説明

車両のアクセルペダル制御装置および車両の制御装置

【課題】 運転者の違和感を回避できるようにアクセルペダルの踏力を制御する。
【解決手段】 ECUは、アクセルペダル操作量を検知するステップ(S100)と、実スロットル開度を検知するステップ(S200)と、アクセルペダル操作量が0以上であると(S300にてYES)、実スロットル開度が0であるか否かを判断するステップ(S400)と、実スロットル開度が0であると(S400にてYES)、アクセルペダル開度のみに依存してアクセルペダルの目標荷重を算出するステップ(S500)と、実スロットル開度が0でないと(S400にてNO)、アクセルペダル開度および実スロットル開度に依存してアクセルペダルの目標荷重を算出するステップ(S600)とを含むプログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられるアクセルペダルに関し、特に、スロットルバルブと機械的構造を用いず接続されているアクセルベダルの踏力特性を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アクセルペダルは、ばねやダンパ等を用い、踏力特性は一定のものとなっていた。また、最近では、アクセルペダルとスロットルバルブのアクチュエータとが機械的な構造を用いずワイヤにより接続されているアクセルバイワイヤ方式のものが知られている。
【0003】
このようなアクセルペダルは、ペダルの踏力を制御することはできず、すなわち、踏力特性を変化させることができないものであった。そのため、スロットルバルブのアクチュエータ側でその特性を変化させるようにしたものも知られていた。この特性は変化させることができても、ペダル操作フィーリングを良好なものに設定することが困難であった。さらに、ペダル操作フィーリングと車両挙動の関連性が小さかったので、ペダル操作フィーリングを介して車両挙動をドライバに伝えることはできなかった。
【0004】
特開2003−293798号公報(特許文献1)は、電動モータを用いてアクセルペダルの踏力を制御して、ペダル操作フィーリングを良好に保つことができる踏力特性制御装置を開示する。この踏力特性制御装置は、スロットルアクチュエータと機械的リンク構造を用いず接続されているアクセルベダルの踏力特性を制御する踏力特性制御装置であって、アクセルペダル開度を検出するアクセルペダル開度センサと、このアクセルペダル開度を入力としたアクセルペダル踏力特性モデルから予め設定した目標アクセルペダル踏力特性となるようにアクセルペダル用電動モータの制御量を演算する目標アクセルペダル踏力演算部と、このアクセルペダル用電動モータの制御量によりアクセルペダル用電動モータを制御するアクセルペダル用電動モータ制御部とを有する。さらに好ましくは、アクセルペダル踏力特性モデルは、ばね成分、粘性成分および摩擦成分を含み、これらの各成分の特性パラメータが所定の車速毎に設定されているものである。
【0005】
この踏力特性制御装置によると、目標アクセルペダル踏力演算部がアクセルペダル開度を入力としたアクセルペダル踏力特性モデルから予め設定した目標アクセルペダル踏力特性となるようにアクセルペダル用電動モータの制御量を演算し、アクセルペダル用電動モータ制御部がこのアクセルペダル用電動モータの制御量によりアクセルペダル用電動モータを制御するようにしている。このとき、アクセルペダル踏力特性モデルは、所定の車速毎に設定(車速や加速度が高いほど踏力が大きくなるように設定)されている。このため、ペダル操作フィーリングを良好に保つことができる。
【特許文献1】特開2003−293798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、車両が高速道路などを走行しているときに、他車を追い越すために自車を加速させるときには運転者はアクセルペダルを比較的早く踏込んで速やかに加速させたい。しかしながら、特許文献1に開示された踏力特性制御装置によると、車速が高いときにはアクセルペダル踏力も比較的大きく設定されている。このため、速やかに加速させたいという運転者の加速意思に反して、運転者が違和感を感じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、運転者が違和感を感じることを回避できる、アクセルペダルの踏力を制御する、車両のアクセルペダル制御装置を提供することである。本発明の別の目的は、このような車両のアクセルペダル制御装置を搭載した車両の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る車両のアクセルペダル制御装置は、車両の駆動源から発生する駆動力と相関関係を有する情報を検知するための検知手段と、運転者により操作されるアクセルペダルの踏力を制御するための踏力制御手段とを含む。踏力制御手段は、検知手段により検知された情報の変化に対応させて、踏力を変化するように制御するための手段を含む。
【0009】
第1の発明によると、内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン)を搭載した車両における駆動源(エンジン)、ハイブリッド車のEV走行、電気自動車、燃料電池車などにおける駆動源(モータ)から発生する駆動力と相関関係のある情報が検知される。この情報は、たとえば、エンジンであれば吸入空気量を調整する吸入空気量制御弁の開度であるし、モータであればモータを駆動するインバータへの指令信号などである。この情報は駆動力と相関関係があり、この情報に基づいて、たとえば駆動力が大きいと、アクセルペダルの踏力が大きくなるように制御する。このようにすると、既に高い駆動力が出力されているときにはアクセルペダルを強く踏込まないと駆動力が増加しない。すなわち、アクセルペダルを強く踏込むという運転者の要求に対応させて、駆動力を増加させるようにできる。一方、低い駆動力しか出力されていないときにはアクセルペダルを緩く踏込んだだけで駆動力が増加する。そのため、運転者が要求する駆動力を、運転者の意図に沿って出力できるように、アクセルペダルの踏力を制御できる。その結果、運転者が違和感を感じることを回避できる、アクセルペダルの踏力を制御する、車両のアクセルペダル制御装置を提供することができる。
【0010】
第2の発明に係る車両のアクセルペダル制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、情報は物理量であって、相関関係は、物理量が大きいほど駆動力が大きいという関係である。踏力制御手段は、物理量の増加に対応させてアクセルペダル踏力を増加するように制御するための手段を含む。
【0011】
第2の発明によると、内燃機関を搭載した車両、ハイブリッド車のEV走行、電気自動車、燃料電池車などにおいて、情報として検知した物理量(吸入空気量制御弁開度、インバータ指令信号など)に基づいて、駆動源から高い駆動力が出力されているときには、アクセルペダルの踏力が大きくなるように変化させる。このようにすると、高速走行時であっても、高い駆動力が出力されていないとき(たとえば平坦な高速道路や緩やかな下り坂の高速道路)、前方車両を追い越す場合にはアクセルペダルを緩く踏込んだだけで駆動力が増加して、車両を速やかに加速させることができる。その結果、運転者が要求する駆動力を、運転者の意図に沿って出力できるように、アクセルペダルの踏力を制御できる。
【0012】
第3の発明に係る車両のアクセルペダル制御装置は、内燃機関への吸入空気量を制御する吸入空気量制御弁の開度を検知するための弁開度検知手段と、運転者により操作されるアクセルペダルの踏力を制御するための踏力制御手段とを含む。踏力制御手段は、弁開度検知手段により検知された弁開度の変化に対応させて、踏力を変化するように制御するための手段を含む。
【0013】
第3の発明によると、内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン)を搭載した車両における吸入空気量を調整する吸入空気量制御弁の開度が検知され、たとえば弁開度が大きい(すなわち駆動力が大きい)と、アクセルペダルの踏力を大きくする。このようにすると、既に高い駆動力が出力されているときにはアクセルペダルを強く踏込まないと駆動力が増加しない。一方、低い駆動力しか出力されていないときにはアクセルペダルを緩く踏込んだだけで駆動力が増加する。そのため、運転者が要求する駆動力を、運転者の意図に沿って出力できるように、アクセルペダルの踏力を制御できる。その結果、運転者が違和感を感じることを回避できる、アクセルペダルの踏力を制御する、車両のアクセルペダル制御装置を提供することができる。
【0014】
第4の発明に係る車両のアクセルペダル制御装置においては、第3の発明の構成に加えて、踏力制御手段は、弁開度の増加に対応させてアクセルペダル踏力を増加するように制御するための手段を含む。
【0015】
第4の発明によると、内燃機関を搭載した車両において弁開度が大きい(すなわち駆動力が大きい)と、アクセルペダルの踏力を大きくする。このようにすると、高速走行時であっても、高い駆動力が出力されていないとき(たとえば平坦な高速道路や緩やかな下り坂の高速道路)、前方車両を追い越す場合にはアクセルペダルを緩く踏込んだだけで駆動力が増加して、車両を速やかに加速させることができる。その結果、運転者が要求する駆動力を、運転者の意図に沿って出力できるように、アクセルペダルの踏力を制御できる。
【0016】
第5の発明に係る車両のアクセルペダル制御装置においては、第3または4の発明の構成に加えて、踏力制御手段は、弁開度が零であると、ペダル操作量に対応した踏力のみを発生させるように制御するための手段を含む。
【0017】
第5の発明によると、吸入空気量を調整する吸入空気量制御弁の開度が零であるときには、内燃機関はアイドル状態であり、最も低い駆動力しか出力していない。このような場合には、ペダル操作量に対応した踏力のみを発生させるようにして、運転者のアクセルペダル操作にレスポンス良く対応させることができる。
【0018】
第6の発明に係る車両のアクセルペダル制御装置は、第3の発明の構成に加えて、アクセルペダルの操作量を検知するためのペダル操作量検知手段をさらに含む。踏力制御手段は、弁開度の変化に加えて、ペダル操作量検知手段により検知されたペダル操作量の変化に対応させて、踏力を変化するように制御するための手段を含む。
【0019】
第6の発明によると、吸入空気量を調整する吸入空気量制御弁の開度に加えて、運転者によるアクセルペダルの操作量に基づいて、アクセルペダルの踏力を変化させる。運転者の実際の操作であるアクセルペダルの操作量に基づいてアクセルペダルの踏力を制御するので、より運転者のアクセルペダル操作フィーリングに車両の挙動を一致させることができる。
【0020】
第7の発明に係る車両のアクセルペダル制御装置においては、第6の発明の構成に加えて、踏力制御手段は、ペダル操作量の増加に応じてアクセルペダル踏力を増加するように制御するための手段を含む。
【0021】
第7の発明によると、アクセルペダルの操作量が小さいときに(あまりアクセルペダルを踏込んでいないときに)、運転者がアクセルペダルを操作するときには、駆動力の速やかな増加を要求していると考えられるので、踏力を小さくして駆動力の増加を速やかに実現させることができる。一方、アクセルペダルの操作量が大きいときに(既にアクセルペダルが踏込まれているときに)、運転者がアクセルペダルを操作するときには、駆動力の速やかな増加を要求しているとは考えにくいので、踏力を大きくして駆動力の増加を緩やかに実現させることができる。このことは、既にアクセルペダルの操作量が大きいときにはアクセルペダルの踏力を大きくしておいて、それでも運転者によりアクセルペダルが大きく操作された場合には、運転者の要求に応じて速やかに駆動力を増加させることになる。
【0022】
第8の発明に係る車両の制御装置は、第3〜7の発明の構成であるアクセルペダル制御装置を搭載した車両の制御装置である。この制御装置は、ペダル開度検知手段により検知されたアクセルペダル開度に基づいて、車両の発生すべき駆動力を設定するための目標駆動力設定手段と、目標駆動力設定手段により設定された目標駆動力に応じて吸入空気量制御弁を制御するための弁制御手段とを含む。
【0023】
第8の発明によると、上述したアクセルペダル制御装置を搭載した車両において、運転者が要求するように、車両の駆動力を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を搭載した車両の制御システムについて説明する。なお、この車両は、駆動源として内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン)を搭載した車両、駆動源として内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン)とモータとを搭載したハイブリッド車、駆動源としてモータを搭載した電気自動車、燃料電池車などである。なお、以下の説明ではエンジンを搭載した車両について説明する。エンジンではなくモータを搭載した車両の場合には、スロットルバルブの開度ではなくモータに接続されたインバータへの指令信号に基づいてアクセルペダルの踏力を制御するようにすればよい。
【0026】
図1の制御ブロック図に示すように、車両の制御システムは、本実施の形態に係る制御装置を実現するECU(Electronic Control Unit)400と、車両に搭載されたエンジンの吸入空気量を調整するスロットルバルブの開度を検知するスロットルバルブ開度センサ100と、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量を検知するアクセルペダル操作量センサ200と、操作荷重が可変なアクセルペダルを制御する操作荷重可変アクセルペダル制御装置300とを含む。
【0027】
スロットルバルブ開度センサ100は、スロットルバルブポジションセンサとも呼ばれ、たとえば、スロットルボディ開度に対して直線的に出力電圧が得られるホール効果を用いて磁界の強さを電気信号として取り出すことができるホール素子を用いた、非接点式のセンサである。スロットルバルブの開度が変化すると、ホール素子内の印加電流の流れに対する磁界の角度が変化するため、印加電流と垂直方向の磁界の強さが変化する。これにより印加電流と磁界との両方に対して垂直方向に発生する電圧の変化を、ECU400へスロットルバルブ開度信号として出力する。
【0028】
アクセルペダル操作量センサ200は、アクセルポジションセンサとも呼ばれ、アクセルペダルの踏込み量を検知する。たとえば、アクセルペダル操作量センサ200は、アクセルペダルの踏込み量に対して直線的に出力電圧が得られるリニアタイプのセンサであって、検知した電圧の変化を、ECU400へアクセルペダル操作量信号として出力する。
【0029】
操作荷重可変アクセルペダル制御装置300は、たとえば特許文献1に開示されたような、アクセルペダル用電動モータを用いて、アクセルペダルの踏力(操作荷重)を可変にするための制御装置である。操作荷重可変アクセルペダル制御装置300は、ECU400から入力されたアクセルペダルの操作荷重の目標荷重を表わす信号に基づいて、その目標荷重になるようにアクセルペダル用電動モータを制御する。
【0030】
ECU400は、スロットルバルブ開度センサ100から入力されるスロットルバルブ開度信号、アクセルペダル操作量センサ200から入力されるアクセルペダル操作量信号に基づいて、アクセルペダルの操作荷重の目標荷重を算出して、操作荷重可変アクセルペダル制御装置300に、その目標荷重を出力する。
【0031】
また、ECU400は、アクセルペダル操作量センサ200から入力されたアクセルペダル操作量信号や、他のECU(たとえば、スリップ時の車両の姿勢を制御するECU等)から要求された要求駆動力、その他車両の運転状態に基づいて、目標駆動力を算出して、スロットルバルブの開度を制御する。このとき、ECU400は、スロットルバルブのを駆動するスロットルバルブ駆動用モータ(たとえば、DCモータ)に開度指令信号を出力する。これにより、車両の発生すべき目標駆動力が設定され、設定された目標駆動力に応じてスロットルバルブ駆動モータが制御される。
【0032】
図2を参照して、図1のECU400で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0033】
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU400は、アクセルペダル操作量を検知する。このとき、ECU400は、アクセルペダル操作量センサ200から入力されたアクセルペダル操作量信号に基づいて、アクセルペダル操作量を検知する。
【0034】
S200にて、ECU400は、スロットルバルブの実スロットル開度を検知する。このとき、ECU400は、スロットルバルブ開度センサ100から入力されたスロットルバルブ開度信号に基づいて、実スロットル開度を検知する。
【0035】
S300にて、ECU400は、アクセルペダル操作量が0以上であるか否かを判断する。アクセルペダル操作量が0以上であると(S300にてYES)、処理はS400へ移される。もしそうでないと(S300にてNO)、この処理は終了する。
【0036】
S400にて、ECU400は、実スロットル開度が0であるか否かを判断する。実スロットル開度がであると(S400にてYES)、処理はS500へ移される。もしそうでないと(S400にてNO)、処理はS600へ移される。
【0037】
S500にて、ECU400は、アクセルペダルの目標荷重を、Fを関数として、目標荷重=F(アクセルペダル操作量)として算出する。その後、処理は終了する。
【0038】
S600にて、ECU400は、アクセルペダルの目標荷重を、FおよびGを関数として、目標荷重=F(アクセルペダル操作量)+G(実スロットル開度)として算出する。その後、処理は終了する。
【0039】
なお、S600において、アクセルペダル操作量を考慮することなく、実スロットル開度のみの関数を用いて目標荷重を算出するようにしてもよい。
【0040】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置を搭載した車両の動作について説明する。
【0041】
たとえば、車両が高速道路の緩やかな下り坂を走行中に、前方走行車両を追い越すために運転者がアクセルペダルを踏込んでいない状態から踏込むと、アクセルペダル操作量が0以上であると判断され(S300にてYES)、実スロットル開度が0であると判断される(S400にてYES)。このため、目標荷重は、目標荷重=F(アクセルペダル操作量)により算出される(S500)。このときの状態は、図3に示す時刻t(1)〜t(2)の状態である。
【0042】
このときには、アクセルペダルの操作量に対応させた目標荷重が設定されるので、運転者がアクセルペダルを踏込んだ分(操作量の分)に対応するだけ(実スロットル開度に依存しない)の目標荷重に設定される。設定された目標荷重になるようにアクセルペダル用電動モータが制御される。このときには実スロットル開度が0でないときよりも荷重が軽くなる。このため、運転者はアクセルペダルの重さを感じることが少なく、運転者がアクセルペダルを踏込む。踏込まれたアクセルペダルの操作量がアクセルペダル操作量センサ200により検知され、その操作量に対応する駆動力がエンジンから出力される。高い駆動力により速やかに車両を加速させて前方走行車両を追い越すことができる。その結果、運転者のアクセルペダル操作に対してレスポンス良く高い駆動力を発生させることができる。
【0043】
さらに、運転者がアクセルペダルを踏込んだ状態からさらにアクセルペダルを踏込むと、アクセルペダル操作量が0以上であると判断され(S300にてYES)、実スロットル開度が0でないと判断される(S400にてNO)。このため、目標荷重は、目標荷重=F(アクセルペダル操作量)+G(実スロットル開度)により算出される(S600)。このときの状態は、図3に示す時刻t(2)以降の状態である。
【0044】
このときには、アクセルペダルの操作量に対応させた目標荷重に加えて、実スロットル開度に対応させた目標荷重が設定される。設定された目標荷重になるようにアクセルペダル用電動モータが制御される。このときには実スロットル開度が0であるときよりも荷重が重くなる。このため、運転者はアクセルペダルの重さを感じてアクセルペダルを踏込む。踏込まれたアクセルペダルの操作量がアクセルペダル操作量センサ200により検知され、その操作量に対応する駆動力がエンジンから出力される。既に駆動力が発生されているので、アクセルペダルを強く踏込むという運転者の要求に対応させて、駆動力を増加させるようにできる。
【0045】
図3に示すように、関数Fはアクセルペダルの操作量が増えると目標荷重が大きくなり
、関数Gは実スロットル開度が増えると目標荷重が大きくなる関数であって、ともにリニアな関数である。ただし、本発明はこのような関数に限定されるものではない。
【0046】
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置によると、スロットルバルブの実スロットル開度が大きいとアクセルペダルの目標荷重を大きく、スロットルバルブの実スロットル開度が小さいとアクセルペダルの目標荷重を小さく、アクセルペダルの操作量が大きいとアクセルペダルの目標荷重を大きく、アクセルペダルの操作量が小さいとアクセルペダルの目標荷重を小さくするように、アクセルペダルの踏力(荷重)を変化させた。このようにすると、既に高い駆動力が出力されているときにはアクセルペダルを強く踏込まないと駆動力が増加しない。すなわち、アクセルペダルを強く踏込むという運転者の要求に対応させて、駆動力を増加させるようにできる。一方、低い駆動力しか出力されていないときにはアクセルペダルを緩く踏込んだだけで駆動力が増加する。そのため、運転者が要求する駆動力を、運転者の意図に沿って出力できるので、運転者が違和感を感じることを回避できる。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両のアクセルペダル制御装置の制御ブロック図である。
【図2】図1のECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図3】ペダル操作量、実スロットル開度、アクセルペダル目標荷重のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0049】
100 スロットルバルブ開度センサ、200 アクセルペダル操作量センサ、300 操作荷重可変アクセルペダル制御装置、400 ECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動源から発生する駆動力と相関関係を有する情報を検知するための検知手段と、
運転者により操作されるアクセルペダルの踏力を制御するための踏力制御手段とを含み、
前記踏力制御手段は、前記検知手段により検知された情報の変化に対応させて、前記踏力を変化するように制御するための手段を含む、車両のアクセルペダル制御装置。
【請求項2】
前記情報は物理量であって、前記相関関係は、前記物理量が大きいほど前記駆動力が大きいという関係であって、
前記踏力制御手段は、前記物理量の増加に対応させて前記アクセルペダル踏力を増加するように制御するための手段を含む、請求項1に記載のアクセルペダル制御装置。
【請求項3】
内燃機関への吸入空気量を制御する吸入空気量制御弁の開度を検知するための弁開度検知手段と、
運転者により操作されるアクセルペダルの踏力を制御するための踏力制御手段とを含み、
前記踏力制御手段は、前記弁開度検知手段により検知された弁開度の変化に対応させて、前記踏力を変化するように制御するための手段を含む、車両のアクセルペダル制御装置。
【請求項4】
前記踏力制御手段は、前記弁開度の増加に対応させて前記アクセルペダル踏力を増加するように制御するための手段を含む、請求項3に記載のアクセルペダル制御装置。
【請求項5】
前記踏力制御手段は、前記弁開度が零であると、前記ペダル操作量に対応した踏力のみを発生させるように制御するための手段を含む、請求項3または4に記載のアクセルペダル制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記アクセルペダルの操作量を検知するためのペダル操作量検知手段をさらに含み、
前記踏力制御手段は、前記弁開度の変化に加えて、前記ペダル操作量検知手段により検知されたペダル操作量の変化に対応させて、前記踏力を変化するように制御するための手段を含む、請求項3に記載のアクセルペダル制御装置。
【請求項7】
前記踏力制御手段は、前記ペダル操作量の増加に応じて前記アクセルペダル踏力を増加するように制御するための手段を含む、請求項6に記載のアクセルペダル制御装置。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれかに記載のアクセルペダル制御装置を搭載した車両の制御装置であって、
前記ペダル開度検知手段により検知されたアクセルペダル開度に基づいて、車両の発生すべき駆動力を設定するための目標駆動力設定手段と、
前記目標駆動力設定手段により設定された目標駆動力に応じて前記吸入空気量制御弁を制御するための弁制御手段とを含む、車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−111174(P2006−111174A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301961(P2004−301961)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】