説明

車両のサスペンションシステム

車輪(14)及び車輪(15)にアーム(6)及びアーム(7)を有する車両サスペンションであって、各アーム(6)は、一つ以上のスプリングストラット(18)及び(19)を有し、その二つのストラットは、二つの異なるアーム間を独占的に動作する。各アームの回転軸(28)及び(38)は、それぞれ、車輪と接する路面の中心を通る縦方向の垂直平面と、垂直平面上に示される車両の懸架質量の予測される重心(49)で又はその重心に近いポイントと路面の接触中心との間にある直線(47)及び(48)上のポイント(45)及び(46)で交差する。好ましくは、車両のトランスミッションは、アームの回転軸を中心としたモーメントがかけられるのを回避され、ブレーキがアームに取り付けられ、そして、ステアリングリンケージがアームの回転軸線を又はその回転軸線の近くを通過される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の本体が3つ以上の車輪によって弾性的に支持されることが可能な車両のサスペンションシステムに関する。本発明は、特に、それだけに限定されないが、車両用サスペンションシステムの特性が車輪によって経験されるピッチとロールの動きに著しく影響を与える、ロード(又はオフロード)車両用サスペンションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
前輪に対してはフロントアームサスペンション及び後輪に対してはリアアームサスペンションを使用することが知られている。しかしながら、以前は、スプリングは、そのスプリングの一端部におけるサスペンションアームと、その他端部における車両の懸架された大部分に取り付けられた車両又は部材の懸架された大部分との間に、あるいは、車両の懸架された大部分に取り付けられたねじれ装置によって、あるいは、一対のサスペンションアーム間の弾力性のあるリンクによって配置されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの周知のシステムでは、車輪又は一対の車輪の上昇及び下降は懸架された車両の大部分の上昇及び下降に比例した力を有し、その車両の大部分のピッチ及び/又はロールを同時に比例的に影響を与える。このピッチ及びロールの動きは、特にホイールベースが短い車両や重心が高い車両で、快適ではない車両の乗り心地を引き起こす。
【0004】
また、サスペンションアームが、サスペンションアームの回転軸が車両の主要な縦軸及び/又は横軸の軸線に直角になって、直接的に又はリンク装置及びレバーのいずれかによって、前の一対及び後の一対で互いに弾性的に連結されたフロントアームサスペンション及びリアアームサスペンションを提供することが知られている。
【0005】
フロントアームサスペンション及びリアアームサスペンションの以前の例は、車両の懸架された大部分の重心との特定な関係を提供しないし、サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ又はステアリングの影響に対処しない。関連する実施例は以下のとおりである。
【0006】
GB1913/00965 1914 ホジソンは、弾性的にリンクされた一対のフロントアーム及びリアアームを使用し、そのリンクは車両の主要な大部分への連結を有する。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0007】
GB214080 1924 ベインズは、サスペンションアーム間に間接的な伸縮性のないリンクを使用し、車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0008】
US2099819 1937 メルシエは、シャシーを横切った弾性的にリンクされたサスペンションアームを使用するが、ねじれ装置とのコラボレーションでそれらを使用するか、またはシャシーのコントロール装置を介したリンクを採用し、車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0009】
GB811235 1959 ダイムラーベンツは、弾性的にリンクされたサスペンションアームを使用するが、そのリンクは、シャシーに取り付けられた油圧装置を介して間接的であり、その目的は、負荷の再調整である。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0010】
GB1363822 1974 モーグは、車輪の上昇及び下降がその動きに抵抗するペアに弾性的に接続されている車軸の水平方向の動きに起因するように形状づけられた縦並びの車軸と連結されたサスペンションアームを使用する。独立したスタブ車軸には適用されておらず、車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0011】
FR2453037 1980 ルメールは、シャシーに間接的に弾性的に連結されたスペンションアームを使用するが、車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0012】
FR2636570 1990 スタールは、上記モーグのように、一方の車輪が他方の車輪に整合された一対の車輪に適用される。モーグと同様に、他の軸を有する大きな車両のアライメントで又は一部として二つの対のすべてを使用しない限り不安定である。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0013】
FR2700501 1994 ルノーは、フロントアーム及びリアアームを使用するが、各アームは、シャシーへの可変可能な長さをもつ連結部によって制御される。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0014】
US5839741 1998 ヘイリングは、シャシーを横切った二つの方法で弾性的にリンクされたサスペンションアームを使用するが、シャシーと連結するトーションバーを使用する。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0015】
WO2006016195 2006 ディミトリオスは、シャシーを横切って弾性的にリンクされた、一対のサスペンションアームを使用する。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0016】
GB1179282 ホール及びライネスは、車両の主要な大部分と道路との間の力を伝達するためのねじれスプリングを使用する。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。サスペンションに基づいた動力供給、コーナリング、ブレーキ及びステアリングの影響が対処されていない。
【0017】
シトロエン 2CVは、二つの対でリンクされたフロントアーム及びリアアームを使用する。車両の重心に対するサスペンションアームの特定な関係はない。ブレーキは、シャシーの内側に取り付けられ、駆動入力は、サスペンションアームの回転軸と特定の関係がなく、その結果、加速、コーナーリング及びブレーキでのサスペンションの性能は、この点で不利である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、車両の懸架された大部分の一定の上下の剛性のために、ピッチ及びロール剛性を減少すると共に急カーブ、加速及びブレーキによって生じたピッチ及びロールも減少し、それによって乗り心地に利点を与える、改善された車両のサスペンションシステムを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、個々の車輪又は一対の車輪のスプリングの全体のアクションが一般的なサスペンションに対して減少したピッチ及びロール角加速を生じ、それによって乗車の快適性を改善する、改善された車両のサスペンションシステムを提供することである。
【0020】
また、本発明は、バウンスステアとして知られる現象を減少する、このましくはごくわずかな割合にすることを求めている。
本発明の一態様によれば、車両のための車両用サスペンションシステムであって、各々がそれぞれのサスペンションアームの外端に取り付けられた少なくとも3つの車輪であって、サスペンションアームが車両の懸架された大部分の内端に回転可能に連結された、少なくとも3つの車輪を備え、車両用サスペンションシステムは、少なくとも二つのサスペンションアームコネクタを有し、少なくとも二つのサスペンションアームコネクタの各々の一端は、車両用サスペンションシステムのサスペンションアームの各々に取り付けられ、少なくとも二つのサスペンションアームコネクタの各々の他端は、車両用サスペンションシステムの他の二つのサスペンションアームの一方に取り付けられ、各サスペンションアームの回転軸線は、そのアームに取り付けられたサスペンションアームコネクタが前記回転軸線を中心とした回転モーメントを有するように配向されている、車両用サスペンションシステムが提供される。
【0021】
各サスペンションアームコネクタをサスペンションアームに、そのサスペンションアームの回転軸線から離間された位置で連結することにより、サスペンションアームの動きは、他のサスペンションアームに伝達して他のサスペンションアームをその回転軸線を中心に動かす傾向がある圧縮又は引張荷重にサスペンションアームコネクタがさらされる結果を概ね生じる。
【0022】
車輪つき車両に関する車両用サスペンションシステムの使用で、少なくとも3つの車輪のためのサスペンションアームの各々は、回転軸線を有し、回転軸線は、車両の通常の走行の縦方向に平行であると共に関連した車輪と地面との間の接触の中心を含む垂直平面と、その関連した車輪の地面との接触の中心を含む線上にあるポイント及び前記垂直平面上に直角に示される車両の懸架質量の予測される重心で又はその重心に近い前記垂直平面の選択されたポイントで交差する。
【0023】
サスペンションアームコネクタの少なくとも一つは、圧縮抵抗ストラットを備える。また、サスペンションアームコネクタの少なくとも一つは、張力抵抗棒を備える。
サスペンションアームコネクタは、例えば弾性変形可能である、弾性部材を備え、及び/又は機械的なスプリングを備え、及び/又は流体タイプのスプリングを備える。このように、コネクタは、スプリングリンクの形態にすることができる。
【0024】
四輪車の車両のサスペンションシステムの場合は、4つのサスペンションアームの各々は、サスペンションアームに取り付けられた第1のサスペンションアームコネクタを有し、第1のサスペンションアームコネクタは、車両の通常の走行方向に対して前後に伸び、車両の同じ側で他のサスペンションアームに取り付けられており、第2のサスペンションアームコネクタは、前記方向を横切って伸び、車両の反対側で他のサスペンションアームに取り付けられている。
【0025】
3つ以上の車輪を有する車両に対しては、車両のサスペンションシステムは、少なくとも一つのサスペンションアームを備え、少なくとも一つのサスペンションアームは、サスペンションアームに取り付けられた第1のサスペンションアームコネクタを有し、第1のサスペンションアームコネクタは、車両の通常の走行の縦方向に対して縦の前後の方向、あるいは前記縦方向を横切る方向のいずれかに伸び、第2のサスペンションアームコネクタは、前記少なくとも一つのサスペンションアームから前記縦方向及び前記縦方向を横切る方向の少なくとも一方に配置される他のサスペンションアームに取り付けるために前記縦方向及び前記縦方向を横切る方向の各々に対して傾斜した方向に伸びる。
【0026】
図に示されるように、上記前後方向及び走行方向を横切る方向は、互いに実質的に垂直であり、それぞれ、通常の走行方向に対して実質的に平行で垂直にすることができる。
本発明の目的は、各サスペンションアームコネクタが車両のサスペンションアーム間に力を単に又は実質的に端に伝達するように作用し、懸架された大部分、例えば、シャシー又は車両本体に直接的にあらゆる力を伝達しないことである。しかしながら、一つ以上のサスペンションアームコネクタが例えば、可撓性連結(空気ばねへの流体供給など)、又は振動ダンパーや他のこのような非構造接続を有するシステムを本発明の範囲から除外するものではない。
【0027】
スプリングリンクの形態であるコネクタの場合、本発明の目的は、各車輪に対して二つのスプリングリンクを有することによって達成することができ、他の車輪に専ら使用されたスプリングリンクは、それによって、それらが取り付けられるサスペンションアームを介する以外に車両の懸架された大部分との連結がない。従って、一つの車輪が単独で上がったり落ちたりする場合、各スプリングの有効長さは二倍にされ、反動(スプリング)率は半減され、それによって、瞬時角加速度を減少する。さらに、スプリングリンクに対抗するアームは、大きなスプリング力を受け入れ、それによって、対抗する角運動を誘発し、さらに、瞬時角加速度と、ピッチ及びロールの角運動の大きさの双方を低減する。リンクは、それらが配置される場所に応じてストラット又は棒(tie)にすることができる。
【0028】
従って、本発明は、ブレーキングや加速によって生じたピッチが各サスペンションアームの回転軸を、路面からの合成された作用を制動又は促進するラインに望まれる近くに配置することによって排除又は減少されることを提供する。
【0029】
本発明は、構造が他の望まれない問題をつくりデザイナーが最適な選択に任されているようなコーナーで生じた反応に対して同じことが同時に行われる場合、コーナーで生じた反応のライン位置の方への比例する動きを提供する。動力伝達によって誘導されたピッチは、上記軸線を介して駆動力を伝達することによってこの構成で除去される。バンプステア(Bump steer)は、ステアリング操作を上記軸線を通して伝達することにより除去される。
【0030】
また、それぞれのサスペンションアームのコネクタの復元力特性の選択は、ピッチ及びロールのパフォーマンスが独立して変化させることができ、サスペンションアームコネクタは、実質的にゼロの弾性を実質的に含む弾力性の度合いを有し、それによって実質的に非弾性リンクであることが理解されよう。
【0031】
3つ以上の車輪を有する車両に対し、本発明に従って、車両サスペンションシステム及び車両が提供され、各車輪はサスペンションアームの外端に取り付けられ、アームは車両の懸架された大部分の内端に回転可能に連結され、各アームは、二つ以上のスプリングストラット又は棒を、スプリングストラット又は棒の一方がサスペンションアームの他方にその唯一の対抗連結部で唯一取り付けられ、スプリングストラット又は棒の他方がサスペンションアームの異なる一つにその唯一の対抗連結部で唯一取り付けられるように有し、各サスペンションアームの回転軸線によって特徴づけられたこの構成は、両方のスプリングストラット又は棒が上記回転軸線を中心としたレバーアームを有するように配置され、上記回転軸線は、車輪と地面との間の接触の中心を含む縦方向の垂直平面と、車輪の地面との接触の中心を含む直線上にあるポイント及び上記垂直平面上に直角に示される車両の懸架質量の予測される重心で又はその重心に近い上記垂直平面の選択されたポイントで交差し、そのようなポイントは好ましくは同じ平面ですべての車輪に共通であり、好ましくは各車輪のブレーキは、それらが上記アームに抗して反応するように取り付けられ、車輪からのあるいは車輪へ伝達される機械的駆動力又はステアリング作用が回転軸線を介してあるいはその回転軸線を実施可能な近くに伝達される。
【0032】
サスペンションアームは、組み立て、成型又は圧縮された金属、成形材料又はプラスチック、又は、他の合理的剛性材料で作られる。スプリングを有する弾性のサスペンションアームコネクタの場合には、スプリングは、回転軸の下方に配置される場合に、例えばコイル状の金属又はエラストマーテンションスプリングにすることができる。回転軸の上方に配置される場合には、スプリングは、コイル状の金属、エラストマー、エアスプリングなどを含むあらゆる種類の圧縮スプリングにすることができる。また、スプリングは、弾性力を提供するように流体が配置されたシリンダの中で作用するピストンの形態をとることができ、中央のアキュムレータに接続することができる。また、スプリングは、車両が荷重の追加を相殺するために再度高さを同じにすることができるように調整することができる。回転軸のピボットは、ねじれや水平変位かどうかによってスプリング機能を増大させる、平軸受、ローラー又はボールベアリング、又は、エラストマー軸受にすることができる。また、ピボットは、単なるヒンジ、又は、可撓性エラストマーから形成されたヒンジにすることができる。
【0033】
これは、あらゆる実施的な二つ以上の数の車輪にすることができることを理解されよう。また、スプリングストラット又は棒などの各サスペンションアームコネクタは、その車輪の荷重、そのアームの長さ、そのスプリング軸線からそのアームの回転軸線までの距離、及び、そのアームによって作用する他のサスペンションアームコネクタの貢献に応じて寸法づけられあらかじめ負荷されることを理解されよう。サスペンションアームコネクタの性能は、そのアタッチメントがその車輪荷重に比例してそのアームの回転軸から離間されるときに最適化される。さらに、各スプリングストラット又は棒の上述の作用がゼロまで傾斜され、それによって、対向する固定が対向するアームの回転軸に又は回転軸近傍にあるときに一般的なシステムと同じになることが理解されよう。さらに、スプリングストラット又は棒はそれら自体のスプリング、又は、同じ軸上の比較的弾性のない要素あるいは伸縮自在の装置内に含まれたスプリング又はスプリングを有する伸縮自在の装置によって拡張されたあるいはその比較的弾性のない要素間あるいは伸縮自在の装置内に含まれたスプリング又はスプリングを有する伸縮自在の装置間に含まれたスプリングにすることができることが理解されよう。さらに、スプリングストラット又は棒はアーム間のスプリングの全長からそれら自体の線形弾性だけを有する固体ロッド又はチューブまでのスプリング性(springness)の程度を変えることがでることが理解されよう。さらに、便利な形態は、後述のようにスプリングストラット又は棒が各々二つのサスペンションアームの間で専用的に共有されている点で達成されることが理解されよう。
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して、実施例だけによって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、四輪車両本体の大部分が切り取られ、残りの部分がわかりやすくするために骨格の概略で示された、本発明にかかるサスペンションシステムを有する四輪車用サスペンションの一部の概略図である。
【図2】図2は、車両の中央から図1の左側車輪の方に向かった概略図であり、車両の主要な懸架された大部分がわかりやすくするために省略された図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示されるように、車両の主要の懸架部分1は、回転軸受を保持するための手段2、3、4及び5を有し、回転軸受の中に主導サスペンションアーム6及び従動サスペンションアーム7が、フロントアーム6用の突起10及び11の対応軸受及びリアアーム7用の突起8及び9の対応軸受によって係合される。従って、図1では、車両の通常走行の縦軸の前方向が矢印Xによって示され、矢印Yはそれに対して横の方向である。
【0036】
前アーム6の外側端部にはハブ12が枢動的に取り付けられ、後アーム7の外側端部にはハブ13(図示せず)が固定的に取り付けられる。これらのハブは、前輪アッセンブリ14と後輪アッセンブリ15をそれぞれ支える。
【0037】
フロントアーム6及びリアアーム7は、上へ向いた拡張部16及び17をそれぞれ有し、その拡張部の間にはユニバーサルジョイント(又はボールジョイント)22によってばね付き支柱18が取り付けられる。他のばね付き支柱19、20、21は、図示しない他の前及び後アームの上へ向いた拡張部間に同様に取り付けられる。フロントハブ12は、ステアリングロッド24が枢動的に取り付けられたステアリングアーム23を有し、ステアリングロッド24の他端部は、ロッカーアーム25と枢動的に係合される。ロッカーアーム25は、フロントアーム6に枢動的に取り付けられ、ステアリング操作を適用するための手段27を有する横軸ステアリングリンク26によって動作する。ロッカー25のリンク26への枢動連結は、軸線28上あるいは実施可能な近傍に配置される。
【0038】
前アーム6は、縦方向X、横方向Y、及び、X及びYに垂直な垂直方向に対して傾斜した軸線28を中心に回転する。軸線28が垂直横平面29が前輪14の中心を通るポイント30で交差し、縦の垂直平面が車輪14の路面と接触する中心を通るポイント45で交差するように、軸線28は、シャシーの部材2、3の位置によって確立される。リアアーム7は、軸線38を中心に回転する。軸線38が縦の垂直平面が車輪15の路面と接触する中心を通るポイント46で交差するように、軸線38は、シャシーの部材4、5の位置によって確立される。フロントアーム6は、符号37で示された右側方向への操縦のときに車輪14に順応する形状になっている。
【0039】
ユニバーサルジョイント又は定速ジョイント31は、ハーフシャフト32をアーム6の拡張部33に取り付けられたディスク34に接続し、そして、ディスク34の回転は、キャリパーアッセンブリ35によって抵抗される。後輪の駆動は、アーム39、リアアーム7の拡張部によって提供される。リアアーム7の拡張部は、ドライブスプロケット43を駆動するチェーン42によって駆動されるチェーンホイール41にホイール15を接続するハーフシャフト40を支持する。スプロケット43のための軸受は、スプロケット43の中心が軸38に実施可能な近くになるように、車両シャシー1の部分44に取り付けられる。この本発明の特定の明示では、車両は、縦方向に伸びる中心線36を中心にして対称であり、必要に応じてフロント/バックの対称性を有することができる。四輪駆動車両には、ディスク34は、後輪と同じ構成でチェーンホイールに置き換えられることが理解されよう。
【0040】
図2に示されるように、前輪14は、回転ハブ12を介してフロントアーム6の外側端部に連結される。車輪14は、ディスク34とキャリパーアッセンブリ35とによって制動されると共に、横軸リンク26によって動作されるロッカーアーム25に連結されたステアリングロッド24によって操縦される。フロントアーム6は、スプリングストラット18、19の組み合わせの作用によって作用される上向きの拡張部16による地面の上方への反作用に抗して突起10及び11を通る軸線28を中心にして平衡状態に維持される。フロントアーム回転軸線28は、車輪14の路面と接触する中心を通る縦方向の垂直平面上の線47とポイント45で交差し、地面から選択された距離でポイント30で横軸平面29と交差する。
【0041】
また、車輪15の路面と接触する中心を通る縦の垂直平面とポイント46で交差する回転軸線38は、必ずしも正確な対称性ではないが同様に配置される。後輪15は、リアアーム7の拡張部39に取り付けられたチェーンホイール41によって駆動され、チェーン42によって駆動スプロケット43に連結される。リアアーム7は、回転軸線38が通過する突起8及び9を有する。アーム7は、ユニバーサルジョイント22を介してスプリングストラット18及び21が取り付けられたアーム7の上へ向いた拡張部17によって地面からの上方への反作用に抗して軸線38を中心にして平衡状態に維持される。
【0042】
このように、本発明の実施例では、各スプリングストラットが二つの隣接したサスペンションアームに共通しており、二重の連接されたサスペンションと呼ぶことができる構造を提供することと、線47と線48が、線47と線48を含む平面上に示される車両の懸架質量の重心が見つけられると推測されるゾーン49内で又はゾーン49から短い距離で交差するように配置されることを理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のための車両用サスペンションシステムであって、
各々がそれぞれのサスペンションアームの外端に取り付けられた少なくとも3つの車輪であって、サスペンションアームが車両の懸架された大部分の内端に回転可能に連結された、少なくとも3つの車輪を備え、
車両用サスペンションシステムは、少なくとも二つのサスペンションアームコネクタを有し、
少なくとも二つのサスペンションアームコネクタの各々の一端は、車両用サスペンションシステムのサスペンションアームの各々に取り付けられ、
少なくとも二つのサスペンションアームコネクタの各々の他端は、車両用サスペンションシステムの他の二つのサスペンションアームの一方に取り付けられ、
各サスペンションアームの回転軸線は、そのアームに取り付けられたサスペンションアームコネクタが前記回転軸線を中心とした回転モーメントを有するように配向されている、車両用サスペンションシステム。
【請求項2】
請求項1記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
車輪つき車両に関する車両用サスペンションシステムの使用で、
少なくとも3つの車輪のためのサスペンションアームの各々は、回転軸線を有し、
回転軸線は、車両の通常の走行の縦方向に平行であると共に関連した車輪と地面との間の接触の中心を含む垂直平面と、その関連した車輪の地面との接触の中心を含む線上にあるポイント及び前記垂直平面上に直角に示される車両の懸架質量の予測される重心で又はその重心に近い前記垂直平面の選択されたポイントで交差する、車両用サスペンションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
サスペンションアームコネクタの少なくとも一つは、圧縮抵抗ストラットである、車両用サスペンションシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
サスペンションアームコネクタの少なくとも一つは、張力抵抗棒である、車両用サスペンションシステム。
【請求項5】
請求項3又は4記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
サスペンションアームコネクタは、弾性部材を備える、車両用サスペンションシステム。
【請求項6】
請求項5記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
弾性部材は、弾性変形可能である、車両用サスペンションシステム。
【請求項7】
請求項5又は6記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
弾性部材は、機械的なスプリングからなる、車両用サスペンションシステム。
【請求項8】
請求項5乃至7のうちのいずれか一つに記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
サスペンションアームコネクタは、流体タイプのスプリングを備える、車両用サスペンションシステム。
【請求項9】
四輪車用の請求項1乃至8のうちのいずれか一つに記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
4つのサスペンションアームの各々は、サスペンションアームに取り付けられた第1のサスペンションアームコネクタを有し、
第1のサスペンションアームコネクタは、車両の通常の走行方向に対して前後に伸び、車両の同じ側で他のサスペンションアームに取り付けられており、
第2のサスペンションアームコネクタは、前記方向を横切って伸び、車両の反対側で他のサスペンションアームに取り付けられている、車両用サスペンションシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つに記載の車両用サスペンションシステムにおいて、
少なくとも一つのサスペンションアームは、サスペンションアームに取り付けられた第1のサスペンションアームコネクタを有し、
第1のサスペンションアームコネクタは、車両の通常の走行の縦方向に対して縦の前後の方向、あるいは前記縦方向を横切る方向のいずれかに伸び、
第2のサスペンションアームコネクタは、前記少なくとも一つのサスペンションアームから前記縦方向及び前記縦方向を横切る方向の少なくとも一方に配置される他のサスペンションアームに取り付けるために前記縦方向及び前記縦方向を横切る方向の各々に対して傾斜した方向に伸びる、車両用サスペンションシステム。
【請求項11】
実質的に添付図面を参照して前述に説明された車両用サスペンションシステム。
【請求項12】
車両本体と少なくとも3つの車輪を備える車両であって、
車両本体は、請求項1乃至11のうちのいずれか一つに記載の車両用サスペンションシステムによって車輪に対して懸架される、車両。
【請求項13】
各々が車輪を支持すると共に車両の本体に対して回転軸を有する少なくとも3つのサスペンションアームを備える車両であって、
各サスペンションアームの回転軸線は、車輪と地面との間の接触の中心を含む、車両の通常の移動方向に平行な平面である縦方向の垂直平面と、車輪の地面との接触の中心を含む線上にあるポイント及び前記垂直平面上に直角に示される車両の懸架質量の予測される重心で又はその重心に近い前記垂直平面の選択されたポイントで交差する、車両。
【請求項14】
請求項1又は2記載の車両において、
車両は、少なくとも3つのサスペンションアームコネクタを備え、
少なくとも3つのサスペンションアームコネクタの各々は、車両の懸架された大部分に実質的な構造の負荷を伝達するアタッチメントを欠いている、車両。
【請求項15】
請求項12乃至14のうちのいずれか一つに記載の車両において、
車両は、車輪のための制動手段を備え、制動手段は、サスペンションアームに抗して制動反応力が作動するように取り付けられる、車両。
【請求項16】
請求項12乃至15のうちのいずれか一つに記載の車両において、
車両は、少なくとも車輪からのあるいは少なくとも車輪への機械的駆動力の伝達のための手段を備え、駆動力は、車輪と関連したサスペンションアームの回転軸線を介してあるいはその回転軸線を実施可能な近くに伝達される、車両。
【請求項17】
請求項12乃至16のうちのいずれか一つに記載の車両において、
車両は、少なくとも一つのステアリングホイールを備え、ステアリング入力は、サスペンションアームの回転軸線を介してあるいはその回転軸線を実施可能な近くに伝達される、車両。
【請求項18】
実質的に添付図面に示され前述に説明された車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−520701(P2011−520701A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510040(P2011−510040)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001253
【国際公開番号】WO2009/141603
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510306915)
【Fターム(参考)】