説明

踏切障害物検知装置

【課題】安価ながら踏切道上の車両も人も検出できるレーダー方式の踏切障害物検知装置について、距離の計測速度および計測精度を高める。
【解決手段】照射波Sを踏切内で水平方向に回転させる回転機構部70から検出対象物13までの距離を計測する距離計測部80が、照射波Sの周波数fを高低の周波数に固定するのも掃引させるのも可能な変調器81と、照射波Sと反射波Rとに係るビート信号bを抽出するビート信号抽出回路56+57と、ビート信号b1,b2から2周波CW方式での距離を求めるとともにビート信号b3からFMCW方式での距離を求めて更にそれらの距離を組み合わせることにより適切な距離情報を算出する信号処理装置とを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道の踏切内にミリ波やマイクロ波などの空中伝搬波を照射して踏切道における人や車両などの障害物を検出する踏切障害物検知装置に関し、詳しくは、検出対象物までの距離を計測するのにCW(Continuous Wave,持続波,連続波)方式の測距センサを用いる踏切障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
踏切道上の障害物を検知する一般的な方式として、投受光器間の光ビームが自動車等で遮断されたことで障害物を検知する光式と、踏切の道路下に設置したループコイルが自動車等の金属に感応してループコイル組み込み発振回路の発振周波数が上昇するのを利用して障害物を検知するループ式とが、知られている。これらの方式には、不満な点として、設備費用が高い点や、踏切道上に滞留している交通弱者を検出できない点があり、その改善が求められている。
それらを解決する一方式として、図4に示したレーダー方式の踏切障害物検知装置が、提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図4は、そのような踏切障害物検知装置の概要構造等を示しており、(a)が踏切障害物検知装置およびそれを設置した踏切の斜視図、(b)が踏切障害物検知装置の回転機構部の斜視図である。この踏切障害物検知装置は、軌道内に設置されて踏切道10に臨む回転機構部40と、回転機構部40に内蔵された送受信部(51〜57又は61〜57)や軌道脇の器具箱12に内蔵された信号処理装置(58又は68)からなる距離計測部(50又は60)とを備えたものである。回転機構部40は、送受信部のアンテナ等を鉛直軸周り回転可能に支持する回転盤と、その回転位置を検出するロータリエンコーダ等の方位検出手段とを具えていて、距離計測部による計測方向すなわち照射波Sの照射方向を踏切内で水平方向に回転させるとともに、その回転の方位を随時検出するようになっている。
【0004】
また、距離計測部は、踏切内へ電波等の空中伝搬波を照射するとともに、この照射波Sが踏切道10上の検出対象物13等で反射して帰ってきた反射波Rを受信し、その反射波Rと元の照射波Sとの関係を利用して、具体的にはそれらのビート信号を抽出して、回転機構部40から検出対象物13までの距離を計測するようになっている。
さらに、信号処理装置は、距離計測部の一部として、ビート信号を処理して距離情報を算出するといった演算を遂行するとともに、その距離情報と回転機構部40にて得た方位情報とに基づいて、踏切道10上で両側の遮断桿11の間に障害物が在るか否かの判定も行うようになっている。
【0005】
そのようなCW方式の距離計測手法を具体化したものとして、図5に示した2周波CW方式測距センサ50と、図6に示したFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave ,周波数変調連続波)方式測距センサ60とが、知られている。従来、これらの方式は、併用されることなく、何れか一方が採択されていた(例えば特許文献1,特許文献2参照)。
ここでは、それらのCW方式測距センサ50,60について、本発明の説明にも役立つ構成および特質を掻い摘んで説明する。
【0006】
図5は、(a)が一般的な2周波CW方式測距センサ50のブロック図、(b)がそれを用いた距離計測状態の説明図である。
2周波CW方式測距センサ50は(図5(a)参照)、踏切内へ空中伝搬波を照射するために、変調信号を一定時間で切り替えて照射波Sの周波数fを低い周波数f1に固定させるのと高い周波数f2に固定させるのとを交互に行う変調器51と、その変調信号に従って送信信号sを生成するに際して周波数f1の正弦波状の送信信号s1と周波数f2の正弦波状の送信信号s2とを一定時間ずつ交互に生成する高周波発振器52と、その送信信号sを分割して一部を送信アンテナ54に送出し残りをミキサー56に送出する信号分配器53と、電気信号の送信信号sをミリ波やマイクロ波など(電波)の照射波Sにして空中へ出射することで周波数f1の照射波S1と周波数f2の照射波S2とを一定時間ずつ交互に踏切内に照射する送信アンテナ54とを備えている。
【0007】
また、2周波CW方式測距センサ50は、照射波Sが検出対象物13に当たって跳ね返ってきた反射波Rを受信するために、空中伝搬波の反射波Rから電気信号の受信信号rを生成する受信アンテナ55を備えている。これにより、周波数f1の反射波R1からは周波数f1の受信信号r1が得られ、周波数f2の反射波R2からは周波数f2の受信信号r2が得られるようになっている。さらに、照射波Sと反射波Rとに係るビート信号bを抽出するビート信号抽出回路として、送信信号sと受信信号rとを混合(掛算)するミキサー56と、それに後続するローパスフィルタ57とを備えていて、照射波S1と反射波R1とに係るビート信号b1と、照射波S2と反射波R2とに係るビート信号b2とを、交互に生成するようになっている。
【0008】
さらに、2周波CW方式測距センサ50は、判定に供される距離情報を算出するために、ビート信号bに基づいて回転機構部40から検出対象物13までの距離を2周波CW方式で求める信号処理装置58を備えている。信号処理装置58は、演算手段としてのマイクロプロセッサやデジタルシグナルプロセッサを主体にしたものであり、ビート信号bをデジタル化して入力するA/D変換回路や、ビート信号bの周波数スペクトラムをデジタル演算にて算出するFFT(高速フーリエ変換)演算手段が、組み込まれ又は付設されている。2周波CW方式での距離d2は、ビート信号b1の位相とビート信号b2の位相との位相差から公知の所定式で算出されるようになっている。
【0009】
このような2周波CW方式測距センサ50を用いて(図5(b)参照)、さらに踏切での障害物検出に要する検知範囲距離dxを例えば36mとして、踏切道10上の対象物13までの距離を計測すれば、最小検出単位が位相差で0.5゜程度(距離で10cm程度)と小さいので、細密な測距ができるが、位相差では180゜(距離で検知範囲距離dx=36m)を超える測距ができない。検知範囲距離dxより遠い検出対象物13については、回転機構部40から検出対象物13までの距離として、検知範囲距離dxより近くの虚像14までの距離が、すなわち正しい距離から検知範囲距離dxの整数倍を引いた嘘の距離が、算出されてしまうためである。
【0010】
図6は、(a)が一般的なFMCW方式測距センサ60のブロック図、(b)がそれを用いた距離計測状態の説明図である。
FMCW方式測距センサ60(図5(a)参照)が上述した2周波CW方式測距センサ50と相違するのは、変調器51が変調器61になった点と、信号処理装置58が信号処理装置68になった点である。
【0011】
変調器61は、空中伝搬波の周波数fを固定させないで掃引させるために変調信号を連続的に変化させるようになっている。そのため、他の部材52〜57は同じままでも、送信信号sと照射波Sと反射波Rと受信信号rがその周波数fを周波数変調周期Tごとに周波数変調幅Bだけ上げ下げするものとなっている。
なお、本明細書では、FMCW方式での送信信号sと照射波Sと反射波Rと受信信号rとビート信号bとを2周波CW方式でのそれらと区別するとき、送信信号s3と照射波S3と反射波R3と受信信号r3とビート信号b3と記す。回転機構部40から検出対象物13までの計測距離dも、FMCW方式での距離d3と2周波CW方式での距離d2とを包括している。
【0012】
信号処理装置68は、A/D変換回路や,FFT演算手段,マイクロプロセッサ等の演算手段を具えており、ハードウェア面からは信号処理装置58と同じであるが、マイクロプロセッサ等での演算内容が信号処理装置58と異なっている。すなわち、変調器61にて照射波S3の周波数f3を掃引させるとともにその反射波R3の受信信号r3と照射波S3の原信号の送信信号s3とからビート信号抽出回路にて得たビート信号b3を入力して、その周波数からFMCW方式での距離d3を求めるようになっている。具体的には、周波数fが高くなるときのビート周波数fuと周波数fが低くなるときのビート周波数fdとから公知の所定式でFMCW方式での距離d3が算出されるようになっている。
【0013】
このようなFMCW方式測距センサ60を用いて(図6(b)参照)、さらに占有周波数帯域幅の許容値すなわち周波数変調幅Bを例えば76MHzとして、踏切道10上の対象物13までの距離を計測すれば、踏切での障害物検出に要する検知範囲距離dxに拘わらず最小検出単位が2m程度と大きいので、大雑把な測距となるが、検知範囲距離dxである36mを超える測距も可能である。検知範囲距離dxより遠い検出対象物13についても、2周波CW方式のように近くの虚像を測距することなく、検知範囲距離dxより近い検出対象物13と同様に、実像の距離を得ることができる。
【0014】
【特許文献1】特開2003−11824号公報
【特許文献2】特開2003−35768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したレーダー方式の踏切障害物検知装置では、踏切道上に滞留している車両や人(特に交通弱者)を検出できるばかりか、その検出を一台のレーダーで行えるので、設備工事費や機器の保全費用も安くなる、といった特徴がある。
このような踏切障害物検知装置では、踏切道内で虜状態になっている自動車や車椅子の人が重要な検出対象であるため、距離計測用レーダーには、一般的に、静止物体の検出に適したFMCW方式測距センサが使用される(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、このような踏切障害物検知装置の距離計測手法には未だ改善の余地がある。その点を以下に詳述する。
【0016】
測距センサの応用として自動車の前方障害物検知センサが知られており(例えば特許文献2参照)、この測距センサでは、最大150mまでの距離を検知できなければならないが、検知精度(分解能)は1m程度で十分なため、2周波CW方式でもFMCW方式でも任意に何れかを採択することができる。
これに対し、踏切障害物検知装置の検知範囲は、図4に示されるように複線の上下線を挟む両側の遮断桿11の内側における踏切道10上に限定されるため、要求される検知距離は、最大で36m程度である。しかし、検出対象物13が踏切遮断桿11より踏切内側に入っている場合は障害物と判定し、検出対象物13が踏切遮断桿11の外側に出ている場合は障害物と判定してはならない。このため、距離の精度には±15cm以下が必要となり、距離分解能は15cm以下を要求される。
【0017】
また、レーダー方式の踏切障害物検知装置では、図4に示すように、回転機構部40を軌道内に設置し、それで測距センサのアンテナ等を首振り回転(揺動)させるとともに、静止物体の測定のためにアンテナ等を前後方向に微小振動させることで、前方約180゜に広がる踏切道10全体を短時間で具体的には2秒以下で空中伝搬波の照射を一通り行って、電波を反射する検出対象物13までの距離dを計測することが望まれる。測距センサのビーム(照射波S)の水平方向広がりが一般的な4゜の場合、45(=180゜/4゜)分割された方位ごとに距離dが計測されるので、一方位当たりの計測に掛けられる時間は44msとなる。ここで、180゜回転時間を2秒以下としたのは、踏切障検の規定で「障害物を連続6秒以上検出した場合に支障情報を出力する」とされており、これに則って支障出力とするまでの6秒間に3回ほど一連の伝搬波照射および距離の計測を行って、さらには例えば多数決判定等も組み合わせて、障害物検知の確度を向上させるためである。
【0018】
ところが、FMCW方式の測距センサの距離分解能Δdは、次式で表されるように、周波数掃引幅Δf=周波数変調幅Bで規定される。なお、cは光速である。
Δd=c/(2・Δf)
このような距離分解能を持ったFMCW方式測距センサの利用に際しては、信号処理系における下記2要素(1),(2)を加味して、距離計測精度を更に考慮しなければならない。
【0019】
(1)レーダー反射波Rの取込時間Tin(一方位当たりの計測に掛ける時間)を考慮しなければならない。1/Tinが、FFT演算手段にて適切に処理できる信号周波数の最低周波数になるからである。
(2)距離計測部の信号処理装置のA/D変換回路の信号サンプリングタイムTsを考慮しなければならない。1/(2・Ts)が、FFT演算手段にて適切に処理できる信号周波数の最高周波数になるからである。
そして、これらも考慮すると、回転範囲を分割した方位それぞれに許される計測時間が短くなれば、距離計測精度が悪化する。上述したように一方位当たりの計測時間を44msと短縮するには、距離計測精度を犠牲にする覚悟が要る。
【0020】
また、周波数掃引幅Δf=周波数変調幅Bは使用周波数領域の占有周波数帯域幅で制限され、占有周波数帯域は電波法で規制されるため、例えば76.5GHz帯の周波数を使用した場合でも、占有周波数帯域幅の許容値は500MHzとなっており、その場合、距離分解能Δdは約30cmとなる。この分解能の粗さに起因する検知誤差(距離計測精度)は、検知距離の長さ(検知範囲距離dx)とは関係ないため、踏切障害物検知装置の検知範囲(検知範囲距離dx)が36m以下の場合でも改善されない。
【0021】
しかも、76.5GHz帯は現在のところ車載形測距センサに使用が限定されているため、地上設備には使用することができない。このため、地上設備である踏切障害物検知装置には地上設備用の周波数領域24.15GHz帯を使用することになる、この周波数領域では、占有周波数帯域幅の許容値は76MHzしかなく、その場合、距離分解能Δdは約2mとなる。
何れの観点からも、すなわち計測速度および計測精度の両観点から見て、距離計測部にFMCW方式測距センサを従来通り使用していたのでは、踏切障害物検知装置の十分な改善(すなわち距離計測の高速化および高精度化)は望めない。
【0022】
一方、FMCW方式測距センサに代えて2周波CW方式測距センサを採択すれば、検知範囲距離dxの大小に応じて最小検出単位(距離分解能)も増減するので、一見すると、検知範囲距離dxの小さい踏切障害物検知装置では簡単に計測精度等の問題を解決できるようにも思えるが、上述したように2周波CW方式の測距には検知範囲距離dxより遠い検出対象物13を近くに誤検出するという特性があるため、前方だけを遠くまで計測する自動車の場合と異なり、検出対象物が踏切の内外いずれに在るのかの判別が重要であり而も踏切内外の判別基準位置が伝搬波照射の方向(回転の方位)に応じて大きく変化する踏切障害物検知装置には、一般的な2周波CW方式測距センサを多少改造した程度では採用することができない。
【0023】
そこで、光式やループ式に勝る特徴を持つレーダー方式の踏切障害物検知装置について、安価ながら踏切道上の車両も人も検出できるという特徴を損なうことなく、障害物検知の確度を向上させるために、規定時間内に出来るだけ多く精密な測距を行って正確な判定を下すことができるよう距離の計測速度および計測精度を高める工夫をするとともに、その具体化に際してはコストアップを抑えるべく装置規模や回路規模の増加を回避するよう更なる工夫を凝らすことが、技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の踏切障害物検知装置は、このような課題を解決するために創案されたものであり、踏切内へ空中伝搬波を照射するとともにその反射波を受信して検出対象物までの距離を計測する距離計測部と、その照射方向を水平方向に回転させるとともにその回転の方位を随時検出する回転機構部とを備えていて、前記距離計測部にて得た距離情報と前記回転機構部にて得た方位情報とに基づいて前記踏切内に障害物が在るか否かの判定を行う踏切障害物検知装置において、前記距離計測部が、以下の変調手段とビート信号抽出回路と信号処理装置とを具えていることを特徴とする。
【0025】
すなわち、前記変調手段は、前記照射波の原信号である送信信号を生成する発振回路や送信回路を制御して、ミリ波やマイクロ波などの電波・電磁波からなる前記空中伝搬波の周波数を可変調整するものであり、前記空中伝搬波の周波数を高低いずれの周波数に固定させるのも可能であり、さらに前記空中伝搬波の周波数を固定させずに掃引させるのも可能なようになっている。
また、前記ビート信号抽出回路は、前記照射波と前記反射波とに係るビート信号を抽出するものである。具体的には、前記送信信号を分割や複製した信号と、反射波の受信信号とを、ミキサ等で混合してから、ローパスフィルタ等で低周波成分のビート信号を抽出するようになっている。
【0026】
さらに、信号処理装置は、前記距離情報の算出を、2周波CW方式とFMCW方式との組み合わせにて、次のようにして行うものとなっている。
すなわち、前記変調手段にて前記空中伝搬波の周波数を高い周波数に固定させて前記ビート信号の位相を求めるとともに、前記変調手段にて前記空中伝搬波の周波数を低い周波数に固定させて前記ビート信号の位相を求めて、それらの位相差から2周波CW方式での距離を求める。
また、前記変調手段にて前記空中伝搬波の周波数を掃引させて、前記ビート信号の周波数からFMCW方式での距離を求める。
さらに、前記FMCW方式での距離と前記2周波CW方式での距離とをそれぞれ検知範囲を超えられるものと超えられないものとして組み合わせることにより、前記距離情報を算出する。
【発明の効果】
【0027】
このような本発明の踏切障害物検知装置にあっては、レーダー方式での測距を踏襲しつつも、FMCW方式と2周波CW方式との両方式で距離計測が行われ、さらに両方式の特質が生きるよう計測結果が統合される。すなわち、高精度検出が可能であるが踏切での検知範囲距離を超えられない2周波CW方式での距離と、踏切での検知範囲距離を超えられるが使用可能な占有周波数帯域の制約や一方位当たり計測時間の制約のため距離計測精度の低くなりがちなFMCW方式での距離とを適切に組み合わせることで、踏切での検知範囲距離を超えるところまで高い精度で而も規定時間内に所望回数繰り返せるほど速やかに距離計測を行うことができるようになっている。
【0028】
また、2周波CW方式の測距センサとFMCW方式の測距センサは、ビート信号抽出回路などのハードウェアがほとんど同じで良いので、2周波CW方式での測距とFMCW方式での測距を時分割で行うことにより、距離計測部のハードウェアが共用できるので、電子回路等の規模増加が抑えられて、コストアップが避けられる。具体的な改造点は、変調手段の機能拡張と、信号処理装置の演算内容の拡張とであるが、変調手段は周波数固定のものも周波数掃引のものも元々小規模な回路なので例え並置したとしても回路規模の増加は僅かなものにすぎず、信号処理装置の演算手段は大抵プログラムで具体化されるので演算内容の拡張が回路規模増大や装置規模増大を招くことはほとんどない。
したがって、この発明によれば、安価ながら踏切道上の車両も人も迅速かつ的確に検出できる踏切障害物検知装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
このような本発明の踏切障害物検知装置について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が踏切障害物検知装置を含む踏切の斜視図、(b)が距離計測部のブロック図である。また、図2は、距離計測のための信号処理手順を示すフローチャートである。なお、それらの図示に際し従来と同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
【0030】
この踏切障害物検知装置は(図1参照)、既述した回転機構部40(図4参照)が高速回転可能な回転機構部70になるとともに(図1(a)参照)、やはり既述したレーダー方式の距離計測部50,60(図5,図6参照)が2周波CW方式とFMCW方式とを併用する距離計測部80になったものである(図1(b)参照)。
回転機構部70が回転機構部40と相違するのは、回転盤の駆動能力を高める等のことで、送受信部のアンテナ等の首振り速度を上げた点である。他は同じで良い。これにより、約180゜に亘る回転(揺動)、すなわち踏切内の全域に対する照射波Sの一通りの照射が、2秒以下で行われるようになっている。
【0031】
距離計測部80が2周波CW方式測距センサ50及びFMCW方式測距センサ60と相違するのは、変調器51,61が変調器81になった点と、信号処理装置58,68が信号処理装置88になった点である。
他の部分は、発振回路52や信号分配器53など送信回路を成す部分も、送信アンテナ54及び受信アンテナ55も、ミキサー56やローパスフィルタ57などビート信号抽出回路を成す部分も、既述したものと同じで良い。2周波CW方式とFMCW方式との二方式で距離計測を行うが時分割なので、ハードウェアは一セットで足りる。
【0032】
変調器81は、信号処理装置88から計測モード切替信号Mを受けて高周波発振器52への変調信号を切り替えるようになっている。具体的には、2周波CW方式での距離d2の計測を可能とするために、測距センサ50計測モード切替信号Mが2周波CWモードM1のとき、送信信号sや照射波Sの周波数fを低い周波数f1に固定させて、送信回路で送信信号s1を生成させるとともに、送信アンテナ54から照射波S1を出射させるようになっている。また、計測モード切替信号Mが2周波CWモードM2のときには、送信信号sや照射波Sの周波数fを高い周波数f2に固定させて、送信回路で送信信号s2を生成させるとともに、送信アンテナ54から照射波S2を出射させるようになっている。
【0033】
さらに、変調器81は、計測モード切替信号MがFMCWモードM3のときには、送信信号sや照射波Sの周波数fを固定させるのでなく、その周波数f3を掃引させる。すなわち、周波数f3を周波数変調周期Tの間に周波数変調幅B=周波数掃引幅Δfだけ直線的に高くするのと、周波数f3を周波数変調周期Tの間に周波数変調幅B=周波数掃引幅Δfだけ直線的に低くするのを、交互に繰り返すようになっている。これにより、FMCW方式での距離d3を計測するときには、送信回路で周波数可変の送信信号s3を生成させるとともに、周波数掃引された照射波S3を送信アンテナ54から出射させるものとなっている。
【0034】
信号処理装置88は、A/D変換回路や,FFT演算手段,マイクロプロセッサ等の演算手段を具えており、ハードウェア面からは信号処理装置58,68と同じであるが、マイクロプロセッサ等での演算内容が信号処理装置58,68と異なっている。すなわち(図2参照)、信号処理装置88は、時分割でハードウェアを共用しながら、2周波CW方式で測距を行って距離d2を算出するとともに(ステップST1〜ST6)、FMCW方式でも測距を行って距離d3を算出して(ステップST7〜ST9)、それらの距離d2,d3を統合して最終的には一つの距離dを算出するようになっている(ステップST10〜ST11)。なお、信号処理の具体的な手順は後の動作説明時に詳述する。
【0035】
2周波CW方式で距離d2を求めるのは、36mと短い検知範囲距離dxまでの距離dを出来るだけ正確に計測するためであり、FMCW方式で距離d3を求めるのは、これによれば検知範囲距離dxを超えて測距が行えるので、これらを組み合わせることによって、検知範囲距離dxを超えられないという2周波CW方式の弱点をカバーするためである。その理由を詳述すると、2周波CW方式での測距の場合、送信信号s1,s2それぞれの初期位相をφ1,φ2とし、時刻をtとして、送信信号は、それぞれ、
s1=sin(2・π・f1・t+φ1)
s2=sin(2・π・f2・t+φ2) で表される。
【0036】
送信信号sに対応した照射波Sが検出対象物13で反射された後、反射波Rが受信アンテナ55で受信された受信信号r1,r2は、回転機構部70から検出対象物13までの距離をd2とし、検出対象物13との相対速度により生じるドップラシフト周波数をFd1=Fd2=Fdとし、光速をcとすると、受信信号(復調波)は、それぞれ、
r1=sin(2・π・(f1+Fd)・t+φ1−4・π・f1・d2/c)
r2=sin(2・π・(f2+Fd)・t+φ2−4・π・f2・d2/c)
となる。
【0037】
これらの受信信号r1,r2を送信信号s1,s2とミキサー56でミキシングしてからローパスフィルタ57で低周波成分のビート信号bを抽出すると、得られるビート信号b1,b2は、それぞれ、
b1=sin(2・π・Fd・t−4・π・f1・d2/c)
b2=sin(2・π・Fd・t−4・π・f2・d2/c) となる。
そこで、これらビート信号b1,b2の位相差Δφ=4・π・(f1−f2)・d2/cを求めることにより、回転機構部70から検出対象物13までの距離は、
d2=c・Δφ/(4・π・(f1−f2)) により求められる。
【0038】
位相差Δφは、受信信号r1,r2をFFT演算にて処理して得た周波数スペクトラムから、それぞれの位相φ1,φ2を抽出することで、求めることができる。
この位相差Δφの値がπラジアン即ち180゜を超えると、位相差Δφが確定できないため、検知範囲距離dxは位相差Δφがπラジアン=180゜のときの値である。
この距離計測部80の場合、既述した一般的な踏切への適用を想定しているので、検知範囲距離dxが36mとなる。また、高価な信号処理装置を用いなくても通常の信号処理で位相分解能を0.5゜にできるため、最小検出単位は10cmとなるので、2周波CW方式の距離計測部80は、要求される距離分解能を満足するものとなっている。なお、検出対象物が相対移動していることの必要な2周波CW方式で静止物体を測定するために送信アンテナ54等を前後方向すなわち照射方向に数mm程度の微小振動させる振動機構は、例えば送信アンテナ54等と一体化して距離計測部80に設けられていても良く、送信アンテナ54等から分離して走査機構部70に設けられていても良い。
【0039】
図6(b)を参照しながら既述したように、2周波CW方式では、検知範囲距離dx以内に検出対象物13があれば精密な距離を検出できる。しかし、2周波CW方式だけでは、検知範囲距離dxの外側に検出対象物13がある場合には、位相差Δφがπラジアンを超えてπ+αラジアン(180゜+β゜)になるが、これはそれよりπラジアン(180゜)だけ少ないαラジアン(β゜)として求まるため、距離d2は実際の距離より近くに誤検出されることとなる。
そこで、最小検出単位(距離分解能)が2mと悪いが、そのような不都合な特性のないFMCW方式を組み合わせることで、誤検出を防止するようになっている。
【0040】
つまり、2周波CW方式で検出対象物13の詳細な位置を検知し、それが検知範囲内にあるか否かをFMCW方式で検出するのである。これにより、距離計測部80は、自動車の頭部等が遮断桿より踏切内へ入り込んでいるような場合は「障害物あり」と判定し、そうでない場合は「障害物なし」と判定するのを、的確に行うことができる。
FMCW方式での測距では、送信信号s3の周波数f3が周波数変調周期Tで交互に周波数変調幅Bの上昇掃引と下降掃引とを行ったとき、受信信号r3の周波数スペクトラムから上昇掃引時のビート周波数fuと下降掃引時のビート周波数fdとを求めて、
d3=(c・T/4・B)・(fu−fd)
の演算を行うことにより、検知範囲距離dxを超えられる距離d3が得られる。
【0041】
この実施形態の踏切障害物検知装置70+80について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図1(a)は、踏切障害物検知装置70+80の踏切への設置状態と距離計測部80の動作概要を示す斜視図であり、図2は、距離計測時の信号処理手順を示すフローチャートであり、図3は、距離計測時の各信号の波形例である。
以下、踏切への装置設置と、踏切遮断時の一連動作と、その中の距離測定動作とを、順に説明する。
【0042】
踏切障害物検知装置70+80は(図1参照)、軌道内で踏切道10の全域を見渡せるところに全部を設置しても良いが、大抵は、軌道内の構築物が少なくなるよう、回転機構部70は軌道内に設置するが、軌道外でも良い部分は、軌道脇の器具箱12に格納されて、給電や信号伝送用のケーブルで回転機構部70と接続される。距離計測部80のうち送信アンテナ54と受信アンテナ55は回転機構部70に装備され、信号処理装置88は器具箱12に格納され、他の回路部分は適宜いずれかに納められる。
また、回転機構部70の動作確認と方位更正、及び距離計測部80の動作確認と距離更正のため、踏切の要所たとえば四隅それぞれに、反射板41が立設される。
【0043】
列車が踏切に近づくと、踏切保安装置によって警報音が発せられるとともに、踏切障害物検知装置70+80に作動開始の指令が下される。それから4秒ほど経過すると、踏切保安装置によって遮断桿11が降ろされ、踏切道10が遮断される。
この4秒間に、踏切障害物検知装置70+80は、踏切に対する一通りの伝搬波照射および距離計測を2回行う。すなわち、距離計測部80による4゜毎の距離計測を伴いながら、回転機構部70による180゜の首振りを、往復分、行う。
【0044】
この段階では、障害物の有無判定は行わず、反射板41に係る計測距離および計測方位を既知の値と比較して、距離および方位の更正を行う(特許文献1参照)。具体的には、距離や方位の算出に用いる補正用の演算パラメータ等を微調整する。更正は。反射板41が検出できたときだけ行い、反射板41の検出が通行人等で妨げられたときには行わない。この踏切障害物検知装置70+80にあっては、更正のための照射及び計測が動作開始の度に而もそれぞれ複数回行われるので、反射板41の検出が通行人等で妨げられ易い状況下であっても、更正が高頻度で行われる。
【0045】
その後、すなわち遮断桿11の降りた後は、2秒毎に繰り返して、踏切障害物検知装置70+80による踏切に対する一通りの伝搬波照射および距離計測が行われる。各照射の度に、回転機構部70による180゜の首振りが方位検出を伴って行われるとともに、距離計測部80による4゜毎の測距が45回行われ、さらに、距離計測部80にて得た距離情報と回転機構部70にて得た方位情報とに基づいて踏切内に障害物が在るか否かの判定が行われる。この判定は、45個の距離データの列なりをトレースして検出対象物13の形状や大きさを把握し、それに基づいて検出対象物13が自動車であるとか人間であるとか判断するといったことで、判定確度を上げることができる(特許文献1参照)。
【0046】
そして、その一部でも踏切道10上で遮断桿11の間に入っていれば踏切内に障害物が在ると判定されるが、その判定が最終的に確定するには6秒継続の条件が課されており、6秒あれば、本発明の踏切障害物検知装置70+80では、3回ほど回転と判定が行える。そこで、判定確度の向上とともに障害物の検出漏れをできるだけ少なくするために、この踏切障害物検知装置70+80には多数決が採用されており、3回の判定のうち2回以上で障害物が在ると判断されたときに、その旨の最終的な判定が下されて、警報音が発せられる。これに対し、障害物の検出が3回のうち1回以下しかないときは、速やかに走り去るものや、風に舞っている大きな紙などを検出した可能性が高いので、最終的には障害物でないと判定される。
【0047】
最後に(図2,図3参照)、回転機構部70から検出対象物13までの距離dの計測について説明する。一回当たりの計測時間は44msであり、その間に、時分割で順次、2周波CW方式で測距を行って距離d2を算出すること(ステップST1〜ST6)と、FMCW方式で測距を行って距離d3を算出すること(ステップST7〜ST9)と、それらの距離d2,d3をそれぞれ検知範囲を超えられないものと超えられるものとして統合して最終的な距離dを算出すること(ステップST10〜ST11)が、行われる。
【0048】
詳述すると、先ず、信号処理装置88が変調器81への計測モード切替信号Mを2周波CWモードM1にする(図2ステップST1)。すると(図3の左側の部分を参照)、これに応じて低い周波数f1例えば24.150GHzの照射波S1が送信アンテナ54から踏切内へ出射され、ほぼ同じ周波数の反射波R1が受信アンテナ55にて受信されて、それらのビート信号b1がビート信号抽出回路56+57によって抽出される。このビート信号b1が、44msのうち最初の14msの間、信号処理装置88に取り込まれて、データ蓄積される。そのときの信号サンプリングタイムTsは例えば10μsである。そして、その後、蓄積データにFFT演算の処理が施され、FFT処理後の周波数スペクトラムから反射波R1の固定位相φ1が求められる(図2ステップST2)。
【0049】
次に、信号処理装置88が変調器81への計測モード切替信号Mを2周波CWモードM2にする(図2ステップST3)。すると(図3の中央部分を参照)、これに応じて高い周波数f2例えば24.152GHzの照射波S2が送信アンテナ54から踏切内へ出射され、ほぼ同じ周波数の反射波R2が受信アンテナ55にて受信されて、それらのビート信号b2がビート信号抽出回路56+57によって抽出される。このビート信号b2が、44msのうち14ms経過後の14msの間、信号処理装置88に取り込まれて、やはりデータ蓄積される。その後、その蓄積データにFFT演算の処理が施され、FFT処理後の周波数スペクトラムから反射波R2の固定位相φ2が求められる(図2ステップST4)。
【0050】
これらの位相φ1,φ2が揃ったら、信号処理装置88によって、2周波CW方式測距での距離d2が求められる。具体的には、位相差Δφ=(φ1−φ2)が算出され(図2ステップST5)、さらに、距離d2=c・Δφ/(4π(f1−f2))が算出される(図2ステップST6)。
それから、一回当たり計測時間の44msのうち最後の16msで、FMCW方式測距での距離d3も求められる。
【0051】
すなわち、信号処理装置88が変調器81への計測モード切替信号MをFMCWモードM3にする(図2ステップST7)。すると(図3の右側の部分を参照)、これに応じて照射波S3の周波数f3が掃引される。その掃引は、周波数については例えば24.100GHz〜24.176GHzの間で行われて、周波数変調幅B=周波数掃引幅Δfが76MHzとなり、16msの間に上がり下がりを2回くりかえすので、周波数変調周期T=取込時間Tinは4msとなる。
【0052】
そして、各4ms毎に、照射波S3と反射波R3とに係るビート信号b3が信号処理装置88に取り込まれてデータ蓄積され、その蓄積データにFFT演算の処理が施され、FFT処理後の周波数スペクトラムからビート周波数fu,fdが求められる(図2ステップST8)。ビート周波数fu,fdは二個ずつ得られるので、二個とも正常範囲なら平均化等にて纏められ、そうでなければ何れかが採択される。
一組のビート周波数fu,fdが揃ったら、信号処理装置88によって、d3=(c・T/4・B)・(fu−fd)の算出が行われて、FMCW方式測距での距離d3が得られる。
【0053】
以上で、2周波CW方式での距離d2とFMCW方式での距離d3とが揃ったので、最後に、最終的な距離dへの統合演算が行われる。統合の仕方は色々あるが、算術演算で遂行できる簡便なものを一つ挙げると、検知範囲距離dxで距離d2,d3を整数化する手法がある。具体的には、四捨五入して整数化するInt関数を二度用いてInt(d3/dx)−Int(d2/dx)を演算することで整数値dnを算出し(図2ステップST10)、さらに d2+(dn・dx)の演算を行って距離dを算出する(図2ステップST11)。こうして、最終的な距離dが得られる。これは、検知範囲距離dxを超えられないが精密な2周波CW方式での精度(距離分解能)で、FMCW方式で可能なところまで即ち検知範囲距離dxを超えるところまで、計測したものとなる。
【0054】
[その他]
上記の数値は、何れも一例であり、実用に際し応用目的や規制解除等に応じて適宜変更されるものである。
また、空中伝搬波としては、ミリ波や,マイクロ波,レーダ周波数帯の電波などが適している。
さらに、上記の実施形態では、送信アンテナ54と受信アンテナ55とが別体になっているが、それらが一体となっている送受信共用アンテナを用いた送受信部が公知であり、本発明の実施に際してそれを採用することも可能である。
【0055】
また、2周波CW方式での距離d2とFMCW方式での距離d3との組み合わせ方としては、上述した手法の他に、例えば、FMCW方式の測距精度が±2mで、2周波CW方式の測距精度が±10cmであるとしたとき、d3≧dx+2ならばd3+d2をdとし、dx−2≦d3<dx2であって2−d2≧0ならばd2+d3をdとし、dx−2≦d3<dx2であって2−d2<0ならばd2をdとし、d3<dx+2ならばd2をdとすることにより、距離dを求める手法などが挙げられる。これによっても、2周波CW方式の測距精度を保ちながら2周波CW方式の検知範囲距離dxを超える計測を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態について、踏切障害物検知装置の構造を示し、(a)が踏切障害物検知装置およびそれを設置した踏切の斜視図、(b)が距離計測部のブロック図である。
【図2】距離計測のための信号処理手順を示すフローチャートである。
【図3】距離計測時の各信号の波形例である。
【図4】従来の踏切障害物検知装置について、(a)が踏切障害物検知装置およびそれを設置した踏切の斜視図、(b)が踏切障害物検知装置の動作状態を示す斜視図である。
【図5】(a)が一般的な2周波CW方式測距センサのブロック図、(b)がそれを用いた距離計測状態の説明図である。
【図6】(a)が一般的なFMCW方式測距センサのブロック図、(b)がそれを用いた距離計測状態の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
10…踏切道、11…遮断桿、12…器具箱、13…検出対象物、14…虚像、
40…回転機構部(踏切障害物検知装置)、41…反射板、
50…2周波CW方式測距センサ(踏切障害物検知装置)、
51…変調器、52…高周波発振器、53…信号分配器、54…送信アンテナ、
55…受信アンテナ、56…ミキサー、57…ローパスフィルタ、58…信号処理装置、
60…FMCW方式測距センサ、61…変調器、68…信号処理装置、
70…回転機構部(踏切障害物検知装置)、
80…距離計測部(踏切障害物検知装置)、81…変調器、88…信号処理装置、
M…計測モード、f…周波数、s…送信信号、S…照射波、
R…反射波、r…受信信号、b…ビート信号、φ…位相、d…距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏切内へ空中伝搬波を照射するとともにその反射波を受信して検出対象物までの距離を計測する距離計測部と、その照射方向を水平方向に回転させるとともにその回転の方位を随時検出する回転機構部とを備えていて、前記距離計測部にて得た距離情報と前記回転機構部にて得た方位情報とに基づいて前記踏切内に障害物が在るか否かの判定を行う踏切障害物検知装置において、前記距離計測部が、前記空中伝搬波の周波数を高低いずれの周波数に固定させるのも固定させずに掃引させるのも可能な変調手段と、前記照射波と前記反射波とに係るビート信号を抽出するビート信号抽出回路と、前記変調手段にて前記空中伝搬波の周波数を高い周波数に固定させて前記ビート信号の位相を求め且つ前記変調手段にて前記空中伝搬波の周波数を低い周波数に固定させて前記ビート信号の位相を求めてそれらの位相差から2周波CW方式での距離を求めるとともに前記変調手段にて前記空中伝搬波の周波数を掃引させて前記ビート信号の周波数からFMCW方式での距離を求めて更に前記FMCW方式での距離と前記2周波CW方式での距離とをそれぞれ検知範囲を超えられるものと超えられないものとして組み合わせることにより前記距離情報を算出する信号処理装置とを具えたものであることを特徴とする踏切障害物検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−7818(P2006−7818A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183926(P2004−183926)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000207470)大同信号株式会社 (83)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】