説明

車両の物体距離認識システム及び作動方法{VEHICULAROBJECTRANGINGSYSTEMANDMETHODOFOPERATION}

【課題】本発明は、長距離センサ及び短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムにおいて、センサ自体によって提供された情報に基づき、少なくとも1つのセンサのサンプリングレートを減少させ、平均故障間隔の向上を図るためのものである。
【解決手段】長距離視野角を有する長距離センサ、及び前記長距離視野角をオーバーラッピングして超過する短距離視野角を有し、角度分解能を有する短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムにおいて、サブシステムの作動に求められる放射されたレーザパルスの数を減少させ、前記サブシステムのレーザエミッタの寿命を延ばすために、2つの相補的な物体検知及び距離認識サブシステムのサンプリング回数変調方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の認知システムの改良に関するもので、より詳しくは、車両の物体距離認識(ranging)及び距離調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の認知システムは、数年間、発展し続けており、特に、自動車アプリケーションにおいて著しい。距離認識センサを含む、このようなシステムの最大の関心事は耐久力である。これは、例えば、センサがレーザ又はLED基盤のエミッションを用いる場合、レーザが持っている寿命の限界(レーザを発射可能な回数の限界)のため、レーザセンサの利用において特に問題になる。車両の物体距離認識システムにおいて、平均故障間隔(mean−time between failures、MTBF)を向上することができる技術への要求がある。
【0003】
特許文献1は、自動車の衝突防止装置に関するもので、車両の前方に、長距離感知センサと近距離感知センサとを含み、車両の速度に応じてセンサを用いて前方車両との距離を測定し、走行安全距離を確保する構成を開示する。
【0004】
特許文献2は、後方車両の前方に設けられ、後方車両の前方から走行している前方車両に、発光表面からの視角度に応じて、それぞれ異なる波長の光を放出し、前方車両との距離及び角度を感知する車両追突防止システムに関するもので、前方車両との距離に応じて、光源を変更する構成を開示する。
【0005】
特許文献3は、車両用の装置パネルの所定部位に、遠距離前方検出器と、車両用のボディの前方両側にそれぞれ装着される近距離用のサイド検出器とをそれぞれ備えた車両用のクルーズコントローラの衝突防止システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願公開第10−1995−0017496号(公開日:1995.07.20)
【特許文献2】韓国登録特許第10−0559421号(公告日:2006.03.03)
【特許文献3】韓国特許出願公開第10−1997−0026238号(公開日:1997.06.24)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題を解決するためのものであって、長距離センサ及び短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムにおいて、センサ自体によって提供された情報に基づき、少なくとも1つのセンサのサンプリングレートを減少させ、平均故障間隔の向上を図るためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
平均故障間隔は、長距離センサ及び短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムにおいて、ある条件が満たされた場合、センサ自体によって提供される情報に基づき、少なくとも1つのセンサのサンプリングレートを減少させることにより、向上可能であることが明らかになった。
【0009】
本発明は、サブシステムの作動に求められる放射されたレーザパルスの数を減少させ、前記サブシステムのレーザエミッタの寿命を延ばすために、2つの相補的な物体検知及び距離認識サブシステムのサンプリング回数変調方法を開示する。サブシステムのそれぞれは、異なる物体検知状況の要求を満たすために、相補的な物体距離検知能力を有する。短距離及び広視野角(short distance and wide field−of−view)の物体検知及び距離認識サブシステム(object detection and ranging subsystem)は、典型的に、低速走行環境での衝突防止システム(典型的に、都心の「走る、止まる」という交通状況での衝突防止アプリケーション)に要求される。また、長距離及び狭視野角(long distance and narrow field−of−view)の物体検知及び距離認識サブシステムは、高速走行の状況での衝突防止システム(典型的に、高速道路又は高速走行状況での衝突防止アプリケーション)に要求される。それぞれのサブシステムの使用は、ある走行状況では、相互に排他的なものとしてみなされることもある。この場合、この2つの物体検知及び距離認識システムの間のフィードバックループを用いて、相補的なサブシステムのサンプリング回数は正常作動回数で維持する一方、1つのサブシステムのサンプリング回数は大幅に減少することができる(ある場合では、0まで減少)。例えば、レーザエミッションを用いる実施例において、サブシステムのサンプリングレートの減少は、それぞれのサブシステムのレーザソースによって放射された全パルスの減少を提供すると考えられる。レーザパルスの数は、パルスレーザソースの平均故障間隔を決定する重要な要素なので、本発明は、それぞれのサブシステムの平均故障間隔を増加させる。レーザ基盤のサブシステムの平均故障間隔の実質的な向上は、サブシステムが用いられる走行環境では、変数だけでなく、それぞれのサブシステムのあらゆる物理的な構成要素の平均故障間隔のような他の要素に依存することもある。それにもかかわらず、レーザ基盤の物体検知及び距離認識サブシステムの平均故障間隔の実質的な向上が期待される。
【0010】
本発明の1つの観点によると、長距離視野角を有する長距離センサ、及び前記長距離視野角をオーバーラッピングして超過する短距離視野角を有し、角度分解能(angular resolution)を有する短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムを作動させる方法において、前記方法は:前記長距離視野角内の物体の距離及び物体無しの少なくとも1つの指示を生成するように、長距離サンプリングレートで長距離センサを作動させるステップ;前記短距離視野角内の物体の距離及び物体無しのいずれかを示す少なくとも1つの指示を生成するように、短距離サンプリングレートで短距離センサを作動させるステップ;長距離センサ及び短距離センサの中で他の1つによって提供された少なくとも1つの指示に基づき、長距離センサ及び短距離センサのいずれか1つのサンプリングレートを変化させるステップを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0011】
本発明の他の観点によると、車両の物体距離認識システムにおいて、前記システムは:ハウジング;少なくとも1つのエミッタ及び受信器、サブシステムのサンプリングレートを決定するメカニズム、少なくとも検知された物体の視野角内での角度位置及び水平角の大きさ、及び検知された物体の距離を提供する能力を含む短距離及び広視野角の物体検知及び距離認識サブシステム;少なくとも1つのエミッタ及び受信器、サブシステムのサンプリングレートを決定するメカニズム、少なくとも検知された物体の距離を提供する能力を含む長距離及び狭視野角の物体検知及び距離認識サブシステム;及び前記サブシステムから検知された物体の詳細を獲得し、前記獲得した情報に基づき、前記サブシステムのサンプリングレートを制御することができる制御モジュールを含むことを特徴とするシステムを提供する。
【0012】
更に、本発明の更なる利点及び観点が、下記の詳細な説明により、当業者に明らかになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、長距離センサ及び短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムにおいて、センサ自体によって提供された情報に基づき、少なくとも1つのセンサのサンプリングレートを減少することにより、平均故障間隔の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両の物体距離認識システムの第1の実施例の図解図
【図2】第1の実施例の短距離サブシステムの図解図
【図3】第1の実施例の長距離サブシステムの図解図
【図4】シナリオ例を示す図解図
【図5】シナリオ例を示す図解図
【図6】シナリオ例を示す図解図
【図7】シナリオ例を示す図解図
【図8】一実施例に係る車両の物体距離認識システムのブロックダイアグラム
【図9】他の一実施例に係るブロックダイアグラム
【図10】全システムの一実施例を示すブロックダイアグラム
【図11】短距離センサの出力に基づき、長距離センサのサンプリングレートの変化を示すフローチャート
【図12】長距離センサの出力に基づき、短距離センサのサンプリングレートの変化を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至図3は、様々な道路安全アプリケーションに用いられる、短距離センサ及び長距離センサを持つ車両の物体距離認識システムの物体検知及び距離の視野角及び視野の深さの例を示している。本実施例において、短距離及び広視野角(図面で濃い色で図示)は、低速衝突防止アプリケーション、例えば、高密集トラフィック制動補助システムの要件を満たしている(後述)。広視野角は、更に、「割り込み」検知アプリケーション又は車線変更補助アプリケーションのような物体の相対速度が相対的に低い場合の衝突状態の検知に、この構成を適用可能にする。
【0016】
本実施例において、長距離及び狭視野角(図面で薄い色で図示)は、高速走行状況(例えば、高速道路での運行)に、より適している構成である。長距離は、高速走行状況で、衝突防止システムに十分な反応時間を与えるために用いられる。狭視野角は、システム資源(例えば、レーザエミッタパワー又は検知器の角度分解能)の使用を、前記走行状況において、物体が検知される可能性が高い地域に最適化するのに好ましい。
【0017】
後述するように、本実施例において、1つのセンサからの出力は、他のセンサのサンプリングレートを減少するための適切な条件を決定することに用いることができる。
【0018】
本実施例において、短距離センサ及び長距離センサは、レーザエミッションに基づき、角度分解能を有している。短距離センサは、エミッションであり、検知は60度の視野角で焦点が合わされ、約55メートルの距離に到達することができ、視野角内で所定角度間隔をそれぞれカバーする32X1水平配向されたアレイの検知器を有する。長距離センサは、11度の視野角で焦点が合わされ、50乃至150メートルの距離で、3つの車線の幅を感知するように用いられる。更に、本センサではオプションであるが、8X1アレイの検知器によって提供される場合、角度分解能を有することができる。
【0019】
図1は、割り込み状況を示し、図4乃至図7は、それぞれ異なる状況を示す。図4で、例えば、短距離センサの視野角内で、長距離視野角を完全に塞ぐ車両の検知は、長距離センサのサンプリングレートを減少する(0まで可能)条件を満たすことで決定することができ、これで平均故障間隔を向上することができる。レーザエミッタは、レーザを発射する回数に限界があるため、レーザを発射する回数を減らすことで、平均故障間隔を向上することができる。
【0020】
車両の物体距離認識システムのほとんどの形態は、レーザエミッションセンサ、LED基盤のライダ、又はレーダのような所定のサンプリングレートで作動するセンサを含む。レーザ及びLEDは、レーダに比べ、特に、早期故障が起こる可能性がある。サンプリングレートは、規則的であるか、又は不規則的であり得る。規則的なサンプリングレートの場合は、「回数(frequency)」という表現が用いられる。
【0021】
図8は、一実施例に係る機能ブロックダイアグラムを示す。本実施例は、短距離及び広視野角の物体検知及び距離認識サブシステム、長距離及び狭視野角の物体検知及び距離認識サブシステム、及び制御モジュールを含む。
【0022】
本実施例において、短距離及び広視野角の物体検知及び距離認識サブシステムは、レーザエミッタ、これに伴う光学機器及び光学機器に伴う光学検知機で構成される。また、サブシステムは、パルスシーケンスの発生で、レーザエミッタを周期的にトリガーするために用いられるパルス発生器を有する。パルスシーケンスのパルス(又は逆に、関連サンプリングの回数)の周期性は、制御可能なパラメータである。物体及び距離検知モジュールは、光学検知器の入力を解析し、これを物体及び距離の実際の識別に切り替え、後述するように、検知器の性能の動作で物体の識別可能な特徴(例えば、大きさ)を提供する。温度モニタリング及びコンディショニング(conditioning)のような追加のサポート要素がサブシステムに含まれる。最後に、サブシステムは、パラメータ及び制御モジュールを含み、主制御モジュールから作動及び制御の命令を獲得するために用いられ、サブシステムのコンポーネントモジュールに適したアプリケーションを保障するために用いられる。
【0023】
本実施例において、短距離及び広視野角の物体検知及び距離認識サブシステムは、アレイされた検知器であり、サブシステムの視野角内での物体検知のための優れた角度分解能をサブシステムに提供する。例えば、32X1の線形アレイ検知器及び60度の視野角を用いて、検知器「ピクセル」による平均カバレッジは平均2度以下であると考えられる。
【0024】
全ての実施例において、短距離物体検知及び距離認識サブシステムは、少なくとも検知される物体の視野角内で、角度位置及び水平角の大きさ及び検知された物体の距離を正確に提供可能でなければならない。
【0025】
本実施例において、長距離及び狭視野角の物体検知及び距離認識サブシステムは、短距離及び広視野角の物体検知及び距離認識サブシステムと類似な方式で構成される。この2つのサブシステム間の違いは、視野角を異なるようにするエミッタ及び検知器の光学機器の適用、及びそれぞれのサブシステムに対する異なるエミッタ波長を使用、及びこのサブシステムに用いられる波長に対して、エミッタ及び検知器の光学機器及びフィルタの後続的適用にある。
【0026】
全ての実施例において、長距離物体検知及び距離認識システムは、少なくとも検知される物体の距離が提供可能でなければならない。
【0027】
全ての実施例において、長距離物体検知及び距離認識サブシステムは、短距離のサブシステムによって提供されたものと類似に、角度位置及び角度の大きさを提供することができる。しかし、これらは本発明の具現に必要なものではない。
【0028】
制御モジュールは、両サブシステムのパラメータ及び制御モジュールとの通信を介して、両サブシステムから物体の識別及び距離を獲得する。後述するように、運転環境を評価し、各サブシステムに求められる使用を決定するために、規則を用いて、制御モジュールは、サブシステムのそれぞれが提案されたサンプリングの回数で用いられるように指示する。
【0029】
いずれかの実施例において、パルス発生器によって発生されたパルスシーケンスは、単一パルスであり得る。他の実施例において、パルスシーケンスは、均等にあるいは非均等に間隔を置いた複数のパルスで構成することができる。
【0030】
本実施例において、出力ビームは、例えば、レーザスキャニングとは異なり、単一のパルスで関心地域をカバーすることができる方式で、適切なレンズにより拡散することができる。
【0031】
いずれかの実施例において、エミッタ及び検知器サブシステムは、レーザエミッタ又は光学受信器に基づく必要はない。サブシステムは、レーダ又はアコースティック(acoustic)技術(ソーナー、sonar)のような他の物体検知及び距離探知技術に基づくことができる。サブシステムの種類は、本発明の一部として説明するサンプリングの回数変調を用いて、平均故障間隔の向上にいかなる影響も与えない。
【0032】
上述のアーキテクチャを用いて、制御モジュールは、後述するサブシステムの構成要素の平均故障間隔上の向上をもたらすために、両サブシステムのサンプリング回数のハードウェア的制御を具現することができる。
【0033】
1つの物体又は複数の物体が、その検知距離内で、短距離サブシステムによって検知され、前記物体が長距離サブシステムの視野角を完全にカバーする結合された角の大きさを有するものと判明した場合、長距離サブシステムのサンプリングレートは大きく減少することができる(可能であれば、0まで減少)。短距離サブシステムのサンプリングレートは最大値に維持されなければならない。
【0034】
この場合、次の条件の1つが満たされた場合、長距離サブシステムの視野角の総カバレッジが仮定される:
【0035】
−短距離サブシステムによって検知された単一の物体が、長距離検知サブシステムの視野角を完全に塞ぐものと決定された場合(図4参照)。
【0036】
−短距離サブシステムによって検知された複数の物体が、長距離検知サブシステムの視野角を完全に塞ぐものと決定された場合(図5参照)。
【0037】
本実施例において、それぞれの識別された物体の計算された幅は、物体の各側面に長距離検知サブシステムの角度分解能に対応する誤差を加えなければならない。例えば、物体間のギャップが長距離検知サブシステムの角度分解能の2倍以下である場合、短距離検知サブシステムによって検知された複数の物体が、長距離検知サブシステムの視野角を完全に塞ぐものと決定される(図6参照)。長距離検知サブシステムの角度分解能内にあれば、物体は、長距離検知サブシステムの視野角の限界を超過するものと決定される。
【0038】
複数の物体が短距離検知サブシステムによって検知され、物体間のギャップが長距離検知サブシステムの角度分解能の2倍以上である場合、長距離検知サブシステムは、正常作動サンプリングレートで作動されなければならない。
【0039】
長距離サブシステムの検知距離内で、かつ、短距離サブシステムの外で、長距離サブシステムによって物体が検知され、車両の速度が最小臨界値(例えば、60km/h)を超過する場合、短距離サブシステムのサンプリングレートは、本実施例で具現された安全マージンによって決定された値に減少することができる。
【0040】
他の実施例において、両サブシステムは、最大サンプリング回数で作動されなければならない。
【0041】
本実施例で確立した安全マージンは、車両速度、最小臨界値を有する短距離サブシステムの検知距離に比例する。
【0042】
最後の戦略は、高速走行の環境で、衝突防止や車線変更補助アプリケーションのために、短距離サブシステムは、車両の「割り込み」検知をサポートするために用いられるということである。前記した場合に、車両の自己運動(ego−motion)に比較して、物体の相対速度は相対的に小さい。
【0043】
最悪の場合は、長距離サブシステムの視野角外から入ってくる対向の物体と正面衝突する可能性である。前記した場合に、サンプリングレートの減少は、反応時間に微々たる効果のみを有することが分かる。
【0044】
これの証明は、本発明の範囲から外れるものではあるが、例を示す。短距離検知サブシステムに対して55メートルの視野角を用い、100km/hの自体速度で、それぞれ2台の車両が正面衝突する。この場合、両車両の相対速度は55m/sである。100Hzのサンプリングレートで、サンプル間に車両が移動する距離は0.5mで、10Hzのサンプリングレートで、車両が移動する距離は5.5mである。これは、両サンプリングレート間の時間差の1/10以下に該当する。
【0045】
他の実施例は、本発明によってカバーされない補助的戦略を利用することができる。
【0046】
図9は、短距離及び長距離サブシステムのエミッタ部分のみが別である、本発明の他の実施例を示す。本実施例において、受信器の部分は、両サブシステムに共通である。これは、同じ波長を用いるレーザエミッタを用いることにより行われる。受信器光学機器は、異なる視野角を収容するために、別のレンズで構成され、受信器側から視準(collimate)されたビームは、単一光経路に両ビームを入れる光学デバイスを用いて、単一光学受信器に伝送される。パルス発生器及びコンディショナモジュールは、レーザエミッタが同時に放射しないようにするために、代替的に、レーザエミッタのそれぞれを順番にトリガーする。
【0047】
図10は、完全な車両衝突防止検知システムの具現に関する相補的な詳細構成を有する本発明の一実施例を示す。本実施例において、図1に示したように、3Dフラッシュライダ(Flash Lidar)の技術を利用して、独立的な短距離及び長距離サブシステムが具現されている。図1に示した両サブシステムの物体検知及び距離検知モジュールによって行われる機能は、図10の制御モジュール内に位置するビデオプロセッサ内で行われる。本実施例は、ビデオ獲得サブシステムを含み、センサシステムのインタフェースを車両プラットフォームコンポーネントに提供する。
【0048】
図11及び図12は、システムを運用する方法を示す簡略化したフローチャートを示す。図11で、長距離センサのサンプリングレートを減少させる適切な条件を決定する方法の例を示す。本例で必ず決定されなければならないことは、短距離視野角内の1つ以上の物体が長距離視野角を完全に塞いでいる時のように、長距離センサの入力が不要であることを指示する条件である。このような場合、長距離センサのサンプリングレートを減少させるための第1の条件が満たされたことで決定することができる。このようなシナリオは、車両が信号で停止されているか、又は、車両が交通混雑の状況でゆっくりと運行している場合のような、比較的低速度で発生する。このような場合、長距離センサの監視を減少することが安全である。よって、点線で示す部分において、追加の条件が例のために示される:長距離センサのサンプリングレートを減少することができる、車両の速度が、例えば15、30、又は50mphで設定可能な所定の臨界値以下の場合である。簡略化のために図示していないが、車両速度条件は、長距離センサのサンプリングレートを更に高い値に再び増加させることをトリガーするために用いられる。
【0049】
図12で、短距離センサのサンプリングレートを減少する例示的方法が図示されている。これは、短距離センサ及び長距離センサの入力が物体の存在を指示していない場合である。これは、例えば、高速道路の状況で発生する可能性が高く、よって、最小車両速度を選択可能な条件として設定することができる(簡略化のため、フローチャートでは図示せず)。したがって、短距離視野角及び長距離視野角内に共に物体がない場合、短距離センサのサンプリングレートは減少することができる。また、図示したように、長距離視野角内に物体が存在し、連続する長距離センサのサンプリングから物体が遠くなる(つまり、車両から遠くなる)、又は臨界値以下の相対的速度で近づいてくる相対的速度を有するものと決定された場合である。近づいてくる相対的速度の臨界値は、例えば、物体の距離及び/又は車両の速度を考慮して設定することができる。
【0050】
簡略化のためにフローチャートには図示していないが、いずれの条件が検知されても、サンプリングレートの減少を防ぐ例外があることを理解しなければならない。これは、例えば、悪天候の場合が挙げられ、長距離センサ及び短距離センサは、例えば、最大警戒状態で維持することができる。悪天候の状況(直射光線、霧、雨、雪など)の決定は、センサ自体からの入力を用いるか、又は、例えば、CMOSカメラのような他のサブシステムからの入力を用いて行うことができる。よって、CMOSカメラが用いられる実施例において、CMOSカメラの入力信号は、サンプリングレートを減少させることが適しているかを決定するために用いることができる。
【0051】
上述した説明、及び様々な実施例から理解できるように、上述した実施例は、単に例示の目的で記述された。本発明の範囲は、添付した請求の範囲によって決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長距離視野角を有する長距離センサ、及び前記長距離視野角をオーバーラッピングして超過する短距離視野角と角度分解能を有する短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムを作動させる方法であって、前記方法は:
前記長距離視野角内の物体距離及び物体無しのいずれかを示す少なくとも1つの指示を生成するように、長距離センサを長距離サンプリングレートで作動させるステップ;
前記短距離視野角内の物体距離及び物体無しのいずれかを示す少なくとも1つの指示を生成するように、短距離センサを短距離サンプリングレートで作動させるステップ;
前記長距離センサ及び前記短距離センサの他の1つによって提供された少なくとも1つの指示に基づき、前記長距離センサ及び前記短距離センサのいずれか1つのサンプリングレートを変化させるステップとを含むことを特徴とする車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項2】
前記変化させるステップは、サンプリングレートを減少させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項3】
前記変化させるステップは、更に、前記車両の速度が所定速度以上であるか、又は、以下であるかを決定することに基づくことを特徴とする請求項1に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項4】
前記変化させるステップは、更に、天候の状態を決定することに基づくことを特徴とする請求項1に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項5】
前記変化させるステップは、前記短距離センサからの長距離視野角を満たす物体距離を示す少なくとも1つの指示に基づき、前記長距離センサのサンプリングレートを減少させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項6】
前記変化させるステップは、更に、前記車両の速度が臨界値以下であるかを決定することに基づくことを特徴とする請求項5に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項7】
前記変化させるステップは、前記短距離センサ及び前記長距離センサの両方からの物体無しを示す指示に基づき、前記短距離センサのサンプリングレートを減少させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項8】
前記長距離センサと前記物体の間の距離を示す少なくとも2つの指示に基づき、長距離視野角内の物体の相対速度を計算するステップ;前記物体の相対速度を、予め決定された速度の臨界値と比較するステップを更に含み、前記変化させるステップは、前記物体の相対速度が、前記予め決定された速度の臨界値より低いかを決定することに基づき、前記短距離センサのサンプリングレートを減少させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項9】
車両の物体距離認識システムであって、前記システムは:
ハウジング;
少なくとも1つのエミッタ及び受信器、サブシステムのサンプリングレートを決定するメカニズム、少なくとも検知された物体の視野角内で、角度位置及び水平角の大きさ、及び検知された物体の距離を提供する能力を含む短距離及び広視野角の物体検知及び距離認識サブシステム;
少なくとも1つのエミッタ及び受信器、サブシステムのサンプリングレートを決定するメカニズム、少なくとも検知された物体の距離を提供する能力を含む長距離及び狭視野角の物体検知及び距離認識サブシステム;及び
前記サブシステムから検知された物体の詳細を獲得し、前記獲得した情報に基づき、前記サブシステムのサンプリングレートを制御することができる制御モジュールを含むことを特徴とする車両の物体距離認識システム。
【請求項10】
長距離視野角を有する長距離センサ、及び前記長距離視野角をオーバーラッピングして超過する短距離視野角と角度分解能を有する短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムを作動させる方法であって、前記方法は:
物体が、短距離の距離認識サブシステムにより、前記短距離の距離認識サブシステムの検知距離内で検知され、前記物体が、長距離の距離認識サブシステムの視野角を完全にカバーする角の大きさを有することが判明した場合、前記長距離の距離認識サブシステムのサンプリングレートを減少させるステップを含むことを特徴とする車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項11】
前記減少させるステップは、長距離の距離認識サブシステムのサンプリング動作を中断し、短距離の距離認識サブシステムのサンプリングレートを最大値に維持するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項12】
長距離視野角を有する長距離センサ、及び前記長距離視野角をオーバーラッピングして超過する短距離視野角と角度分解能を有する短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムを作動させる方法であって、前記方法は:
長距離の距離認識サブシステムの検知距離内で、かつ、短距離の距離認識サブシステムの検知範囲外で、物体が前記長距離の距離認識サブシステムによって検知され、短距離の距離認識サブシステムは、検知距離内に物体がないことを示し、車両の速度が予め決定された臨界値を超過する場合、前記短距離の距離認識サブシステムのサンプリングレートを減少させることを特徴とする車両の物体距離認識システムを作動させる方法。
【請求項13】
長距離視野角を有する長距離センサ、及び前記長距離視野角をオーバーラッピングして超過する短距離視野角と角度分解能を有する短距離センサを持つ車両の物体距離認識システムを作動させる方法であって、前記方法は:
短距離及び長距離の物体検知及び距離認識サブシステムから物体検知情報を獲得するステップとして、前記情報は、前記請求項9に記載の制御モジュールに用いられるために、少なくとも請求項9に記載したように構成されるステップ;
前記短距離及び長距離の物体検知及び距離認識サブシステムの寿命を延ばすために、請求項9に記載の長距離の距離認識サブシステムのサンプリングレートを減少させるために、請求項9に記載の制御モジュールを用いて、請求項10に記載の方法を適用するステップ;及び
前記短距離及び長距離の物体検知及び距離認識サブシステムの寿命を延ばすために、請求項10に記載の短距離の距離認識サブシステムのサンプリングレートを減少させるために、請求項9に記載の制御モジュールを用いて、請求項12に記載の方法を適用するステップを含むことを特徴とする車両の物体距離認識システムを作動させる方法。

【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202990(P2012−202990A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244994(P2011−244994)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(511159004)
【氏名又は名称原語表記】JAY YOUNG, WEE
【住所又は居所原語表記】7 Chauncey Place, Woodbury, NY 11797, U.S.A.
【Fターム(参考)】