説明

距離測定装置

【課題】 出発点から現在位置および目標位置までの距離を同時に測定して音声で報知できる距離測定装置を提供する。
【解決手段】 スイッチ3を操作したことに応じて、CPU21がGPS受信回路5の出力に基づいて、現在位置の位置情報を計測してその位置情報を現在位置としてメモリ22に記憶し、移動後にスイッチ4からの指令が与えられたことに応じて、現在位置から移動後の位置までの距離と、移動後の位置とメモリ22に予め記憶しているグリーンまでの距離とを算出して各距離をスピーカ6から音声で報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は距離測定装置に関し、例えば、ゴルフ場において、プレーヤーが打球したときの打球位置間の距離を測定する距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場において、プレーヤーは自分の打球したボールの飛距離を絶えず関心を持ちながらプレーをしている。ゴルフ場の各コースには、グリーンから100ヤード、150ヤード、200ヤードなどの各位置に標識が設けられており、プレーヤーはその標識を頼りに、グリーンまでの距離を推測している。しかし、ロングホールなどにおいては、第1打目でボールがどの程度飛んだかはプレーヤー自身で判断するのは極めて困難である。
【0003】
特表平7−501887号公報(特許文献1)には、ユーザが実際の位置と固定位置との間の距離を決定できるポータブル距離計算機について記載されている。
【特許文献1】特表平7−501887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたポータブル距離計算機では、固定位置としてグリーンのピン位置とプレーヤーのいる位置との間の距離を計算できても、ティーグラウンドで第1打目を打球したときの飛距離を測定できない。
【0005】
ゴルフ場における距離測定のみならず、自動車を運転しているときに出発点から現在位置までの距離と、現在位置から目標位置までの距離を同時に測定できるものは従来から存在していない。
【0006】
そこで、この発明の目的は、出発点から現在位置および現在位置から目標位置までの距離を同時に測定して音声で報知できる距離測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、少なくとも2点間の距離を測定する距離測定装置であって、衛星位置情報を受信する受信手段と、現在位置を指示する指示手段と、距離測定の開始を指令する指令手段と、位置情報を記憶するとともに、目標位置に関する情報を予め記憶する記憶手段と、音声を報知する音声報知手段と、指示手段の指示に応じて、受信手段の受信出力である衛星位置情報に基づいて、現在位置の位置情報を計測してその位置情報を現在位置として記憶手段に記憶し、移動後に指令手段から指令が与えられたことに応じて、現在位置から移動後の位置までの距離と、移動後の位置と記憶手段に予め記憶している目標位置までの距離を算出して各距離を音声報知手段により報知する制御手段とを備える。
【0008】
指示手段からの指示と、移動後に指令手段から指令を与えるだけという簡単な操作で、出発点から現在位置までの距離と、目標位置までの距離とを同時に測定して音声で報知できる。
【0009】
好ましくは、制御手段は、外部から目標位置に関する情報を記憶手段にダウンロードする。目標位置をダウンロードできるので、種々の用途に応じて距離を算出できる。
【0010】
好ましくは、制御手段は、移動後に指令手段から指令が与えられたときに、記憶手段に現在位置の位置情報が記憶されていないことを判別したことに応じて、指令手段からの指令に応じて算出した位置を現在位置の位置情報として記憶手段に記憶する。この場合は、その位置を出発点として距離を測定できる。
【0011】
好ましくは、制御手段は、移動後に指令手段から指令が与えられたときに、記憶手段に現在位置の位置情報が記憶されていることを判別したことに応じて、指示を与えた位置から移動後の位置までの距離と、移動後の位置から目標位置までの距離を算出する。
【0012】
好ましくは、目標位置は、ゴルフ場におけるグリーンに関する位置である。グリーンに関する位置を記憶しておくことで、ゴルフプレーにおける打球の飛距離などを測定できる。
【発明の効果】
【0013】
出発点で指示を与えることで、現在位置の位置情報を計測してその位置情報を現在位置として記憶し、移動後に指令が与えられたことに応じて、現在位置から移動後の位置までの距離と、移動後の位置と予め記憶している目標位置までの距離を算出して各距離を音声で報知するようにしたので、出発点から現在位置および目標位置まで同時に測定して音声で報知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はこの発明の一実施形態における距離測定装置の構造を示す図であり、(A)は平面図を示し、(B)は(A)の線B−Bから見た側面図であり、(C)は(A)の線C−Cから見た側面図である。
【0015】
図1において、距離測定装置は、例えば、ゴルフ場で打球したときにボールの飛距離を測定するとともに、グリーンエッジやピン位置までの距離を測定するために使用される。
【0016】
距離測定装置は、ハウジング1を含み、ハウジング1の背面にはベルト掛け11が設けられていて、このベルト掛け11にベルトを通すことで、プレーヤーは距離測定装置を手で持つことなく、プレーに専念できる。ベルト掛け11は必須のものではなく、ベルト掛け11を省略して手で持ち歩いたり、ポケットにいれて使用してもよく、あるいは帽子にクリップで止められるようにしてもよい。
【0017】
このハウジング1にはプレーヤーが操作するスイッチ3,4が設けられている。スイッチ3は、ティーグランドで第1打目のボールを打球して計測を開始するときに操作されて、現在位置を指示する指示手段である。スイッチ4は第2打目以降のボールを打球したときに操作され、測定の開始を指令する指令手段である。ハウジング1内には基板2が配置されており、基板2には後述の図2に示す制御手段としてのCPU21と、記憶手段としてのメモリ22と、音声回路23と、音声ROM24と、通信回路25とが搭載されている。さらに、基板2上には受信手段としてのGPS受信回路5と、音声報知手段としてのスピーカ6と、バッテリ7と、青色LED8とが搭載されている。音声ROM24に代えてその他の音声信号発生装置を用いてもよい。また、青色LED8は省略してもよい。
【0018】
図2はこの発明の一実施形態における距離測定装置のブロック図であり、図3はメモリの記憶領域を示す図である。
【0019】
CPU21には、図1に示したスイッチ3,4と、衛星位置情報を受信するGPS受信回路5と、バッテリ7と、メモリ22と、音声回路23と、音声ROM24と、通信回路25と、青色LED8とが接続されている。GPS(Global Positioning System)受信回路5は、GPS衛星からの電波を受け、衛星位置情報に基づいて、現在位置の緯度と経度とからなる位置情報を算出する。
【0020】
メモリ22は、図3に示すように、目標位置に関する情報として、例えばあるゴルフ場の18ホールのグリーン情報や位置情報を記憶する。ここで言うグリーン情報とは、グリーンのエッジ,ピン位置,グリーン周辺のバンカーなどの位置情報を含むものとする。位置情報は、各ホールごとに打球した位置の経度情報および緯度情報を含む。音声回路23は、打球するごとに飛距離や、打球位置からグリーンエッジあるいはピンまでの距離情報を音声ROM24から読出した音声情報を合成してスピーカ6から音声で報知する。
【0021】
音声ROM24は、報知する音声情報を予め記憶している。通信回路25は外部から例えば、携帯電話機などを接続して、グリーン情報などをメモリ22にダウンロードするために設けられている。青色LED8はGPS受信回路5でGPS測位を完了したときに点灯する。バッテリ7は距離測定装置に電源を供給するものであり、充電可能に構成されているが、一般に用いられている乾電池を使用してもよい。
【0022】
図4はゴルフ場の1つのホールレイアウトを示す図であり、図5はこの発明の一実施形態における距離測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0023】
プレーヤーは、ゴルフプレーをする前日までに、あるいはゴルフ場の第1ホールで第1打を打球する前に、図示しない電源スイッチを投入する。そして、通信回路25に図示しない携帯電話機を接続するかあるいはゴルフ場のサーバあるいはインターネットを介して、外部からそのゴルフ場における第1ホールから第18ホールまでのグリーン情報をメモリ22の記憶領域221のダウンロードする。なお、メモリ22は、グリーン情報をダウンロードすることなく、予め記憶するようにしておいてもよい。
【0024】
CPU21はステップSP1において、電源の投入されたことを判別し、ステップSP2において、GPS測位準備チェックを行い、GPS受信回路5により現在位置を測位させる。現在位置として経度情報と緯度情報とが算出され、測位準備が行われる。ステップSP3において、GPS測位準備が完了したか否かを判断し、完了していなければステップSP2に戻る。完了していれば、ステップSP4において、青色LED8を点灯する。このとき、スピーカ6から確認音を報知するようにしてもよい。
【0025】
プレーヤーは青色LED8が点灯したことを見て、距離測定の準備の完了したことを確認し、図4に示すA地点に示すティーグラウンドに立ち、第1打を打球する前に計測開始を指示するためにスイッチ3をオンさせる。CPU21はステップSP5においてスイッチ3がオンされたか否かを判別し、オンされていなければオンされるまで待機し、オンされたことに応じて、ステップSP6において、GPS受信回路5の出力に基づいて、打球地点の位置情報をメモリ22の記憶領域222に記憶する。そして、ステップSP7において、音声ROMから対応する例えば「登録しました」を発音するのに必要な情報を読出し、音声回路23で音声合成し、スピーカ6から「登録しました」の音声を発音させる。
【0026】
プレーヤーは、第1打を打球後にボールの落下地点である、図4に示すB地点まで移動し、B地点に到達すると、距離の計測を開始するためにスイッチ4を操作する。ステップSP8において、スイッチ4がオンされたか否かを判別し、オンされたことを判別すると、ステップSP9において、メモリ22の記憶領域222に直前の打球地点であるA地点の位置情報が登録されているか否かを判別する。
【0027】
直前の打球地点であるA地点の位置情報が登録されていれば、ステップSP12において、直前の打球地点と新たな打球地点との間の2点間距離として、A1とB1との間の距離を計算する。すなわち、GPS受信回路5の出力に基づいて新たな打球地点であるB1地点の位置情報を算出し、メモリ22の記憶領域222に記憶されている直前の打球地点であるA1地点の位置情報からB1地点の位置情報に基づいて、A1とB1との間の距離を算出する。ステップSP13において、算出した距離に対応する音声情報を音声ROM24から読出し、音声回路23で音声合成し、スピーカ6から例えば「飛距離は200mです。」のように発音させる。なお、距離はヤードで表してもよい。そして、ステップSP14において、新たな打球地点をB1地点の位置情報としてメモリ22の記憶領域223に記憶する。
【0028】
ステップSP15において、ダウンロードデータとしてメモリ22の記憶領域221にグリーン情報が登録されているか否かを判別する。ステップSP15において、ダウンロードデータが登録されていることを判別すると、ステップSP16において、ダウンロードした位置とB1地点との間の距離を計算する。
【0029】
例えば、B1地点とグリーンエッジ上のC1地点との間の距離と、B1地点とグリーン上のピン位置であるD1地点との間の距離を算出し、ステップSP17において、計算結果を音声案内する。例えば、スピーカ6から「C1地点(エッジ)まで150mです。」,「D1地点(ピン)まで180mです。」のように音声で報知する。プレーヤーは、この音声を聞くことで適切なクラブ選択を行う。ステップSP18において、ホールアウトしたか否かを判別する。例えば、プレーヤーがホールアウトしたときにスイッチ3,4を同時に押すことで、CPU21がそれを判別するようにしてもよく、あるいはホールアウトを指示するスイッチを別個に設けてもよい。あるいは、ホールアウトしたときは、ステップSP5に進んで、次のホールで計測開始スイッチ3をオンするようにしてもよい。
【0030】
プレーヤーは、B1地点で第2打目を打球すると、その打球地点で再度計測を開始するためにスイッチ4を操作する。ステップSP8において、スイッチ4の操作されたことを判別し、ステップSP9に進み、直前の打球地点が登録されているかを判別する。以下、ホールアウトするまで、ステップSP12〜ステップSP15の処理を繰り返す。
【0031】
なお、ステップSP9において、直前の打球地点が登録されていないことを判別したときには、ステップSP10において、スピーカ6から「直前の打球地点が登録されていません。現在位置を登録します。」の音声を報知し、ステップSP11において、新たな打球地点をA1地点として登録する。
【0032】
ステップSP18においてホールアウトしたことを判別したときには、ステップSP5に進み、第2ホールの各打球地点の距離測定を行う。以下、第2ホールから第18ホールまでプレーし、各ホールの位置情報A2からB18がメモリ22に記憶される。
【0033】
なお、メモリ22の記憶領域は各ホールがロングホール、ミドルホール、ショートホールであるかに応じて、打球数が異なるので、グリーン情報をダウンロードするときに、各ホールのパー数に応じた記憶領域を設定するようにしてもよい。
【0034】
上述のごとく、この実施形態によれば、ゴルフ場において、打球開始時にスイッチ3を操作した後、打球するごとにスイッチ4を操作することで、各打球の飛距離とグリーンまでの距離を算出して音声で報知できるので、プレーヤーは打球距離を確認して、最適なゴルフクラブを選択するための情報を提供できる。もし、飛距離などを数値として表示器に表示するようなものであれば、その都度表示器を見なければならないが、飛距離などを音声で報知することでプレーする上で煩わしさがない。
【0035】
なお、上述の実施形態では距離情報を音声で報知するようにしたが、音声で報知するだけでなく、表示器を設けて表示してプレーヤーが視認できるようにしてもよい。そして、プレー終了後に、各打球距離を順次表示できるようにしてもよい。
【0036】
また、上述の実施形態では、ゴルフ場における打球距離やグリーンまでの距離を測定するようにしたが、これに限ることなく、例えば、自動車で出発位置から現在位置までの距離や目標位置までの距離を同時に測定するのにも適用できる。
【0037】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明の距離測定装置は、ゴルフ場などにおいて、プレーヤーがボールを打球したときの各打球位置間の距離を測定するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の一実施形態における距離測定装置の外観図である。
【図2】この発明の一実施形態における距離測定装置のブロック図である。
【図3】図3は図2に示したメモリの記憶領域を示す図である。
【図4】ゴルフ場で距離を測定する例を示す図である。
【図5】この発明の一実施形態における距離測定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 ハウジング、2 基板、3,4 スイッチ、5 GPS受信回路、6 スピーカ、7 バッテリ、8 LED、11 ベルト掛け、21 CPU、22 メモリ、23 音声回路、24 音声ROM、25 通信回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2点間の距離を測定する距離測定装置であって、
衛星位置情報を受信する受信手段(5)と、
現在位置を指示する指示手段(3)と、
距離測定の開始を指令する指令手段(4)と、
位置情報を記憶するとともに、目標位置に関する情報を予め記憶する記憶手段(22)と、
音声を報知する音声報知手段(6)と、
前記指示手段の指示に応じて、前記受信手段の受信出力である衛星位置情報に基づいて、現在位置の位置情報を計測してその位置情報を現在位置として前記記憶手段に記憶し、移動後に前記指令手段から指令が与えられたことに応じて、前記現在位置から移動後の位置までの距離と、前記移動後の位置と前記記憶手段に予め記憶している目標位置までの距離を算出して各距離を前記音声報知手段により報知する制御手段(21,23,24)とを備える、距離測定装置。
【請求項2】
前記制御手段は、外部から前記目標位置に関する情報を前記記憶手段にダウンロードする、請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記移動後に前記指令手段から指令が与えられたときに、前記記憶手段に前記現在位置の位置情報が記憶されていないことを判別したことに応じて、前記指令手段からの指令に応じて算出した位置を前記現在位置の位置情報として前記記憶手段に記憶する、請求項1または2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記移動後に前記指令手段から指令が与えられたときに、前記記憶手段に前記現在位置の位置情報が記憶されていることを判別したことに応じて、前記指示を与えた位置から移動後の位置までの距離と、前記移動後の位置から前記目標位置までの距離を算出する、請求項1または2に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記目標位置は、ゴルフ場におけるグリーンに関する位置である、請求項1から4のいずれかに記載の距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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