説明

車両の周辺監視装置

【課題】車両の周辺監視装置に関わり、同期回路を必要とせず、複数の検出手段の検出タイミングを調整する。
【解決手段】車両の周辺の物体情報を所定周期で連続して検出する第1検出手段と、第1検出手段とは異なる方法で、車両の周辺の物体情報を所定のタイミング毎に検出する第2検出手段と、第1検出手段が1周期内に検出した物体情報の検出タイミングを当該1周期内の1つのタイミングとして補正する時間補正手段とを備え、その1周期内の1つのタイミングは、第2検出手段の所定のタイミングの1つと一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺監視装置に関し、より具体的には、車両の周辺監視装置におけるレーダとカメラの同期補正に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の前方にある対象物を認識する対象物認識装置を開示する。この対象物認識装置は、スキャン式のレーダと撮像装置(カメラ)を併用して、レーダから得られる対象物候補の検出情報を基に赤外線画像中の対象物を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4205825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーダとカメラのデータ取得タイミングにはずれ(以下、「同期ずれ」とも呼ぶ)があり、この同期ずれを補正しないと、両者の検出範囲(位置)が大きくずれてしまい、レーダの検出情報に対応したカメラ画像中の物体を検出することができない場合が生ずる。この同期ずれは、所定の走査時間と検出タイミングの時間補正を必要とするレーダと、所定のタイミング毎に撮像するカメラとにおけるデータ取得タイミングのずれが原因で生ずる。
【0005】
また、この同期ずれを補正する際に、そのタイミングのずれ時間における車両の移動によるデータの変動分(画像上の物体の位置ずれ等)も同時に補正する必要がある。
【0006】
同期ずれ補正の方法として、外部同期回路により両者の検出開始タイミングを同期させる方法や検出周期が遅い(長い)レーダから同期信号を出力し、検出周期が速い(短い)カメラのタイミングをレーダのタイミングに合わせる形で検出開始タイミングを同期させる方法が知られている.
しかし、従来の方法では、新たな同期回路が必要となったり、また処理時間が長いレーダが処理時間の短いカメラに合わせて駆動させるための専用設計が必要となる場合がある。さらに、処理時間が長いレーダが本来の処理周期で動作していないために、そのデータを別システムで併用する等の展開が困難であり、レーダまたはカメラの本来の性能(検出スピード等)を生かすことができない恐れがある。
【0007】
したがって、本発明は、新たな同期回路を必要とせず、レーダおよびカメラの検出タイミングを調整(補正)し、同時にその検出タイミングのずれ時間における車両移動によるデータの変動分も同時に補正することが可能な車両の周辺監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両の周辺の物体情報を所定周期で連続して検出する第1検出手段と、第1検出手段とは異なる方法で、車両の周辺の物体情報を所定のタイミング毎に検出する第2検出手段と、第1検出手段が1周期内に検出した物体情報の検出タイミングを当該1周期内の1つのタイミングとして補正する時間補正手段とを備え、その1周期内の1つのタイミングは、第2検出手段の所定のタイミングの1つと一致することを特徴とする、車両の周辺監視装置である。
【0009】
本発明によれば、同期信号を必要とすることなく、第1検出手段(例えばレーダ)と第2検出手段(例えばカメラ)各々の固有のタイミング制御をそのまま生かしながら、すなわち両者の非同期な制御を利用しながら、両者のデータの取得タイミングの補正(データ間の対応付け)をおこなうことが可能となる。
【0010】
本発明の一形態によると、車両の周辺の物体を検出するレーダと、車両の周辺の画像を撮像するカメラと、レーダが検出した物体の位置または大きさに対応する、カメラが撮像した対応画像上に所定領域を設定して当該所定領域内の物体を特定する手段とを備える、車両の周辺監視装置が提供される。この周辺監視装置は、レーダによって検出された物体の位置または大きさの検出タイミングと、カメラによって取得された対応画像の取得タイミングとの差分を検出する検出手段と、その差分に相当する車両の移動量を算出する算出手段と、車両の移動量に応じてレーダによって検出された物体の位置または大きさを補正する補正手段と、を有する。
【0011】
本発明の一形態によれば、カメラ画像が取得されたタイミングからレーダ情報が取得されるまでの間での車両の移動量に応じてレーダによって検出された物体の位置または大きさを補正することで、カメラ画像とレーダ情報とのマッチング精度を向上させることが可能となる。
【0012】
本発明の一形態によると、レーダは所定の走査時間毎に物体を検出し、レーダによる検出タイミングは、所定の走査時間の開始時または終了時のタイミングであり、カメラによる画像取得タイミングは、所定の走査時間内での取得タイミングである。
【0013】
本発明の一形態によれば、新たな同期回路を必要とすることなく、レーダの走査時間内でのカメラによる画像取得タイミングにレーダによる検出タイミングを合わせこむことにより、両者の検出タイミングの補正をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に従う、車両の周辺監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に従う、画像処理ユニットにおける処理フローを示す図である。
【図3】本発明の一実施例に従う、物体情報の取得時間の補正処理フローを示す図である。
【図4】本発明の一実施例に従う、レーダ走査時間中の自車両の移動量の補正処理フローを示す図である。
【図5】本発明の一実施例に従う、レーダ走査と画像取得のタイミングフローを示す図である。
【図6】本発明の一実施例に従う、車両前方の物体検知の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に従う、車両の周辺監視装置の構成を示すブロック図である。周辺監視装置は、車両に搭載され、レーダ10と、カメラ12と、カメラ12によって撮像された画像データに基づいて車両周辺の物体を検出するための画像処理ユニット14と、その検出結果に基づいて音または音声で警報を発生するスピーカ16と、カメラ12の撮像を介して得られた画像を表示すると共に、運転者に車両周辺の物体を認識させるための表示を行う表示装置18とを備える。
【0016】
なお、レーダ10は、例えばスキャン式レーザレーダが該当し、各方向にスキャンするビームの物体からの反射光を受光することにより、検出点として各方向における物体(候補)の位置、大きさ(領域)およびそれまでの距離を検出する。なお、レーダ10は、他の種類のレーダ(例えばミリ波レーダ等)であってもよい。
【0017】
カメラ12には、赤外線カメラ、赤外線以外の他の波長帯の光(例えば可視光)を利用するカメラ等が含まれる。なお、以下の説明では、カメラ12として赤外線カメラが撮影したグレースケール画像を対象としているが、これに限定されるものではない。さらに、ナビゲーション装置を備える車両においては、スピーカ16および表示装置18として、ナビゲーション装置が備える該当機能を利用してもよい。
【0018】
図1の画像処理ユニット14は、ブロック141〜148で示される手段(機能)を含む(実行する)。すなわち、画像処理ユニット14は、レーダ10からの信号を受けて車両の周辺の物体の位置等の情報(検出点データ)を取得する手段141と、赤外線カメラ12が撮影した車両の周辺の画像をグレースケール画像として取得する画像取得手段142と、取得した画像の取得タイミング(時間)を検出する手段143と、レーダ10が検出した物体の位置等の情報(検出点データ)の検出時間(タイミング)を補正する時間補正手段144と、として機能する。
【0019】
画像処理ユニット14は、さらに、レーダ10によって検出された物体の位置または大きさの検出タイミングと、赤外線カメラ12によって取得された対応画像の取得タイミングとの差分を検出する検出手段145と、その差分に相当する車両の移動量を算出する算出手段146と、車両の移動量に応じてレーダ10によって取得された物体の位置または大きさを補正する補正手段147と、検出された物体の位置に対応する、取得された対応するグレースケール画像上の所定領域を特定して当該所定領域内の物体を特定する手段148として機能する。
【0020】
各ブロックの機能は、画像処理ユニット14が有するコンピュータ(CPU)によって実現される。なお、画像処理ユニット14の構成は、ナビゲーション装置の中に組み込んでもよい。
【0021】
画像処理ユニット14は、ハードウエア構成として、例えば、入力アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、デジタル化した画像信号を記憶する画像メモリ、各種演算処理を行う中央演算処理装置(CPU)、CPUが演算に際してデータを記憶するのに使用するRAM、CPUが実行するプログラムおよび用いるデータ(テーブル、マップを含む)を記憶するROM、スピーカ16に対する駆動信号および表示装置18に対する表示信号などを出力する出力回路を備えている。レーダ10と赤外線カメラ12の出力信号は、デジタル信号に変換されてCPUに入力されるよう構成される。
【0022】
次に、本発明の一実施形態におけるレーダとカメラの出力信号の同期補正方法について説明する。
【0023】
図2は、画像処理ユニット14によって実行される処理フローを示す図である。図2の処理フローは、画像処理ユニット14のCPUがメモリに格納している処理プログラムを呼び出して、所定の時間間隔で実行される。
【0024】
ステップS1において、赤外線カメラ12の出力信号(すなわち、撮像画像のデータ)を入力として受け取り、これをA/D変換して、画像メモリに格納する。格納される画像データは、輝度情報を含んだグレースケール(白黒の濃淡)画像である。対象の温度が高い部分ほど高輝度となる赤外線カメラでは、高輝度部分の明暗値が高い画像データとなり、その温度が低く(低輝度に)なるにつれて明暗値が低い画像データとなる。
【0025】
ステップS2において、レーダ10の走査を開始する。この走査はステップS1の画像データ取得と並行して行われる。
【0026】
ステップS3において、レーダ10からの信号を受けて車両の周辺の所定の物体の位置を示す検出点データ(点列データ)を取得する。このデータ取得には任意の方法を用いることができるが、例えば以下のようにおこなう。
【0027】
レーダ10としてスキャン式レーザレーダを使用して、その検出点群の幅から物体、例えば歩行者候補の位置を特定する。具体的には、スキャン式レーザレーダでは、所定範囲でスキャンするビームの物体からの反射光を受光することにより、検出点として各方向における物体までの距離を測定する。レーザレーダの位置を原点としてY軸をレーダの正面方向とする2次元座標系にこれらの検出点の位置をプロットして検出点の集合を得る。これらの検出点の集合から、各検出点の相互の間隔が所定値以下のものを検出点群としてグループ化し、グループ化した検出点群のうち、広がり幅が所定値以下のものを所定の物体候補(例えば歩行者候補)とみなしてその各位置を検出点データ(点列データ)としてメモリに格納する。
【0028】
ステップS4において、時間補正をおこなう。ここで言う時間補正は、レーダ10によって取得された物体情報(点列データ)の取得時間(タイミング)の補正と、レーダ走査時間中の自車両の移動量の補正の2つを意味する。図3〜図6を参照しながら、この2つの補正について説明する。
【0029】
図3は、画像処理ユニット14によって実行される、物体情報の取得時間の補正の処理ルーチン(フロー)を示す図である。図3のステップS41において、赤外線カメラ12によって取得された画像の取得タイミングを検出する。ステップS42において、レーダ10によって取得された物体情報(点列データ)の取得時間を補正する。図5を参照しながら、この2つのステップの内容について説明する。
【0030】
図5は、本発明の一実施例に従う、レーダ走査と画像取得のタイミングフローを示す図である。レーダ10は所定の走査時間TS(例えば約60ms)毎に物体候補の位置等を検出する。この場合、物体候補はその走査時間TS内のどこかのタイミングで検出されるが、そのタイミングは物体候補の位置等において変化するので、従来は走査開始時(図4のP1〜P4)において検出したものとしてその時間補正をおこなっていた。一方、赤外線カメラ12は所定のタイミングT1〜T6(例えば約33ms)毎に車両前方の画像を撮像する。このタイミングT1〜T6が図3のステップS41において取得されるタイミングである。したがって、レーダ10による物体候補の検出タイミングと赤外線カメラ12による画像取得のタイミングは基本的に一致することはなく、つまり両タイミングの同期がとれることは原則としてない。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、両タイミングの同期をとるように制御をおこなうのではなく、レーダ10による物体候補の検出タイミングを赤外線カメラ12による画像取得のタイミングに合わせるように時間補正をおこなう。図5の例では、例えばレーダ走査P1〜P2間において検出された物体候補のタイミングを赤外線カメラ12から送られてくる画像取得のタイミングT2に合わせるように時間補正をする。すなわち、レーダ10によって走査P1〜P2間において検出された物体候補のデータ(位置、大きさ等)は、赤外線カメラ12によってタイミングT2において取得された画像データと同じタイミングでのデータとして対応(関連)付けられる。この時間(タイミング)補正が図3のステップS42において実行される時間補正に相当する。
【0032】
その際、万が一レーダ10がその走査時間TS内において赤外線カメラ12から画像取得のタイミングを取得できない場合は、走査終了時のタイミングにおいて物体候補のデータが取得されたされたものとする。図5の例では、画像取得のタイミングT3およびT4をレーダ10が取得できなった場合、走査終了時P3(T4´)のタイミングにおいてレーダ10によって物体候補のデータが取得されたされたものとする。この場合、赤外線カメラ12によって取得された画像データとしては、走査終了時P3(T4´)に最も近いタイミングT4での画像データを用いて、そのTタイミング4での画像データを物体候補のデータと対応(関連)付ける。
【0033】
このように、本発明の一実施形態によれば、同期信号を必要とすることなく、レーダとカメラそれぞれのタイミング制御をそのまま生かしながら、すなわち両者の非同期な制御を利用しながら、両者のデータの取得タイミングの補正(データ間の対応付け)をおこなうことが可能となる。
【0034】
図4は、画像処理ユニット14によって実行される、レーダ走査時間中の自車両の移動量の補正の処理ルーチン(フロー)を示す図である。図4のステップS401において、上述した図3のステップS41と同様に、赤外線カメラ12によって取得された画像の取得タイミングを検出する。
【0035】
ステップS402において、レーダ10によって検出された物体の位置検出点データ(点列データ)と、赤外線カメラ12によって取得された画像の取得タイミングとの差分を検出する。図5を参照しながら説明したように、レーダ10によって検出された物体候補の検出タイミングと、赤外線カメラ12によって取得された画像の取得タイミングとは原則としてずれている、すなわち差分(時間差)が発生することになる。ステップS402では、この両者の取得タイミングの差分(時間差)を検出する。図5の例では、例えば画像取得のタイミングT2に合わせる場合、そのタイミングT2とレーダ10による物体候補の検出タイミングとの差分(時間差)を求めることになる。この場合、画像取得のタイミングが走査時間TS内に必ず1つは入るので、その差分は最大でも走査時間TSよりも小さい値(0<t<TS)となる。
【0036】
次に、ステップS403において、ステップS401において求めた取得タイミングの差分(時間)での車両の移動量を算出する。図6を参照しながらこの移動量の算出について説明する。
【0037】
図6は、本発明の一実施例に従う、車両前方の物体検知の様子を示す図である。図6において、車両20が方向21に沿って進行しているとする。符号23、24、25で指示される線は、レーダ10によって検出可能な範囲であり、矢印22で示される方向に沿って走査を繰り返す範囲である。時間t0、t1、t2はそれぞれ車両の移動時間を示し、時間t0とt2において赤外線カメラ12によって画像が取得されるとする。すなわち、時間t0とt2は図5のタイミングT1〜T5に対応する。
【0038】
赤外線カメラ12による画像取得と並行して行われるレーダ10走査により、時間t0〜t2の間で検出データ(点列データ)として図の3つの物体候補A、B、Cが検出されたとする。物体候補Aは時間t0あるいはその近傍のタイミングで、物体候補Bは時間t1あるいはその近傍のタイミングで、そして物体候補Cは時間t2あるいはその近傍のタイミングでそれぞれレーダ10によって検出されたとする。なお、物体候補A、B、Cは、時間t0〜t2間においていずれも静止していたとする。図5を参照して説明したように、本発明の一実施形態では、赤外線カメラ12による画像取得のタイミングにレーダ10による物体候補の検出タイミングを合わせこむので、図6の例では、例えば時間t0において全ての物体候補A〜Cが検出されたものとみなして時間補正をおこなうことになる。
【0039】
この場合、車両20は所定の速度で前方に移動しているので、その時間補正をおこなう際に、同時にその時間差に相当する車両の移動量を算出して物体候補A、B、Cの取得データに対してその移動量分の補正をおこなう必要がある。ステップS403ではそのための車両の移動量を算出する。具体的には、例えば車速Vのデータを取得して、物体候補Bに対しては時間差Δt(=t1−t0)を乗算して、物体候補Cに対しては時間差Δt(=t2−t0)を乗算して、それぞれの移動量(距離)d1、d2を算出する(d=V×Δt)。
【0040】
図2のフローに戻って、ステップS5において、画像上の物体位置を設定する。具体的には、取得されたグレースケール画像上に物体候補の位置を示す所定領域を設定する。この所定領域は、ステップS3においてレーザレーダ10によって取得された検出点(物体候補の位置)を含む領域である。その際、図4のステップS403において得られた移動量(距離)を用いて検出点(物体候補の位置)等を補正する。
【0041】
具体的には、図6の例では、物体候補Bのデータに対して、移動量(距離)d1を加算して、その位置(車両20からの距離)を補正、物体候補Bの画像上での大きさ(領域)、あるいは物体候補Bについての所定領域を補正(縮小または拡大)する。物体候補Cに対しても物体候補Bの場合と同様である。
【0042】
この所定領域の設定は、任意の方法を用いることができるが、例えば物体の位置として歩行者の位置を特定する場合を例にとると、歩行者候補の位置を含む所定サイズの領域(検出点群)を赤外線カメラ12のカメラ座標系に変換し、グレースケール画像中にマッピング(重畳)して、対応するグレースケール画像上の所定領域として設定する。
【0043】
このように、本発明の一実施形態によれば、カメラ画像が取得されたタイミングからレーダ情報が取得されるまでの間での車両の移動量に応じて対応画像上の物体の位置または大きさ(所定領域)を補正することで、カメラ画像とレーダ情報とのマッチング精度を向上させることが可能となる。
【0044】
ステップS6において、画像上の物体候補が所定の物体であるかを特定する。この特定は、ステップS5において得られた画像上の所定領域を基準としてその領域内あるいはその近傍の領域内における物体候補についておこなう。この特定は、任意の方法によりおこなうことができるが、例えば、グレースケール画像を2値化処理して得られる白黒画像から物体候補(対象物)を照合する。
【0045】
具体的には、最初に予めメモリに保管している除外対象物の特徴を有するか否かを調べる。除外対象物とは、例えば発熱体ではあるが明らかに形状等が異なる物体(4足動物、車両等)を意味する。除外対象物に該当しない場合、所定の物体の特徴に該当するか否かを調べる。例えば、所定の物体が歩行者である場合、歩行者の頭部の特徴として丸みを帯びた白部が存在し、その下に胴体、脚部の部分に相当する細長い白部が繋がっていること等が含まれる。また、周知のパターンマッチングを利用し、予め保管してある歩行者を表す所定のパターンとの類似度を算出し、その類似度を歩行者であるか否かの判断材料としてもよい。さらに、歩行者の歩行速度はほぼ一定であることから、レーダ10から得られる物体の移動速度の情報を判断材料の1つとして用いてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において改変して用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 レーダ、
12 カメラ(赤外線カメラ)、
14 画像処理ユニット
16 スピーカ、
18 表示装置、
20 車両
23、24、25 レーダの検出可能(走査)範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の物体情報を所定周期で連続して検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段とは異なる方法で、車両の周辺の物体情報を所定のタイミング毎に検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段が1周期内に検出した物体情報の検出タイミングを当該1周期内の1つのタイミングとして補正する時間補正手段とを備え、
前記1周期内の1つのタイミングは、前記第2検出手段の前記所定のタイミングの1つと一致することを特徴とする、車両の周辺監視装置。
【請求項2】
車両の周辺の物体を検出するレーダと、車両の周辺の画像を撮像するカメラと、前記レーダが検出した物体の位置または大きさに対応する、前記カメラが撮像した対応画像上に所定領域を設定して当該所定領域内の前記物体を特定する手段とを備える、車両の周辺監視装置であって、
前記レーダによって検出された物体の位置または大きさの検出タイミングと、前記カメラによって取得された対応画像の取得タイミングとの差分を検出する検出手段と、
前記差分に相当する前記車両の移動量を算出する算出手段と、
前記車両の移動量に応じて前記レーダによって検出された物体の位置または大きさを補正する補正手段と、を有する車両の周辺監視装置。
【請求項3】
前記レーダは所定の走査時間毎に物体を検出し、当該レーダによる前記検出タイミングは、当該所定の走査時間の開始時または終了時のタイミングであり、前記カメラによる前記取得タイミングは、前記所定の走査時間内での取得タイミングである、請求項2に記載の周辺監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−14553(P2012−14553A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151863(P2010−151863)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】