説明

身体補助ロボット装置及びシステム

【課題】座、起立、及び歩行が制限された状態の人々に対して移動性を提供する身体補助ロボット装置及びシステムを提供する。
【解決手段】直立支持部材112を含むフレーム110と、直立支持部材と摺動可能に係合した横方向部材130と、横方向部材と摺動可能に係合したハンドル132と、直立支持部材及び横方向部材に結合した上昇アクチュエータ124と、横方向部材及びハンドルに結合した横方向アクチュエータ126と、を包含可能である。上昇アクチュエータが横方向部材を並進させると共に横方向アクチュエータがハンドルを並進させることにより、ユーザーを起立位置と非起立位置の間において移動させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、身体補助のための装置及びシステムに関し、且つ、更に詳しくは、着座、起立、及び歩行が制限された状態の人々に対して移動性を提供する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
身体に障害を有する人々は、着座、起立、及び歩行の際に補助を必要とする場合がある。着座、起立、及び歩行の動作は、一日を通じて反復されるため、移動補助は、長時間にわたる介護者のサービスを必要とすることになる。従って、多くの場合に、移動補助を提供すべく、一日を通じて介護者が雇用されている。このような補助は有益ではあるが、介護者の不足や介護者を雇用するための費用などの経済的な制約により、介護が制限される可能性がある。更には、介護者による移動補助は、例えば、平日の9時〜5時などのように、特定の時刻に制限される可能性もある。又、長時間にわたる患者に対する身体補助は、疲労、負傷、又は憂鬱などの介護者の身体的且つ精神的な緊張をもたらす可能性もある。
【0003】
従って、着座、起立、又は歩行を制限する身体的な障害を有する人々に対して移動性を提供する代替装置及びシステムに対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態においては、身体補助ロボット装置は、直立支持部材を含むフレームと、直立支持部材と摺動可能に係合した横方向部材と、横方向部材と摺動可能に係合したハンドルと、直立支持部材及び横方向部材に結合した上昇アクチュエータと、横方向部材及びハンドルに結合した横方向アクチュエータと、を包みうる。ユーザーを起立位置と非起立位置との間で移行させるべく、上昇アクチュエータが横方向部材を並進させると共に横方向アクチュエータがハンドルを並進させる。
【0005】
別の実施形態においては、身体補助ロボットシステムは、機械可読命令を実行するプロセッサ及び機械可読命令を保存する電子メモリを含む電子制御ユニットと、直立支持部材を含むフレームと、フレームに回転可能に結合した駆動ホイールと、駆動ホイールに結合した駆動モーターと、直立支持部材と摺動可能に係合した横方向部材と、横方向部材と摺動可能に係合したハンドルと、横方向部材及びハンドルに結合し、且つ、電子制御ユニットと通信可能に結合した横方向アクチュエータと、直立支持部材及び横方向部材に結合し、且つ、電子制御ユニットと通信可能に結合した上昇アクチュエータと、を包含可能である。電子制御ユニットは、機械可読命令を実行することにより、電子メモリ内に保存されているデータベースから少なくとも1つのユーザーパラメータを受信し、少なくとも1つのユーザーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、調節可能な上昇速度を設定し、且つ、ユーザーを起立位置と非起立位置との間で移行させるべく、調節可能な上昇速度に従って上昇アクチュエータによって横方向部材を並進させる。
【0006】
更に別の実施形態においては、身体補助ロボットシステムは、機械可読命令を実行するプロセッサ及び機械可読命令を保存する電子メモリを含む電子制御ユニットと、直立支持部材を有するフレームと、フレームに回転可能に結合した駆動ホイールと、フレームに回転可能に結合した支持ホイールと、駆動ホイールに結合し、且つ、電子制御ユニットと通信可能に結合した駆動モーターと、電子制御ユニットと通信可能に結合した力検知装置と、を包含可能である。電子制御ユニットは、機械可読命令を実行することにより、協働モード又は自律モードを設定し、身体補助ロボットシステムが協働モードにおいて稼働している際には、力検知装置によって検出された操向力に少なくとも部分的に基づいて駆動モーターによって駆動ホイールを回転させ、且つ、身体補助ロボットシステムが自律モードにおいて稼働している際には、駆動モーターによって駆動ホイールを回転させて身体補助ロボットシステムを自律的に推進させることができる。
【0007】
本明細書に記述されている実施形態によって提供されるこれらの及び更なる特徴については、添付図面との関連において、以下の詳細な説明を参照することにより、更に十分に理解することができよう。
【0008】
添付図面に示されている実施形態は、事実上、例証及び例示を目的としたものであり、従って、請求項に規定されている主題を限定することを意図したものではない。例示用の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付図面との関連において参照された際に理解することが可能であり、これらの添付図面においては、同一の構造が同一の参照符号によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の側面図を概略的に示す。
【図2】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の側面図を概略的に示す。
【図3A】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の側面図を概略的に示す。
【図3B】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の側面図を概略的に示す。
【図3C】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の側面図を概略的に示す。
【図4】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の構造図を概略的に示す。
【図5】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の構造図を概略的に示す。
【図6A】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の平面図を概略的に示す。
【図6B】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係るフレームの平面図を概略的に示す。
【図6C】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係るフレームの平面図を概略的に示す。
【図7】本明細書に図示及び記述されている1つ又は複数の実施形態に係る身体補助ロボット装置の側面斜視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、身体補助ロボットシステムの一実施形態を概略的に示している。身体補助ロボットシステムは、概して、身体補助ロボット装置と、電子制御ユニットと、を有する。身体補助ロボット装置は、概して、フレームと、ユーザー持上げ部材と、を有する。電子制御ユニットは、フレームに対してユーザー持上げ部材を作動させ、ユーザーを起立位置と非起立位置の間で移行させる。以下、身体補助ロボット装置及び身体補助ロボットシステムの様々な実施形態について更に詳細に説明することとする。
【0011】
本明細書に記述されている実施形態は、ユーザーを補助して非起立位置と起立位置の間で移行させうる。その他の実施形態は、ユーザーを目的地まで案内する協働モード及び自律モードを提供することにより、歩行を促進しうる。更なる実施形態は、ユーザーを所望の目的地まで搬送する自律型装置により、更なる移動性を提供しうる。
【0012】
まず、図1を参照すれば、身体補助ロボット装置100の一実施形態が概略的に示されている。身体補助ロボット装置100は、概して、フレーム110と、ユーザー持上げ部材102と、を有する。フレーム110は、フレーム110をほぼ鉛直に延長させる直立支持部材112を有する。フレーム110は、身体補助ロボット装置100の基礎構造を形成しており、且つ、例えば、金属、プラスチック、又は複合材料などの剛性材料を含んでなる。フレーム110は、多数の直角を有するように形成されるものとして記述されているが、フレーム110は、後程詳述するように、身体補助ロボット装置100の動作のための適切な基部を提供する任意の形状を具備可能であることに留意されたい。更には、直立支持部材112は、本開示の範囲を逸脱することなしに、真の鉛直の向きを逸脱するように、鉛直ではない態様により、反ったり、屈曲したり、又は湾曲したりすることも可能であることを理解されたい。
【0013】
更に図1を参照すれば、本明細書に記述されている実施形態においては、ユーザー持上げ部材102は、横方向部材130と、ハンドル132と、上昇アクチュエータ124と、横方向アクチュエータ126と、を有する。上昇アクチュエータ124が横方向部材130を並進させると共に横方向アクチュエータ126がハンドル132を並進させることにより、ユーザーを起立位置180(図3B)と非起立位置182の間において移行させる。横方向部材130は直立支持部材112と摺動可能に係合しており、且つ、ハンドル132も横方向部材130と摺動可能に係合している。横方向部材130及びハンドル132は、直立支持部材112から離れるように突出している。上昇アクチュエータ124は、直立支持部材112及び横方向部材130に結合されている。横方向アクチュエータ126は、横方向部材130及びハンドル132に結合されている。例えば、上昇アクチュエータ124は、直立支持部材112に結合された駆動モーターと、横方向部材130に結合された延長アームと、を具備するリニアモーターであってよい。同様に、横方向アクチュエー126も、横方向部材130に結合された駆動モーターと、ハンドル132に結合された延長アームと、を具備するリニアモーターであってよい。更なる実施形態においては、リニアモーターは、逆の向きにおいて結合可能である。尚、本明細書において使用されている「アクチュエータ」という用語は、機械的なリンク装置、電気機械的なシステム、電気モーター、液圧メカニズム、空圧メカニズム、及びこれらの均等物などの別のメカニズムの動作のために計測された量のエネルギーを供給及び伝達する任意のサーボメカニズムを意味している。従って、リニアモーターとして記述されているが、上昇アクチュエータ124、横方向アクチュエータ126、及び本明細書に記述されている任意のその他のアクチュエータは、任意のタイプのサーボメカニズムとして構成されうる。
【0014】
更には、本明細書において使用されている「並進運動させる」という用語は、実質的な回転又は実質的な角度変位を伴うことなしに運動又は摺動させることを意味していることに留意されたい。例えば、本明細書に記述されている実施形態においては、上昇アクチュエータ124は、正又は負のy軸方向において横方向部材130を並進させ、且つ、横方向アクチュエータ126は、正又は負のy軸方向においてハンドル132を並進させる。但し、本明細書において提供されている座標軸は、説明を目的したものであることに留意されたい。従って、本明細書に記述されている並進は、特定の座標軸に限定されるものではない。
【0015】
図2に概略的に示されている身体補助ロボット装置の代替実施形態101においては、ユーザー持上げ部材202は、並進ではなく、回転運動を利用している。ユーザー持上げ部材202は、z軸を中心として回転し、ユーザーを起立位置180(図3B)と非起立位置182の間で移行させる。ユーザー持上げ部材202は、横方向回転ハウジング204と、横方向回転部材205と、回転アクチュエータ206と、半径方向支持部材208と、胴体支持部材210と、を有する。半径方向支持部材208は、フレーム110と回転可能に係合すると共に、フレーム110から鉛直に胴体支持部材210に向かって突出しており、胴体支持部材は、ユーザーの胴体を支持すべく成形されている。半径方向支持部材208は、横方向回転部材205に結合されている。横方向回転部材205は、半径方向支持部材208から突出しており、且つ、横方向回転ハウジング204と摺動可能に係合している。横方向回転ハウジング204は、直立支持部材112に回転可能に係合しており、且つ、回転アクチュエータ206に結合している。回転アクチュエータ206は、横方向回転部材205にも結合されており、且つ、回転支持部材208を回転させてユーザーを起立位置180(図3B)と非起立位置182の間で移行させる。いくつかの実施形態においては、胴体支持部材210は、快適な使用のためにパッドが付与されている。
【0016】
次に図4及び図5を参照すれば、身体補助ロボットシステムの実施形態200、201は、複数の動作を制御する電子制御ユニット120を有することができる。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行するプロセッサと、機械可読命令及び機械可読情報を保存する電子メモリ122と、を有する。プロセッサは、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、又は機械可読命令を実行する能力を有する任意のその他の演算装置であってよい。電子メモリ122は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、又は機械可読命令を保存する能力を有する任意の装置であってよい。本明細書に記述されている実施形態においては、プロセッサ及び電子メモリ122は、電子制御ユニット120と一体化されている。但し、電子制御ユニット120、プロセッサ、及び電子メモリ122は、本開示の範囲を逸脱することなしに、相互に通信可能に結合された別個のコンポーネントであってもよいことに留意されたい。更には、本明細書において使用されている「通信可能に結合する」という文言は、例えば、導電性の媒体を介した電気信号、空中を介した電磁信号、光導波路を介した光学信号、及びこれらに類似のものなどのデータ信号をコンポーネントが相互に伝達する能力を有することを意味していることに留意されたい。
【0017】
図4に概略的に示されているように、電子制御ユニット120の実施形態は、多数のモジュール及びこれらのモジュールと関連した動作を制御している。例えば、身体補助ロボットシステムの一実施形態200は、電子メモリ122、上昇アクチュエータ124、横方向アクチュエータ126、追加の横方向アクチュエータ128、駆動モーター140、力検知装置150、追加の力検知装置152、操向メカニズム154、マンマシンインターフェイス156、ナビゲーションモジュール158、基部アクチュエータ162、足置きアクチュエータ166、無線通信機170、姿勢検出器172、及びユーザー認識モジュール174に通信可能に結合された電子制御ユニット120を有する。
【0018】
再度図5を参照すれば、身体補助ロボットシステムの代替実施形態201は、電子メモリ122、駆動モーター140、力検知装置150、追加の力検知装置152、操向メカニズム154、マンマシンインターフェイス156、ナビゲーションモジュール158、基部アクチュエータ162、足置きアクチュエータ166、無線通信機170、姿勢検出器172、ユーザー認識モジュール174、及び回転アクチュエータ206に通信可能に結合された電子制御ユニット120を有する。従って、前述のように、本開示の実施形態は、電子制御ユニット120を利用してモジュールの集合体を制御し、結合性を有する動作の組を形成している。以下、これらの結合性を有する動作について、更に詳細に説明することとする。
【0019】
次に図6Aを参照すれば、基部部材160及び基部アクチュエータ162が概略的に示されている。一実施形態によれば、基部部材160は、フレーム110と摺動可能に係合している。基部アクチュエータ162は、基部部材160を延長させて安定化構造を提供すると共に、構造を小型にすべく基部部材160を引き込む。基部アクチュエータ162は、フレーム110及び基部部材160に結合されている。一実施形態においては、基部アクチュエータ162は、フレーム110に結合された駆動モーターと、基部部材160に結合された延長アームと、を有するリニアモーターである。本明細書において使用されている「摺動可能に」という用語は、調節可能、又は摺動によって運動可能であることを意味することに留意されたい。更なる実施形態は、移動性を提供すべく基部部材160に回転可能に結合された支持ホイール116を有する。例えば、身体補助ロボット装置100は、例えば、フレーム110を支持すべく構成された複数の支持ホイール116を有することができる。
【0020】
更に図6Aを参照すれば、身体補助ロボット装置100の実施形態は、追加の横方向部材134と、追加のハンドル136と、追加の横方向アクチュエータ128と、を有し、これらは、ユーザーが把持するための更なるメカニズムを提供することにより、ユーザーを起立位置180(図3B)と非起立位置182(図3A)の間で移行させる。一実施形態においては、上昇アクチュエータ124は、追加の横方向部材134をy軸に沿って並進させ、且つ、追加の横方向アクチュエータ128は、追加のハンドル136をx軸に沿って並進させる。追加の横方向アクチュエータ134は、直立支持部材112と摺動可能に係合しており、且つ、追加のハンドル136は、追加の横方向部材134と摺動可能に係合している。追加の横方向部材134及び追加のハンドル136は、直立支持部材112から離れるように突出している。上昇アクチュエータ124は、直立支持部材112及び追加の横方向部材134に結合されている。追加の横方向アクチュエータ128は、追加の横方向部材134及び追加のハンドル136に結合されている。一実施形態において、上昇アクチュエータ124は、直立支持部材112に結合された駆動モーターと、横方向部材130及び追加の横方向部材134に結合された延長アームと、を具備するリニアモーターであってよい。追加の横方向アクチュエータ128も、追加の横方向部材134に結合された駆動モーターと、追加のハンドル136に結合された延長アームと、を具備するリニアモーターである。別の実施形態においては、上昇アクチュエータ124の代わりに、複数のアクチュエータが使用されている。例えば、横方向部材130及び追加の横方向部材134のそれぞれは、y軸に沿った並進のために別個のアクチュエータに結合されている。更なる実施形態においては、横方向アクチュエータ126及び追加の横方向アクチュエータ128の代わりに、単一のアクチュエータを使用しうる。例えば、ハンドル132及び追加のハンドル136をx軸に沿って摺動可能に並進させるべく、1つのアクチュエータをギア及びリンク装置と結合可能である。
【0021】
更なる実施形態においては、ギア及びリンク装置と結合された単一のアクチュエータにより、x軸に沿ったハンドル132及び追加のハンドル136の並進及びy軸に沿った横方向部材130及び追加の横方向部材134の並進のための作動を提供可能である。本明細書において使用される「ホイール」という用語は、例えば、球体、円板、オムニホイール、メカナムホイール、及びこれらの均等物などの、軸上において回転すべく構成された円形断面を有する物体を意味することに留意されたい。
【0022】
次に図1及び図2を参照すれば、本開示の実施形態は、駆動ホイール114と、駆動モーター140と、を有する。駆動モーター140は、駆動ホイール114を回転させて身体補助ロボット装置100、101を推進させる。駆動ホイール114は、フレーム110に回転可能に結合されている。駆動モーター140は、駆動モーター140によって駆動ホイール114が回転するように、駆動ホイール114に結合されている。一実施形態においては、駆動モーター140は、回転エネルギーを駆動ホイールに供給する電池電力供給型の電気モーターである。更なる実施形態においては、駆動モーター140は、複数のホイールを回転させて身体補助ロボット装置を推進させる。
【0023】
又、身体補助ロボット装置100の実施形態は、図6Aに示されているように、フレーム110に結合された操向メカニズム154を有してもよい。操向メカニズム154は、身体補助ロボット装置100のコースを操向する。操向メカニズム154が、ホイールを旋回させるための機械的なリンク装置として描かれているが、操向メカニズム154は、例えば、ラックとピニオン、ボール循環メカニズム(recirculating ball mechanism)、オムニホイール(omni wheel)、メカナムホイール(mecanum wheel)、及びこれらの均等物などの、装置を操向するのに好適な任意の装置であってよいことに留意されたい。
【0024】
又、フレーム110は、図6A〜図6Cに概略的に示されているように、足置き164と、足置きアクチュエータ166と、を有してもよく、これらは、身体補助ロボット装置に乗る際に、人間工学に基づいた支持をユーザーの足に提供することによってユーザーを補助する。足置き164は、フレーム110と運動可能に係合可能であり、且つ、足置きアクチュエータ166に結合可能である。足置きアクチュエータ166は、フレーム110に結合しており、且つ、足置き164を収納又は展開すべく動作する。足置き164は、フレーム110内に引き込まれることによって収納される。足置き164は、横断方向において運動することも可能であり(図6A及び図6C)、或いは、軸を中心として回転することも可能である(図6B)。一実施形態において、フレーム110は、複数の足置き164と運動可能に係合している。別の実施形態においては、足置き164は、足置き164が実質的に静止した位置に留まるように、フレーム110に結合されている。更なる実施形態においては、足置きは、後程詳述するように、力検知装置150、追加の力検知装置152、又はこれらの組合せを有することができる。
【0025】
次に図7を参照すると、本開示の更なる実施形態は、ユーザーとやり取りするためのマンマシンインターフェイス156を有してもよい。マンマシンインターフェイス156は、直立支持部材112に結合可能であり、且つ、電子制御ユニット120と通信可能に結合可能である。マンマシンインターフェイス156は、ユーザーから目的地情報を受け取り、且つ、目的地情報を電子制御ユニットに伝達する。電子制御ユニット120(図4及び図5)は、機械可読命令を実行することにより、目的地情報を電子メモリ122内に保存し、目的地情報に少なくとも部分的に基づいて駆動モーター140によって駆動ホイール114を回転させ、且つ、目的地情報に少なくとも部分的に基づいて操向メカニズム154によって操向する。例えば、マンマシンインターフェイス156の一実施形態は、タッチスクリーンである。ユーザーは、タッチスクリーン上に表示された選択肢を選択することにより、情報を入力可能である。目的地を選択する際には、地図が表示され、且つ、ユーザーは、画面の適切な部分に接触することにより、所望の情報を選択する。或いは、この代わりに、ユーザーは、タッチスクリーン上に表示された英数字の選択肢を使用して情報を打ち込むことにより、目的地を選択することも可能である。尚、本明細書には、タッチスクリーンが説明されているが、マンマシンインターフェイス156は、例えば、モニタ、ボタン、スイッチ、スピーカ、マイクロフォン、又は音声認識システムなどの、ユーザーと情報を交換する任意の装置であってよい。
【0026】
ユーザー固有の情報も、マンマシンインターフェイス156を介して入力可能であり、且つ、電子メモリ122内に保存可能である。電子制御ユニット120は、このような情報、即ち、ユーザーパラメータを利用し、本明細書に記述されている実施形態の運動又は機能をカスタマイズ可能である。図4に概略的に示されている身体補助ロボットシステム200の一実施形態においては、電子制御ユニット120は、ユーザーを起立位置180と非起立位置182との間で移行させるべく、上昇アクチュエータ124及び横方向アクチュエータ126と通信可能に結合されている。例えば、身長、体重、病状、及びこれらの均等物などの少なくとも1つのユーザーパラメータが、データベース内に存在しており、このデータベース内においては、少なくとも1つのユーザーパラメータがユーザーの身元と関連付けられている。このデータベースは、電子制御ユニット120の電子メモリ122内に保存されている。又、少なくとも1つのユーザーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、調節可能な上昇速度を算出するための機械可読命令も、電子メモリ内に保存されている。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、データベースから少なくとも1つのユーザーパラメータを取得し、機械可読命令に従って、調節可能な上昇速度を設定し、且つ、調節可能な上昇速度に従って上昇アクチュエータ124によって横方向部材130を並進させる。例えば、上昇アクチュエータ124が虚弱なユーザーを起立位置180(図3B)に向かって補助しようとしている際には、調節可能な上昇速度は、例えば、限定限定するものではないが、上昇アクチュエータ124に供給される電力を制限することにより、相対的に低い速度に設定可能である。更には、ユーザーの体重に従って電力をスケーリングすることも可能である。即ち、体重の増加に比例して電力を増大させるのである。この結果、ロボット型人間搬送装置100の動作を特定のユーザーのニーズ及び所望内容に対してカスタマイズしうる。
【0027】
又、少なくとも1つのユーザーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、調節可能な上昇停止点を算出するための機械可読命令を電子メモリ内に保存することも可能である。本開示の実施形態においては、電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、データベースから少なくとも1つのユーザーパラメータを取得し、機械可読命令に従って、調節可能な上昇停止点を設定し、且つ、上昇アクチュエータ124によって横方向部材を調節可能な上昇停止点に配置する。例えば、上昇アクチュエータ124が背の高いユーザーを起立位置180(図3B)に向かって補助しようとしている際には、調節可能な上昇停止点は、相対的に高い場所に設定可能である。従って、調節可能な上昇停止点の高さを身長の増大に比例して増大させることができる。別の実施形態においては、少なくとも1つのユーザーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、調節可能な横方向速度を算出するための機械可読命令も電子メモリ内に保存されている。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、データベースから少なくとも1つのユーザーパラメータを取得し、機械可読命令に従って、調節可能な横方向速度を設定し、且つ、調節可能な横方向速度に従って横方向アクチュエータ126によってハンドル132を並進させる。例えば、横方向アクチュエータ126が虚弱なユーザーを起立位置180(図3B)にむかって補助しようとしている際には、調節可能な横方向速度は、例えば、限定するものではないが、横方向アクチュエータ126に供給される電力を制限することにより、相対的に低い速度に設定しうる。
【0028】
図6A及び図7に概略的に示されている身体補助ロボット装置100は、ユーザーの身元を認識するユーザー認識モジュール174を有する。ユーザー認識モジュール174は、直立支持部材112に結合可能であり、且つ、電子制御ユニット120と通信可能に結合可能である。ユーザー認識モジュール174は、ユーザーの身元を検知し、且つ、ユーザーの身元を示す識別信号を電子制御ユニット120に伝送する。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、識別信号を受信し、且つ、身元を電子メモリ122(図4)内に保存する。ユーザー認識モジュール174は、バーコードスキャナ、顔面認識カメラ、指紋スキャナ、PINデータを受け取るためのキーパッド、及びこれらの均等物であってよい。一実施形態においては、バーコードスキャナが直立支持部材112に取り付けられており、且つ、このバーコードスキャナは、例えば、限定するものではないが、患者識別リストバンドなどの表面から身元と関連するバーコードを判読すべく動作可能である。バーコードスキャナは、バーコードを解釈し、且つ、身元と関連した情報を電子制御ユニット120に伝送する。情報が受信されたら、前述のように、その情報を使用し、適切な少なくとも1つのユーザーパラメータを見出すことができる。
【0029】
図6A及び図7を更に参照すると、身体補助ロボット装置100の更なる実施形態は、ユーザーの適切な姿勢を認識する姿勢検出器172を有する。姿勢検出器172は、直立支持部材112に結合可能であり、且つ、電子制御ユニット120と通信可能に結合可能である。姿勢検出器172は、ユーザーの姿勢を示す姿勢信号を電子制御ユニット120に伝送する。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、姿勢信号を受信し、且つ、危険な姿勢に関する警報を提供する。更には、電子制御ユニット120は、電子制御ユニット120と通信可能に結合されたその他のコンポーネントに、例えば、動作電力の低減、制御された方式によるシャットダウン、又はユーザー姿勢の矯正など、検出された姿勢に従って矯正的な動作を実行させることができる。一実施形態においては、電子制御ユニット120(図4及び図5)は、ユーザーの姿勢に基づいて、電子制御ユニット120と通信可能に結合された駆動モーター140により、相対的に低い速度において駆動ホイール114を回転させる。別の実施形態においては、電子制御ユニット120は、上昇アクチュエータ124によって横方向部材130を並進させてユーザーの重心を変更すると共に不適切な姿勢を矯正する。更なる実施形態においては、電子制御ユニット120は、横方向アクチュエータ126によってハンドル132を並進させてユーザーの重心を変更すると共に危険な姿勢を矯正する。
【0030】
姿勢検出器172は、ユーザーの姿勢を識別する能力を有する任意のタイプのコンピュータビジョンシステムであってよい。例えば、姿勢検出器172は、カメラを利用してユーザーの頭及び肩の画像をキャプチャし、基準座標系との関係においてそれぞれの身体部位の位置及び向きを判定可能である。次いで、この情報を電子制御ユニット120に伝送可能であり、電子制御ユニットにおいて、この情報は、ユーザーの姿勢が適切であるかどうかを判定すべく処理される。不適切な姿勢が検出された場合には、モニタ、タッチスクリーン、スピーカ、警告灯、及びこれらの均等物を介して、警報をユーザーに提供可能である。更には、画像データは、単一画像として、複数の画像として、或いは、ビデオとして収集可能であることに留意されたい。
【0031】
次に図6A及び図7を参照すると、身体補助ロボット装置100の実施形態は、ユーザーを所望の目的地に案内するナビゲーションモジュール158を有することもできる。(後述する)協働モード又は自律モードのいずれかにおいて、ナビゲーションモジュールを利用し、位置情報を電子制御ユニット120に供給可能である(図4及び図5)。ナビゲーションモジュール158は、フレーム110に結合されており、且つ、電子制御ユニット120に通信可能に結合されている。ナビゲーションモジュール158は、トポグラフ情報を電子制御ユニット120に伝達する。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、トポグラフ情報に少なくとも部分的に基づいて駆動モーター140によって駆動ホイール114を回転させ、且つ、トポグラフ情報に少なくとも部分的に基づいて操向メカニズム154によって身体補助ロボット装置100及び101を操向する。尚、本明細書において使用されている「トポグラフ情報」という用語は、検知されたエリアの地物、関係、構成を意味している。
【0032】
ナビゲーションモジュール158は、任意の数のソナーセンサ、レーザー距離計、オンボードカメラ、及びトポグラフ情報を検知するこれらの均等物を包みうる。一実施形態においては、電子メモリ122(図4及び図5)は、施設の地図(例えば、主要な目印及び目的地を有する病院のもの)を保存している。ナビゲーションモジュール158は、ソナー、赤外線信号、高周波信号などを利用し、主要な目印を検出可能である。次いで、検出情報は、システムの相対的位置を判定する電子制御ユニット120(図4及び図5)に伝送される。相対的な位置が判定されたら、電子制御ユニットによって制御された駆動モーター140及び操向メカニズム154がシステムを目的地に向かって導く。この検出及び適合のシーケンスは、目的地に到達する時点まで反復される。目的地は、ユーザーによって入力可能であり、或いは、電子メモリ122内に予めプログラムしておくことも可能であることに留意されたい。
【0033】
本開示の別の実施形態においては、身体補助ロボット装置100は、身体補助ロボット装置100の場所を示す位置信号を伝送する無線通信機170を有する。無線通信機170は、例えば、ラジオ、パーソナルエリアネットワーク装置、ローカルエリアネットワーク装置、ワイドエリアネットワーク装置、及びこれらの均等物などの無線で通信する任意のタイプの装置であってよい。例えば、病院は、ラージエリアネットワークを装備可能であり、且つ、無線通信機170は、無線ネットワークインターフェイスカードであってよい。無線ネットワークインターフェイスカードは、ローカルエリアネットワークに接続されたコンピュータ又はモバイル装置などの任意の装置と通信する。従って、無線通信機170は、ネットワークに接続された装置との間において、場所、ユーザーパラメータ情報、又は任意のその他のデータなどの情報を交換可能である。例えば、無線通信機170は、ネットワークに接続されたサーバーから伝送されるトポグラフ情報又は駆動命令を受信可能である。
【0034】
次に図6A〜図7を参照すると、本開示の実施形態は、力検知装置150を有し、この力検知装置は、協働モードにおいて本開示の実施形態をユーザーが動作させるための制御メカニズムを提供する。力検知装置150は、電子制御ユニット120(図4及び図5)と通信可能に結合されており、電子制御ユニットが、機械可読命令を実行して協働モード又は自律モードを設定する。
【0035】
協働モードにおいて動作している際には、電子制御ユニット120は、力検知装置150によって検出された操向力に少なくとも基づいて駆動モーター140によって駆動ホイール114を回転させる。一実施形態において、力検知装置150(図6A)は、ハンドル132に印加された操向力を検知すべく、横方向部材130とハンドル132との間に配設されている。ユーザーは、操向力をハンドル132に印加することにより、身体補助ロボットシステム200を動作させる。電子制御ユニット120は、検知された操向力に応答し、例えば、力検知装置150によって検出された操向力に比例して駆動ホイール114の回転速度を設定する。従って、ハンドルから検知される操向力が増大するのに伴って、駆動ホイール114の回転速度が増大する。例えば、ユーザーは、ハンドル132を把持した状態において歩行可能である。ユーザーの歩行ペースにより、駆動ホイール114の回転速度が制御される。同様に、ユーザーは、ハンドル132を把持しつつ、足置き164によって支持された状態において、乗ることも可能である。ユーザーの体重シフトの大きさが力検知装置150によって検出され、且つ、これにより、駆動ホイール114の回転速度が制御される。別の実施形態においては、力検知装置150(図6C)は、足置き164に印加された操向力を検知すべく、足置き164上に又はその内部に配設されている。ユーザーは、操向力を足置き164に印加して駆動ホイール114の回転速度を制御することにより、身体補助ロボットシステム200を動作させる。ユーザーは、例えば、体重をシフトさせることによって操向力を力検知装置150に印加しつつ、足置き164によって支持された状態において、乗ることができる。この結果、前述のように、力検知装置150によって速度が制御される。この速度制御は、ユーザーが速度を制御している際に、コースに沿って身体補助ロボットシステム200を案内するナビゲーションモジュール158及び操向メカニズム154によって補うことができる。
【0036】
更なる実施形態は、電子制御ユニット120に通信可能に結合された追加の力検知装置152を有する。一実施形態においては、追加の力検知装置152(図6A)は、追加のハンドル136に印加された操向力を検知すべく、追加の横方向部材134と追加のハンドル136の間に配設されている。別の実施形態においては、追加の力検知装置152(図6B)は、足置き164に印加された操向力を検知すべく、足置き164上又はその内部に配設されている。ユーザーは、異なる量の操向力を力検知装置150及び追加の力検知装置152に印加することにより、操向メカニズム154を操向する。例えば、電子制御ユニット120は、異なる量の操向力に応答し、操向メカニズムによって身体補助ロボットシステム200を旋回させる。
【0037】
自律モードにおいて動作している際には、電子制御ユニット120は、駆動モーター140によって駆動ホイール114を回転させ、身体補助ロボットシステム100を自律的に推進させる。例えば、身体補助ロボットシステム200は、電子メモリ122内に保存されている目的地に、ユーザーを自律的に搬送可能である。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、目的地をトポグラフ情報と比較し、且つ、目的地に到達するための適切な動作シーケンスを決定する。電子制御ユニット120が駆動モーター140及び操向メカニズム154を制御し、目的地に向かって推進させる。身体補助ロボットシステム200、201は、自律的にユーザーを目的地に搬送可能である。
【0038】
次に図1及び図3A〜図3Cを参照すれば、本開示の実施形態は、ユーザーを起立位置180と非起立位置182との間で移行させる。例えば、身体補助ロボットシステム200の一実施形態は、ユーザーのベッドサイドに自律的にナビゲートする(図1)。ユーザーは、非起立位置182にある際に、ハンドル132を把持する。横方向アクチュエータ126(図3A)がハンドル132をx軸に沿って直立支持部材112に向かって並進させ、且つ、ユーザーの重心を前方にシフトさせる。基部アクチュエータ162(図3A)が、基部部材160を直立支持部材112から離れるようにx軸に沿って並進させる。上昇アクチュエータ124(図3B)が、横方向部材130をy軸に沿って並進させ、これにより、ユーザーの起立位置180への持ち上げを補助する。前述のように、ユーザーが所望の目的地に案内された後に(図3C)、横方向アクチュエータ126は、ハンドル132を直立支持部材112から離れるようにx軸に沿って並進させ、且つ、ユーザーの重心を後方にシフトさせる。上昇アクチュエータ124が、横方向部材130をy軸に沿って並進させ、これにより、ユーザーの非起立位置182への降下を補助する。尚、起立位置180と非起立位置との間での移行が順番に記述されているが、上昇アクチュエータ124及び横方向アクチュエータ126の動作は、本開示の範囲を逸脱することなしに、任意の順序において、或いは、同時に、実行可能であることに留意されたい。
【0039】
次に図2及び図5を参照すれば、身体補助ロボットシステム201の代替実施形態は、電子制御ユニット120に通信可能に結合された回転アクチュエータ206を有する。電子制御ユニット120は、機械可読命令を実行することにより、回転アクチュエータ206によって半径方向支持部材128を回転させ、ユーザーを起立位置180と非起立位置182との間で移行させる。例えば、胴体支持部材210がユーザーの胴体との接触状態にある際には、力がユーザーから半径方向支持部材208に伝達される。半径方向支持部材208が直立支持部材208に向かって回転するのに伴って、非起立位置182から起立位置180に移動すべくユーザーが消費を要するエネルギーは小さくなる。同様に、半径方向支持部材208が直立支持部材112から離れるように回転するのに伴って、起立位置180から非起立位置182に移動すべくユーザーが消費を要するエネルギーは少なくなる。尚、本明細書において使用されている「直立」という用語は、体重の大部分が足によって支持されている直立姿勢であることを意味している。
【0040】
いまや、本明細書に記述されている実施形態は、身体補助ロボット装置及びシステムに関するものであることが理解されよう。これらの実施形態は、着座、起立、及び歩行を補助するメカニズム及び自律的な動作を提供することにより、人々に対して移動性を提供する。着座及び起立の補助は、ユーザーを起立位置と非起立位置との間で移行させる被作動メカニズムによって提供される。更には、協働モード及び自律モードを提供することにより、歩行が促進される。これらのモードのそれぞれのものは、ユーザーに身体的な支持を提供する。ユーザーを所望の目的地に搬送する乗用構造及び自律的動作により、更なる移動性がユーザーに提供される。
【0041】
尚、「実質的」及び「略」という用語は、本明細書においては、量的な比較、値、計測値、又はその他の表現に帰することができる不確実性の固有の程度を表すべく利用されている場合があることに留意されたい。又、これらの用語は、本明細書においては、量的表現が、対象の主題の基本的な機能の変化を結果的にもたらすことなしに、記述されている基準から変化することができる程度を表すためにも利用されている。
【0042】
以上、特定の実施形態について図示及び記述したが、特許請求されている主題の精神及び範囲を逸脱することなしに、様々なその他の変更及び変形を実施可能であることを理解されたい。更には、本明細書においては、特許請求されている主題の様々な態様について記述しているが、これらの態様の組合せとしての利用は、必須ではない。従って、添付の請求項は、特許請求されている主題の範囲に含まれるそれらすべての変更及び変形を包含するものと解釈されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立支持部材を有するフレームと、
前記直立支持部材と摺動可能に係合した横方向部材と、
前記横方向部材と摺動可能に係合したハンドルと、
前記直立支持部材及び前記横方向部材に結合した上昇アクチュエータと、
前記横方向部材及び前記ハンドルに結合した横方向アクチュエータと、
を有し、
ユーザーを起立位置と非起立位置との間で移行させるべく、前記上昇アクチュエータが前記横方向部材を並進させると共に前記横方向アクチュエータが前記ハンドルを並進させる、身体補助ロボット装置。
【請求項2】
前記フレームと摺動可能に係合した基部部材と、
前記フレーム及び前記基部部材に結合した基部アクチュエータと、
を更に有し、
前記基部アクチュエータは、前記基部部材を並進させる請求項1に記載の身体補助ロボット装置。
【請求項3】
前記直立支持部材と摺動可能に係合し、且つ、前記上昇アクチュエータに結合した追加の横方向部材と、
前記追加の横方向部材と摺動可能に係合した追加のハンドルと、
前記追加の横方向部材及び前記追加のハンドルに結合した追加の横方向アクチュエータと、
を更に有し、
前記ユーザーを前記起立位置と前記非起立位置との間で移行させるべく、前記上昇アクチュエータが前記追加の横方向部材を並進させると共に前記追加の横方向アクチュエータが前記追加のハンドルを並進させる請求項1に記載の身体補助ロボット装置。
【請求項4】
機械可読命令を実行するプロセッサ及び前記機械可読命令を保存する電子メモリを有する電子制御ユニットと、
直立支持部材を有するフレームと、
前記フレームに回転可能に結合した駆動ホイールと、
前記駆動ホイールに結合した駆動モーターと、
前記直立支持部材と摺動可能に係合した横方向部材と、
前記横方向部材と摺動可能に係合したハンドルと、
前記横方向部材及び前記ハンドルに結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合した横方向アクチュエータと
前記直立支持部材及び前記横方向部材に結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合した上昇アクチュエータと、
を有し、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記電子メモリ内に保存されているデータベースから少なくとも1つのユーザーパラメータを取得し、
少なくとも1つのユーザーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、調節可能な上昇速度を設定し、且つ、
ユーザーを起立位置と非起立位置との間で移行させるべく、前記調節可能な上昇速度に従って前記上昇アクチュエータによって前記横方向部材を並進させる、身体補助ロボットシステム。
【請求項5】
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記少なくとも1つのユーザーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、調節可能な上昇停止点を設定し、且つ、
前記上昇アクチュエータによって前記横方向部材を前記調節可能な上昇停止点に配置する請求項4に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項6】
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記少なくとも1つのユーザーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、調節可能な横方向速度を設定し、且つ、
前記ユーザーを前記起立位置と前記非起立位置との間で移行させるべく、前記調節可能な横方向速度に従って前記横方向アクチュエータによって前記ハンドルを並進させる請求項4に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項7】
前記電子制御ユニットに通信可能に結合したユーザー認識モジュールを更に有し、
前記ユーザーの身元を示す識別信号が前記電子制御ユニットに伝送され、且つ、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記識別信号を受信し、且つ、
前記身元を前記電子メモリ内に保存する請求項4に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項8】
前記直立支持部材に結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合した姿勢検出器を更に有し、
前記姿勢検出器は、前記ユーザーの姿勢を示す姿勢信号を前記電子制御ユニットに伝送し、且つ、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記姿勢信号を受信し、且つ、
危険な姿勢が検出された際に警報を提供する請求項4に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項9】
前記フレームに回転可能に結合した支持ホイールと、
前記フレームに結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合した操向メカニズムと、
前記フレームに結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合したナビゲーションモジュールと、
を更に有し、
前記ナビゲーションモジュールは、トポグラフ情報を前記電子制御ユニットに伝達し、且つ、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記トポグラフ情報に少なくとも部分的に基づいて前記駆動モーターによって前記駆動ホイールを回転させ、且つ、
前記トポグラフ情報に少なくとも部分的に基づいて前記操向メカニズムによって前記身体補助ロボットシステムを操向する請求項4に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項10】
前記直立支持部材に結合し、且つ、前記電子制御ユニットに通信可能に結合したマンマシンインターフェイスを更に有し、
前記マンマシンインターフェイスは、目的地情報を受け取り、且つ、前記目的地情報を前記電子制御ユニットに伝達し、且つ、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記目的地情報を前記電子メモリ内に保存し、
前記目的地情報に少なくとも部分的に基づいて前記駆動モーターによって前記駆動ホイールを回転させ、且つ、
前記目的地情報に少なくとも部分的に基づいて前記操向メカニズムによって前記身体補助ロボットシステムを操向する請求項9に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項11】
身体補助ロボットシステムであって、
機械可読命令を実行するプロセッサ及び前記機械可読命令を保存する電子メモリを有する電子制御ユニットと、
直立支持部材を有するフレームと、
前記フレームに回転可能に結合した駆動ホイールと、
前記フレームに回転可能に結合した支持ホイールと、
前記駆動ホイールに結合し、且つ、前記電子制御ユニットに通信可能に結合した駆動モーターと、
操向力を検出すべく前記電子制御ユニットに通信可能に結合した力検知装置と、
を有し、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
協働モード又は自律モードを設定し、
当該身体補助ロボットシステムが前記協働モードにおいて稼働している際には、前記力検知装置によって検出された操向力に少なくとも部分的に基づいて前記駆動モーターによって前記駆動ホイールを回転させ、且つ、
当該身体補助ロボットシステムが前記自律モードにおいて稼働している際には、前記駆動モーターによって前記駆動ホイールを回転させて前記身体補助ロボットシステムを自律的に推進させる、身体補助ロボットシステム。
【請求項12】
前記フレームと運動可能に係合した足置きと、
前記フレーム及び前記足置きに結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合した足置きアクチュエータと、
を更に有し、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、前記足置きアクチュエータによって前記足置きを収納又は展開する請求項11に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項13】
前記フレームと回転可能に係合した半径方向支持部材と、
前記半径方向支持部材に結合した胴体支持部材と、
前記フレーム及び前記半径方向支持部材に結合し、且つ、前記電子制御ユニットに通信可能に結合した回転アクチュエータと、
を更に有し、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、ユーザーを起立位置と非起立位置との間で移行させるべく前記回転アクチュエータによって前記半径方向支持部材を回転させる請求項11に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項14】
前記フレームに結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合した操向メカニズムを更に有し、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
目的地情報を前記電子メモリ内に保存し、
目的地情報に少なくとも部分的に基づいて前記駆動モーターによって前記駆動ホイールを回転させ、且つ、
前記目的地情報に少なくとも部分的に基づいて前記操向メカニズムによって当該身体補助ロボットシステムを操向する請求項11に記載の身体補助ロボットシステム。
【請求項15】
前記フレームに結合し、且つ、前記電子制御ユニットと通信可能に結合したナビゲーションモジュールを更に有し、
前記電子制御ユニットは、前記機械可読命令を実行することにより、
前記ナビゲーションモジュールからトポグラフ情報を受信し、
前記トポグラフ情報に少なくとも部分的に基づいて前記駆動モーターによって前記駆動ホイールを回転させ、且つ、
前記トポグラフ情報に少なくとも部分的に基づいて前記操向メカニズムによって前記身体補助ロボットシステムを操向する請求項14に記載の身体補助ロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−30077(P2012−30077A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−167618(P2011−167618)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(507342261)トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド (135)
【出願人】(511185715)イリノイ インスティテュート オブ テクノロジー (3)
【Fターム(参考)】