説明

車両のドアロック装置

【課題】構造の簡素化を図りながらも、セキュリティレベルを高く維持することのできる車両のドアロック装置を提供する。
【解決手段】この車両のドアロック装置は、スイッチング操作に基づいてアンロック指令を出力する集中操作スイッチ10と、キーシリンダの操作に連動してスイッチング操作されることによりアンロック指令を出力するキー連動スイッチ20と、アンロック指令に基づいて車両ドアのアンロックを行うドアロック制御部30とを有する。ここでは、オン操作されることによりドアロック制御部30にアンロック指令を出力するトランジスタ16と、集中操作スイッチ10のアンロックスイッチ15及び車両に設けられる各種スイッチ51〜53の出力信号に基づいてトランジスタ16をオンさせるスイッチ制御部17とを設ける。そして、各スイッチ10,20からドアロック制御部30にアンロック指令を伝達するためのそれぞれの配線を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた集中操作スイッチのスイッチング操作、及び車両ドアに設けられたキーシリンダの操作に基づいて車両ドアのアンロックを行う車両のドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両のドアロック装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。図5に、この特許文献1に記載の装置を含めて、従来一般の車両のドアロック装置の構成を示す。同図5に示されるように、このドアロック装置は、例えば運転席のドアに設けられたキーシリンダの操作、あるいは運転席の肘掛け部に設けられた集中操作スイッチ10の操作に基づいてドアロックモータ40〜43を駆動させることにより、車両に設けられる全てのドアのロック/アンロックを行う装置である。ちなみに、ロック/アンロックが行われるドアは、例えば運転席(D席)のドア、助手席(P席)のドア、運転席の後部の座席(RR席)のドア、及び助手席の後部の座席(RL席)のドアなどである。
【0003】
ここで、集中操作スイッチ10は、例えば運転者によってロック側に操作されると、グランド電位におかれる可動接点11がロック用スイッチ端子(固定接点)12に接続されるとともに、アンロック側に操作されると、可動接点11がアンロック用スイッチ端子(固定接点)13に接続される構造となっている。一方、ドアロック装置には、上記キーシリンダの操作に連動してスイッチング操作されるキー連動スイッチ20が設けられている。ちなみに、このキー連動スイッチ20は、例えば運転者によってキーシリンダがロック側に操作されると、グランド電位におかれる可動接点21がロック用スイッチ端子(固定接点)22に接続されるとともに、キーシリンダがアンロック側に操作されると、可動接点21がアンロック用スイッチ端子(固定接点)23に接続される構造となっている。
【0004】
そして、これら各スイッチ10,20の出力信号が、マイクロコンピュータを中心に構成されるドアロック制御部30に取り込まれている。ちなみに、このドアロック制御部30には、上記各スイッチ端子12,13,22,23に接続される入力端子30a〜30dが設けられている。そして、このドアロック制御部30は、これらの入力端子30a〜30dの電位を監視しつつ、ドアロックモータ40〜43の駆動を制御する。具体的には、入力端子30a、あるいは入力端子30cの電位が論理ローレベルに対応する電位(グランド電位)になった旨を検出すると、ロック指令が入力されたと判断して、上記ドアロックモータ40〜43を駆動させて全ての車両ドアをロックさせる。また、このドアロック制御部30は、入力端子30b、あるいは入力端子30dの電位が論理ローレベルに対応する電位(グランド電位)になった旨を検出すると、アンロック指令が入力されたと判断して、上記ドアロックモータ40〜43を駆動させて全ての車両ドアをアンロックさせる。
【0005】
ところで、このようなドアロック装置にあっては、運転者の利便性を確保するなどの観点から、集中操作スイッチ10によって車両ドアのアンロックを行う際にキー認証などが要求されることはない。すなわち、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作は、運転者に限らず、誰でも行うことが可能となっている。このため、例えば車両駐車時など、車両のオーナが車両にいない状況で集中操作スイッチ10が不正に操作されると、第三者が車室内に不法侵入するおそれがある。
【0006】
そこで、ドアロック制御部30では通常、各種車載センサ50を通じて車両が駐車状態であるか否かを検出するとともに、車両が駐車状態である旨が検出された場合には、仮に入力端子30dの電位がグランド電位になったとしても、車両ドアのアンロックを行わないようにしている。こうした構成によれば、仮に車両駐車時に第三者が集中操作スイッチ10を不正に操作したとしても、車両ドアをアンロックすることはできないため、上述した第三者の車室内への不法侵入を防止することができ、ひいては車両のセキュリティレベルを高めることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−219967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このようなドアロック装置にあっては、先の図5に示されるように、各スイッチの出力信号を取り込むための入力端子30a〜30dをドアロック制御部30に各別に設けるようにしている。そして、ドアロック制御部30では、車両が駐車状態である旨が検出されているときに、入力端子30b,30dの電位を監視しつつ、次のような態様で車両ドアのアンロックを行う。すなわち、入力端子30dがグランド電位になった旨が検出された場合には、車両ドアのアンロックを行わないのに対し、入力端子30bがグランド電位になった旨が検出された場合には、車両ドアのアンロックを行う。これにより、車両駐車時には、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作は無効となる一方、運転者によるキーシリンダの操作は有効となる。
【0009】
しかしながら、このように各スイッチ10,20に対応する入力端子30a〜30dをドアロック制御部30に格別に設けるようにした場合には、各スイッチ10,20と入力端子30a〜30dとを接続するための配線が各スイッチ毎に必要となる。このため、構造上の複雑化が避けられず、実用上は、なお改良の余地を残すものとなっている。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造の簡素化を図りながらも、セキュリティレベルを高く維持することのできる車両のドアロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられるとともにスイッチング操作に基づいてアンロック指令を出力する集中操作スイッチと、車両ドアに設けられたキーシリンダの操作に連動してスイッチング操作されることによりアンロック指令を出力するキー連動スイッチと、これら各スイッチから出力されるアンロック指令に基づいて前記車両ドアのアンロックを実行するドアロック制御部とを有する車両のドアロック装置であって、前記車両の状態を検出する車両状態検出手段と、該車両状態検出手段を通じて検出される前記車両の状態に基づいて前記集中操作スイッチから前記ドアロック制御部への前記アンロック指令の伝達を遮断する遮断手段とを備え、前記各スイッチから前記ドアロック制御部にアンロック指令を伝達するためのそれぞれの配線が互いに接続されていることを要旨としている。
【0012】
同構成によれば、車両状態検出手段を通じて検出される車両の状態が、例えば駐車状態など、集中操作スイッチの操作を禁止したい状態であるときには、遮断手段を駆動させれば、集中操作スイッチからドアロック制御部にアンロック指令が伝達されなくなる。これにより、集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作を無効化することができるため、集中操作スイッチの不正操作を未然に防止することができるようになる。またこのように、集中操作スイッチからドアロック制御部へのアンロック指令の伝達を車両の状態に基づいて遮断することができれば、ドアロック制御部では、集中操作スイッチ及びキー連動スイッチのいずれからアンロック指令が伝達されたかを判断する必要がなくなるため、各スイッチからドアロック制御部にアンロック指令を伝達するためのそれぞれの配線を互いに接続することが可能となる。このため、ドアロック装置の構造の簡素化を図りつつも、セキュリティレベルを高く維持することができるようになる。
【0013】
そしてこの場合、前記遮断手段としては、例えば請求項2に記載の発明によるように、
・オン操作されたときに前記ドアロック制御部にアンロック指令を出力するスイッチング素子と、前記車両状態検出手段を通じて検出される前記車両の状態及び前記集中操作スイッチから出力される前記アンロック指令に基づいて前記スイッチング素子をオンさせるスイッチ制御部とを有する。
あるいは請求項3に記載の発明によるように、
・前記集中操作スイッチのスイッチング操作を無効化する無効化手段と、前記車両状態検出手段を通じて検出される前記車両の状態に基づいて前記無効化手段の駆動を制御するスイッチ制御部とを有する。
等々の手段を採用することが有効である。このような構成によれば、スイッチング素子及びスイッチ制御部を設けるだけで、上述した遮断手段を容易に実現することができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる車両のドアロック装置によれば、構造の簡素化を図りながらも、セキュリティレベルを高く維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる車両のドアロック装置についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の車両のドアロック装置によるアンロック指令伝達遮断処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態の車両のドアロック装置によるアンロック指令伝達許可処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明にかかる車両のドアロック装置の変形例についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図5】従来の車両のドアロック装置についてそのシステム構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる車両のドアロック装置を具体化した一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる車両のドアロック装置のシステム構成を示したブロック図であり、はじめに、同図1を参照して、このドアロック装置の構成を具体的に説明する。なお、この図1に示すドアロック装置も、車両ドアのロック/アンロックを行うための構成は、先の図5に例示したドアロック装置と基本的に同様である。すなわち、この図1に示すドアロック装置も、車両ドアに設けられたキーシリンダの操作、及び運転席の肘掛け部に設けられた集中操作スイッチ10の操作に基づいてドアロックモータ40〜43を駆動させることにより、車両の全てのドアのロック/アンロックを行う装置である。なお、本実施形態のドアロック制御部30は、タイマ機能を有する制御ロジック、例えばタイマICなどを中心に構成されている。すなわち、ドアロック制御部30は、ドアロックモータ40〜43を所定時間だけ駆動させる制御のみを実行する。また、この図1において、先の図4に例示した要素と同一の要素には各々同一の符号を付すことによって、それらの要素についての重複する説明は割愛する。
【0017】
同図1に示されるように、このドアロック装置の集中操作スイッチ10には、同スイッチ10がロック側にスイッチング操作されたときにオン状態となるロックスイッチ14と、同スイッチ10がアンロック側にスイッチング操作されたときにオン状態となるアンロックスイッチ15とが設けられている。ちなみに、ロックスイッチ14では、可動接点14aがグランド電位におかれるとともに、スイッチ端子(固定接点)14bが、キー連動スイッチ20のロック用スイッチ端子22とドアロック制御部30の入力端子30aとを接続するためのハーネスなどの配線に電気的に接続されている。すなわち、ドアロック制御部30の入力端子30aは、集中操作スイッチ10がロック側にスイッチング操作されたとき、あるいはキーシリンダがロック側に操作されたときにグランド電位になる。そして、ドアロック制御部30は、入力端子30aがオープン状態からグランド電位になった旨を検出すると、ロック指令が入力されたと判断して、上記ドアロックモータ40〜43を所定時間だけ駆動させて車両の全てのドアをロックさせる。
【0018】
また、この集中操作スイッチ10には、キー連動スイッチ20のアンロック用スイッチ端子23とドアロック制御部30の入力端子30bとを接続するためのハーネスなどの配線に電気的に接続されるトランジスタ16が設けられている。このトランジスタ16は、オン状態になったときに、ドアロック制御部30の入力端子30bをグランド電位とする部分として機能する。すなわち、ドアロック制御部30の入力端子30bは、集中操作スイッチ10がアンロック側にスイッチング操作されたとき、あるいはトランジスタ16がオン状態になったときにグランド電位となる。そして、ドアロック制御部30は、入力端子30bがオープン状態からグランド電位になった旨を検出すると、アンロック指令が入力されたと判断して、上記ドアロックモータ40〜43を所定時間だけ駆動させて車両の全てのドアをアンロックさせる。
【0019】
このように、本実施形態では、各スイッチ10,20からドアロック制御部30にロック指令及びアンロック指令を伝達するためのそれぞれの配線を互いに接続するといった構造を採用することによって、ドアロック装置の構造の簡素化を図るようにしている。
【0020】
一方、このドアロック装置が搭載される車両には、車両の状態を検出するための車両状態検出手段として、例えば運転席のドアの開閉状態を検出するためのD席ドアカーテシスイッチ51や、運転席のドアがロック状態であるか否かを検出するためのD席ドアロックポジションスイッチ52などが設けられている。また、この車両には、同じく車両状態検出手段として、エンジンを始動/停止させる際に運転者によってオン/オフ操作されるイグニッションスイッチ53が設けられている。そして、これら各種スイッチ51〜53の出力信号、並びに上記アンロックスイッチ15の出力信号が、マイクロコンピュータを中心に構成されるスイッチ制御部17に取り込まれている。このスイッチ制御部17は、基本的には、上記アンロックスイッチ15がオン状態になったか否かを監視しつつ、同スイッチ15がオン状態になった旨が検出されたときに、トランジスタ16をオンさせる処理を行う部分である。すなわち、このスイッチ制御部17は、アンロックスイッチ15からアンロック指令が発せられたときに、その旨をドアロック制御部30に伝達する部分として機能する。ただし、このスイッチ制御部17は、上記各種スイッチ51〜53の出力信号に基づいて車両が駐車状態であるか否かを検出するとともに、その判断結果に基づいて、以下の(a1),(a2)に示す動作モードとなる。
【0021】
(a1)車両が駐車状態である旨が判断された場合。この場合には、スイッチ制御部17は、アンロックスイッチ15のオン操作に基づいてトランジスタ16をオンさせる処理を実行しない禁止モードに設定される。すなわちこの場合には、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達が遮断される。
【0022】
(a2)車両が駐車状態でない旨が判断された場合。この場合には、スイッチ制御部17は、アンロックスイッチ15のオン操作に基づいてトランジスタ16をオンさせる処理を実行する許可モードに設定される。すなわちこの場合には、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達が許可される。
【0023】
図2は、スイッチ制御部17を通じて実行される、アンロック指令の伝達を遮断する処理をフローチャートとして示したものであり、以下、この図2に基づいて同処理の具体的手順を説明する。なお、この図2に示す処理は、例えば上記イグニッションスイッチ53がオフ操作された後に所定の演算周期をもって繰り返し実行される。
【0024】
同図2に示されるように、この処理では、はじめに、運転者が車両から降車しようとしているか否かが判断される(ステップS10)。このステップS10の処理では、具体的には、以下の(b1)〜(b3)に示す条件の論理積条件が満たされたとき、運転者が車両から降車しようとしている旨が判断される。
【0025】
(b1)イグニッションスイッチ53がオフ状態であること。
(b2)上記D席ドアカーテシスイッチ51を通じて運転席のドアが開状態である旨が検出されること。
【0026】
(b3)上記D席ドアロックポジションスイッチ52を通じて運転席のドアがアンロック状態である旨が検出されること。
そして、運転者が車両から降車しようとしている旨が判断された場合には(ステップS10:YES)、続くステップS11の処理として、上記D席ドアカーテシスイッチ51を通じて運転席のドアが開状態から閉状態になったか否かが判断される(ステップS11)。ここで、運転席のドアが開状態から閉状態になった旨が判断された場合には(ステップS11:YES)、以下の(c1)及び(c2)に示す条件の論理積条件が満たされたか否かが判断される(ステップS12)。
【0027】
(c1)上記D席ドアカーテシスイッチ51を通じて運転席のドアが閉状態である旨が検出されること。
(c2)上記D席ドアロックポジションスイッチ52を通じて運転席のドアがロック状態である旨が検出されること。
【0028】
そして、(c1)及び(c2)に示す条件の論理積条件が満たされた場合には(ステップS12:YES)、当該スイッチ制御部17が、トランジスタ16をオンさせる処理を実行しない禁止モードに設定される(ステップS13)。そして、スイッチ制御部17は、ステップS13の処理を実行した後、この一連の処理を一旦終了する。
【0029】
次に、図3を参照して、スイッチ制御部17を通じて実行される、アンロック指令の伝達を許可する処理について説明する。同図3は、この処理をフローチャートとして示したものである。なお、この図3に示す処理は、スイッチ制御部17が上記禁止モードに設定されている期間に所定の演算周期をもって繰り返し実行される。
【0030】
同図3に示されるように、この処理では、はじめに、イグニッションスイッチ53がオフ状態からオン状態になったか否かが判断される(ステップS20)。そして、イグニッションスイッチ53がオフ状態からオン状態になった旨が判断された場合には(ステップS20:YES)、当該スイッチ制御部17が、トランジスタ16をオンさせる処理を実行する許可モードに設定される(ステップS21)。そして、スイッチ制御部17は、このステップS21の処理を実行した後、この一連の処理を一旦終了する。
【0031】
一方、ステップS20の処理において、イグニッションスイッチ53がオン状態になっていない旨が判断された場合には(ステップS20:NO)、続くステップS22の処理として、以下の(d1)及び(d2)に示す条件の論理積条件が満たされているか否かが判断される。
【0032】
(d1)上記D席ドアロックポジションスイッチ52を通じて運転席のドアがアンロック状態である旨が検出されること。
(d2)上記集中操作スイッチ10のアンロックスイッチ15がオフ状態からオン状態になった旨が検出されること。
【0033】
そして、(d1)及び(d2)に示す条件の論理積条件が満たされた場合には(ステップS22:YES)、当該スイッチ制御部17が、トランジスタ16をオンさせる処理を実行する許可モードに設定される(ステップS21)。そして、スイッチ制御部17は、このステップS21の処理を実行した後、この一連の処理を一旦終了する。
【0034】
一方、(d1)及び(d2)に示す条件の論理席条件が満たされていなかった場合には(ステップS22:NO)、スイッチ制御部17は、この一連の処理を一旦終了する。
ドアロック装置としてのこうした構成によれば、車両の状態が駐車状態である場合には、仮に第三者が集中操作スイッチ10をアンロック側に操作したとしても、ドアロック制御部30の入力端子30bがグランド電位にならない。すなわち、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30にアンロック指令が伝達されなくなるため、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作を無効化することができるようになる。このため、第三者による集中操作スイッチ10の不正な操作を未然に防止することができるようになる。またこのように、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達を車両駐車時に遮断することができれば、ドアロック制御部30では、アンロック指令が各スイッチ10,20のいずれから送信されたかを判断する必要がなくなる。したがって、上述のように、各スイッチ10,20からドアロック制御部30にロック指令及びアンロック指令を伝達するためのそれぞれの配線を互いに接続するといった構造を採用することができるため、ドアロック装置としての構造の簡素化を図りつつも、セキュリティレベルを高く維持することができるようになる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両のドアロック装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)車両が駐車状態である旨が検出されたときに集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達を遮断する構造を設けるようにした。そして、各スイッチ10,20からドアロック制御部30にアンロック指令を伝達するためのそれぞれの配線を互いに接続するようにした。これにより、ドアロック装置としての構造の簡素化を図りながらも、セキュリティレベルを高く維持することができるようになる。
【0036】
(2)各スイッチ10,20からドアロック制御部30にロック指令を伝達するためのそれぞれの配線を互いに接続するようにした。これにより、ドアロック装置の構造を更に簡素なものとすることができるようになる。
【0037】
(3)集中操作スイッチ10に、オン操作されたときにドアロック制御部30にアンロック指令を出力するトランジスタ16と、アンロックスイッチ15及び各種スイッチ51〜53のそれぞれの出力信号に基づいてトランジスタ16のスイッチングを制御するスイッチ制御部17とを設けるようにした。これにより、車両が駐車状態であるときに集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達を遮断する構造を容易に実現することができるようになる。
【0038】
(4)ドアロック制御部30を、タイマ機能を有する制御ロジックを中心に構成するようにした。これにより、従来のドアロック装置のようにドアロック制御部がマイクロコンピュータを中心に構成されているものと比較すると、ドアロック制御部の構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0039】
(5)上記(b1)〜(b3)の条件の論理積条件が満たされた後に、運転席のドアが開状態から閉状態になった旨が検出されて、さらにその後に上記(c1)及び(c2)の条件の論理積条件が満たされたときに、車両が駐車状態である旨を判断するようにした。これにより、運転者が車両を駐車させる一連の動作を行えば、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作が自動的に無効化されるようになる。したがって、運転者は、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作を無効化する際に、特別な手動操作を行う必要がないため、運転者の利便性が向上するようになる。
【0040】
(6)イグニッションスイッチ53のオン操作を検出したとき、あるいは上記(d1)及び(d2)の条件の論理積条件が満たされたときに、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達を許可するようにした。これにより、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作が一旦無効化された後に、運転者が車両に乗車してイグニッションスイッチ53を操作した際、あるいは集中操作スイッチ10を操作した際に、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作が自動的に有効化されるようになる。したがって、運転者は、集中操作スイッチ10を通じた車両ドアのアンロック操作を有効化する際に、特別な手動操作を行う必要がないため、運転者の利便性が向上するようになる。
【0041】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・図4に、上記実施形態にかかる車両のドアロック装置の変形例を示す。同図4に示されるように、この変形例では、キー連動スイッチ20のアンロック用スイッチ端子23とドアロック制御部30の入力端子30bとを接続する配線に、上記アンロックスイッチ15のスイッチ端子(固定接点)15bを接続するようにしている。また、このアンロックスイッチ15の可動接点15aから延びる接地ラインに上記トランジスタ16を配設するようにしている。なお、図示は省略しているが、スイッチ制御部17は、アンロックスイッチ15がオン状態であるか否かを検出するための構造を有している。そして、上記スイッチ制御部17は、先の図2に例示したアンロック指令伝達遮断処理のステップS13の処理に代えて、トランジスタ16をオフ状態に維持する処理を実行する。また、このスイッチ制御部17は、先の図3に例示したアンロック指令伝達許可処理のステップS21の処理に代えて、トランジスタ16をオン状態に維持する処理を実行する。ドアロック装置としてのこのような構成によっても、上記実施形態に準じた効果が得られるようになる。
【0042】
・上記実施形態では、イグニッションスイッチ53がオン操作された旨が検出されたとき、あるいは上記(d1)及び(d2)の条件の論理積条件が満たされたときに、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達を許可するようにした。これに代えて、例えば前者の条件のみが満たされることを条件に、あるいは後者の条件のみが満たされることを条件に、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達を許可するようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、上記(b1)〜(b3)の条件の論理積条件が満たされた後に、運転席のドアが開状態から閉状態になった旨が検出されて、さらにその後に上記(c1)及び(c2)の条件の論理積条件が満たされたときに、車両が駐車状態である旨を判断するようにした。ただしこれに限らず、車両が駐車状態である旨を判断するための条件を適宜変更してもよい。要は、車両が駐車状態である旨が検出されることを条件に、集中操作スイッチ10からドアロック制御部30へのアンロック指令の伝達を遮断する遮断手段を有するものであればよい。
【0044】
・上記実施形態では、ドアロック制御部30にアンロック指令を出力するためのスイッチング素子をトランジスタ16によって構成するようにしたが、これに代えて、例えばリレーなどによって構成するようにしてもよい。
【0045】
・先の図4に例示した車両のドアロック装置では、集中操作スイッチ10のスイッチング操作を無効化する無効化手段をトランジスタ16によって構成したが、これに代えて、例えばリレーなどによって構成してもよい。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0046】
(イ)請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のドアロック装置において、前記遮断手段は、前記車両状態検出手段を通じて検出される前記車両の状態に基づいて同車両が駐車状態である旨が検出されることを条件に、前記集中操作スイッチから前記ドアロック制御部への前記アンロック指令の伝達を遮断することを特徴とする車両のドアロック装置。上述のように、第三者による集中操作スイッチの不正な操作は、車両駐車時など、車両のオーナが車両にいない状況で行われやすい。この点、上記構成によれば、車両駐車時に集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作を無効化することができるため、実情に即したかたちで、車両のセキュリティ性を高めることができるようになる。
【0047】
(ロ)付記イに記載の車両のドアロック装置において、前記遮断手段は、前記車両状態検出手段を通じて、
a1.前記車両のイグニッションスイッチがオフ状態である旨が検出されること、及び、
a2.前記車両の運転席のドアが開状態である旨が検出されること、及び、
a3.前記車両の運転席のドアがアンロック状態である旨が検出されること、
の論理積条件が満たされた後に、
a4.前記車両の運転席のドアが開状態から閉状態になった旨が検出されること、
といった条件が満たされ、さらに、
a5.前記車両の運転席のドアがロック状態であること、及び、
a6.前記車両の運転席のドアが閉状態になったこと、
の論理積条件が満たされたとき、前記車両は駐車状態である旨を判断することを特徴とする車両のドアロック装置。同構成によれば、運転者が車両を駐車させる一連の動作を行えば、集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作が自動的に無効化されるようになる。したがって、運転者は、集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作を無効化する際に、特別な手動操作を行う必要がないため、運転者の利便性が向上するようになる。
【0048】
(ハ)付記イ又はロに記載の車両のドアロック装置において、前記遮断手段は、前記車両状態検出手段を通じて、
b1.前記車両のイグニッションスイッチがオン操作された旨が検出されること、及び、
b2.前記車両の運転席のドアがアンロック状態であって且つ、前記集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作が検出されること、
の論理和条件が満たされたとき、前記集中操作スイッチから前記ドアロック制御部への前記アンロック指令の伝達を許可することを特徴とする車両のドアロック装置。同構成によれば、集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作が一旦無効化された後に、運転者が車両に乗車してイグニッションスイッチを操作した際、あるいは集中操作スイッチを操作した際に、集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作が自動的に有効化されるようになる。したがって、運転者は、集中操作スイッチを通じた車両ドアのアンロック操作を有効化する際に、特別な手動操作を行う必要がないため、運転者の利便性が向上するようになる。
【符号の説明】
【0049】
10…集中操作スイッチ、11…可動接点、12…ロック用スイッチ端子、13…アンロック用スイッチ端子、14…ロックスイッチ、14a,15a,21…可動接点、14b,15b…スイッチ端子、15…アンロックスイッチ、16…トランジスタ、17…スイッチ制御部、20…キー連動スイッチ、22…ロック用スイッチ端子、23…アンロック用スイッチ端子、30…ドアロック制御部、30a〜30d…入力端子、40〜43…ドアロックモータ、50…車載センサ、51…運転席(D席)ドアカーテシスイッチ、52…運転席(D席)ドアロックポジションスイッチ、53…イグニッションスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられるとともにスイッチング操作に基づいてアンロック指令を出力する集中操作スイッチと、車両ドアに設けられたキーシリンダの操作に連動してスイッチング操作されることによりアンロック指令を出力するキー連動スイッチと、これら各スイッチから出力されるアンロック指令に基づいて前記車両ドアのアンロックを実行するドアロック制御部とを有する車両のドアロック装置であって、
前記車両の状態を検出する車両状態検出手段と、該車両状態検出手段を通じて検出される前記車両の状態に基づいて前記集中操作スイッチから前記ドアロック制御部への前記アンロック指令の伝達を遮断する遮断手段とを備え、前記各スイッチから前記ドアロック制御部にアンロック指令を伝達するためのそれぞれの配線が互いに接続されてなる
ことを特徴とする車両のドアロック装置。
【請求項2】
前記遮断手段は、オン操作されたときに前記ドアロック制御部にアンロック指令を出力するスイッチング素子と、前記車両状態検出手段を通じて検出される前記車両の状態及び前記集中操作スイッチから出力される前記アンロック指令に基づいて前記スイッチング素子をオンさせるスイッチ制御部とを有してなる
請求項1に記載の車両のドアロック装置。
【請求項3】
前記遮断手段は、前記集中操作スイッチのスイッチング操作を無効化する無効化手段と、前記車両状態検出手段を通じて検出される前記車両の状態に基づいて前記無効化手段の駆動を制御するスイッチ制御部とを有してなる
請求項1に記載の車両のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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