足用マッサージ機
【課題】 単純な構造で足に異なった複数種類の刺激を与えてマッサージを行なうことができる足用マッサージ機を提供することを課題とする。
【解決手段】 足載せ部2を有する筐体5と、前記足載せ部2に設けられた施療子14を動作させることによって前記足載せ部2に載せられた足の裏をマッサージする第一のマッサージ機構6と、前記足載せ部2に近接して設けられると共に前記足載せ部2に載せられた足の指を刺激する第二のマッサージ機構7とを有し、この第二のマッサージ機構7が、電動機38の回転運動を往復運動に変換する変換機構としてのクランク機構46を有する駆動機構47と、この駆動機構47に接続されるブラシ状の施療子24とを有し、前記施療子24が、前記駆動機構47の動作に伴って撓む基部25と、この基部25に設けられると共に前記基部25の撓みに伴って動く突起部27,31とを設けることにより上記の課題を解決する。
【解決手段】 足載せ部2を有する筐体5と、前記足載せ部2に設けられた施療子14を動作させることによって前記足載せ部2に載せられた足の裏をマッサージする第一のマッサージ機構6と、前記足載せ部2に近接して設けられると共に前記足載せ部2に載せられた足の指を刺激する第二のマッサージ機構7とを有し、この第二のマッサージ機構7が、電動機38の回転運動を往復運動に変換する変換機構としてのクランク機構46を有する駆動機構47と、この駆動機構47に接続されるブラシ状の施療子24とを有し、前記施療子24が、前記駆動機構47の動作に伴って撓む基部25と、この基部25に設けられると共に前記基部25の撓みに伴って動く突起部27,31とを設けることにより上記の課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足用マッサージ機に関するものであり、特に、足に異なった種類の刺激を与えてマッサージすることができる足用マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の足用マッサージ機としては、両足を載せる本体(本発明の筐体に該当する)と、足裏側を回転駆動により刺激する第1の施療部と、押さえ部材を水平方向に往復動作させることにより爪先側を刺激する第2の施療部と、アキレス腱付近を開閉運動により刺激する(即ち、揉む)一対のアーム部を有する第3の施療部とを備えた足マッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、複数の偏心作動体を揺動起伏させることで、これらの偏心作動体に冠着した揉みパッドで足を揉むマッサージ器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−245797号公報
【特許文献2】実開平5−74527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前者のような足マッサージ機では、複数の異なった種類の刺激を足に与えるために、装置全体が大掛かりになり、装置全体の大型化及び複雑化を招き、コストアップを招くという問題があった。また、押さえ部材を水平方向に動かすことで爪先側を刺激しているが、足の指という複雑で細かい部分を刺激する構造としては不充分であった。また、後者のようなマッサージ器では、小型に構成することで足の指に複雑な刺激を与えることも可能になると思われるが、構造が複雑になってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、単純な構造で足に異なった複数種類の刺激を与えてマッサージを行なうことができる足用マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の足用マッサージ機は、足載せ部を有する筐体と、前記足載せ部に設けられた施療子を動作させることによって前記足載せ部に載せられた足の裏をマッサージする第一のマッサージ機構と、前記足載せ部に近接して設けられると共に前記足載せ部に載せられた足の指を刺激する第二のマッサージ機構とを有し、前記第二のマッサージ機構が、電動機及びこの電動機の回転運動を往復運動に変換する変換機構とを有する駆動機構と、この駆動機構に接続されるブラシ状の施療子とを有し、前記施療子が、前記駆動機構の動作に伴って撓む基部と、この基部に設けられると共に前記基部の撓みに伴って動く突起部とを有するものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の足用マッサージ機は、請求項1において、前記施療子が、複数の前記突起部を前記基部の外形に沿って環状に配列して構成される第一の突起群と、前記第一の突起群の内側に設けられて前記第一の突起群と一部が重複するように構成された第二の突起群とを有するものである。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載の足用マッサージ機は、請求項2において、前記第一の突起群及び第二の突起群の内側に小突起が設けられているものである。
【0008】
更に、本発明の請求項4に記載の足用マッサージ機は、請求項1において、前記第二のマッサージ機構が、前記足載せ部の方向を向くように傾斜して設けられるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、前記筐体の足載せ部に足を載せることで、前記第一のマッサージ機構によって足の裏を刺激することが出来ると共に、複数の足の指を前記第二のマッサージ機構によって刺激することができる。そして、前記駆動機構の動作により、前記第二のマッサージ機構を構成するブラシ状の前記施療子の基部が撓むことに伴って、前記施療子の突起部が動くことになり、足の指にも刺激を与えることができる。このようにして前記突起部が設けられた前記基部を撓ませるだけの単純な構造で足の指に刺激を与えることができるので、この第二のマッサージ機構を用いることで、複数種類の異なった刺激を与えられるにも拘らず、マッサージ機全体を単純に且つ小型に構成することができる。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、第二のマッサージ機構の前記第一の突起群によって足の指全体及び足の指の付け根部分をマッサージすることができると共に、第二の突起群によって足の親指を重点的にマッサージすることができる。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、前記施療子の基部の撓みに伴って前記小突起が上下動することで、一つの前記施療子によって足の指などに対して複数の異なった刺激を与えることができる。
【0012】
更に、本発明の請求項4に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、足の裏に対して上方に曲げられる足の指に対しても、前記施療子の突起部を良好に当接させて足の指等をマッサージすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明による実施例を示す平面図であり、図2は同正面図である。この足用マッサージ機1の全体形状は概略体重計に似ており、両足をマッサージ機1の上面に載せることで両足を同時にマッサージできるようにされている。かかる目的から、平面図及び正面図において、左右対称の形状とされている。
【0014】
また、足用マッサージ機1を使用する場合、使用者が椅子に腰をかけた状態で足の裏を前記マッサージ機1の足載せ部2に載せることになるため、図3の左側面図に示すように、前記マッサージ機1の上面は足の踵部3に対して爪先部4が高くなるよう、水平面から15度程度傾斜するように構成されている。このことにより、椅子に腰をかけた状態でも無理なく足の裏面を前記足載せ部2に載せることができるようになる。
【0015】
筐体5の上面には、両足に対応する位置に足を載せる前記足載せ部2が左右2箇所に設けられている。そして、これら左右の足載せ部2には、土踏まずを含む足の裏面に当接する第一のマッサージ機構6が設けられている。また、前記筐体5の上面には、前記足載せ部2の前記爪先部4側に近接して、足の指を刺激する第二のマッサージ機構7が左右二箇所に設けられている。そして、前記第二のマッサージ機構7は、前記足載せ部2の方向を向くように、水平面から15度程度傾斜した前記足載せ部2に対して更に10度程度傾斜して設けられている。
【0016】
前記足用マッサージ機1の上面中央部、すなわち左右の足を載せる前記足載せ部2,2の間には、電源スイッチ8、モード切替スイッチ9、位置切替スイッチ11が設けられている。前記電源スイッチ8は、後述する電動モータ38への電源供給をオンオフするものであり、また、前記モード切替スイッチ9は、施療子14及び第二のマッサージ機構7の動作周波数を切り替えるものである。また、前記位置切替スイッチ11は、前記第一のマッサージ機構6と第二のマッサージ機構7の作動を選択するものである。さらに、上記各種スイッチ8,9,11が配置される部位の上方には、運転状況を示す表示部12が備えられている。
【0017】
前記筐体5の上面に設けられる前記足載せ部2は、土踏まず以外の足裏面に当接する軟質合成樹脂製の足裏パッド13と、土踏まずに当接する施療子14を動作させる前記第一のマッサージ機構6から構成されている。前記足裏パッド13は前記筐体5の上面に固定され、その表面には略半球形の突起15が多数設けられている。そして、前記突起15によって、前記足裏パッド13が足裏面の全体に当接することなく局部的に当接するようにされている。このことにより、前記足裏パッド13自体が振動しなくても、前記施療子14が動作することによる振動が前記突起15を介して足裏面に伝わることで、足裏面全体も前記突起15によってある程度刺激されることになる。
【0018】
前記施療子14は、平面視が略土踏まずの形状に形成されており、軟質合成樹脂材料で製作されている。そして、前記施療子14の表面周辺部には、前記足裏パッド13の表面に設けられた前記突起15と同程度の大きさの半球形突起16が環状に設けられると共に、中央部には周辺部に設けられたものよりも大きな半球形突起17が設けられている。なお、図に示す実施例では、前記施療子14に三つの大きな半球形突起17が設けられている。
【0019】
前記施療子14は、図4に示すように、前記足裏パッド13に設けられた同形状の開口部18内に配置されている。また、前記施療子14は、前記筐体5内に設けられたリニアアクチュエータ19上に装着され、このリニアアクチュエータ19の動作により上下方向に往復動作するようにされている。なお、前記リニアアクチュエータ19としては、構造が簡単なソレノイド21とプランジャ23を有するものが用いられている。また、前記プランジャ23は、図示しない圧縮バネによって常時上方に付勢されている。そして、図示しない駆動回路を介してソレノイド21に間歇的に電流が供給されると、このソレノイド21によって磁界が間歇的に形成され、この磁界によって前記プランジャ23を上昇させる力が間歇的に加わることになり、これによって、前記プランジャ23の先端に接続された前記施療子14に叩き力が生じることになる。すなわち、軟質合成樹脂材料で製作された前記施療子14の裏側の略中央部には、前記リニアアクチュエータ19のプランジャ23の先端が接続されており、使用者が前記足載せ部2に足を載せることで、足の裏面によって図示しない圧縮バネの付勢力に抗して前記施療子14が押し下げられると、この施療子14に接続された前記プランジャ23も押し下げられると共に、この状態から前記ソレノイド21に電流が流れることで磁界が形成されると、この磁界によって前記プランジャ23が吸引されて上昇し、このプランジャ23の先端に接続された前記施療子14も上昇して、大きな半球形突起17により足の裏面、特に土踏まずを叩き、マッサージすることができるように構成されている。なお、前記リニアアクチュエータ19のソレノイド21に供給される電流は、家庭用の50Hz又は60Hzの交流電流を半波整流した後、形成された波形を任意に間引くことで、数Hz程度の間歇的な電流とされている。そして、この周波数は、前記モードスイッチ9により設定変更が可能である。
【0020】
足の指を刺激する前記第二のマッサージ機構7は、前記足載せ部2の前記爪先部4側に近接して設けられ、前記第一のマッサージ機構6に足を載せた状態において、足の指が位置する箇所に配設されている。足の大きさは大人であっても女性と男性とではサイズが異なるし個人差もあるが、土踏まずの位置と指の位置との距離は足のサイズほど大きな差異はない。従って、前記第一のマッサージ機構6と第二のマッサージ機構7との最適位置は、厳密にいえば足のサイズにより異なることになるが、前記第二のマッサージ機構7は足の長さ方向に一定の幅を有する楕円形状をしているため、通常の大人の足の大きさであれば、前記第一のマッサージ機構6の位置と前記第二のマッサージ機構7の位置が固定されていたとしても、足のマッサージにそれほど支障は生じない。
【0021】
図5及び図6は、両足のうち右足の指を載せる前記第二のマッサージ機構7の平面視を示すものである。この第二のマッサージ機構7は、片足の親指から小指にいたる5本の足の指全体を載せることができるように楕円形状をした一片の弾性体からなるブラシ状の施療子24と、この施療子24を往復動作させる駆動機構47とで構成されている。この楕円形状をした施療子24の基部25には、その外形に沿って第一の突起群26が環状に配列されている。この楕円形状に配置された第一の突起群26の各突起部27の形状は、略截頭円錐形をしており、前記足載せ部2に設けられた半球形状の前記突起15とは形状を異にする。なお、前記各突起部27の形状が略截頭円錐形をしていることから、前記突起部27のうち、前記基部25に近い根元27aの横方向剛性は高く、先端部27bの横方向剛性は低くなる。すなわち、前記突起部27の先端部27bは比較的簡単に横方向に弾性変形する特性を有する。
【0022】
足の指は、親指28とこの親指28を除く他の4本の指29とで大きさや動きが異なったり、鼻緒等が親指28と人指し指とで挟まれたりすることから、親指28とその他の指29で区別されることが多く、特に親指は、運動時等に重要な役割を果たすことから、前記施療子24における親指28が当接する部位には、この親指28を重点的にマッサージするために、親指28を囲むよう環状に複数個の突起31が配置される。すなわち、前記第一の突起群26の内側に設けられて前記第一の突起群26と一部が重複するように構成された第二の突起群32が設けられている。さらに、この第二の突起群32の内側には、この第二の突起群32を構成する突起31より小突起33が複数個設けられる。このことにより、複雑な表面形状を有する足の親指28の表面をも良好にマッサージすることができるようになる。
【0023】
また、前記第一の突起群26の内側であって、かつ前記第二の突起群32の外側となる部分、すなわち足の親指28以外の指29が載せられる部位にも小突起34が複数個設けられる。このことにより、足の親指28以外の指29をも良好にマッサージすることができる。
【0024】
なお、前記第二のマッサージ機構7に設けられる前記突起部27は、略截頭円錐形状を有するものであるが、先端面27bが基部25に対して平行に形成されることなく、前記第一の突起群26の外側部位が高くされると共に、内側部位が低くされている。従って、前記突起部27の先端面27bは環状の内側を向く斜面とされている。同様に、前記突起31の先端面は、前記第二の突起群32の外側部位が高くされると共に、内側部位が低くされている。従って、前記突起31の先端面は環状の内側を向く斜面とされている。このような形状とすることにより、複雑な表面形状を有する足の指の表面に対しても、前記突起部27の先端面27b及び突起31の先端面をフィット感よく当接させることができる。
【0025】
次に、前記第二のマッサージ機構7の動作原理について説明する。前記第二のマッサージ機構7の動作原理は、前記第一のマッサージ機構6とは全く異なる。図7及び図8は、前記第二のマッサージ機構7に設けられるブラシ状の前記施療子24の断面を示すものであり、図7は作動棹としてのロッド35が上死点にある場合を、また、図8は作動棹としての前記ロッド35が下死点にある場合を示している。図7及び図8に示すように、表面に多数の突起を有する弾性体からなる前記施療子24の基部25の周辺は、前記筐体5に固定される。また、前記施療子24の基部25は、外力が作用しない自由状態では、周辺部に較べて中央部が高い凸状に形成されていると共に、前記基部25の裏側となる凹面には係止部36が設けられている。そして、前記係止部36には、係止具37を介して前記ロッド35が係止されている。
【0026】
図9は図1のB−B矢視を示す断面図である。図に示すように、前記筐体5内には電動モータ38が組み込まれており、この電動モータ38のモータ軸39の回転数はウォーム40とウォームギア41により減速され、クランク軸42に伝達される。このクランク軸42には2箇所にクランク43が設けられていると共に、これらのクランク43にコンロッド44の基端が揺動自在に取付けられており、これらのコンロッド44の先端に前記ロッド35の基端が揺動自在に連結されており、前述したように、このロッド35の先端に設けられた係止具37が、前記第二のマッサージ機構7を構成する前記施療子24の基部25の裏側に設けられた前記係止部36に係止される。
【0027】
前記コンロッド44の先端部が、図4に示すように、シリンダー45内に収納されていることから、前記コンロッド44の先端に揺動自在に接続された前記ロッド35は、首振り運動が抑制され、軸方向の往復運動だけが許容されるようになっている。すなわち、前記電動モータ38の軸39が回転すると、この回転は減速された後、変換機構としてのクランク機構46により回転運動から前記ロッド35の往復運動に変換されることになる。そして、前記ロッド35の上端が前記係止具37を介して前記施療子24の基部25の係止部36に係止されていると共に、前記施療子24の基部25の周辺が前記筐体5に固定されていることから、前記電動モータ38の軸39が回転すると、前記施療子24の基部25は撓みながら上下に往復運動をすることになる。そして、前記基部25が撓みながら降下すると、この基部25が図8に示すように凹状に変形することになるので、前記基部25の変形に伴って、前記基部25に設けられた前記突起部27,31及び小突起33,34が内側に倒れることになる。一方、前記基部25が押し上げられると、この基部25が図7に示すように突条に復元することになるので、前記基部25の復元に伴って、前記基部25に設けられた前記突起部27,31及び小突起33,34が起立することになる。
【0028】
図10及び図11は、ブラシ状の前記施療子24に足の指が載せられた状態を示すものであり、足の指が載せられていない状態を示した図7及び図8に対応する図面である。なお、図10及び図11では、特に親指28に対応する部位について記載している。図10に示すように、前記施療子24の基部25が上死点にある場合、前記施療子24の第二の突起群32に足の親指28が載せられると、環状に配列された外側の前記突起部27,31は撓んで、前記基部25の中心から外側に向かって開くように変形する。この状態から、図11に示すように、前記施療子24の基部25が下死点となるまで弾性変形すると、前記施療子24の基部25が撓んで表面形状が凹面となることから、前記各突起部27,31は内側に傾くように作動する。一方、前記施療子24の基部25が撓んで表面形状が凹面となることから、前記第二の突起群32内に設けられた小突起33は引き下げられて親指28から離れることになる。更に、前記施療子24の基部25が再び上死点となるまで復元すると、前記各突起部27,31は再び外側に向かって開くように作動する。一方、前記施療子24の基部25が撓んで表面形状が凸面となることから、前記第二の突起群32内に設けられた小突起33は押し上げられて親指28の腹に衝突することになる。その結果、前記施療子24の基部25を繰り返し撓ませることにより、前記基部25の表面に設けられた前記突起部27の先端部27b及び前記突起31の先端部は主に横方向に作動して指を揉むように刺激すると共に、前記小突起33は主に上下方向に作動して指の腹を叩くように刺激することになる。すなわち、前記施療子24の基部25が上下動作を繰り返すことにより、複数の異なった刺激により、足の親指28を良好にマッサージすることが可能になる。
【0029】
なお、図10及び図11は、ブラシ状の前記施療子24に足の親指28が載せられた状態について示すものであるが、前記施療子24に足の親指28以外の指29が載せられた場合についても同様の作用効果を奏することができる。ただし、足の親指28の場合には、主として前記施療子24の第二の突起群32を構成する環状に配置された前記突起部27,31及び前記小突起33によってマッサージが行われるのに対し、足の親指28以外の指29の場合には、主として前記施療子24の第一の突起群26を構成する環状に配置された前記突起部27及び前記小突起34によってマッサージが行われる点が異なる。
【0030】
そして、このように前記施療子24の基部25の撓みに伴って前記突起部27,31及び小突起33,34が複雑に動作することで、全体として複雑な形状となっている足の指28,29及びそれらの付け根部分を効果的にマッサージすることができる。また、このように前記突起部27,31及び小突起33,34を複雑に動作させるための前記第二のマッサージ機構7を、前記基部25と前記突起部27,31及び小突起33,34から成るブラシ状の施療子24と、電動モータ38の回転を変換機構としてのクランク機構46によって往復運動に変換する駆動機構47とで構成することによって、単純に構成することができ、これによって、前記マッサージ機1を安価に、或いは小型に構成することができる。
【0031】
また、前述したように、ブラシ状の前記施療子24に、前記第一の突起群26を設けることで、この第一の突起群26を構成する前記突起部27によって足の指29及びその付け根部分をマッサージすることができると共に、前記第二の突起群32を設けることで、この第二の突起群32を構成する前記突起部27,31によって、足の親指28及びその付け根部分を重点的にマッサージすることができる。また、前述したように、前記第二のマッサージ機構7が、前記第一のマッサージ機構6の方向を向くように傾斜して設けられていることで、前記施療子24に載せたときに自然に上方に曲げられる足の指28,29を良好にマッサージすることができる。
【0032】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、上記実施例においては、前記施療子14やブラシ状の施療子24として軟質合成樹脂材料を用いたものについて説明したが、前記施療子14やブラシ状の施療子24の材料はこれらの材料に限定されるものではなく、ゴム等の弾性材料を用いることも可能である。また、前記第一のマッサージ機構6に備えられる前記施療子14の突起形状は半球形に限定されるものではなく、多面形等、他の形状を有するものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による実施例を示す平面図である。
【図2】同上、正面図である。
【図3】同上、左側面図である。
【図4】図1のA−A矢視を示す断面図である。
【図5】本発明による実施例の第二のマッサージ機構を示す平面図である。
【図6】同上、足の指が載せられた状態の平面図である。
【図7】第二のマッサージ機構に設けられるブラシ状の施療子の上死点にある状態の断面図である。
【図8】同上、下死点にある状態の断面図である。
【図9】図1のB−B矢視を示す断面図である。
【図10】第二のマッサージ機構に足の指が載せられた状態におけるブラシ状の施療子の上死点にある状態の断面図である。
【図11】同上、下死点にある状態の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 足用マッサージ機
2 足載せ部
5 筐体
6 第一のマッサージ機構
7 第二のマッサージ機構
14 施療子
24 ブラシ状の施療子
25 基部
26 第一の突起群
27,31 突起部
32 第二の突起群
33,34 小突起
38 電動機(電動モータ)
46 変換機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、足用マッサージ機に関するものであり、特に、足に異なった種類の刺激を与えてマッサージすることができる足用マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の足用マッサージ機としては、両足を載せる本体(本発明の筐体に該当する)と、足裏側を回転駆動により刺激する第1の施療部と、押さえ部材を水平方向に往復動作させることにより爪先側を刺激する第2の施療部と、アキレス腱付近を開閉運動により刺激する(即ち、揉む)一対のアーム部を有する第3の施療部とを備えた足マッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、複数の偏心作動体を揺動起伏させることで、これらの偏心作動体に冠着した揉みパッドで足を揉むマッサージ器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−245797号公報
【特許文献2】実開平5−74527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前者のような足マッサージ機では、複数の異なった種類の刺激を足に与えるために、装置全体が大掛かりになり、装置全体の大型化及び複雑化を招き、コストアップを招くという問題があった。また、押さえ部材を水平方向に動かすことで爪先側を刺激しているが、足の指という複雑で細かい部分を刺激する構造としては不充分であった。また、後者のようなマッサージ器では、小型に構成することで足の指に複雑な刺激を与えることも可能になると思われるが、構造が複雑になってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、単純な構造で足に異なった複数種類の刺激を与えてマッサージを行なうことができる足用マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の足用マッサージ機は、足載せ部を有する筐体と、前記足載せ部に設けられた施療子を動作させることによって前記足載せ部に載せられた足の裏をマッサージする第一のマッサージ機構と、前記足載せ部に近接して設けられると共に前記足載せ部に載せられた足の指を刺激する第二のマッサージ機構とを有し、前記第二のマッサージ機構が、電動機及びこの電動機の回転運動を往復運動に変換する変換機構とを有する駆動機構と、この駆動機構に接続されるブラシ状の施療子とを有し、前記施療子が、前記駆動機構の動作に伴って撓む基部と、この基部に設けられると共に前記基部の撓みに伴って動く突起部とを有するものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の足用マッサージ機は、請求項1において、前記施療子が、複数の前記突起部を前記基部の外形に沿って環状に配列して構成される第一の突起群と、前記第一の突起群の内側に設けられて前記第一の突起群と一部が重複するように構成された第二の突起群とを有するものである。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載の足用マッサージ機は、請求項2において、前記第一の突起群及び第二の突起群の内側に小突起が設けられているものである。
【0008】
更に、本発明の請求項4に記載の足用マッサージ機は、請求項1において、前記第二のマッサージ機構が、前記足載せ部の方向を向くように傾斜して設けられるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、前記筐体の足載せ部に足を載せることで、前記第一のマッサージ機構によって足の裏を刺激することが出来ると共に、複数の足の指を前記第二のマッサージ機構によって刺激することができる。そして、前記駆動機構の動作により、前記第二のマッサージ機構を構成するブラシ状の前記施療子の基部が撓むことに伴って、前記施療子の突起部が動くことになり、足の指にも刺激を与えることができる。このようにして前記突起部が設けられた前記基部を撓ませるだけの単純な構造で足の指に刺激を与えることができるので、この第二のマッサージ機構を用いることで、複数種類の異なった刺激を与えられるにも拘らず、マッサージ機全体を単純に且つ小型に構成することができる。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、第二のマッサージ機構の前記第一の突起群によって足の指全体及び足の指の付け根部分をマッサージすることができると共に、第二の突起群によって足の親指を重点的にマッサージすることができる。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、前記施療子の基部の撓みに伴って前記小突起が上下動することで、一つの前記施療子によって足の指などに対して複数の異なった刺激を与えることができる。
【0012】
更に、本発明の請求項4に記載の足用マッサージ機は、以上のように構成することにより、足の裏に対して上方に曲げられる足の指に対しても、前記施療子の突起部を良好に当接させて足の指等をマッサージすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明による実施例を示す平面図であり、図2は同正面図である。この足用マッサージ機1の全体形状は概略体重計に似ており、両足をマッサージ機1の上面に載せることで両足を同時にマッサージできるようにされている。かかる目的から、平面図及び正面図において、左右対称の形状とされている。
【0014】
また、足用マッサージ機1を使用する場合、使用者が椅子に腰をかけた状態で足の裏を前記マッサージ機1の足載せ部2に載せることになるため、図3の左側面図に示すように、前記マッサージ機1の上面は足の踵部3に対して爪先部4が高くなるよう、水平面から15度程度傾斜するように構成されている。このことにより、椅子に腰をかけた状態でも無理なく足の裏面を前記足載せ部2に載せることができるようになる。
【0015】
筐体5の上面には、両足に対応する位置に足を載せる前記足載せ部2が左右2箇所に設けられている。そして、これら左右の足載せ部2には、土踏まずを含む足の裏面に当接する第一のマッサージ機構6が設けられている。また、前記筐体5の上面には、前記足載せ部2の前記爪先部4側に近接して、足の指を刺激する第二のマッサージ機構7が左右二箇所に設けられている。そして、前記第二のマッサージ機構7は、前記足載せ部2の方向を向くように、水平面から15度程度傾斜した前記足載せ部2に対して更に10度程度傾斜して設けられている。
【0016】
前記足用マッサージ機1の上面中央部、すなわち左右の足を載せる前記足載せ部2,2の間には、電源スイッチ8、モード切替スイッチ9、位置切替スイッチ11が設けられている。前記電源スイッチ8は、後述する電動モータ38への電源供給をオンオフするものであり、また、前記モード切替スイッチ9は、施療子14及び第二のマッサージ機構7の動作周波数を切り替えるものである。また、前記位置切替スイッチ11は、前記第一のマッサージ機構6と第二のマッサージ機構7の作動を選択するものである。さらに、上記各種スイッチ8,9,11が配置される部位の上方には、運転状況を示す表示部12が備えられている。
【0017】
前記筐体5の上面に設けられる前記足載せ部2は、土踏まず以外の足裏面に当接する軟質合成樹脂製の足裏パッド13と、土踏まずに当接する施療子14を動作させる前記第一のマッサージ機構6から構成されている。前記足裏パッド13は前記筐体5の上面に固定され、その表面には略半球形の突起15が多数設けられている。そして、前記突起15によって、前記足裏パッド13が足裏面の全体に当接することなく局部的に当接するようにされている。このことにより、前記足裏パッド13自体が振動しなくても、前記施療子14が動作することによる振動が前記突起15を介して足裏面に伝わることで、足裏面全体も前記突起15によってある程度刺激されることになる。
【0018】
前記施療子14は、平面視が略土踏まずの形状に形成されており、軟質合成樹脂材料で製作されている。そして、前記施療子14の表面周辺部には、前記足裏パッド13の表面に設けられた前記突起15と同程度の大きさの半球形突起16が環状に設けられると共に、中央部には周辺部に設けられたものよりも大きな半球形突起17が設けられている。なお、図に示す実施例では、前記施療子14に三つの大きな半球形突起17が設けられている。
【0019】
前記施療子14は、図4に示すように、前記足裏パッド13に設けられた同形状の開口部18内に配置されている。また、前記施療子14は、前記筐体5内に設けられたリニアアクチュエータ19上に装着され、このリニアアクチュエータ19の動作により上下方向に往復動作するようにされている。なお、前記リニアアクチュエータ19としては、構造が簡単なソレノイド21とプランジャ23を有するものが用いられている。また、前記プランジャ23は、図示しない圧縮バネによって常時上方に付勢されている。そして、図示しない駆動回路を介してソレノイド21に間歇的に電流が供給されると、このソレノイド21によって磁界が間歇的に形成され、この磁界によって前記プランジャ23を上昇させる力が間歇的に加わることになり、これによって、前記プランジャ23の先端に接続された前記施療子14に叩き力が生じることになる。すなわち、軟質合成樹脂材料で製作された前記施療子14の裏側の略中央部には、前記リニアアクチュエータ19のプランジャ23の先端が接続されており、使用者が前記足載せ部2に足を載せることで、足の裏面によって図示しない圧縮バネの付勢力に抗して前記施療子14が押し下げられると、この施療子14に接続された前記プランジャ23も押し下げられると共に、この状態から前記ソレノイド21に電流が流れることで磁界が形成されると、この磁界によって前記プランジャ23が吸引されて上昇し、このプランジャ23の先端に接続された前記施療子14も上昇して、大きな半球形突起17により足の裏面、特に土踏まずを叩き、マッサージすることができるように構成されている。なお、前記リニアアクチュエータ19のソレノイド21に供給される電流は、家庭用の50Hz又は60Hzの交流電流を半波整流した後、形成された波形を任意に間引くことで、数Hz程度の間歇的な電流とされている。そして、この周波数は、前記モードスイッチ9により設定変更が可能である。
【0020】
足の指を刺激する前記第二のマッサージ機構7は、前記足載せ部2の前記爪先部4側に近接して設けられ、前記第一のマッサージ機構6に足を載せた状態において、足の指が位置する箇所に配設されている。足の大きさは大人であっても女性と男性とではサイズが異なるし個人差もあるが、土踏まずの位置と指の位置との距離は足のサイズほど大きな差異はない。従って、前記第一のマッサージ機構6と第二のマッサージ機構7との最適位置は、厳密にいえば足のサイズにより異なることになるが、前記第二のマッサージ機構7は足の長さ方向に一定の幅を有する楕円形状をしているため、通常の大人の足の大きさであれば、前記第一のマッサージ機構6の位置と前記第二のマッサージ機構7の位置が固定されていたとしても、足のマッサージにそれほど支障は生じない。
【0021】
図5及び図6は、両足のうち右足の指を載せる前記第二のマッサージ機構7の平面視を示すものである。この第二のマッサージ機構7は、片足の親指から小指にいたる5本の足の指全体を載せることができるように楕円形状をした一片の弾性体からなるブラシ状の施療子24と、この施療子24を往復動作させる駆動機構47とで構成されている。この楕円形状をした施療子24の基部25には、その外形に沿って第一の突起群26が環状に配列されている。この楕円形状に配置された第一の突起群26の各突起部27の形状は、略截頭円錐形をしており、前記足載せ部2に設けられた半球形状の前記突起15とは形状を異にする。なお、前記各突起部27の形状が略截頭円錐形をしていることから、前記突起部27のうち、前記基部25に近い根元27aの横方向剛性は高く、先端部27bの横方向剛性は低くなる。すなわち、前記突起部27の先端部27bは比較的簡単に横方向に弾性変形する特性を有する。
【0022】
足の指は、親指28とこの親指28を除く他の4本の指29とで大きさや動きが異なったり、鼻緒等が親指28と人指し指とで挟まれたりすることから、親指28とその他の指29で区別されることが多く、特に親指は、運動時等に重要な役割を果たすことから、前記施療子24における親指28が当接する部位には、この親指28を重点的にマッサージするために、親指28を囲むよう環状に複数個の突起31が配置される。すなわち、前記第一の突起群26の内側に設けられて前記第一の突起群26と一部が重複するように構成された第二の突起群32が設けられている。さらに、この第二の突起群32の内側には、この第二の突起群32を構成する突起31より小突起33が複数個設けられる。このことにより、複雑な表面形状を有する足の親指28の表面をも良好にマッサージすることができるようになる。
【0023】
また、前記第一の突起群26の内側であって、かつ前記第二の突起群32の外側となる部分、すなわち足の親指28以外の指29が載せられる部位にも小突起34が複数個設けられる。このことにより、足の親指28以外の指29をも良好にマッサージすることができる。
【0024】
なお、前記第二のマッサージ機構7に設けられる前記突起部27は、略截頭円錐形状を有するものであるが、先端面27bが基部25に対して平行に形成されることなく、前記第一の突起群26の外側部位が高くされると共に、内側部位が低くされている。従って、前記突起部27の先端面27bは環状の内側を向く斜面とされている。同様に、前記突起31の先端面は、前記第二の突起群32の外側部位が高くされると共に、内側部位が低くされている。従って、前記突起31の先端面は環状の内側を向く斜面とされている。このような形状とすることにより、複雑な表面形状を有する足の指の表面に対しても、前記突起部27の先端面27b及び突起31の先端面をフィット感よく当接させることができる。
【0025】
次に、前記第二のマッサージ機構7の動作原理について説明する。前記第二のマッサージ機構7の動作原理は、前記第一のマッサージ機構6とは全く異なる。図7及び図8は、前記第二のマッサージ機構7に設けられるブラシ状の前記施療子24の断面を示すものであり、図7は作動棹としてのロッド35が上死点にある場合を、また、図8は作動棹としての前記ロッド35が下死点にある場合を示している。図7及び図8に示すように、表面に多数の突起を有する弾性体からなる前記施療子24の基部25の周辺は、前記筐体5に固定される。また、前記施療子24の基部25は、外力が作用しない自由状態では、周辺部に較べて中央部が高い凸状に形成されていると共に、前記基部25の裏側となる凹面には係止部36が設けられている。そして、前記係止部36には、係止具37を介して前記ロッド35が係止されている。
【0026】
図9は図1のB−B矢視を示す断面図である。図に示すように、前記筐体5内には電動モータ38が組み込まれており、この電動モータ38のモータ軸39の回転数はウォーム40とウォームギア41により減速され、クランク軸42に伝達される。このクランク軸42には2箇所にクランク43が設けられていると共に、これらのクランク43にコンロッド44の基端が揺動自在に取付けられており、これらのコンロッド44の先端に前記ロッド35の基端が揺動自在に連結されており、前述したように、このロッド35の先端に設けられた係止具37が、前記第二のマッサージ機構7を構成する前記施療子24の基部25の裏側に設けられた前記係止部36に係止される。
【0027】
前記コンロッド44の先端部が、図4に示すように、シリンダー45内に収納されていることから、前記コンロッド44の先端に揺動自在に接続された前記ロッド35は、首振り運動が抑制され、軸方向の往復運動だけが許容されるようになっている。すなわち、前記電動モータ38の軸39が回転すると、この回転は減速された後、変換機構としてのクランク機構46により回転運動から前記ロッド35の往復運動に変換されることになる。そして、前記ロッド35の上端が前記係止具37を介して前記施療子24の基部25の係止部36に係止されていると共に、前記施療子24の基部25の周辺が前記筐体5に固定されていることから、前記電動モータ38の軸39が回転すると、前記施療子24の基部25は撓みながら上下に往復運動をすることになる。そして、前記基部25が撓みながら降下すると、この基部25が図8に示すように凹状に変形することになるので、前記基部25の変形に伴って、前記基部25に設けられた前記突起部27,31及び小突起33,34が内側に倒れることになる。一方、前記基部25が押し上げられると、この基部25が図7に示すように突条に復元することになるので、前記基部25の復元に伴って、前記基部25に設けられた前記突起部27,31及び小突起33,34が起立することになる。
【0028】
図10及び図11は、ブラシ状の前記施療子24に足の指が載せられた状態を示すものであり、足の指が載せられていない状態を示した図7及び図8に対応する図面である。なお、図10及び図11では、特に親指28に対応する部位について記載している。図10に示すように、前記施療子24の基部25が上死点にある場合、前記施療子24の第二の突起群32に足の親指28が載せられると、環状に配列された外側の前記突起部27,31は撓んで、前記基部25の中心から外側に向かって開くように変形する。この状態から、図11に示すように、前記施療子24の基部25が下死点となるまで弾性変形すると、前記施療子24の基部25が撓んで表面形状が凹面となることから、前記各突起部27,31は内側に傾くように作動する。一方、前記施療子24の基部25が撓んで表面形状が凹面となることから、前記第二の突起群32内に設けられた小突起33は引き下げられて親指28から離れることになる。更に、前記施療子24の基部25が再び上死点となるまで復元すると、前記各突起部27,31は再び外側に向かって開くように作動する。一方、前記施療子24の基部25が撓んで表面形状が凸面となることから、前記第二の突起群32内に設けられた小突起33は押し上げられて親指28の腹に衝突することになる。その結果、前記施療子24の基部25を繰り返し撓ませることにより、前記基部25の表面に設けられた前記突起部27の先端部27b及び前記突起31の先端部は主に横方向に作動して指を揉むように刺激すると共に、前記小突起33は主に上下方向に作動して指の腹を叩くように刺激することになる。すなわち、前記施療子24の基部25が上下動作を繰り返すことにより、複数の異なった刺激により、足の親指28を良好にマッサージすることが可能になる。
【0029】
なお、図10及び図11は、ブラシ状の前記施療子24に足の親指28が載せられた状態について示すものであるが、前記施療子24に足の親指28以外の指29が載せられた場合についても同様の作用効果を奏することができる。ただし、足の親指28の場合には、主として前記施療子24の第二の突起群32を構成する環状に配置された前記突起部27,31及び前記小突起33によってマッサージが行われるのに対し、足の親指28以外の指29の場合には、主として前記施療子24の第一の突起群26を構成する環状に配置された前記突起部27及び前記小突起34によってマッサージが行われる点が異なる。
【0030】
そして、このように前記施療子24の基部25の撓みに伴って前記突起部27,31及び小突起33,34が複雑に動作することで、全体として複雑な形状となっている足の指28,29及びそれらの付け根部分を効果的にマッサージすることができる。また、このように前記突起部27,31及び小突起33,34を複雑に動作させるための前記第二のマッサージ機構7を、前記基部25と前記突起部27,31及び小突起33,34から成るブラシ状の施療子24と、電動モータ38の回転を変換機構としてのクランク機構46によって往復運動に変換する駆動機構47とで構成することによって、単純に構成することができ、これによって、前記マッサージ機1を安価に、或いは小型に構成することができる。
【0031】
また、前述したように、ブラシ状の前記施療子24に、前記第一の突起群26を設けることで、この第一の突起群26を構成する前記突起部27によって足の指29及びその付け根部分をマッサージすることができると共に、前記第二の突起群32を設けることで、この第二の突起群32を構成する前記突起部27,31によって、足の親指28及びその付け根部分を重点的にマッサージすることができる。また、前述したように、前記第二のマッサージ機構7が、前記第一のマッサージ機構6の方向を向くように傾斜して設けられていることで、前記施療子24に載せたときに自然に上方に曲げられる足の指28,29を良好にマッサージすることができる。
【0032】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、上記実施例においては、前記施療子14やブラシ状の施療子24として軟質合成樹脂材料を用いたものについて説明したが、前記施療子14やブラシ状の施療子24の材料はこれらの材料に限定されるものではなく、ゴム等の弾性材料を用いることも可能である。また、前記第一のマッサージ機構6に備えられる前記施療子14の突起形状は半球形に限定されるものではなく、多面形等、他の形状を有するものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による実施例を示す平面図である。
【図2】同上、正面図である。
【図3】同上、左側面図である。
【図4】図1のA−A矢視を示す断面図である。
【図5】本発明による実施例の第二のマッサージ機構を示す平面図である。
【図6】同上、足の指が載せられた状態の平面図である。
【図7】第二のマッサージ機構に設けられるブラシ状の施療子の上死点にある状態の断面図である。
【図8】同上、下死点にある状態の断面図である。
【図9】図1のB−B矢視を示す断面図である。
【図10】第二のマッサージ機構に足の指が載せられた状態におけるブラシ状の施療子の上死点にある状態の断面図である。
【図11】同上、下死点にある状態の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 足用マッサージ機
2 足載せ部
5 筐体
6 第一のマッサージ機構
7 第二のマッサージ機構
14 施療子
24 ブラシ状の施療子
25 基部
26 第一の突起群
27,31 突起部
32 第二の突起群
33,34 小突起
38 電動機(電動モータ)
46 変換機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足載せ部を有する筐体と、前記足載せ部に設けられた施療子を動作させることによって前記足載せ部に載せられた足の裏をマッサージする第一のマッサージ機構と、前記足載せ部に近接して設けられると共に前記足載せ部に載せられた足の指を刺激する第二のマッサージ機構とを有し、
前記第二のマッサージ機構が、電動機及びこの電動機の回転運動を往復運動に変換する変換機構とを有する駆動機構と、この駆動機構に接続されるブラシ状の施療子とを有し、
前記施療子が、前記駆動機構の動作に伴って撓む基部と、この基部に設けられると共に前記基部の撓みに伴って動く突起部とを有することを特徴とする足用マッサージ機。
【請求項2】
前記施療子が、複数の前記突起部を前記基部の外形に沿って環状に配列して構成される第一の突起群と、前記第一の突起群の内側に設けられて前記第一の突起群と一部が重複するように構成された第二の突起群とを有することを特徴とする請求項1記載の足用マッサージ機。
【請求項3】
前記第一の突起群及び第二の突起群の内側に小突起が設けられていることを特徴とする請求項2記載の足用マッサージ機。
【請求項4】
前記第二のマッサージ機構が、前記足載せ部の方向を向くように傾斜して設けられることを特徴とする請求項1記載の足用マッサージ機。
【請求項1】
足載せ部を有する筐体と、前記足載せ部に設けられた施療子を動作させることによって前記足載せ部に載せられた足の裏をマッサージする第一のマッサージ機構と、前記足載せ部に近接して設けられると共に前記足載せ部に載せられた足の指を刺激する第二のマッサージ機構とを有し、
前記第二のマッサージ機構が、電動機及びこの電動機の回転運動を往復運動に変換する変換機構とを有する駆動機構と、この駆動機構に接続されるブラシ状の施療子とを有し、
前記施療子が、前記駆動機構の動作に伴って撓む基部と、この基部に設けられると共に前記基部の撓みに伴って動く突起部とを有することを特徴とする足用マッサージ機。
【請求項2】
前記施療子が、複数の前記突起部を前記基部の外形に沿って環状に配列して構成される第一の突起群と、前記第一の突起群の内側に設けられて前記第一の突起群と一部が重複するように構成された第二の突起群とを有することを特徴とする請求項1記載の足用マッサージ機。
【請求項3】
前記第一の突起群及び第二の突起群の内側に小突起が設けられていることを特徴とする請求項2記載の足用マッサージ機。
【請求項4】
前記第二のマッサージ機構が、前記足載せ部の方向を向くように傾斜して設けられることを特徴とする請求項1記載の足用マッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−29197(P2007−29197A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213497(P2005−213497)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
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