説明

車両の収納ボックス施錠装置

【課題】収納ボックスの施錠動作の前に携帯キーの認証を実行することで、携帯キーの閉じ込めを防止することができる車両の収納ボックス施錠装置を提供する。
【解決手段】サイドポケット90(以下、ポケット90)の閉状態を維持または解除するロック装置97と、ロック装置97を駆動するロック装置アクチュエータ96と、ポケット90を開くためのオープンボタン94とを具備する。オープンボタン94が操作されると携帯キー70の認証を実行する。認証が正常に完了した場合はロック装置97を駆動してポケット蓋92を開く一方、認証が正常に完了しなかった場合は、ポケット90の閉状態を維持する。ポケット90の開状態でポケット蓋92が閉じられると携帯キー70の認証を実行する。認証が正常に完了した場合はロック装置97を駆動してポケット90を閉状態とする一方、認証が正常に完了しなかった場合は、ポケット90の開状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の収納ボックス施錠装置に係り、特に、車両に固有の携帯キーの認証を実行して、施錠・解錠状態を切り換える車両の収納ボックス施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザが所有する携帯キーと車両に設けられた制御部との間で無線通信を行い、車両に固有のIDが正しく認証されると、エンジンの始動や、トランク等の収納ボックスの開動作を許可するように構成された車両の施錠システムが知られている。このような施錠システムでは、収納ボックスの内部に携帯キーを入れたままこれを閉じて携帯キーが取り出せなくなる「閉じ込め状態」の防止策が必要となる。
【0003】
特許文献1には、四輪車用のトランク施錠システムにおいて、携帯キーがトランク内に存在することを検知する専用発信機をトランク内に設けておき、携帯キーの閉じ込めが検知された場合には、トランクの外部に設けられた開錠スイッチの作動を有効にして、ユーザが携帯キーを所持していなくてもトランクを開けることができるようにしたトランク施錠システムが開示されている。
【特許文献1】特開2006−77408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、携帯キーがトランク内に存在することを検知する専用発信機が必要となるため、部品点数が増加して構成が複雑化するうえ、余剰スペースの少ない自動二輪車等の車両には適用しにくいという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、収納ボックスの施錠動作の前に携帯キーの認証を実行することで、携帯キーの閉じ込めを防止することができる車両の収納ボックス施錠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、車両に固有の携帯キーの認証を実行して、施錠・解錠状態を切り換える車両の収納ボックス施錠装置において、収納ボックスを閉状態または閉状態にするロック装置と、前記ロック装置を駆動するアクチュエータと、前記収納ボックスを開状態とするためのオープンボタンとを具備し、前記オープンボタンの操作時および前記収納ボックスが閉じられた時に前記携帯キーの認証を実行し、前記オープンボタン操作時の認証が正常に行われると前記ロック装置を駆動して前記収納ボックスを開状態とする一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記ロック装置を駆動せずに前記収納ボックスの閉状態を維持し、また、前記収納ボックスが閉じられた時の認証が正常に行われると前記ロック装置を駆動して前記収納ボックスを閉状態とする一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記ロック装置を駆動せずに前記収納ボックスの開状態を維持するように構成されている点に第1の特徴がある。
【0007】
また、前記収納ボックスが閉じられた際に実行される前記認証が正常に行われなかった場合に、収納ボックスが閉じられた状態が所定時間維持されると、前記ロック装置を駆動して前記収納ボックスを閉状態とする点に第2の特徴がある。
【0008】
さらに、車両に固有の携帯キーの認証を実行して、施錠・解錠状態を切り換える車両の収納ボックス施錠装置において、前記収納ボックスを閉状態または開状態にする開閉ラッチと、前記開閉ラッチを開方向に駆動するオープンレバーと、前記開閉ラッチの開方向への駆動を禁止して収納ボックスを施錠状態にするロック位置と、前記開閉ラッチの駆動を許可して収納ボックスを解錠状態にするアンロック位置とに切り換え可能なロックノブと、前記ロックノブをロック位置およびアンロック位置に切り換えるアクチュエータとを具備し、前記ロックノブが、車体外方に配設されると共に、前記アンロック位置からロック位置への手動切り換えが可能とされる一方、前記ロック位置からアンロック位置への切り換えは前記アクチュエータによってのみ実行可能に構成されており、前記収納ボックスの施錠状態で前記オープンレバーが操作されると、前記携帯キーの認証を実行し、前記オープンレバー操作時の認証が正常に行わると前記ロックノブをアンロック位置に駆動する一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記ロックノブのロック位置を維持し、また、前記ロックノブがアンロック位置からロック位置に操作されると、携帯キーの認証を実行し、前記ロックノブ操作時の認証が正常に行われると前記ロックノブを前記ロック位置に維持する一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記アクチュエータによって前記ロックノブをアンロック位置に切り換えるように構成されている点に第3の特徴がある。
【発明の効果】
【0009】
第1の特徴によれば、オープンボタンが操作されたとき、または収納ボックスが閉じられたときであっても、携帯キーの認証が正常に行われた場合にだけロック装置の駆動が可能になるので、携帯キーを所持しない第三者によって、収納ボックスの開閉動作が行われることを防止できる。ここで、携帯キーの認証が正常に行われない場合とは、携帯キーが車体側との無線通信が可能な範囲の外に存在する場合や、携帯キーの電池切れ等で無線通信が不能な場合に対応する。また、携帯キーの認証が正常に行われる場合とは、携帯キーが車体側との無線通信が可能な範囲内に存在する場合であり、これは、携帯キーが収納ボックス内に存在する場合も含まれる。したがって、収納ボックスに携帯キーを入れたままこれを閉じた際にも、認証が正常に行われればロック状態となるが、オープンボタンの操作で収納ボックスを開くことができるので、携帯キーの閉じ込めを防止することが可能となる。これにより、携帯キーが収納ボックス内に存在するか否かを検知する専用のセンサ等を用いることなく、携帯キーの閉じ込め対策を図ることができる。すなわち、携帯キーの閉じ込め防止機能を備えた施錠システムを、低コストで実現することが可能となる。
【0010】
第2の特徴によれば、収納ボックスが閉じられた際に実行される認証が正常に行われなかった場合に、収納ボックスが閉じられた状態が所定時間維持されると、ロック装置を駆動して収納ボックスを閉状態とするので、携帯キーの認証が正常に行われなかった場合でも、乗員の意思によって収納ボックスを閉状態とすることができる。
【0011】
第3の特徴によれば、オープンレバーが操作されたとき、またはロックノブがロック位置に操作されたときであっても、携帯キーの認証が正常に行われた場合にだけ施錠・解錠状態の切り換えが行われるので、携帯キーを所持しない第三者によって、収納ボックスの開閉動作が行われることを防止することができる。また、携帯キーを所持していれば、収納ボックスの施錠状態からオープンレバーの操作のみで収納ボックスを開けることができる。さらに、収納ボックスに携帯キーを入れたままこれを閉じた際にも、認証が正常に行われればロック状態となるが、オープンレバーの操作で収納ボックスを開くことができるので、携帯キーの閉じ込めを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る収納ボックス施錠装置が適用された自動二輪車1の後方斜視図である。車体フレーム2の前方には、不図示のステアリングステムが回動自在に軸支されており、このステアリングステムの上下に、操向ハンドル5および左右一対のフロントフォーク4が固定されている。フロントフォーク4の下端には前輪WFが回転自在に軸支されている。車体フレーム2の下方には、動力源としてのエンジン3が懸架されており、エンジン3の上方はサイドカウル6で覆われている。サイドカウル6の前方には左右2灯式のヘッドライト8が設けられている。また、操向ハンドル5の前方の車体中央部にはメータユニット10が配設されており、その上方には、防風スクリーン9が取り付けられている。そして、車幅方向左側のサイドカウル6の上方には、本発明の第1実施形態に係る収納ボックスとしてのサイドポケット90が配設されている。
【0013】
操向ハンドル5の後方側の車幅方向中央には、給油口の開閉式リッド11が設けられ、その後方にシート12が配設されている。後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム(付図示)は、車体フレーム2の後端部のピボット13で上下揺動自在に軸支されている。前記スイングアームの車幅方向外側には、左右一対の消音器14が取り付けられている。消音器14の上部には、左右一対のサドルバッグ15が取り付けられている。そして、サドルバッグ15の上方の車幅方向中央には、本発明の第2実施形態に係る収納ボックスとしてのトランク30が取り付けられている。トランク30は、ケース32の開口部に開閉式のトランク蓋31を取り付けた構成とされている。ケース32の後端部には左右一対の尾灯装置33が設けられており、また、ケース32の前方上部には後部座席の背もたれ16が設けられている。
【0014】
図2は、サイドポケット90の拡大図である。サイドポケット90は、収納部91の開口部に、不図示のヒンジを介してポケット蓋92を取り付けた構成とされている。ポケット蓋92は、不図示の付勢手段で常に開方向に付勢されている。そして、サイドポケット90は、係合孔99の内部に配設された不図示のロック装置が、ポケット蓋92の裏面に立設されたフック93を把持することで、閉状態を維持するように構成されている。サイドポケット90の車体後方側には、ロック装置を駆動してフック93を解放する、すなわち、ポケット蓋92を開くためのオープンボタン94が設けられている。
【0015】
上記した構成により、サイドポケット90は、所定条件下でオープンボタン94を操作すると、ポケット蓋92が図示する開位置まで自動的に開き、一方、所定条件下でポケット蓋92を閉じると、ロック装置が作動して閉状態が維持されることとなる。なお、収納部91の内部にはアクセサリ用の電源ソケット95が配設されている。
【0016】
図3は、サイドポケット90の施錠装置およびその周辺構成を示すブロック図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。サイドポケット90には、ロック装置97を駆動するためのポケットオープンボタン(以下、単にオープンボタンと記載することもある)94が設けられている。また、サイドポケット90は、ロック装置97を駆動するロック装置アクチュエータ96、オープンボタン94の操作を検知するボタン操作検知手段98とを有する。なお、ロック装置97は、フック93に係合するピンと、このピンを突没動作させるソレノイドやモータ等によって構成することができる。
【0017】
乗員が所持する携帯キー70には、前記トランク30の操作に関する施錠ボタン71、解錠ボタン72、ポップアップ(自動オープン)ボタン73のほか、携帯キー70の電源ボタン74、動作確認用の発光ダイオード75が設けられている。また、携帯キー70の車両からの通信可能範囲は、例えば、半径2メートル内に設定される。
【0018】
ECU60には、前記ロック装置アクチュエータ96に駆動信号を与えるアクチュエータ駆動制御部62と、通信アンテナ64の受信電波に基づいて携帯キー70が当該自動二輪車1に対応する携帯キーであるか否かの認証処理を行う通信認証部61と、通信認証部61の認証結果やロック装置97の状態等の情報に基づいて警告の要否を判断する要警告状態判断部63とを含む。
【0019】
通信認証部61における携帯キー70の認証処理は、受信電波に含まれる暗号コード信号の照合等によって実行される。また、要警告状態判断部63は、警告が必要であると判断されると、尾灯装置33およびホーン68からなる警告手段を作動させる。この警告手段は、ヘッドライトやウインカ装置、ナビゲーション装置のディスプレイやオーディオ装置のスピーカ等、種々の変形が可能である。
【0020】
図4は、サイドポケット90(以下、単にポケット90と記載することもある)を施錠する場合の制御の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS10では、ポケット90のポケット蓋92が閉じられたか否かが判定される。ポケット蓋92の開閉状態は、ポケット蓋92が閉状態から離れたことを検知するスイッチセンサ等によって検知できる。ステップS10で肯定判定されると、ステップS11に進み、携帯キー70の認証が開始される。ステップS12では、認証が正しく完了したか否かが判定され、肯定判定されるとステップS13に進む。ステップS13では、ロック装置アクチュエータ96を駆動してポケット蓋92をロック状態とし、一連の制御を終了する。
【0021】
一方、ステップS12で否定判定されると、ステップS14に進んで、サイドポケットが閉じられたまま所定時間(例えば、15秒)が経過したか否かが判定される。ステップS14で否定判定されると、ロック装置97の駆動を行わずにポケット90の開状態を維持して、一連の制御を終了する。また、ステップS14で肯定判定された場合は、ステップS16に進んで警告手段による警告を実行すると共に、ステップS17においてポケット90をロック状態とし、一連の制御を終了する。ここで、携帯キー70の認証が正常に行われない場合とは、携帯キー70が車体側との無線通信が可能な範囲の外に存在する場合や、携帯キー70の不具合や電池切れ等で無線通信が不能な場合に対応する。また、携帯キー70の認証が正常に行われる場合とは、携帯キー70が車体側との無線通信が可能な範囲内に存在する場合であり、これは、携帯キー70がポケット90内に存在する場合も含まれる。
【0022】
なお、ロック状態にあるポケット90を開く際には、オープンボタン94の操作に伴って携帯キー70の認証が実行される。そして、認証が正しく完了すると、ロック装置アクチュエータ96が駆動されてポケット蓋92が開く。一方、認証が正しく行われなかった場合は、ロック装置アクチュエータ96が駆動されず、閉状態が維持される。
【0023】
上記したようなサイドポケット90の施錠・解錠制御によれば、携帯キー70を所持しない第三者がサイドポケット90を開閉することを防止できる。また、サイドポケット90に携帯キー70を入れたままこれを閉じてしまった場合でも、閉じる際に携帯キー70との無線通信が可能であることが確認されているので、オープンボタン94を操作すれば再び携帯キー70の認証が正常に行われてサイドポケット90を開くことができる。これにより、携帯キー70の閉じ込めを防止することが可能となる。
【0024】
また、ポケット蓋92を閉じたまま所定時間が経過すると、携帯キー70との認証が正常に完了しなかった場合でもサイドポケット90をロックするので、携帯キー70の故障時等でも、乗員の意思によってサイドポケット90を閉じることが可能となる。
【0025】
図5,6は、本発明の第2実施形態に係る収納ボックスとしてのトランク30の拡大図である。図5はトランク30の閉状態を示し、図6は開状態を示している。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本発明の第2実施形態に係るトランク30は、ケース32の前端部に設けられたヒンジ(不図示)によってトランク蓋31を開閉自在に軸支している。図7の拡大図を併せて参照して、トランク蓋31の車体外方には、開閉ラッチ41を駆動するオープンレバー40と、トランク30の施錠・解錠状態に応じて突没動作するボタン式のロックノブ50が取り付けられている。
【0026】
トランク30が閉状態でかつ解錠状態にあるときに、オープンレバー40を操作すると、開閉ラッチ41が駆動されてケース32側のフック(不図示)との係合が外れて、トランク蓋31が開く。一方、トランク30が施錠状態にあるときには、オープンレバー40を操作しても開閉ラッチ41が駆動されず、トランク蓋31が開かないように構成されている。また、トランク蓋31を閉じるときは、オープンレバー40を使う必要はなく、トランク蓋31の上部を下方へ押すことで、フックと開閉ラッチ41とが係合して閉状態が維持される。
【0027】
円柱状のロックノブ50は、トランク30の解錠状態において、取付面から大きく突出したアンロック位置(図示実線)にある。他方、トランク30の施錠状態においては、その突出量が大幅に低減されて取付面まで没入したロック位置(図示二点鎖線)に切り換わるように構成されており、これにより、自動二輪車1の乗員は、ロックノブ50を目視することでトランクの施錠・解錠状態を知ることができる。
【0028】
また、ロック位置は、ロックノブ50の円底状の操作面が取付面と同等またはこれより低い位置まで没入するように構成しているので、アンロック位置にあるときは押下げ操作によってロック位置への切り換えが可能であるし、一方、ロック位置にあるときはロックノブ50を把持することができないので、ロック位置からアンロック位置への手動操作による切り換えを不能にすることができる。
【0029】
なお、オープンレバーおよびロックノブの形状や配置は、本実施形態に限られず種々の変形が可能である。例えば、オープンレバーおよびロックノブをケース側に設けると共に、開閉ラッチもケース側に設ける構成としてもよい。また、オープンレバーおよびロックノブを、ケースの下面や側面に配設したり、さらに、この両者を互いに離間した別々の箇所に設けることも可能である。
【0030】
図8は、ロックノブ50およびこれを駆動するロックノブアクチュエータ66の構造説明図である。ソレノイドやモータ等からなるロックノブアクチュエータ66の揺動軸80には、揺動アーム82が取り付けられている。この揺動アーム82には、駆動ロッド83が連結されており、駆動ロッド83の先端にロックノブ50が取り付けられている。このような構成によれば、ロックノブアクチュエータ66を駆動することでロックノブ50のロック位置とアンロック位置との切り換えが可能となる。
【0031】
また、ロックノブ50が取付面84から突出したアンロック位置にあるときは、ロックノブ50を外部から押し込むことで、揺動軸80を図示反時計回りに回転させながら、ロックノブ50が取付面84に没入するロック位置(図示二点鎖線)に切り換えることができる。なお、ロックノブ50がロック位置またはアンロック位置にあることを検知する位置センサ81の出力信号は、ECU60の通信認証部61に伝達される。
【0032】
図9は、トランク30の施錠装置およびその周辺構成を示すブロック図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。また、図5と同一の構成に関しては説明を省略する。トランク30には、開閉ラッチ41を駆動するためのオープンレバー40と、施錠状態において開閉ラッチ41の駆動を禁止するロックノブ50とが設けられている。また、トランク30は、ロックノブ50を駆動するロックノブアクチュエータ66と、開閉ラッチ41を駆動する開閉ラッチアクチュエータ42と、オープンレバー40が操作されたことを検知するレバー操作検知手段67とを有する。なお、レバー操作検知手段67は、オープンレバー40が初期位置から移動したことを検知するオンオフ式のスイッチセンサ等で構成できる。
【0033】
トランク30は、乗員が所持する携帯キー70によって、施錠・解錠・自動オープンの操作ができるように構成されている。また、本実施形態に係るECU60には、前記ロックノブアクチュエータ66および開閉ラッチアクチュエータ42に駆動信号を与えるアクチュエータ駆動制御部62と、通信アンテナ64の受信電波に基づいて、携帯キー70が当該自動二輪車1に対応する携帯キーであるか否かの認証処理を行う通信認証部61と、通信認証部61の認証結果やロックノブ50の状態等の情報に基づいて警告の要否を判断する要警告状態判断部63とを含む。
【0034】
図10は、手動操作でトランクを施錠する場合の制御の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS30では、トランク30が閉じられたか否かが判定され、肯定判定されるとステップS31に進む。なお、トランク蓋31の開閉状態は、トランク蓋31が閉状態から離れたことを検知するオンオフ式のセンサ等によって検知できる。ステップS31では、ロックノブ50がロック位置に操作されたか否かが判定され、肯定判定されるとステップS32に進んで携帯キー70の認証が開始される。なお、ステップS30,31で否定判定されると、それぞれステップS30,31の判定に戻る。
【0035】
続くステップS33では、認証が正しく完了したか否かが判定される。ステップS33で肯定判定されると、ステップS34に進んでロックノブ50のロック位置を保持し、一連の制御を終了する。一方、ステップS33で否定判定される、すなわち、携帯キー70を所持しない者がロックノブ50を押したと判定されると、ステップS35に進む。ステップS35では、ロックノブアクチュエータ66によってロックノブ50をアンロック位置に戻し、ステップS36において警告手段による警告を実行する。
【0036】
なお、施錠状態にあるトランク90を手動で開く際には、オープンレバー40の操作に伴って携帯キー70の認証が実行される。そして、認証が正しく完了すると、ロックノブアクチュエータ66が駆動されてロックノブ50がアンロック位置に切り換えられ、トランク蓋31が開く。一方、認証が正しく行われなかった場合は、ロックノブアクチュエータ66が駆動されないため、トランク30の閉状態が維持される。
【0037】
上記したようなトランク30の施錠・解錠制御によれば、携帯キー70を所持しない第三者がトランク30を開閉することを防止できる。また、トランク30に携帯キー70を入れたままこれを閉じ、さらにロックノブ50を押下げてしまった場合でも、オープンレバー40を操作することでトランク30を開くことができる。これにより、トランク30への携帯キー70の閉じ込めを防止することが可能となる。
【0038】
上記したように、本発明に係る収納ボックスの施錠装置によれば、サイドポケットやトランク等の収納ボックスの閉動作が行われた場合には、携帯キーとの無線通信を実行し、携帯キーの認証が正常に完了してからロック状態に移行するので、サイドポケットやトランク等に携帯キーを入れたままこれを閉じてしまった場合にも、オープンレバーやオープンボタン等を操作することで再び開くことができる。これにより、サイドポケットやトランク等への携帯キーの閉じ込めを防ぐことが可能となる。
【0039】
なお、サイドポケットやトランクの構造、サイドポケットのオープンボタン、トランクのロックノブおよびオープンレバーの構造や配設位置、各アクチュエータやセンサの構造や形態等は、上記した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、本発明に係る収納ボックス施錠装置は、ロックノブが設けられたサイドポケットや、ロックノブを持たないトランク等に適用することができる。さらに、本発明に係る収納ボックス施錠装置は、自動二輪車に限られず、三輪車や四輪車等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の収納ボックス施錠装置が用された自動二輪車の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るサイドポケットの拡大図である。
【図3】サイドポケット施錠装置およびその周辺構成を示すブロック図である。
【図4】サイドポケットを閉じる場合の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係るトランクの一部拡大図(閉状態)である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るトランクの一部拡大図(開状態)である。
【図7】オープンレバーおよびロックノブの拡大斜視図である。
【図8】ロックノブおよびロックノブアクチュエータの構造説明図である。
【図9】トランク施錠装置およびその周辺構成を示すブロック図である。
【図10】手動操作によってトランクを施錠する場合の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1…自動二輪車(車両)、30…トランク(収納ボックス)、31…トランク蓋、32…ケース、33…尾灯装置(警告手段)、40…オープンレバー、41…開閉ラッチ、42…開閉ラッチアクチュエータ、50…ロックノブ、60…ECU、61…通信認証部、62…アクチュエータ駆動制御部、63…要警告状態判断部、64…通信アンテナ、66…ロックノブアクチュエータ、67…レバー操作検知手段、68…ホーン(警告手段)、70…携帯キー、90…サイドポケット(収納ボックス)、91…収納部、92…ポケット蓋、93…フック、94…オープンボタン、96…ロック装置アクチュエータ、97…ロック装置、98…ボタン操作検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固有の携帯キーの認証を実行して、施錠・解錠状態を切り換える車両の収納ボックス施錠装置において、
収納ボックスを閉状態または閉状態にするロック装置と、
前記ロック装置を駆動するアクチュエータと、
前記収納ボックスを開状態とするためのオープンボタンとを具備し、
前記オープンボタンの操作時および前記収納ボックスが閉じられた時に前記携帯キーの認証を実行し、
前記オープンボタン操作時の認証が正常に行われると前記ロック装置を駆動して前記収納ボックスを開状態とする一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記ロック装置を駆動せずに前記収納ボックスの閉状態を維持し、
また、前記収納ボックスが閉じられた時の認証が正常に行われると前記ロック装置を駆動して前記収納ボックスを閉状態とする一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記ロック装置を駆動せずに前記収納ボックスの開状態を維持するように構成されていることを特徴とする車両の収納ボックス施錠装置。
【請求項2】
前記収納ボックスが閉じられた際に実行される前記認証が正常に行われなかった場合に、収納ボックスが閉じられた状態が所定時間維持されると、前記ロック装置を駆動して前記収納ボックスを閉状態とすることを特徴とする請求項1に記載の車両の収納ボックス施錠装置。
【請求項3】
車両に固有の携帯キーの認証を実行して、施錠・解錠状態を切り換える車両の収納ボックス施錠装置において、
前記収納ボックスを閉状態または開状態にする開閉ラッチと、
前記開閉ラッチを開方向に駆動するオープンレバーと、
前記開閉ラッチの開方向への駆動を禁止して収納ボックスを施錠状態にするロック位置と、前記開閉ラッチの駆動を許可して収納ボックスを解錠状態にするアンロック位置とに切り換え可能なロックノブと、
前記ロックノブをロック位置およびアンロック位置に切り換えるアクチュエータとを具備し、
前記ロックノブが、車体外方に配設されると共に、前記アンロック位置からロック位置への手動切り換えが可能とされる一方、前記ロック位置からアンロック位置への切り換えは前記アクチュエータによってのみ実行可能に構成されており、
前記収納ボックスの施錠状態で前記オープンレバーが操作されると、前記携帯キーの認証を実行し、
前記オープンレバー操作時の認証が正常に行わると前記ロックノブをアンロック位置に駆動する一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記ロックノブのロック位置を維持し、
また、前記ロックノブがアンロック位置からロック位置に操作されると、携帯キーの認証を実行し、
前記ロックノブ操作時の認証が正常に行われると前記ロックノブを前記ロック位置に維持する一方、該認証が正常に行われなかった場合には、前記アクチュエータによって前記ロックノブをアンロック位置に切り換えるように構成されていることを特徴とする車両の収納ボックス施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−84439(P2010−84439A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255268(P2008−255268)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】