説明

車両のセンタコンソール構造

【課題】乗員が脚を広げた際にセンタコンソールとの干渉を防止することができ、またセンタコンソール上面のスペースの縮小を最小限に抑えることができる車両のセンタコンソール構造の提供を目的とする。
【解決手段】センタコンソール21は、フロアパネルから上方に立上がる縦壁部21Aと、センタコンソール21の上面を形成する上面部21Bとを備え、縦壁部21Aと上面部21Bとにわたって、センタコンソール21には車幅方向内側に凹設する凹設部30が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のセンタコンソール構造に関し、詳しくは、車両のフロアパネル上に配設された運転席(ドライバーズシート)と助手席(パッセンジャーズシート)と、該運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、該インストルメントパネルから運転席と助手席との間に前後方向にわたって配設されたセンタコンソールと、を備えたような車両のセンタコンソール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、上述例の運転席と助手席との間に配設されたセンタコンソールには、シフトレバーやパーキングレバーに加えて、乗員の使い勝手を考慮してアームレストやカップホルダ、さらには、ナビゲーションコマンダ等がレイアウトされる傾向にあり、このため、上面幅が広いセンタコンソールが望まれている。
さらに、乗員の操作性と、コックピット感を得るためのデザイン上の理由より上記センタコンソールの高さは比較的高い位置に配設される。この場合、運転席乗員(ドライバ)が、例えば、オートクルーズ時においてアクセルペダルから足を離し、左右の両脚を蟹股に開いて安楽な姿勢を取る際、乗員の脚部がセンタコンソールに干渉するので、充分に脚部を開くことができず、充分な安楽姿勢を確保することができないという問題点があった。
【0003】
ところで、特許文献1には、車両のフロアパネル上に配設された運転席と助手席と、これら運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、このインストルメントパネルから運転席と助手席との間に前後方向にわたって配設されたセンタコンソールと、を備えた車両のセンタコンソール構造が開示されている。
しかしながら、該特許文献1は、単に一般的なセンタコンソールが開示された程度のものに過ぎず、乗員が安楽姿勢を取る際に脚部との干渉を回避するという技術思想については全く開示されておらず、その示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−30450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、センタコンソールがフロアパネルから上方に立上がる縦壁部と、センタコンソールの上面を形成する上面部とを備え、上記縦壁部と上記上面部とにわたって、センタコンソールには車幅方向内側に凹設する凹設部を形成することで、乗員が脚を広げた際にセンタコンソールとの干渉を防止することができ、またセンタコンソール上面のスペースの縮小を最小限に抑えることができる車両のセンタコンソール構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による車両のセンタコンソール構造は、車両のフロアパネル上に配設された運転席と助手席と、該運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、該インストルメントパネルから上記運転席と助手席との間に前後方向にわたって配設されたセンタコンソールと、を備えた車両のセンタコンソール構造であって、上記センタコンソールは、上記フロアパネルから上方に立上がる縦壁部と、該センタコンソールの上面を形成する上面部とを備え、上記縦壁部と上記上面部とにわたって、該センタコンソールには車幅方向内側に凹設する凹設部が形成されたものである。
上記構成によれば、センタコンソールには上記凹設部を形成したので、乗員が脚を広げた際にセンタコンソールとの干渉を防止することができ、これにより、乗員は安楽姿勢をとることができる。
【0007】
また、上記センタコンソールの一部に凹設部を形成したので、センタコンソール上面のスペースの縮小を最小限に抑えることができる。
要するに、センタコンソール上面に対するレイアウト物の配設スペースを確保しつつ、乗員が安楽姿勢をとることができるものである。
【0008】
この発明の一実施態様においては、上記センタコンソールは、上記凹設部を覆いつつ、センタコンソールの縦壁部および上面部と連続するように配設された変位部材を備えたものである。
上述の変位部材としては、乗員の脚部が当接した時に弾性変形し、乗員の脚部が離れた時に元の状態に戻るスポンジ材、クッション材を表皮で囲繞したものが好ましい。
上記構成によれば、凹設部を覆うように上記変位部材を設けたので、身栄えの低下を防止しつつ、乗員の安楽姿勢を確保することができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記凹設部は、車両前後方向にわたって配設されると共に、後方に比較して前方が車幅方向外側となるように傾斜して配設されたものである。
上記構成によれば、凹設部を上述のように傾斜して配設させたので、安楽姿勢からアクセルペダル(またはブレーキペダル)を踏み込む際、該凹設部に沿って脚部を容易に移動させることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記運転席は前後方向にスライド可能に支持されており、上記凹設部は、シートスライドにより最後端に位置した運手席のシートクッション前部とオーバラップする位置から前方に配設されたものである。
上記構成によれば、運転席をシートスライドにより最後端に位置させた場合、つまり、体格が大きい乗員(ドライバ)がペダル等の操作を考慮して運転席を最後端位置にシートスライドさせた場合においても、上述の凹設部は最後端に位置する運転席のシートクッション前部とオーバラップする位置からその前方に配設されているので、斯る乗員が脚部を広げた際にも凹設部により乗員の脚部とセンタコンソールとの干渉を軽減または防止することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記凹設部と対応するフロアパネル上には、該フロアパネルより上下方向高さが高く設定された段上げ部が設けられたものである。
上記構成によれば、凹設部と対応するフロアパネル上に段上げ部を設けたので、乗員は足を高位置に設定することができ、この結果、安楽姿勢をとった場合においても乗員の脚部とセンタコンソールとの干渉をより一層軽減または、より一層確実に防止することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記凹設部は運転席と助手席とに対応してセンタコンソールの左右両側に形成されたものである。
上記構成によれば、運転席に着座した乗員のみならず、助手席に着座した乗員が脚を広げた際にもセンタコンソールとの干渉を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、センタコンソールがフロアパネルから上方に立上がる縦壁部と、センタコンソールの上面を形成する上面部とを備え、上記縦壁部と上記上面部とにわたって、センタコンソールには車幅方向内側に凹設する凹設部を形成したので、乗員が脚を広げた際にセンタコンソールとの干渉を防止することができ、またセンタコンソール上面のスペースの縮小を最小限に抑えることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のセンタコンソール構造を備えた車両の要部平面図
【図2】車両のセンタコンソール構造を示す側面図
【図3】凹設部形成構造および変位部材配設構造を示す平面図
【図4】図2の要部拡大側面図
【図5】図4のA−A線矢視断面図
【図6】図4のB−B線矢視断面図
【図7】図4のC−C線矢視断面図
【図8】車両のセンタコンソール構造の他の実施例を示す車両の要部平面図
【図9】図8の側面図
【図10】図9のD−D線矢視断面図
【図11】車両のセンタコンソール構造のさらに他の実施例を示す要部平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
センタコンソール上面のスペースの縮小を最小限に抑えつつ、乗員が脚を広げて安楽姿勢をとる際のセンタコンソールと乗員の脚部との干渉を防止するという目的を、車両のフロアパネル上に配設された運転席と助手席と、該運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、該インストルメントパネルから上記運転席と助手席との間に前後方向にわたって配設されたセンタコンソールと、を備えた車両のセンタコンソール構造であって、上記センタコンソールは、上記フロアパネルから上方に立上がる縦壁部と、該センタコンソールの上面を形成する上面部とを備え、上記縦壁部と上記上面部とにわたって、該センタコンソールは車幅方向内側に凹設する凹設部を形成するという構成にて実現した。
【実施例1】
【0016】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のセンタコンソール構造を示し、図1は要部の平面図、図2は図1における運転席側の側面図である。なお、以下の各図において矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印Drはドライバーズ側(運転席側)を示し、矢印Paはパッセンジャーズ側(助手席側)を示す。
【0017】
図1、図2において、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル1を設け、このダッシュロアパネル1の下部後端部には、後方に向けて略水平に延びるフロアパネル2を連設している。
【0018】
上述のフロアパネル2は車室の底面(床面)を構成するもので、このフロアパネル2の車幅方向中央部には車室内方へ突出して車両の前後方向に延びるトンネル部3を一体形成すると共に、車両のフロアパネル2の左右両端部には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのサイドシル4,4を接合固定している。
このサイドシル4は、サイドシルインナとサイドシルアウタとを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を有する強度部材である。
【0019】
図1に平面図で示すように、トンネル部3を跨いで左右のサイドシル4,4間を車幅方向に連結するクロスメンバ5を設け、図2に示すように、該クロスメンバ5とフロアパネル2との間には車幅方向に延びる閉断面6を形成し、下部車体剛性を確保するように構成している。
上述のクロスメンバ5と前後方向に離間するように、サイドシル4とトンネル部3の縦壁部とを車幅方向に連結する左右のクロスメンバ7,7を設け、図2に示すように、該クロスメンバ7とフロアパネル2との間には車幅方向に延びる閉断面8を形成して、下部車体剛性を確保するように構成している。
【0020】
上述の前後の各クロスメンバ5,7は、シートスライドレールを取付けるのに相応しい間隔で設けられており、これら前後の各クロスメンバ5,7間には単位シート当り左右一対のシートスライドレール9,9を前後方向に向けて取付けている。
上述のシートスライドレール9は、図2に示すように、固定構造のロアレール10と、可動構造のアッパレール11とを備えている。
一対のシートスライドレール9,9上には、トンネル部3の左側と右側とに運転席としてのドライバーズシート12と、助手席としてのパッセンジャーズシート13とを、それぞれ前後方向にスライド可能に支持している。
【0021】
この実施例では、左ハンドル車に対応して左側にドライバーズシート12が位置しており、右側にパッセンジャーズシート13が位置しているが、以下に述べるセンタコンソール構造は左ハンドル車および右ハンドル車の何れにも採用することができる。
【0022】
ここで、上述のドライバーズシート12は、乗員が着座するシートクッション12Cと、乗員の背もたれ面を形成するシートバック12Bと、乗員の頭部を支えるヘッドレスト12Hとを備えている。
同様に、上述のパッセンジャーズシート13は、乗員が着座するシートクッション13Cと、乗員の背もたれ面を形成するシートバック13Bと、乗員の頭部を支えるヘッドレスト13Hとを備えている。
【0023】
図1、図2に示すように、ドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13の前方には車幅方向にわたってインストルメントパネル14が配設されており、該インストルメントパネル14の運転席側にはメータフード15が一体または一体的に形成されている。
上述のインストルメントパネル14の車幅方向中央部14aには、左右一対の空調風の吹出しグリル16,16と、ナビゲーション装置の表示部またはオーディオ装置の操作部などの車載機器の操作表示部17が配設されているが、これはレイアウトの一例であって、これに限定されるものではない。
【0024】
図1、図2に示すように、運転席側にはステアリングホイール18を設ける一方、運転席側においてインストルメントパネル14の下方前部には、アクセルペダル19とブレーキペダル20とを配設している。
また、図1、図2に示すように、インストルメントパネル14からドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13との間に前後方向にわたってセンタコンソール21を配設している。
【0025】
図1に示すように、インストルメントパネル14とセンタコンソール21とは、平面から見てT字状になるように連続して形成されたものである。
上述のセンタコンソール21の後部には、センタコンソールボックス22が一体または一体的に形成されており、このセンタコンソールボックス22の開口部を開閉可能に覆うコンソールリッド23が、ドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13との間に位置しており、このコンソールリッド23が運転席乗員、助手席乗員のアームレストを兼ねるように構成している。
【0026】
上述のセンタコンソールボックス22の前部において、センタコンソール21の上面部21Bには右側にパーキング・ブレーキ・レバー24を、左側にカップホルダ25をそれぞれ配設し、これら両者24,25の前方において、センタコンソール21の上面部21Bにはシフトレバー26を配設している。
【0027】
図3は図1の要部拡大平面図、図4は図2の要部拡大側面図、図5は図4のA−A線矢視断面図、図6は図4のB−B線矢視断面図、図7は図4のC−C線矢視断面図であって、以下、図3〜図7を参照して、車両のセンタコンソール構造について詳述する。
図3〜図7に示すように、上述のセンタコンソール21は、フロアパネル2(図2参照)から上方に立上がる縦壁部21Aと、該センタコンソール21の上面を形成する上面部21Bとを備えている。
【0028】
そして、上述の縦壁部21Aと上面部21Bとにわたって、センタコンソール21の運転席側の上側コーナ部には、車幅方向内側に凹設する凹設部30が形成されている。つまり、この凹設部30はセンタコンソール21の一般面よりも車幅方向の内側に凹設されたものである。
ここで、上述の凹設部30は図4に示すように側面視において略水平かつ前後方向に延びる略水平部と、この略水平部の前端からセンタコンソール21形状に沿ってなだらかに湾曲して上方に立上る湾曲部とを備えており、凹設部30の略水平部において図4のA−A線に相当する前部の高さh1(図5参照)と、図4のB−B線に相当する中間部の高さh2(図6参照)と、図4のC−C線に相当する後部の高さh3(図7参照)と、を比較した時、h1<h2<h3の関係式が成立するように構成されている。
【0029】
図3は凹設部30の平面構造を示し、この凹設部30は車両前後方向にわたって配設されると共に、後方に比較して前方が車幅方向外側となるように傾斜して配設されている。
また、凹設部30の車幅方向の幅はその前端部から前後方向中間部にかけて、小幅L1に設定されており、前後方向中間部から後端にかけて幅が漸増し、その後端においては相対的に大幅L2(但し、L1<L2)に設定されている。
【0030】
さらに、図4に実線で示すシートクッション12Cは、シートスライドにより最後端に位置させたドライバーズシート12のシートクッション12C位置を示しており、上述の凹設部30は図4に示すように最後端に位置する該シートクッション12Cの前部とオーバラップする位置から前方に配設されたものである。
【0031】
図3〜図7に示すように、上述のセンタコンソール21は、上記凹設部30を覆いつつ、センタコンソール21の縦壁部21Aおよび上面部21Bと連続するように配設された変位部材31を備えている。つまり、この変位部材31はセンタコンソール21の一般面と連続するように配設されており、該変位部材31は図示しない接着剤を用いて上述の凹設部30に接着固定されたものである。
また、上述の変位部材31はスポンジなどのクッション材32と、該クッション材32を囲繞する表皮33とを備えており、乗員の脚部が該変位部材31に当接した時に弾性変形し、乗員の脚部が変位部材31から離れた時に元の状態に戻るように形成されている。
【0032】
ところで、図3、図5、図6、図7に示すように、シフトレバー26の配設部位に対応して、センタコンソール21の上面部21Bには、シフトレバー案内用のプレートアセンブリ40を設けている。
このプレートアセンブリ40は、ベースプレート41と、補助プレート42と、ガイドプレート43と、表示プレート44とを備えている。
【0033】
このように、図1〜図7で示した実施例の車両のセンタコンソール構造は、車両のフロアパネル2上に配設されたドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13と、該ドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネル14と、該インストルメントパネル14から上記ドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13との間に前後方向にわたって配設されたセンタコンソール21と、を備えた車両のセンタコンソール構造であって、上記センタコンソール21は、上記フロアパネル2から上方に立上がる縦壁部21Aと、該センタコンソール21の上面を形成する上面部21Bとを備え、上記縦壁部21Aと上記上面部21Bとにわたって、該センタコンソール21には車幅方向内側に凹設する凹設部30が形成されたものである(図1、図2、図3参照)。
この構成によれば、センタコンソール21には上記凹設部30を形成したので、乗員が脚を広げた際にセンタコンソール21との干渉を防止することができ、これにより、乗員は安楽姿勢をとることができる。
【0034】
また、上記センタコンソール21の一部(詳しくは、センタコンソール21の上側コーナ部)に凹設部30を形成したので、センタコンソール21上面のスペースの縮小を最小限に抑えることができる。
要するに、センタコンソール21上面に対するレイアウト物の配設スペースを確保しつつ、乗員が安楽姿勢をとることができるものであり、乗員の快適性向上を図ることができる。
【0035】
さらに、上記センタコンソール21は、上記凹設部30を覆いつつ、センタコンソール21の縦壁部21Aおよび上面部21Bと連続するように配設された変位部材31を備えたものである(図3〜図7参照)。
この構成によれば、凹設部30を覆うように上記変位部材31を設けたので、身栄えの低下を防止しつつ、乗員の安楽姿勢を確保することができる。
【0036】
加えて、上記凹設部30は、車両前後方向にわたって配設されると共に、後方に比較して前方が車幅方向外側となるように傾斜して配設されたものである(図3参照)。
この構成によれば、凹設部30を上述のように傾斜して配設させたので、安楽姿勢からアクセルペダル19(またはブレーキペダル20)を踏み込む際、該凹設部30に沿って乗員がその脚部を容易に移動させることができる。
【0037】
また、上記ドライバーズシート12は前後方向にスライド可能に支持されており、上記凹設部30は、シートスライドにより最後端に位置したドライバーズシート12のシートクッション12C前部とオーバラップする位置から前方に配設されたものである(図4参照)。
この構成によれば、ドライバーズシート12をシートスライドにより最後端に位置させた場合、つまり、体格が大きい乗員(ドライバ)がペダル等の操作を考慮してドライバーズシート12を最後端位置にシートスライドさせた場合においても、上述の凹設部30は最後端に位置するドライバーズシート12のシートクッション12C前部とオーバラップする位置からその前方に配設されているので、体格の大きい乗員が脚部を広げた際にも凹設部30により乗員の脚部とセンタコンソール21との干渉を軽減または防止することができる。
【実施例2】
【0038】
図8、図9、図10は車両のセンタコンソール構造の他の実施例を示し、図8はその平面図、図9は車両のセンタコンソール構造を示す側面図、図10は図9のD−D線矢視断面図である。
図8〜図10に示すこの実施例2においては先の実施例1の構成に加えて、凹設部30と対応するフロアパネル2上に、該フロアパネル2より上下方向の高さが高く設定された段上げ部50を設けたものである。
【0039】
この実施例ではフロアパネル2とは別部材の段上げ部50をトンネル部3の縦壁部と、フロアパネル2と、クロスメンバ5上面とにスポット溶接手段により接合固定すると共に、ドライバーズ側と左右略対称になるようにパッセンジャーズ側にも同様の段上げ部51を設けている。
【0040】
ここで、上述の各段上げ部50,51と、トンネル部3、フロアパネル2、クロスメンバ5との間には閉断面52,53(図10参照)を形成し、フロア剛性およびトンネル剛性の向上を図るように構成している。
上述の段上げ部50の車幅方向内端はトンネル部3の縦壁部に接合されており、この段上げ部50の車幅方向の幅は、車幅後面視において少なくともアクセルペダル19とオーバラップする幅に設定されている。
なお、助手席側の段上げ部51も運転席側の段上げ部50と略左右対称になるように形成されている。
【0041】
このように、図8〜図10で示した実施例2においては、上記凹設部30と対応するフロアパネル2上には、該フロアパネル2より上下方向高さが高く設定された段上げ部50が設けられたものである(図9、図10参照)。
この構成によれば、凹設部30と対応するフロアパネル2上に段上げ部50を設けたので、乗員は該段上げ部50上面に足を載せると、その足を高位置に設定することができ、この結果、図10に段上げ部50が存在しない場合の乗員の脚部αと、段上げ部50が存在する場合の乗員の脚部βとを対比して示すように、乗員が安楽姿勢をとった場合においても乗員の脚部βとセンタコンソール21との干渉をより一層軽減または、より一層確実に防止することができる。
【0042】
また、助手席側の段上げ部51は、パッセンジャがフットレストとして有効利用することができる。さらに、段上げ部50,51をトンネル部3に接合させ、これら段上げ部50,51の車幅方向の幅を所定幅(車幅後面視で少なくともアクセルペダル9とオーバラップする幅)に設定したので、車両に対する乗降時において乗員が足を踏ん張るスペースが充分に残り、段上げ部50,51の配設により乗降性を何等阻害するものではない。
【0043】
図8〜図10で示したこの実施例2においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例1と同様であるから、図8〜図10において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例3】
【0044】
図11は車両のセンタコンソール構造のさらに他の実施例を示し、上記凹設部30と、該凹設部30を覆う変位部材31とを、ドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13とに対応して、センタコンソール21の左右両側に形成したものである。
【0045】
このように、上記凹設部30をドライバーズシート12とパッセンジャーズシート13との双方に対応してセンタコンソール21の左右両側にそれぞれ形成すると、ドライバーズシート12に着座した乗員のみならず、パッセンジャーズシート13に着座した乗員が脚を広げた際にもセンタコンソール21との干渉を防止することができ、助手席乗員の快適性向上をも図ることができる。
【0046】
図11で示したこの実施例3においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例1と同様であるから、図11において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略するが、この実施例3と図8〜図10で示した実施例2とを組合せる構成を採用してもよい。
【0047】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の運転席は、上述の実施例のドライバーズシート12に対応し、
以下同様に、
助手席は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、実施例2の段上げ部50はフロアパネル2およびトンネル部3に一体形成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
2…フロアパネル
12…ドライバーズシート(運転席)
12C…シートクッション
13…パッセンジャーズシート(助手席)
14…インストルメントパネル
21…センタコンソール
21A…縦壁部
21B…上面部
30…凹設部
31…変位部材
50…段上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネル上に配設された運転席と助手席と、
該運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、
該インストルメントパネルから上記運転席と助手席との間に前後方向にわたって配設されたセンタコンソールと、を備えた車両のセンタコンソール構造であって、
上記センタコンソールは、上記フロアパネルから上方に立上がる縦壁部と、該センタコンソールの上面を形成する上面部とを備え、
上記縦壁部と上記上面部とにわたって、該センタコンソールには車幅方向内側に凹設する凹設部が形成されたことを特徴とする
車両のセンタコンソール構造。
【請求項2】
上記センタコンソールは、上記凹設部を覆いつつ、センタコンソールの縦壁部および上面部と連続するように配設された変位部材を備えた
請求項1記載の車両のセンタコンソール構造。
【請求項3】
上記凹設部は、車両前後方向にわたって配設されると共に、後方に比較して前方が車幅方向外側となるように傾斜して配設された
請求項1または2記載の車両のセンタコンソール構造。
【請求項4】
上記運転席は前後方向にスライド可能に支持されており、
上記凹設部は、シートスライドにより最後端に位置した運手席のシートクッション前部とオーバラップする位置から前方に配設された
請求項1〜3の何れか1に記載の車両のセンタコンソール構造。
【請求項5】
上記凹設部と対応するフロアパネル上には、該フロアパネルより上下方向高さが高く設定された段上げ部が設けられた
請求項1〜4の何れか1に記載の車両のセンタコンソール構造。
【請求項6】
上記凹設部は運転席と助手席とに対応してセンタコンソールの左右両側に形成された
請求項1〜5の何れか1に記載の車両のセンタコンソール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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