説明

車両のアンダーランプロテクタ取付構造

【課題】エネルギ吸収ストロークの増大が可能であり、且つエネルギ吸収体の荷重特性を自由に設定できるアンダーランプロテクタ取付構造を提供する。
【解決手段】フロントアンダーランプロテクタ5をシャシフレーム4の前端部下方で支持するプロテクタ取付ブラケット6は、シャシフレーム4の前端部で車幅方向に延びる回転軸を介して回転可能に支持される。車両1の衝突によって、所定荷重を超える衝撃荷重がフロントアンダーランプロテクタ5に負荷された場合は、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24が、シャシフレーム4の底壁部10に設けた開口12を下方から挿通し、シャシフレーム4の上壁部9とプロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24の上面との間に配置されたエネルギ吸収体7を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の衝突時に相手車両のもぐり込みを防止し、衝撃エネルギを吸収するアンダーランプロテクタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2004−522646号公報に記載のアンダーラン保護部の配置では、リンクエレメントによってフレームから可動に吊り下げられたクロスビーム(アンダーランプロテクタ)の後部と、フレームに固定される取付金具(プロテクタ取付ブラケット)との間にエネルギ吸収チューブ(エネルギ吸収体)が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−522646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記アンダーラン保護部の配置では、車両の衝突により所定荷重を超える衝撃荷重がアンダーランプロテクタに加わると、アンダーランプロテクタが後方に移動し、エネルギ吸収体が後方に圧縮されて衝撃エネルギが吸収される。
【0005】
しかし、上記アンダーラン保護部の配置では、一端がフレームに固定されたプロテクタ取付ブラケットとアンダーランプロテクタの後部との間の限られたスペースにエネルギ吸収体が組み込んで配置されるため、エネルギ吸収体の前後方向の長さが自ずと制限される。従って、アンダーランプロテクタが後方に移動した際のエネルギ吸収体の圧縮量(エネルギ吸収ストローク)が短くなり、衝撃エネルギを十分に吸収できない可能性がある。また、エネルギ吸収体は、アンダーランプロテクタの後部においてプロテクタ取付ブラケットと一体化して機能する構造であるので、組み込まれるエネルギ吸収体の形状や材質等に制約が生じ、エネルギ吸収体の荷重特性の設定の自由度が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明では、エネルギ吸収ストロークの増大が可能であり、且つエネルギ吸収体の荷重特性を自由に設定できるアンダーランプロテクタ取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明のアンダーランプロテクタの取付構造は、車体フレームと、フロントアンダーランプロテクタと、開口と、プロテクタ取付ブラケットと、ブラケット回転規制部と、エネルギ吸収体とを備える。車体フレームは、上下で相対向する上壁部と底壁部とを備える。アンダーランプロテクタは、車体フレームの前端部下方に配置されて車幅方向に延びる。開口は、車体フレームの底壁部に設けられる。プロテクタ取付ブラケットは、車幅方向に延びる回転軸を介して車体フレームの前端部に回転可能に支持されるとともに、アンダーランプロテクタが取付けられるプロテクタ取付部と、回転軸よりも後方に位置し車体フレームの開口を下方から挿通して車体フレームの上壁部と底壁部との間に突出する後端部とを有する。ブラケット回転規制部は、車体フレームに対するプロテクタ取付ブラケットの回転軸を中心とした回転を規制し、アンダーランプロテクタに加わる前後方向への衝撃荷重が所定荷重に達したときにプロテクタ取付ブラケットの回転軸を中心とした回転を許容する。エネルギ吸収体は、プロテクタ取付ブラケットの後端部の上面と車体フレームの上壁部の下面との間に上下方向に延びて配置され、プロテクタ取付ブラケットの回転が許容された状態で後端部によって押圧される。
【0008】
上記構成では、アンダーランプロテクタに所定の衝撃荷重が負荷されるまでは、ブラケット回転規制部がプロテクタ取付ブラケットの後方への回転を規制し、アンダーランプロテクタにかかる衝撃荷重はプロテクタ取付ブラケットの弾塑性変形によって吸収される。また、所定荷重を超える大きな衝撃荷重が負荷される衝突に対しては、所定荷重を超えた衝撃荷重をエネルギ吸収体で吸収することによって、衝撃荷重の大きな衝突にも対応することができる。従って、衝突相手車両の車種や衝突速度等に応じて広い範囲にわたり発生する衝撃荷重を2段階で吸収することによって、相手車両に与える衝撃を適切に緩和しつつ、相手車両のもぐり込みを防止することができる。
【0009】
また、衝撃エネルギを吸収するエネルギ吸収体は、プロテクタ取付ブラケットの後端部の上面と車体フレームの上壁部の下面との間に上下方向に延びて配置されているので、取付スペースの制約がある前後方向への配置に比較して、エネルギ吸収体の上下方向の長さを十分に確保することができる。従って、エネルギ吸収体の吸収ストロークを増大させることができ、衝撃エネルギを十分に吸収することができるので、衝撃エネルギの大きな衝突まで広く対応することができる。
【0010】
また、エネルギ吸収体は、プロテクタ取付ブラケットの後上方にあってプロテクタ取付ブラケットとは独立して配置されているので、プロテクタ取付ブラケットに一体的に組み込まれて配置される場合と比較して、適用するエネルギ吸収体の形状や素材の選択の幅が拡がる。従って、エネルギ吸収の荷重特性を自由に設定することができ、多様な衝突形態に対応することができる。
【0011】
また、エネルギ吸収体は、既存の車体構成部材である車体フレームの上壁部と底壁部との間に配置され、エネルギ吸収体を取付けるための特別な構造を必要としない。従って、部品点数が削減されて製造や調整が容易となり、コストの上昇を招くことがない。また、デッドスペースになり易い車体フレーム内部を有効に活用することができる。
【0012】
また、上記アンダーランプロテクタ取付構造のブラケット回転規制部は、プロテクタ取付ブラケットの後端部と車体フレームの底壁部とを結合する棒体状の規制部材であり、規制部材によるプロテクタ取付ブラケットと車体フレームとの結合強度は、アンダーランプロテクタに加わる衝撃荷重が所定荷重に達したときにプロテクタ取付ブラケットの回転を許容するように設定されてもよい。
【0013】
上記構成では、アンダーランプロテクタに加わる衝撃荷重が所定荷重に達したときにプロテクタ取付ブラケットの回転を許容するプロテクタ取付ブラケットと、車体フレームとの結合強度が、極めて簡単な構造である棒体状の規制部材の強度によって設定される。従って、車両の衝突に対するエネルギ吸収特性の設定が容易な車両のアンダーランプロテクタ取付構造を実現できる。
【0014】
また、上記アンダーランプロテクタ取付構造の車体フレームは、開口の前後側で相対向して上下方向に延び、上壁部の下面と底壁部の上面とを連結する前後の隔壁を有し、エネルギ吸収体は、前後の隔壁の間に配置されてもよい。
【0015】
上記構成では、エネルギ吸収体の前後方向への移動が、前後の隔壁によって規制されるので、エネルギ吸収体は、エネルギ吸収の実効性の高い上下方向に確実に圧縮変形する。従って、エネルギ吸収体の性能を確実且つ効果的に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アンダーランプロテクタの衝撃荷重を吸収するエネルギ吸収体のエネルギ吸収ストロークの増大が可能となり、且つエネルギ吸収体の荷重特性を自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係わるアンダーランプロテクタ取付構造を備えたキャブオーバートラックの模式側面図である。
【図2】アンダーランプロテクタ取付構造の要部拡大斜視図である。
【図3】図2を車幅方向から視た図である。
【図4】図3のIV−IV矢視断面図である。
【図5】本発明をリアアンダーランプロテクタに適用した場合のキャブオーバートラックの模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方を、図中INは車幅方向内側をそれぞれ示している。また、以下の説明における前後方向は、車両の前後方向を意味し、左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係わる車両1は、キャブ2が概ねエンジン(図示省略)よりも前方に位置するキャブオーバー型の車両であり、車両1の前部には、アンダーランプロテクタ取付構造3を備えている。このアンダーランプロテクタ取付構造3は、車両1の左右に対称的に設けられて、共通のフロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)5を左右で支持する。なお、左右のアンダーランプロテクタ取付構造3はほぼ同様の構成を有するため、以下では右側について説明し、左側の説明を省略する。
【0020】
図2〜図4に示すように、アンダーランプロテクタ取付構造3は、車幅方向両側で前後方向に延設されたシャシフレーム(車体フレーム)4と、シャシフレーム4の前部下方に配置されて車幅方向に延びるフロントアンダーランプロテクタ5と、フロントアンダーランプロテクタ5をシャシフレーム4によって支持するためのプロテクタ取付ブラケット6と、エネルギ吸収体7とを備えている。
【0021】
シャシフレーム4は、起立する側壁部8と、側壁部8の上下方向の両端から車幅方向内側へ向かって相対向して延びる上壁部9及び底壁部10とを備えた断面略U字形状を有する。シャシフレーム4の側壁部8の前端部には、ボルト挿通孔11が設けられ、ボルト挿通孔11の後方の底壁部10には前後方向に長い略矩形の開口12が形成されている。また、開口12の前側及び後側には、上壁部9の下面と底壁部10の上面とを連結し上下方向に延びる前隔壁13と後隔壁14とが形成されている。なお、図2では、前隔壁13の図示を省略している。また、開口12の車幅方向内側縁部の底壁部10の上面には、ブラケット15が溶接され前後方向に延びている。ブラケット15の前後方向の中央部にはボルト挿通孔16が幅方向に延びて設けられている。また、ブラケット15のボルト挿通孔16に対向するシャシフレーム4の側壁部8にもボルト挿通孔17が形成されている。
【0022】
フロントアンダーランプロテクタ5は、薄肉の鋼板からなり、前壁部18と上壁部19と底壁部20とを有する断面略U字形状に形成されている。フロントアンダーランプロテクタ5の両端部には、キャップ21が装着される。
【0023】
プロテクタ取付ブラケット6は、ブラケット本体22と、ブラケット側板部23と、ブラケット後端部24とを有する。ブラケット本体22は、下方に延びるプロテクタ取付部27と、前側上方に延びる前側上端部25と、後側上方に延びる後側上端部26とを一体的に有する略Y字形状の板状である。
【0024】
ブラケット側板部23は、前後方向に沿って起立する側板28と、屈曲して車幅内側方向に延びる底板29を一体的に有する略L字形状の板状である。側板28の中央部には車幅方向に延びるボルト挿通孔30が設けられている。側板28の上下方向の長さは、シャシフレーム4の側壁部8の上下方向の長さよりも短く、底板29の幅方向の長さは、シャシフレーム4の底壁部10の幅方向の長さと略同一である。ブラケット本体22の前側上端部25は、底板29の下面の車幅方向の中央部に前後方向に延びて当接し、溶接によって底板29の下面に略T字形状に固定されている。
【0025】
ブラケット後端部24は、ブラケット本体22と上板31とから構成される。上板31は前後方向に長い略矩形の板状であり、前後方向の中央部には幅方向に延びる断面略U字形状のボルト溝32が形成されている。ボルト溝32の径は後述のボルト35の径よりも大きく、上板31の上面からボルト溝32の底部までの距離はボルト35の径よりも大きい。ブラケット本体22の後側上端部26は、上板31の下面中央部に前後方向に延びて当接し、溶接によって上板31の下面に略T字形状に固定されている。上板31の幅方向及び前後方向の長さは、シャシフレーム4の開口12の幅方向及び前後方向の長さよりもそれぞれ短く、ブラケット後端部24がシャシフレーム4の開口12に挿通可能となるように設定されている。
【0026】
ブラケット本体22のプロテクタ取付部27は、前端面がフロントアンダーランプロテクタ5の前壁部18の後面に上下方向に延びて当接し、溶接によってフロントアンダーランプロテクタ5の前壁部18の後面に略T字形状に固定されている。
【0027】
シャシフレーム4の側壁部8の車幅方向内側から、シャシフレーム4の側壁部8のボルト挿通孔11と、プロテクタ取付ブラケット6の側板28のボルト挿通孔30とにボルト(回転軸)33を挿通し、プロテクタ取付ブラケット6の側板28の外側からナット34を螺合することによって、プロテクタ取付ブラケット6はシャシフレーム4に固定され、ボルト33を中心にして回転可能に支持される。この支持状態で、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24は、シャシフレーム4の底壁部10の下方から開口12に挿通され、底壁部10の上面よりも上方に突出している。シャシフレーム4の車幅方向内側から、ブラケット15のボルト挿通孔16とシャシフレーム4のボルト挿通孔17とにボルト(規制部材)35を挿通し、シャシフレーム4の側壁部8の外側からナット36を螺合し、ボルト35にブラケット後端部24のボルト溝32を係合させることによって、シャシフレーム4の底壁部10にプロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24が結合される。なお、底壁部10とブラケット後端部24との結合強度は、フロントアンダーランプロテクタ5に所定荷重を超える衝撃荷重が負荷された場合に、ボルト35がブラケット後端部24に押圧されて破断し、底壁部10とブラケット後端部24との結合が解除されるように設定されている。結合が解除されると、プロテクタ取付ブラケット6のボルト33を中心とした回転が許容される。この場合であっても、回転軸のボルト33には破断が生じないように、ボルト33の破断強度は、ボルト35の破断強度よりも大きく設定されている。ブラケット後端部24の上面と、シャシフレーム4の上壁部9の下面と、前隔壁13及び後隔壁14とによって区画される空間に、エネルギ吸収体7が上下方向に延びて配置される。
【0028】
エネルギ吸収体7は、上下方向に長い略矩形箱型形状であり、矩形状の上板37及び下板38と筒形状の外周板39とを有し、外周板39は、金属薄板によって形成されている。エネルギ吸収体7の上板37の移動が規制されている場合、下板38が押圧されることにより外周板39が潰れ変形を起こし、この潰れ変形によって、エネルギ吸収体7に入力する衝撃エネルギが効率的に吸収される。
【0029】
本実施形態では、相手車両が車両1の前面に衝突し、フロントアンダーランプロテクタ5に衝撃荷重が負荷されると、プロテクタ取付ブラケット6が後方に押圧され、プロテクタ取付ブラケット6がボルト33を中心に後方に回転しようとする。しかし、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24は、ボルト35によってシャシフレーム4の底壁部10に結合されているので、プロテクタ取付ブラケット6の回転は規制される。従って、フロントアンダーランプロテクタ5の後方への移動が規制され、相手車両の車両1へのもぐり込みが防止される。また、プロテクタ取付ブラケット6の弾塑性変形によってフロントアンダーランプロテクタ5に入力する衝撃エネルギが吸収され、相手車両に与える衝撃が緩和される。また、所定荷重を超える大きな衝撃荷重が負荷された場合は、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24の上方へ押圧力によってボルト35が破断し、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24とシャシフレーム4の底壁部10との結合が解除されるので、図3の2点鎖線で示すように、プロテクタ取付ブラケット6がボルト33を中心にして後方へ回転する。その結果、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24の上面がエネルギ吸収体7の下板38を上方向に押圧し、エネルギ吸収体7が上下方向に圧縮変形する。この圧縮変形によって、所定荷重を超える大きな衝撃荷重による衝撃エネルギがエネルギ吸収体7によって効果的に吸収される。従って、衝撃荷重の大きな衝突に対しても、相手車両の車両1へのもぐり込みを防止しつつ、相手車両に与える衝撃を緩和することができる。
【0030】
このように、本実施形態によれば、衝突時に発生する広い範囲の衝撃エネルギを2段階で吸収することによって、相手車両に与える衝撃を適切に緩和しつつ、相手車両のもぐり込みを防止することができる。例えば、軽自動車などの軽量車種の車両が衝突した場合は、衝撃荷重が小さく、入力する衝撃エネルギが比較的小さいので、プロテクタ取付ブラケット6の弾塑性変形による比較的小さな衝撃エネルギ吸収量によって相手車両に与える衝撃を緩和し、軽量車両のもぐり込みを防止することができる。更に重量の大きな乗用車やSUV(Sports Utility Vehicle)等が衝突した場合や車両1と相手車両が非常に大きな相対速度で衝突した場合などでは吸収すべき衝撃エネルギは大きくなるが、エネルギ吸収体7の吸収ストロークによる大きな衝撃エネルギ吸収量で対応することにより、相手車両に与える衝撃を相手車両に応じて緩和しつつ、相手車両のもぐり込みを防止することができる。
【0031】
また、エネルギ吸収体7は、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24の上面とシャシフレーム4の上壁部9の下面との間に上下方向に延びて配置されているので、取付スペースの制約がある前後方向への配置に比較して、エネルギ吸収体7の上下方向の長さを十分に確保することができる。従って、エネルギ吸収体7の吸収ストロークを増大させることができ、衝撃エネルギを十分に吸収することができるので、衝撃エネルギの大きな衝突まで広く対応することができる。
【0032】
また、エネルギ吸収体7は、プロテクタ取付ブラケット6の後上方にあってプロテクタ取付ブラケット6とは独立して配置されているので、プロテクタ取付ブラケットに一体的に組み込まれて配置される場合と比較して、適用するエネルギ吸収体の形状や素材の選択の幅が拡がる。従って、エネルギ吸収の荷重特性を自由に設定することができ、多様な衝突形態に対応することができる。
【0033】
また、エネルギ吸収体7は、既存の車体構成部材であるシャシフレーム4の上壁部9と底壁部10との間に配置され、エネルギ吸収体7を取付けるための特別な取付構造を必要としない。従って、部品点数が削減されて製造や調整が容易となり、コストの上昇を招くことがない。また、デッドスペースになり易い車体フレーム内部を有効に活用することができる。
【0034】
また、プロテクタ取付ブラケット6の回転を許容する所定荷重の大きさの設定は、ブラケット後端部24とシャシフレーム4の底壁部10とを結合するボルト35の強度設定によって可能である。従って、車両の衝突に際して、エネルギ吸収特性の設定が極めて容易なアンダーランプロテクタ取付構造を実現することができる。
【0035】
また、エネルギ吸収体7は、シャシフレーム4の開口12の前後に形成した前隔壁部13と後隔壁部14との間に配置されている。従って、エネルギ吸収体7の前後方向への移動が前隔壁部13と後隔壁部14とによって規制されるので、エネルギ吸収体7は、エネルギ吸収の実効性の高い上下方向に確実に圧縮変形し、エネルギ吸収体7の性能を確実且つ効果的に発揮させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、エネルギ吸収体7は、外周板39が金属薄板によって形成される略箱形状であったが、エネルギ吸収体7は、FRPやCFRP等の素材で形成されてもよい。また、形状は箱形状に限定されず、円筒形状等であってもよい。
【0037】
また、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24の上板31に設けたボルト溝32の代りに、上板31に車幅方向に延びるボルト挿通孔を形成し、ブラケット後端部24の上板31にボルト33を挿通して、プロテクタ取付ブラケット6のブラケット後端部24とシャシフレーム4の底壁部10とを結合してもよい。また、ブラケット後端部24に設けたボルト溝32又は上記ボルト挿通孔等のプロテクタ取付ブラケット6の回転規制構造をエネルギ吸収体7に下部に設けてもよい。また、ボルト33の代りに、ピン等を用いてもよい。
【0038】
また、シャシフレーム4は断面略U字形状としたが、断面略I字形状あるいは断面矩形箱形状等であってもよい。
【0039】
また、エネルギ吸収体7を、シャシフレーム4の上壁部9の下面と底壁部10の上面との間に配置したが、左右のシャシフレーム4を連結するクロスメンバの両端部のクロスメンバの前壁部後面とプロテクタ取付ブラケットのブラケット後端部との間にエネルギ吸収体を前後方向に延びて配置してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、アンダーランプロテクタ取付構造3を、車両1の前方に配置されるフロントアンダーランプロテクタ5に適用したが、図5に示すように、車両の後方(車体フレームの後部下方)に配置されるリアアンダーランプロテクタ40に適用することも可能である。
【0041】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、貨物車両などの大型車両のアンダーランプロテクタの取付構造として広く適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 車両
2 キャブ
3 アンダーランプロテクタ取付構造
4 シャシフレーム(車体フレーム)
5 フロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)
6 プロテクタ取付ブラケット
7 エネルギ吸収体
8 側壁部
9 上壁部
10 底壁部
12 開口
13 前隔壁
14 後隔壁
15 ブラケット(ブラケット回転規制部)
22 ブラケット本体
23 ブラケット側板部
24 ブラケット後端部(後端部)
32 ボルト溝(ブラケット回転規制部)
33 ボルト(回転軸)
35 ボルト(規制部材)
40 リアアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下で相対向する上壁部と底壁部とを備えた車体フレームと、
前記車体フレームの前端部の下方に配置されて車幅方向に延びるアンダーランプロテクタと、
前記車体フレームの底壁部に設けられた開口と、
車幅方向に延びる回転軸を介して前記車体フレームの前端部に回転可能に支持されるとともに、前記アンダーランプロテクタが取付けられるプロテクタ取付部と、前記回転軸よりも後方に位置し前記車体フレームの前記開口を下方から挿通して前記車体フレームの上壁部と底壁部との間に突出する後端部とを有するプロテクタ取付ブラケットと、
前記車体フレームに対する前記プロテクタ取付ブラケットの前記回転軸を中心とした回転を規制し、前記アンダーランプロテクタに加わる前後方向への衝撃荷重が所定荷重に達したときに前記プロテクタ取付ブラケットの前記回転軸を中心とした回転を許容するブラケット回転規制部と、
前記プロテクタ取付ブラケットの後端部の上面と前記車体フレームの上壁部の下面との間に上下方向に延びて配置され、前記プロテクタ取付ブラケットの回転が許容された状態で該プロテクタ取付ブラケットの後端部によって上方へ押圧されるエネルギ吸収体と、を備えた
ことを特徴とする車両のアンダーランプロテクタ取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のアンダーランプロテクタ取付構造であって、
前記ブラケット回転規制部は、前記プロテクタ取付ブラケットの後端部と前記車体フレームの底壁部とを結合する棒体状の規制部材であり、前記規制部材による前記プロテクタ取付ブラケットと前記車体フレームとの結合強度は、前記アンダーランプロテクタに加わる衝撃荷重が所定荷重に達したときに前記プロテクタ取付ブラケットの回転を許容するように設定されている
ことを特徴とする車両のアンダーランプロテクタ取付構造。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の車両のアンダーランプロテクタ取付構造であって、
前記車体フレームは、前記開口の前後側で相対向して上下方向に延び、前記上壁部の下面と前記底壁部の上面とを連結する前後の隔壁を有し、前記エネルギ吸収体は、前記前後の隔壁の間に配置される
ことを特徴とする車両のアンダーランプロテクタ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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