車両の照明装置
【課題】電動式のスライドドアを備えた車両の照明装置について、乗車時の安全性と利便性を確保しつつ、乗員のプライバシーを有効に保護する。
【解決手段】車室側部の乗降口Hsを開閉するスライドドア20と、スライドドア20を開閉駆動するアクチュエータ28と、アクチュエータ28を作動させてスライドドア20を自動で開閉させる自動開閉手段と、スライドドア20の自動開閉を検出する自動開閉検出手段83と、乗車準備の完了を検出する乗車準備完了検出手段82とを備えた車両に、ベルトラインLbよりも上方の所定範囲を照明する車内上部照明部E6,E7を含む複数の照明部と、照明部の点灯を制御する照明制御部80とを備えた照明装置を装備し、自動開閉検出手段83によりドア20の開動作が検出されると車内上部照明部E6,E7を点灯させ、乗車準備完了検出手段82により乗車準備完了が検出されると車内上部照明部E6,E7の照明を禁止する。
【解決手段】車室側部の乗降口Hsを開閉するスライドドア20と、スライドドア20を開閉駆動するアクチュエータ28と、アクチュエータ28を作動させてスライドドア20を自動で開閉させる自動開閉手段と、スライドドア20の自動開閉を検出する自動開閉検出手段83と、乗車準備の完了を検出する乗車準備完了検出手段82とを備えた車両に、ベルトラインLbよりも上方の所定範囲を照明する車内上部照明部E6,E7を含む複数の照明部と、照明部の点灯を制御する照明制御部80とを備えた照明装置を装備し、自動開閉検出手段83によりドア20の開動作が検出されると車内上部照明部E6,E7を点灯させ、乗車準備完了検出手段82により乗車準備完了が検出されると車内上部照明部E6,E7の照明を禁止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のスライドドアを備えた車両の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に装備されるドアとして、車体側面に略沿うようにして前後方向へスライドさせながら開閉する所謂スライドドアは一般に良く知られており、例えば、ワゴンタイプの自動車や所謂ワンボックスカーなどの後席用のドアとして、幅広く採用されている。かかるスライドドアを車室側部に装備することで、車室側部の乗降口をより大きく確保でき、乗員の乗降時あるいは荷物の積み降ろし時などの利便性を大いに高めることができる。
【0003】
また、かかるスライドドアとして、当該スライドドアを開閉駆動するアクチュエータが付設され、このアクチュエータを操作することによりアクチュエータを作動させてスライドドアを開閉駆動できるようにした、いわゆる電動式のスライドドアも知られている。この場合、アクチュエータの操作は、例えば、運転席の近傍あるいは運転席等に好ましくは着脱可能に備えられたリモートコントローラ(所謂リモコン)のドア開閉スイッチ、所謂キーレスエントリシステムのキーレス端末、又はドアハンドルにより行われるのが一般的である。
【0004】
例えば、特許文献1には、このようなスライドドアを備えた自動車について、スライドドアの周辺を明るく照らす発光装置を当該スライドドアに設け、スライドドアが開状態とされた際には、スライドドアの下方もしくは後方を明るく照らすことにより、歩行者や側方車もしくは後方車の運転者が、当該スライドドアが開状態であることを容易に視認できるようにした構成が開示されている。
【0005】
ところで、近年では、車両に装備される車室内用などの照明装置について、単に車室内などの所要領域を照らし出すだけでなく、各照明ランプをそれぞれ個別に又は連動して好適に制御することによって、照明による種々の演出効果を醸し出すようにすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−327041号公報
【特許文献2】特開2003−327042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、近年では、プライバシー保護に対する意識の高まりに応じて、車両の照明装置についても、乗員のプライバシーを有効に保護できるようにすることが望まれるようになって来ている。例えば、夜間に人気の少ない駐車場などで乗員が乗車するような場合、乗車する乗員のプライバシー保護が望まれる場合がある。特に、乗車する乗員が女性や高齢者あるいは子供などの弱者であれば、そのことを周囲に気付かれない方が防犯上も好ましい。特に、上述のスライドドアを備えた車両の場合、ドアを開くことにより、乗降口は、通常の回動開閉式のドアのようにドア自体で遮られることなく、周囲の広範な角度から略完全に視認できるので、乗員のプライバシー保護に配慮することがより強く望まれる。
【0008】
しかしながら、従来の車両用照明装置では、前述の特許文献1や特許文献2に見られるように、乗車時の利便性や安全性あるいは照明による演出効果に配慮することはあっても、乗員のプライバシー保護については殆ど念頭に置かれていないのが実情である。
【0009】
また、前述の電動式スライドドアを備えた車両では、例えば、車両に乗車しようとする乗員が、キーレス端末を用いてスライドドアを開き操作する際、車両から離れた位置にいることがある。この場合、車両に乗車しようとする乗員は車室内の様子(荷物の散乱、潜み強盗の有無等)を十分に確認できず、乗車時の安全性と利便性を十分に確保できないことがある。
【0010】
そこで、本発明は、電動式のスライドドアを備えた車両の照明装置について、乗車時の安全性と利便性を十分に確保しつつ、乗員のプライバシーを有効に保護することができる照明装置を提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願の第1の発明に係る車両の照明装置は、
車室側部の乗降口を開閉するスライドドアと、前記スライドドアを開閉駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを作動させて前記スライドドアを自動で開閉させる自動開閉手段とを備えた車両に装備される照明装置であって、
前記車両は、前記自動開閉手段による前記スライドドアの自動開閉を検出する自動開閉検出手段と、前記乗降口からの乗車準備の完了を検出する乗車準備完了検出手段とを備え、
前記照明装置は、前記乗降口周辺の領域を照明する複数の照明部と、該複数の照明部の点灯を制御する照明制御部とを備え、
前記複数の照明部は、車両のベルトラインよりも上方の車室内の所定範囲を照明する車内上部照明部を備え、
前記照明制御部は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車内上部照明部を点灯させ、前記乗車準備完了検出手段による乗車準備完了の検出に基づいて、前記車内上部照明部による照明を禁止する、制御手段を備えている、ことを特徴とする。
【0012】
本願の第2の発明に係る車両の照明装置は、第1の発明において、
前記複数の照明部は、乗員の上半身を照らさないように前記ベルトラインよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された下部照明部を更に備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記開動作の検出に基づいて、前記下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする。
【0013】
本願の第3の発明に係る車両の照明装置は、上記の第2の発明において、
前記下部照明部は、前記ベルトラインよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された車内下部照明部と、前記ベルトラインよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された車外下部照明部とを備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させた後、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする。
【0014】
本願の第4の発明に係る車両の照明装置は、上記の第3の発明において、
前記車両は、前記スライドドアの所定位置への移動を検出するドア移動検出手段を備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させ、前記ドア移動検出手段による前記移動の検出に基づいて、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする。
【0015】
本願の第5の発明に係る車両の照明装置は、上記の第3または第4の発明において、
前記車外下部照明部は、前記乗降口近傍の車外の下方領域を照明する車両周辺照明部と、前記スライドドアのアウタハンドルを照明するアウタハンドル照明部とを備え、
前記車内下部照明部は、前記シートの前方の車室フロアを照明するフット照明部を備えている、ことを特徴とする。
【0016】
本願の第6の発明に係る車両の照明装置は、上記の第2〜第5のいずれかの発明において、
前記制御手段は、前記下部照明部による照明が開始された後において、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記下部照明部を消灯させた後、前記車内上部照明部の照明禁止を解除する、ことを特徴とする。
【0017】
本願の第7の発明に係る車両の照明装置は、上記の第2〜第6のいずれかの発明において、
前記複数の照明部は、前記下部照明部を複数含み、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部による照明を所定の順で開始させ、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部を前記所定の順と同じ順で消灯させる、ことを特徴とする。
【0018】
本願の第8の発明に係る車両の照明装置は、上記の第1〜第7のいずれかの発明において、
前記スライドドアは、車室側部の後部乗降口を開閉するリヤドアであることを特徴とする。
【0019】
本願の第9の発明に係る車両の照明装置は、上記の第1〜第8のいずれかの発明において、
前記自動開閉手段は、キーレスエントリシステム用の端末機に設けられている、ことを特徴とする。
【0020】
本願の第10の発明に係る車両の照明装置は、上記の第8の発明において、
前記自動開閉手段は、前記車両の運転席の近傍部に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本願の第1の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて車内上部照明部が点灯し、これにより車室内空間が照らされるため、車両から離れた位置からキーレス端末等を用いてスライドドアを開き操作するときでも、乗車前に車内の様子を十分に確認することができ、乗車時の安全性と利便性が向上する。また、乗車準備完了検出手段により乗車準備完了が検出されると、その検出に基づいて車内上部照明部による照明が禁止され、車室内においてベルトラインよりも上方の範囲が照明されなくなる。したがって、乗車時に乗員の上半身が照明で照らし出されることはなく、乗員のプライバシーを有効に保護することができる。すなわち、乗車時の安全性と利便性を確保しつつ、乗員のプライバシーを有効に保護することができる。
【0022】
本願の第2の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて、乗員の上半身を照らさないように車両のベルトラインよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された下部照明部による照明が開始される。したがって、乗員が乗車する際には、ベルトラインよりも下方の領域が照らし出されるので、乗員は自身の足元やその周辺を容易に確認でき、乗員のプライバシーを有効に保護しつつ、乗車時の利便性を向上することができる。また、スライドドアの自動の開動作に伴って下部照明部による照明が開始されることで、所謂「お出迎え感」を醸し出す演出効果を得ることができる。
【0023】
本願の第3の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて、ベルトラインよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された車外下部照明部による照明が開始された後、ベルトラインよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された車内下部照明部による照明が開始される。つまり、乗車する乗員の乗車動作の順序に従って、車外および車内の下部照明部による照明を順に行うことができ、「お出迎え感」の演出効果を高めることができる。特に、乗車時に車内上部照明部が消灯されても、それによって乗員が拒絶感を感じることを防止できる。
【0024】
本願の第4の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて、車外下部照明部による照明が開始され、その後、ドア移動検出手段によりスライドドアが所定位置へ移動したことが検出されると、その検出に基づいて、車内下部照明部による照明が開始される。このように、下部照明部を点灯するタイミングを、スライドドアの移動に連動させることで、「お出迎え感」の演出効果を更に高めることができる。
【0025】
本願の第5の発明によれば、乗車時に、アウタハンドル照明部によってスライドドアのアウタハンドルを照明し、車両周辺照明部によって乗降口近傍の車外の下方領域を照明した後、フット照明部によってシートの前方の車室フロアを照明できる。すなわち、照明による「お出迎え感」の演出効果を実現した上で、乗車する乗員の足元領域の確認を容易に行えるようにし、また、アウタハンドルの視認性を高め、乗車時の利便性を向上させることができる。
【0026】
本願の第6の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの閉動作が検出されると、その検出に基づいて、下部照明部が消灯された後、車内上部照明部の照明禁止が解除される。つまり、下部照明部の消灯により、「お出迎え」の完了を演出することができ、車内上部照明部の照明禁止の解除により、乗車後の比較的安全な状態で車室内空間を明るくすることが可能になる。特に、車内上部照明部による照明をスポット照明とした場合、そのスポット照明の照射範囲を乗員の上半身からずらすことで、引き続き乗員の上半身が照らされることを回避してプライバシーを有効に保護することができる。
【0027】
本願の第7の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの閉動作が検出されると、その検出に基づいて、複数の下部照明部が、開動作検出時の照明開始の順と同じ順で消灯されるため、「お出迎え感」を一層高めることができる。
【0028】
本願の第8の発明によれば、スライドドアが車室側部の後部乗降口を開閉するリヤドアであるため、車室前端部に配設されるインストルメントパネルに近いフロントドア側よりも照明数が乏しいリヤドア側において、照明による「お出迎え感」を演出できる。
【0029】
本願の第9の発明によれば、自動開閉手段がキーレスエントリシステム用の端末機に設けられているため、乗車しようとする乗員は車両から離れた位置からスライドドアを開き操作することができる。端末機によりスライドドアを開き操作すると、これに伴って車室内上部照明部が点灯されるため、乗員は車両から離れた位置からでも車内の様子を確認することができる。
【0030】
本願の第10の発明によれば、自動開閉手段が、車両の運転席の近傍部に設けられているため、運転者が乗車している状態において、車両の後席に乗り込む同乗者に対して上述の効果を有する照明を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図1は本実施形態に係る照明装置を装備した自動車の側面を概略的に示す側面図、また、図2はこの自動車の車室内を概略的に示す平面図である。これらの図に示すように、本実施形態に係る自動車1は所謂ワゴンタイプのもので、車室内には、前側から順に、フロント(最前列)シート11,セカンド(2列目)シート12及びリヤ(最後列)シート13の3列のシートが配列されている。また、自動車の車室後部の側面には、後席(セカンドシート12及びリヤシート13)用のドアとして、車体側面に略沿うようにして前後方向へスライドさせながら開閉する所謂スライドドア20が装備されている。該スライドドア20は、車室側部の乗降口Hsを開閉可能に覆うもので、スライドドア20を後方へ移動させて開くことで開放される乗降口Hsには、セカンドシート12の側端部が近接するように位置している。
【0033】
前記自動車1には、車室内の所要領域および乗降口Hsの周辺やドアノブ等の車室外の所要領域などを照明するために、多数の照明ランプを備えた照明装置が装備されている。以下、この照明装置を構成する照明ランプについて説明する。
【0034】
本実施形態では、乗員の上半身を照らさないように車両のベルトラインLbよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された「下部照明ランプ」と、前記ベルトラインLbよりも上方の車室内の所定範囲を照明する「車内上部照明ランプ」とを備えている。また、前記下部照明ランプは、ベルトラインLbよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された「車外下部照明ランプ」と、ベルトラインLbよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された「車内下部照明ランプ」とに区分けされる。
【0035】
前記ベルトラインLbは、車両側部のウインドウ部W1,W2の下辺の直下方にて該下辺に略沿って車両前後方向に延びるように設定された仮想のラインで、別名ウエストラインとも称される。一般に、このベルトラインLbよりも下方の領域を指向するようにランプの照射方向を制限することにより、乗員の上半身が照らし出されることを回避できる。
【0036】
カーテシランプE1は、車両周辺照明としてスライドドア20の乗降口Hs近傍の車外の下方領域S1を照明するランプで、前記「車外下部照明ランプ」の一種として設けられている。このカーテシランプE1は、後で詳しく説明するように、車体フロア部4の左右両端部にて前後方向に延設されているサイドシル5の下端フランジ部の外側に取り付けられている。
【0037】
アウタハンドルランプE2は、スライドドア20のアウタハンドル23及びその近傍の領域S2を照明するランプで、やはり前記「車外下部照明ランプ」の一種として設けられている。このアウタハンドルランプE2は、後で詳しく説明するように、アウタハンドル23の裏面側に取り付けられており、アウタハンドル23自体は、いわゆる間接照明で照らし出されるようになっている。
【0038】
フットランプE3は、車室フロア部4のセカンドシート12の前方領域(つまりセカンドシート12の足元領域)S3を照明するランプで、前記「車内下部照明ランプ」の一種として設けられている。このフットランプE3は、後で詳しく説明するように、セカンドシート12のシートクッション12cの前端下部に位置するスライドレバーに埋め込むようにして設けられている。
【0039】
中間ピラーランプE4は、フロントシート11の略側方でセカンドシート12の斜め前方に位置し、乗降口Hsの前縁に略沿って上下方向に延設された中間ピラー6(所謂Bピラー)の車室内面領域S4を照らし出して中間ピラー6の位置を視認容易とするランプで、前記「車内下部照明ランプ」の一つを構成している。この中間ピラーランプE4は、後で詳しく説明するように、中間ピラー6の内装トリム内に設けられたピラー集中照明部50に配置されている。
【0040】
シートダウンライト・ランプE5は、セカンドシート12のシートクッション12cの座面領域S5を照らし出して座席位置を視認容易とするランプで、やはり前記「車内下部照明ランプ」の一つを構成している。後で詳しく説明するように、このシートダウンライト・ランプE5も前記ピラー集中照明部50に配置されている。
【0041】
コンソールダウンライト・ランプE6は、セカンドシート12に着座した乗員の手元を照らし出すためのランプで、セカンドシート12の前方における車幅方向の略中央領域S6に向けて照射される。このコンソールダウンライト・ランプE6は、指向性の比較的高い所謂スポットライト用のランプで、セカンドシート12に着座した乗員の手元を視認し易くするために、その照射方向が調整可能に設けられている。このコンソールダウンライト・ランプE6は、後で詳しく説明するように、車室天井部7に取り付けられ、「車内上部照明ランプ」の一つを構成している。
【0042】
ルームランプE7は、後で詳しく説明するように、車室天井部7の略中央部分に取り付けられ、車室内を広範囲に照らし出すランプで、やはり「車内上部照明ランプ」の一つを構成している。
【0043】
インナハンドルランプE8は、スライドドア20が閉じられている場合において該スライドドア20のインナハンドル25及びその近傍の領域S8を照らし出し、インナハンドル25の位置を視認容易とするランプで、前記「車内下部照明ランプ」の一つを構成している。後で詳しく説明するように、このインナハンドルランプE8も前記ピラー集中照明部50に配置されている。
【0044】
なお、前記スライドドア20は車室側部の後部乗降口Hsを開閉するリヤドアを構成しており、車室前端部に配設されるインストルメントパネル10(図2参照)に近いフロントドア19側に比して、照明数はかなり少なくなっている。
【0045】
図3は、前記カーテシランプE1の取付構造を概略的に示す図で、図1のY3−Y3線に沿った断面図である。この図に示すように、車体フロア部4の左右両端部にて前後方向に延設されているサイドシル5は、その外面を構成するアウタパネル31と、内方への膨出部の上部を形成するインナパネル32と、前記内方への膨出部の下部を形成するアンダーパネル33とを備えている。前記アウタパネル31は、その下部が外方へ膨出しており、この外方への膨出部31cの内側にはレインフォースメント(第2レインフォースメント)35が配設され、更にその内側に第1レインフォースメント34が配設されている。第2レインフォースメント35は、その上端部35aがアウタパネル31の上下方向における途中部の内面に接合され、下端部35bはアウタパネル31の最内側に位置する下端縦壁31bの内面に接合されている。第1レインフォースメント34は、その上端部34aがインナパネル32の外側縦壁32aの外面に接合され、下端部34bは第2レインフォースメント35の下部内面に接合されている。
【0046】
前記インナパネル32の内側縦壁32bはフロアパネル4の外側端部4aに接合されている。また、アウタパネル31の上端縦壁31aには、断面形状が逆L字形のレール保持パネル36の下部が接合され、このレール保持パネル36の上部下面側に、スライドドア20(図3ではアウタパネル21のみ図示)を車体前後方向にスライドさせるレール37が固定されている。アンダーパネル33の外側端部は下方に折り曲げられて縦壁33aを形成している。このアンダーパネル33の外側縦壁33aと第2レインフォースメント35の下端部35bとアウタパネル31の下端縦壁31bとは、3枚重ねの状態で接合され、サイドシル5の下端部に所定長さの下部フランジ5fを形成している。
【0047】
カーテシランプE1は、この下部フランジ5fの外側にて、該フランジ5fの下端から所定寸法Dだけ上方に取り付けられている。従って、車両走行中に車両中央側から跳石があった場合でも、カーテシランプE1は下部フランジ5fにより確実に保護される。また、カーテシランプE1は、下部フランジ5fの下端よりも(所定寸法Dだけ)上方に配設されているので、車両走行中の底摺からも有効に保護される。しかも、前記下部フランジ5fはサイドシル5の外方への膨出部31cよりもかなり内方下部に位置しているので、カーテシランプE1から乗降口Hs近傍の車外の下方領域S1に向けて照射される照明光は、その照射範囲の上限(上限ラインLc参照)がサイドシル5の外方への膨出部31cに遮られて制限される。従って、ベルトラインLbよりも上方を照らすことが確実に防止される。
【0048】
図4は、前記アウタハンドルランプE2の取付構造を概略的に示す図で、図1のY4−Y4線に沿った断面図である。この図に示すように、スライドドア20のドアアウタパネル21には、アウタハンドル23の把手部23gに対応して内方(車室側)へ窪んだ凹部21cが形成されている。把手部23gを掴んでアウタハンドル23を引き操作することにより、該アウタハンドル23が所定角度だけ外方へ回動し(図4における2点鎖線表示参照)、スライドドア20の開閉操作が行えるようになる。
【0049】
アウタハンドルランプE2は、アウタハンドル23の把手部23gの裏面側の一方の端部(本実施形態では後方端部)に取り付けられ、アウタハンドルの非操作状態(図4における実線表示参照)においても、把手部23gの内面とドアアウタパネル21の凹部21c表面との間の空間部に支障なく収納されている。アウタハンドルランプE2からの照明光は内方に向かって照射され、ドアアウタパネル21の凹部21c表面で反射し、この反射光によってアウタハンドル23が照明される。つまり、アウタハンドル23自体は、いわゆる間接照明で照らし出されるようになっている。
【0050】
図5及び図6は、前記フットランプE3の取付構造を概略的に示す図で、図5はセカンドシート下部の側面図、図6はセカンドシート下部の斜め前方からの斜視図である。これらの図に示すように、セカンドシート12のシートクッション12cの下部側方には、当該シート12用のスライド機構41が配設され、このスライド機構41には、当該セカンドシート12の前後方向へのスライド動作をロック・アンロック操作するためのスライドレバー42が備えられている。
【0051】
このスライドレバー42は平面視で略コ字状に形成され、その中央の真直部分42cは、シートクッション12cの前端下部で正面部に位置している。フットランプE3は、このスライドレバー42の真直部分42cの前面側に、好ましくは2箇所について埋め込むようにして設けられている。そして、車室フロア部4のセカンドシート12の前方領域(つまりセカンドシート12の足元領域)S3を照明するようになっている。
【0052】
図7及び図8は、前記ピラー集中照明部の構成を概略的に示す図で、図7は中間ピラー及びその周辺の斜め後方からの斜視図、図8はその要部を拡大して示す斜視図である。これらの図に示すように、中間ピラー6は、その車室内側を合成樹脂製の内装部材51(ピラートリム)で覆われており、このピラートリム51と中間ピラー6との間には空間部(トリム空間)が形成されている。このトリム空間内に、前記中間ピラーランプE4,シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8が収容されている。これらランプE4,E5及びE8が、ピラー集中照明部50の発光部を構成しており、何れも前記ベルトラインLbよりも下方に配置されている。
【0053】
前記ピラートリム51は、ピラー集中照明部50に対応する部分が車室内側へ若干膨出するように形成され、その膨出部分52の上下に所定幅のスリット部53,54が設けられている。中間ピラーランプE4は、これら上下のスリット部53,54の上下方向における略中間に配設され、スリット53,54を通ってピラートリム51の上部領域S4’および下部領域S4を照射する。
【0054】
膨出部分52の上方には、乗員乗降時に把持されるアシストグリップ57が設けられており、上側スリット53を通る照明光は、前記アシストグリップ57を指向するよう照射方向が設定されている。また、この照明光により、フロントシート11用のシートベルトアンカ58及び収納状態のシートベルトタング59も照明される。尚、上側スリット53を通る照明光は、ベルトラインLbよりも上方を指向することになるが、あくまでもピラートリム51に沿ってその上部領域S4’を照らすものであり、乗員の上半身を照らし出すことはない。
【0055】
一方、下側スリット54を通る照明光はピラートリム51の下部領域S4を照射しており、乗降口Hsに沿って上下方向に延設され乗降口Hsの輪郭の一部を成す中間ピラー6の車室内面を照明して、その視認性を高めることができ、乗員の降車動作を容易で円滑にすることができる。また、上側スリット53を通る照明光も、ピラートリム51の上部領域S4’について、同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
また、前記膨出部分52の比較的下部の後側には所定直径の下部開口55が形成されており、前記シートダウンライト・ランプE5は、トリム空間内でこの下部開口55の斜め前上方に配置されている。シートダウンライト・ランプE5からの照明光は、下部開口55を通って斜め後下方に向けて照射され、セカンドシート12のシートクッション12cの座面領域S5を指向するように設定されている。このように座面領域S5を照らし出すことで、乗員は座席位置を容易に視認することができる。
【0057】
更に、前記膨出部分52の比較的上部の後側には所定直径の上部開口56が形成されており、前記インナハンドルランプE8は、トリム空間内でこの上部開口56の側方に配置されている。インナハンドルランプE8からの照明光は、上部開口56を通って後方略水平方向に向けて照射される。ピラートリム51の前記膨出部分52の直後方には、スライドドア20を車室内側から開閉操作するインナハンドル25が位置しており、インナハンドルランプE8からの照明光は、前記インナハンドル25を指向するよう照射方向が設定されている。スライドドア20が閉じられている場合において該スライドドア20のインナハンドル25及びその近傍の領域S8を照らし出すことで、乗員はインナハンドル25の位置を容易に視認することができる。
【0058】
図9は、ピラー集中照明部の変形例について、図8と同様に、要部を拡大して示す斜視図である。この変形例では、トリム空間内には光源E4’が1個だけ配設され、この光源E4’から、上下のスリット53,54並びに上部および下部の開口56,55を通して照明光が照射される。これら上下のスリット53,54並びに上部および下部の開口56,55と光源E4’との位置関係は、それぞれの所要の照射方向に応じて好適に設定される。この場合、1個の光源E4’で効率の良い照明が行える。また、ピラー集中照明部50’の構造を簡素化できる。前記光源E4’としては、例えば、中間ピラーランプ用の光源E4をそのまま用いてもよい。
【0059】
なお、上下のスリット53,54並びに上部および下部の開口56,55を、ガラス等の透明体もしくは半透明体で覆うようにしてもよい。この場合、トリム空間内への塵埃等の侵入を防止でき、また、内部の光源E4,E5,E8,E4’を有効に保護できる。また、上述のピラー集中照明部50,50’を中間ピラー6だけでなく、乗降口HSの後縁に略沿って上下方向に縁設された後部ピラー9(所謂Cピラー:図2、図10参照)にも、ピラー集中照明部50”を設けるようにしてもよい。この場合、後部ピラー9には、インナハンドルランプE8及びピラートリム51の上部開口56は不要である。
【0060】
図10は、コンソールダウンライト・ランプE6及びルームランプE7の取付構造を概略的に示す前記自動車の拡大側面図である。セカンドシート12に着座した乗員の手元を照らし出すコンソールダウンライト・ランプE6は、車室天井部7に配設され、車幅方向については略中央部で、前後方向については中間ピラー6の配設位置に略対応する位置に取り付けられており、セカンドシート12の前方における車幅方向の略中央領域S6(図1,図2参照)に向けて照射される。このコンソールダウンライト・ランプE6は、前述のように、指向性の比較的高い所謂スポットライト用のランプで、セカンドシート12に着座した乗員の手元を視認し易くするために、その照射方向が調整可能に設けられている。また、ルームランプE7は、前記コンソールダウンライト・ランプE6よりも若干後方の車室天井部7の略中央部分に取り付けられ、車室内を広範囲に照らし出す。
【0061】
次に、前記自動車1の照明システムについて説明する。
【0062】
図11は、本実施形態に係る照明システムの構成の概略を説明するためのブロック構成図である。この図に示すように、自動車1には、本照明システムを制御し得る制御装置として、例えば、マイクロコンピュータを主要部として構成された制御ユニットCUが備えられている。前述の各ランプE1〜E8は、この制御ユニットCUに信号授受可能に接続されている。制御ユニットCUには、ランプE1〜E8の他、以下のデバイスやセンサ類が、それぞれ信号授受可能に接続されている。
【0063】
ドアロックアクチュエータ27は、スライドドア20のドアロックを自動でロック/アンロック動作させるアクチュエータで、通常、スライドドア20の開閉動作が行われる前および行われた後に、後述するキーレス端末71の操作またはドアスイッチ63のスイッチ操作によって駆動される。ドア開閉アクチュエータ28は、スライドドア20を自動で開閉動作させるアクチュエータで、キーレス端末71の操作、ドア開閉スイッチ(不図示)のスイッチ操作、アウタハンドル23の操作、又はインナハンドル25の操作によって駆動される。
【0064】
セカンドシート着座センサ61は、セカンドシート12に着座した乗員の有無を検出するセンサである。ドアポジションセンサ62は、スライドドア12の位置や開度によりその開閉状態を検出するセンサである。ドアスイッチ63は、前述のドアロックアクチュエータ27をON/OFFし、スライドドア20のドアロックを自動でロック/アンロック動作させるスイッチである。アウタハンドル操作センサ64、インナハンドル操作センサ65はそれぞれ、スライドドア20のアウタハンドル23、インナハンドル25の手動操作があった場合に、これを検出するセンサである。
【0065】
また、ドア開閉スイッチ(SW)操作センサ66は、アウタハンドル23、インナハンドル25の手動操作を行うことなく、前記ドア開閉アクチュエータ28を作動させてスライドドア20を自動で開閉動作させるドア開閉スイッチ(不図示)の操作があった場合に、これを検出するセンサである。このドア開閉スイッチは、請求項の自動開閉手段として機能し得るものであり、運転席の近傍部に設けられている。ドア開閉スイッチは、運転席の近傍部に固定して設けてもよいし、運転席の近傍部に着脱可能とされたリモートコントローラ(所謂リモコン)に設けてもよい。
【0066】
パーキングブレーキセンサ67は、パーキングブレーキ(不図示)が操作された場合にこれを検出するセンサであり、ギアレンジセンサ68は変速機のギアレンジを検出するセンサである。また、速度センサ69は、当該自動車1の車速を検出するセンサである。これらパーキングブレーキセンサ67、ギアレンジセンサ68及び速度センサ69の検出結果により、車両が停車されているか否かを検出することができる。
【0067】
また、キーレスアンテナ70は、所謂キーレスエントリシステムのキーレス端末71からの制御信号を受信するアンテナで、キーレス端末71の操作により、ドアロックアクチュエータ27及びドア開閉アクチュエータ28を駆動し、スライドドア20を自動で開閉動作させる場合には、キーレスアンテナ70の受信信号により、かかるドア操作を検出することができる。キーレス端末71には、スライドドア20の施錠操作および解錠操作を行うためのドアロックスイッチ(不図示)と、スライドドア20を開閉操作するためのドア開閉スイッチ(不図示)が設けられている。キーレス端末71のドア開閉スイッチも、運転席近傍のドア開閉スイッチと同様、請求項の自動開閉手段として機能し得る。なお、アウタハンドル23及びインナハンドル25の所定操作によってもスライドドア20を自動開閉することができ、それらのハンドル23,25も、請求項の自動開閉手段として機能し得る。
【0068】
ドアロックセンサ72は、スライドドア20が施錠された状態または解錠された状態のいずれであるかを検出するセンサである。
【0069】
制御ユニットCUには、照明システムの制御に関連する種々の検出部(検出回路)が備えられている。
【0070】
乗員検出部81は、スライドドア20が開かれて形成される乗降口Hsに近接して設けられている前記セカンドシート12に着座した乗員が居る場合に、これを検出するもので、前記セカンドシート着座センサ61からの入力信号に基づいて検出が行われる。
【0071】
ドア開閉状態検出部82は、スライドドア20の開閉状態を検出するもので、前記ドアポジションセンサ62からの入力信号に基づいて検出が行われる。ドア開閉状態検出部82は、請求項のドア移動検出手段とし機能し、スライドドア20の所定位置への移動を検出する。また、ドア開閉状態検出部82は、請求項の乗車準備完了検出手段としても機能し、次に説明するドア操作検出部83によりスライドドア20の自動の開動作が検出された後にスライドドア20が所定位置まで(例えば、全開になるまで)移動することで、乗車準備の完了を検出する。
【0072】
ドア操作検出部83は、スライドドア20の施錠もしくは解錠の操作があった場合、又はスライドドア20の開閉操作があった場合に、これらを検出するもので、ドアスイッチ63、アウタハンドル操作センサ64、インナハンドル操作センサ65、ドア開閉SW操作センサ66、キーレスアンテナ70、ドアロックセンサ72からの入力信号に基づいて検出が行われる。ドア操作検出部83は、請求項の自動開閉検出手段に相当するものであり、キーレス端末71のドア開閉スイッチ、運転席近傍のドア開閉スイッチ、アウタハンドル25、又はインナハンドル25のいずれかによる開閉操作の信号を受信したときに、これにより、スライドドア20の自動開閉を検出する。
【0073】
停車検出部84は、車両が停車されている場合にはこれを検出するもので、パーキングブレーキセンサ67,ギアレンジセンサ68及び速度センサ69からの入力信号に基づいて検出が行われる。
【0074】
また、制御ユニットCUには、以上の検出部81〜84に加えて,ドア開閉SW操作センサ66,キーレスアンテナ70からの入力信号に基づいて、前記ドアロックアクチュエータ27及びドア開閉アクチュエータ28を駆動し、スライドドア20を自動で開閉動作させるドア駆動機構制御部85が備えられている。このドア駆動機構制御部85及び前記検出部81〜84は何れも、照明制御部80に信号授受可能に接続されている。この照明制御部80は、ドア駆動機構制御部85及び前記検出部81〜84からの入力信号に基づいて、前述のランプE1〜E8の点灯を制御するものである。
【0075】
以上のように構成された照明システムの制御の一例を、図12のフローチャートを参照しながら説明する。この制御例は、乗員がスライドドアの自動の開き操作を行うときに照明制御部80で行われる制御の一例である。
【0076】
図12に示すように、ステップ#1においてスライドドア20の自動の開動作がドア操作検出部83により検出されると、ステップ#2以下の制御が行われる。ここでいうスライドドア20の自動の開動作は、キーレス端末71のドア開閉スイッチ、運転席近傍のドア開閉スイッチ、又はアウタハンドル23のいずれかの操作に伴う動作である。
【0077】
ステップ#2では、コンソールダウンライト・ランプE6とルームランプE7が点灯される。これにより、車両1から離れた位置からスライドドア20を開き操作した場合であっても、その位置から車内の様子を確認することができ、乗車時の安全性と利便性が向上する。
【0078】
次に、ステップ#3では、カーテシランプE1とアウタハンドルランプE2の照明が開始される。カーテシランプE1の照明により乗車する乗員の足元の視認性が向上し、アウタハンドルランプE2の照明によりアウタハンドルの視認性が向上するため、乗車時の利便性が一層高められる。
【0079】
続くステップ#4では、ドア開閉状態検出部82によりスライドドア20が全開になったことが検出されたか否かが判断される。この制御は、後席への乗車準備が完了したか否かを判断することを目的とするため、ステップ#4では、必ずしもスライドドア20が全開になったか否かを判断しなくてもよく、乗車可能となる所定位置までスライドドア20が移動したか否かを判断すればよい。ステップ#4の制御は、スライドドア20が所定位置まで移動したことが検出されるまで繰り返し行われ、スライドドア20が所定位置まで移動したことが検出されると、ステップ#5に進む。
【0080】
ステップ#5では、コンソールダウンライト・ランプE6とルームランプE7が消灯され、それらのランプE6,E7の照明が禁止される。これにより、乗車時に乗員の上半身が照らされることを確実に防止でき、乗員のプライバシーを有効に保護することができる。
【0081】
次に、ステップ#6で、所定時間内にドア操作検出部83によりスライドドア20のアウタハンドル23の操作が検出されたか否かが判断される。この制御は、スライドドア20が開いて乗車準備が完了した状態において、実際に後席に乗員が乗車するか否かを判断するために行われる。ステップ#6において、アウタハンドル23の操作が所定時間内に検出されなかった場合、後席に乗員が乗車すると判断され、ステップ#7に進む。他方、ステップ#6において、アウタハンドル23の操作が検出された場合には、後席に乗員が乗車しないと判断されてステップ#17に進む。ステップ#17では、カーテシランプE1とアウタハンドルランプE2が消灯されるとともに、コンソールダウンライト・ランプE6とルームランプE7の照明禁止が解除されて、通常制御に戻る。
【0082】
ステップ#7では、フットランプE3の照明が開始される。ステップ#7では、フットランプE3の照明によりセカンドシート12の足元領域S3の視認性が向上する。
【0083】
続くステップ#8では、中間ピラーランプE4、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8の照明が開始される。ステップ#8では、中間ピラーランプE4の照明により、乗降口Hsの輪郭の一部を構成する中間ピラー6の視認性が向上し、シートダウンライト・ランプE5の照明によりセカンドシート12の座面領域S5の視認性が向上し、インナハンドルランプE8の照明によりインナハンドル25の視認性が向上する。
【0084】
このように、ステップ#3,#7,#8では、カーテシランプE1、アウタハンドルランプE2、フットランプE3、中間ピラーランプE4、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8の照明が、乗車動作に合わせて順に開始されるため、「お出迎え感」を有効に演出できる。また、これらのランプE1〜E5,E8の照明により各部の視認性が向上するため、乗車時の利便性が高められる。
【0085】
次に、ステップ#9で、スライドドア20の自動の閉動作がドア操作検出部83により所定時間内に検出されたか否かが判断される。ここでいうスライドドア20の自動の閉動作は、キーレス端末71のドア開閉スイッチ、運転席近傍のドア開閉スイッチ、インナハンドル25、又はアウタハンドル23のいずれかの操作に伴う動作である。ステップ#9において、スライドドア20の自動の閉動作が検出されると、ステップ#10に進む。他方、ステップ#9において、スライドドア20の自動の閉動作が所定時間内に検出されなかった場合、ステップ#18に進む。
【0086】
ステップ#10では、スライドドア20の閉動作が完了したこと、すなわちスライドドア20が完全に閉まったことがドア開閉状態検出部82により所定時間内に検出されたか否かが判断される。ステップ#10において、スライドドア20が完全に閉まったことが検出されると、ステップ#11に進む。他方、ステップ#10において、スライドドア20が完全に閉まったことが所定時間内に検出されなかった場合には、ステップ#18に進む。
【0087】
ステップ#18で、カーテシランプE1、アウタハンドルランプE2、フットランプE3、中間ピラーランプE4、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8が点滅するように制御され、通常制御に戻る。これらのランプE1〜E5,E8の点滅は、後席への乗車動作が未完了であることを乗員または周囲の第三者に報知する効果を有する。すなわち、それらのランプE1〜E5,E8の点滅により、半ドアになっていること(スライドドア20が完全に閉まっていないこと)を乗員に知らせたり、緊急事態により乗車動作を完了できないことを周囲の第三者に報知したりすることができる。これらのランプE1〜E5,E8の点滅は、スライドドア20が完全に閉じられることにより解消する。
【0088】
ステップ#11〜ステップ#15では、ステップ#3,#7,#8で点灯したランプE1〜E5,E8が、点灯の順と同じ順で消灯される。具体的に、ランプの消灯は、カーテシランプE1(ステップ#11)、アウタハンドルランプE2(ステップ#12)、フットランプE3(ステップ#13)、中間ピラーランプE4(ステップ#14)、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8(ステップ#15)の順で行われる。このように、点灯と同じ順でランプE1〜E5,E8を消灯することで、「お出迎え感」を醸し出す演出効果を高めることができる。これらのランプE1〜E5,E8の消灯は残光消灯とすることが好ましく、これにより「お出迎え感」が一層高められる。
【0089】
最後に、ステップ#16では、コンソールダウンライト・ランプE6が点灯され、ルームランプE7の照明禁止が解除されて、通常制御に戻る。このように、乗車が完了しているステップ#16においてコンソールダウンライト・ランプE6を点灯させることで、比較的安全な状態で、セカンドシート12に着座した乗員の手元を照らすことができる。また、ルームランプE7の照明禁止が解除されるため、通常制御において、必要に応じてルームランプE7を点灯させることで、車室内を広範囲に照らすことができる。
【0090】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、乗車準備完了検出手段としてのドア開閉状態検出部83が、開き操作されたスライドドア20が所定位置まで移動したことを、乗車準備の完了として検出する構成について説明したが、本発明において、乗車準備完了検出手段の構成はこれに限られない。例えば、乗車準備完了検出手段は、乗車しようとする乗員が車両に近接したことを検出する近接センサであってもよく、この場合、乗車しようとする乗員が車両に所定距離まで近接することを、乗車準備の完了として検出するように構成すればよい。また、上述の実施形態では、自動開閉手段によるスライドドア20の自動の開閉動作の一つとして、アウタハンドル23の操作によるスライドドア20の自動開閉動作を含める構成について説明したが、かかる動作を含めないこととしてもよい。この場合、スライドドア20の自動の開動作の際、乗車しようとする乗員が乗降口Hsから離れていることが多いため、乗員の上半身が照らされることを一層確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置を装備した自動車の側面を概略的に示す側面図である。
【図2】前記自動車の車室内を概略的に示す平面図である。
【図3】カーテシランプの取付構造を概略的に示す図で、図1のY3−Y3線に沿った断面図である。
【図4】アウタハンドルランプの取付構造を概略的に示す図で、図1のY4−Y4線に沿った断面図である。
【図5】フットランプの取付構造を概略的に示すためのセカンドシート下部の側面図である。
【図6】前記フットランプの取付構造を概略的に示すためのセカンドシート下部の斜め前方からの斜視図である。
【図7】ピラー集中照明部の構成を概略的に示すための中間ピラー及びその周辺の斜め後方からの斜視図である。
【図8】図7の要部を拡大して示す斜視図である。
【図9】ピラー集中照明部の変形例について、図8と同様に要部を拡大して示す斜視図である。
【図10】コンソールダウンライト・ランプ及びルームランプの取付構造を概略的に示す前記自動車の拡大側面図である。
【図11】前記自動車に備えられた照明システムの構成の概略を説明するためのブロック構成図である。
【図12】前記照明システムの制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1:自動車、4:フロア部、6:中間ピラー、9:後部ピラー、11:フロントシート、12:セカンドシート、13:リヤシート、20:スライドドア、23:アウタハンドル、25:インナハンドル、28:ドア開閉アクチュエータ、71:キーレス端末、80:照明制御部、82:ドア開閉状態検出部、83:ドア操作検出部、CU:制御ユニット、E1:カーテシランプ、E2:アウタハンドルランプ、E3:フットランプ、E4:中間ピラーランプ、E5:シートダウンライト・ランプ、E6:コンソールダウンライト・ランプ、E7:ルームランプ、E8:インナハンドルランプ、Hs:乗降口、Lb:ベルトライン、S1〜S8:照明領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のスライドドアを備えた車両の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に装備されるドアとして、車体側面に略沿うようにして前後方向へスライドさせながら開閉する所謂スライドドアは一般に良く知られており、例えば、ワゴンタイプの自動車や所謂ワンボックスカーなどの後席用のドアとして、幅広く採用されている。かかるスライドドアを車室側部に装備することで、車室側部の乗降口をより大きく確保でき、乗員の乗降時あるいは荷物の積み降ろし時などの利便性を大いに高めることができる。
【0003】
また、かかるスライドドアとして、当該スライドドアを開閉駆動するアクチュエータが付設され、このアクチュエータを操作することによりアクチュエータを作動させてスライドドアを開閉駆動できるようにした、いわゆる電動式のスライドドアも知られている。この場合、アクチュエータの操作は、例えば、運転席の近傍あるいは運転席等に好ましくは着脱可能に備えられたリモートコントローラ(所謂リモコン)のドア開閉スイッチ、所謂キーレスエントリシステムのキーレス端末、又はドアハンドルにより行われるのが一般的である。
【0004】
例えば、特許文献1には、このようなスライドドアを備えた自動車について、スライドドアの周辺を明るく照らす発光装置を当該スライドドアに設け、スライドドアが開状態とされた際には、スライドドアの下方もしくは後方を明るく照らすことにより、歩行者や側方車もしくは後方車の運転者が、当該スライドドアが開状態であることを容易に視認できるようにした構成が開示されている。
【0005】
ところで、近年では、車両に装備される車室内用などの照明装置について、単に車室内などの所要領域を照らし出すだけでなく、各照明ランプをそれぞれ個別に又は連動して好適に制御することによって、照明による種々の演出効果を醸し出すようにすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−327041号公報
【特許文献2】特開2003−327042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、近年では、プライバシー保護に対する意識の高まりに応じて、車両の照明装置についても、乗員のプライバシーを有効に保護できるようにすることが望まれるようになって来ている。例えば、夜間に人気の少ない駐車場などで乗員が乗車するような場合、乗車する乗員のプライバシー保護が望まれる場合がある。特に、乗車する乗員が女性や高齢者あるいは子供などの弱者であれば、そのことを周囲に気付かれない方が防犯上も好ましい。特に、上述のスライドドアを備えた車両の場合、ドアを開くことにより、乗降口は、通常の回動開閉式のドアのようにドア自体で遮られることなく、周囲の広範な角度から略完全に視認できるので、乗員のプライバシー保護に配慮することがより強く望まれる。
【0008】
しかしながら、従来の車両用照明装置では、前述の特許文献1や特許文献2に見られるように、乗車時の利便性や安全性あるいは照明による演出効果に配慮することはあっても、乗員のプライバシー保護については殆ど念頭に置かれていないのが実情である。
【0009】
また、前述の電動式スライドドアを備えた車両では、例えば、車両に乗車しようとする乗員が、キーレス端末を用いてスライドドアを開き操作する際、車両から離れた位置にいることがある。この場合、車両に乗車しようとする乗員は車室内の様子(荷物の散乱、潜み強盗の有無等)を十分に確認できず、乗車時の安全性と利便性を十分に確保できないことがある。
【0010】
そこで、本発明は、電動式のスライドドアを備えた車両の照明装置について、乗車時の安全性と利便性を十分に確保しつつ、乗員のプライバシーを有効に保護することができる照明装置を提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願の第1の発明に係る車両の照明装置は、
車室側部の乗降口を開閉するスライドドアと、前記スライドドアを開閉駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを作動させて前記スライドドアを自動で開閉させる自動開閉手段とを備えた車両に装備される照明装置であって、
前記車両は、前記自動開閉手段による前記スライドドアの自動開閉を検出する自動開閉検出手段と、前記乗降口からの乗車準備の完了を検出する乗車準備完了検出手段とを備え、
前記照明装置は、前記乗降口周辺の領域を照明する複数の照明部と、該複数の照明部の点灯を制御する照明制御部とを備え、
前記複数の照明部は、車両のベルトラインよりも上方の車室内の所定範囲を照明する車内上部照明部を備え、
前記照明制御部は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車内上部照明部を点灯させ、前記乗車準備完了検出手段による乗車準備完了の検出に基づいて、前記車内上部照明部による照明を禁止する、制御手段を備えている、ことを特徴とする。
【0012】
本願の第2の発明に係る車両の照明装置は、第1の発明において、
前記複数の照明部は、乗員の上半身を照らさないように前記ベルトラインよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された下部照明部を更に備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記開動作の検出に基づいて、前記下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする。
【0013】
本願の第3の発明に係る車両の照明装置は、上記の第2の発明において、
前記下部照明部は、前記ベルトラインよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された車内下部照明部と、前記ベルトラインよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された車外下部照明部とを備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させた後、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする。
【0014】
本願の第4の発明に係る車両の照明装置は、上記の第3の発明において、
前記車両は、前記スライドドアの所定位置への移動を検出するドア移動検出手段を備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させ、前記ドア移動検出手段による前記移動の検出に基づいて、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする。
【0015】
本願の第5の発明に係る車両の照明装置は、上記の第3または第4の発明において、
前記車外下部照明部は、前記乗降口近傍の車外の下方領域を照明する車両周辺照明部と、前記スライドドアのアウタハンドルを照明するアウタハンドル照明部とを備え、
前記車内下部照明部は、前記シートの前方の車室フロアを照明するフット照明部を備えている、ことを特徴とする。
【0016】
本願の第6の発明に係る車両の照明装置は、上記の第2〜第5のいずれかの発明において、
前記制御手段は、前記下部照明部による照明が開始された後において、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記下部照明部を消灯させた後、前記車内上部照明部の照明禁止を解除する、ことを特徴とする。
【0017】
本願の第7の発明に係る車両の照明装置は、上記の第2〜第6のいずれかの発明において、
前記複数の照明部は、前記下部照明部を複数含み、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部による照明を所定の順で開始させ、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部を前記所定の順と同じ順で消灯させる、ことを特徴とする。
【0018】
本願の第8の発明に係る車両の照明装置は、上記の第1〜第7のいずれかの発明において、
前記スライドドアは、車室側部の後部乗降口を開閉するリヤドアであることを特徴とする。
【0019】
本願の第9の発明に係る車両の照明装置は、上記の第1〜第8のいずれかの発明において、
前記自動開閉手段は、キーレスエントリシステム用の端末機に設けられている、ことを特徴とする。
【0020】
本願の第10の発明に係る車両の照明装置は、上記の第8の発明において、
前記自動開閉手段は、前記車両の運転席の近傍部に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本願の第1の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて車内上部照明部が点灯し、これにより車室内空間が照らされるため、車両から離れた位置からキーレス端末等を用いてスライドドアを開き操作するときでも、乗車前に車内の様子を十分に確認することができ、乗車時の安全性と利便性が向上する。また、乗車準備完了検出手段により乗車準備完了が検出されると、その検出に基づいて車内上部照明部による照明が禁止され、車室内においてベルトラインよりも上方の範囲が照明されなくなる。したがって、乗車時に乗員の上半身が照明で照らし出されることはなく、乗員のプライバシーを有効に保護することができる。すなわち、乗車時の安全性と利便性を確保しつつ、乗員のプライバシーを有効に保護することができる。
【0022】
本願の第2の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて、乗員の上半身を照らさないように車両のベルトラインよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された下部照明部による照明が開始される。したがって、乗員が乗車する際には、ベルトラインよりも下方の領域が照らし出されるので、乗員は自身の足元やその周辺を容易に確認でき、乗員のプライバシーを有効に保護しつつ、乗車時の利便性を向上することができる。また、スライドドアの自動の開動作に伴って下部照明部による照明が開始されることで、所謂「お出迎え感」を醸し出す演出効果を得ることができる。
【0023】
本願の第3の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて、ベルトラインよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された車外下部照明部による照明が開始された後、ベルトラインよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された車内下部照明部による照明が開始される。つまり、乗車する乗員の乗車動作の順序に従って、車外および車内の下部照明部による照明を順に行うことができ、「お出迎え感」の演出効果を高めることができる。特に、乗車時に車内上部照明部が消灯されても、それによって乗員が拒絶感を感じることを防止できる。
【0024】
本願の第4の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの開動作が検出されると、その検出に基づいて、車外下部照明部による照明が開始され、その後、ドア移動検出手段によりスライドドアが所定位置へ移動したことが検出されると、その検出に基づいて、車内下部照明部による照明が開始される。このように、下部照明部を点灯するタイミングを、スライドドアの移動に連動させることで、「お出迎え感」の演出効果を更に高めることができる。
【0025】
本願の第5の発明によれば、乗車時に、アウタハンドル照明部によってスライドドアのアウタハンドルを照明し、車両周辺照明部によって乗降口近傍の車外の下方領域を照明した後、フット照明部によってシートの前方の車室フロアを照明できる。すなわち、照明による「お出迎え感」の演出効果を実現した上で、乗車する乗員の足元領域の確認を容易に行えるようにし、また、アウタハンドルの視認性を高め、乗車時の利便性を向上させることができる。
【0026】
本願の第6の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの閉動作が検出されると、その検出に基づいて、下部照明部が消灯された後、車内上部照明部の照明禁止が解除される。つまり、下部照明部の消灯により、「お出迎え」の完了を演出することができ、車内上部照明部の照明禁止の解除により、乗車後の比較的安全な状態で車室内空間を明るくすることが可能になる。特に、車内上部照明部による照明をスポット照明とした場合、そのスポット照明の照射範囲を乗員の上半身からずらすことで、引き続き乗員の上半身が照らされることを回避してプライバシーを有効に保護することができる。
【0027】
本願の第7の発明によれば、自動開閉検出手段によりスライドドアの閉動作が検出されると、その検出に基づいて、複数の下部照明部が、開動作検出時の照明開始の順と同じ順で消灯されるため、「お出迎え感」を一層高めることができる。
【0028】
本願の第8の発明によれば、スライドドアが車室側部の後部乗降口を開閉するリヤドアであるため、車室前端部に配設されるインストルメントパネルに近いフロントドア側よりも照明数が乏しいリヤドア側において、照明による「お出迎え感」を演出できる。
【0029】
本願の第9の発明によれば、自動開閉手段がキーレスエントリシステム用の端末機に設けられているため、乗車しようとする乗員は車両から離れた位置からスライドドアを開き操作することができる。端末機によりスライドドアを開き操作すると、これに伴って車室内上部照明部が点灯されるため、乗員は車両から離れた位置からでも車内の様子を確認することができる。
【0030】
本願の第10の発明によれば、自動開閉手段が、車両の運転席の近傍部に設けられているため、運転者が乗車している状態において、車両の後席に乗り込む同乗者に対して上述の効果を有する照明を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図1は本実施形態に係る照明装置を装備した自動車の側面を概略的に示す側面図、また、図2はこの自動車の車室内を概略的に示す平面図である。これらの図に示すように、本実施形態に係る自動車1は所謂ワゴンタイプのもので、車室内には、前側から順に、フロント(最前列)シート11,セカンド(2列目)シート12及びリヤ(最後列)シート13の3列のシートが配列されている。また、自動車の車室後部の側面には、後席(セカンドシート12及びリヤシート13)用のドアとして、車体側面に略沿うようにして前後方向へスライドさせながら開閉する所謂スライドドア20が装備されている。該スライドドア20は、車室側部の乗降口Hsを開閉可能に覆うもので、スライドドア20を後方へ移動させて開くことで開放される乗降口Hsには、セカンドシート12の側端部が近接するように位置している。
【0033】
前記自動車1には、車室内の所要領域および乗降口Hsの周辺やドアノブ等の車室外の所要領域などを照明するために、多数の照明ランプを備えた照明装置が装備されている。以下、この照明装置を構成する照明ランプについて説明する。
【0034】
本実施形態では、乗員の上半身を照らさないように車両のベルトラインLbよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された「下部照明ランプ」と、前記ベルトラインLbよりも上方の車室内の所定範囲を照明する「車内上部照明ランプ」とを備えている。また、前記下部照明ランプは、ベルトラインLbよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された「車外下部照明ランプ」と、ベルトラインLbよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された「車内下部照明ランプ」とに区分けされる。
【0035】
前記ベルトラインLbは、車両側部のウインドウ部W1,W2の下辺の直下方にて該下辺に略沿って車両前後方向に延びるように設定された仮想のラインで、別名ウエストラインとも称される。一般に、このベルトラインLbよりも下方の領域を指向するようにランプの照射方向を制限することにより、乗員の上半身が照らし出されることを回避できる。
【0036】
カーテシランプE1は、車両周辺照明としてスライドドア20の乗降口Hs近傍の車外の下方領域S1を照明するランプで、前記「車外下部照明ランプ」の一種として設けられている。このカーテシランプE1は、後で詳しく説明するように、車体フロア部4の左右両端部にて前後方向に延設されているサイドシル5の下端フランジ部の外側に取り付けられている。
【0037】
アウタハンドルランプE2は、スライドドア20のアウタハンドル23及びその近傍の領域S2を照明するランプで、やはり前記「車外下部照明ランプ」の一種として設けられている。このアウタハンドルランプE2は、後で詳しく説明するように、アウタハンドル23の裏面側に取り付けられており、アウタハンドル23自体は、いわゆる間接照明で照らし出されるようになっている。
【0038】
フットランプE3は、車室フロア部4のセカンドシート12の前方領域(つまりセカンドシート12の足元領域)S3を照明するランプで、前記「車内下部照明ランプ」の一種として設けられている。このフットランプE3は、後で詳しく説明するように、セカンドシート12のシートクッション12cの前端下部に位置するスライドレバーに埋め込むようにして設けられている。
【0039】
中間ピラーランプE4は、フロントシート11の略側方でセカンドシート12の斜め前方に位置し、乗降口Hsの前縁に略沿って上下方向に延設された中間ピラー6(所謂Bピラー)の車室内面領域S4を照らし出して中間ピラー6の位置を視認容易とするランプで、前記「車内下部照明ランプ」の一つを構成している。この中間ピラーランプE4は、後で詳しく説明するように、中間ピラー6の内装トリム内に設けられたピラー集中照明部50に配置されている。
【0040】
シートダウンライト・ランプE5は、セカンドシート12のシートクッション12cの座面領域S5を照らし出して座席位置を視認容易とするランプで、やはり前記「車内下部照明ランプ」の一つを構成している。後で詳しく説明するように、このシートダウンライト・ランプE5も前記ピラー集中照明部50に配置されている。
【0041】
コンソールダウンライト・ランプE6は、セカンドシート12に着座した乗員の手元を照らし出すためのランプで、セカンドシート12の前方における車幅方向の略中央領域S6に向けて照射される。このコンソールダウンライト・ランプE6は、指向性の比較的高い所謂スポットライト用のランプで、セカンドシート12に着座した乗員の手元を視認し易くするために、その照射方向が調整可能に設けられている。このコンソールダウンライト・ランプE6は、後で詳しく説明するように、車室天井部7に取り付けられ、「車内上部照明ランプ」の一つを構成している。
【0042】
ルームランプE7は、後で詳しく説明するように、車室天井部7の略中央部分に取り付けられ、車室内を広範囲に照らし出すランプで、やはり「車内上部照明ランプ」の一つを構成している。
【0043】
インナハンドルランプE8は、スライドドア20が閉じられている場合において該スライドドア20のインナハンドル25及びその近傍の領域S8を照らし出し、インナハンドル25の位置を視認容易とするランプで、前記「車内下部照明ランプ」の一つを構成している。後で詳しく説明するように、このインナハンドルランプE8も前記ピラー集中照明部50に配置されている。
【0044】
なお、前記スライドドア20は車室側部の後部乗降口Hsを開閉するリヤドアを構成しており、車室前端部に配設されるインストルメントパネル10(図2参照)に近いフロントドア19側に比して、照明数はかなり少なくなっている。
【0045】
図3は、前記カーテシランプE1の取付構造を概略的に示す図で、図1のY3−Y3線に沿った断面図である。この図に示すように、車体フロア部4の左右両端部にて前後方向に延設されているサイドシル5は、その外面を構成するアウタパネル31と、内方への膨出部の上部を形成するインナパネル32と、前記内方への膨出部の下部を形成するアンダーパネル33とを備えている。前記アウタパネル31は、その下部が外方へ膨出しており、この外方への膨出部31cの内側にはレインフォースメント(第2レインフォースメント)35が配設され、更にその内側に第1レインフォースメント34が配設されている。第2レインフォースメント35は、その上端部35aがアウタパネル31の上下方向における途中部の内面に接合され、下端部35bはアウタパネル31の最内側に位置する下端縦壁31bの内面に接合されている。第1レインフォースメント34は、その上端部34aがインナパネル32の外側縦壁32aの外面に接合され、下端部34bは第2レインフォースメント35の下部内面に接合されている。
【0046】
前記インナパネル32の内側縦壁32bはフロアパネル4の外側端部4aに接合されている。また、アウタパネル31の上端縦壁31aには、断面形状が逆L字形のレール保持パネル36の下部が接合され、このレール保持パネル36の上部下面側に、スライドドア20(図3ではアウタパネル21のみ図示)を車体前後方向にスライドさせるレール37が固定されている。アンダーパネル33の外側端部は下方に折り曲げられて縦壁33aを形成している。このアンダーパネル33の外側縦壁33aと第2レインフォースメント35の下端部35bとアウタパネル31の下端縦壁31bとは、3枚重ねの状態で接合され、サイドシル5の下端部に所定長さの下部フランジ5fを形成している。
【0047】
カーテシランプE1は、この下部フランジ5fの外側にて、該フランジ5fの下端から所定寸法Dだけ上方に取り付けられている。従って、車両走行中に車両中央側から跳石があった場合でも、カーテシランプE1は下部フランジ5fにより確実に保護される。また、カーテシランプE1は、下部フランジ5fの下端よりも(所定寸法Dだけ)上方に配設されているので、車両走行中の底摺からも有効に保護される。しかも、前記下部フランジ5fはサイドシル5の外方への膨出部31cよりもかなり内方下部に位置しているので、カーテシランプE1から乗降口Hs近傍の車外の下方領域S1に向けて照射される照明光は、その照射範囲の上限(上限ラインLc参照)がサイドシル5の外方への膨出部31cに遮られて制限される。従って、ベルトラインLbよりも上方を照らすことが確実に防止される。
【0048】
図4は、前記アウタハンドルランプE2の取付構造を概略的に示す図で、図1のY4−Y4線に沿った断面図である。この図に示すように、スライドドア20のドアアウタパネル21には、アウタハンドル23の把手部23gに対応して内方(車室側)へ窪んだ凹部21cが形成されている。把手部23gを掴んでアウタハンドル23を引き操作することにより、該アウタハンドル23が所定角度だけ外方へ回動し(図4における2点鎖線表示参照)、スライドドア20の開閉操作が行えるようになる。
【0049】
アウタハンドルランプE2は、アウタハンドル23の把手部23gの裏面側の一方の端部(本実施形態では後方端部)に取り付けられ、アウタハンドルの非操作状態(図4における実線表示参照)においても、把手部23gの内面とドアアウタパネル21の凹部21c表面との間の空間部に支障なく収納されている。アウタハンドルランプE2からの照明光は内方に向かって照射され、ドアアウタパネル21の凹部21c表面で反射し、この反射光によってアウタハンドル23が照明される。つまり、アウタハンドル23自体は、いわゆる間接照明で照らし出されるようになっている。
【0050】
図5及び図6は、前記フットランプE3の取付構造を概略的に示す図で、図5はセカンドシート下部の側面図、図6はセカンドシート下部の斜め前方からの斜視図である。これらの図に示すように、セカンドシート12のシートクッション12cの下部側方には、当該シート12用のスライド機構41が配設され、このスライド機構41には、当該セカンドシート12の前後方向へのスライド動作をロック・アンロック操作するためのスライドレバー42が備えられている。
【0051】
このスライドレバー42は平面視で略コ字状に形成され、その中央の真直部分42cは、シートクッション12cの前端下部で正面部に位置している。フットランプE3は、このスライドレバー42の真直部分42cの前面側に、好ましくは2箇所について埋め込むようにして設けられている。そして、車室フロア部4のセカンドシート12の前方領域(つまりセカンドシート12の足元領域)S3を照明するようになっている。
【0052】
図7及び図8は、前記ピラー集中照明部の構成を概略的に示す図で、図7は中間ピラー及びその周辺の斜め後方からの斜視図、図8はその要部を拡大して示す斜視図である。これらの図に示すように、中間ピラー6は、その車室内側を合成樹脂製の内装部材51(ピラートリム)で覆われており、このピラートリム51と中間ピラー6との間には空間部(トリム空間)が形成されている。このトリム空間内に、前記中間ピラーランプE4,シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8が収容されている。これらランプE4,E5及びE8が、ピラー集中照明部50の発光部を構成しており、何れも前記ベルトラインLbよりも下方に配置されている。
【0053】
前記ピラートリム51は、ピラー集中照明部50に対応する部分が車室内側へ若干膨出するように形成され、その膨出部分52の上下に所定幅のスリット部53,54が設けられている。中間ピラーランプE4は、これら上下のスリット部53,54の上下方向における略中間に配設され、スリット53,54を通ってピラートリム51の上部領域S4’および下部領域S4を照射する。
【0054】
膨出部分52の上方には、乗員乗降時に把持されるアシストグリップ57が設けられており、上側スリット53を通る照明光は、前記アシストグリップ57を指向するよう照射方向が設定されている。また、この照明光により、フロントシート11用のシートベルトアンカ58及び収納状態のシートベルトタング59も照明される。尚、上側スリット53を通る照明光は、ベルトラインLbよりも上方を指向することになるが、あくまでもピラートリム51に沿ってその上部領域S4’を照らすものであり、乗員の上半身を照らし出すことはない。
【0055】
一方、下側スリット54を通る照明光はピラートリム51の下部領域S4を照射しており、乗降口Hsに沿って上下方向に延設され乗降口Hsの輪郭の一部を成す中間ピラー6の車室内面を照明して、その視認性を高めることができ、乗員の降車動作を容易で円滑にすることができる。また、上側スリット53を通る照明光も、ピラートリム51の上部領域S4’について、同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
また、前記膨出部分52の比較的下部の後側には所定直径の下部開口55が形成されており、前記シートダウンライト・ランプE5は、トリム空間内でこの下部開口55の斜め前上方に配置されている。シートダウンライト・ランプE5からの照明光は、下部開口55を通って斜め後下方に向けて照射され、セカンドシート12のシートクッション12cの座面領域S5を指向するように設定されている。このように座面領域S5を照らし出すことで、乗員は座席位置を容易に視認することができる。
【0057】
更に、前記膨出部分52の比較的上部の後側には所定直径の上部開口56が形成されており、前記インナハンドルランプE8は、トリム空間内でこの上部開口56の側方に配置されている。インナハンドルランプE8からの照明光は、上部開口56を通って後方略水平方向に向けて照射される。ピラートリム51の前記膨出部分52の直後方には、スライドドア20を車室内側から開閉操作するインナハンドル25が位置しており、インナハンドルランプE8からの照明光は、前記インナハンドル25を指向するよう照射方向が設定されている。スライドドア20が閉じられている場合において該スライドドア20のインナハンドル25及びその近傍の領域S8を照らし出すことで、乗員はインナハンドル25の位置を容易に視認することができる。
【0058】
図9は、ピラー集中照明部の変形例について、図8と同様に、要部を拡大して示す斜視図である。この変形例では、トリム空間内には光源E4’が1個だけ配設され、この光源E4’から、上下のスリット53,54並びに上部および下部の開口56,55を通して照明光が照射される。これら上下のスリット53,54並びに上部および下部の開口56,55と光源E4’との位置関係は、それぞれの所要の照射方向に応じて好適に設定される。この場合、1個の光源E4’で効率の良い照明が行える。また、ピラー集中照明部50’の構造を簡素化できる。前記光源E4’としては、例えば、中間ピラーランプ用の光源E4をそのまま用いてもよい。
【0059】
なお、上下のスリット53,54並びに上部および下部の開口56,55を、ガラス等の透明体もしくは半透明体で覆うようにしてもよい。この場合、トリム空間内への塵埃等の侵入を防止でき、また、内部の光源E4,E5,E8,E4’を有効に保護できる。また、上述のピラー集中照明部50,50’を中間ピラー6だけでなく、乗降口HSの後縁に略沿って上下方向に縁設された後部ピラー9(所謂Cピラー:図2、図10参照)にも、ピラー集中照明部50”を設けるようにしてもよい。この場合、後部ピラー9には、インナハンドルランプE8及びピラートリム51の上部開口56は不要である。
【0060】
図10は、コンソールダウンライト・ランプE6及びルームランプE7の取付構造を概略的に示す前記自動車の拡大側面図である。セカンドシート12に着座した乗員の手元を照らし出すコンソールダウンライト・ランプE6は、車室天井部7に配設され、車幅方向については略中央部で、前後方向については中間ピラー6の配設位置に略対応する位置に取り付けられており、セカンドシート12の前方における車幅方向の略中央領域S6(図1,図2参照)に向けて照射される。このコンソールダウンライト・ランプE6は、前述のように、指向性の比較的高い所謂スポットライト用のランプで、セカンドシート12に着座した乗員の手元を視認し易くするために、その照射方向が調整可能に設けられている。また、ルームランプE7は、前記コンソールダウンライト・ランプE6よりも若干後方の車室天井部7の略中央部分に取り付けられ、車室内を広範囲に照らし出す。
【0061】
次に、前記自動車1の照明システムについて説明する。
【0062】
図11は、本実施形態に係る照明システムの構成の概略を説明するためのブロック構成図である。この図に示すように、自動車1には、本照明システムを制御し得る制御装置として、例えば、マイクロコンピュータを主要部として構成された制御ユニットCUが備えられている。前述の各ランプE1〜E8は、この制御ユニットCUに信号授受可能に接続されている。制御ユニットCUには、ランプE1〜E8の他、以下のデバイスやセンサ類が、それぞれ信号授受可能に接続されている。
【0063】
ドアロックアクチュエータ27は、スライドドア20のドアロックを自動でロック/アンロック動作させるアクチュエータで、通常、スライドドア20の開閉動作が行われる前および行われた後に、後述するキーレス端末71の操作またはドアスイッチ63のスイッチ操作によって駆動される。ドア開閉アクチュエータ28は、スライドドア20を自動で開閉動作させるアクチュエータで、キーレス端末71の操作、ドア開閉スイッチ(不図示)のスイッチ操作、アウタハンドル23の操作、又はインナハンドル25の操作によって駆動される。
【0064】
セカンドシート着座センサ61は、セカンドシート12に着座した乗員の有無を検出するセンサである。ドアポジションセンサ62は、スライドドア12の位置や開度によりその開閉状態を検出するセンサである。ドアスイッチ63は、前述のドアロックアクチュエータ27をON/OFFし、スライドドア20のドアロックを自動でロック/アンロック動作させるスイッチである。アウタハンドル操作センサ64、インナハンドル操作センサ65はそれぞれ、スライドドア20のアウタハンドル23、インナハンドル25の手動操作があった場合に、これを検出するセンサである。
【0065】
また、ドア開閉スイッチ(SW)操作センサ66は、アウタハンドル23、インナハンドル25の手動操作を行うことなく、前記ドア開閉アクチュエータ28を作動させてスライドドア20を自動で開閉動作させるドア開閉スイッチ(不図示)の操作があった場合に、これを検出するセンサである。このドア開閉スイッチは、請求項の自動開閉手段として機能し得るものであり、運転席の近傍部に設けられている。ドア開閉スイッチは、運転席の近傍部に固定して設けてもよいし、運転席の近傍部に着脱可能とされたリモートコントローラ(所謂リモコン)に設けてもよい。
【0066】
パーキングブレーキセンサ67は、パーキングブレーキ(不図示)が操作された場合にこれを検出するセンサであり、ギアレンジセンサ68は変速機のギアレンジを検出するセンサである。また、速度センサ69は、当該自動車1の車速を検出するセンサである。これらパーキングブレーキセンサ67、ギアレンジセンサ68及び速度センサ69の検出結果により、車両が停車されているか否かを検出することができる。
【0067】
また、キーレスアンテナ70は、所謂キーレスエントリシステムのキーレス端末71からの制御信号を受信するアンテナで、キーレス端末71の操作により、ドアロックアクチュエータ27及びドア開閉アクチュエータ28を駆動し、スライドドア20を自動で開閉動作させる場合には、キーレスアンテナ70の受信信号により、かかるドア操作を検出することができる。キーレス端末71には、スライドドア20の施錠操作および解錠操作を行うためのドアロックスイッチ(不図示)と、スライドドア20を開閉操作するためのドア開閉スイッチ(不図示)が設けられている。キーレス端末71のドア開閉スイッチも、運転席近傍のドア開閉スイッチと同様、請求項の自動開閉手段として機能し得る。なお、アウタハンドル23及びインナハンドル25の所定操作によってもスライドドア20を自動開閉することができ、それらのハンドル23,25も、請求項の自動開閉手段として機能し得る。
【0068】
ドアロックセンサ72は、スライドドア20が施錠された状態または解錠された状態のいずれであるかを検出するセンサである。
【0069】
制御ユニットCUには、照明システムの制御に関連する種々の検出部(検出回路)が備えられている。
【0070】
乗員検出部81は、スライドドア20が開かれて形成される乗降口Hsに近接して設けられている前記セカンドシート12に着座した乗員が居る場合に、これを検出するもので、前記セカンドシート着座センサ61からの入力信号に基づいて検出が行われる。
【0071】
ドア開閉状態検出部82は、スライドドア20の開閉状態を検出するもので、前記ドアポジションセンサ62からの入力信号に基づいて検出が行われる。ドア開閉状態検出部82は、請求項のドア移動検出手段とし機能し、スライドドア20の所定位置への移動を検出する。また、ドア開閉状態検出部82は、請求項の乗車準備完了検出手段としても機能し、次に説明するドア操作検出部83によりスライドドア20の自動の開動作が検出された後にスライドドア20が所定位置まで(例えば、全開になるまで)移動することで、乗車準備の完了を検出する。
【0072】
ドア操作検出部83は、スライドドア20の施錠もしくは解錠の操作があった場合、又はスライドドア20の開閉操作があった場合に、これらを検出するもので、ドアスイッチ63、アウタハンドル操作センサ64、インナハンドル操作センサ65、ドア開閉SW操作センサ66、キーレスアンテナ70、ドアロックセンサ72からの入力信号に基づいて検出が行われる。ドア操作検出部83は、請求項の自動開閉検出手段に相当するものであり、キーレス端末71のドア開閉スイッチ、運転席近傍のドア開閉スイッチ、アウタハンドル25、又はインナハンドル25のいずれかによる開閉操作の信号を受信したときに、これにより、スライドドア20の自動開閉を検出する。
【0073】
停車検出部84は、車両が停車されている場合にはこれを検出するもので、パーキングブレーキセンサ67,ギアレンジセンサ68及び速度センサ69からの入力信号に基づいて検出が行われる。
【0074】
また、制御ユニットCUには、以上の検出部81〜84に加えて,ドア開閉SW操作センサ66,キーレスアンテナ70からの入力信号に基づいて、前記ドアロックアクチュエータ27及びドア開閉アクチュエータ28を駆動し、スライドドア20を自動で開閉動作させるドア駆動機構制御部85が備えられている。このドア駆動機構制御部85及び前記検出部81〜84は何れも、照明制御部80に信号授受可能に接続されている。この照明制御部80は、ドア駆動機構制御部85及び前記検出部81〜84からの入力信号に基づいて、前述のランプE1〜E8の点灯を制御するものである。
【0075】
以上のように構成された照明システムの制御の一例を、図12のフローチャートを参照しながら説明する。この制御例は、乗員がスライドドアの自動の開き操作を行うときに照明制御部80で行われる制御の一例である。
【0076】
図12に示すように、ステップ#1においてスライドドア20の自動の開動作がドア操作検出部83により検出されると、ステップ#2以下の制御が行われる。ここでいうスライドドア20の自動の開動作は、キーレス端末71のドア開閉スイッチ、運転席近傍のドア開閉スイッチ、又はアウタハンドル23のいずれかの操作に伴う動作である。
【0077】
ステップ#2では、コンソールダウンライト・ランプE6とルームランプE7が点灯される。これにより、車両1から離れた位置からスライドドア20を開き操作した場合であっても、その位置から車内の様子を確認することができ、乗車時の安全性と利便性が向上する。
【0078】
次に、ステップ#3では、カーテシランプE1とアウタハンドルランプE2の照明が開始される。カーテシランプE1の照明により乗車する乗員の足元の視認性が向上し、アウタハンドルランプE2の照明によりアウタハンドルの視認性が向上するため、乗車時の利便性が一層高められる。
【0079】
続くステップ#4では、ドア開閉状態検出部82によりスライドドア20が全開になったことが検出されたか否かが判断される。この制御は、後席への乗車準備が完了したか否かを判断することを目的とするため、ステップ#4では、必ずしもスライドドア20が全開になったか否かを判断しなくてもよく、乗車可能となる所定位置までスライドドア20が移動したか否かを判断すればよい。ステップ#4の制御は、スライドドア20が所定位置まで移動したことが検出されるまで繰り返し行われ、スライドドア20が所定位置まで移動したことが検出されると、ステップ#5に進む。
【0080】
ステップ#5では、コンソールダウンライト・ランプE6とルームランプE7が消灯され、それらのランプE6,E7の照明が禁止される。これにより、乗車時に乗員の上半身が照らされることを確実に防止でき、乗員のプライバシーを有効に保護することができる。
【0081】
次に、ステップ#6で、所定時間内にドア操作検出部83によりスライドドア20のアウタハンドル23の操作が検出されたか否かが判断される。この制御は、スライドドア20が開いて乗車準備が完了した状態において、実際に後席に乗員が乗車するか否かを判断するために行われる。ステップ#6において、アウタハンドル23の操作が所定時間内に検出されなかった場合、後席に乗員が乗車すると判断され、ステップ#7に進む。他方、ステップ#6において、アウタハンドル23の操作が検出された場合には、後席に乗員が乗車しないと判断されてステップ#17に進む。ステップ#17では、カーテシランプE1とアウタハンドルランプE2が消灯されるとともに、コンソールダウンライト・ランプE6とルームランプE7の照明禁止が解除されて、通常制御に戻る。
【0082】
ステップ#7では、フットランプE3の照明が開始される。ステップ#7では、フットランプE3の照明によりセカンドシート12の足元領域S3の視認性が向上する。
【0083】
続くステップ#8では、中間ピラーランプE4、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8の照明が開始される。ステップ#8では、中間ピラーランプE4の照明により、乗降口Hsの輪郭の一部を構成する中間ピラー6の視認性が向上し、シートダウンライト・ランプE5の照明によりセカンドシート12の座面領域S5の視認性が向上し、インナハンドルランプE8の照明によりインナハンドル25の視認性が向上する。
【0084】
このように、ステップ#3,#7,#8では、カーテシランプE1、アウタハンドルランプE2、フットランプE3、中間ピラーランプE4、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8の照明が、乗車動作に合わせて順に開始されるため、「お出迎え感」を有効に演出できる。また、これらのランプE1〜E5,E8の照明により各部の視認性が向上するため、乗車時の利便性が高められる。
【0085】
次に、ステップ#9で、スライドドア20の自動の閉動作がドア操作検出部83により所定時間内に検出されたか否かが判断される。ここでいうスライドドア20の自動の閉動作は、キーレス端末71のドア開閉スイッチ、運転席近傍のドア開閉スイッチ、インナハンドル25、又はアウタハンドル23のいずれかの操作に伴う動作である。ステップ#9において、スライドドア20の自動の閉動作が検出されると、ステップ#10に進む。他方、ステップ#9において、スライドドア20の自動の閉動作が所定時間内に検出されなかった場合、ステップ#18に進む。
【0086】
ステップ#10では、スライドドア20の閉動作が完了したこと、すなわちスライドドア20が完全に閉まったことがドア開閉状態検出部82により所定時間内に検出されたか否かが判断される。ステップ#10において、スライドドア20が完全に閉まったことが検出されると、ステップ#11に進む。他方、ステップ#10において、スライドドア20が完全に閉まったことが所定時間内に検出されなかった場合には、ステップ#18に進む。
【0087】
ステップ#18で、カーテシランプE1、アウタハンドルランプE2、フットランプE3、中間ピラーランプE4、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8が点滅するように制御され、通常制御に戻る。これらのランプE1〜E5,E8の点滅は、後席への乗車動作が未完了であることを乗員または周囲の第三者に報知する効果を有する。すなわち、それらのランプE1〜E5,E8の点滅により、半ドアになっていること(スライドドア20が完全に閉まっていないこと)を乗員に知らせたり、緊急事態により乗車動作を完了できないことを周囲の第三者に報知したりすることができる。これらのランプE1〜E5,E8の点滅は、スライドドア20が完全に閉じられることにより解消する。
【0088】
ステップ#11〜ステップ#15では、ステップ#3,#7,#8で点灯したランプE1〜E5,E8が、点灯の順と同じ順で消灯される。具体的に、ランプの消灯は、カーテシランプE1(ステップ#11)、アウタハンドルランプE2(ステップ#12)、フットランプE3(ステップ#13)、中間ピラーランプE4(ステップ#14)、シートダウンライト・ランプE5及びインナハンドルランプE8(ステップ#15)の順で行われる。このように、点灯と同じ順でランプE1〜E5,E8を消灯することで、「お出迎え感」を醸し出す演出効果を高めることができる。これらのランプE1〜E5,E8の消灯は残光消灯とすることが好ましく、これにより「お出迎え感」が一層高められる。
【0089】
最後に、ステップ#16では、コンソールダウンライト・ランプE6が点灯され、ルームランプE7の照明禁止が解除されて、通常制御に戻る。このように、乗車が完了しているステップ#16においてコンソールダウンライト・ランプE6を点灯させることで、比較的安全な状態で、セカンドシート12に着座した乗員の手元を照らすことができる。また、ルームランプE7の照明禁止が解除されるため、通常制御において、必要に応じてルームランプE7を点灯させることで、車室内を広範囲に照らすことができる。
【0090】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、乗車準備完了検出手段としてのドア開閉状態検出部83が、開き操作されたスライドドア20が所定位置まで移動したことを、乗車準備の完了として検出する構成について説明したが、本発明において、乗車準備完了検出手段の構成はこれに限られない。例えば、乗車準備完了検出手段は、乗車しようとする乗員が車両に近接したことを検出する近接センサであってもよく、この場合、乗車しようとする乗員が車両に所定距離まで近接することを、乗車準備の完了として検出するように構成すればよい。また、上述の実施形態では、自動開閉手段によるスライドドア20の自動の開閉動作の一つとして、アウタハンドル23の操作によるスライドドア20の自動開閉動作を含める構成について説明したが、かかる動作を含めないこととしてもよい。この場合、スライドドア20の自動の開動作の際、乗車しようとする乗員が乗降口Hsから離れていることが多いため、乗員の上半身が照らされることを一層確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置を装備した自動車の側面を概略的に示す側面図である。
【図2】前記自動車の車室内を概略的に示す平面図である。
【図3】カーテシランプの取付構造を概略的に示す図で、図1のY3−Y3線に沿った断面図である。
【図4】アウタハンドルランプの取付構造を概略的に示す図で、図1のY4−Y4線に沿った断面図である。
【図5】フットランプの取付構造を概略的に示すためのセカンドシート下部の側面図である。
【図6】前記フットランプの取付構造を概略的に示すためのセカンドシート下部の斜め前方からの斜視図である。
【図7】ピラー集中照明部の構成を概略的に示すための中間ピラー及びその周辺の斜め後方からの斜視図である。
【図8】図7の要部を拡大して示す斜視図である。
【図9】ピラー集中照明部の変形例について、図8と同様に要部を拡大して示す斜視図である。
【図10】コンソールダウンライト・ランプ及びルームランプの取付構造を概略的に示す前記自動車の拡大側面図である。
【図11】前記自動車に備えられた照明システムの構成の概略を説明するためのブロック構成図である。
【図12】前記照明システムの制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1:自動車、4:フロア部、6:中間ピラー、9:後部ピラー、11:フロントシート、12:セカンドシート、13:リヤシート、20:スライドドア、23:アウタハンドル、25:インナハンドル、28:ドア開閉アクチュエータ、71:キーレス端末、80:照明制御部、82:ドア開閉状態検出部、83:ドア操作検出部、CU:制御ユニット、E1:カーテシランプ、E2:アウタハンドルランプ、E3:フットランプ、E4:中間ピラーランプ、E5:シートダウンライト・ランプ、E6:コンソールダウンライト・ランプ、E7:ルームランプ、E8:インナハンドルランプ、Hs:乗降口、Lb:ベルトライン、S1〜S8:照明領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室側部の乗降口を開閉するスライドドアと、前記スライドドアを開閉駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを作動させて前記スライドドアを自動で開閉させる自動開閉手段とを備えた車両に装備される照明装置であって、
前記車両は、前記自動開閉手段による前記スライドドアの自動開閉を検出する自動開閉検出手段と、前記乗降口からの乗車準備の完了を検出する乗車準備完了検出手段とを備え、
前記照明装置は、前記乗降口周辺の領域を照明する複数の照明部と、該複数の照明部の点灯を制御する照明制御部とを備え、
前記複数の照明部は、車両のベルトラインよりも上方の車室内の所定範囲を照明する車内上部照明部を備え、
前記照明制御部は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車内上部照明部を点灯させ、前記乗車準備完了検出手段による乗車準備完了の検出に基づいて、前記車内上部照明部による照明を禁止する、制御手段を備えている、ことを特徴とする車両の照明装置。
【請求項2】
前記複数の照明部は、乗員の上半身を照らさないように前記ベルトラインよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された下部照明部を更に備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記開動作の検出に基づいて、前記下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両の照明装置。
【請求項3】
前記下部照明部は、前記ベルトラインよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された車内下部照明部と、前記ベルトラインよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された車外下部照明部とを備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させた後、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする請求項2に記載の車両の照明装置。
【請求項4】
前記車両は、前記スライドドアの所定位置への移動を検出するドア移動検出手段を備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させ、前記ドア移動検出手段による前記移動の検出に基づいて、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする請求項3に記載の車両の照明装置。
【請求項5】
前記車外下部照明部は、前記乗降口近傍の車外の下方領域を照明する車両周辺照明部と、前記スライドドアのアウタハンドルを照明するアウタハンドル照明部とを備え、
前記車内下部照明部は、前記乗降口近傍のシートの前方の車室フロアを照明するフット照明部を備えている、ことを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記下部照明部による照明が開始された後において、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記下部照明部を消灯させた後、前記車内上部照明部の照明禁止を解除する、ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項7】
前記複数の照明部は、前記下部照明部を複数含み、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部による照明を所定の順で開始させ、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部を前記所定の順と同じ順で消灯させる、ことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項8】
前記スライドドアは、車室側部の後部乗降口を開閉するリヤドアであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項9】
前記自動開閉手段は、キーレスエントリシステム用の端末機に設けられている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項10】
前記自動開閉手段は、前記車両の運転席の近傍部に設けられている、ことを特徴とする請求項8に記載の車両の照明装置。
【請求項1】
車室側部の乗降口を開閉するスライドドアと、前記スライドドアを開閉駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを作動させて前記スライドドアを自動で開閉させる自動開閉手段とを備えた車両に装備される照明装置であって、
前記車両は、前記自動開閉手段による前記スライドドアの自動開閉を検出する自動開閉検出手段と、前記乗降口からの乗車準備の完了を検出する乗車準備完了検出手段とを備え、
前記照明装置は、前記乗降口周辺の領域を照明する複数の照明部と、該複数の照明部の点灯を制御する照明制御部とを備え、
前記複数の照明部は、車両のベルトラインよりも上方の車室内の所定範囲を照明する車内上部照明部を備え、
前記照明制御部は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車内上部照明部を点灯させ、前記乗車準備完了検出手段による乗車準備完了の検出に基づいて、前記車内上部照明部による照明を禁止する、制御手段を備えている、ことを特徴とする車両の照明装置。
【請求項2】
前記複数の照明部は、乗員の上半身を照らさないように前記ベルトラインよりも下方の領域を指向するよう照射方向が制限された下部照明部を更に備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記開動作の検出に基づいて、前記下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両の照明装置。
【請求項3】
前記下部照明部は、前記ベルトラインよりも下方の車室内の領域を指向するよう照射方向が制限された車内下部照明部と、前記ベルトラインよりも下方の車外の領域を指向するよう照射方向が制限された車外下部照明部とを備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させた後、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする請求項2に記載の車両の照明装置。
【請求項4】
前記車両は、前記スライドドアの所定位置への移動を検出するドア移動検出手段を備え、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記車外下部照明部による照明を開始させ、前記ドア移動検出手段による前記移動の検出に基づいて、前記車内下部照明部による照明を開始させる、ことを特徴とする請求項3に記載の車両の照明装置。
【請求項5】
前記車外下部照明部は、前記乗降口近傍の車外の下方領域を照明する車両周辺照明部と、前記スライドドアのアウタハンドルを照明するアウタハンドル照明部とを備え、
前記車内下部照明部は、前記乗降口近傍のシートの前方の車室フロアを照明するフット照明部を備えている、ことを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記下部照明部による照明が開始された後において、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記下部照明部を消灯させた後、前記車内上部照明部の照明禁止を解除する、ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項7】
前記複数の照明部は、前記下部照明部を複数含み、
前記制御手段は、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの開動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部による照明を所定の順で開始させ、前記自動開閉検出手段による前記スライドドアの閉動作の検出に基づいて、前記複数の下部照明部を前記所定の順と同じ順で消灯させる、ことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項8】
前記スライドドアは、車室側部の後部乗降口を開閉するリヤドアであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項9】
前記自動開閉手段は、キーレスエントリシステム用の端末機に設けられている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車両の照明装置。
【請求項10】
前記自動開閉手段は、前記車両の運転席の近傍部に設けられている、ことを特徴とする請求項8に記載の車両の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−126211(P2009−126211A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300231(P2007−300231)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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