説明

身障者専用駐車スペース駐車規制装置及び送信機

【課題】身障者駐車スペースにおける許可されない車両の駐車を抑止可能な装置の設置を促進できるように、簡易な駐車規制装置と送信機を考案する。
【解決手段】電源工事が不要なように電池で駆動でき、本体以外の機器を必要としない
シンプルな構成の駐車規制装置2を身障者専用駐車スペース1に設置する。身障者のみに配布される送信機5は、駐車規制装置2への登録なしで使用可能であり、送信機5の操作により規制部3が倒れ駐車可能となる。
また安全のため、駐車のために操作した送信機5の識別コードは駐車規制装置内に記録され退出するまではその送信機以外の規制部の起立信号は受付けないシステムとする。
また、その送信機は不正に入手し使用されないよう、一定回数の使用制限機能を有し、送信機能停止後は再更新の手続きを求めることにより長期間の不正使用を排除できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車椅子マークの表示された身障者専用駐車スペース等において利用可能者以外の駐車を排除し、身障者の駐車スペースを確保する駐車規制装置及び送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公共施設や量販店、高速道路サービスエリアには車椅子のマークを表示した身障者専用駐車スペースが設けられているが、身障者用ではない車両の駐車が散見されるため、その排除方法が以下のように提案、実施されている。
【0003】
身障者車専用駐車場を柵で囲い専用駐車エリアとし、あらかじめ配布したリモコン等によって作動するゲートを出入口に設置することにより、身障者車両以外の駐車を規制する。この場合、専用駐車エリアとして囲い込むため柵の設置、出入ゲートの設置、ゲート制御盤及び車両通過確認のためのセンサー等機器が必要でありそのコストからして少台数の専用駐車スペース確保には向いていない。
【0004】
また、特許文献1には各個別の身障車専用スペースに、フラッパー板と呼ばれる昇降式車輪留め、信号送受信機、識別コード認証部、制御部からなる装置を設置し、その複数 台の装置を送信信号の強弱によりその位置特定を行い、車両センサーによる車両の有無を検知してフラッパー板を自動制御するという技術が開示されている。
この場合、1台ずつのスペース確保が可能であるがあらかじめ受信装置に識別コードが登録されている必要がある。また車両退出後のフラッパー板自動上昇のための車両検知センサーが必要である他、各機器間の電源配線などの付帯工事が発生し、コストを大幅に上昇させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−334460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、広く普及させるために障害となる複雑な機器構成による1台あたりのコストの増大、また機器作動用送信機を受信機にあらかじめ登録する必要がある、その利便性ゆえに想定される送信機の不正入手、使用の排除を考慮するといった点である。
そこで、本発明は、身障者のみが駐車可能なスペースの確保を低コストで簡易な方法により、身障者が送信機さえ保有していれば全国一律にそのシステムを利用でき、かつ不正使用をなくすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の課題解決手段は、身障者専用駐車スペースに車両の進入を規制するようなバー、板が電池駆動により直立・伏臥する電源工事不要な信号受信部内蔵の一体型の駐車規制装置を設置するものである。
この装置は、電池を含め信号受信部、駆動部、制御部がすべて包含された駐車規制装置であり、簡易に路面上に本体を固定する以外の機器及び工事を必要としないことを特徴とする装置である。
【0008】
また、第2の課題解決手段は、あらかじめ身障者が公的な証明を要する正規の申請により駐車規制装置の操作可能な送信機を入手する。この送信機はその識別コード等をあらかじめ登録することを必要とせず、送信機保有者はどの駐車規制装置でも作動させることが可能であり、空駐車スペースに直立しているバー、板の規制部を、その送信機を向けて送信することにより規制部を倒して車両が進入駐車可能な状態にできるものとする。
また、その操作した送信機の識別コードは駐車規制装置内の制御部に記録され、バー、板を倒して駐車しその後退出するまで他の送信機による操作は受付けないということを特徴とする。
これは駐車中に、他の送信機保有者がその送信機を操作して、すでに使用されている駐車スペースの駐車規制装置を誤操作させないための重要な点である。
【0009】
第3の課題解決手段は、この駐車規制装置が広く普及した場合、登録不要のシステムのため、その送信機を使用することにより優先的にすべての身障者専用駐車スペースが利用可能となり、その送信機を身障者以外が譲渡、転売により不正に入手し濫用することが懸念される。
それを抑止するためその送信機本体に、利用可能な回数制限もしくは時間制限を設定可能とし一定回数、一定期間の使用制限を行うことができ、制限を超えた場合は使用ができなくなり、その更新には初回申請時と同じく公的な証明を要求することにより送信機の発行及び配布状況の確認、管理が行えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、公共施設や量販店、高速道路のサービスエリア等の身障者専用駐車スペースに許可されない車両が駐車占拠し、身障者の正当な利用を阻害することを低コストで簡単に排除できる。
【0011】
特に送信機の識別コード登録が不要なため、全国規模でこの装置が展開された場合インターネットなどの大規模システムを利用した登録、抹消システムなしで身障者に送信機を配布するだけで運用可能となり、送信機保有者は全国どこでもこの駐車規制装置を利用可能となる。
同時に、使用可能回数、期間の制限が設定可能な送信機により不正な申請や譲渡、転売により入手した送信機を長期にわたり不正に使用することも排除可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】装置本体及び送信機を示す斜視図である。
【図3】装置本体の機構を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1 、図2、図3に基づいて説明する。
【0014】
図1にあるように、身障者駐車スペース1にこの駐車規制装置2を設置する。この装置2は、図3のように規制部3と、ギアードモータ11、作動用電池15、規制部3を起立や倒すためギアードモータ11の動作を伝えるためのクランク及びリンクバー12、カム13、規制部駆動軸14を内蔵し、さらに送信機5により作動するための受信及び制御基板をすべて格納した駆動部4からなる一体型の装置である。
そのため電源の配線や信号線は不要であり、この駐車規制装置2の設置は、規制したい身障者駐車スペース1上の路面へ簡単に固定するだけでよい。
【0015】
通常は、U字型の規制部3は直立しており駐車する車両の身障者駐車スペース1への進入を阻んでいる。また規制部の形状は、立位で車両の進入を阻止でき臥位で進入が可能となるバー、板の形状も可とする。
【0016】
図2のように、あらかじめ身障者手帳等の公的認証を受けて配布された送信機5を駐車したい場所の駐車規制装置2の受信部6に向けて、押ボタン7を操作すると受信及び制御基板16がギアードモータ11を正回転させ、クランク及びリンクバー12、カム13を介して規制部駆動軸14を回転させ規制部3を90度倒して、規制部3aの臥位状態まで付勢させる。この動作により車両はその身障者駐車スペースに進入可能となり、駐車させることができる。
また駐車規制装置2は、その構成部である駆動部3と規制部3aがともに駐車する際に車両により踏まれても損壊しない強度を持つものである。
【0017】
一旦下降させた規制部3aは、同一の送信機5でなければ上昇させられない。即ち他の送信機保有者による誤操作によって、車両があるにも関わらず規制部3aが起立するといった事故を回避する。
駐車規制装置2の内部の受信及び制御基板16は、規制部3を倒し駐車可能とした送信機5のコードを内部に記録し同一コードの送信機5によってのみ規制部3aを起立させられるものである。これは、悪戯や不注意による駐車車両の送信機5以外の操作による駐車規制装置2の誤動作を防ぐために重要な点である。
但し、管理者用にどの状態にあっても動作可能な送信機をマスター送信機として用意し、利用者が退出後規制部3aを上げ忘れた場合に管理者が規制部3a起立させることや送信機を持たない身障者のため管理者が駐車を許可する際に規制部3を倒すために使用可能な送信機とする。
【0018】
その身障者駐車スペース1から、退出する際は車両を身障者駐車スペース1から車両を退出させた後、再度送信機5を操作して次の利用者のために規制部3aを上昇させ、直立させ初期の状態に戻しておく。
送信機5の信号は、受信及び制御基板16によりギアードモータ11に逆転信号として伝えられ、倒す場合と逆に規制部3aを起立させ規制部3の姿勢とする。
この操作によりその身障者専用駐車スペース1は次の利用者のため確保される。
【0019】
その送信機5の内部には、回数をカウントする回路が組み込まれ、駐車規制装置2を作動させる際の送信機5の押ボタン7の操作回数を累積し送信機内部に記録する。
それによりあらかじめ設定した回数に達すると、機能は停止しその送信機5は使用不能となる。その回数は不揮発性のメモリに記録されるため、送信機内部の電池を変えても消えることなく保持される。
これにより一旦入手した送信機5が、その所有の正当性の有無に関わらず恒久的に使用されるといったことはなく、一定期間での更新が必ず必要となり所有の可否のチェックを行うことができ、それにより長期にわたる不正使用を排除できる。
回数による制限の他、内部の時計により一定期間以降の使用を不能とする方法も提供され得る。
【符号の説明】
【0020】
1 身障者駐車スペース
2 駐車規制装置
3 規制部(立位状態)
3a 規制部(臥位状態)
4 駆動部
5 送信機
6 受信部
7 送信機押ボタン
8 送信波イメージ
11 ギアードモータ
12 クランク及びリンクバー
13 カム
14 規制部駆動軸
15 作動用乾電池
16 受信及び制御基板



















【特許請求の範囲】
【請求項1】
身障者専用駐車スペース内に設置され、車両検知センサー、受信部、昇降装置、識別部など多くの構成機器に分割されずまたそれらの電源、信号のための配線配管工事を必要としない電源内蔵の完全一体型を特徴とする駐車規制装置。
【請求項2】
請求項1の駐車規制装置を動作させられる送信機は、身障者手帳等の公的な証明が可能な場合に事前に配布される。その送信機は、あらかじめ駐車規制装置への登録は不要であり、どこに設置されている駐車規制装置も送信機を使用して利用することが可能となる。
また、利用中の駐車規制装置内の受信及び制御基板にはその規制部を倒すために使用した送信機の識別コードが記録され、他の送信機の信号によって誤って起立させるといった誤動作を起こさないように制御されるシステム。
【請求項3】
請求項1の駐車規制装置を動作させる請求項2の送信機において、この装置の運用の際、その利便性ゆえに送信機を不正に入手し悪用される可能性が高いため、送信機に一定の使用回数を設定できるものとし、その制限回数に達した送信機は使用不能となり更新のため再申請を要する。そのため受信機側に登録、抹消機能はなくても更新の際、公的証明をチェックすることにより無秩序な長期間の不正使用を阻止することが可能なシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate