超音波顕微鏡
【課題】簡単な構成で超音波の走査を的確に行うことができる超音波顕微鏡を提供すること。
【解決手段】超音波顕微鏡1は、先端部に超音波伝達媒体W1が収容可能なスキャナ本体2を備える。スキャナ本体2の先端部には焦点型超音波振動子12が配置され、その超音波振動子12により、試料18にて焦点を結ぶように超音波伝達媒体W1を介して超音波が照射されるとともに、試料18からの反射波が受信されて電気信号に変換される。走査手段は、電気信号を歪みに変換する電歪アクチュエータ13を含んで構成される。電歪アクチュエータ13における先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の超音波の照射方向が平行となるよう超音波振動子12の位置を移動させる。
【解決手段】超音波顕微鏡1は、先端部に超音波伝達媒体W1が収容可能なスキャナ本体2を備える。スキャナ本体2の先端部には焦点型超音波振動子12が配置され、その超音波振動子12により、試料18にて焦点を結ぶように超音波伝達媒体W1を介して超音波が照射されるとともに、試料18からの反射波が受信されて電気信号に変換される。走査手段は、電気信号を歪みに変換する電歪アクチュエータ13を含んで構成される。電歪アクチュエータ13における先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の超音波の照射方向が平行となるよう超音波振動子12の位置を移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して試料の性状を観察する超音波顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、生体組織の診断を行う装置として、超音波顕微鏡を応用した製品の開発が進められており、高解像度で生体組織の観察が可能なものが実用化されている。光学顕微鏡では生体組織における化学的性質の違いを例えば染色によって区別するのに対し、超音波顕微鏡では物理的性質の違いを無染色で区別することができる。つまり、超音波顕微鏡を用いる場合には、染色を行わなくても生体組織診断を行うことができるといった利点がある。
【0003】
従来の超音波顕微鏡は、超音波のXY走査を行うための走査機構を備えており、超音波をXY走査しながら試料からの反射波信号を取得し、反射波信号の強度に基づいて試料の画像信号を生成している。このため、超音波顕微鏡では、試料表面に対して垂直に超音波を照射する必要がある。また、解像度の高い超音波像を取得するためには、高精度に超音波を走査する必要がある。従って、従来の超音波顕微鏡では、超音波の走査機構が複雑な構造となり、検査を簡易に行うことができないといった問題があった。
【0004】
一方、比較的簡単な構成で超音波の走査を行う装置として、バイモルフアクチュエータを利用した超音波スキャナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この超音波スキャナでは、バイモルフアクチュエータ50の自由端に超音波振動子51が固定されており、基材52を介して貼り合わせた圧電材53a,53bを逆位相となるよう駆動すると、アクチュエータ50の屈曲変位によって超音波振動子51が円弧状に移動される(図11参照)。この超音波スキャナを用いれば、装置の小型化が可能であり、振動や騒音も抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−9610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した特許文献1の超音波スキャナは、比較的解像度が低い断層画像(Bモード画像など)を取得するための装置に用いられるものであり、解像度が高い超音波像を取得するための超音波顕微鏡には用いることができない。具体的には、超音波顕微鏡において、試料に対して垂直に超音波を照射する必要があるが、特許文献1の超音波スキャナを用いる場合、バイモルフアクチュエータ50の屈曲変位によって超音波振動子51が円弧状に移動してしまう。このため、超音波の照射方向Z(図11参照)を一定に保つことができず、試料の表面構造に応じた正確な反射波信号を得ることができない。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で超音波の走査を的確に行うことができる超音波顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、先端部に超音波伝達媒体が収容可能なスキャナ本体と、前記スキャナ本体の先端部に配置され、試料にて焦点を結ぶように前記超音波伝達媒体を介して超音波を照射するとともに、前記試料からの反射波を受信して電気信号に変換する焦点型超音波振動子と、前記スキャナ本体の内部に配置され、超音波の照射点を前記試料の表面に沿って移動させる走査手段とを備え、前記超音波振動子で受信した超音波の反射波信号に基づいて、前記試料の超音波像を表示する超音波顕微鏡であって、前記走査手段は、板状に形成されその先端に前記超音波振動子を固定した屈曲変位型の電歪アクチュエータを含んで構成され、駆動時には、前記電歪アクチュエータにおける先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の前記超音波の照射方向が平行となるよう前記照射方向と直交する方向に前記超音波振動子の位置を移動させることを特徴とする超音波顕微鏡をその要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によると、走査手段として、板状に形成された屈曲変位型の電歪アクチュエータを用いている。そして、走査手段の駆動時には、電歪アクチュエータにおける先端側の領域と基端側との領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の超音波の照射方向が平行となるよう超音波振動子の位置を移動させることで、超音波の走査が行われる。このように構成すると、超音波走査時における超音波の照射方向が常に一定の方向(具体的には、試料表面と直交する方向)を向くように超音波振動子を駆動することができる。さらに、板状の電歪アクチュエータの先端に超音波振動子が固定されているので、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。またこの場合、走査手段の簡素化が可能となるため、スキャナ本体の軽量化や小型化を図ることができ、携帯型の超音波顕微鏡を実現することが可能となる。また、スキャナ本体を手で持って容易に操作することができ、スキャナ本体の先端部を直接患部に当てて患部の検査を迅速に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域に圧電材が設けられ、前記第2面において中央部よりも基端側の領域に圧電材が設けられたユニモルフ型のアクチュエータであることをその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、超音波振動子が接続される先端側の屈曲方向と基端側の屈曲方向とが逆方向となるよう電歪アクチュエータを構成することができる。また、電歪アクチュエータがユニモルフ型のアクチュエータであるので、簡素な構成で走査手段を構成することができる。なお、板状基材の第1面側に設けられる圧電材と第2面側に設けられる圧電材とは、長さや屈曲度合が等しくなるよう形成されることが好ましい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられるとともに、前記第2面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられたバイモルフ型のアクチュエータであることをその要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によると、超音波振動子が接続される先端側の屈曲方向と基端側の屈曲方向とが逆方向となるよう電歪アクチュエータを構成することができる。また、電歪アクチュエータがバイモルフ型のアクチュエータであるので、超音波振動子を確実に移動させることができ、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記超音波の走査位置を示す可視光を前記スキャナ本体の先端部から出力する可視光照射手段をさらに備えたことをその要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によると、可視光照射手段から出力される可視光によって超音波の走査位置を容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳述したように、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明によると、簡単な構成で超音波の走査を的確に行うことができる超音波顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施の形態の超音波顕微鏡を示す概略構成図。
【図2】超音波顕微鏡の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】ラインマーカの固定位置を示す説明図。
【図4】可視光及び超音波の照射位置を示す説明図。
【図5】(a)は電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図6】焦点型超音波振動子から照射される超音波ビームを示す説明図。
【図7】(a)は別の実施の形態における電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図8】(a)は別の実施の形態における電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図9】別の実施の形態の走査手段を示す構成図。
【図10】(a)は別の実施の形態における電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図11】(a)は従来のバイモルフアクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、超音波顕微鏡1を示す概略構成図であり、図2は、超音波顕微鏡1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施の形態の超音波顕微鏡1は、全体としてペン状を呈するスキャナ本体2と、スキャナ本体2を制御する制御ユニット3(具体的には、パソコン)とから構成されている。スキャナ本体2と制御ユニット3とは、例えばUSBケーブル4を介して接続される。
【0020】
スキャナ本体2は、筐体11、超音波を照射する焦点型超音波振動子12、焦点型超音波振動子12を駆動する1枚の電歪アクチュエータ13(走査手段)、電歪アクチュエータ13を支持可能な支持具14(支持体)、超音波の走査位置を示すラインマーカ15(可視光照射手段)等を備えている。
【0021】
筐体11は、直径が3cm程度の円筒状に形成されている。この筐体11の先端側は開口しており、その開口を覆うように試料接触部材16が着脱可能に装着されている。筐体11内において、その先端部となる試料接触部材16の部分に超音波伝達媒体W1(具体的には水)が充填されている。試料接触部材16は、光及び超音波を効率よく透過する材料(具体的にはガラスや樹脂材料)を用いて形成されている。
【0022】
焦点型超音波振動子12は筐体11内の先端側に配置されている。この超音波振動子12が照射する超音波は、超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束され、試料接触部材16の外表面(試料18の表面)近傍で焦点を結ぶようになっている。つまり、超音波顕微鏡1は、スキャナ本体2の試料接触部材16の外表面を試料18(例えば、インビボの生体組織)に接触させて検査する携帯型の顕微鏡である。なお本実施形態では、超音波振動子12が照射する超音波としては、例えば、中心周波数が80MHzであり、帯域幅が50〜105MHz(−6dB)である。
【0023】
電歪アクチュエータ13は、圧電材料を用いて細長い長方形状の板状に形成されたユニモルフ型のアクチュエータ(屈曲変位型アクチュエータ)であり、長さ80mm、幅10mm、厚さ0.6mmのサイズを有する。そして、超音波振動子12の後端面の中央部分に電歪アクチュエータ13の先端が固定され、電歪アクチュエータ13の基端が支持具14に支持されている。なお、本実施の形態では、電歪アクチュエータ13の表面に、耐水性を高めるための絶縁皮膜が形成されている。超音波振動子12は、歪みが生じていない状態での電歪アクチュエータ13の長手方向を向くように配置されている。またこの状態では、超音波振動子12の中心線に重なるように電歪アクチュエータ13が配置される。
【0024】
また、図1及び図3に示されるように、筐体11の内周面には、2つのラインマーカ15が設けられている。各ラインマーカ15は、スキャナ本体2の先端部(試料接触部材16)から可視光のレーザをライン状に照射する照射手段であり、筐体11の内周面において90度の角度間隔となる位置にそれぞれ配置されている。そして、超音波振動子12は、各ラインマーカ15から照射されるライン状のレーザの交差点と超音波の照射点とが一致するように配置されている(図4参照)。
【0025】
図1に示されるように、支持具14は筐体11内の基端側に収納されており、この支持具14には配線基板19が設けられている。配線基板19には、電歪アクチュエータ13を駆動制御するための走査制御回路20、ラインマーカ15を点灯させる駆動回路21、超音波を送受信するための信号処理回路22、電気信号の入出力を行うためのI/F回路23などが設けられている(図2参照)。
【0026】
I/F回路23としては、パソコン等の標準インターフェースであるUSBインターフェースが用いられる。なお、I/F回路23として、USBインターフェースの他にIEEE1394インターフェースを採用してもよく、また、データ転送速度は遅くなるが、シリアルインターフェースやパラレルインターフェースを採用することもできる。
【0027】
図2に示されるように、走査制御回路20は、電歪アクチュエータ13に接続されており、電歪アクチュエータ13を変位させるための電圧信号を出力する。この電圧信号によって電歪アクチュエータ13が屈曲され、超音波振動子12が移動される(図5参照)。この結果、試料接触部材16の外表面(試料18の表面)に沿って超音波の照射点がリニア走査される。なお、超音波の走査範囲は、例えば2.4mmの幅である。
【0028】
駆動回路21は、ラインマーカ15に接続されており、超音波の走査時にラインマーカ15を点灯させ、ライン状のレーザを各ラインマーカ15から出力させる。
【0029】
信号処理回路22は、送信回路24、送受波分離回路25、受信回路26、A/D変換回路28を備える。
【0030】
送信回路24は、超音波振動子12を駆動させるためのパルスを発生させる回路であり、トリガ回路24aとパルス発生回路24bとを備える。送信回路24において、トリガ回路24aは、制御ユニット3から出力される制御信号をI/F回路23を介して取り込み、その制御信号に基づいてトリガ信号を生成する。パルス発生回路24bは、そのトリガ信号に応答して励起パルスを生成する。その励起パルスが送受波分離回路25を介して超音波振動子12に供給されて超音波振動子12から超音波が照射される。
【0031】
本実施の形態の超音波振動子12は、送受波兼用の振動子であり、試料18で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。そして、その反射波の信号は送受波分離回路25を介して受信回路26に供給される。受信回路26は、反射波の信号を増幅して出力する。反射波信号は、A/D変換回路28に供給された後、I/F回路23を介して制御ユニット3に転送される。そして、制御ユニット3において、試料18の反射波信号が抽出される。
【0032】
制御ユニット3は、CPU31、I/F回路32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36を備え、それらはバス37を介して相互に接続されている。
【0033】
CPU31は、メモリ33を利用して制御プログラムを実行し、装置全体を統括的に制御する。制御プログラムとしては、電歪アクチュエータ13によるリニア走査を制御するためのプログラムや試料18の超音波像を生成して表示するためのプログラムなどを含む。
【0034】
I/F回路32は、スキャナ本体2との間で信号の授受を行うためのインターフェース(具体的には、USBインターフェース)であり、スキャナ本体2に制御信号(走査制御回路20や送信回路24への制御信号)を出力したり、スキャナ本体2からの転送データ(A/D変換回路28からI/F回路23を介して転送されるデータ)を入力したりする。
【0035】
表示装置36は、例えば、LCDやCRTなどのカラーディスプレイであり、試料18の超音波像や、各種設定の入力画面を表示するために用いられる。入力装置35は、キーボードやマウス装置などであり、ユーザからの要求や指示、パラメータの入力に用いられる。
【0036】
記憶装置34は、磁気ディスク装置や光ディスク装置などであり、その記憶装置には制御プログラム及び各種のデータが記憶されている。CPU31は、入力装置35による指示に従い、プログラムやデータを記憶装置34からメモリ33へ転送し、それを逐次実行する。なお、CPU31が実行するプログラムとしては、メモリカード、フレキシブルディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムや、通信媒体を介してダウンロードしたプログラムでもよく、その実行時には記憶装置34にインストールして利用する。
【0037】
図5には、本実施の形態に用いられるユニモルフ型の電歪アクチュエータ13の具体例を示している。図5(a)は屈曲前の電歪アクチュエータ13を示し、図5(b)は屈曲後の電歪アクチュエータ13を示している。図5に示されるように、電歪アクチュエータ13は、第1面41及び第2面42を有する板状基材43を備える。板状基材43の第1面41において中央部よりも先端側(図5では下側)の領域に圧電材44が設けられ、第2面42において中央部よりも基端側(図5では上側)の領域に圧電材44が設けられている。つまり、電歪アクチュエータ13では、先端側の領域と基端側の領域とで同じ変位を持つ構造を逆相に配設している。
【0038】
図5(b)に示されるように、電歪アクチュエータ13は、超音波振動子12が接続される先端側の屈曲方向と基端側の屈曲方向とが逆方向となっている。このように電歪アクチュエータ13を構成することにより、電歪アクチュエータ13の先端部の方向が屈曲前と屈曲後とで同じ方向を向くことになる。なお、図5(b)の場合では、電歪アクチュエータ13の各電極に所定電圧を印加することで、超音波の照射方向Zと直交する方向X(図5では左方向)に超音波振動子12が移動される。また、図示しないが、図5(b)の場合とは逆の電圧を電歪アクチュエータ13の各電極に印加することで、図5の右方向に超音波振動子12が移動される。
【0039】
因みに、単純屈曲の電歪アクチュエータ、すなわち図11に示すような従来のバイモルフアクチュエータ50を用いる場合、アクチュエータ50が屈曲することでその先端部の角度が変化してしまう。この場合、走査時において超音波の照射方向Zを一定に保つことは困難となる。これに対して、図5の電歪アクチュエータ13を用いることにより、走査時において超音波の照射方向Zを一定に保つことが可能となる。
【0040】
また、電歪アクチュエータ13の屈曲前と屈曲後とでは上下方向の変位(照射方向の位置ズレ)が若干生じることとなるが、焦点型超音波振動子12から照射される超音波は、図6に示すように焦点を結ぶ。つまり、超音波のビーム幅が狭くなる焦点領域R1は、超音波Soの照射方向Zにある程度の幅を有している。従って、本実地の形態では、電歪アクチュエータ13の変位よりも焦点領域R1の幅が広い超音波振動子12を用いている。この超音波振動子12を用いることにより、電歪アクチュエータ13の屈曲によって焦点型超音波振動子12がZ方向に変位したとしても、試料18の表面に超音波Soの焦点が合うようになっている。
【0041】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0042】
(1)本実施の形態の超音波顕微鏡1では、超音波の走査手段として、板状に形成された屈曲変位型の電歪アクチュエータ13を用いている。そして、駆動時には、電歪アクチュエータ13における先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の超音波の照射方向Zが平行となるよう超音波振動子12の位置を移動させることで、超音波の走査が行われる。このように構成すると、超音波の照射方向Zが常に一定の方向(試料18表面と直交する方向)を向くように超音波振動子12を駆動することができる。さらに、電歪アクチュエータ13の先端に超音波振動子12が固定されているので、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。また、電歪アクチュエータ13としてユニモルフ型のアクチュエータが用いられているので、走査手段の簡素化が可能となる。このため、スキャナ本体2の軽量化や小型化を図ることができ、携帯型の超音波顕微鏡1を実現することが可能となる。また、スキャナ本体2は、全体としてペン状を呈しているので、スキャナ本体2を手で持って容易に操作することができ、スキャナ本体2の先端部を直接患部に当てて患部の検査を迅速に行うことができる。
【0043】
(2)本実施の形態の超音波顕微鏡1では、ラインマーカ15を備え、そのラインマーカ15により、超音波の走査位置を示す可視光がスキャナ本体2の先端部から出力される。この可視光によって超音波の走査位置を容易に確認することができるため、試料18における所望の部位に超音波を迅速に走査させることができる。
【0044】
(3)本実施の形態の超音波顕微鏡1では、スキャナ本体2の先端部に試料接触部材16が着脱可能に装着されているので、異なる試料18を検査する度に試料接触部材16を交換することができる。この場合、新品の試料接触部材16や殺菌洗浄後の試料接触部材16に交換することにより、スキャナ本体2を清潔に保つことができ、実用上好ましいものとなる。
【0045】
(4)本実施の形態では、スキャナ本体2内に収納された配線基板19に、電歪アクチュエータ13を駆動制御するための走査制御回路20、ラインマーカ15を点灯させる駆動回路21、超音波を送受信するための信号処理回路22などが設けられているので、携帯型の超音波顕微鏡1を実現する上で好ましい構成となる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0047】
・上記実施の形態では、1枚の電歪アクチュエータ13で超音波振動子12を移動させるものであったが、これに限定されるものではなく、2枚以上の電歪アクチュエータ13にて超音波振動子12を移動させるように構成してもよい。図7には、2枚の電歪アクチュエータ13にて超音波振動子12を移動させる走査手段の具体例を示している。図7において、超音波振動子12を移動させるために同じ形状・大きさの2枚の電歪アクチュエータ13が用いられ、各電歪アクチュエータ13が互いに平行かつ隙間をもって配置されている。そして、超音波の走査時には、各電歪アクチュエータ13が同一方向に同時に屈曲される。なお、各電歪アクチュエータ13の先端同士は接近していてもよいが、図7に示すように離間していてもよい。このように超音波の走査手段を構成すると、超音波振動子12の向きを一定に保ちつつ超音波振動子12を確実に移動させることができる。
【0048】
・上記実施の形態の電歪アクチュエータ13は、板状基材43の第1面41(図5では左側の面)において中央部よりも先端側の領域に圧電材44が設けられ、第2面42(図5では右側の面)において中央部よりも基端側の領域に圧電材44が設けられていたが、これに限定されるものではない。図5の電歪アクチュエータ13において、板状基材43の左右を逆にした面をそれぞれ第1面41及び第2面42とし、右側の第1面41において中央部よりも先端側の領域に圧電材44を設け、左側の第2面42において中央部よりも基端側の領域に圧電材44を設けてもよい。
【0049】
・上記実施の形態では、電歪アクチュエータ13の先端に超音波振動子12を固定し、電歪アクチュエータ13の基端側を支持具14に固定する構成としたが、図8のような構成を採用してもよい。具体的には、2枚の電歪アクチュエータ13を用い、各電歪アクチュエータ13の一端を連結部材46で接続する。そして、一方の電歪アクチュエータ13の他端(基端)を支持具14に固定し、他方の電歪アクチュエータ13の他端(先端)に超音波振動子12を固定する。このように構成すると、電歪アクチュエータ13の屈曲前と屈曲後とで上下方向の変位をキャンセルすることができ、超音波の焦点のズレを確実に防止することができる。
【0050】
・上記実施の形態の超音波顕微鏡1では、超音波を一次元的にリニア走査するものであったが、これに限定されるものではなく、二次元的に走査する構成としてもよい。具体的には、図9に示す走査手段のように、電歪アクチュエータ13による駆動部分を2段構造として、1段目の電歪アクチュエータ13の屈曲方向と2段目の電歪アクチュエータ13の屈曲方向とが直交するように設ける。なお、図9に示す走査手段では、1段目及び2段目の各段において電歪アクチュエータ13を1枚ずつ設けているが、各段にて複数枚の電歪アクチュエータ13を設けてもよい。このようにすれば、1段目の電歪アクチュエータ13と2段目の電歪アクチュエータ13との屈曲の組み合わせによって超音波振動子12を二次元的に移動させることが可能となる。
【0051】
・上記実施の形態では、ユニモルフ型の電歪アクチュエータ13を用いたが、バイモルフ型の電歪アクチュエータなどの他の電歪アクチュエータを用いてもよい。図10には、そのバイモルフ型の電歪アクチュエータ13Aの具体例を示している。図10に示されるように、電歪アクチュエータ13Aは、第1面41及び第2面42を有する板状基材43を備え、第1面41及び第2面42には2枚ずつ圧電材44a,44bが貼り付けられている。詳しくは、板状基材43の第1面41において、中央部よりも基端側の領域及び先端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材44a,44bが設けられている。また、板状基材43の第2面42において、中央部よりも基端側の領域及び先端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材44b,44aが設けられている。そして、電歪アクチュエータ13Aでは、対角にある圧電材44a及び対角にある圧電材44bについて逆相の屈曲方向となるよう電歪アクチュエータ13Aの各電極に電圧が印加される。この電歪アクチュエータ13Aを用いても、超音波の照射方向が平行となるよう超音波振動子12の位置を移動させることができる。また、バイモルフ型の電歪アクチュエータ13Aを用いれば、ユニモルフ型の電歪アクチュエータ13と比較して、超音波振動子12を確実に移動させることができ、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。
【0052】
・上記実施の形態では、筐体11の内周面にラインマーカ15を固定していたが、超音波振動子12側にラインマーカ15を固定してもよい。
【0053】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0054】
(1)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記屈曲変位型の電歪アクチュエータを支持可能な支持体を備えるとともに、1枚の前記屈曲変位型の電歪アクチュエータの基端を前記支持体に支持させるとともに、前記電歪アクチュエータの先端を前記超音波振動子の後端面の中央部に固定したことを特徴とする記載の超音波顕微鏡。
【0055】
(2)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記屈曲変位型の電歪アクチュエータを複数枚支持可能な支持体を備えるとともに、複数枚の前記屈曲変位型の電歪アクチュエータの基端を前記支持体に支持させるとともに、各電歪アクチュエータを互いに平行に配置し、かつ、各電歪アクチュエータの先端に前記超音波振動子を固定したことを特徴とする記載の超音波顕微鏡。
【0056】
(3)技術的思想(2)において、前記走査手段は、前記超音波の走査時に、前記各屈曲変位型の電歪アクチュエータを同一方向に同時に屈曲させることを特徴とする超音波顕微鏡。
【0057】
(4)技術的思想(2)において、一対の前記屈曲変位型の電歪アクチュエータの先端部に前記超音波振動子の両端が固定されたことを特徴とする超音波顕微鏡。
【0058】
(5)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記スキャナ本体は、全体としてペン状を呈することを特徴とする超音波顕微鏡。
【0059】
(6)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記超音波振動子に対して信号の送受信を行う信号処理手段が前記スキャナ本体の基端部側に収納されていることを特徴とする超音波顕微鏡。
【0060】
(7)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記スキャナ本体の先端部が着脱可能に構成されていることを特徴とする超音波顕微鏡。
【0061】
(8)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記試料はインビボの生体組織であり、その生体組織に前記スキャナ本体の先端部表面を直接接触させて使用することを特徴とする超音波顕微鏡。
【符号の説明】
【0062】
1…超音波顕微鏡
2…スキャナ本体
12…焦点型超音波振動子
13…走査手段を構成する電歪アクチュエータ
14…支持体としての支持具
15…可視光照射手段としてのラインマーカ
41…第1面
42…第2面
43…板状基材
44,44a,44b…圧電材
W1…超音波伝達媒体
Z…照射方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して試料の性状を観察する超音波顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、生体組織の診断を行う装置として、超音波顕微鏡を応用した製品の開発が進められており、高解像度で生体組織の観察が可能なものが実用化されている。光学顕微鏡では生体組織における化学的性質の違いを例えば染色によって区別するのに対し、超音波顕微鏡では物理的性質の違いを無染色で区別することができる。つまり、超音波顕微鏡を用いる場合には、染色を行わなくても生体組織診断を行うことができるといった利点がある。
【0003】
従来の超音波顕微鏡は、超音波のXY走査を行うための走査機構を備えており、超音波をXY走査しながら試料からの反射波信号を取得し、反射波信号の強度に基づいて試料の画像信号を生成している。このため、超音波顕微鏡では、試料表面に対して垂直に超音波を照射する必要がある。また、解像度の高い超音波像を取得するためには、高精度に超音波を走査する必要がある。従って、従来の超音波顕微鏡では、超音波の走査機構が複雑な構造となり、検査を簡易に行うことができないといった問題があった。
【0004】
一方、比較的簡単な構成で超音波の走査を行う装置として、バイモルフアクチュエータを利用した超音波スキャナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この超音波スキャナでは、バイモルフアクチュエータ50の自由端に超音波振動子51が固定されており、基材52を介して貼り合わせた圧電材53a,53bを逆位相となるよう駆動すると、アクチュエータ50の屈曲変位によって超音波振動子51が円弧状に移動される(図11参照)。この超音波スキャナを用いれば、装置の小型化が可能であり、振動や騒音も抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−9610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した特許文献1の超音波スキャナは、比較的解像度が低い断層画像(Bモード画像など)を取得するための装置に用いられるものであり、解像度が高い超音波像を取得するための超音波顕微鏡には用いることができない。具体的には、超音波顕微鏡において、試料に対して垂直に超音波を照射する必要があるが、特許文献1の超音波スキャナを用いる場合、バイモルフアクチュエータ50の屈曲変位によって超音波振動子51が円弧状に移動してしまう。このため、超音波の照射方向Z(図11参照)を一定に保つことができず、試料の表面構造に応じた正確な反射波信号を得ることができない。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で超音波の走査を的確に行うことができる超音波顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、先端部に超音波伝達媒体が収容可能なスキャナ本体と、前記スキャナ本体の先端部に配置され、試料にて焦点を結ぶように前記超音波伝達媒体を介して超音波を照射するとともに、前記試料からの反射波を受信して電気信号に変換する焦点型超音波振動子と、前記スキャナ本体の内部に配置され、超音波の照射点を前記試料の表面に沿って移動させる走査手段とを備え、前記超音波振動子で受信した超音波の反射波信号に基づいて、前記試料の超音波像を表示する超音波顕微鏡であって、前記走査手段は、板状に形成されその先端に前記超音波振動子を固定した屈曲変位型の電歪アクチュエータを含んで構成され、駆動時には、前記電歪アクチュエータにおける先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の前記超音波の照射方向が平行となるよう前記照射方向と直交する方向に前記超音波振動子の位置を移動させることを特徴とする超音波顕微鏡をその要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によると、走査手段として、板状に形成された屈曲変位型の電歪アクチュエータを用いている。そして、走査手段の駆動時には、電歪アクチュエータにおける先端側の領域と基端側との領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の超音波の照射方向が平行となるよう超音波振動子の位置を移動させることで、超音波の走査が行われる。このように構成すると、超音波走査時における超音波の照射方向が常に一定の方向(具体的には、試料表面と直交する方向)を向くように超音波振動子を駆動することができる。さらに、板状の電歪アクチュエータの先端に超音波振動子が固定されているので、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。またこの場合、走査手段の簡素化が可能となるため、スキャナ本体の軽量化や小型化を図ることができ、携帯型の超音波顕微鏡を実現することが可能となる。また、スキャナ本体を手で持って容易に操作することができ、スキャナ本体の先端部を直接患部に当てて患部の検査を迅速に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域に圧電材が設けられ、前記第2面において中央部よりも基端側の領域に圧電材が設けられたユニモルフ型のアクチュエータであることをその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、超音波振動子が接続される先端側の屈曲方向と基端側の屈曲方向とが逆方向となるよう電歪アクチュエータを構成することができる。また、電歪アクチュエータがユニモルフ型のアクチュエータであるので、簡素な構成で走査手段を構成することができる。なお、板状基材の第1面側に設けられる圧電材と第2面側に設けられる圧電材とは、長さや屈曲度合が等しくなるよう形成されることが好ましい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられるとともに、前記第2面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられたバイモルフ型のアクチュエータであることをその要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によると、超音波振動子が接続される先端側の屈曲方向と基端側の屈曲方向とが逆方向となるよう電歪アクチュエータを構成することができる。また、電歪アクチュエータがバイモルフ型のアクチュエータであるので、超音波振動子を確実に移動させることができ、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記超音波の走査位置を示す可視光を前記スキャナ本体の先端部から出力する可視光照射手段をさらに備えたことをその要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によると、可視光照射手段から出力される可視光によって超音波の走査位置を容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳述したように、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明によると、簡単な構成で超音波の走査を的確に行うことができる超音波顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施の形態の超音波顕微鏡を示す概略構成図。
【図2】超音波顕微鏡の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】ラインマーカの固定位置を示す説明図。
【図4】可視光及び超音波の照射位置を示す説明図。
【図5】(a)は電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図6】焦点型超音波振動子から照射される超音波ビームを示す説明図。
【図7】(a)は別の実施の形態における電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図8】(a)は別の実施の形態における電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図9】別の実施の形態の走査手段を示す構成図。
【図10】(a)は別の実施の形態における電歪アクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【図11】(a)は従来のバイモルフアクチュエータの屈曲前の状態を示し、(b)はその屈曲後の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、超音波顕微鏡1を示す概略構成図であり、図2は、超音波顕微鏡1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施の形態の超音波顕微鏡1は、全体としてペン状を呈するスキャナ本体2と、スキャナ本体2を制御する制御ユニット3(具体的には、パソコン)とから構成されている。スキャナ本体2と制御ユニット3とは、例えばUSBケーブル4を介して接続される。
【0020】
スキャナ本体2は、筐体11、超音波を照射する焦点型超音波振動子12、焦点型超音波振動子12を駆動する1枚の電歪アクチュエータ13(走査手段)、電歪アクチュエータ13を支持可能な支持具14(支持体)、超音波の走査位置を示すラインマーカ15(可視光照射手段)等を備えている。
【0021】
筐体11は、直径が3cm程度の円筒状に形成されている。この筐体11の先端側は開口しており、その開口を覆うように試料接触部材16が着脱可能に装着されている。筐体11内において、その先端部となる試料接触部材16の部分に超音波伝達媒体W1(具体的には水)が充填されている。試料接触部材16は、光及び超音波を効率よく透過する材料(具体的にはガラスや樹脂材料)を用いて形成されている。
【0022】
焦点型超音波振動子12は筐体11内の先端側に配置されている。この超音波振動子12が照射する超音波は、超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束され、試料接触部材16の外表面(試料18の表面)近傍で焦点を結ぶようになっている。つまり、超音波顕微鏡1は、スキャナ本体2の試料接触部材16の外表面を試料18(例えば、インビボの生体組織)に接触させて検査する携帯型の顕微鏡である。なお本実施形態では、超音波振動子12が照射する超音波としては、例えば、中心周波数が80MHzであり、帯域幅が50〜105MHz(−6dB)である。
【0023】
電歪アクチュエータ13は、圧電材料を用いて細長い長方形状の板状に形成されたユニモルフ型のアクチュエータ(屈曲変位型アクチュエータ)であり、長さ80mm、幅10mm、厚さ0.6mmのサイズを有する。そして、超音波振動子12の後端面の中央部分に電歪アクチュエータ13の先端が固定され、電歪アクチュエータ13の基端が支持具14に支持されている。なお、本実施の形態では、電歪アクチュエータ13の表面に、耐水性を高めるための絶縁皮膜が形成されている。超音波振動子12は、歪みが生じていない状態での電歪アクチュエータ13の長手方向を向くように配置されている。またこの状態では、超音波振動子12の中心線に重なるように電歪アクチュエータ13が配置される。
【0024】
また、図1及び図3に示されるように、筐体11の内周面には、2つのラインマーカ15が設けられている。各ラインマーカ15は、スキャナ本体2の先端部(試料接触部材16)から可視光のレーザをライン状に照射する照射手段であり、筐体11の内周面において90度の角度間隔となる位置にそれぞれ配置されている。そして、超音波振動子12は、各ラインマーカ15から照射されるライン状のレーザの交差点と超音波の照射点とが一致するように配置されている(図4参照)。
【0025】
図1に示されるように、支持具14は筐体11内の基端側に収納されており、この支持具14には配線基板19が設けられている。配線基板19には、電歪アクチュエータ13を駆動制御するための走査制御回路20、ラインマーカ15を点灯させる駆動回路21、超音波を送受信するための信号処理回路22、電気信号の入出力を行うためのI/F回路23などが設けられている(図2参照)。
【0026】
I/F回路23としては、パソコン等の標準インターフェースであるUSBインターフェースが用いられる。なお、I/F回路23として、USBインターフェースの他にIEEE1394インターフェースを採用してもよく、また、データ転送速度は遅くなるが、シリアルインターフェースやパラレルインターフェースを採用することもできる。
【0027】
図2に示されるように、走査制御回路20は、電歪アクチュエータ13に接続されており、電歪アクチュエータ13を変位させるための電圧信号を出力する。この電圧信号によって電歪アクチュエータ13が屈曲され、超音波振動子12が移動される(図5参照)。この結果、試料接触部材16の外表面(試料18の表面)に沿って超音波の照射点がリニア走査される。なお、超音波の走査範囲は、例えば2.4mmの幅である。
【0028】
駆動回路21は、ラインマーカ15に接続されており、超音波の走査時にラインマーカ15を点灯させ、ライン状のレーザを各ラインマーカ15から出力させる。
【0029】
信号処理回路22は、送信回路24、送受波分離回路25、受信回路26、A/D変換回路28を備える。
【0030】
送信回路24は、超音波振動子12を駆動させるためのパルスを発生させる回路であり、トリガ回路24aとパルス発生回路24bとを備える。送信回路24において、トリガ回路24aは、制御ユニット3から出力される制御信号をI/F回路23を介して取り込み、その制御信号に基づいてトリガ信号を生成する。パルス発生回路24bは、そのトリガ信号に応答して励起パルスを生成する。その励起パルスが送受波分離回路25を介して超音波振動子12に供給されて超音波振動子12から超音波が照射される。
【0031】
本実施の形態の超音波振動子12は、送受波兼用の振動子であり、試料18で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。そして、その反射波の信号は送受波分離回路25を介して受信回路26に供給される。受信回路26は、反射波の信号を増幅して出力する。反射波信号は、A/D変換回路28に供給された後、I/F回路23を介して制御ユニット3に転送される。そして、制御ユニット3において、試料18の反射波信号が抽出される。
【0032】
制御ユニット3は、CPU31、I/F回路32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36を備え、それらはバス37を介して相互に接続されている。
【0033】
CPU31は、メモリ33を利用して制御プログラムを実行し、装置全体を統括的に制御する。制御プログラムとしては、電歪アクチュエータ13によるリニア走査を制御するためのプログラムや試料18の超音波像を生成して表示するためのプログラムなどを含む。
【0034】
I/F回路32は、スキャナ本体2との間で信号の授受を行うためのインターフェース(具体的には、USBインターフェース)であり、スキャナ本体2に制御信号(走査制御回路20や送信回路24への制御信号)を出力したり、スキャナ本体2からの転送データ(A/D変換回路28からI/F回路23を介して転送されるデータ)を入力したりする。
【0035】
表示装置36は、例えば、LCDやCRTなどのカラーディスプレイであり、試料18の超音波像や、各種設定の入力画面を表示するために用いられる。入力装置35は、キーボードやマウス装置などであり、ユーザからの要求や指示、パラメータの入力に用いられる。
【0036】
記憶装置34は、磁気ディスク装置や光ディスク装置などであり、その記憶装置には制御プログラム及び各種のデータが記憶されている。CPU31は、入力装置35による指示に従い、プログラムやデータを記憶装置34からメモリ33へ転送し、それを逐次実行する。なお、CPU31が実行するプログラムとしては、メモリカード、フレキシブルディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムや、通信媒体を介してダウンロードしたプログラムでもよく、その実行時には記憶装置34にインストールして利用する。
【0037】
図5には、本実施の形態に用いられるユニモルフ型の電歪アクチュエータ13の具体例を示している。図5(a)は屈曲前の電歪アクチュエータ13を示し、図5(b)は屈曲後の電歪アクチュエータ13を示している。図5に示されるように、電歪アクチュエータ13は、第1面41及び第2面42を有する板状基材43を備える。板状基材43の第1面41において中央部よりも先端側(図5では下側)の領域に圧電材44が設けられ、第2面42において中央部よりも基端側(図5では上側)の領域に圧電材44が設けられている。つまり、電歪アクチュエータ13では、先端側の領域と基端側の領域とで同じ変位を持つ構造を逆相に配設している。
【0038】
図5(b)に示されるように、電歪アクチュエータ13は、超音波振動子12が接続される先端側の屈曲方向と基端側の屈曲方向とが逆方向となっている。このように電歪アクチュエータ13を構成することにより、電歪アクチュエータ13の先端部の方向が屈曲前と屈曲後とで同じ方向を向くことになる。なお、図5(b)の場合では、電歪アクチュエータ13の各電極に所定電圧を印加することで、超音波の照射方向Zと直交する方向X(図5では左方向)に超音波振動子12が移動される。また、図示しないが、図5(b)の場合とは逆の電圧を電歪アクチュエータ13の各電極に印加することで、図5の右方向に超音波振動子12が移動される。
【0039】
因みに、単純屈曲の電歪アクチュエータ、すなわち図11に示すような従来のバイモルフアクチュエータ50を用いる場合、アクチュエータ50が屈曲することでその先端部の角度が変化してしまう。この場合、走査時において超音波の照射方向Zを一定に保つことは困難となる。これに対して、図5の電歪アクチュエータ13を用いることにより、走査時において超音波の照射方向Zを一定に保つことが可能となる。
【0040】
また、電歪アクチュエータ13の屈曲前と屈曲後とでは上下方向の変位(照射方向の位置ズレ)が若干生じることとなるが、焦点型超音波振動子12から照射される超音波は、図6に示すように焦点を結ぶ。つまり、超音波のビーム幅が狭くなる焦点領域R1は、超音波Soの照射方向Zにある程度の幅を有している。従って、本実地の形態では、電歪アクチュエータ13の変位よりも焦点領域R1の幅が広い超音波振動子12を用いている。この超音波振動子12を用いることにより、電歪アクチュエータ13の屈曲によって焦点型超音波振動子12がZ方向に変位したとしても、試料18の表面に超音波Soの焦点が合うようになっている。
【0041】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0042】
(1)本実施の形態の超音波顕微鏡1では、超音波の走査手段として、板状に形成された屈曲変位型の電歪アクチュエータ13を用いている。そして、駆動時には、電歪アクチュエータ13における先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の超音波の照射方向Zが平行となるよう超音波振動子12の位置を移動させることで、超音波の走査が行われる。このように構成すると、超音波の照射方向Zが常に一定の方向(試料18表面と直交する方向)を向くように超音波振動子12を駆動することができる。さらに、電歪アクチュエータ13の先端に超音波振動子12が固定されているので、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。また、電歪アクチュエータ13としてユニモルフ型のアクチュエータが用いられているので、走査手段の簡素化が可能となる。このため、スキャナ本体2の軽量化や小型化を図ることができ、携帯型の超音波顕微鏡1を実現することが可能となる。また、スキャナ本体2は、全体としてペン状を呈しているので、スキャナ本体2を手で持って容易に操作することができ、スキャナ本体2の先端部を直接患部に当てて患部の検査を迅速に行うことができる。
【0043】
(2)本実施の形態の超音波顕微鏡1では、ラインマーカ15を備え、そのラインマーカ15により、超音波の走査位置を示す可視光がスキャナ本体2の先端部から出力される。この可視光によって超音波の走査位置を容易に確認することができるため、試料18における所望の部位に超音波を迅速に走査させることができる。
【0044】
(3)本実施の形態の超音波顕微鏡1では、スキャナ本体2の先端部に試料接触部材16が着脱可能に装着されているので、異なる試料18を検査する度に試料接触部材16を交換することができる。この場合、新品の試料接触部材16や殺菌洗浄後の試料接触部材16に交換することにより、スキャナ本体2を清潔に保つことができ、実用上好ましいものとなる。
【0045】
(4)本実施の形態では、スキャナ本体2内に収納された配線基板19に、電歪アクチュエータ13を駆動制御するための走査制御回路20、ラインマーカ15を点灯させる駆動回路21、超音波を送受信するための信号処理回路22などが設けられているので、携帯型の超音波顕微鏡1を実現する上で好ましい構成となる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0047】
・上記実施の形態では、1枚の電歪アクチュエータ13で超音波振動子12を移動させるものであったが、これに限定されるものではなく、2枚以上の電歪アクチュエータ13にて超音波振動子12を移動させるように構成してもよい。図7には、2枚の電歪アクチュエータ13にて超音波振動子12を移動させる走査手段の具体例を示している。図7において、超音波振動子12を移動させるために同じ形状・大きさの2枚の電歪アクチュエータ13が用いられ、各電歪アクチュエータ13が互いに平行かつ隙間をもって配置されている。そして、超音波の走査時には、各電歪アクチュエータ13が同一方向に同時に屈曲される。なお、各電歪アクチュエータ13の先端同士は接近していてもよいが、図7に示すように離間していてもよい。このように超音波の走査手段を構成すると、超音波振動子12の向きを一定に保ちつつ超音波振動子12を確実に移動させることができる。
【0048】
・上記実施の形態の電歪アクチュエータ13は、板状基材43の第1面41(図5では左側の面)において中央部よりも先端側の領域に圧電材44が設けられ、第2面42(図5では右側の面)において中央部よりも基端側の領域に圧電材44が設けられていたが、これに限定されるものではない。図5の電歪アクチュエータ13において、板状基材43の左右を逆にした面をそれぞれ第1面41及び第2面42とし、右側の第1面41において中央部よりも先端側の領域に圧電材44を設け、左側の第2面42において中央部よりも基端側の領域に圧電材44を設けてもよい。
【0049】
・上記実施の形態では、電歪アクチュエータ13の先端に超音波振動子12を固定し、電歪アクチュエータ13の基端側を支持具14に固定する構成としたが、図8のような構成を採用してもよい。具体的には、2枚の電歪アクチュエータ13を用い、各電歪アクチュエータ13の一端を連結部材46で接続する。そして、一方の電歪アクチュエータ13の他端(基端)を支持具14に固定し、他方の電歪アクチュエータ13の他端(先端)に超音波振動子12を固定する。このように構成すると、電歪アクチュエータ13の屈曲前と屈曲後とで上下方向の変位をキャンセルすることができ、超音波の焦点のズレを確実に防止することができる。
【0050】
・上記実施の形態の超音波顕微鏡1では、超音波を一次元的にリニア走査するものであったが、これに限定されるものではなく、二次元的に走査する構成としてもよい。具体的には、図9に示す走査手段のように、電歪アクチュエータ13による駆動部分を2段構造として、1段目の電歪アクチュエータ13の屈曲方向と2段目の電歪アクチュエータ13の屈曲方向とが直交するように設ける。なお、図9に示す走査手段では、1段目及び2段目の各段において電歪アクチュエータ13を1枚ずつ設けているが、各段にて複数枚の電歪アクチュエータ13を設けてもよい。このようにすれば、1段目の電歪アクチュエータ13と2段目の電歪アクチュエータ13との屈曲の組み合わせによって超音波振動子12を二次元的に移動させることが可能となる。
【0051】
・上記実施の形態では、ユニモルフ型の電歪アクチュエータ13を用いたが、バイモルフ型の電歪アクチュエータなどの他の電歪アクチュエータを用いてもよい。図10には、そのバイモルフ型の電歪アクチュエータ13Aの具体例を示している。図10に示されるように、電歪アクチュエータ13Aは、第1面41及び第2面42を有する板状基材43を備え、第1面41及び第2面42には2枚ずつ圧電材44a,44bが貼り付けられている。詳しくは、板状基材43の第1面41において、中央部よりも基端側の領域及び先端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材44a,44bが設けられている。また、板状基材43の第2面42において、中央部よりも基端側の領域及び先端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材44b,44aが設けられている。そして、電歪アクチュエータ13Aでは、対角にある圧電材44a及び対角にある圧電材44bについて逆相の屈曲方向となるよう電歪アクチュエータ13Aの各電極に電圧が印加される。この電歪アクチュエータ13Aを用いても、超音波の照射方向が平行となるよう超音波振動子12の位置を移動させることができる。また、バイモルフ型の電歪アクチュエータ13Aを用いれば、ユニモルフ型の電歪アクチュエータ13と比較して、超音波振動子12を確実に移動させることができ、超音波の走査範囲を十分に確保することができる。
【0052】
・上記実施の形態では、筐体11の内周面にラインマーカ15を固定していたが、超音波振動子12側にラインマーカ15を固定してもよい。
【0053】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0054】
(1)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記屈曲変位型の電歪アクチュエータを支持可能な支持体を備えるとともに、1枚の前記屈曲変位型の電歪アクチュエータの基端を前記支持体に支持させるとともに、前記電歪アクチュエータの先端を前記超音波振動子の後端面の中央部に固定したことを特徴とする記載の超音波顕微鏡。
【0055】
(2)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記屈曲変位型の電歪アクチュエータを複数枚支持可能な支持体を備えるとともに、複数枚の前記屈曲変位型の電歪アクチュエータの基端を前記支持体に支持させるとともに、各電歪アクチュエータを互いに平行に配置し、かつ、各電歪アクチュエータの先端に前記超音波振動子を固定したことを特徴とする記載の超音波顕微鏡。
【0056】
(3)技術的思想(2)において、前記走査手段は、前記超音波の走査時に、前記各屈曲変位型の電歪アクチュエータを同一方向に同時に屈曲させることを特徴とする超音波顕微鏡。
【0057】
(4)技術的思想(2)において、一対の前記屈曲変位型の電歪アクチュエータの先端部に前記超音波振動子の両端が固定されたことを特徴とする超音波顕微鏡。
【0058】
(5)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記スキャナ本体は、全体としてペン状を呈することを特徴とする超音波顕微鏡。
【0059】
(6)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記超音波振動子に対して信号の送受信を行う信号処理手段が前記スキャナ本体の基端部側に収納されていることを特徴とする超音波顕微鏡。
【0060】
(7)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記スキャナ本体の先端部が着脱可能に構成されていることを特徴とする超音波顕微鏡。
【0061】
(8)請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記試料はインビボの生体組織であり、その生体組織に前記スキャナ本体の先端部表面を直接接触させて使用することを特徴とする超音波顕微鏡。
【符号の説明】
【0062】
1…超音波顕微鏡
2…スキャナ本体
12…焦点型超音波振動子
13…走査手段を構成する電歪アクチュエータ
14…支持体としての支持具
15…可視光照射手段としてのラインマーカ
41…第1面
42…第2面
43…板状基材
44,44a,44b…圧電材
W1…超音波伝達媒体
Z…照射方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に超音波伝達媒体が収容可能なスキャナ本体と、
前記スキャナ本体の先端部に配置され、試料にて焦点を結ぶように前記超音波伝達媒体を介して超音波を照射するとともに、前記試料からの反射波を受信して電気信号に変換する焦点型超音波振動子と、
前記スキャナ本体の内部に配置され、超音波の照射点を前記試料の表面に沿って移動させる走査手段と
を備え、前記超音波振動子で受信した超音波の反射波信号に基づいて、前記試料の超音波像を表示する超音波顕微鏡であって、
前記走査手段は、板状に形成されその先端に前記超音波振動子を固定した屈曲変位型の電歪アクチュエータを含んで構成され、駆動時には、前記電歪アクチュエータにおける先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の前記超音波の照射方向が平行となるよう前記超音波振動子の位置を移動させることを特徴とする超音波顕微鏡。
【請求項2】
前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域に圧電材が設けられ、前記第2面において中央部よりも基端側の領域に圧電材が設けられたユニモルフ型のアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の超音波顕微鏡。
【請求項3】
前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられるとともに、前記第2面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられたバイモルフ型のアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の超音波顕微鏡。
【請求項4】
前記超音波の走査位置を示す可視光を前記スキャナ本体の先端部から出力する可視光照射手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波顕微鏡。
【請求項1】
先端部に超音波伝達媒体が収容可能なスキャナ本体と、
前記スキャナ本体の先端部に配置され、試料にて焦点を結ぶように前記超音波伝達媒体を介して超音波を照射するとともに、前記試料からの反射波を受信して電気信号に変換する焦点型超音波振動子と、
前記スキャナ本体の内部に配置され、超音波の照射点を前記試料の表面に沿って移動させる走査手段と
を備え、前記超音波振動子で受信した超音波の反射波信号に基づいて、前記試料の超音波像を表示する超音波顕微鏡であって、
前記走査手段は、板状に形成されその先端に前記超音波振動子を固定した屈曲変位型の電歪アクチュエータを含んで構成され、駆動時には、前記電歪アクチュエータにおける先端側の領域と基端側の領域とを逆方向に屈曲させ、その時々の前記超音波の照射方向が平行となるよう前記超音波振動子の位置を移動させることを特徴とする超音波顕微鏡。
【請求項2】
前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域に圧電材が設けられ、前記第2面において中央部よりも基端側の領域に圧電材が設けられたユニモルフ型のアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の超音波顕微鏡。
【請求項3】
前記電歪アクチュエータは、第1面及び第2面を有する板状基材を備え、前記第1面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられるとともに、前記第2面において中央部よりも先端側の領域及び基端側の領域に屈曲方向が異なる圧電材が設けられたバイモルフ型のアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の超音波顕微鏡。
【請求項4】
前記超音波の走査位置を示す可視光を前記スキャナ本体の先端部から出力する可視光照射手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波顕微鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−21952(P2012−21952A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162034(P2010−162034)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業「先進予防型健康社会創生クラスター構想(時空を超えたユビキタスな健康管理環境技術の確立)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(510197645)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業「先進予防型健康社会創生クラスター構想(時空を超えたユビキタスな健康管理環境技術の確立)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(510197645)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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