説明

身体的能力のモニタリングおよびモニタ

ヒトまたは動物の被検体における、無酸素性作業閾値および/または酸素消費速度を判定するための方法およびシステムを開示する。該方法は、被検体の組織を照射放射線に暴露させるステップと、組織から放出される放射線を収集するステップであって、前記放射線は、組織から反射または伝達された照射放射線の一部分を含む、ステップと、組織のスペクトルを形成するように放出される放射線を処理するステップと、組織のスペクトルに基づいて、被検体の無酸素性作業閾値および/または酸素消費速度を判定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、35U.S.C.§119(e)のもとで2007年7月13日に出願された仮出願第60/949,789号に対する優先権を主張し、上記仮出願は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(政府援助研究に対する陳述)
本開示は、米国国立宇宙生医学研究所(National Space Biomedical Research Institute)認可番号SM0001の下で政府支援によって作成された。政府は、本開示において一定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本開示は、身体的能力をモニタするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
肉体的ストレスのヒトの身体への作用は、運動中の無酸素性作業閾値および酸素消費速度を測定することによって評価することができる。例えば、プロの運動選手もプロでない運動選手も、漸次的な身体運動の期間中にこれらのパラメータを測定することによって、トレーニング計画の有効性を量的に評価することを試行することがある。効果的な競技トレーニング計画は、典型的に無酸素性作業閾値および酸素消費速度の両方を上昇させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒト組織内における酸素消費速度は、訓練を受けた技師によって複雑で高価なガス分析装置を使用して判定することができる。典型的に、これらの判定は実験室で実施される。対照的に、無酸素性作業閾値は、典型的に実地で測定されるが、複数の侵襲的測定(例えば、血液一滴を得るための典型的に手掌での採血による複数の血液回収)を伴う。その結果、無酸素性作業閾値の判定は、手間がかかり、被検体にとって不快となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本願には、例えば、運動能力および健康の度合いなどの運動能力をモニタするための、運動中の無酸素性作業閾値および酸素消費速度の非侵襲的測定のためのシステムおよび方法が記載される。酸素消費の測定は、個人の代謝速度の定量的評価を提供する。
【0007】
本願で使用される場合、「酸素消費速度」とは、(酸素消費は常に発生しているが)特に身体活動の期間中における、酸素を豊富に含んだ血液から酸素が除去される速度をいう。特に、競技種目やトレーニング活動中等の激しい身体活動の期間中、筋肉組織中の血液から酸素が消費される速度は、肉体的不活発の期間の酸素消費速度と関連して著しく上昇する可能性がある。本開示の用途のために、被検体の組織内の酸素消費速度は、酸素取り込み速度と同等である。科学文献において、酸素消費速度という用語のほうがより一般的に使用され、本開示の全体にわたって使用されるが、本願に記載される場合、「酸素取り込み速度」という用語が酸素消費速度と同義語であることを理解されたい。
【0008】
さらに、本願で使用される場合、「無酸素性作業閾値」とは、漸次的に増加するワーク(例えば、漸次的に増加する身体運動)によって、被検体の血中乳酸濃度の変化の速度が上昇する酸素消費速度(または運動強度に関連する別の数量)をいう。言い換えると、無酸素性作業閾値まで運動強度の増加を受ける被検体について、被検体の血中乳酸濃度は、ほぼ時間的に一定の速度で上昇する。いったん被検体の無酸素性作業閾値に達すると、被検体の血中乳酸濃度は、(おそらく、やはり一定の速度ではあるが)急激に速い速度で上昇し始める。生理学的に、無酸素性作業閾値は、組織内の乳酸産生の速度が、乳酸が除去される速度を上回る時点に対応し、および/またはCO産生の速度において著しい上昇がある。
【0009】
能力モニタは、反射率および/またはpH、血中ヘマトクリット、および組織の酸素飽和度等の生理学的パラメータを定量的に測定するための吸光計測によって、組織の近赤外線スペクトル(例えば、ヒトの被検体または動物の被検体)をモニタする。これらのパラメータのうちの1つ以上から、無酸素性作業閾値が測定される。これらのパラメータおよび心拍数および動脈血酸素飽和度の計測を使用することにより、酸素消費速度が測定されることができる。本願に記載のシステムおよび方法を使用することにより、無酸素性作業閾値は、複数の侵襲的測定(例えば、連続的な血液回収)を実施することなく、および最大限の運動計画を完了することを被検体に促すことなく、測定されることができる。それゆえ、メタボリックカートおよび/または高度なガス分析装置および訓練を受けた技師の援助を必要とせずに、酸素消費速度が測定されることができる。
【0010】
本願に記載の能力モニタは、ヒトの患者またはウマやイヌ等の動物等の被検体に取り付けるように構成される携帯型モニタとして実装されることができる。例えば、無酸素性作業閾値および酸素消費速度の一方または両方を判定するための携帯型モニタは、調節可能な(例えば、伸縮する)ストラップまたは粘着性パッドを介して、被検体の腕または足に直接取り付けられるように構成されることができる。あるいは、または加えて、携帯型モニタは、例えば、衣服のベルトまたはウエストバンドに取り付けられることができ、センサはモニタから延び、粘着性パッド等の取付機構を介して被検体の皮膚に取り付けられることができる。単一の能力モニタが無酸素性作業閾値および酸素消費速度の両方を測定するために使用されることができ、または、これらの数量の一方または両方を測定するために、別個の能力モニタが使用されることができる。能力モニタは、無酸素性作業閾値および酸素消費速度等の生理学的パラメータを含むデータを、ディスプレイおよび/または記憶媒体に伝送する(例えば、無線で伝送する)ことができる。加えて、能力モニタは、有線および無線ネットワークを含むネットワーク上でデータを伝送することができる。
【0011】
概して、第1の側面において、本開示は、ヒトまたは動物の被検体の無酸素性作業閾値を判定する方法を特徴とし、本方法は、被検体の組織を照射放射線に暴露させるステップと、組織から放出される放射線をであって、前記組織から反射または伝達された照射放射線の一部分を含む、放出される放射線を収集するステップと、組織のスペクトルを形成するように放出される放射線を処理するステップと、組織のスペクトルに基づいて、被検体の無酸素性作業閾値を判定するステップとを含む。
【0012】
方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0013】
本方法は、前記組織内の被分析物の複数の濃度の値に基づいて、無酸素性作業閾値を判定するステップを含むことができる。
【0014】
本方法は、組織の複数のpH値に基づいて、無酸素性作業閾値を判定するステップを含むことができ、複数のpH値のそれぞれは、組織のスペクトルを測定し、スペクトルからのpH値を測定することによって得られることができる。複数のpH値に基づく無酸素性作業閾値を判定するステップは、方程式のパラメータを判定するように複数のpH値のうちの2つ以上を数学的方程式に合わせるステップと、数学的方程式から無酸素性作業閾値を判定するステップとを含むことができる。
【0015】
複数のpH値に基づいて無酸素性作業閾値を判定するステップは、複数のpH値から組織の複数の水素イオン濃度の値を判定するステップと、方程式のパラメータを判定するように複数の水素イオン濃度の値のうちの2つ以上を数学的方程式に合わせるステップと、数学的方程式から無酸素性作業閾値を判定するステップとを含むことができる。数学的方程式は、
【0016】
【化1】

の形式であることができ、式中、xは、運動強度の尺度であり、xは、無酸素性作業閾値に対応する調整パラメータであり、yは、水素イオン濃度であり、y、y、s、およびsは、調整パラメータである。運動強度の尺度は、組織内の酸素消費速度であることができる。
【0017】
無酸素性作業閾値を判定するステップは、複数のpH値から組織の複数の水素イオン濃度の値を判定するステップと、方程式のパラメータを判定するように複数の水素イオン濃度の値のうちの2つ以上を数学的方程式に合わせるステップと、数学的方程式の一次導関数が変化する運動強度の尺度を判定するステップとを含むことができる。運動強度の尺度は、酸素消費速度であることができる。
【0018】
無酸素性作業閾値を判定するステップは、無酸素性作業閾値に対応する組織のpH値または水素イオン濃度の値を判定するステップを含むことができ、本方法は、身体運動期間中の被検体におけるpH値または水素イオン濃度の値をモニタするステップを含むことができる。
【0019】
無酸素性作業閾値を判定するステップは、無酸素性作業閾値に対応する組織のpH値または水素イオン濃度の値を判定するステップを含むことができ、本方法は、身体運動期間の前に被検体における第1のpH値または第1の水素イオン濃度の値を判定するステップと、身体運動期間の後に被検体における第2のpH値または第2の水素イオン濃度の値を判定するステップとを含むことができる。
【0020】
本方法は、無酸素性作業閾値に対応する組織のpH値または水素イオン濃度の値を判定するステップを含むことができ、被検体の無酸素性作業閾値に達成したかどうかを評価するように、身体運動期間中に被検体におけるpH値または水素イオン濃度の値を少なくとも2回さらに判定するステップをさらに含み、pH値または水素イオン濃度の値は、0.1Hz以上の周波数で判定される。
【0021】
本方法は、無酸素性作業閾値に基づいて、被検体の身体状態および被検体によって行われる運動計画の有効性の一方または両方を評価するステップをさらに含むことができる。
【0022】
本方法はまた、必要に応じて、本願に記載の任意の他の特徴または方法のステップを含むことができる。
【0023】
別の側面では、本開示は、ヒトまたは動物の被検体の酸素消費速度を判定する方法を特徴とし、本方法は、被検体の組織を照射放射線に暴露させるステップと、組織から放出される放射線であって、組織から反射または伝達された照射放射線の一部分を含む、放出される放射線を収集するステップと、組織のスペクトルを形成するように放出される放射線を処理するステップと、組織のスペクトルに基づいて、被検体の酸素消費速度を判定するステップとを含む。
【0024】
本方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0025】
酸素消費速度を判定するステップは、組織内の動脈血酸素飽和度と組織酸素飽和度との間の差を判定するステップを含むことができる。酸素消費速度を判定するステップは、被検体の心拍数に基づいて、被検体の1回拍出量を判定するステップを含むことができる。
【0026】
酸素消費速度を判定するステップは、組織内のヘモグロビン濃度を判定するステップを含むことができる。組織内のヘモグロビン濃度を判定するステップは、組織のスペクトルに基づいて、組織内のヘマトクリットレベルを判定するステップと、ヘマトクリットレベルに基づいて、組織内のヘモグロビン濃度を判定するステップとを含むことができる。
【0027】
組織内の酸素消費速度は、
【0028】
【化2】

に従って測定されることができ、式中、
【0029】
【化3】

は、組織内の酸素消費速度であり、SVは、被検体の1回拍出量であり、HRは、被検体の心拍数であり、C(a−b)は、組織内の動脈血酸素含有量と静脈血酸素含有量との間の差である。動脈血酸素含有量と静脈血酸素含有量との間の差C(a−b)は、組織内の動脈血酸素と静脈血酸素飽和度ならびに組織内のヘモグロビン濃度の値に基づいて算出されることができる。
【0030】
本方法は、組織のスペクトルに基づいて、被検体の無酸素性作業閾値を判定するステップを含むことができる。
【0031】
本方法はまた、必要に応じて、本願に記載の任意の他の特徴または方法のステップを含むことができる。
【0032】
さらなる側面では、本開示は、ヒトまたは動物の被検体の組織から放出される光を検出するように、および検出された光から組織のスペクトルを判定するように構成される、スペクトロメータと、スペクトロメータに連結され、組織のスペクトルに基づいて、被検体の酸素消費速度無酸素性作業閾値のうちの少なくとも1つを判定するように構成される、電子プロセッサとを含む装置を特徴とする。
【0033】
本装置の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0034】
電子プロセッサは、複数の組織のスペクトルを判定し、組織の複数のpH値を判定し、複数のpH値のうちの1つずつは、複数のスペクトルのうちの1つから得られ、複数のpH値に基づいて、無酸素性作業閾値を判定するように構成されることができる。
【0035】
スペクトロメータは、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光源から組織へ光を伝達するように構成される1つ以上の入射光ポートと、組織から検出器に光を伝達するように構成される1つ以上の受光ポートとを含み、1つ以上の入射光ポートおよび1つ以上の受光ポートは、被検体の身体の一部分に取り付けるための取付機構を含む筐体に封入される。
【0036】
少なくとも1つの光源は、複数の発光ダイオードを含むことができる。少なくとも1つの光源は、50nm以上のスペクトルバンド幅の半値全幅を有することができる。
【0037】
1つ以上の受光ポートは、1つの受光ポートを含むことができる。1つ以上の入射光ポートは、受光ポートから第1の距離に位置付けられる第1の光ポートと、受光ポートから第1の距離よりも短い第2の距離に位置付けられる第2の光ポートとを含むことができる。電子プロセッサは、第1の光ポートからの光に由来するスペクトルデータを、第2の光ポートからの光に由来するスペクトルデータで補正するように構成されることができる。第1の光ポートからの光に由来するスペクトルデータは、組織および組織を覆う1つ以上の層に関する情報を含むことができる。第2の光ポートからの光に由来するスペクトルデータは、1つ以上の覆っている層に関する情報を含むことができる。
【0038】
本装置は、電子プロセッサと電気通信している通信インターフェースを含むことができ、この通信インターフェースは、電子プロセッサからの信号を、通信リンクおよびネットワークのうちの少なくとも1つの上でデバイスに伝送する(例えば、無線で伝送する)ように構成される。ネットワークは、無線ネットワーク(例えば、携帯電話ネットワーク)であることができる。ネットワークは、インターネットであることができる。通信リンクは、無線通信リンクであることができる。デバイスは、コンピュータ、携帯用コンピュータデバイス、携帯電話、および表示デバイスのうちの少なくとも1つであることができる。
【0039】
信号は、被検体に関する情報を含むことができ、デバイスは、被検体に関する情報をモニタするように構成されるコンピュータデバイスであることができる。
【0040】
電子プロセッサは、被検体の1回拍出量、被検体の心拍数、被検体におけるヘモグロビン濃度、および被検体における動脈血と組織酸素飽和度の間の差に基づいて、酸素消費速度を測定するように構成されることができる。
【0041】
システムは、データ伝送ネットワークに接続される電子デバイスと、複数のモニタリングデバイスであって、各モニタリングデバイスは本装置に対応する、複数のモニタリングデバイスとを含むことができ、各モニタリングデバイスは、複数のヒトまたは動物の被検体のうちの1つに関する情報を、データ伝送ネットワーク上で電子デバイスに伝送するように構成され、情報は、被検体の酸素消費速度および無酸素性作業閾値のうちの少なくとも1つを含む。
【0042】
実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を含むことができる。
【0043】
本願に記載の能力モニタは携帯型であり、ゆえに実地試験環境および移動環境を含む種々の環境において利用可能である。本能力モニタは、典型的に被検者によって装着されるフェイスマスクおよびマウスピースを含み、しばしば被検者にとって不快で閉所恐怖となるメタボリックカート装置の必要を排除する。さらに、本願に記載の能力モニタは、非観血的測定を実施し、血液および/または他の体液を被検者から採取する必要を排除する。
【0044】
加えて、本願に記載の能力モニタは、被検者における酸素消費速度を評価するための代替的な設備よりも簡素であり、安価である。本能力モニタは、高度な訓練を受けた技師を必要とせずに、現地での表示および遠隔モニタリングの両方にリアルタイムの結果を提供する。
【0045】
別途定義されない限り、本願で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本願に記載のものと類似または等価の方法および材料は、本開示の実施または試験において使用されることができるが、適した方法および材料は下記に記載されている。本願に記述されるすべての刊行物、特許文献、特許、および他の参照は、参照によってその全体として組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本願明細書が支配するものとする。加えて、材料、方法、および実施例は説明のみを目的とし、限定を意図するものではない。
【0046】
1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明において記述される。他の特徴および利点は、説明、図面、および請求項により明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、能力モニタの実施形態の概略図である。
【図2】図2は、能力モニタの実施形態の概略図である。
【図3A】図3Aは、能力モニタの実施形態を示す写真である。
【図3B】図3Bは、モニタ筐体内に位置づけられたプロセッサおよびディスプレイとともに、能力モニタの内部を示す写真である。
【図4A】図4Aは、ネットワークを介してデバイスに接続する能力モニタの概略図である。
【図4B】図4Bは、ネットワークを介してデバイスに接続する複数の能力モニタの概略図である。
【図5】図5は、被検者に対する運動強度の関数としての、乳酸濃度および水素イオン濃度の図表である。
【図6】図6は、近赤外分光法および標準的な機器によって、第1の被検者に対する時間の関数として測定される酸素消費速度の図表である。
【図7】図7は、近赤外分光法および標準的な機器によって、第2の被検者に対する時間の関数として測定される酸素消費速度の図表である。
【図8】図8は、運動強度の関数としての、1回拍出量の図表である。
【図9】図9は、被検者の無酸素性作業閾値を示す乳酸濃度の図表である。
【図10】図10は、被検者の無酸素性作業閾値を示す水素イオン濃度の図表である。
【図11】図11は、被検者の無酸素性作業閾値を示す二酸化酸素産生速度の図表である。
【図12】図12は、乳酸濃度および水素イオン濃度から判定される、9人の被検者の無酸素性作業閾値を示す図表である。
【図13】図13は、水素イオン濃度および二酸化炭素産生速度から判定される、10人の被検者の無酸素性作業閾値を示す図表である。
【図14】図14は、能力モニタの外観図である。
【図15】図15は、3人の被験者の心拍数の関数としての、推定の1回拍出量の図表である。
【図16】図16は、時間の関数として、全身測定および近赤外線スペクトル測定から判定される、女性の被検者の絶対酸素消費速度の図表である。
【図17】図17は、時間の関数として、全身測定および近赤外線スペクトル測定から判定される、男性の被検者の絶対酸素消費速度の図表である。
【図18】図18は、全身測定からおよび近赤外線スペクトル測定から判定される、酸素消費速度間の相関関係を示す図表である。
【0048】
種々の図面において、同じ参照記号は、同じ要素であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
(詳細な説明)
種々のパラメータを判定するために、組織に赤外線反射率および/または吸光測定が実施されることができ、これは、ヒトの患者等の被検体の全般的な生理学的状態を評価するために使用されることができる。かかる測定を実施するために適した分光計システムは、例えば、Babs R.Sollerらによる2005年4月25日出願の米国特許出願第7,245,373号”Spectrometer System for Optical Reflectance Measurements”に開示され、その全体の内容は参照によって本願に援用される。概して、赤外線反射率および/または吸光測定は、生体(例えば、ヒトおよび/または動物の被検体)の組織に対して実施されることができる。
【0050】
図1は、組織サンプル102から反射率および/または吸光測定を実施するための、携帯用能力モニタ100の実施形態を示す。モニタ100は、光源104、供給源104用の電源106、光学ベンチ108、シャッタシステム110、シャッタシステムドライバ112、分光器114、光ファイバケーブル116a〜116c、プロセッサ118、および取付機構119を含む。モニタ100はまた、プロセッサ118と電気通信している複数の補助接続ポート120、122、124、および126を含む。4つの接続ポートが図1において概略的に示される。モニタ100の実施形態は、概して、任意の数の補助接続ポートを有することができる。補助接続ポートは、他のセンサおよび/または計器のプロセッサ118への接続を可能にする。プロセッサ118は、補助接続ポートに接続するセンサおよび/または計器からデータを受信するように構成されることができ、また、プロセッサ118は、補助接続ポートを介してセンサおよび/または計器に信号を伝送することができる。
【0051】
光源104からの光は、光学ベンチ108内の光学素子によって操作され、代替的に遮断されてシャッタシステム110を通ることが可能となる。光源104からの光がシャッタシステム110を通過する際、光は光ファイバケーブル116aおよび/または116bを介して、ケーブル116a、116b、および116cをサンプル102に固定し、ケーブル116aおよび/または116bによって誘導される光が、1つ以上の入射光ポート(図示せず)を介してサンプル102に入射することが可能となるように構成される取付機構119に誘導される。入射光ポートは、ケーブル116aおよび/または116bから結合された光がサンプル102に到達するように通る開口を提供する。
【0052】
サンプル102から反射および/または透過された光は、1つ以上の受光ポートを介して光ファイバケーブル116cに結合し、分光器114に誘導される。いくつかの実施形態では、分光器114はまた、別の光ファイバケーブル(図1に図示せず)を介して、供給源104(例えば、サンプル102に入射していない光)から光を直接受信することができる。プロセッサ118によって制御される分光器114は、サンプル102から反射された、および/または吸収された光のスペクトルを判定する。
【0053】
一部の実施形態では、能力モニタ100の要素は一体化される。例えば、いくつかの実施形態では、シャッタシステム110および/またはシャッタシステムドライバ112は、光学ベンチ108の一部であることができる。別の実施例として、いくつかの実施形態では、光源104は、光学ベンチ108の一部であることができる。
【0054】
分光器114は、光度の波長分解された測定を可能にする、任意の種類のデバイスまたはシステムであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、分光器114は、入射光線を複数の成分波長の中に空間的に分散する回折格子またはプリズム等の分散素子と、成分波長を、成分波長の強度を測定するように構成される検出器(例えば、CCDデバイス、フォトダイオード、光電子倍増管、または別のそのようなデバイス)に導くための1つ以上の光学素子とを含むことができる。一部の実施形態では、分光器114は、光帯域通過フィルタの使用を介するなどで、入射光線ビームの成分波長の強度を別の手法で測定することができる。いくつかの実施形態では、分光器114は、光度を異なる波長で測定するために、他の要素を使用することができる。
【0055】
図1に示すとおり、光ファイバケーブル116aは、光ファイバケーブル116cから光ファイバケーブル116bよりも長い距離で間隔をあけている。ケーブル116cに対するケーブル116aおよび116bの位置の適した選択により、分光器114によって測定されるスペクトルデータは、皮膚および/または脂肪層に起因する、サンプル102における問題となっているものの筋肉組織を覆うスペクトル効果を低減または除去するように補正されることができる。例えば、ケーブル116cに連結され、ケーブル116aからサンプル102に導かれる入射光線に由来する反射光線は、典型的に、覆っている皮膚および脂肪層、ならびにサンプル102におけるより深部にある問題となっている組織(例えば、筋肉組織)の両方からの貢献を含む。対照的に、ケーブル116cに連結され、ケーブル116bからサンプル102に導かれる入射光線に由来する反射光線は、典型的に皮膚および脂肪層からの貢献を(大部分は)含む。その結果、一部の実施形態では、モニタ100は、入射光線に由来するケーブル116aからのスペクトルを補正し、覆っている皮膚および脂肪層からのスペクトル貢献を低減および/または除去するために、ケーブル116aおよび116bを介して届けられる入射光線に由来する反射光線を別々に測定し、ケーブル116bからの入射光線に由来する反射光線スペクトルを使用するように構成されることができる。モニタ100はまた、異なる被検体の間の皮膚色素沈着の差異を補正するように構成されることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、能力モニタは、特に小型化およびより一層の携帯性が所望される場合、図1に示されるものよりも少ない要素を含むことができる。図2は、補助接続ポート120および122、固体光源104(例えば、光源104は、1つ以上のLED供給源を含むことができる)、光源ドライバ106、光学ベンチ128、および分光器114を持つプロセッサ118を含む、携帯用能力モニタ150の実施形態を示す。固体供給源104から発光される光は、筐体134の開口130(または複数の開口)を通ってサンプル組織102に入射する。サンプル102から反射した、および/または伝送された光は、筐体134の中の開口132(または複数の開口)を介して光学ベンチ128に入る。光学ベンチ128は、反射したおよび/または透過された光を分光器114に導く光学素子を含む。プロセッサ118によって制御される分光器114は、サンプル102からの光の反射率および/または吸光度スペクトルを判定する。
【0057】
典型的には、固体光源104は、図1に示す光源のスペクトルバンド幅に類似した、半値全幅(FWHM)スペクトルバンド幅を有する比較的帯域幅の広い光(例えば、白熱光源)を提供する。例えば、一部の実施形態では、固体供給源104のFWHMスペクトルバンド幅は、1nm以上(例えば、3nm以上、5nm以上、10nm以上、30nm以上、50nm以上、75nm以上、100以上、200nm以上、300nm以上、500nm以上、700nm以上、900nm以上)である。
【0058】
取付機構194を介して被検者の足192に搭載されたセンサ190を持つ能力モニタ170の実施形態を図3Aに示す。センサ190は、足192に光を届け、足192から反射光線を収集するように構成される光ファイバケーブルを含む。図3Aのモニタ170は、ラップトップコンピュータ196を介して通信インターフェースに接続される。反射率および/または吸光度スペクトルを含むモニタからのデータは、通信インターフェースを介してコンピュータに伝送されることができる。図3Aに示す実施形態では、能力モニタ170は、電子プロセッサを含まず、スペクトルデータから種々のパラメータの値を判定するステップを含む処理機能は、代わりにコンピュータ196によって実施される。概して、能力モニタは、その筐体内に電子プロセッサを含んでも含まなくてもよく、モニタがその筐体内に電子プロセッサを含まない場合、モニタは、典型的に、デスクトップコンピュータ、携帯用コンピュータ、および/または携帯電話等の外部コンピュータデバイス内の電子プロセッサへの接続(例えば、通信インターフェースを介する)を含む。外部デバイスは、本願に記載の処理機能のいくつかまたはすべてを実施することができ、例えば、種々のパラメータの値を表示するためのディスプレイインターフェースを含むことができる。
【0059】
図3Bは、図3Aにおいて示されるものと類似の能力モニタの内部を示すが、モニタ筐体内に電子プロセッサおよびディスプレイを含む。図3Bに示されるモニタは、大きさ8インチx9インチx6インチ、重量8ポンドであるが、他の寸法および重量も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、能力モニタの最大寸法は、6インチ以下(例えば、5.5インチ以下、5インチ以下、4.5インチ以下、4インチ以下、3インチ以下、2インチ以下、1インチ以下、0.5インチ以下、0.25インチ以下)である。筐体によって封入される光ファイバケーブルおよび光ポートを含むモニタの一部分は、粘着性パッド等の取付機構を使用して被検者の腕に固定される。スナップ接続は、粘着性パッドと筐体とを係合する。一部の実施形態では、ストラップ(図3Bに図示せず)等の他の取付機構が使用されることができる。
【0060】
ディスプレイおよび電子プロセッサに加えて、図3Bのモニタは、記憶媒体、光学ベンチ、電力制御機器、光源およびドライバ、および分光器を含む。いくつかの実施形態では、モニタはまた、実地利用のためのバッテリを含むことができる。このサイズおよび重量のモニタは、例えば、実験室およびトレーニングセンターにおける利用とともに、実地用途でも使用することができる。調査を受ける被検体は、典型的に運動を(例えば、エアロバイクまたはトレッドミル)行う。携帯型および他の使用には、例えば図3Aおよび図3Bに示すモニタのうちの1つの小型版がベルト上に装着されることができる。かかるモニタは、例えば、比較的側方のFWHMスペクトルバンド幅を持つ光を提供する固体光源を含むことができる。固体供給源は、センサに直接位置づけられることができる(例えば、被検体の身体に取り付けられた筐体内に位置づけられる)。小型モニタは、バッテリを介して電力を供給されることができる。
【0061】
図14は、能力モニタの別の実施形態の外観を示す。モニタ180は、比較的硬質の材料(例えば、プラスチック)で形成される筐体183を含む。通信ポート181(例えば、USBポート)は、モニタ180からのデータを1つ以上の外部デバイスに伝送するように、および/または1つ以上の外部デバイスからデータを受信するように構成される。電源コネクタ182は、電源(例えば、AC電源および/またはバッテリ等のDC電源)を接続するために使用される。モニタ180はまた、モニタ180がポート182を通じて電源に接続されることなく動作するように、バッテリを格納するように構成される別個のコンパートメントを筐体183内に含むことができる。
【0062】
筐体183上には、ストラップ等の留め具を収容するように構成されるコネクタ184が位置づけられ、これはモニタ180を被検体に固定するために(例えば、被検体の足または腕に)使用されることができる。留め具は、モニタ180を被検体から繰り返し取り付けたり取り外したりすることを可能にする、ベルクロ(Velcro(R))テープ等の繰り返し留めることができる留具を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、能力モニタは、他の電子デバイスと通信するための通信インターフェースを含むことができる。通信インターフェース202を持つ能力モニタ200図4Aに示す。モニタ200は、ネットワーク204を介してデバイス210と通信する。一部の実施形態では、例えば、デバイス210は、コンピュータ(例えば、デスクトップまたはノートパソコン、または携帯用コンピュータ)であることができる。いくつかの実施形態では、デバイス210は、携帯電話、またはディスプレイデバイスおよび/または記憶デバイス等の別の電子デバイスであることができる。デバイス210が携帯電話である場合、デバイス210は、コンピュータ等のネットワーク204を介して第2のデバイス(図示せず)と通信することができ、モニタ200から第2のデバイスにデータを伝送する伝送デバイスとしての役割を果たすことができる。概して、モニタ200は、インターフェース202を介して1つ以上のデバイス210と通信することができる。
【0064】
ネットワーク204は、概して、電子デバイス間の信号の交換を支援する任意のネットワークであることができる。いくつかの実施形態では、例えば、ネットワーク204は、モニタ200とデバイス210とを接続するケーブル(例えば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、または他のケーブル)を含む。一部の実施形態では、ネットワーク204は、携帯電話ネットワーク等の無線ネットワークか、またはインターネットである。モニタ200は、モニタ200とデバイス210との間でデータの交換が許可されるより前に、自身をネットワーク204上で認証をするように構成されることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、複数のモニタは、ネットワークを介して1つ以上の電子デバイスに接続されることができる。図4Bは、それぞれが通信インターフェース202を有する複数のモニタ200を示す。各モニタは、ネットワーク204を介してデバイス210に接続され、デバイス210とデータ(例えば、モニタ200および/または制御命令によって測定されるデータ)を交換することができる。
【0066】
分光器114によって判定される反射率および/または吸光度スペクトルは、サンプル組織102に対応する種々の生理学的パラメータを判定するように、プロセッサ118によって処理されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、スペクトルから測定されることができる生理学的パラメータには、任意の1つ以上の組織pH(水素イオン濃度が由来する)、組織酸素飽和度、血中ヘマトクリット、血中ヘモグロビン濃度、組織の酸素分圧、および水分率を含むことができる。これらのパラメータのそれぞれを判定するためのシステムおよび方法は、例えば、次の米国特許および特許出願、1995年11月8日出願のBabs R.Sollerらの米国特許出願第5,813,403号”Optical Measurement of Tissue pH”、1998年2月4日出願のBabs R.Sollerらの米国特許出願第6,006,119号”Non−Invasive Optical Measurement of Blood Hematocrit”、2002年10月11日出願のBabs R.Sollerの米国特許出願第6,766,188号”Tissue Oxygen Measurement System”、およびOlusola O.Soyemiらの2007年5月30日出願の米国特許出願公開第US 2008/0097173号”Measuring Tissue Oxygenation”に開示され、参照によってその全体として本願に組み込まれる。
【0067】
いくつかの実施形態では、判定されたスペクトルは、生理学的パラメータを判定する前に補正されることができる。例えば、一部の実施形態では、組織のスペクトルは、筋肉組織を覆っている皮膚および/または脂肪層(例えば、スペクトロメータシステムと筋肉組織との間に位置する皮膚および/または脂肪)による光の散乱および/または吸収効果を低減するように補正されることができる。スペクトルを補正するためのシステムおよび方法は、例えば、2006年4月25日出願、米国公開第US 2007/0038041号に公開される、Ye Yangらの米国特許出願第11/411,538号”System and Methods for Correcting Optical Reflectance Measurements”に開示され、その全体の内容は、参照によって本願に援用される。
【0068】
反射率および/または吸光測定から判定される生理学的パラメータが、他の生理学的に重要な数量を判定するために使用されることができる。特に、本願に記載の能力モニタによって測定されるパラメータは、ヒトの患者等の被検体における無酸素性作業閾値および酸素消費速度を判定するために使用されることができる。
【0069】
無酸素性作業閾値および水素イオン濃度は、運動期間中の血中乳酸の産生が組織内の局所pHに比例して変化するため、組織に関係する。その結果、無酸素性作業閾値を判定するために使用されうる被検体のサンプル組織内の乳酸濃度は、組織内の水素イオン濃度を測定することによってモニタされることができる。水素イオン濃度は、水素イオン濃度[H]が[H]=10−pHとして数学的にpHに関係する組織内のpH測定から直接測定されることができる。組織pHは、上述のとおり、近赤外分光分析および/または吸光測定から測定されることができる。その結果、携帯用の本願に記載の能力モニタは、組織に実施される近赤外線測定から被検体の組織における血中乳酸濃度をモニタするために使用されることができる。
【0070】
ここで、代謝速度は、被検体による酸素消費速度の測定に基づいて評価される。組織の酸素消費速度
【0071】
【化4】

は、
【0072】
【化5】

として算出されることができ、式中、Qは、被検体の心拍出量であり、Cは、数値定数または数値関数であり、[Hb]は、ヘモグロビン濃度であり、SaO2およびSvO2は、組織内のヘモグロビンに結合する酸素に対応する動脈血および組織酸素飽和度の値であり、およびPaO2およびPvO2は、組織内のヘモグロビンに結合しない動脈血および組織の酸素の分圧である。典型的には、Cは1.34の定値を有し、これは組織中のヘモグロビンの1グラム中の酸素(mL)の典型的な量に対応する。概して、しかしながら、Cは環境および測定条件により、他の値を有することができる。いくつかの実施形態では、例えば、Cは定数ですらない場合がある。すなわち、Cは種々の測定条件の関数であることができる。例えば、Cは被検体の1回拍出量における変化に従って上下する値を返す関数であることができる。心拍出量Qは、1回拍出量(SV)および心拍数(HR)の産生に等しい。典型的には、化学式(1)中の第2のタームは、第1のタームと比較して規模が小さく、無視することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、近赤外分光分析および/または吸光測定は、被検体の1回拍出量、
【0074】
【化6】

によって正規化される、
【0075】
【化7】

の相対値を判定するために使用されることができる。数量
【0076】
【化8】

は、
【0077】
【化9】

(例えば、相対的な酸素消費速度に対応して)に比例し、被検体の組織における酸素消費速度の測定を提供する。数学的に、
【0078】
【化10】

は、
【0079】
【化11】

に従う近赤外線スペクトル測定に由来する定量から測定されることができ、式中、HRは、被検体の心拍数であり、[Hb]は、被検体の組織内のヘモグロビン濃度であり、Sao2は、動脈血酸素飽和度であり、SvO2は、組織酸素飽和度である。化学式(2)中の数量は、
【0080】
【化12】

が分光測定から直接測定されることができるように、直接測定されることができるか、近赤外分光分析および/または吸光測定および標準的なパルス酸素濃度測定を含む種々の測定に由来する。
【0081】
例えば、心拍数(HR)および動脈血酸素飽和度(SaO2)は、標準的なパルス酸素濃度測定を使用して測定されることができる。これらの測定は、本願に記載の能力モニタ上の補助ポートのうちの1つに接続する、別個の市販の指、額、または耳パルス酸素濃度計センサ(例えば、カリフォルニア州プレザントンのNellcor社から入手可能なNellcor OxyMaxTM Fast Forehead Sensorおよびパルス酸素濃度計システム)を使用して得ることができる。補助ポート120を通じてプロセッサ118に接続するパルス酸素濃度計センサ160を、図1および図2に概略的に示す。あるいは、または加えて、本願に記載の能力モニタは、パルス酸素濃度を用いたHRおよびSaO2の測定を収集された近赤外線スペクトルから直接実施するための適切なセンサおよび処理ソフトウェアを含むことができる。
【0082】
ヘモグロビン濃度[Hb]は、近赤外線スペクトルから判定されるヘマトクリットレベルの3分の1として推定されることができ、本願に記載の能力モニタは、上述のとおり、ヘマトクリットレベルを直接測定するように構成される。あるいは、または加えて、ヘモグロビン濃度は、近赤外線スペクトル測定から直接測定されることができる。
【0083】
筋肉酸素飽和度(SmO2)は、おおよそ静脈血(例えば、組織)酸素飽和度(SvO2)に等しく、本願に記載の能力モニタは、筋肉の酸素飽和度を判定することにより、反射率および/または吸光測定から組織酸素飽和度を直接測定するように構成される。
【0084】
いくつかの実施形態では、近赤外線スペクトル測定は、被検体の組織内の絶対的(例えば、相対的でなく)酸素消費速度を直接判定するために使用されることができる。酸素消費
【0085】
【化13】

の絶対速度は、
【0086】
【化14】

に従うフィックの方程式から推定されることができ、式中、SVは、1回拍出量であり、HRは、心拍数であり、C(a−v)は、動脈血(a)と静脈血(v)との間の酸素含有量の差である。動脈血酸素含有量と静脈血酸素含有量との間の差は、
【0087】
【化15】

に従って算出されることができ、式中、[Hb]は、ヘモグロビン濃度であり、SaO2およびSvO2は、組織内のヘモグロビンに結合する酸素に対応する動脈血と静脈血(例えば、組織)酸素飽和度の値であり、PaO2およびPvO2は、組織内のヘモグロビンに結合しない酸素の分圧である。典型的には、化学式(4)中の第2のタームは、第1のタームと比較して規模が小さく、無視することができる。
【0088】
近赤外分光分析および/または吸光測定は、上記の式(3)および(4)に従う被検体の組織中の絶対酸素消費速度
【0089】
【化16】

を推定するために使用されることができる。上記の式(3)および(4)の数量のそれぞれは、
【0090】
【化17】

が分光測定から直接測定されることができるように、直接測定されるか、近赤外分光分析および/または吸光測定および標準的なパルス酸素濃度測定を含む種々の測定に由来することができる。例えば、上記に記載のとおり、心拍数(HR)および動脈血酸素飽和度(SaO2)は、標準的なパルス酸素濃度測定を使用して、別個の市販の指、額、または耳パルス酸素濃度計センサを使用して測定されることができる。あるいは、または加えて、本願に記載の能力モニタは、HRおよびSaO2測定を収集された近赤外線スペクトルデータから直接実施するための適切なセンサおよび処理ソフトウェアを含むことができる。
【0091】
やはり上記に記載のとおり、ヘモグロビン濃度[Hb]は、近赤外線スペクトルから判定されるヘマトクリットレベルの3分の1として推定されることができる。本願に記載の能力モニタは、ヘマトクリットレベルを直接測定し、ヘマトクリットレベルから[Hb]を判定するように構成されることができる。あるいは、能力モニタは、近赤外線スペクトルから直接ヘモグロビン濃度を測定するように構成されることができる。
【0092】
筋肉酸素飽和度(SmO2)は、上述のとおり、静脈血(例えば、組織)酸素飽和度(SvO2)におおよそに等しく、能力モニタは、直接判定される筋肉の酸素飽和度によって、反射率および/または吸光測定から組織酸素飽和度を測定するように構成されることができる。
【0093】
種々の異なる方法が、1回拍出量(SV)を判定するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、1回拍出量は、本願に記載の能力モニタと連動する機器を使用して、直接測定されることができる。一部の実施形態では、1回拍出量は、心拍数の測定から測定されることができる。KripらのMed.Sci.Sports Exerc. 29:1469−1476(1997)には、1回拍出量と心拍数との間に関連が存在することが記載される。本願に記載の能力モニタは、式
【0094】
【化18】

に従う心拍数(HR)に基づいて1回拍出量(SV)を測定するように構成されることができ、式中、A、BおよびDは、調整パラメータである。パラメータA、BおよびDの値は、Kripらの方法を使用して、静止心エコー図からのSV値を推定し、A、BおよびDの値を判定するための回帰分析において、推定のSV値を対応する測定HR値に合わせることにより、測定されることができる。これらのパラメータの値(および/または,一部の実施形態では、化学式(5)の形)は、異なる被検体の間の性別の違いを計算に入れるために調整されることができる。例えば、パラメータAおよびBは、それぞれ数値0.0132および27.45をとることができるが、一方、酸素消費の最大速度での1回拍出量に対応するパラメータDは、男性の被検体には0.154、女性の被検体には0.096の値をとることができる。
【0095】
無酸素性作業閾値は、本願においては概して、
【0096】
【化19】

の値、または血中乳酸に対応する乳酸濃度曲線の一次導関数が、漸次的に増加する作業(例えば、漸次的に増加する身体運動)とともに増加する、運動強度に関連する別の数量として画定される。無酸素性作業閾値を判定するために、乳酸濃度に関連する数値の測定値が、フィッティング式
【0097】
【化20】

を使用する同時双線形回帰で分析され、式中、sおよびsは、双線形フィッティング曲線の2つの線形セグメントの勾配であり、yおよびyは、双線形フィッティング曲線の2つの線形セグメントの切片であり、xは、
【0098】
【化21】

等の運動強度に関連する数値に対応し、xは、
【0099】
【化22】

の値(または運動強度に関連する別の数量)であり、y対
【0100】
【化23】

の一次導関数(または運動強度に関連する別の数量)は変化する。数量yは乳酸濃度に関連し、問題となっている組織の測定データに典型的に対応する。例えば、yは、測定された血中乳酸濃度、測定された組織内の水素イオン濃度、または肺中の二酸化酸素の産生速度に対応することができる。双線形フィッティング式の両方のセグメントに共通する値x0もまた、無酸素性作業閾値と呼ばれ、乳酸が除去される速度を組織内の乳酸産生速度が上回る時点、水素イオン濃度が上昇し始める時点、および/またはCO産生速度に著しい上昇があることを示す。典型的には、無酸素性作業閾値は、被検体が長時間(例えば数分間)維持することのできる最も高い定常運動強度を示す。
【0101】
無酸素性作業閾値はまた、数量yの値を合わせるために、上記の化学式(6)以外の式を使用して判定されることができる。概して、無酸素性作業閾値は、数量yの測定値から値xを正確に判定する、任意のフィッティングアルゴリズムを使用して測定されることができる。
【0102】
本願に記載の能力モニタは、携帯性および非侵襲性の性質により、広範囲な用途において使用されることができる。例えば、有効な計画は被検体の無酸素性作業閾値および酸素消費速度の両方を上昇させなければならないため、能力モニタは、競技トレーニング計画の効果を評価するために使用されることができる。能力モニタはまた、トレーニング計画の有効性を評価し、運動する個人の健康が損なわれていないことを確かめるために、運動する個人をモニタするために、フィットネスクラブで使用されることができる。例えば、能力モニタは、体重超過または肥満の個人のための運動プログラムを作成およびモニタすることを支援するために使用されることができる。リハビリテーション計画の効果は、上述の競技トレーニング計画と同様に、本願に記載の能力モニタによって提供される酸素消費速度および無酸素性作業閾値の測定を介して評価されることができる。また、ウマやイヌ等の競争する動物の能力がモニタされることもできる。
【0103】
加えて、能力モニタは、悪い身体状態を経験する可能性のある被検体の健康をモニタするために、制限された環境において使用されることができる。例えば、能力モニタは、難燃性のスーツを着た消防士、危険物処理用スーツを着た危険物処理作業員、生物または化学兵器が使用される戦争に対応する人員、危険な生物物質を扱う防護服を着た作業員、および激しい肉体労働を行い、標準的な健康モニタリングデバイスには容易に接近することのできない閉環境を提供するスーツを着用する他の作業員の健康をモニタするために使用されることができる。
【0104】
接近が制限された環境で作業する者のための、本願に記載の能力モニタのさらなる用途は、宇宙服を着用する宇宙飛行士のためのものである。宇宙服は、ヒトを宇宙で生存させるための、衣服、機器、および環境システムの複雑なシステムである。宇宙飛行士が月面で作業している際、例えば、この宇宙飛行士は十分な酸素、冷却水、および数時間にわたって宇宙服から二酸化炭素を除去するためのフィルタを有していなければならない。アポロの月面着陸任務において、地球上の管制センターの生理学者による代謝評価チーム(Metabolic Assessment Team)が、宇宙飛行士にその活動がスーツ内の消費可能資源にどのように影響するかについての助言を行うためにスーツのセンサから報告されるデータを分析した。この評価において最も重要なパラメータは、代謝速度(例えば、熱として産生するエネルギー量、カロリー/分)である。産生された熱1カロリーにつき、約200mLの酸素が消費される。
【0105】
典型的には、代謝速度は、酸素消費速度を測定することによって評価される。しかしながら、被検体によって装着されるマスクまたはマウスピースを使用した呼気の測定を含む、酸素消費速度を測定する標準的な方法は、正確でない場合があり、酸素を豊富に含む、密閉された宇宙服環境に耐えることができない場合がある。本願に記載の能力モニタは、宇宙服等の閉環境における使用に適応することができ、酸素消費速度の継続的な(またはほぼ継続的な)、非侵襲性の、比較的目立たないモニタおよび宇宙飛行士の代謝速度の判定を可能にする。宇宙服に使用されるモニタは、個々のセンサが故障した場合のための冗長性を提供するための、複数のセンサを含むことができる。例えば、モニタは、宇宙飛行士のそれぞれの足につけたセンサを含むことができる。モニタはまた、センサの一部として、心拍数測定を実施するための、反射率を用いたパルス酸素濃度計を含むことができる。
【0106】
本願に記載の能力モニタの別の用途は、術前評価およびリハビリテーションにおける用途である。非観血的測定は、手術の候補者が手術に耐える見込みがあるかどうかを、酸素消費速度および/または無酸素性作業閾値の測定から評価されることができる有酸素容量に基づいて判定するために使用されることができる。例えば、腹内の大手術を受ける高齢の被検体について、術後期における心肺に起因する死亡率をよく予測するものとして、無酸素性作業閾値が示されてきた。無酸素性作業閾値を測定することによる術前スクリーニングは、リスクの高い被検体の特定および周術期の管理の適切な選択を可能にするものと示されてきた。特に、報告されている1つの実験において、既知の心肺疾患を有し、腹内の大手術を予定している60才以上の548人の被検体が、無酸素性作業閾値および術前評価の一環として実施された心肺運動負荷試験(CPX)によって判定された、心エコー検査による心筋虚血の徴候に基づいて、3つの管理戦略(ICU、HDUまたは病棟)のうちの1つを割り当てられた。全体の被検体の死亡率は3.9%であり、うち死亡の43%が、無酸素性作業閾値測定に基づいて術前に発見された心肺機能の不良を原因としていた。無酸素性作業閾値測定に基づいて、手術および病棟管理に適合すると見なされたいかなる被検体にも、心肺合併症に関連する死亡はなかった。実験の結果は、Older、Paulらの”Cardiopulmonary Exercise Testing as a Screening Test for Perioperative Management of Major Surgery in the Elderly”、Chest 116:355−362(1999)に開示され、その全体の内容は参照により本願に組み込まれる。本願に記載の能力モニタは、センサまたはトレッドミルまたは自転車に乗っている被検体の足につけたセンサを使用して無酸素性作業閾値が測定されるという追加される利点をもって、被検体の術前評価に使用されることができる。手術の候補者は、マスクの着用や、他の煩わしい測定機器に触れることを必要としない。
【0107】
無酸素性作業閾値および/または酸素消費速度の測定を介した術前評価もまた、Whipp,Brian J.,”Physiological mechanisms dissociating pulmonary CO and O exchange dynamics during exercise in humans,”Experimental Physiology,92:347−355(2007);Gitt,A. et al.,”Exercise anaerobic threshold and ventilatory efficiency identify heart failure patients for high risk of early death,”Circulation,106:3079−3084(2002);Casaburi,R.et al,”Reductions in exercise lactic acidosis and ventilation as a result of exercise training in patients with obstructive lung disease,”Am.Rev.Respir.Dis.,143:9−18(1991);Older,P.et al.,”Preoperative evaluation of cardiac failure and ischemia in elderly patients by cardiopulmonary exercise testing,”Chest,104:701−704(1993);and Wasserman,K.et al.,Principles of Exercise Testing and Interpretation,4th edition,Lea&Febiger(Philadelphia,PA)の参考文献に開示され、それぞれの全体の内容は、参照により本願に組み込まれる。
【0108】
他の用途は、被検体の現地および/または遠隔モニタリングを含む。例えば、本願に記載の能力モニタは、病院や老人ホーム等の患者ケア施設にいる被検体をモニタするために使用されることができる。種々の生理学的パラメータが、被検体によって装着されるモニタによって測定されることができ、種々のパラメータのうちの1つ以上を含む電気信号が、中央モニタリング施設に伝送される。同様に、モニタは、病院にいる被検体によって装着されることができ、被検体に関する情報を別のモニタリングデバイス(例えば、他の計器からの信号もモニタするデバイス)またはナースステーション等の、中央集中モニタリングステーションに伝送されることができる。
【0109】
(処理ハードウェアおよびソフトウェア)
収集、処理、分析、およびサンプルからの情報を解釈するための種々の方法と組み合わせた上記に記載のステップが、標準的なプログラミング技術を使用してコンピュータプログラムに実装されることができる。かかるプログラムは、プログラム可能なコンピュータまたは専用に作成された集積回路上で実行するように作成され、それぞれは、電子プロセッサ、データ記憶システム(メモリおよび/または記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力デバイス、およびディスプレイまたはプリンタ等の少なくとも1つの出力デバイスを備える。プログラムコードは、本願に記載の機能を実施し、1つ以上の出力デバイスに適用される出力情報(例えば、無酸素性作業閾値値および酸素消費速度を含む、それに由来する生理学的パラメータおよび数量)を生成するように、データ(例えば、検出器からのスペクトルデータ)を入力するように適用される。かかるコンピュータプログラムはそれぞれ、高水準プロシージャまたはオブジェクト指向プログラミング言語、またはアセンブリまたは機械言語に実装されることができる。さらに、言語は、コンパイルされた、または翻訳された言語であることができる。かかるコンピュータプログラムはそれぞれ、コンピュータまたは他の機械によって読み取られる際に、コンピュータ内のプロセッサに本願に記載の分析および制御機能を実行させる、コンピュータまたは機械可読記憶媒体(例えば、CD ROMまたは磁気ディスケット)上に記録されることができる。
【実施例】
【0110】
本開示は、以下の実施例においてさらに説明されるが、これは請求項に記載される本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0111】
本願に記載の能力モニタの被検体における無酸素性作業閾値および酸素消費速度を測定する力を査定するために、10人のヒトの被検体のグループ(男性5人および女性5人)に対する試験が実施された。各被検体は、最大サイクルエルゴメータプロトコル(運動強度は3分ごとに50Wずつ増加)を実施した。被検体は、必要とされる調子で自転車をこぐことができなくなった際に、試験を中止した。図3Aに示すモニタに類似した能力モニタを使用して、外側広筋(大腿部)筋肉から10秒ごとに近赤外線スペクトルが収集された。皮膚色素沈着および覆っている脂肪層によるスペクトルの誤差を修正した。
【0112】
運動計画中の
【0113】
【化24】

および二酸化酸素産生の測定は、メタボリックカート(ユタ州ソルトレイクシティ、Parvo Medics社から入手したTrue One 2400モデル)を使用して実施された。心拍数測定は、Polar心拍数モニタ(ニューヨーク州ロングアイランド、Polar USAから入手可能)を使用して実施した。計画の各ステージの最後の30秒間において、血中乳酸の測定のために、外部モニタ(オハイオ州イエロースプリング、YSI Life Sciencesから入手可能な、YSI 1500 SPORTモデル)を使用して、各被検体の手指から少量の血液サンプルを得た。
【0114】
各被検体について、[H](例えば、pH)、ヘマトクリット、および筋肉の酸素飽和度の値は、近赤外線スペクトル測定から判定した。運動中の各被検体の1回拍出量は、心拍数測定から推定した。静止心エコー図、およびKripらの方法に基づいて、10人の被検体のうちの3人について、1回拍出量の値を推定した。推定された1回拍出量の値を、測定された心拍数の値の関数として化学式(5)に合わせ、パラメータA、B、およびDについての値を判定した。これらのパラメータ値は、男性および女性の両方の被検体について、被検体の性別に従って修正し、AおよびBの値は、それぞれ0.0132、27.45と判定された。男性の被検体について、Dの値は0.154と判定され、女性の被検体について、Dの値は0.096と判定された。図15に、推定SV値(例えば、心エコー図から)が測定HR値に対して座標表示された図表を示す。図15の実線は、のパラメータ値A、B、およびDを判定する最良適合の式に対応する。
【0115】
上述の方法を使用して、式(1)および(2)に従い、各被検体の酸素消費速度の相対値
【0116】
【化25】

を判定した。さらに、上述の方法を使用して、式(3)〜(5)に従い、各被検体の酸素消費速度の絶対値
【0117】
【化26】

を判定した。
【0118】
1人の被検者の血中乳酸
【0119】
【化27】

の測定値と[H
【0120】
【化28】

との測定値を比較したグラフを図5に示す。表1は、被検者のうちの9人の[H]と血中乳酸測定との間の相関係数、R2の値を提供する。9人の被検体の平均R2値は0.88であった。
【0121】
【表1】

同一の被検者について、メタボリックカートを使用して測定した
【0122】
【化29】

の値を、モニタによって実施された近赤外線測定に由来する
【0123】
【化30】

の値と比較した。2人の異なる被検体について、運動プロトコル中における時間の関数として測定した、
【0124】
【化31】

の測定値と
【0125】
【化32】

の測定値とを比較するグラフを、それぞれ図6および図7に示す。図6および図7の、各被検体の
【0126】
【化33】

の値と
【0127】
【化34】

の値との相関は、試験の35分間にわたって比較的一定であった。1回拍出量の絶対値が不明であったため、
【0128】
【化35】

は任意の単位で測定され、これが図6と図7の曲線の異なるオフセットを説明していることに留意されたい。表2は、10人の被検体のそれぞれの
【0129】
【化36】

の測定値と
【0130】
【化37】

の測定値との間の相関係数の値を提供する。10人の被検体の平均R値は0.96であった。
【0131】
【表2】

肉体的ストレス(例えば、運動中の)期間中に被検体をモニタするために、
【0132】
【化38】

の測定は十分である。例えば、競技トレーニング計画は、計画の効果が、
【0133】
【化39】

の測定を介して直接モニタされることができるように、被検体の
【0134】
【化40】

の最大値を向上させることを期待される。
【0135】
いくつかの実施形態では、しかしながら、能力モニタは、
【0136】
【化41】

を絶対単位(例えば、1分あたりのO2のリットル)で測定するように構成されることができる。一部の実施形態では、
【0137】
【化42】

および
【0138】
【化43】

の測定は比較されることができ、この2つの異なる測定の間における数学的関係(例えば、統計的関係)は、この比較に由来することができる。例えば、回帰方程式は、回帰方程式が
【0139】
【化44】

の測定値からの
【0140】
【化45】

の算出を可能にするように、
【0141】
【化46】

および
【0142】
【化47】

の測定に(例えば、図6および/または図7の
【0143】
【化48】

および
【0144】
【化49】

の値の間の相関に基づいて)由来することができる。
【0145】
前述のとおり、本願に記載の能力モニタは、式(3)〜(5)に基づいて被検体の組織における絶対酸素消費速度、
【0146】
【化50】

を測定するように構成されることができ、10人の被検体のそれぞれについて、
【0147】
【化51】

が判定された。図16および図17は、女性の(図16)および男性の(図17)2人の異なる被検体の全身の直接測定
【0148】
【化52】

および
【0149】
【化53】

を、試験プロトコル中の時間の関数として示す。全身
【0150】
【化54】

および
【0151】
【化55】

の値において、特にプロトコルの開始から無酸素性作業閾値(AT)に達するまで、良好な一致を得、本願に記載の方法が、被検体の継続的または半継続的なモニタに適していることを(例えば、図6および図7に示す結果とともに)明示した。10人すべての被検者の、プロトコルの開始から無酸素性作業閾値に達するまでの、各被検体についての全身
【0152】
【化56】

および
【0153】
【化57】

の両方の値を、図18に示す。値は、R2=0.89および全身
【0154】
【化58】

および
【0155】
【化59】

の間の平均差0.06L/分で良好に補正された。
【0156】
無酸素性作業閾値を超えて、全身
【0157】
【化60】

および
【0158】
【化61】

の間の差は、筋肉の酸素飽和度(本願に記載の能力モニタによって測定される)と実質静脈血酸素飽和度との間の差に起因する可能性がある。例えば、無酸素性作業閾値を超えて、ミオグロビン脱飽和が測定された筋肉の酸素飽和度に著しい貢献を示す場合がある。また、本実施例における差は、高い作業付加での1回拍出量の不正確な予測の結果である場合がある。
【0159】
前述のとおり、式(1)および(2)に従って判定された相対酸素消費速度、
【0160】
【化62】

は、1回拍出量(SV)によって正規化された
【0161】
【化63】

に対応し、これは被検体の心臓が1拍ごとに送り出す血液量に対応する。運動中の特定の被検体のSVがわかっている場合、被検体の酸素消費速度の相対測定は、酸素消費速度の絶対測定に変換されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、SVは、生体インピーダンス測定を介した心エコー検査を通じて測定されることができる。あるいは、または加えて、SVは、相関表またはSVを本願に記載の能力モニタによって測定される1つ以上の他のパラメータに関係付ける他のかかる参照データから推定されることができ、または、SVは、能力モニタと相互作用する外部デバイスを介して測定されることができる。SVは、被検体の性別、健康の度合いおよび/または他の属性に左右されることがあり、SVと1つ以上の他のパラメータとの間の相関は、SVが被検体によって異なることがあるという態様を考慮に入れることができる。
【0162】
さらに、上記に記載のとおり、いくつかの実施形態では、SVは、HR等の1つ以上の測定パラメータに基づいて算出されることができる。HR(SVを判定するために使用されるまたは他のパラメータ)は実時間で判定され、SVもまた実時間で判定されることができる。化学式(5)等の方程式は、HRデータの測定からSV値を算出するために使用されることができる。概して、種々の異なる数学的方程式が、HR等のパラメータの測定値からSVを判定するために使用されることができる。
【0163】
SVの測定は、被検者の
【0164】
【化64】

が判定されるたびに記録されることができる。さらに、一部の実施形態では、SVは身体運動の期間中に著しく変化しないことがあるため、SVを判定するために、
【0165】
【化65】

が測定される頻度よりも低い頻度で十分でさえある場合がある。例えば、図8に示すように、本実施例において、特定の身体活動の間にSVは常に著しく異なるわけではなく、被検体における絶対酸素消費速度の正確な予測を得るために、被検体のSVを継続的に判定することを典型的に必要としないと思われる。その代わり、1回または少ない時点の回数で取られたSVの測定が、長期間にわたる被検体の継続的なモニタリング中に使用されることができる。
【0166】
メタボリックカート測定から判定される
【0167】
【化66】

の値に対する乳酸濃度の値を、図9に示すグラフに座標表示した。無酸素性作業閾値を判定するために、化学式(6):
【0168】
【化67】

によって得られるフィッティング式を使用して、乳酸濃度の値を同時双線形回帰で分析し、式中、yは、乳酸濃度の値であり、sおよびsは、双線形フィッティング曲線の2つの線形セグメントの勾配であり、yおよびyは、双線形フィッティング曲線の2つの線形セグメントの切片であり、xは
【0169】
【化68】

に対応し、x
【0170】
【化69】

の値であり、対する乳酸濃度対
【0171】
【化70】

の一次導関数値は変化する。双線形フィッティング式の両方のセグメントに共通するxは無酸素性作業閾値に対応し、図9に「LAT」として示す。
【0172】
無酸素性作業閾値はまた、[H]の測定から、および/または能力モニタを介して記録されるpH測定判定されることができる。[H]および/またはpHは乳酸濃度に関係するため、[H]および/またはpH測定を介して判定された無酸素性作業閾値は、直接血中乳酸濃度測定を介して判定された無酸素性作業閾値と相関する。[H]の値は、メタボリックカート測定から判定される
【0173】
【化71】

の値に対して図10に示すグラフに座標表示した。無酸素性作業閾値(図10中の「HAT」)は、図10のデータを化学式(6)に合わせることによって判定され、yは[H]の値に対応する。図10に示すとおり、無酸素性作業閾値は、双線形フィッティング式の両方のセグメントに共通する
【0174】
【化72】

の値であり、[H]対
【0175】
【化73】

の一次導関数が変化する酸素消費速度に対応する。
【0176】
さらに、無酸素性作業閾値は、運動プロトコル中に産生される二酸化酸素からの測定から測定されることができる。メタボリックカート測定から判定される、
【0177】
【化74】

の値に対する二酸化酸素産生(VCO)の量の値を図11に示すグラフに座標表示した。無酸素性作業閾値(図11の「CAT」)は、図11のデータをyがVCOの値に対応する化学式(6)に合わせることによって判定される。図11に示すように、無酸素性作業閾値は、双線形フィッティング式の両方のセグメントに共通する
【0178】
【化75】

の値であり、VCO
【0179】
【化76】

の一次導関数が変化する酸素消費速度に対応する。
【0180】
乳酸濃度、VCO、および[H]等の測定された数量は、無酸素性作業閾値を判定するために、
【0181】
【化77】

以外の数量に対して座標表示されることができる。概して、乳酸濃度、VCO、および[H]は、試験プロトコル中の運動強度を測定する任意の数量に対して座標表示されることができ、化学式(6)または別の数学的アルゴリズムが、測定データから無酸素性作業閾値を判定するために使用されることができる。
【0182】
図9〜図11において判定された無酸素性作業閾値を比較することによって観察されるように、[H]の近赤外線測定を介して判定された無酸素性作業閾値は、図11の曲線が図9および図10の曲線ほどは強い双線形でなくとも、血中乳酸測定および二酸化酸素産生から直接判定された無酸素性作業閾値と相関する。血中乳酸測定から判定される無酸素性作業閾値は1.95±0.27L/分であり、VCO測定から判定される無酸素性作業閾値は1.64±0.08L/分であり、[H]測定から判定される無酸素性作業閾値は1.64±0.15L/分であった。無酸素性作業閾値の判定について、各被検体により少ないデータ点しか利用可能でなかったため、血中乳酸測定の標準誤差はより大きかった。
【0183】
実験下の9人の被検体の、血中乳酸および[H]から測定された無酸素性作業閾値の間の関係を図12に示す。R2=0.946の平均相関係数が観察された。図12のデータに合わせた回帰直線(破線)は、1.06の勾配を有した。典型的には、[H]の近赤外線測定から判定される無酸素性作業閾値の値は、直接測定された.無酸素性作業閾値の値より低かった。近赤外分光分析を介して行われたpH測定および/またはいくつかの供給源からの乳酸濃度を平均化する血中乳酸測定よりも厳密に水素イオン輸送を追跡する吸光度分光が間質液[H]を評価するため、これは予測される。
【0184】
実験下の10人の被検体の、産生された二酸化酸素から測定された無酸素性作業閾値と[H]との関係を図13に示す。R2=0.849の平均相関係数が観察された。図13のデータに合わせた回帰直線(破線)は1.17の勾配を有し、強い正相関を示した。
【0185】
近赤外線分光測定を介して無酸素性作業閾値を判定する利点の1つは、この測定が継続的に(またはほぼ継続的に)、および実時間で実施されることができるということである。典型的には、無酸素性作業閾値の標準測定において、被検体は最大限度まで運動し、この被検体の無酸素性作業閾値が採血からの乳酸測定に基づいてその後で判定された。しかしながら、本願に記載のモニタは、従来のデバイスと比較して、無酸素性作業閾値および他のパラメータの著しく早い(例えば、実時間またはほぼ実時間)測定が可能である。
【0186】
いくつかの実施形態では、例えば、本願に記載の能力モニタは、スペクトルデータに基づいて、0.01Hz以上(例えば、0.05Hz以上、0.1Hz以上、0.5Hz以上、1Hz以上)および/または30Hz以下(例えば、20Hz以下、10Hz以下、6Hz以下、4Hz以下、2Hz以下)の周波数でパラメータ値の測定および/または判定を実施することができる。
【0187】
最大限度までの運動の要求は、被検体における心イベントのリスクを増大させる。しかしながら、本願に記載の能力モニタを介して無酸素性作業閾値を判定することにより、水素イオン濃度曲線の勾配における変化をモニタすることにより、運動強度の関数としての水素イオン濃度の傾向が、継続的に追跡されることができる。その結果、被検体は測定を完了するために無酸素性作業閾値をわずかに超えるレベルで運動するだけでよく、すなわち、最大の運動を要求されることはなく、被検体の健康上のリスクを低減し、評価のために必要な時間を短縮する。さらに、水素イオン濃度は被検体の組織の直接測定を通じて判定され、被検体無酸素性作業閾値に対応するレベルで運動することが可能となる。競技トレーニング目的では、(例えば、本願に記載のモニタを使用して測定される)自身の無酸素性作業閾値に対応する水素イオン濃度で、またはその近くでトレーニングを継続することができるように、選手が選手は自身のトレーニング計画を調整することができ、これは例えば耐久スポーツのための有効なトレーニング技術として知られている。
【0188】
無酸素性作業閾値および酸素消費速度の測定は、いくつかの実施形態では、被検体の評価およびモニタリングのために、ともに使用されることができる。例えば、酸素消費速度は、無酸素性作業閾値を判定するために運動プロトコルを受けている被検体の運動強度を追跡するために測定されることができる。無酸素性作業閾値は、被検体における酸素消費速度の関数としての水素イオン濃度の勾配の変化から測定されることができる。いったん被検体の無酸素性作業閾値に対応するpH値および/または水素イオン濃度の値が判定されると、被検体は、身体運動の期間中、被検体のpHおよび/または水素イオン濃度(例えば、本願に記載のモニタを使用して)を測定することにより、モニタされることができる。被検体が自身の無酸素性作業閾値またはその近くに留まる結果となる運動強度を維持することにより、運動の効果が判定されることができる。典型的には、例えば、トレーニング中に被検体を自身の無酸素性作業閾値またはその近くに保つ競技トレーニング計画は、耐久力の増強および他の性能基準の向上に有効である。
【0189】
あるいは、または加えて、被検体のpHおよび/または水素イオンは、1つ以上の期間の身体運動の前および/または後に、運動中の被検体の身体運動の程度を判定するためにモニタされることができる。被検体の身体運動レベルがかなりの程度である場合、運動の前および/または後にモニタされるpHおよび/または水素イオン濃度の値は、著しく異なる場合があり、被検体が自身の運動の直後の無酸素性作業閾値により近い(例えば、著しく近い)ことを示す。行使のレベルが比較的低い場合、pHおよび/または水素イオン濃度におけるほんの少しの変化のみが観察されることがあり、被検体が自身の無酸素性作業閾値に近くないことを示す。
【0190】
(他の実施形態)
前述の記述は、説明を目的とし、添付の請求項によって定義される本開示の範囲を限定するものではないということを理解されたい。他の側面、利点、および変更例は、以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の被検体の無酸素性作業閾値を判定する方法であって、
前記被検体の組織を照射放射線に暴露させるステップと、
前記組織から放出される放射線を収集するステップであって、前記放射線は、前記組織から反射または伝達された前記照射放射線の一部分を含む、ステップと、
前記組織のスペクトルを形成するように前記放出される放射線を処理するステップと、
前記組織の前記スペクトルに基づいて、前記被検体の無酸素性作業閾値を判定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記組織内の被分析物の複数の濃度の値に基づいて、前記無酸素性作業閾値を判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組織の複数のpH値に基づいて、前記無酸素性作業閾値を判定するステップをさらに含み、前記複数のpH値のそれぞれは、前記組織のスペクトルを測定し、前記スペクトルからpH値を判定することによって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のpH値に基づいて、前記無酸素性作業閾値を判定するステップは、
方程式のパラメータを判定するように前記複数のpH値のうちの2つ以上を数学的方程式に合わせるステップと、
前記数学的方程式から前記無酸素性作業閾値を判定するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のpH値に基づいて、前記無酸素性作業閾値を判定するステップは、
前記複数のpH値から前記組織の複数の水素イオン濃度の値を判定するステップと、
方程式のパラメータを判定するように前記複数の水素イオン濃度の値のうちの2つ以上を数学的方程式に合わせるステップと、
前記数学的方程式から前記無酸素性作業閾値を判定するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記数学的方程式は、
【数1】

の形であり、式中、xは、運動強度の尺度であり、xは、前記無酸素性作業閾値に対応する調整パラメータであり、yは、前記水素イオン濃度であり、y、y、s、およびsは、調整パラメータである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記運動強度の尺度は、前記組織内の酸素消費速度である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記無酸素性作業閾値を判定するステップは、
前記複数のpH値から前記組織の複数の水素イオン濃度の値を判定するステップと、
方程式のパラメータを判定するように前記複数の水素イオン濃度の値のうちの2つ以上を数学的方程式に合わせるステップと、
前記数学的方程式の一次導関数が変化する運動強度の尺度を判定するステップと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記運動強度の尺度は酸素消費速度である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記無酸素性作業閾値を判定するステップは、前記無酸素性作業閾値に対応する前記組織のpH値または水素イオン濃度の値を判定するステップを含み、前記方法は、身体運動期間中の前記被検体におけるpH値または水素イオン濃度の値をモニタするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記無酸素性作業閾値を判定するステップは、前記無酸素性作業閾値に対応する前記組織のpH値または水素イオン濃度の値を判定するステップを含み、前記方法は、身体運動期間の前に前記被検体における第1のpH値または第1の水素イオン濃度の値を判定するステップと、前記身体運動期間の後に前記被検体における第2のpH値または第2の水素イオン濃度の値を判定するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記無酸素性作業閾値に対応する前記組織のpH値または水素イオン濃度の値を判定するステップと、前記被検体の無酸素性作業閾値に達したかどうかを評価するように、身体運動期間中に前記被検体におけるpH値または水素イオン濃度の値を少なくとも2回さらに判定するステップとをさらに含み、前記pH値または前記水素イオン濃度の値は、0.1Hz以上の周波数で判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記無酸素性作業閾値に基づいて、前記被検体の身体状態および前記被検体によって行われる運動計画の有効性の一方または両方を評価するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ヒトまたは動物の被検体の酸素消費速度を判定する方法であって、
前記被検体の組織を照射放射線に暴露させるステップと、
前記組織から放出される放射線を収集するステップであって、前記放射線は、前記組織から反射または伝達された前記照射放射線の一部分を含む、ステップと、
前記組織のスペクトルを形成するように前記放出される放射線を処理するステップと、
前記組織の前記スペクトルに基づいて、前記被検体の酸素消費速度を判定するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記酸素消費速度を判定するステップは、前記組織内の動脈血酸素飽和度と組織酸素飽和度との間の差を判定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸素消費速度を判定するステップは、前記被検体の心拍数に基づいて、前記被検体の1回拍出量を判定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記酸素消費速度を判定するステップは、前記組織内のヘモグロビン濃度を判定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組織内の前記ヘモグロビン濃度を判定するステップは、
前記組織の前記スペクトルに基づいて、前記組織内のヘマトクリットレベルを判定するステップと、
前記ヘマトクリットレベルに基づいて、前記組織内のヘモグロビン濃度を判定するステップと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記組織内の前記酸素消費速度は、
【数2】

に従って判定され、式中、
【数3】

は、前記組織内の前記酸素消費速度であり、SVは、前記被検体の1回拍出量であり、HRは、前記被検体の心拍数であり、C(a−b)は、前記組織内の動脈血酸素含有量と静脈血酸素含有量との間の差である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記動脈血酸素含有量と静脈血酸素含有量との間の差である、C(a−b)は、前記組織内の動脈血および静脈血酸素飽和度ならびに前記組織内のヘモグロビン濃度の値に基づいて算出される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組織の前記スペクトルに基づいて、前記被検体の無酸素性作業閾値を判定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
ヒトまたは動物の被検体の組織から放出される光を検出するように、および前記検出された光から前記組織のスペクトルを判定するように構成される、スペクトロメータと、
前記スペクトロメータに連結され、前記組織の前記スペクトルに基づいて、前記被検体の酸素消費速度および無酸素性作業閾値のうちの少なくとも1つを判定するように構成される、電子プロセッサと、
を備える、装置。
【請求項23】
前記電子プロセッサは、
前記組織の複数のスペクトルを判定することと、
前記組織の複数のpH値を判定することであって、前記複数のpH値のうちの1つずつは、前記複数のスペクトルのうちの1つから得られる、ことと、
前記複数のpH値に基づいて、前記無酸素性作業閾値を判定することと
を行うように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記スペクトロメータは、
少なくとも1つの光源と、
前記少なくとも1つの光源から前記組織へ光を伝達するように構成される、1つ以上の入射光ポートと、
前記組織から検出器に光を伝達するように構成される、1つ以上の受光ポートと
を備え、
前記1つ以上の入射光ポートおよび前記1つ以上の受光ポートは、筐体を被検体の身体の一部分に取り付けるための取付機構を備える前記筐体に封入される、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光源は、複数の発光ダイオードを備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記1つ以上の受光ポートは、1つの受光ポートを備え、
前記1つ以上の入射光ポートは、前記受光ポートから第1の距離に位置付けられる第1の光ポートと、前記受光ポートから前記第1の距離よりも短い第2の距離に位置付けられる第2の光ポートとを備え、
前記電子プロセッサは、前記第1の光ポートからの光に由来するスペクトルデータを、前記第2の光ポートからの光に由来するスペクトルデータで補正するように構成される、
請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記電子プロセッサと電気通信している通信インターフェースであって、前記電子プロセッサからの信号を、通信リンクおよびネットワークのうちの少なくとも1つの上でデバイスに伝送するように構成される、前記通信インターフェースをさらに含む、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
前記デバイスは、コンピュータ、携帯用コンピュータデバイス、携帯電話、および表示デバイスのうちの少なくとも1つである、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記信号は、前記被検体に関する情報を備え、前記デバイスは、前記被検体に関する前記情報をモニタするように構成されるコンピュータデバイスである、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
データ伝送ネットワークに接続される電子デバイスと、
複数のモニタリングデバイスであって、各モニタリングデバイスは、請求項22の前記装置に対応する、複数のモニタリングデバイスと
を含み、
各モニタリングデバイスは、複数のヒトまたは動物の被検体のうちの1つに関する情報を、前記データ伝送ネットワーク上で前記電子デバイスに伝送するように構成され、前記情報は、前記被検体の前記酸素消費速度および前記無酸素性作業閾値のうちの少なくとも1つを含む、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図4A】
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【図4B】
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【図14】
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【図3B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−533514(P2010−533514A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516301(P2010−516301)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/069998
【国際公開番号】WO2009/048659
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(399093869)ユニバーシティー オブ マサチューセッツ (19)
【Fターム(参考)】