説明

超高濃度液体脱脂組成物

アミンオキシド、水溶性溶媒、アルカリ源、キレート剤およびハイドトロープを含む、実質的に水を含まない濃縮組成物が提供され、この濃縮組成物は、安定な、水を含む、全体で水に溶解性の溶液を調製するのに有用である。この組成物は、任意選択的に、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、腐食防止剤、染料、香料、または保存料のいずれか1種またはそれらの組み合わせを含むことができる。本発明の超濃縮組成物は、希釈の前の基剤への被覆、または液体濃縮物を直接希釈剤に加えることを含む、多くの送達方法に独自に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面処理のための組成物に関する。本発明は、硬質表面洗浄組成物に関し、特に、超濃縮され、水に溶解して安定して分散し、優れた安定性および脱脂能を示す組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤を含む液体洗浄組成物が知られている。そうした組成物は、例えば、希釈可能な形態または直ちに使用できる形態のいずれかで、処理する硬質表面に対して有用な洗浄効果に加えて脱脂効果を提供する硬質表面洗浄剤として使用できる。そうした組成物は、一般的に大量の水で希釈する場合になんら相溶性の問題を有さない。
【0003】
いくつかの目的においては、無水または実質的に無水の液体脱脂組成物を有することが望ましい。いくつかの例において、そうした組成物が無水または実質的に無水である場合、計測済み用量を調製することができ、これらの組成物のユーザーは、硬質表面を洗浄する度に使用する界面活性組成物を適切な量に計測する必要がなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、当該分野において、表面、特に硬質表面を洗浄し、そしてさらに特に脱脂能を提供する上で有用である改善された組成物に対しては、実質的かつ継続的な需要がある。当該分野において、洗浄における便益を提供し、また従来技術の硬質表面洗浄用組成物の1つ以上の短所を克服する改良された硬質表面処理用組成物に対して、実質的かつ継続的な需要がある。特に、超濃縮の構成で提供され、水に素早く溶解し、皮膚および眼に対する刺激性が抑制され、アルミニウムなどの軟質金属を腐食しない、さらに改良された硬質表面洗浄組成物に対する需要がある。
【0005】
希釈された使用組成物は、硬質表面から任意の有機汚れまたは油脂汚れを弛緩させ除去するのに充分な期間適用されるのに適している。通常対象となる汚れには、油、脂肪および実質的に水に不溶性の有機媒体等の大きな有機組成物を有する有機/無機の混合汚れが含まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の濃縮組成物は、液体濃縮物が基材上に被覆され、その基材を単純に大量の水に加え、そして基材から濃縮物が放出される液体濃縮物に特に適している。本発明による濃縮組成物の好ましい溶解および分散特性は、この状況において特に有用である。本発明の濃縮組成物は、測定された量の濃縮組成物を含む基材が単に予め測定された量の水に加えられて溶液となる、容器中での使用に適している。基材は、使用組成物中に残るか、いったん希釈された処理用組成物(使用組成物)が形成されれば、溶解し消失してもよい。本発明の濃縮組成物の良好な溶解および分散特性は、この状況において特に有用である。
【0007】
別の態様において、本発明の液体濃縮組成物は、容器に単に大量の水に加えられる場合、内容物を溶解し放出する水溶性容器での使用に特に適している。本発明による濃縮組成物の好ましい非常にコンパクトな性質と、溶解および分散特性は、この状況において特に有用である。本発明の濃縮組成物は、特定量の濃縮物が計測され、次いで単に予め測定された量の水に加えられて溶解し、使用組成物を形成する、包み、ボトル、カートリッジ、つぼ、バッグ、小袋、ペール、バケツ、またはドラム缶からの送達に適している。本発明の濃縮組成物はまた、アスピレーターを備えた分注装置で希釈し、水道水流に濃縮物を指定の投与率で送達し、所望の使用溶液組成物を生成させるのに適している。本発明の濃縮物の他の分注の選択肢には、蠕動ポンプとギアポンプが含まれる。本発明の濃縮物はまた、スプレーボトル、ホースエンドスプレー、園芸用スプレー等に挿入するためのマルチチェンバーまたは単一チェンバーのカートリッジ内に充填することができる。本発明の組成物はまた、製造場所で希釈でき、そしてパッケージされた直ちに使用できる洗浄溶液として配送することができる。
【0008】
一態様において、本発明は、複雑な有機もしくは油脂汚れおよび無機汚れ除去のために水溶液中で使用される充分に調合された製品での濃縮物として、本発明の組成物を使用することを含む。そうした用途において、本発明の組成物は、水溶液中で混合され、特定の表面から汚れを除去するために設計されている。そうした表面は、通常の硬質表面を含む。そうした硬質表面は、食品調理用途、レストラン、食料品店、家庭、事務所、介護施設、デイケアセンター、病院、および食品の汚れまたは他の油脂汚れが硬質表面上に堆積する場合があるその他の場所に存在する場合がある。そうした表面は、本発明の組成物を脱脂または有機汚れ除去用成分として含むように調合された硬質表面用洗浄剤を使って洗浄することができる。
【0009】
一態様において、本発明は、複雑な有機または油脂汚れおよび無機汚れ除去のために使用される完全に調合された製品を調製するための、水で希釈するのに適した濃縮物として本発明の組成物を使用することを含む。そうした用途において、本発明の組成物は、使用組成物または使用溶液を調製するために水と混合され、特定表面からの汚れを除去するために設計されている。
【0010】
基材上での送達に適した本発明の安定な濃縮された洗浄組成物は、特に、約5〜約80wt%のアミンオキシド界面活性剤、約0.05〜約80wt%の水溶性溶媒(グリコールエーテルが好ましい)、約0.05〜40wt%のアルカリ源を含み、アミンオキシドの水溶性溶媒に対する重量比が、水溶性溶媒の1重量部当り、約10〜約1重量部、好ましくは約5〜1重量部であり、そして任意選択的なキレート剤、および任意選択的な腐食防止剤、水溶性溶媒、および水で希釈する前に均一な単一相の水溶性組成物である界面活性剤を安定化させる任意選択的な0〜30wt%の1種または2種以上の有効なハイドロトロープ可溶化剤、好ましくはジプロピオン酸塩、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)を含む。本発明の濃縮組成物は、約0.05〜40wt%のアルカリ源(好ましくは、アミノメチルプロパノール)を含む。任意選択的な2種のキレート剤の組み合わせ(好ましくはエタノールジグリシン酸二ナトリウム塩、「EDG」、およびメチルグリシン−N−N−アセト酢酸三ナトリウム塩、「MGDA」)を、この組成物に全量で約0〜30wt%加えることができる。キレート塩を加える場合、2種のキレート剤の組み合わせは結晶生成を妨げることが望ましい。論理に拘束されないが、キレート剤のうちの1つの分子構造がもう一方のキレート塩の結晶性沈殿の生成を妨げると考えられている。任意選択的に、約0〜40wt%の非イオン性界面活性剤(好ましくは、アルコールアルコキシレート)が組成物に含まれる。
【0011】
さらなる態様において、基材上での送達に適する特に本発明の安定な濃縮された洗浄組成物は、約0.05〜約30wt%のアミンオキシド界面活性剤、約0.05〜約80wt%の水溶性溶媒(好ましくは、グリコールエーテル)、約0.05〜40wt%のアルカリ源を含み、水溶性溶媒のアミンオキシドに対する重量比は、約1重量部の水溶性溶媒当り、約1〜約10重量部、好ましくは約1〜約5重量部である。本発明の濃縮組成物は、約0.05〜約40wt%のアルカリ源(好ましくは、アミノメチルプロパノール)を含む。任意選択的に、約0〜40wt%の非イオン性界面活性剤(好ましくはアルコールアルコキシレート)が組成物に含まれる。また、任意選択的に色素および香料が、本発明の組成物に含まれる。この態様は、実質的に水を含まない。
【0012】
基材上での被覆に特に適している本発明の安定した液体濃縮組成物の他の観点において、この組成物は約0〜約30wt%の水溶性溶媒、好ましくは、グリコールエーテルと、約5〜約80wt%の1種または2種以上のアミンオキシド界面活性剤と、約0.05〜約40wt%のアルカリ源(好ましくは、アミノメチルプロパノール)と、任意選択的にキレート剤を含む場合、約0〜約30wt%の1種または2種以上のハイドロトロープ、好ましくは、ジプロピオン酸塩、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)材料と、を含むことができる。これらの組成物において、アルカリ源とアミンオキシドとの比率は、1重量部のアルカリ源当り、約1〜15重量部のアミンオキシドである。これらの組成物において、アルカリ源と溶媒との比率は、1重量部の溶媒当り、約1重量部のアルカリ源である。任意選択的に、約0〜40wt%の1種または2種以上の非イオン性界面活性剤(好ましくは、アルコールアルコキシレート)が組成物中に含まれる。この材料の組成物中における材料の均衡は、実質的に水を含まない洗浄用濃縮物を提供し、水で希釈された場合に強化された洗浄特性を有する。この組成物は、実質的に水溶性である。本発明の組成物は、基材上に被覆されるのに特に良好に適しており、水で希釈する前に単一相に維持され、そして水中に置かれると良好に溶解し、そして容易に基材から分散する。
【0013】
基材から直ちに放出されるように基材上に容易に被覆される全体的に水溶性溶液の形態の安定な水性洗浄剤/脱脂剤用液体組成物を調製するのに使用される、実質的に水を含まない安定した濃縮物は、0.05〜80wt%の実質的に水溶性の溶媒と、5〜80wt%のアミンオキシドと、0.05〜40wt%のアルカリ源と、任意選択的に0〜30wt%のハイドロトロープと、0〜30wt%の任意選択的キレート剤のブレンドと、0〜40wt%の任意選択的非イオン性界面活性剤と、約0.05%以下の腐食防止剤が任意選択的に追加される場合、任意選択的に約0.45wt%以下の追加的な水と、を含んで提供される。さらに、防腐剤、香料、または染料の任意の組み合わせが、任意選択的に加えられる。
【0014】
2年間までの保管寿命を有し、全体的に水溶性溶液の形態で安定な水性洗浄剤/脱脂剤の液体組成物を調製する使用のための安定した液体濃縮物は、0.01〜60wt%の実質的に水溶性の溶媒と、2〜90wt%のアミンオキシドと、0.05〜50wt%のアルカリ源と、0〜50wt%の任意選択的ハイドロトロープと、0〜40wt%の任意選択的キレート剤のブレンドと、0.05〜50wt%の非イオン性界面活性剤と、任意選択的に約0.4%以下の腐食防止剤が追加される場合、任意選択的に約3.6wt%以下の追加的な水と、を含んで提供される。組成物の濃度によって、約10wt%以下、約8wt%以下、約6wt%以下、約4wt%以下、約2.5wt%以下、および約1wt%以下の水が追加される。水の追加により、調合が容易になり、流動を容易にする。いくつかの態様において、本発明の組成物は、実質的に水を含まない。さらに、防腐剤、香料、または染料の任意の組み合わせが、任意選択的に加えられる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の組成物は、複数の異なる送達法に適することを特徴とする。これらの送達法は、液体送達および不織基材上の被膜が含まれる。液体送達には、予め測定された量の水で希釈する基材上の濃縮液体組成物を用いた被膜が含まれるが、これに限定されるものではない。液体送達はさらに、自由液体濃縮物を予め測定された量の希釈剤に送達して使用組成物を生成させることを含む。液体送達はまた、直ちに使用できる調合物となる予め希釈した組成物を含む。
【0016】
送達方法それぞれの要約、および組成物成分の詳細な説明を以下に記載する。
【0017】
以下に定義する用語について、それらの定義は、本明細書中の特許請求の範囲またはその他において別の定義が与えられない限り、適用される。
【0018】
本明細書中で使用される「基材送達」または「基材上の送達」の用語は、組成物が液体であって、水が加えられる場合、非常に少量の水を含む場合の本発明の態様に言及する。本明細書中で使用される「基材」の用語は、いくつか例を挙げると、不織布、織布、(水溶性であるかないかにかかわらない)ポリマーを含むが、これらに限定されない。基材上で被覆する前に、基材送達に適する組成物は、溶媒の外に何らかの塩の沈殿を生じるまでに24時間までの保管寿命を示す。いったん基材上に被覆すると、そうした組成物は、約6か月以下の、約1年以下の、および約2年以下の、はるかに延長された保管寿命を示す。
【0019】
本明細書中のすべての数値は、明示のあるなしに関わらず、「約」の用語で修飾されているものと推定する。「約」の用語は、通常、記載された値に等しい(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者が考えるであろう数値範囲をいう。多くの例において、「約」の用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数値を含むことができる。
【0020】
重量パーセント、重量によるパーセント、重量%、wt%およびその同義語は、材料の重量を組成物の重量で割り100を掛けた材料の濃度をいう。
【0021】
両端による数値範囲の記載は、その範囲内に包含されるすべての数値を含む(例えば、1〜5の範囲には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5が含まれている)。
【0022】
本明細書および付属の特許請求の範囲で用いられるように、単数形は、そうでないと明らかに記載しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」を含む組成物への言及は、2種または3種以上の化合物の混合物を含む。本明細書および付属の特許請求の範囲で用いられている「または」の用語は、そうでないと明らかに記載しない限り、通常、「および/または」を含む意味で用いられる。
【0023】
「アルキル」の用語は、特定数の炭素原子を有する一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基をいう。アルキル基は、組成物の特定の機能を妨げない置換基で、置換されていなくても置換されていてもよく、同一または異なる基で一度または二度置換されてもよい。置換基は、例えば、アルコキシ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルバノイロキシ(carbanoyloxy)基、シアノ基、メチルスルホニルアミノ基、またはハロ基を含むことができる。「アルキル」の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、3−メチルペンチル等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0024】
「アルコキシ」の用語は、特定数の炭素原子および炭素−酸素−炭素結合を有する一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味し、組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていなくても置換されていてもよく、同一または異なる基で一度または二度置換されてもよい。置換基は、例えば、アルコキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルバノイロキシ基、シアノ基、メチルスルホニルアミノ基、またはハロ基を含むことができる。例は、メトキシ、エトシキ、プロポキシ、t−ブトキシ等を含む。
【0025】
本明細書で使用されるEO、PO、またはEO/POの用語は、それぞれエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドをいう。EO/POは、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体をいう。
【0026】
本明細書で使用される「安定した」の用語は、単相状態を維持し、加速されたまたは延長された保管状態に曝されても相が分離しない組成物または溶媒をいう。「安定した」の用語はさらに、長期間保存されても結晶または沈殿を生成しない組成物または溶媒をいう。ここでいう長期間とは、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約2か月間、少なくとも約3か月間、少なくとも約4か月間、少なくとも約5か月間、少なくとも約6か月間、少なくとも約1年間、少なくとも約18か月間、少なくとも約21か月間、少なくとも約2年間である。「安定した」の用語は、本明細書中に明示されていないが、約2年間以下の各時間枠(週単位または月単位)を包む。
【0027】
「界面活性剤」または「表面活性剤」の用語は、液体に加えるとその液体表面の特性を変化させる有機化学物質をいう。
【0028】
「実質的に含まない」の用語は、本発明の組成物にない成分、または本発明の組成物に通常ない任意の成分を意味することができる。「実質的に含まない」と記述する場合、その成分が本発明の組成物に意図的に加えられていないことを意図する。ある成分に関して「実質的に含まない」の用語の使用は、それらが別の成分中に存在するために、本発明の組成物中に含まれる微量の成分を許容する。しかしながら、組成物がある成分を「実質的に含まない」と言いう場合、微量または極小的量のみの成分が許容されると認識される。
【0029】
そうでないと記載しない限り、本明細書で用いられるすべての重量パーセントは、製造者から提供される原材料の重量パーセントを反映する。各成分の活性物質重量パーセントは、製造者から提供された製品データシートを使用することにより、そこで提示された情報から容易に決定できる。
【0030】
基材上への被覆に適した液体組成物
予め測定された量の希釈剤に送達するための液体濃縮物を用いて被覆した基材は、脱脂剤濃縮物を調合する場合、特定の問題を生じる。任意の所与の基材は、限られた量の濃縮物しか受容し、そして担持できないので、この調合物は、極端に濃縮されていなければならない。さらなる挑戦は、濃縮した組成物が基材担体から直ちに放出され、予め測定された希釈剤中で希釈されなければならないことである。
【0031】
不織ストラップなどの基材上への被覆に適した第1の液体組成物を提供する。そうした濃縮された調合には、アミンオキシド混合物、アルカリ源、アルコールアルコキシレート(非イオン性)界面活性剤、および水溶性溶媒が含まれる。グリコールエーテルとして提供される水溶性溶媒は、濃縮物の基材から希釈在中への溶出を速めることを助ける。代わりの態様には、キレート剤およびハイドロトロープ、水で希釈された腐食防止剤、防腐剤、香料、および/または染料が任意選択的に含まれる。この液体濃縮物は、水に、重量で約1:300、重量で約1:25〜約1:250、および重量で約1:50〜約1:200に希釈される。
【0032】
基材上への被覆に適した液体組成物−代替態様
不織ストラップなどの基材上に被覆するのに適した代わりの組成物を提供する。そうした濃縮された調合物には、アミンオキシド混合物、アルカリ源、金属イオン封鎖剤、ハイドロトロープ、および水溶性溶媒が含まれる。この態様において、金属イオン封鎖剤の混合物またはハイドロトロープの混合物が有用であることができる。水で希釈した腐食防止剤、非イオン性界面活性剤、防腐剤、香料、および/または染料が任意に選択される。前の態様と同様に、グリコールエーテルが濃縮物の基材から希釈剤中への溶出を助ける。この液体濃縮物は、水に、重量で約1:300、重量で約1:25〜約1:250、および重量で約1:50〜約1:200に希釈される。
【0033】
下の表に、本発明の濃縮脱脂剤の態様の液体基材送達のための成分範囲を示す。そうした濃縮物は、好ましくは基材上に被覆され、水で希釈される。
【表1】

【0034】
基材送達なしで希釈される液体組成物
基材上に被覆する必要のない濃縮された脱脂剤の組成物を提示する。この組成物は、濃縮物として提供されて、顧客側において水で希釈されるか、または直ちに使用できる組成物として提供することができる。そうした濃縮された脱脂剤の調合物には、アミンオキシド混合物、アルカリ源、金属イオン封鎖剤、ハイドロトロープ、および長鎖アルコールアルコキシレート(非イオン性)が含まれる。他の態様において、金属イオン封鎖剤の組合せまたはハイドロトロープの組合せが有用であることができる。メタケイ酸塩などの腐食防止剤、水、および水溶性グリコールエーテル溶媒が任意に選択される。この態様に従う液体濃縮物を水に、重量で約1:300、重量で約1:25〜約1:250、および重量で約1:50〜約1:200に希釈できる。
【0035】
下の表に、本発明の濃縮脱脂剤の態様のための成分範囲を示す。この濃縮物は、好ましくは基材上に被覆されない。
【表2】

【0036】
アルカリ源
汚れの除去は、通常、洗浄用組成物または脱脂剤の製造に使用されるアルカリ源により達成する。アルカリ源は、有機、無機、およびそれらの混合物であることができる。アルカリの有機源は、しばしば、例えば、アンモニア(水酸化アンモニウム)、アミン、アルカノールアミン、およびアミノアルコールを含む強窒素塩基である。アミンの典型例は、炭化水素基に結合した少なくとも1つの窒素を有する第1級、第2級、または第3級アミンおよびジアミンを含み、この炭化水素基は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子、または24個以下の炭素原子を含むアリール基、アラルキル基、またはアルカリル基を有する飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖アルキル基によって表わされ、そして任意選択的な他の窒素に結合している基は、任意選択的に置換されたアルキル基、アリール基、アラルキル基またはポリアルコキシ基によって形成されている。アルカノールアミンの典型例には、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等が含まれる。アミノアルコールの典型例には、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1、3−プロパンジオール、ヒドロキシメチルアミノメタン等が含まれる。
【0037】
さらなる洗浄力を界面活性物質の使用により得ることができる。一般的に、泡作用を制御しながら相当な汚れ除去性を有する洗浄溶液を生成するために使用できる組成物が得るために、アニオン性または非イオン性の界面活性剤は、他の成分と共にそうした洗浄剤に調合される。多くの任意選択的洗浄性成分は、汚れ除去を強化することができるが、汚れ除去は主に、アルカリ源およびアニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤から得られる。
【0038】
基材上での送達の態様においては、Dow Chemical社の関連子会社であるAngus Chemical社がAMP−95として市販している2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアミノアルコールが有用である。基材上での被覆が望まれる態様において、アルカリ源は、約0.05〜40wt%、約1〜約25wt%、および約2〜15wt%の量で存在する。
【0039】
基材上での送達が必要ない希釈可能な用途のための態様において、Dow Chemical 社の関連子会社である Angus Chemical 社がAMP−95として市販している2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアミノアルコールが有用である。基材上での被覆が望まれない態様において、アルカリ源は、約0.05〜50wt%、約1〜約20wt%、および約2〜10wt%の量で存在する。
【0040】
アミンオキシド
アルカリ源に加えて、アミンオキシド界面活性剤が、本発明の組成物中で主に脱脂剤として働くアルカリ源と連動して働く。
【0041】
界面活性剤もしくは表面張力を変化させる化合物またはポリマーなどの活性成分が、本発明では有用である。具体的には、界面活性剤は、結果として生じる組成物中の表面張力を変えるように機能し、膜形成作用を提供し、そして汚れを乳化することによって汚れを除去し、そして懸濁させることを助け、その後の拭き取り、流し、すすぎを通して除去を可能にする。アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含む多数の界面活性剤が使用できる。洗浄剤は、界面活性剤または界面活性物質系にでき、また界面活性混合物を意味することができる。
【0042】
本発明の界面活性剤または界面活性混合物は、第3級アミンオキシドを含む。第3級アミンオキシドの典型例には、2つのC1〜5アルキル基と1つのC6〜30アルキル基を有するアミンオキシドが含まれる。そうした物質の代表には、ジメチルココアミンオキシド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ジメチルデシルアミンオキシド、ジメチルオクチルアミンオキシド、ジメチルオレイルアミンオキシド、ココビスエトキシアミンオキシド、獣脂ビスエトキシアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)セチルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)獣脂アミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)水素化獣脂アミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシプロピル)獣脂アミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシプロピル)ステアリルアミンオキシド、ジメチル獣脂アミンオキシド、ジメチルセチルアミンオキシド、ジメチルミリスチルアミンオキシド、ジメチルステアリルアミンオキシド、およびジエチルステアリルアミンオキシドがある。最も好ましいアミンオキシドの混合物は、ジメチルラウリルアミンオキシド、ジメチルミリスチルアミンオキシド、およびジメチルセチルアミンオキシドの混合物である。基材上で送達する態様において、Lonza Group がBarlox1260として市販しているジメチルラウリルアミンオキシドが有用である。Barlox1260は、水中の3種のアミンオキシドとポリプロピレングリコールの混合物である。Barlox1260は、41.4%のジメチルラウリルアミンオキシド、15%のジメチルミリスチルアミンオキシド、3.6%のジメチルセチルアミンオキシド、25%のポリプロピレングリコールおよび15%の水を含む。基材上で液体送達する態様において、アミンオキシドは、約5〜約80パーセント、約10〜約75wt%、および約15〜約70wt%の量で本発明中に存在する。
【0043】
基材上に被覆せずに液体送達する態様において、本発明の界面活性剤または界面活性剤混合物はまた、アミンオキシドを含む。液体送達する態様において、Lonza Group が Barlox1260として市販しているジメチルラウリルアミンオキシドが有用である。アミンオキシドは、約2〜約90wt%、約30〜約85wt%、および約50〜約80wt%の量で本発明中に存在する。
【0044】
界面活性剤
アミンオキシドに加えて、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性混合物が、基材送達を含む送達方法のために、本発明の濃縮物に加えられる。本発明のプロセスおよび製品中での使用のための特定の界面活性剤または界面活性混合物は、製造の方法、製品の物理的形態、使用pH、使用温度、泡制御、および汚れのタイプを含む、最終的な有用性の条件によることができる。
【0045】
本特許出願の目的のために、「非イオン性界面活性剤」の用語は、典型的に、疎水性基と、(EO)基、(PO)基または(BO)基(x、y、zは約1〜約100の範囲であることができる数値である)を含む少なくとも1つの親水性基とを有する界面活性剤を示す。一般的な疎水性基とそうした親水性基の組合せは、そうした組成物に実質的な界面活性を提供する。非イオン性界面活性剤の適正なタイプの例には、直鎖または分枝鎖構造のいずれか中に約6〜12個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルフェノールのエチレンオキサイドとの縮合生成物が含まれる。エチレンオキサイドは、アルキルフェノール1モル当り、5〜20モルのエチレンオキサイドに等しい量で存在する。このタイプの化合物の例には、1モルのノニルフェノール当り平均約9.5モルのエチレンオキサイドと縮合したノニルフェノール、1モルのフェノール当り約12モルのエチレンオキサイドと縮合したドデシルフェノール、1モルのフェノール当り約15モルのエチレンオキサイドと縮合したジノニルフェノール、1モルのフェノール当り約15モルのエチレンオキサイドと縮合したジイソオクチルフェノールが含まれる。
【0046】
エチレンオキサイドと脂肪族アルコールの縮合生成物はまた、有用な界面活性特性を示す。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、通常約3〜約22の炭素原子を含む。好ましくは、1モルのアルコール当り約3〜約18モルのエチレンオキサイドがある。このポリエーテルは、従来からメチル、ベンジルなどの基を含んだアシル基で末端をキャップすることができる。そうしたエトキシル化アルコールの例は、約6モルのエチレンオキサイドと1モルのトリデカノールとの縮合生成物と、1モルのミリスチルアルコール当り約10モルのエチレンオキサイドと縮合したミリスチルアルコールと、エチレンオキサイドとヤシ脂肪アルコールとの縮合生成物(ヤシアルコールは、炭素原子に10〜14個の範囲で変化するアルキル鎖を有する脂肪アルコールの混合物である)とを含み、そしてこの縮合物は、1モルのアルコール当り約6モルのエチレンオキサイドを含み、そして約9モルのエチレンオキサイドと上記のヤシアルコールとの縮合生成物とを含む。この種の市販されている非イオン性界面活性剤の例には、DOW社が販売するTergitol 15−S−9とAir Products社が販売するTomadol 91−6が含まれる。
【0047】
プロピレンオキサイドおよびプロピレングリコールの縮合によって生成された疎水塩基とエチレンオキサイドとの縮合生成物を使用できる。これらの化合物の疎水性部分は、分子量が約1,500〜1,800であり、当然ながら水に不溶性を示す。ポリオキシエチレン構成部分をこの疎水性部分に追加すると、全体として分子の水溶性が高まる傾向があり、生成物の液体特性は、ポリオキシエチレン含有量が縮合生成物の全重量の約50%になる時点まで維持される。このタイプの化合物の例には、BASF社によって市販されているいくつかのPluronic界面活性剤が含まれる。
【0048】
非イオン性界面活性剤は、EO、POおよびBOブロックを有するアルコールアルコキシレートを含むことができる。直鎖第一級脂肪族アルコールアルコキシレートは、非イオン性界面活性剤として特に有用であることができる。そうしたアルコキシレートはまた、BASFを含む供給元から入手可能であり、「Plurafac」および「Pluronic」界面活性剤として知られている。有用であることが見いだされたアルコールアルコキシレートの特定の基は、一般式としてR−−(EO)−−−−(PO)(ただし、mは約2〜10の整数であり、nは約2〜20の整数である。Rは、約6〜20の炭素原子を有する直鎖アルキル基などの任意の適切な基であることができる。)を有する基である。適当な非イオン性界面活性剤の例としては、ドイツにあるBASF社の商品名Plurafac LF901が入手可能である。そうした非イオン性界面活性剤、好ましくはアルコールアルコキシレートは、本発明において、基材上への被覆に適した液体送達において、約40wt%以下の量が存在する。
【0049】
他の有用な非イオン性界面活性剤には、キャップされた脂肪族アルコールアルコキシレートが存在する。これらの末端キャップには、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジルおよび塩素が含まれるが、これらに限定されるものではない。有用なアルコールアルコキシレートには、エチレンジアミンエトキシレートオキサイド、エチレンジアミンプロピレンオキサイドおよびそれらの混合物と、Tetronicの商品名で販売されているものを含むエチレンジアミンEO−PO複合物とが含まれる。好ましくは、そうした界面活性剤は約400〜10,000の分子量を有する。キャップすることにより、単一組成物に調製した場合に、非イオンと酸化剤過酸化水素およびペルオキシカルボン酸との間の相溶性が改善する。他の有用な非イオン性界面活性剤には、アルキルポリグリコシドがある。アルコールアルコキシレートは、直鎖、分枝鎖、または直鎖と分枝鎖との組合せであることができる。アルコールアルコキシレートはまた、第2級アルコールアルコキシレートであることができる。上記の界面活性剤の混合物はまた、本発明において有用である。
【0050】
アルコールアルコキシレートが好ましいとはいえ、他の非イオン性界面活性剤が、アルコールアルコキシレートに代わって本発明の組成物中に混合できることが、当業者には認識されよう。アルコールアルコキシレートは、液体濃縮物中にこれらの基材の被覆に適するもの以外に、約0.01wt%〜約20wt%以下、約0.05wt%〜約10wt%以下、および約0.1wt%〜約5wt%以下の量で存在する。
【0051】
他の有用な非イオン性界面活性剤は、修飾されたジアルキル、好ましくはジメチルポリシロキサンを含むシリコーン界面活性剤を含むことができる。ポリシロキサン疎水性基は、1つまたは2つ以上のペンダント親水性ポリアルキレンオキサイド基によって修飾される。そうした界面活性剤は、低表面張力、高湿潤性、消泡性および優れた汚れ除去性を提供する。その内容全体を本明細書に参照により取り込む米国特許第7,199,095号明細書が、洗浄用組成物中のそうしたシリコーン非イオン性界面活性剤の使用を教示する。そうしたシリコーン界面活性剤には、ポリジアルキルシロキサン、好ましくはポリエーテル基、典型的にはポリエチレンオキサイドがヒドロシリル化反応を通してグラフト化されているポリジメチルシロキサンが含まれる。このプロセスの結果、加水分解的に安定な一連のSi−C結合を通じ、シロキサン骨格に沿ってポリアルキレンオキサイド基が付加された、アルキルペンダント(AP型)共重合体が生じる。
【0052】
第2のクラスの非イオン性シリコーン界面活性剤は、アルコキシ末端ブロック(AEB型)されているが、あまり好ましくない。なぜなら、Si−−O−−結合が、中性または僅かなアルカリ性状態下では加水分解に対して限定的な耐性しか提供しないが、酸性環境では急速に分解するからである。
【0053】
シリコーン界面活性剤の例としては、Momentive Performance Materials社の商品名SILWET(商標)とEvonik Industries社の商品名TEGOPREN(商標)が販売されている。
【0054】
非イオン性界面活性剤に加えて、アニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性混合物が、液体組成物中に任意選択的に含まれる。「アニオン性界面活性剤」の用語は、疎水性物質上の電荷がマイナスとなるため、アニオンに分類される任意の界面活性物質、またはpHが中性以上に上昇しない限り、分子の疎水性部分が電荷を有さない界面活性剤(例、カルボン酸)を含む。カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩は、アニオン性界面活性剤中に見いだされる極性(親水性)の可溶化基である。これらの極性基に付随するカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウムおよびカリウムは水溶性を与え、アンモニウムイオンおよび置換アンモニウムイオンは水溶性と油溶性の両方を提供し、そしてカルシウム、バリウムおよびマグネシウムは油溶性を促進する。
【0055】
当業者は、アニオンが優れた洗浄力を有する界面活性剤であることを理解するであろうので、したがって強力な洗浄用組成物に好ましい添加物であるアニオンは、本発明の組成物への有用な添加物である。さらに、アニオン性界面活性化合物は、洗浄性以外の特定の化学的または物理的特性を組成物に与えるのに有用である。アニオンは優れた可溶化剤であり、そしてハイドロトロピック(hydrotropic)効果および曇り点制御に使用することができる。
【0056】
市販される大量のアニオン性界面活性剤の大部分は、当業者に知られており、そして“Surfactant Encyclopedia,Cosmetics&Toiletries”,第104(2)巻71 86(1989年)に記載されているような5つの主要な化学的クラスとさらなるサブグループに細分化することができる。第1のクラスには、アシルグルアメート(acylgluamates)、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N−アシルサルコシネート)、タウリン(たとえば、N−アシルタウリンおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)および類似物などのアシルアミノ酸(およびその塩)が含まれる。第2のクラスには、アルカン酸(およびアルカノアート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸などのカルボン酸(およびその塩)が含まれる。第3のクラスには、リン酸エステルおよびその塩が含まれる。第4のクラスには、イセチオネート(例えば、アシルイセチオネート)、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩(例えば、スルホコハク酸塩のモノエステルおよびジエステル)などのスルホン酸(およびその塩)が含まれる。第5のクラスには、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩などの硫酸エステル(およびその塩)が含まれる。
【0057】
本組成物での使用に適したアニオン性硫酸塩界面活性剤は、直鎖および分枝鎖の第一級および第二級アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、脂肪族オレイルグリセロール硫酸塩、アルキルフェノールエチレンオキサイドエーテル硫酸塩、C〜C17アシル−N−(C〜Cアルキル)および−N−(C〜Cヒドロキシアルキル)グルカミン硫酸塩、およびアルキルポリグルコシドの硫酸塩(本明細書に記載の非イオン性非硫酸化化合物)のようなアルキルポリグルコシドの硫酸塩および類似物を含む。
【0058】
適切な合成の水溶性アニオン性洗浄剤化合物の例には、アンモニウムおよび(モノ−、ジ−、およびトリエタノールアミンなどの)置換アンモニウムと、直鎖または分枝鎖のアルキル基中に5〜18の炭素原子を含んでいるアルキルベンゼンスルホン酸塩などのアルキル単核芳香族スルホン酸塩の(ナトリウム、リチウム、およびカリウムなどの)アルカリ金属塩、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩またはアルキルトルエン、キシレン、クメン、およびフェノールスルホン酸塩と、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアミルナフタレンスルホン酸塩、ならびにジノニルナフタレンスルホン酸塩およびアルコキシル化誘導体とが含まれる。
【0059】
本組成物中での使用に適したアニオン性カルボン酸塩界面活性剤には、アルキルカルボン酸塩、アルキルエトキシカルボン酸塩、およびアルキルポリエトキシポリカルボン酸塩界面活性剤が含まれる。
【0060】
本組成物中での使用に適した他のアニオン性洗浄剤には、長鎖アルケンスルホン酸塩、長鎖ヒドロキシアルカンスルホン酸塩などのオレフィンスルホン酸塩、またはアルケンスルホン酸塩とヒドロキシアルカンスルホン酸塩の混合物が含まれる。さらには、アルキル硫酸塩、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテル硫酸塩、およびエチレンオキサイドと(通常、1分子当り1〜6のオキシエチレン基を有する)ノニルフェノールとの縮合製品または硫酸塩等の芳香族ポリ(エチレンオキシ)硫酸塩がまた含まれる。獣脂油中に存在するか、または獣脂油から誘導された、ロジン、水素化ロジン、および樹脂酸などの樹脂酸および水素化樹脂酸はまた適している。
【0061】
アニオン性界面活性剤は、液体送達の構成中に任意選択的に存在する。存在する場合、アニオン性界面活性剤は、好ましくは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムであって、約40wt%以下の量で存在する。
【0062】
溶媒
本発明の組成物中ではある汚れ除去特性を高めるために溶媒が有用である。本発明の組成物は、非水溶性または水溶性溶媒を含むことができる。好ましい溶媒は、非水溶性の含酸素溶媒である。含酸素溶媒には、低級アルカノール、低級アルキルエ―テル、グリコール、アリールグリコールエーテル、および低級アルキルグリコールエーテルが含まれる。これらの物質は、穏やかなよい匂いのする無色の液体であって、優れた溶媒でありカップリング剤であって、本発明の水溶性の使用組成物と混和できる。有用な溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、混合エチレン−プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、およびプロピレングリコールフェニルエーテルが含まれる。実質的に水溶性のグリコールエーテル溶媒には、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル等が含まれる。
【0063】
「実質的に水溶性」の溶媒は、25℃の水中に重量で無限にまたは100%溶解できると定義される。「実質的に水溶性」のグリコールエーテル溶媒には、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル等が含まれる。「実質的に不に水溶性」の溶媒とは、25℃の水中に53wt%以下が可溶である溶媒と定義される。好ましい溶媒は、実質的に水溶性の溶媒である。これらの好ましい溶媒は、表面張力の低下を助け、油汚れの可溶化を助け、洗浄剤を安定した単相系に維持するのを助ける。低コスト、市販性、高引火点、および溶媒強度の理由から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい溶媒である。
【0064】
基材送達のための液体の態様において、基本的な水溶性溶媒は、本発明中に、約0.05〜約80wt%、約1〜約75wt%、および約5〜約70wt%存在する。基材のない液体送達のための態様において、水溶性溶媒は本発明中に、約〜約70wt%、約1〜約50wt%、および約5〜約40wt%存在する。基材のない液体送達のための態様において、実質的に水溶性の溶媒は本発明中に、約〜約40wt%以下、約1〜約35wt%、および約2〜約30wt%存在する。
【0065】
論理に拘束されないが、本発明中で基材上での本発明の濃縮物を被覆することが所望される場合、この溶媒は、希釈剤(好ましくは水)中に浸した場合、濃縮物を基材から溶出させることができる物質として有用であると考えられる。液体濃縮物が基材上に被覆される本発明の態様では、水溶性溶媒の重量%が低下するにつれて、濃縮物は、基材から著しく遅く放出されることが見いだされた。
【0066】
追加成分
本発明の濃縮組成物には、任意の数の任意選択的成分を加えることができる。濃縮物が、軟水ではなく硬水で希釈する場合、キレート剤は望ましい任意選択的成分であろう。キレート剤が含まれる場合、希釈の前後において、安定した一様な溶液中でキレート剤を維持することを助けるために、ハイドロトロープが含まれることが望ましい。さらに、濃縮組成物の追加前に任意選択的腐食防止剤を希釈するために少量の水が追加される。防腐剤、香料、および染料が、本発明の濃縮組成物に任意選択的に追加される他の成分の例である。これらの任意選択的追加成分は、下記で詳細に記載される。
【0067】
ハイドロトロープ
ハイドロトロピー(Hydrotropy)は、不溶性になりがちな液相の物質の溶解性または混和性を改善するための物質の能力に関する特性である。ハイドロトロピーを提供する物質はハイドロトロープと呼ばれ、可溶化される物質と比べて比較的低濃度で使用される。ハイドロトロープは、不溶性物質の溶解性を向上させるように調合物を変化させるか、またはミセルまたは混合ミセル構造を作り、不溶性物質の安定した懸濁液をもたらす。ハイドロトロピーのメカニズムは、完全には解明されていない。一次溶媒、この場合は水と、不溶性物質との間の水素結合がハイドロトロープによって改善されるか、またはハイドロトロープが不溶性組成物の周りにミセル構造を作り懸濁液/溶液中の物質を保持するかのいずれかであるようである。本発明において、ハイドロトロープは、製造および運送中、そして使用場所にて分注する場合に、調合成分を均一な溶液中に維持するのに最も有用である。本発明のアミンオキシド界面活性剤、溶媒、アミノアルコール、香料、および非イオン性界面活性剤は、単独で、または特にキレート剤と腐食防止剤を混合した場合に、部分的に混和しない傾向があり、溶剤の保管中に相変化または相分離を起こす場合がある。ハイドロトロープ可溶化剤は、水性または非水性形態の組成物中に均一に分散した成分を有する単相の溶液を保持する。
【0068】
ハイドロトロープ物質は、幅広い化学分子タイプにおいてハイドロトロピック特性を示すことが比較的よく知られている。ハイドロトロープには、通常、エーテル化合物、アルコール化合物、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびその他の物質が含まれる。
【0069】
ハイドロトロープは洗浄用調合物で使用され、界面活性剤のより濃縮された調合を可能にする。ハイドロトロープは、水溶液中の疎水性化合物を可溶化する化合物である。論理に拘束されないが、本発明の組成物中のハイドロトロープが、キレートの塩および腐食防止剤の塩などの塩を疎水性の成分中に溶解させることができると考えられている。したがって、本発明の液体送達および基材送達のための組成物では中において、もっとも有用である。キレート剤が本発明の組成物中に含まれる場合、ハイドロトロープが含まれることが望ましい。驚くべきことに、両性界面活性剤、ジプロピオン酸塩が本液体濃縮組成物の調合物においてハイドロトロープとして有用であることが見いだされた。特に、Rhodia Novacare社がMirataine H2C−HAとして市販しているラウリミノジプロピオン酸ナトリウムが、本発明において有用である。このハイドロトロープは、その生物分解性およびその水性キレート剤溶液との親和性により好ましい。本発明中に任意選択的に存在する場合、基材上での送達のための態様において、約0〜約30wt%、約0.1〜約20wt%、および約0.5〜約5wt%の量で存在する。基材を用いない液体送達のための態様において、約0.05〜約20wt%、約0.1〜約10wt%、および約0.5〜約5wt%の量で存在する。本発明の好ましいハイドロトロープはまた、両性界面活性剤であると認識されるが、本開示の目的のためには、界面活性剤、界面活性剤混合物等に言及する場合、両性界面活性剤を含まない。
【0070】
さらに、キレート剤が本発明の組成物中に含まれる場合、驚いたことに、分子量1,000以下のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが、本液体濃縮組成物の調合物中でハイドロトロープとして有用である。具体的には、Clariant社のPolyglykol 200とDOW社のPT250が、本発明において有用である。アミンオキシドが(25%ポリプロピレングリコール含有する)Barlox 1260として提供され、選択されたハイドロトロープがポリプロピレングリコールである場合、提供されるハイドロトロープの量は、Barlox 1260中に存在するポリプロピレングリコールを超える。これらのハイドロトロープは、その市販性およびその水性キレート剤溶液との親和性により好ましい。それぞれが本発明中に任意選択的に存在する場合、基材上での送達のための態様において、約0〜約20wt%、約0.1〜約10wt%、および約0.5〜約5wt%の量で存在する。基材を用いない液体送達のための態様において、それぞれが存在する場合、約0〜約30wt%、約0.1〜約20wt%、および約0.5〜約10wt%の量で存在する。
【0071】
さらに、不水溶性非イオン性界面活性剤が本発明の組成物中に含まれる場合、芳香族スルホン酸またはその塩が有用なハイドロトロープであることが見いだされた。そうしたハイドロトロープの例は、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クメンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸またはそのナトリウムおよびアンモニウム塩である。具体的には、Stepan社がStepanate SXS 40%溶液として市販しているキシレンスルホン酸ナトリウムが、本発明において有用である。本発明中に任意選択的に存在する場合、基材上での送達のための態様において、約0〜約25wt%、約0.1〜約15wt%、および約0.5〜約10wt%の量で存在する。基材を用いない液体送達のための態様において、約0〜約25wt%、さらに約0.1〜約15wt%、および約0.5〜約10wt%の量で存在する。
【0072】
基材上に被覆するのに適した本発明の態様において、ジプロピオン酸塩ハイドロトロープの重量%が減少するにつれて、液体濃縮物の安定性は著しく低下する。
【0073】
金属イオン封鎖剤
本発明の活性洗浄組成物は、金属化合物汚れの除去と水道水中における硬度成分の有害作用の低減を助長する金属錯体、金属イオン封鎖剤またはキレート剤を含むことができる。金属イオン封鎖剤またはキレート剤は、本発明の濃縮物に有用な任意の送達構成中に含まれてよい。典型的に、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、モリブデンなどのカチオンもしくは化合物またはそれらの混合物などの多価金属カチオンまたは多価金属化合物は、水道水中または複合汚れ中に存在することができる。そうした化合物またはカチオンは、強固な汚れを構成する場合があり、また洗浄処置(regimen)中で、洗浄組成物またはすすぎ組成物のいずれかの働きを妨げる場合がある。キレート剤は、効果的に錯体となり、そしてそうした化合物またはカチオンを汚れた表面から除去することができ、そして本発明の非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤を含む活性成分との不適切な相互作用を低減または除くことができる。有機および無機キレート剤の両方が普及しており、かつ使用することができる。無機キレート剤には、トリポリリン酸塩および他のより高次の直鎖および環状ポリリン酸塩種などの化合物が含まれる。有機キレート剤には、高分子キレート剤および低分子キレート剤の両方が含まれる。有機低分子キレート剤は、典型的には、有機カルボン酸塩化合物または有機リン酸塩キレート剤である。高分子キレート剤には、典型的には、ポリアクリル酸化合物などのポリアニオン系組成物が含まれる。小分子有機キレート剤には、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、およびそれらのアルカリ金属、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(EDTA)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム塩(NTA)、エタノールジグリシン二ナトリウム塩(EDG)、ジエタノールグリシンナトリウム塩(DEG)、および1,3−プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、メチルグリシン−N−N−アセト酢酸三ナトリウム塩(MGDA)、およびイミノジコハク酸塩(IDS)が含まれる。これらすべては、既知であり市販されている。小分子有機キレート剤にはまた、EDG、MGDA、およびGLDA型分子からのキレートおよびハイドロトロープ機能の組合せを有する生物分解性金属イオン封鎖剤が含まれる。好ましい金属イオン封鎖剤には、それらの生物分解性およびヒハイドロトロープと容易に結合して超コンパクトな濃縮物を形成する能力により、エタノールジグリシン二ナトリウム塩(EDG)、ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、およびメチルグリシン−N−N−アセト酢酸三ナトリウム塩(MGDA)が含まれる。驚いたことに、基材上での被覆および高度に濃縮された液体組成物(水を含む場合、全体として非常に微量)に適した本発明の組成物において、少なくとも2種の異なるキレート剤の組合せが、単一のキレート塩が組成物中で使用される場合と比較して、塩結晶生成を抑止することが見いだされた。
【0074】
基材送達のための液体態様において、任意選択的キレート剤は濃縮組成物中に約0.05〜約20wt%、約2〜約15wt%、および約3〜約10wt%の量で存在する。液体送達のための(基材上被覆を用いない)組成物において、任意選択的キレート剤は、組成物の濃縮物中に約0.05〜約40wt%、約2〜約15wt%、および約5〜約10wt%の量で存在する。
【0075】
腐食防止剤
腐食防止剤は、少量の濃縮物として加えられた場合、あるいは金属または合金の酸化として言及される腐食を停止または減速させる。適切な腐食防止剤の例には、腐食を抑制するが組成物の可溶化活性を顕著に妨げない腐食防止剤が含まれる。本発明の組成物に任意選択的に加えることができる腐食防止剤には、ケイ酸塩、リン酸塩、マグネシウムイオンおよび/または亜鉛イオンが含まれる。好ましくは、金属イオンは水溶性の形態で提供される。マグネシウムイオンおよび亜鉛イオンの有用な水溶性形態の例には、それぞれの金属の塩化物、硝酸塩、および硫酸塩を含む、それらの水溶性塩がある。好ましい一部の腐食防止剤には、メタケイ酸ナトリウム五水和物、重炭酸ナトリウム、ケイ酸カリウムおよび/またはケイ酸ナトリウムが含まれる。本発明において有用な好ましい腐食防止剤は、送達方法にかかわらず、メタケイ酸ナトリウム五水和物である。腐食防止剤が基材被覆または液体送達に適する本発明の組成物中に存在する場合、腐食防止剤は、約0.005〜約0.4wt%、約0.01〜約0.3wt%、および約0.02〜約0.2wt%の量で追加される。腐食防止剤は実質的に、本発明の多様な液体送達の態様すべてを通して、同じ好ましい量で追加される。
【0076】
染料、香料および保存料
染料や香料などの美観向上剤が、本発明の濃縮組成物中に任意選択的に組み込まれる。本発明において有用な染料の例には、Milliken Chemical社、Keystone社、Clariant社、Spectracolors社およびPylam社の液体染料および粉末染料が含まれるが、これらに限定されるものではない。一態様において、Milliken Chemical社から市販されているLiquitint Violet 0947が使用される。液体および基材被覆の態様において、約5wt%以下、約2.5wt%以下、および約2wt%以下が含まれる。
【0077】
本発明の濃縮組成物中の有用な香料の例には、J&E Sozio社、Firmenich社、およびIFF(International Flavors and Fragrances)社の液体香料が含まれるが、これらに限定されるものではない。液体および基材被覆の態様において、J&E Sozio社から市販されているOrange Fragrance SZ−40173が、約5wt%以下、約4wt%以下、および約2wt%以下含まれる。
【0078】
濃縮物および使用溶媒のpHが細菌増殖を抑制するレベルに至らない場合、濃縮物中、液体中、基材被覆された液体中、または使用溶媒中に保存料が必要となる。本発明の濃縮組成物中の有用な保存料の例には、メチルパラベン、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、2−ブロモ−2−ニトロプロパノール−1,3−ジオール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが含まれるが、これらに限定されるものではない。保存料は、約2wt%以下、約1wt%以下、および約0.5wt%以下含むことができる。
【0079】

本発明の濃縮組成物は、実質的に非水溶液である。特定の成分は、水溶液として提供されるため、いくらかの量の水を含むことができると認識されるが、依然として濃縮物は、基材被覆の形態および高濃縮液体の態様では、実質的に非水のままである。これは特に、送達方法が、濃縮物を基材に被覆し、液体濃縮物を分注し有効かつ低濃度の使用溶液とする工程を含む場合重要である。液体基材送達の態様において、追加の水は、腐食防止剤が本発明の組成物中に含まれる場合にのみ追加される。腐食防止剤を濃縮物中に加える前に、腐食防止剤を可溶化するために少量の水が加えられる。水は、基材被覆送達される組成物中に約3.6wt%以下、約1.8wt%以下、および約0.5wt%以下の量で任意選択的に加えられる。基材を用いない液体送達において、水は眼および皮膚に対する濃縮物の刺激性を低減するために追加される。基材を用いない液体送達において、水は約15wt%以下、約12wt%以下、および約10wt%以下、約5wt%以下、約2.5wt%以下、約1wt%以下の量で加えられる。いくつかの態様(基材被覆または基材を被覆しない液体濃縮物)において、本発明の組成物は、実質的にいかなる追加の水も含まない。「いかなる追加の水も含まない」の用語は、組成物の化学成分の任意の一部である場合以外、水が単独の成分として加えられないことを意味する。
【0080】
この濃縮物は、水を全く用いることなく調合できるか、あるいは濃縮物の輸送費用を低減するために比較的少量の水とともに提供することができる。濃縮物が液体として提供される場合、ポンプで送出または吸引できるように、流動可能な形態で提供されることが望ましい場合がある。
【0081】
当然のことながら、濃縮物の一部として提供される水は硬度を比較的低くできる。水は溶解した固形物の一部を移動させるために、脱イオン化できることが期待される。次いで、この濃縮物は、希釈を行う場所または現場で入手可能な水を用いて希釈される。この水は、場所に応じて様々な硬度を有する場合がある。脱イオン化は濃縮物の調合には好ましいが、濃縮物は脱イオン化していない水を用いて調合できる。すなわち、濃縮物は、溶解固形物を含んだ水を用いて調合でき、硬水として特徴付けることができる水を用いて調合できる。
【0082】
様々な自治体で利用可能な水道水は、多様な硬度を有している。存在する場合があるカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、または他の多価金属カチオンが、アニオン性界面活性剤の沈殿を生じる場合があると一般的に理解されている。一般的に、使用溶液を提供するために濃縮物を期待した大幅なレベルで希釈するため、ある自治体からの水道水が他の自治体の水よりアニオン性界面活性剤の沈殿に大きな影響を与えると予想される。結果として、様々な自治体の水道水中で見いだされる硬度を扱うことのできる、濃縮物を提供することが望ましい。
この濃縮物の希釈に使用できる希釈用水は、少なくとも1グレインの硬度を含む場合、硬水として分類することができる。希釈用の水は、少なくとも硬度5グレイン、少なくとも硬度10グレイン、または少なくとも硬度20グレインを有すると予期される。
【0083】
望ましい水準の洗浄特性を有する使用溶液を提供するために、希釈水を用いて濃縮物を希釈することが予期される。使用溶液が強固な汚れまたは重度の汚れの除去に必要とされる場合、濃縮物は、希釈水により重量比で少なくとも1:1で希釈できることが予期される。軽負荷洗浄用の使用溶液が望まれる場合、濃縮物は濃縮物:希釈用水の重量比で1:約1000以下で希釈できることが予期される。濃縮物:希釈用水の重量比は、1:約1〜1:約500、1:約2〜1:約450、1:約3〜1:約400、1:約5〜1:約350になることが予期される。ある液体基材送達の用途において、濃縮物は、濃縮物:希釈用水の重量比で1:約50〜1:約200で希釈することができる。基材被覆を用いない特定の液体送達用途において、濃縮物は、濃縮物:希釈用水の重量比で1:約1〜1:約300で希釈することができる。
【0084】
さらに、この組成物は、酵素、酵素安定系、漂白剤、消泡剤、再付着防止剤、抗菌剤等を含むことができる。
【0085】
送達方法
本発明の濃縮組成物は、基材上の液体またはゲルとして提供することができる。この基材は、布の形態(例えば、不織布、フォーム、発泡ポリマー、織物、または編物)で提供することができる。この濃縮組成物は、基材がスプレーボトル内部などの水の実体中に導入されるまで充分な量の濃縮組成物が基材上に残るであろう、液体またはゲルとして追加的に提供することができる。
【0086】
本発明の濃縮組成物は、フィルムまたはカプセルからなるパッケージ形態で提供することができる。このパッケージされた組成濃縮物は、水溶性フィルムもしくはカプセル、または非水溶性フィルム中に置くことができる。非水溶性フィルムの場合、このフィルムを破るか、または切断して組成濃縮物を取り出すことができる。次いで、この組成濃縮物を大量の水に導入できる。例えば、組成濃縮物を容器中に注ぎ、水と混合することができる。フィルムが水溶性フィルム(あるいは水分散性フィルム)または水溶性カプセルの場合、パッケージされた組成濃縮物を大量の水に導入することができ、時間が経つにつれてフィルムが溶解、分解、または分散し、組成濃縮物が水と接触する。
【0087】
このフィルムは、洗浄用組成濃縮物を包み込むかまたは含むように提供することができる。このフィルムは、折り目付きで提供することができ、また端に沿ってヒートシールまたは接着シールを付けた形で提供することができる。当然のことながら、パッケージ化された濃縮物は折り目を付けずに提供することができ、その端を完全にヒートシールまたは接着シールできる。
【0088】
洗浄用組成濃縮物を保持するかまた含むように使用できる非水溶性フィルムには、梱包産業で使用される従来のフィルムが含まれる。使用できる例示的なフィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン、プリブチレン、ポリエステル、およびポリアミドが含まれる。
【0089】
使用できる水溶性(または水分散性)フィルムまたはカプセルには、『Water Soluble Resins』(DavidsonおよびSittig著、Van Nostrand Reinhold Company出版、ニューヨーク(1968年))に記載のフィルムおよびカプセル等の水溶性ポリマーでできたフィルムおよびカプセルが含まれ、すべての目的のために、参照によりその内容を本明細書中に取り込む。水溶性ポリマーは、機械的な取り扱いを可能にするために強度および柔軟性などの適切な特性を有することができる。例示的な水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ポリエチレンオキサイド、澱粉、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテルマレイン酸無水物、ポリマレイン酸無水物、スチレンマレイン酸無水物、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、アクリルアミド共重合体、グアールゴム、カゼイン、エチレン無水マレイン酸樹脂類、ポリエチレンイミン、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロースおよびヒドロキシエチルメチルセルロースが含まれる。より分子量の小さい水溶性ポリビニルアルコールフィルム形成ポリマーが、一般的に好ましい。使用できるポリビニルアルコールには、平均分子量が約1,000〜約300,000、約2,000〜約150,000、および約3,000〜約100,000のポリビニルアルコールが含まれる。
【0090】
例示的な水溶性パッケージ用フィルムは、米国特許第6,503,879号明細書、米国特許第6,228,825号明細書、米国特許第6,303,553号明細書、米国特許第6,475,977号明細書、および米国特許第6,632,785号明細書に開示されており、すべての目的のために、参照によりその内容を本明細書中に取り込む。さらに、Yang氏の米国特許第4,474,976号明細書、Sonenstein氏の米国特許第4,692,494号明細書、Chang氏の米国特許第4,608,187号明細書、Haq氏の米国特許第4,416,793号明細書、Clarke氏の米国特許第4,348,293号明細書、Lee氏の米国特許第4,289,815号明細書、およびAlbert氏の米国特許第3,695,989号明細書(すべての目的のために、参照によりその内容を本明細書中に取り込む)を参照のこと。濃縮物のパッケージングに使用できる典型的な水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコールが含まれる。
【0091】
他の態様において、パッケージされた組成濃縮物は、その上に組成濃縮物を含浸または被覆された基材を含み、または基材および濃縮物を包み込み、そして含むためのフィルムを任意選択的に含む。包み込まれた基材の場合、フィルムからの基材/濃縮組成物の除去が望まれる場合、フィルムの上部を切断するか破って、そこから基材/濃縮組成物を取り出すことができる。ある態様において、この基材は、そこを通って伸びる浸漬管を可能にする形態で提供できる。そうした例において、基材をスリーブまたは担体ということができる。この基材は、第1の基材および第2の基材の積層体として提供することができる。第1の基材と第2の基材は、スプレーボトルのストロー状浸漬管を挿入できるスリーブを提供するために継ぎ目で接合できる。ボトルの浸漬管は、スリーブに開いた中空の開口を通して伸びることができる。ボトルの浸漬管は一般的に、噴霧器からボトルの底まで伸びる管をいい、ボトルから噴霧ノズルに液体を汲み上げるために使用される。
【0092】
基材を採取するためにボトルの浸漬管を使用する利点は、ユーザーが基材に手で触れることを避けられる点にある。ある環境においては基材への接触を避けられることが有利となる場合があるが、ユーザーが触れることができる基材の一部として、組成濃縮物を提供することができる。すなわち、別の態様において、ユーザーはパッケージまたは容器から単に基材を取り出すことができ、そして基材を大量の水に導入して使用組成物を生成させることができる。さらに、この基材を、中空の開口を有する基材の形態で提供する必要はない。代わりに、この基材は、単層または多層構造を有するものとして提供できる。例えば、ユーザーは、複数の基材を含むことができるパッケージまたは容器から基材を取り出し、次いでその基材を水の容器中に置くことができる。ある環境下では基材との接触を避けることが望ましい場合があるが、この基材は、接触可能なように構成することができる。基材が湿っている場合、濃縮物の皮膚組織への移動を減少させるために基材への接触を避けることが望ましい場合がある。
【0093】
浸漬管上で使用できるスリーブは、本発明の濃縮組成物を送達するのに有用である。そうしたスリーブはごく一部の例を挙げると、星形断面、ダイヤモンド形、または三角形であることができる。断面図には、そこを通して浸漬管が伸びることのできる開口が含まれる。これらの三次元形状の不織基材またはスリーブは、瓶首の中に完全に適合するように形成することができる。このロックアウト機能は、「星形」スリーブを「星形」の瓶首に挿入できるようにするだけである。このスリーブは、不織布として提供することができる。これらのスリーブまたは異なる断面形状を有する他のスリーブの形成に使用できる不織布を製造するための例示的な開示には、例えば、米国特許第6,250,511号明細書、米国特許第6,576,034号明細書、米国特許第5,607,766号明細書、米国特許出願公開第2005/0189292号明細書、および米国特許出願公開第2005/0153132号明細書が含まれる。これらの特許および特許出願公開のそれぞれの開示は、全ての目的のために参照によりその内容全てを本明細書中に取り込む。これらのスリーブは、三次元的な不織布、織物、または編物の基材として特徴付けることができ、またはウィッキング(wicking)特性を有するものとして提供することができる。
【0094】
代わりに、本発明の濃縮物をFiltrona Fibertec社が市販している織物または不織のウィック(wick)上に被覆することもあることができる。
【0095】
他の態様において、(基材被覆に適したもの以外の)液体濃縮組成物は、吸引器、蠕動ポンプ、ギアポンプ、質量流量計等を使用した分注装置を通して希釈することができる。この液体濃縮物の態様はまた、ボトル、カートリッジ、つぼ、投与ボトル、投与キャップ付きボトル等中に送達することができる。(基材被覆に適するもの以外の)この液体濃縮組成物は、マルチチャンバーまたは単一チャンバーのカートリッジインサートに充填することができ、次いでそのカーリッジインサートを予め測定された量の水を充填したスプレーボトル中または他の送達装置中に置くことができる。次いで、スプレーボトルの浸漬管によってカーリッジチェンバーが押し開かれるか、または突き通され、液体濃縮物が水中に送達されて、容易に分散し、均一な使用溶液が形成される。このカーリッジインサート、そのボトルおよび噴霧器の例示的な開示は、米国特許第6,290,100号明細書に記載されている。(基材被覆に適したもの以外の)この液体濃縮組成物はまた、製造所で希釈し、直ちに使用できる(RTU)使用溶液としてパッケージングすることができる。
【0096】
本発明は様々な修正および変更形態に従うことができるが、その詳細は実施例によって示され詳細に説明される。ただし、本発明を記載された特定の態様に限定することを意図するものではないことを理解されたい。逆に、本発明の精神および範囲に該当するすべての修正物、均等物および代替物を包括することを意図する。
【実施例】
【0097】
保管寿命安定性の加速手順
以下の例に従って調製された組成物を、延長された安定性を決定するために、以下の手順の対象となった。
【0098】
液体濃縮物
各プロトタイプの組成物の2〜4オンスのサンプル2つを安定性試験用チェンバーに、一方は122°F、もう一方は40°Fで6週間保持した。また、第3の2〜4オンスのサンプルが、0°Fの試験用チェンバー内に置かれた。この第3のサンプルは、3サイクルの凍結/融解を受けた。1サイクルの凍結/融解は、サンプルを少なくとも24時間0°Fに置き、次に少なくとも8時間周囲温度(約60〜約80°F)に置くことと定義される。第4の2〜4オンスのプロトタイプ組成物が、他の試験条件の対照として安定性試験の期間中、周囲条件下(60〜80°F)に保持された。このプロトタイプ組成物は、122°Fおよび40°Fで6週間の後、そして3サイクルの凍結/融解後に安定していれば、2年の保管期間を有すると考えられた。周囲温度に出したとき透明性を維持していた場合、なんら(結晶性または非結晶性)沈殿物、浮遊物質または懸濁物質がない場合、対照の周囲温度での明らかな色変化がない場合、液体のままの場合、および単一の連続的な液相のまま、すなわち2つ以上の相が現れなかった場合、透明な液体は安定していると考えた。
【0099】
基材被覆組成物の保管寿命安定性の加速手順:
基材上での被覆に適する液体組成物について、保管寿命安定性の延長を試験するため、以下の手順が実施された。
【0100】
4オンスのプロトタイプ組成物のサンプルが、常温で24時間保持された。透明性を維持し、そしてなんら(結晶性または非結晶性)沈殿物、浮遊物質または懸濁物質も有さない場合、および単一の連続的な液相のままの(すなわち相が分離しなかった)場合、および周囲温度で24時間が経過後に、新たに作ったサンプルと比較して明らかな色変化がない場合、このプロトタイプ組成物は、基材上の被覆について安定していると考えた。
【0101】
基材上での被覆のための液体組成物は次いで、製造から24時間以内にバケツ、ドラム缶、トートまたは貯蔵タンク内にパッケージングされた。基材上での被覆に先立って(被覆まで24時間以内)、この液体は30分間撹拌された。この時点で、30分間の混合後に、なんら沈殿物、浮遊物質、混濁物質、または不連続な液相が再び混合されて透明な単一の連続した液相に戻った場合、基材上に被覆される液体は、安定していると見なされた。さらに、パッケージングされた液体の色は、新たに作られたプロトタイプサンプルの色から明白に変化していなかった。
【0102】
次いで、プロトタイプ組成物を含んだ3つの被覆基材が、フィルム/ホイル容器中に個別にパッケージングされ、それぞれが122°F、40°F、および0°Fの安定性試験チェンバーに6週間置かれた。また、フィルム/ホイル容器中にパッケージングされた、第4の基材被覆プロトタイプが、安定性試験の期間中、他の試験条件の対照として周囲条件下に置かれた。
【0103】
122°F、40°F、および0°Fで6週間後に安定していた場合、2年間の保管寿命を持つものと考えた。プロトタイプ組成物は、(1)指定の希釈水と混合した場合、沈殿物、浮遊物質、懸濁物資、または不連続な液相がない透明な使用溶液を送達した場合、(2)生じた使用溶液を標準の化学分析法で分析した後、使用溶液の希釈のために追加された水を勘案して、予め被覆した液体プロトタイプの化学組成物が、使用溶液と一致した場合、基材被覆したプロトタイプは、安定していると見なされた。
【0104】
例1
基材上での被覆に適した液体濃縮組成物が、以下の表1Aおよび表1Bに記載の量および成分を使用して、本発明に基づき調製された。
【0105】
組成物が、表1に提供した調合に従って調製された。プレミックスが最初に調製された。
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
例1のプレミックスは、メタケイ酸ナトリウムを水中に溶解することによって製造できる。次いで、このメタケイ酸ナトリウム水溶液をMGDAおよびEDGと混合する。次いで、ジプロピオン酸塩をMGDA/EDG/メタケイ酸塩溶液と充分に混合する。別の容器中で、AMP−95をBarlox 1260と混合する。次いで、ブチルカルビトールをBarlox 1260/AMP溶液と充分に混合する。次いで、Plurafac LF901をBarlox 1260/AMP/ブチルカルビトール溶液と充分に混合する。次いで、MGDA/EDG/メタケイ酸塩/ジプロピオン酸塩溶液をBarlox 1260/AMP/ブチルカルビトール/Plurafac LF901溶液と充分に混合する。次いで、香料と染料をこの溶液に混合する。例1の溶液を30分間または均一になるまで混合させる。
【0108】
表1Aおよび1Bに従って調製された濃縮組成物をPacon社が市販する不織布の基材上に被覆した。不織布は、PGI社、BBA社、Fiberweb社およびTexel社などの多数の供給元から入手可能である。6.25グラムの濃縮物が、1インチ×8インチの寸法を有する重量2グラムの不織布上に被覆された。充填後、この不織布は、24オンスの水への希釈に適する不織布上に被覆された65.4%の活性物を有した。次いで、容器に3〜35グレインの硬度を有する水24オンスを入れ、被覆された不織布をその水の中に置いた。濃縮組成物は速やかに不織布から分散し、実質的に透明な使用組成物が調製された。次いで、ステンレススチールからなる硬質表面上に配置した、様々な未使用および使用済みの調理用油、グリース、およびオイルの上に、対照の脱脂剤、体積で1:9に希釈したTitan(商標)(米国ミネソタ州セントポールのEcolab社が販売)と平行して、この使用組成物を、スプレーボトルから噴霧、または滴下して、1.5分間放置した。1.5分経過後、汚れを冷水で穏やかにすすいだ。パネルを乾燥させた。相対的な汚れ除去が、同一パネル上での対照の洗浄性能と比較された。例1の使用組成物と対照の脱脂剤は、ステンレス鋼の硬質表面から、使用済みの動物性油脂、硬化油、および多価不飽和油を100%脱脂/洗浄した点で有効であった。
【0109】
例1の組成物が、上記で概説した基材被覆の保管寿命安定性の加速手順に使用された。この組成物は、すべての安定性試験に合格した。すなわち、液体組成物は基材上への被覆前の24時間の間安定であった。24時間経過後、液体中のすべての沈殿物または浮遊物質は、30分間の撹拌後に溶液中に再び完全に混合した。基材被覆したサンプルは、すべての6週間安定性試験に合格した。基材被覆したサンプルから調製された使用溶液は透明であり、使用溶液の内容物は、使用溶液を作るために追加された水を勘案した上で、当初の予め被覆した液体プロトタイプの化学組成物と一致した。
【0110】
例2
基材上への被覆に適した、または本発明に基づく単独の液体濃縮物として、濃縮組成物の別の液体態様が、以下の表2に記載の量および成分を用いて調製された。
【表5】

【0111】
例2の濃縮物は、AMP−95をBarlox 1260中に混合することにより製造できる。次いで、PlurafacLF 901を追加して充分に混合させる。次に、ブチルカルビトールを追えて充分に混合させる。次いで、香料と染料をこの溶液に混合する。例2の溶液を30分間または均一になるまで混合させる。
【0112】
表2に従って調製された濃縮組成物をPacon社が市販する不織布の基材上に被覆した。不織布は、PGI社、BBA社、Fiberweb社およびTexel社などの多数のメーカーから入手可能である。6.25グラムの量の濃縮物が、1インチ×8インチの寸法を有する2グラム重(gram weigh)の不織布上に被覆された。充填後、この不織布は、24オンスの水への希釈に適する不織布上に被覆された92.9%の活性物を有した。次いで、容器に3〜35グレインの硬度を有する水24オンスを入れ、被覆された不織布をその水の中に置いた。濃縮組成物は速やかに不織布から分散し、実質的に透明な使用組成物が調製された。次いで、ステンレススチールからなる硬質表面上に配置した、様々な未使用および使用済みの調理用油、グリース、およびオイルの上に、対照の脱脂剤、体積にして1:9に希釈したTitan(商標)脱脂剤と平行して、この使用組成物を、スプレーボトルから噴霧、または滴下して、1.5分間放置した。1.5分経過後、汚れを冷水で穏やかにすすいだ。パネルを乾燥させた。相対的な汚れ除去が、同一パネル上で対照の洗浄性能と比較された。この例2の使用組成物は、使用済み動物性油脂の50%、硬化油および高度不飽和油脂の100%をステンレス鋼の硬質表面から脱脂/洗浄した点で有効であったが、一方、対照は、使用済み動物性油脂の100%、硬化油および高度不飽和油脂の100%をステンレス鋼の硬質表面から脱脂/洗浄した点で有効であった。
【0113】
基材上の被覆に代わる別の試験において、この例2に従って調製された6.25グラムの組成物が、3〜35グレインの硬度を有する24オンスの水中に直接置かれた。この濃縮組成物は速やかに溶解し、実質的に透明な使用組成物が調製された。洗浄結果は、前段落中の基材被覆組成物に従って記載された結果と一致した。この液体組成物は、上述の液体の保管寿命安定性の加速手順に曝した。これらの結果に基づき、例2のすべての組成物が、少なくとも2年の保管寿命を有することが見いだされた。
【0114】
また、例2の組成物が、上記で概説した基材被覆の保管寿命安定性の加速手順に使用された。この組成物は、すべての安定性試験に合格した。すなわち、液体組成物は基材上に被覆する前の24時間の間安定していた。24時間の経過後、液体中のすべての沈殿物または浮遊物質は、30分間の撹拌後に溶液中に再び完全に混合した。基材被覆したサンプルは、すべての6週間安定性試験に合格した。基材被覆したサンプルから調製された使用溶液は透明であり、使用溶液の内容物は、使用溶液を製造するために追加された水を勘案した上で、当初の予め被覆された液体プロトタイプの化学組成物と一致した。
【0115】
例3
以下の表3に示す調合に従って組成物が調製された。そうした組成物は、基材被覆を含まない液体としての送達に有用である。この例は、本発明による異なる濃度の調合法を提供できるという点において、本発明の柔軟性を示している。
【表6】

【0116】
表3に記載の組成物が、上記の例1に記載の手順に従って調製された。10倍濃縮物から使用溶液を調製するため、11.43gの10倍濃縮物を1リットルの水に加える。12×−Aまたは12×−B組成物のいずれかを用いて使用溶液を調製するため、9.52gのいずれかの濃縮物を1リットルの水中に入れる。12.7×濃縮物を用いて使用溶液を調製するため、9.00gの12.7×濃縮物を1リットルの水に加える。最後に、12.9×濃縮物を用いて使用溶液を調製するため、8.863gの12.9×濃縮物を1リットルの水に加える。この例3の使用組成物または使用溶液が、上記の例1で概説した手順に従って試験された。各使用溶液は、ステンレス鋼の硬質表面から使用済みの動物性油脂、硬化油、および多価不飽和油を100%脱脂/洗浄した点で有効であった。
【0117】
表3の各組成物が、上記で概説した保管寿命安定性の加速手順に曝された。これらの結果に基づき、例3のすべての組成物が、少なくとも2年の保管寿命を有することが見いだされた。
【0118】
本発明は、上記の特定の例に限定されると考えられるべきではなく、むしろ、付属の特許請求の範囲において適正に定められた本発明のすべての態様を網羅すると理解されるべきである。本発明を適用することのできる種々の変形形態、均等のプロセス、および多数の構造は、本発明が対象とする当業者には明細書を読めば直ちに容易に明らかとなろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に水を含まない濃縮組成物であって、
(a)アミンオキシド界面活性剤と、
(b)実質的に水溶性の溶媒と、
(c)アルカリ源と、
を含み、
(d)実質的に水を含まず、そして、
該濃縮組成物が、実質的に水溶性であり、そして安定な、水を含む使用溶液を調製するのに有用である、組成物。
【請求項2】
(a)少なくとも2種の異なるキレート剤、およびハイドロトロープ、(b)腐食防止剤、(c)染料、または(d)香料のいずれか1種またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
使用組成物を調製する前に、該組成物が基材上に被覆される、請求項4に記載の組成物。
【請求項5】
該基材が、さらに、不織布、織布、または水溶性フィルムから成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
該アミンオキシド界面活性剤が、ラウリルジメチルアミンオキシドから成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
該非イオン性界面活性剤が、少なくとも1種の長鎖アルコキシル化アルコールから成る、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
該溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルから成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
該アルカリ源が、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールから成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
該ハイドロトロープが、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウムから成る、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも2種の該キレート剤が、メチルグリシン−N−N−アセト酢酸三ナトリウム塩およびエタノールジグリシン二ナトリウム塩から成る、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
該腐食防止剤が、メタケイ酸ナトリウム五水和物から成る、請求項2に記載の組成物。
【請求項13】
実質的に水を含まない濃縮組成物であって、
(a) 60〜75wt%のアミンオキシドと、
(b) 8〜20wt%の実質的に水溶性の溶媒と、
(c) 3〜10wt%のアルカリ源と、
(d) 5〜10wt%のキレート剤と、
(e) 0.5〜5wt%のハイドロトロープと、
(f) 10wt%未満の水と、
を含み、濃縮組成物が実質的に水溶性であり、そして水を含む使用溶液を調製するのに有用である、組成物。
【請求項14】
非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
該非イオン性界面活性剤が、長鎖アルコキシル化アルコールから成る、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
腐食防止剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
該組成物が、約2.5wt%以下の水を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
該濃縮物が、1年超の間安定である、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
該組成物が、約1.0wt%以下の水を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項20】
実質的に水を含まない濃縮組成物であって、
(a) 10〜20wt%のアミンオキシドと、
(b) 50〜75wt%の実質的に水溶性の溶媒と、
(c) 5〜15wt%のアルカリ源と、
(d) 0.1〜7wt%の非イオン性界面活性剤と、
を含み、
(e) 実質的に水を含まず、そして
該濃縮組成物が水溶性であり、そして水を含む安定した使用溶液を調製するのに有用である、組成物。
【請求項21】
(a)キレート剤およびハイドロトロープ、(b)腐食防止剤、(c)染料、または(d)香料のいずれか1種またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
使用組成物を調製する前に、該組成物が基材上に被覆される、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
該基材が、さらに不織布、織布、または水溶性フィルムから成る、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
該濃縮物が1年超の間安定である、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
該濃縮物が、6月超の間安定である、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
該濃縮物が、6月超の間安定である、請求項13に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−516655(P2011−516655A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502489(P2011−502489)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051445
【国際公開番号】WO2009/125335
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】