標点の弾性データには、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データが含まれることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データであることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記弾性データ及び前記置換データに基づいて作成された弾性画像を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
コンピュータに、
三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成機能と、
前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価機能と、
一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換機能置換データ作成部と、
を実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラム。
【請求項1】
三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブと、
該超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成部と、
前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価部と、
一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記弾性データに対して各面毎に評価を行ない、
前記データ置換部は、面単位で前記弾性データの置換を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面を含む複数面の弾性データを重み付け加算して得られたデータであることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データであって、前記一の面と最も近い面の弾性データであることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記評価部は、前記弾性データに対して各座標点毎に評価を行ない、
前記データ置換部は、座標点単位で前記弾性データの置換を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された複数の座標点の弾性データを重み付け加算して得られたデータであって、前記複数の座標点の弾性データには、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データが含まれることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記置換データは、表示価値が有ると評価された弾性データのうち、前記一の面において表示価値が無いと評価された座標点の弾性データと最も距離が近い弾性データであることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記弾性データ及び前記置換データに基づいて作成された弾性画像を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
コンピュータに、
三次元領域の超音波の走査を行なう超音波プローブで受信したエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する弾性データを前記三次元領域における各面について作成する弾性データ作成機能と、
前記弾性データに対して表示価値の有無に関する評価を行なう評価機能と、
一の面において表示価値が無いと評価された前記弾性データを、他の面において表示価値が有ると評価された弾性データに基づく置換データに置換するデータ置換機能置換データ作成部と、
を実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−85945(P2012−85945A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237140(P2010−237140)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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