説明

車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造

【課題】インタークーラ2を冷却するためのダクト10が歩行者の衝突時のボンネット3の変形を阻害しないようにして、歩行者の頭部の保護を図る。
【解決手段】上下方向に分割して成形された樹脂製のアッパー部材11とロア部材12とでダクト10を構成する。ロア部材12の下側開口部14に設けたシール部材17をインタークーラ2上面に対して圧着させることで、ダクト10とインタークーラ2とを連通させる。そして、ロア部材12の前側をシュラウドパネル4に支持し、アッパー部材11の後側をカウルパネル5に支持して、歩行者の衝突時にアッパー部材11とロア部材12との取付部のうち、後側の取付部を前側の取付部よりも早期に剥離させて、ダクト10を上下に分割させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機付きエンジンを搭載した車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の開発においては居住性を重視した車両作りが行われており、エンジンルームの前後長が短くなる傾向にある。このことは、エンジン搭載と共に、エアクリーナ、バッテリーその他の機器類のレイアウト性に少なからず影響を与え、排気過給機を備えたエンジンでは、インタークーラの設置スペースの確保という点で工夫が必要となっている。
【0003】
そこで、従来、特許文献1に示すように、車両のインタークーラをエンジン上部に平置き姿勢で配置するものが知られている。この場合、インタークーラに走行風を導入するには車両前方に一端開口を延ばし、他端開口をインタークーラ上に連通させるダクトを設ける必要がある。
【特許文献1】特開2003−335173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、歩行者保護の観点から、歩行者の頭部の衝撃荷重を低く抑えるために、ボンネットを効果的に変形させる必要が出てきている。一方、車両前部のデザインの観点からボンネットが低く形成される傾向にある。このため、インタークーラとボンネットとの間隔が短くなるので、従来の車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造では、特にインタークーラ上方で箱形状のダクトの側壁が容易に変形せず、ボンネットの変形を阻害し、歩行者の頭部の保護が十分に図れないという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ダクトの構成に工夫を加えることで、ダクトが歩行者の衝突時のボンネットの変形を阻害しないようにし、歩行者の頭部の保護を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、上下に二分割された部材からなるダクトのそれぞれの部材を前後の別々の位置で支持するようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、エンジンルーム内に配設したエンジンの上部にインタークーラを略平置き姿勢で配置し、このインタークーラに対し走行風を導入するためのダクトを車両前方側に伸ばした車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造を対象とする。
【0008】
そして、上記ダクトは、上下方向に分割して成形されたアッパー部材とロア部材とが取り付けられた水平方向に扁平な樹脂製のものよりなり、上記ロア部材の後側下面に設けた開口部が上記インタークーラ上面に対してシール部材を圧着させて連通し、上記ロア部材の前側が車体に支持され、上記アッパー部材の後側が車体に支持される構成とする。
【0009】
すなわち、歩行者がボンネットに衝突すると、ボンネットは下側に向かって変形し、インタークーラ上方のダクトを下側へ変形させようとする。このとき、本願発明では、ロア部材の前側は車体に支持され、アッパー部材の後側は車体に支持される一方、ロア部材の後側下面はシール部材でインタークーラに圧着しているだけなので、ダクトには、歩行者の衝突時にボンネットから伝わった荷重により、両支持点間で曲げ荷重がかかる。そして、アッパー部材側がロア部材側を押圧する形となり、ダクトの前側におけるアッパー部材とロア部材との取付部には、アッパー部材からの下向きの力とロア部材の支持点からの上向きの反力によって圧縮荷重が加わる。一方、ダクトの後側の取付部には、アッパー部材にかかる支持点からの上向きの反力とロア部材に伝わってきた下向きの力とによって引っ張り荷重がかかる。このため、ボンネットに加わった衝突荷重により、後側の取付部が前側の取付部よりも早期に剥離して、ダクトが後側から前側に向かって上下に分割されるので、ダクトがボンネットの変形を阻害することはない。
【0010】
第2の発明は、上記ロア部材の前側がシュラウドパネルに支持され、上記アッパー部材の後側がカウルパネルに支持される構成とする。
【0011】
上記の構成によると、ロア部材とアッパー部材とが車体の前後方向の両端側にそれぞれ支持されているので、歩行者の衝突時にインタークーラ上方を覆うボンネットの広い範囲でダクトの剥離が行われる。
【0012】
第3の発明は、上記アッパー部材とロア部材との取付部の後側の強度が前側よりも小さいものとする。
【0013】
上記の構成によると、アッパー部材とロア部材の取付部の強度を前側と後側とで差を設けているため、強度の低い後側の取付部での剥離がさらに促進される。
【0014】
第4の発明は、上記アッパー部材側の取付部には、下向きにピン部が突設され、ロア部材側の取付部には、該ピン部に対応する貫通孔を有するフランジ部が設けられ、上記アッパー部材のピン部先端が上記ロア部材の貫通孔に挿通された状態で溶融されて押しつぶされた拡径頭部を形成しており、上記アッパー部材の後方側に設けられたピン部の外径は、前方側のものに比べて小径なものとする。
【0015】
上記の構成によると、ダクトを組み付けるときに樹脂製のアッパー部材の取付部に設けられたピン部をロア部材の貫通孔に挿通して溶融することで、押しつぶされた拡径頭部によってロア部材にアッパー部材が固定される。また、フランジ部により、アッパー部材とロア部材との間の密閉度が向上される。そして、アッパー部材の後方側のピン部の外径は、前方側のものに比べて小径となっているので、ボンネットから伝わった荷重により、ダクトが変形するときに、より小径な後側のピン部から早期に切断される。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造の発明によれば、上下方向に分割して成形したダクトのうち、ロア部材の前側を車体に支持する一方、アッパー部材の後側を車体に支持することで、ボンネットに加わった衝突荷重により、後側の取付部に引っ張り荷重を加えて前側の取付部よりも早期に剥離させ、後側から両者を分割するようにしている。このため、歩行者衝突時にダクトが確実に分割され、ボンネットの変形を阻害することはなく、効果的に歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【0017】
上記第2の発明によると、ロア部材の前側を車体前方のシュラウドパネルに支持し、アッパー部材の後側を車体後方のカウルパネルに支持することで、歩行者の衝突時にダクトの支持形態にさほど影響を受けることなく、インタークーラ上方を覆うボンネットの広い範囲でダクトの剥離が行われるようにしている。このため、さらに安定的に衝突時の歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【0018】
上記第3の発明によると、アッパー部材とロア部材との取付部の後側の強度を前側よりも小さくして、強度の低い後側の取付部での剥離を促進させている。このため、さらに、効果的に衝突時の歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【0019】
上記第4の発明は、ロア部材のフランジ部の貫通孔に挿通したアッパー部材のピン部先端を押しつぶしてロア部材とアッパー部材とを取り付け、アッパー部材の後方側のピン部の外径を前方側のものに比べて小径なものとしている。このため、簡便な構造でアッパー部材とロア部材とを略密閉状に取り付けることができ、また、歩行者の衝突時に後側のピン部からダクトを効果的に剥離させることができ、さらに、確実に衝突時の歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0021】
図1及び図2に本発明の実施形態にかかるインタークーラ冷却用ダクトの支持構造を備えた車両のエンジンルームを示す。このエンジンルーム内には過給機付きエンジン1が横置きに搭載されている。このエンジン1の上部には、金属製のインタークーラ2が後側が前側よりも若干上方に傾斜した略平置き姿勢で配置されている。なお、図1では、エンジンルームを覆うボンネット3を省略している。
【0022】
図3及び図4にも示すように、上記インタークーラ2の上面には、このインタークーラ2に対し走行風を導入するためのダクト10が設けられている。このダクト10は、車両前方側に伸びると共に、水平方向に扁平な樹脂製のもので構成されている。ダクト10は、上下方向に分割して成形されたアッパー部材11とロア部材12とが取り付けられて内部に空気通路40が形成されている。そして、ダクト10の前方に車幅方向に細長い走行風導入口13が形成されている。
【0023】
図5及び図6に示すように、上記ロア部材12は、前方が開放されて上記走行風導入口13の下側を構成し、また、後側下面には、下側開口部14が設けられている。この下側開口部14の周辺には、複数のボルト挿通孔15が設けられ、このボルト挿通孔15を用いて蛇腹状のシール部材17(図4及び図5に示す)が締結されている。このシール部材17が上記インタークーラ2上面に対して圧着した状態で上記ダクト10とインタークーラ2とが連通している。このようにして、走行風導入口13から取り入れられた走行風がダクト10内の空気通路40を通ってインタークーラ2に取り入れられるようになっている。
【0024】
上記ロア部材12の上側縁部には、上記アッパー部材11を取り付けるためのフランジ部18が上記走行風導入口13を除く略全周にわたり略水平に設けられている。このフランジ部18には、複数の貫通孔19が略等間隔に設けられている。また、ロア部材12の前側左右両端部には、外側に向かって突出する前側支持部20が設けられている。この前側支持部20には、後方が開放すると共に、ボルト30を取り付けるための開口21が設けられている。なお、この開口21は、後方が開放していることで、前突時にダクト10が、ラジエータ35を覆う繊維強化樹脂製のシュラウドパネル4から離脱することでシュラウドパネル4の変形を阻害しないようになっている。
【0025】
図7に示すように、アッパー部材11は、平面部23と、この平面部23の走行風導入口13に該当する部分を除く略全外周から下側へ垂直に延びる外壁部24とを有している。平面部23は、ロア部材12よりも広い面積を有し、エンジン1の略全体を覆って、その見映えをよくしている。後側の外壁部24には、ダクト10を取り付けるための半円筒形状の2つの後側支持部25が設けられている。上記アッパー部材11の平面部23には、フランジ部18の外周に対応するように下側に連続して突出する突条部26が形成され、ロア部材12の位置決めを容易にすると共に、この突条部26の外周には、上記フランジ部18の貫通孔19に対応するように、下向きにピン部27,28が突設されている。
【0026】
図8及び図9に示すように、上記ピン部27,28のうち、この後方側の後側ピン部27(例えば、フランジ部18の後辺部に対応するピン部及びこの後辺部から左右それぞれ前側に2本のピン部)の外径は、それ以外の前側ピン部28に比べて小径となっている。上記アッパー部材11のピン部27,28先端は、上記ロア部材12の貫通孔19に挿通された状態で溶融されて押しつぶされることで、幅広な拡径頭部29が形成されている。後側ピン部27の外径は、前側ピン部28に比べて小径なため、それぞれ同じ内径の貫通孔19に挿入されていれば、荷重がかかった際に後側ピン部27の方が抜け出しやすく、又は、切断しやすくなっている。このようにして、アッパー部材11とロア部材12とが略密閉状に取り付けられている。
【0027】
そして、図1に示すように、ロア部材12の前側支持部20がシュラウドパネル4にボルト30によって取り付けられることで、ダクト10の前側がシュラウドパネル4に支持されている。
【0028】
また、図10に示すように、カウルパネル5には、複数のピン挿通孔6が設けられ、このピン挿通孔6にスタッドピン7が後方から挿入された状態でプロジェクション溶接されている。このスタッドピン7と樹脂クリップ8との間に断熱材9を挟むことで、カウルパネル5の前面が断熱材9によって覆われている。一方、上記アッパー部材11の後側支持部25内面には、二重環状のリング嵌合部25aが設けられ、このリング嵌合部25aには、円筒形状の本体に溝部が全周にわたり形成されたゴム製リング31が嵌合されている。このリング31内に上記樹脂クリップ8を圧入することでアッパー部材11がカウルパネル5に取り付けられている。このことで、ダクト10後方側におけるアッパー部材11の後側支持部25がカウルパネル5に支持されている。
【0029】
なお、走行風導入口13の上側に対応するボンネット3下面には、車幅方向に延びるゴム製シール32(図2にのみ示す)が設けられ、アッパー部材11との間の隙間を埋めている。さらに、フロントグリル33から導入された走行風をダクト10の走行風導入口13に誘導させるために、フロントグリル33と走行風導入口13との間は、樹脂製のエアガイドプレート34によって接続されている。
【0030】
−取付手順−
次に、本実施形態にかかるダクト10の取付手順について説明する。
【0031】
まず、ロア部材12のフランジ部18の貫通孔19にアッパー部材11のピン部27,28先端を挿入し、その状態でピン部27,28先端を溶融して押しつぶし、拡径頭部29を形成する。このことで、ロア部材12とアッパー部材11とが密閉状に組み付けられる。
【0032】
次いで、ロア部材12のボルト挿通孔15にシール部材17を締結して組み付ける。なお、このときまでに、後側支持部25にゴム製リング31を嵌合させておく。
【0033】
次に、ダクト10に取り付けられたシール部材17をインタークーラ2に押しつけながら、アッパー部材11の後側支持部25のリング31内にカウルパネル5前面の樹脂クリップ8を圧入させて、アッパー部材11の後側をカウルパネル5に支持させる。
【0034】
最後に、ロア部材12の前側支持部20をシュラウドパネル4に締結する。このようにして、ダクト10が車体に取り付けられる。
【0035】
−作用−
次に、本実施形態にかかる車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造における歩行者がボンネット3に衝突したときの作用について説明する。
【0036】
まず、歩行者がボンネット3に衝突すると、ボンネット3は下側に向かって変形し、インタークーラ2上方のダクト10を下側へ変形させようとする。
【0037】
このとき、本実施形態では、ロア部材12の前側はシュラウドパネル4に支持され、アッパー部材11の後側はカウルパネル5に支持される一方、ロア部材12の後側はシール部材17でインタークーラ2に圧着させているだけなので、ダクト10には、歩行者の衝突時にボンネット3から伝わった荷重により、両支持点間で曲げ荷重がかかる。
【0038】
そして、アッパー部材11側がロア部材12側を押圧する形となり、ダクト10の前側におけるアッパー部材11とロア部材12との取付部には、アッパー部材11からの下向きの力とロア部材12の支持点からの上向きの反力によって圧縮荷重が加わる。
【0039】
一方、ダクト10の後側の取付部には、アッパー部材11にかかる支持点からの上向きの反力とロア部材12に伝わってきた下向きの力とによって引っ張り荷重がかかる。
【0040】
さらに、アッパー部材11の後側ピン部27の外径は、前側ピン部28に比べて小径となっているので、ボンネット3に加わった衝突荷重により、ダクト10は、後側ピン部27が前側ピン部28よりも早期に切断され、後側から前側に向かって上下に分割される。なお、この際、ダクト10が剥離される前に、後側支持部25のリング31内から樹脂クリップ8が抜け出さないようになっている。
【0041】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造によると、上下方向に分割して成形したダクト10のうち、ロア部材12の前側を車体に支持する一方、アッパー部材11の後側を車体に支持することで、ボンネット3に加わった衝突荷重により、後側の取付部に引っ張り荷重を加えて前側の取付部よりも早期に剥離させ、両者を後側から分割するようにしている。このため、歩行者衝突時にダクト10が確実に分割され、ボンネット3の変形を阻害することはなく、効果的に歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態では、ロア部材12の前側を車体前方のシュラウドパネル4に支持し、アッパー部材11の後側を車体後方のカウルパネル5に支持することで、歩行者の衝突時にダクト10の支持形態にさほど影響を受けることなく、インタークーラ2上方を覆うボンネット3の広い範囲でダクト10の剥離が行われるようにしている。このため、さらに安定的に衝突時の歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【0043】
また、本実施形態では、アッパー部材11とロア部材12との取付部の後側の強度を前側よりも小さくして、強度の低い後側の取付部での剥離を促進させている。このため、さらに、効果的に衝突時の歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、ロア部材12のフランジ部18の貫通孔19に挿通したアッパー部材11のピン部27,28先端を押しつぶしてロア部材12とアッパー部材11とを取り付け、アッパー部材11の後側ピン部27の外径を前側ピン部28に比べて小径なものとしている。このため、簡便な構造でアッパー部材11とロア部材12とを略密閉状に取り付けることができ、また、歩行者の衝突時に断面積の小さい後側ピン部27からダクト10を効果的に剥離させることができるので、さらに、確実に衝突時の歩行者の頭部の保護を図ることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0046】
すなわち、上記実施形態では、後側ピン部27の外径を前側ピン部28の外径よりも小さくしてアッパー部材11とロア部材12との取付部の後側の強度を前側よりも小さく設定しているが、図11及び図12に示すように、後側ピン部27の外径と前側ピン部28の外径とを等しくし、後側ピン部27の長さを前側ピン部28の長さよりも短くしてもよい。このことで、後側ピン部27の拡径頭部29の厚さが前側ピン部28のものよりも薄くなり、アッパー部材11とロア部材12との取付部の後側の強度を前側よりも小さく設定することができる。また、アッパー部材11に略等間隔にピン部27,28を設けたが、後側ピン部27の間隔をアッパー部材11とロア部材12との取付部の密閉度が保たれる程度に前側ピン部28の間隔よりも広げてアッパー部材11とロア部材12との取付部の後側の強度を前側よりも小さく設定してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、ロア部材12の前側をシュラウドパネル4に支持し、アッパー部材11の後側をカウルパネル5に支持するようにしたが、例えば、ロア部材12の前側に上方に突出した前側支持部を設け、この前側支持部をボンネット3の前側に支持し、アッパー部材11の後側にも上方に突出した後側支持部を設け、この後側支持部をボンネット3の後側に支持し、ボンネット3を閉じたときにシール部材17がインタークーラ2上面に圧着するようにしてもよい。また、ロア部材12の前側をシュラウドパネル4に支持し、アッパー部材11の後側をエンジン1に上方に突出するように設けたマウント付き取付ブラケットに支持してもよい。これらの場合でも、上記実施形態と同様に、ボンネット3の変形に伴って、ダクト10を後方側から上下に剥離させることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、エンジン1を横置きに配置したが、縦置きに配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明したように、本発明は、過給機付きエンジンに略平置き姿勢で配置したインタークーラに前方から走行風を導入するための車両用のダクトの支持構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造を備えた車両のエンジンルームをボンネットを除いて示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】ダクトを下方から見た平面図である。
【図6】ロア部材を上方から見た平面図である。
【図7】アッパー部材を下方から見た平面図である。
【図8】後側ピン部を示す側方断面図である。
【図9】前側ピン部を示す側方断面図である。
【図10】後側支持部を示す側方断面図である。
【図11】その他の実施形態にかかる図8相当図である。
【図12】その他の実施形態にかかる図9相当図である。
【符号の説明】
【0051】
1 エンジン
2 インタークーラ
4 シュラウドパネル(車体)
5 カウルパネル(車体)
10 ダクト
11 アッパー部材
12 ロア部材
14 下側開口部
15 ボルト挿通孔
17 シール部材
18 フランジ部
19 貫通孔
21 開口
27 後側ピン部
28 前側ピン部
29 拡径頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルーム内に配設したエンジンの上部にインタークーラを略平置き姿勢で配置し、該インタークーラに対し走行風を導入するためのダクトを車両前方側に伸ばした車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造であって、
上記ダクトは、上下方向に分割して成形されたアッパー部材とロア部材とが取り付けられた水平方向に扁平な樹脂製のものよりなり、
上記ロア部材の後側下面に設けた開口部が上記インタークーラ上面に対してシール部材を圧着させて連通し、
上記ロア部材の前側が車体に支持され、上記アッパー部材の後側が車体に支持されていることを特徴とする車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造。
【請求項2】
請求項1の車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造において、
上記ロア部材の前側がシュラウドパネルに支持され、上記アッパー部材の後側がカウルパネルに支持されていることを特徴とする車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造。
【請求項3】
請求項1又は2の車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造において、
上記アッパー部材とロア部材との取付部の後側の強度が前側よりも小さく設定されていることを特徴とする車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造。
【請求項4】
請求項3の車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造において、
上記アッパー部材側の取付部には、下向きにピン部が突設され、ロア部材側の取付部には、該ピン部に対応する貫通孔を有するフランジ部が設けられ、
上記アッパー部材のピン部先端が上記ロア部材の貫通孔に挿通された状態で溶融されて押しつぶされた拡径頭部を形成しており、
上記アッパー部材の後方側に設けられたピン部の外径は、前方側のものに比べて小径となっていることを特徴とする車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−103608(P2006−103608A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295725(P2004−295725)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】