説明

車両の警告装置

【課題】運転者の操作によらない減速を後続車両の運転者に警告できるようにする。
【解決手段】ECU25は、電子スロットル制御システムの異常診断を実行し、電子スロットル制御システムの異常検出時に、スロットルモータ15への通電を遮断してスロットル開度をリターンスプリングによってオープナ開度に保持するフェイルセーフ制御を実行することで、エンジン11の出力を制限して車両の駆動力を制限する。このフェイルセーフ制御による減速を検出したときに、その減速度合が大きい場合には、例えばブレーキランプ30を点灯させる急減速時の警告動作制御を実行し、減速度合が小さい場合には、例えばブレーキランプ30を点滅させる緩減速時の警告動作制御を実行する。これにより、運転者の操作によらない減速(フェイルセーフ制御による減速)を直ちに後続車両の運転者に警告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の減速を後方へ警告する機能を備えた車両の警告装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年の電子制御化された車両においては、制御系や駆動系等の異常時(故障時)の安全性を確保するために、車両に搭載した自己診断機能によりエンジン制御系や駆動系等の種々の異常診断を実行し、異常検出時には適宜のフェイルセーフ制御を行って車両の駆動力を制限するようにしたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003−343326号公報)に記載されているように、内燃機関の電子スロットル制御システムの異常検出時に、スロットル開度(スロットルバルブの開度)を調整するスロットルモータへの電源供給を遮断してスロットル開度をリターンスプリングによって強制的に所定開度(いわゆるオープナ開度)に戻すフェイルセーフ制御を行って内燃機関の吸入空気量を制限することで、内燃機関の出力を制限して車両の駆動力を制限するようにしたものがある。
【特許文献1】特開2003−343326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の走行中の異常検出時にフェイルセーフ制御が実行されて車両の駆動力が制限されると、車両が急に減速する可能性がある。通常の運転者のブレーキ操作により車両が減速した場合には、車両後部のブレーキランプが点灯するため、後続車両の運転者は、前方の車両の減速を容易に気付くことができるが、上述した異常検出時のフェイルセーフ制御や駆動系の故障等により車両が減速した場合には、ブレーキランプが点灯せずに車両が減速されるため、後続車両の運転者は前方の車両の減速に気付きにくい。このため、異常検出時のフェイルセーフ制御や駆動系の故障等により車両が減速した場合に、後続車両との車間距離が狭かったり、後続車両の運転者の前方への注意力が散漫であると、後続車両の運転者が前方の車両の減速に気付くのが遅れて、後続車両のブレーキ操作が遅れてしまい、最悪の場合、後続車両が追突する可能性もある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、運転者の操作によらない減速を後続車両の運転者に警告することができて、走行安全性を高めることができる車両の警告装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両の減速を後続車両の運転者に警告するための減速警告器を備え、運転者の操作によらない減速(以下「非常時減速」という)を非常時減速判定手段により検出又は予測し、非常時減速が検出又は予測されたときに減速警告器を減速警告制御手段により警告動作させるようにしたものである。
【0007】
この構成では、運転者の操作によらない非常時減速を検出又は予測したときに、直ちに減速警告器を警告動作させることができるため、減速警告器の警告動作によって非常時減速を後続車両の運転者に早期に警告することができ、走行安全性を高めることができる。
【0008】
この場合、請求項2のように、車両が減速状態となる異常を非常時減速として検出又は予測するようにしても良い。このようにすれば、車両が減速状態となる異常を検出又は予測したときに、直ちに減速警告器を警告動作させて、運転者の操作によらない非常時減速(車両の異常による減速)を後続車両の運転者に早期に警告することができる。
【0009】
また、請求項3のように、車両の異常検出時に車両の駆動力を制限するフェイルセーフ制御手段を備えた車両の場合には、フェイルセーフ制御手段による減速を非常時減速として検出又は予測するようにしても良い。このようにすれば、フェイルセーフ制御による減速を検出又は予測したときに、直ちに減速警告器を警告動作させて、運転者の操作によらない非常時減速(フェイルセーフ制御による減速)を後続車両の運転者に早期に警告することができる。
【0010】
また、近年の電子制御化された車両においては、車両の衝突を回避するためやコーナーリング時等の走行安定性を確保するために自動的にブレーキや駆動力等を制御して車両を自動的に減速させる制御を行うシステム(自動減速手段)を搭載した車両がある。
【0011】
そこで、請求項4のように、車両の衝突回避又は走行安定性確保のために車両を減速させる自動減速手段を搭載した車両の場合には、自動減速手段による減速を非常時減速として検出又は予測するようにしても良い。このようにすれば、車両の衝突回避や走行安定性確保のための自動減速制御による減速を検出又は予測したときに、直ちに減速警告器を警告動作させて、運転者の操作によらない非常時減速(自動減速制御による減速)を後続車両の運転者に早期に警告することができる。
【0012】
また、本発明は、非常時減速を後方へ警告するための専用の減速警告器を車両に搭載する構成としても良いが、請求項5のように、減速警告器としてブレーキランプ及び/又はハザードランプを警告動作させるようにしても良い。このようにすれば、車両に搭載されているブレーキランプやハザードランプを減速警告器として利用することができるため、専用の減速警告器を新たに搭載する必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
【0013】
更に、請求項6のように、非常時減速の減速度合に応じて減速警告器の警告動作を変化させるようにしても良い。このようにすれば、運転者の操作によらない非常時減速の減速度合(例えば急減速なのか緩減速なのか)も後続車両の運転者に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、スロットルモータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
【0016】
更に、スロットルバルブ16の下流側には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド18が設けられ、各気筒の吸気マニホールド18の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁19が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ20が取り付けられ、各点火プラグ20の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
【0017】
また、エンジン11のシリンダブロックには、クランク軸21が所定クランク角回転する毎にクランク角信号(パルス信号)を出力するクランク角センサ22が取り付けられている。このクランク角センサ22のクランク角信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。更に、アクセルセンサ23によってアクセルペダル24の踏込量(アクセル操作量)が検出されると共に、ブレーキスイッチ29によってブレーキ操作が検出され、このブレーキスイッチ29によりブレーキ操作が検出されたときにブレーキランプ30が点灯するようになっている。
【0018】
これら各種センサやスイッチの出力は、制御回路(以下「ECU」と表記する)25に入力される。このECU25は、CPU26、ROM27、RAM28等を備えたマイクロコンピュータを主体として構成され、ROM27に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁19の燃料噴射量や点火プラグ20の点火時期を制御する。
【0019】
次に、図2に基づいて電子スロットル制御システムの構成について説明する。アクセルペダル24の回動軸33には、アクセルレバー34が連結固定され、このアクセルレバー34がアクセルリターンスプリング35によってアクセル閉鎖方向(図2の下方)に付勢されている。そして、アクセルペダル24を踏み込まない状態(アクセルOFF)では、アクセルレバー34はアクセルリターンスプリング35によって全閉ストッパ36に当接した状態に保持される。エンジン運転中は、アクセルレバー34の位置がアクセルセンサ23によってアクセル操作量として検出される。
【0020】
一方、スロットルバルブ16の回動軸37には、バルブレバー38が連結固定され、このバルブレバー38がオープナスプリング39によってスロットルバルブ16の開方向(図2の上方)に付勢されている。このバルブレバー38の開側にオープナ40が掛合するように配置され、このオープナ40がリターンスプリング41によってスロットルバルブ16の閉方向(図2の下方)に付勢されている。このリターンスプリング41の引張力はオープナスプリング39の引張力よりも大きく設定されている。尚、これらバルブレバー38、オープナスプリング39、オープナ40、リターンスプリング41及びオープナストッパ42によってオープナ機構44が構成されている。
【0021】
通常制御時(スロットルモータ15のON時)には、アクセルペダル24の操作に応じてスロットルモータ15を正回転又は逆回転させてスロットル開度を調整し、そのときのスロットル開度がスロットル開度センサ17によって検出される。この際、スロットル開度を開く場合には、スロットルモータ15を正回転させて、図2(a)に示すように、バルブレバー38がリターンスプリング41の引張力に抗してオープナ40を開方向に移動させながらスロットルバルブ16を開方向に駆動する。これとは反対に、スロットル開度を閉じる場合には、スロットルモータ15を逆回転させて、バルブレバー38を閉方向に移動させながらスロットルバルブ16を閉方向に駆動し、スロットルバルブ16を全閉位置(例えば0deg)まで閉じたときに、バルブレバー38がスロットル全閉ストッパ43に当接して、それ以上の回動が阻止されるようになっている。
【0022】
一方、電子スロットル制御システムの異常時には、スロットルモータ15への通電が遮断(OFF)された状態に保たれる。この状態では、図2(b)に示すように、リターンスプリング41の引張力がオープナスプリング39の引張力に打ち勝って、リターンスプリング41の引張力によりオープナ40がオープナストッパ42に当接した状態に保持される。この状態では、オープナ40によりバルブレバー38の位置がオープナストッパ42で規制される位置に保持されて、スロットル開度が所定のオープナ開度に保持されるようになっている。このオープナ開度は、退避走行時の吸入空気量を確保できるスロットル開度(例えば5〜10deg)に設定されている。
【0023】
ECU25は、図示しないスロットル制御用のルーチンを実行することで、アクセルセンサ23で検出したアクセル操作量等に基づいて目標スロットル開度を算出し、スロットル開度センサ17で検出した実スロットル開度を目標スロットル開度に一致させるようにスロットルモータ15をフィードバック制御するスロットル制御を実行する。
【0024】
また、ECU25は、図示しない電子スロットル異常診断用のルーチンを実行することで、電子スロットル制御システムの異常の有無を判定する異常診断を実行する。この電子スロットル制御システムの異常診断では、例えば、アクセルセンサ23、スロットル開度センサ17、スロットルモータ15等の異常の有無を判定する。
【0025】
更に、ECU25は、後述する図3のフェイルセーフ制御及び減速警告制御ルーチンを実行することで、電子スロットル制御システムの異常検出時にフェイルセーフ制御を実行する。このフェイルセーフ制御では、スロットルモータ15への通電を遮断してスロットル開度をリターンスプリング41によってオープナ開度に保持してエンジン11の吸入空気量を制限する。これにより、エンジン11の出力が制限されて車両の駆動力が制限される。
【0026】
車両の走行中に、この電子スロットル制御システムの異常検出時のフェイルセーフ制御が実行されて車両の駆動力が制限されると、車両が急に減速する可能性がある。そこで、本実施例1では、このフェイルセーフ制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30(減速警告器)を警告動作(例えば点灯や点滅)させる。これにより、運転者の操作によらない非常時減速(フェイルセーフ制御による減速)を後続車両の運転者に警告する。
【0027】
以下、ECU25が実行する図3のフェイルセーフ制御及び減速警告制御ルーチンの処理内容を説明する。
図3に示すフェイルセーフ制御及び減速警告制御ルーチンは、ECU25の電源オン中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、図示しない電子スロットル異常診断用のルーチンの処理結果に基づいて、電子スロットル制御システムの異常が検出されたか否かを判定し、電子スロットル制御システムの異常が検出されていないと判定されれば、ステップ102以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0028】
一方、上記ステップ101で、電子スロットル制御システムの異常が検出されたと判定された場合には、ステップ102に進み、電子スロットル制御システムの異常検出時のフェイルセーフ制御を実行する。このフェイルセーフ制御では、スロットルモータ15への通電を遮断してスロットル開度をリターンスプリング41によってオープナ開度に保持してエンジン11の吸入空気量を制限する。これにより、エンジン11の出力が制限されて車両の駆動力が制限される。このステップ102の処理が特許請求の範囲でいうフェイルセーフ制御手段としての役割を果たす。
【0029】
この後、ステップ103に進み、電子スロットル制御システムの異常検出時のフェイルセーフ制御により車両が減速中であるか否かを、例えば、車速が減少しているか否か等に基づいて判定する。このステップ103の処理が特許請求の範囲でいう非常時減速判定手段としての役割を果たす。
このステップ103で、車両が減速中ではないと判定されれば、ステップ104以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0030】
一方、上記ステップ103で、電子スロットル制御システムの異常検出時のフェイルセーフ制御により車両が減速中であると判定された場合には、ステップ104に進み、減速の度合が大きい(急減速)か否かを、例えば、車速の所定時間当りの減少量が所定値以上であるか否かによって判定する。或は、フェイルセーフ制御によるスロットル開度の減少量やトルクの減少量が所定値以上であるか否かによって減速の度合が大きいか否かを判定するようにしても良い。
【0031】
このステップ104で、減速の度合が大きい(急減速)と判定された場合には、ステップ105に進み、例えばブレーキランプ30を点灯させる急減速時の警告動作制御を実行する。一方、上記ステップ104で、減速の度合が小さい(緩減速)と判定された場合には、ステップ106に進み、例えばブレーキランプ30を点滅させる緩減速時の警告動作制御を実行する。これにより、運転者の操作によらない非常時減速(フェイルセーフ制御による減速)を後続車両の運転者に警告すると共に、その非常時減速の減速度合(例えば急減速なのか緩減速なのか)も後続車両に知らせる。これらのステップ105、106の処理が特許請求の範囲でいう減速警告制御手段としての役割を果たす。
【0032】
以上説明した本実施例1では、電子スロットル制御システムの異常検出時のフェイルセーフ制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作(例えば点灯や点滅)させるようにしたので、運転者の操作によらない非常時減速(フェイルセーフ制御による減速)を直ちにブレーキランプ30の警告動作によって後続車両の運転者に警告することができ、走行安全性を高めることができる。
【0033】
また、本実施例1では、非常時減速の減速度合に応じてブレーキランプ30の警告動作を変化させるようにしたので、非常時減速の減速度合(例えば急減速なのか緩減速なのか)も後続車両の運転者に知らせることができる。
【0034】
更に、本実施例1では、車両に搭載されるブレーキランプ30を、非常時減速を後方へ警告するための減速警告器として利用するようにしたので、専用の減速警告器を新たに搭載する必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
【0035】
尚、上記実施例1では、電子スロットル制御システムの異常検出時のフェイルセーフ制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにしたが、これに限定されず、例えば、燃料噴射制御システム、点火制御システム、自動変速制御システム、ブレーキ制御システム、自動変速機、パワーステアリング装置等の異常検出時のフェイルセーフ制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにしても良く、要は、車両の駆動力を制限するフェイルセーフ制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにすれば良い。
【0036】
また、上記実施例1では、フェイルセーフ制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにしたが、フェイルセーフ制御の実行指令が出力された時点(フェイルセーフ制御の実行条件が成立した時点)で、減速を予測して、ブレーキランプ30の警告動作を開始するようにしても良い。
【0037】
その他、本発明は、フェイルセーフ制御による減速に限定されず、車両が減速状態となる異常(例えばスロットル開度の閉じ固着、自動変速機や駆動系の故障等による減速)を検出した時点で、非常時減速と判断して、ブレーキランプ30の警告動作を開始するようにしても良い。
【実施例2】
【0038】
次に、図4を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0039】
本実施例2では、ECU25によって後述する図4の衝突回避制御及び減速警告制御ルーチンを実行することで、車両の衝突を回避するために自動的にブレーキや駆動力(エンジン出力)等を制御して車両を減速させる衝突回避制御を実行し、この衝突回避制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作(例えば点灯や点滅)させるようにしている。
【0040】
以下、図4に示す衝突回避制御及び減速警告制御ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンでは、まず、ステップ201で、車両が前方の物体(例えば、先行車両、建造物、人、動物等)に衝突する可能性が有るか否かを、例えば、レーダセンサ、ステレオカメラ等により計測した前方の物体までの距離、前方の物体に対する相対速度や相対加速度等に基づいて判定し、衝突の可能性が無いと判定されれば、ステップ202以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0041】
一方、上記ステップ201で、衝突の可能性が有ると判定された場合には、ステップ202に進み、衝突回避制御を実行する。この衝突回避制御では、車両の衝突を回避するために自動的にブレーキや駆動力(エンジン出力)等を制御して車両を減速させる。このステップ202の処理が特許請求の範囲でいう自動減速手段としての役割を果たす。
【0042】
この後、ステップ203に進み、衝突回避制御により車両が減速中であるか否かを判定し、衝突回避制御により車両が減速中であると判定された場合には、ステップ204に進み、減速の度合が大きい(急減速)か否かを判定する。
【0043】
このステップ204で、減速の度合が大きい(急減速)と判定された場合には、ステップ205に進み、例えばブレーキランプ30を点灯させる急減速時の警告動作制御を実行する。一方、上記ステップ204で、減速の度合が小さい(緩減速)と判定された場合には、ステップ206に進み、例えばブレーキランプ30を点滅させる緩減速時の警告動作制御を実行する。これにより、運転者の操作によらない非常時減速(衝突回避制御による減速)を後続車両の運転者に警告すると共に、その非常時減速の減速度合(例えば急減速なのか緩減速なのか)も後続車両の運転者に知らせる。
【0044】
以上説明した本実施例2では、衝突回避制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作(例えば点灯や点滅)させるようにしたので、運転者の操作によらない非常時減速(衝突回避制御による減速)を直ちにブレーキランプ30の警告動作によって後続車両の運転者に警告することができ、走行安全性を高めることができる。
【0045】
尚、上記実施例2では、衝突回避制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにしたが、これに限定されず、例えば、車両のコーナーリング時等の走行安定性を確保するために自動的にブレーキや駆動力等を制御して車両を減速させる自動減速制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにしても良く、要は、運転者の操作によらず車両を減速させる自動減速制御による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにすれば良い。
【0046】
また、上記実施例2では、自動減速制御(衝突回避制御)による減速を検出したときに、ブレーキランプ30を警告動作させるようにしたが、自動減速制御の実行指令が出力された時点(自動減速制御の実行条件が成立した時点)で、減速を予測して、直ちにブレーキランプ30の警告動作を開始するようにしても良い。
【0047】
また、上記各実施例1,2では、急減速時にブレーキランプ30を点灯させ、緩減速時にブレーキランプ30を点滅させるようにしたが、警告動作制御は、適宜変更しても良く、例えば、急減速時にハザードランプを点灯させ、緩減速時にハザードランプを点滅させるようにしても良い。或は、急減速時にブレーキランプ30及び/又はハザードランプを高速で点滅させ、緩減速時にブレーキランプ30及び/又はハザードランプを低速で点滅させるようにしても良い。また、急減速時にブレーキランプ30とハザードランプの一方を点灯又は点滅させ、緩減速時にブレーキランプ30とハザードランプの他方を点灯又は点滅させるようにしても良い。
【0048】
また、非常時減速の度合に応じてブレーキランプ30やハザードランプの警告動作を3段階以上で変化させるようにしても良い。或は、非常時減速の度合に拘らずブレーキランプ30やハザードランプの警告動作を一定にしても良い。
【0049】
また、後続車両との車間距離に応じてブレーキランプ30やハザードランプの警告動作を変化させるようにしても良い。
また、本発明は、ブレーキランプ30やハザードランプを減速警告器として利用する構成に限定されず、非常時減速を後方へ警告するための専用の減速警告器を車両に搭載する構成としても良い。
【0050】
その他、本発明は、内燃機関のみを動力源とする車両に限定されず、モータのみを動力源とする電気自動車や、内燃機関とモータを駆動源として併用するハイブリッド車にも適用して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。
【図2】電子スロットル制御システムの概略構成図で、(a)は通常制御時(モータON時)の状態を示す図であり、(b)はモータOFF時の状態を示す図である。
【図3】実施例1のフェイルセーフ制御及び減速警告制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例2の衝突回避制御及び減速警告制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、15…スロットルモータ、16…スロットルバルブ、17…スロットル開度センサ、23…アクセルセンサ、25…ECU(非常時減速判定手段,減速警告制御手段,フェイルセーフ制御手段,自動減速手段)、29…ブレーキスイッチ、30…ブレーキランプ(減速警告器)、41…リターンスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の減速を後続車両の運転者に警告するための減速警告器と、
運転者の操作によらない減速(以下「非常時減速」という)を検出又は予測する非常時減速判定手段と、
前記非常時減速判定手段により前記非常時減速が検出又は予測されたときに前記減速警告器を警告動作させる減速警告制御手段と
を備えていることを特徴とする車両の警告装置。
【請求項2】
前記非常時減速判定手段は、車両が減速状態となる異常を前記非常時減速として検出又は予測する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車両の警告装置。
【請求項3】
車両の異常検出時に車両の駆動力を制限するフェイルセーフ制御手段を備え、
前記非常時減速判定手段は、前記フェイルセーフ制御手段による減速を前記非常時減速として検出又は予測する手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の警告装置。
【請求項4】
車両の衝突回避又は走行安定性確保のために車両を減速させる自動減速手段を備え、
前記非常時減速判定手段は、前記自動減速手段による減速を前記非常時減速として検出又は予測する手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両の警告装置。
【請求項5】
前記減速警告制御手段は、前記減速警告器としてブレーキランプ及び/又はハザードランプを警告動作させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両の警告装置。
【請求項6】
前記減速警告制御手段は、前記非常時減速の減速度合に応じて前記減速警告器の警告動作を変化させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両の警告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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