説明

車両のルーフ構造

【課題】サンルーフレールを有効活用して車体上部の剛性向上を図る車両のルーフ構造を提供する。
【解決手段】サンルーフレール23をルーフレインフォースフロント15とサンルーフブラケット25とで上下から挟持することにより、これらのサンルーフレール23、ルーフレインフォースフロント15およびサンルーフブラケット25の一端が互いに結合されている。サンルーフブラケット25の他端はレールルーフサイドインナ3に結合されている。また、ルーフレインフォースフロント15の前部はサンルーフ開口縁9に結合されている。従って、サンルーフレール23を有効活用して車体上部の剛性向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ルーフパネルにサンルーフ開口部を形成し、該サンルーフ開口部にサンルーフを設けたルーフ構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載されたルーフ構造では、シェードをスライド可能に支持するサンルーフレールを配設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたルーフ構造においては、サンルーフレールはサンルーフクロスの上に載置されているのみであるため、サンルーフレールが車体剛性の向上に寄与しないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、サンルーフレールを有効活用して車体上部の剛性向上を図る車両のルーフ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両のルーフ構造によれば、車体上部の側端部に前後方向に沿って延設された車体骨格部材であるレールルーフサイドインナを設け、ルーフアウタに形成されたサンルーフ開口縁に結合されたルーフレインフォースフロントを設け、前記ルーフレインフォースフロントの下側にシェードをスライド可能に支持するサンルーフレールを設け、一端が前記サンルーフレールの下側に配設され、他端が前記レールルーフサイドインナに結合されたサンルーフブラケットを設けている。前記ルーフレインフォースフロントとサンルーフブラケットとによってサンルーフレールを挟持して結合させている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両のルーフ構造によれば、前記サンルーフレール、ルーフレインフォースフロントおよびサンルーフブラケットの一端が互いに結合されているため、サンルーフレールの剛性が向上するという効果を有する。
【0009】
また、ルーフレインフォースフロントはサンルーフ開口縁に結合されているため剛性が高く、レールルーフサイドインナも車体骨格部材であるため高剛性である。従って、ルーフレインフォースフロントとレールルーフサイドインナとをサンルーフブラケットを介して連結することによって、車体上部の剛性が向上するという効果を有する。このように、サンルーフレールを有効活用して車体上部の剛性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態による車体上部のサンルーフ近傍を車両左前方から斜め後方に向けて見た斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2の要部を拡大した平面図である。
【図4】図2のA−A線による断面図である。
【図5】図2のB−B線による断面図である。
【図6】車両左側の上部におけるサンルーフブラケット近傍を室内から見た斜視図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1に示すように、車体上部1における側端部には、前後方向に沿って左右一対にレールルーフサイドインナ3が延設されている。このレールルーフサイドインナ3は、剛性を有する車体骨格部材であり、上下方向に延びるセンターピラーインナ5の上端部が接合されている。また、車体上部1の上面には、二点鎖線で示すルーフアウタ7が配設されている。このルーフアウタ7の前端部には、平面視矩形状のサンルーフ開口が形成され、このサンルーフ開口の周縁であるサンルーフ開口縁9に透明なガラスからなるサンルーフ11が配設されている。本実施形態では、サンルーフ11は後方に摺動可能なスライド式に構成されているが、固定式でも良い。そして、平面視コ字状のルーフレインフォースフロント15が前記サンルーフ開口縁9に沿って設けられている。ここで、サンルーフ開口縁9における前部には、図外のフランジが下方に向けて屈曲して延びており、このフランジが前記ルーフレインフォースフロント15の内周側の側面に接合されて結合されている。
【0013】
また、前記一対のレールルーフサイドインナ同士3,3を連結するルーフレインフォースリア13が車幅方向に沿って延設されている。具体的には、ルーフレインフォースリア13の端部13aがレールルーフサイドインナ3の上面に接合されている。
【0014】
また、図2に示すように、左右一対のレールルーフサイドインナ3,3における前端部にはフロントクロスメンバ19が車幅方向に沿って橋渡しされ、後端部にはリアクロスメンバ21が車幅方向に沿って橋渡しされ、前後方向中央部には前述のようにルーフレインフォースリア13が車幅方向に沿って橋渡しされている。
【0015】
そして、図3〜図7に示すように、ルーフアウタ7の下側にはルーフレインフォースリア13が配設され、ルーフアウタ7の側方にはサイドアウタ45が配設されている。また、車幅方向に延びるクロスフレーム17の側端部は、リベット47を介してサンルーフレール23の下面に結合されている。このサンルーフレール23の車幅方向内側の端部には、溝43が形成されており、この溝43に図外のシェードがスライド可能に係止および支持されている。
【0016】
さらに、クロスフレーム17の側端部には、下側からサンルーフブラケット25の一端(車幅方向内側の端部)が2つのボルト35を介して締結されている。また、サンルーフブラケット25の車幅方向内側には、サンルーフレール23が前後方向に沿って延設されており、このサンルーフレール23の下側にクロスフレーム17の側端部がリベット47を介して結合されている。さらに、前記サンルーフブラケット25の他端(車幅方向外側の端部)は、レールルーフサイドインナ3の室内側に2つのボルト35を介して締結されている。さらに、サンルーフブラケット25の一端は、ナット39とボルト53を介してルーフレインフォースフロント15およびサンルーフレール23のフランジ面37に締結されている。即ち、図4に示すように、ルーフレインフォースフロント15の下側には、サンルーフレール23のフランジ面37が配置され、該フランジ面37の下側にはサンルーフブラケット25の一端が配置され、これらのルーフレインフォースフロント15とサンルーフレール23のフランジ面37とサンルーフブラケット25の一端とは、ボルト35およびナット39を介して挟持して結合されている。
【0017】
ここで、サンルーフブラケット25の前記一端は、図6,7に示すように、車両前方側に形成されて、サンルーフレール23のフランジ面37に当接および締結されるサンルーフレール取付部29と、車両後方側に形成されてクロスフレーム17に当接および締結されるクロスフレーム取付部31と、これらのサンルーフレール取付部29およびクロスフレーム取付部31の間に形成されて、上下および左右方向に沿って延びる段差部33と、を有する。即ち、段差部33は、サンルーフレール取付部29の後端から下方に屈曲して延びたのち、段差部33の下端から後方に向けて屈曲して延びる縦壁に形成されている。そして、サンルーフレール取付部29がサンルーフレール23のフランジ面37にナット39とボルト53で結合される部分が第1結合部57であり、クロスフレーム17にボルト35とウエルドナット41で結合される部分が第2結合部59である。なお、サンルーフブラケット25の前記一端における2つのクロスフレーム取付部31,31の間には、上方に凹む凹部55が車幅方向に沿って延設されている。
【0018】
なお、サンルーフブラケット25の後方側には、連結ブラケット27が配設されており、該連結ブラケット27は、サンルーフレール23のフランジ面37とレールルーフサイドインナ3とを連結している。また、センターピラーインナ5の上端には、上端フランジ5aが設けられ、該上端フランジ5aはレールルーフサイドインナ3の室内側に接合されている。
【0019】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0020】
(1)本実施形態による車両のルーフ構造は、車体上部1の側端部に前後方向に沿って延設された車体骨格部材であるレールルーフサイドインナ3と、ルーフアウタ7に形成されたサンルーフ開口縁9に結合されたルーフレインフォースフロント15と、前記ルーフレインフォースフロント15の下側に配設されてシェードをスライド可能に支持するサンルーフレール23と、一端が前記サンルーフレール23の下側に配設され、他端が前記レールルーフサイドインナ3に結合されたサンルーフブラケット25と、を備えている。前記ルーフレインフォースフロント15とサンルーフブラケット25とによってサンルーフレール23を挟持して結合させている。
【0021】
このように、本実施形態では、サンルーフレール23をルーフレインフォースフロント15とサンルーフブラケット25とで上下から挟持することにより、これらのサンルーフレール23、ルーフレインフォースフロント15およびサンルーフブラケット25の一端が互いに結合されている。また、ルーフレインフォースフロント15の前部はサンルーフ開口縁9に結合されている。従って、サンルーフレール23の剛性が向上するという効果を有する。
【0022】
また、サンルーフブラケット25の他端はレールルーフサイドインナ3に結合されているため、サンルーフブラケット25は、サンルーフ開口縁9に結合されたルーフレインフォースフロント15とレールルーフサイドインナ3とを連結している。
【0023】
ここで、ルーフレインフォースフロント15の前部はサンルーフ開口縁9に結合されているため剛性が高く、レールルーフサイドインナ3も車体骨格部材であるため高剛性である。従って、サンルーフレール23を有効活用して、車体剛性を向上させることができるという効果を有する。
【0024】
(2)車幅方向に沿ってクロスフレーム17を延設し、該クロスフレーム17は、前記サンルーフレール23およびサンルーフブラケット25に結合されている。
【0025】
このように、該クロスフレーム17は、前記サンルーフレール23とサンルーフブラケット25とを連結しているため、車体剛性がさらに向上する。
【0026】
(3)前記サンルーフブラケット25の一端には、前記サンルーフレール23に結合される第1結合部57と前記クロスフレーム17に結合される第2結合部59とが設けられ、これらの第1結合部57と第2結合部59との間に段差部33が形成されてなる。
【0027】
この段差部33によってサンルーフブラケット25の剛性が向上するため、車体上部1に車幅方向に沿った入力荷重に対する剛性が向上するという効果を有する。
【符号の説明】
【0028】
3…レールルーフサイドインナ
7…ルーフアウタ
9…サンルーフ開口縁
17…クロスフレーム
23…サンルーフレール
25…サンルーフブラケット
31…クロスフレーム取付部
33…段差部
35…ボルト
57…第1結合部
59…第2結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上部の側端部に前後方向に沿って延設された車体骨格部材であるレールルーフサイドインナと、
ルーフアウタに形成されたサンルーフ開口縁に結合されたルーフレインフォースフロントと、
前記ルーフレインフォースフロントの下側に配設されてシェードをスライド可能に支持するサンルーフレールと、
一端が前記サンルーフレールの下側に配設され、他端が前記レールルーフサイドインナに結合されたサンルーフブラケットと、を備え、
前記ルーフレインフォースフロントとサンルーフブラケットとによってサンルーフレールを挟持して結合させたことを特徴とする車両のルーフ構造。
【請求項2】
車幅方向に沿ってクロスフレームを延設し、該クロスフレームは、前記サンルーフレールおよびサンルーフブラケットに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のルーフ構造。
【請求項3】
前記サンルーフブラケットの一端には、前記サンルーフレールに結合される第1結合部と前記クロスフレームに結合される第2結合部とが設けられ、これらの第1結合部と第2結合部との間に段差部が形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の車両のルーフ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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