説明

車両室内用照明装置

【課題】部品点数を少なくして薄型化・軽量化・低コスト化を図ることが可能な車両室内用照明装置を提供する。
【解決手段】ルームランプ部とマップランプ部が一体化された車両室内用照明装置であって、ルームランプ部を背面側から覆うハウジングの平坦部と、平坦部の端部にて正面側に突出した側壁部と、側壁部に接続された取付部と、取付部に開口された開口部と、側壁部と取付部によって囲まれて形成された取付領域の内部に配置固定されると共に、開口部から露出する光源部とを備え、平坦部と側壁部と取付部は一体形成されてハウジングを構成し、取付部は平坦部に対して三次元に傾斜して配置され、光源部から開口部を介して照射されるスポット光の光軸も平坦部に対して三次元に傾斜されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両室内用照明装置に係り、詳しくは、ルームランプとマップランプとを一体に備えた車両室内用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車室内のルーフ部(天井部)には、夜間などに車室内を照明するための車両室内用照明装置が設置されている。
車両室内用照明装置として、ルームランプとマップランプとを一体に備えたものが実用化されている(特許文献1〜3参照)。
ルームランプは、車室内の比較的広範囲を照明するための照明光を生成する。
マップランプは、その名称が示すように、例えば、地図を読む乗員の手元など、比較的狭い範囲にスポット光を照明するための照明光を生成する。
車両室内用照明装置は、設置場所が車両のルーフ部であることから、広い室内スペースを確保するために薄型化が望まれ、ルーフ部の強度を確保するために軽量化が望まれている。
【0003】
特許文献1には、第1光源部の光を端面から導入し、前面から発光する導光板を有するサイドライト型の面状発光装置から成るルームランプ部と、第2光源部の光を収斂するレンズを備えたマップランプ部とを備えた車両室内用照明装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、光源をランプハウジングに固定するブラケットを備え、ランプハウジングのうち光源に対応する箇所には放熱用の開口部が設けられており、ブラケットには光源から放熱用開口部の縁までの間に配置されている壁部が設けられている車両用ルームランプが開示されている。
また、特許文献2には、前記ブラケットが薄鋼板から成ること、前記光源が前記ランプハウジングに前記ブラケットを介してネジやカシメにより固定されること、前記光源が車両の取付面に対して傾斜した状態で固定されていることなどが記載されている。
【0005】
特許文献3には、光源を灯室内の所定の位置に配置させる取付ブラケットを備え、取付ブラケットが、ランプハウジングの外側に固定されている固定部と、ランプハウジングの開口部に嵌合されている嵌合部と、光源が取り付けられている取付部とから構成される車両用ルームランプが開示されている。
また、特許文献3には、前記光源の光軸が車両の取付面に対して傾斜していることが記載されている。
ところで、特許文献2,3には、前記光源がスポット光用であることが記載されており、前記光源はマップランプを構成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−248782号公報(図1〜図8を参照)
【特許文献2】特開2008−49841号公報(特に、段落[0011][0022][0036]、図2,図3を参照)
【特許文献3】特開2008−150008号公報(特に、段落[0020][0025][0027]、図1,図5を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2,3の技術では、マップランプ用の前記光源の光軸を車両の取付面(ルーフ部)に対して傾斜させるため、前記ランプハウジングとは別体に設けられた前記ブラケットに前記光源を取り付けている。
そのため、前記ブラケットの分だけ、車両室内用照明装置の部品点数および重量が増加するという問題がある。
また、前記ブラケットを前記ランプハウジングに組み付けるための工数が必要になり、製造コストが増大するという問題もある。
【0008】
そして、特許文献2,3の技術では、前記ランプハウジングの背面側を基準として前記光源が取り付けられているため、前記光源の前面側にアウタレンズ(意匠ベゼル)を設ける場合に、前記ランプハウジングの背面側とアウタレンズとの間に生じる間隔バラツキを低減しがたく、薄型化に不向きである。
【0009】
ところで、特許文献1に開示されているようなサイドライト型の面状発光装置から成るルームランプには、薄型化可能という優れた特長がある。
しかし、特許文献2,3の技術では、マップランプの薄型化が困難であるため、サイドライト型の面状発光装置から成るルームランプを使用した場合にその特長を活かすことができず、装置全体の薄型化が阻害されるという問題がある。
【0010】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、ルームランプとマップランプとを一体に備えた車両室内用照明装置について、以下の目的を有するものである。
(1)部品点数を少なくして薄型化・軽量化・低コスト化を図ることが可能な車両室内用照明装置を提供する。
(2)部品の取付固定を容易にして低コスト化を図ることが可能な車両室内用照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0012】
[本発明の第1の局面]
第1の局面は、車室内の広い範囲を照明するルームランプ部と、車室内の狭い範囲を照明するマップランプ部とが一体化された車両室内用照明装置であって、
ルームランプ部を背面側から覆うハウジングの平坦部と、
平坦部の端部にて正面側に突出した側壁部と、
側壁部に接続された取付部と、
取付部に開口された開口部と、
側壁部と取付部によって囲まれて形成された取付領域と、
取付領域の内部に配置固定されると共に、開口部から露出する光源部とを備え、
平坦部と側壁部と取付部とが一体形成されてハウジングが構成され、
取付部は平坦部に対して三次元に傾斜して配置され、
光源部から開口部を介して照射されるスポット光の光軸も平坦部に対して三次元に傾斜されている車両室内用照明装置である。
【0013】
第1の局面によれば、前記ブラケットを前記ランプハウジングとは別体に設ける特許文献2,3の技術に比べ、車両室内用照明装置の部品点数を少なくすることが可能になり、軽量化・低コスト化を図ることができる。
また、第1の局面によれば、前記ブラケットを前記ランプハウジングに組み付けるための工数が必要な特許文献2,3の技術に比べ、製造コストを削減できる。
【0014】
そして、第1の局面では、光源部がハウジングに一体形成された取付領域の内部に配置固定されているため、ハウジングの前面側にアウタレンズを設ける場合に、ハウジングの平坦部とアウタレンズとの間に生じる間隔バラツキを低減することが可能であり、マップランプ部を薄型化することが容易である。
さらに、第1の局面では、マップランプ部を薄型化できるため、ルームランプ部に面状発光装置を用いる場合に、面状発光装置の薄型化可能という特長を活かすことが可能であり、車両室内用照明装置全体を薄型化できる。
【0015】
[本発明の第2の局面]
第2の局面は、第1の局面において、
光源部を覆うカバーを備え、
側壁部にカバーの一端を係止させ、その係止点を中心にカバーを回転させ、取付部にカバーの他端を係止させることにより、カバーと取付部との間で光源部が挟持固定される車両室内用照明装置である。
第2の局面によれば、光源部の取付固定が容易であるため、光源部の取付固定に要する製造コストを削減して低コスト化を図ることができる。
【0016】
[本発明の第3の局面]
第3の局面は、第2の局面において、
カバーは熱伝導性の高い材質から成り、
光源部の背面側がカバーに接触し、光源部とカバーが熱的に連結される車両室内用照明装置である。
【0017】
第3の局面によれば、光源部の熱がカバーに伝導されて外部へ放出されるため、光源部に特別な放熱機構(例えば、放熱フィンなど)を設ける必要が無いことから、車両室内用照明装置を小型化・軽量化・低コスト化できる。
尚、ハウジングおよびカバーを導電性材料(例えば、金属材料、導電性樹脂材料など)で形成すれば、光源部に回路基板を備えた場合に、その回路基板はハウジングおよびカバーに囲まれて収容されるため、その回路基板に対して電磁シールドを施すことができる。
【0018】
[本発明の第4の局面]
第4の局面は、第1〜第3の局面において、マップランプ部がルームランプ部の両側に設けられている車両室内用照明装置である。
第4の局面によれば、車室内で2人の乗員に対して、ルームランプ部の両側のマップランプ部からスポット光を照射できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の車両室内用照明装置10の背面図。
【図2】車両室内用照明装置10の縦断面図であり、図1におけるα−α矢線断面図。
【図3】車両室内用照明装置10を背面側(裏面側)から見た要部分解斜視図。
【図4】車両室内用照明装置10の要部断面図であり、図1におけるβ−β矢線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態の車両室内用照明装置10について、図1〜図4を参照して説明する。
【0021】
<実施形態の構成>
車両室内用照明装置10には、ルームランプ部RPとマップランプ部MPa,MPbとが一体化されて備えられている。
車両室内用照明装置10は、各ランプ部RP,MPa,MPb、ハーネス11、コネクタ12、アウタレンズ(意匠ベゼル)13、ハウジング20などから構成されている。
【0022】
車両室内用照明装置10は、全体として扁平横長の略直方体状を成しており、長手方向(図示Y方向)を二分する中心線Lに対して線対称な形状である。
そのため、車両室内用照明装置10において、中心線Lに対して線対称な箇所に設けられた同一構成の部材については、同一の数字符号の末尾に「a」または「b」を付して区別する。
【0023】
車両室内用照明装置10に電源を供給するための配線材から成るハーネス11は、ハウジング20の一方の長辺の略中央に取り付けられ、ハウジング20の内部を通って各ランプ部RP,MPa,MPbに接続されている。
ハーネス11の先端部には、車両の電源配線(図示略)に接続するためのコネクタ12が設けられている。
アウタレンズ13は、ハウジング20の正面側に取付部材(図示略)を介して配置固定されている(図2参照)。
【0024】
ハウジング20は、平坦部21、ルーフ取付部22a,22b、取付孔23、側壁部24a,24b、係止孔25a,25b、マップランプ取付部26a,26b、開口部27a,27b、係合突起部(係合爪部)28a,28b、取付領域29a,29bなどから構成されている。
ハウジング20は、合成樹脂材料の射出成形や金属板のプレス成形などにより一体形成されており、全体として扁平横長の略直方体状を成している。
【0025】
ハウジング20の長手方向(Y方向)の中央には、背面側(裏面側)が平坦な略平板状の平坦部21が設けられている。
平坦部21の長手方向(Y方向)の両側には、背面側が平坦な略平板状のルーフ取付部22a,22bが設けられている。
各ルーフ取付部22a,22bにはそれぞれ、3個の取付孔23が貫通形成されている。
尚、車両室内用照明装置10を車両のルーフ部(図示略)に取付固定するには、各ルーフ取付部22a,22bの正面側から各取付孔23に挿通したネジやクリップ(図示略)により、各ルーフ取付部22a,22bを車両のルーフ部に取付固定する。
【0026】
平坦部21の長手方向(Y方向)の両側には、平坦部21に対して略垂直方向(図示Z方向)に平坦部21の正面側に突出する側壁部24a,24bが接続されている。
各側壁部24a,24bにはそれぞれ、各側壁部24a,24bの長手方向(Y方向)に沿った矩形状の貫通孔から成る係止孔25a,25bが形成されている。
【0027】
ルーフ取付部22aおよび側壁部24aには、3つの壁面を有するマップランプ取付部26aが接続されている。ルーフ取付部22bおよび側壁部24bには、マップランプ取付部26bが接続されている。
各マップランプ取付部26a,26bの底面にはそれぞれ、矩形状の貫通孔から成る開口部27a,27bが形成されている。
各マップランプ取付部26a,26bの端部にはそれぞれ、係合突起部28a,28bが形成されている。
【0028】
マップランプ部MPaを構成する取付領域29aは、側壁部24aとマップランプ取付部26aとに囲まれて形成されている。
マップランプ部MPbを構成する取付領域29bは、側壁部24bとマップランプ取付部26bとに囲まれて形成されている。
【0029】
ルームランプ部RPの背面側は、ハウジング20の平坦部21および各側壁部24a,24bによって覆われている。
ルームランプ部RPは、光半導体型ランプ素子40、導光板41、拡散シート42などから構成された面状発光装置である。
【0030】
光半導体型ランプ素子(発光素子)40は、例えば、LEDランプ素子や有機ELランプ素子などから構成されている。
ランプ素子40は複数個設けられ、各ランプ素子40はハウジング20の側壁部24aの内側に長手方向(図示Y方向)に並べて取付固定されている(図1,図3参照)。
各ランプ素子40には、ハーネス11を介して電源が供給される。
【0031】
平板状の導光板41は、透光性を有する合成樹脂材料から成り、ハウジング20の平坦部21の正面側に取付固定されている。
平板状の拡散シート42は、表面に微細な凹凸を備えた透光性を有する合成樹脂材料から成り、導光板41に対向して配置され、ハウジング20の正面側に取付固定されている。
【0032】
各ランプ素子40から放射された光はそれぞれ、各ランプ素子40に対向して配置された導光板41の端面から導光板41の内部へ入射する。
導光板41に入射した光は導光板41の内部を導光され、一部の光は導光板41の反射面41aに到達し、反射面41aの反対面である発光面41b側へ拡散反射され、その拡散反射光は発光面41b側から放出される。
発光面41b側から放出された光は、発光面41bと拡散シート42の背面との間隙を進行して拡散シート42の背面側に到達し、拡散シート42によって拡散されて拡散シート42の正面側から外部へ放射される。
このように、ルームランプ部RPは、面状光である照明光を生成し、車室内(図示略)の比較的広い範囲を照明する。
【0033】
マップランプ部MPaは、取付領域29a、回路基板50a、光半導体型ランプ素子51a、ハーネス52a、凸レンズ53a、光源部(光源ユニット)54a、カバー55、係合突起部(係合爪部)56、係止孔57などから構成されている。
【0034】
回路基板50aは、光半導体型ランプ素子51aと、そのランプ素子51aを点灯させるための電子回路を構成する電子部品(図示略)とが搭載されたプリント配線基板である。
ハーネス52aはランプ素子51aに電源を供給するための配線材から成り、ハーネス52aの一端側は回路基板50aに接続され、ハーネス52aの他端側はハウジング20の内部でハーネス11に接続されている。
尚、図2では、ハーネス11からハーネス52aを取り外した状態を示してある。
凸レンズ53aは、ランプ素子51aを覆うように回路基板50aに対して取付固定されている。
【0035】
ハーネス52aおよび凸レンズ53aが取付固定された回路基板50aは、凸レンズ53aが車両室内用照明装置10の正面側を向くように取付領域29aの内部に配置されている。
凸レンズ53aの頂面周縁は、マップランプ取付部26aの開口部27aの周縁に当接され、開口部27aから凸レンズ53aの頂面が露出されている。
【0036】
マップランプ部MPaでは、ランプ素子51aから出射された光が凸レンズ53aで集光されることにより、指向角の狭いスポット光が生成され、そのスポット光が開口部27aから光軸(光の照射方向)Kaに沿って照射される(図2参照)。
そのため、マップランプ部MPaは、車室内の比較的狭い範囲を照明する。
【0037】
マップランプ取付部26aの開口部27aが形成された底面は、ハウジング20の平坦部21に対して三次元に傾斜して配置されており、車両室内用照明装置10が取付固定された車両のルーフ部に対しても三次元に傾斜して配置されている。
そのため、ランプ素子51aの光軸Kaについても、ハウジング20の平坦部21に対して三次元に傾斜することになる。
すなわち、図1に示すように、車両室内用照明装置10(ハウジング20)の短手方向(X方向),長手方向(Y方向),上下方向(Z方向)に対して、ランプ素子51aの光軸Kaは、短手方向に対して図示上方向に傾斜し、長手方向に対して図示右方向に傾斜し、上下方向に対して図示下方向に傾斜している。
【0038】
光源部54aは、回路基板50a、光半導体型ランプ素子51a、凸レンズ53aから構成されている(図2参照)。
カバー55は、3つの壁面を有し、上面の端部には係合突起部56が形成され、ハウジング20の側方に対応する側面の下方部分には矩形状の貫通孔から成る係止孔57が形成され、熱伝導性の高い合成樹脂材料の射出成形や金属板のプレス成形などにより一体形成されている。
【0039】
カバー55の係合突起部56が側壁部24aの係止孔25aに挿入されると共に、カバー55の係止孔57にマップランプ取付部26aの係合突起部28aが挿入されることにより、カバー55はハウジング20(側壁部24a、マップランプ取付部26a)に対して取付固定されている。
【0040】
そして、ハウジング20に取付固定されたカバー55により、マップランプ部MPaの各部材(取付領域29a、回路基板50a、光半導体型ランプ素子51a、ハーネス52a、凸レンズ53a)が覆われている。
そのため、回路基板50aの背面側全面がカバー55に接触して押圧され、カバー55とマップランプ取付部26aの間で光源部54aが挟持固定されている。
【0041】
マップランプ部MPbは、取付領域29b、回路基板50b、光半導体型ランプ素子51b、ハーネス52b、凸レンズ53b、光源部54b、カバー60、係合突起部(係合爪部)61、係止孔62などから構成されている。
尚、マップランプ部MPbの各部材(回路基板50b、光半導体型ランプ素子51b、ハーネス52b、凸レンズ53b)については、マップランプ部MPaの各部材(回路基板50a、光半導体型ランプ素子51a、ハーネス52a、凸レンズ53a)と同じであるため説明を省略する。
光半導体型ランプ素子(発光素子)51a,51bは、例えば、LEDランプ素子や有機ELランプ素子などから構成されている。
【0042】
マップランプ部MPbでは、ランプ素子51bから出射された光が凸レンズ53bで集光されることにより、指向角の狭いスポット光が生成され、そのスポット光が開口部27bから光軸(光の照射方向)Kbに沿って照射される(図2参照)。
そのため、マップランプ部MPbは、車室内の比較的狭い範囲を照明する。
【0043】
マップランプ取付部26bの開口部27bが形成された底面は、ハウジング20の平坦部21に対して三次元に傾斜して配置されている。
そのため、ランプ素子51bの光軸Kbについても、ハウジング20の平坦部21に対して三次元に傾斜することになる。
すなわち、図1に示すように、車両室内用照明装置10(ハウジング20)の短手方向(X方向),長手方向(Y方向),上下方向(Z方向)に対して、ランプ素子51bの光軸Kbは、短手方向に対して図示上方向に傾斜し、長手方向に対して図示左方向に傾斜し、上下方向に対して図示下方向に傾斜している。
【0044】
光源部54bは、回路基板50b、光半導体型ランプ素子51b、凸レンズ53bから構成されている(図2参照)。
マップランプ部MPbのカバー60は、マップランプ部MPaのカバー55と対称な形状である。
カバー60は、3つの壁面を有し、上面の端部には係合突起部61が形成され、ハウジング20の側方に対応する側面の下方部分には矩形状の貫通孔から成る係止孔62が形成され、熱伝導性の高い合成樹脂材料の射出成形や金属板のプレス成形などにより一体形成されている。
【0045】
カバー60の係合突起部61が側壁部24bの係止孔25bに挿入されると共に、カバー60の係止孔62にマップランプ取付部26bの係合突起部28bが挿入されることにより、カバー60はハウジング20(側壁部24b、マップランプ取付部26b)に対して取付固定されている。
【0046】
そして、ハウジング20に取付固定されたカバー60により、マップランプ部MPbの各部材(取付領域29b、回路基板50b、光半導体型ランプ素子51b、ハーネス52b、凸レンズ53b)が覆われている。
そのため、回路基板50bの背面側全面がカバー60に接触して押圧され、カバー60とマップランプ取付部26bの間で光源部54bが挟持固定されている。
【0047】
<実施形態の作用・効果>
[1]本実施形態の車両室内用照明装置10は、ルームランプ部RPを背面側から覆うハウジング20の平坦部21と、平坦部21の端部にて正面側に突出した側壁部24a,24bと、側壁部24a,24bに接続されたマップランプ取付部26a,26bと、マップランプ取付部26a,26bに開口された開口部27a,27bとを備える。
また、車両室内用照明装置10は、側壁部24a,24bとマップランプ取付部26a,26bとによって囲まれて形成された取付領域29a,29bの内部に配置固定されると共に、開口部27a,27bから露出する光源部54a,54bを備える。
そして、平坦部21と側壁部24a,24bとマップランプ取付部26a,26bとが一体形成されてハウジング20が構成されている。
また、マップランプ取付部26a,26bは平坦部21に対して三次元に傾斜して配置されているため、光源部54a,54bから開口部27a,27bを介して照射されるスポット光の光軸も平坦部21に対して三次元に傾斜されている。
【0048】
このように、本実施形態では、特許文献2,3の前記ブラケットに相当する取付領域29a,29b(側壁部24a,24b、マップランプ取付部26a,26b)が、平坦部21と一体形成されてハウジング20が構成されている。
そのため、本実施形態によれば、前記ブラケットを前記ランプハウジングとは別体に設ける特許文献2,3の技術に比べ、車両室内用照明装置10の部品点数を少なくすることが可能になり、軽量化・低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、前記ブラケットを前記ランプハウジングに組み付けるための工数が必要な特許文献2,3の技術に比べ、製造コストを削減できる。
【0049】
そして、本実施形態では、光源部54a,54bがハウジング20に一体形成された取付領域29a,29bの内部に配置固定されているため、ハウジング20の平坦部21とアウタレンズ13との間に生じる間隔バラツキを低減することが可能であり、マップランプ部MPa,MPbを薄型化することが容易である。
【0050】
さらに、本実施形態では、マップランプ部MPa,MPbを薄型化できるため、ルームランプ部RPに面状発光装置を用いる場合に、面状発光装置の薄型化可能という特長を活かすことが可能であり、車両室内用照明装置10全体を薄型化できる。
【0051】
[2]本実施形態において、カバー55をハウジング20(側壁部24a、マップランプ取付部26a)に取付固定する際には、まず、図4(A)に示すように、カバー55の係合突起部56をハウジング20の側壁部24aの係止孔25aに挿入して係止させ、次に、係止孔25aに挿入した係合突起部56を中心にカバー55を矢印γ方向に回転させる。
そして、図4(B)に示すように、カバー55の係止孔57にマップランプ取付部26aの係合突起部28aを挿入して係止させる。
尚、カバー60をハウジング20(側壁部24b、マップランプ取付部26b)に取付固定する際にも同様の操作を行う。
【0052】
すなわち、本実施形態は、光源部54a,54bを覆うカバー55,60を備え、側壁部24a,24bにカバー55,60の一端である係合突起部56を係止させ、その係止点を中心にカバー55,60を回転させ、マップランプ取付部26aにカバー55,60の他端である係止孔57を係止させることにより、カバー55,60とマップランプ取付部26a,26bとの間で光源部54a,54bが挟持固定される。
【0053】
従って、本実施形態によれば、光源部54a,54bの取付固定が容易であるため、光源部54a,54bの取付固定に要する製造コストを削減して低コスト化を図ることができる。
【0054】
[3]本実施形態では、光源部54a,54bの回路基板50a,50bの背面側全面が、熱伝導性の高い材質から成るカバー55,60に接触し、光源部54a,54bとカバー55,60が熱的に連結される。
【0055】
従って、本実施形態によれば、光源部54a,54bの熱がカバー55,60に伝導されて外部へ放出されるため、光源部54a,54bに特別な放熱機構(例えば、放熱フィンなど)を設ける必要が無いことから、車両室内用照明装置10を小型化・軽量化・低コスト化できる。
【0056】
尚、ハウジング20およびカバー55,60を導電性材料(例えば、金属材料、導電性樹脂材料など)で形成すれば、光源部54a,54bの回路基板50a,50bはハウジング20およびカバー55,60に囲まれて収容されるため、回路基板50a,50bに対して電磁シールドを施すことができる。
【0057】
[4]本実施形態では、ルームランプ部RPの長手方向(Y方向)の両側にそれぞれマップランプ部MPa,MPbが設けられている。
従って、本実施形態によれば、車室内で2人の乗員に対して、各マップランプ部MPa,MPbからスポット光を照射できる。
【0058】
ところで、本発明は、[発明を実施するための形態]の記載に何ら限定されるものではない。[特許請求の範囲]の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0059】
10…車両室内用照明装置
RP…ルームランプ部
MPa,MPb…マップランプ部
20…ハウジング
21…平坦部
24a,24b…側壁部
26a,26b…マップランプ取付部
27a,27b…開口部
29a,29b…取付領域
54a,54b…光源部
Ka,Kb…光軸
55,60…カバー
56,61…カバー55,60の係合突起部
25a,25b…側壁部24a,24bの係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の広い範囲を照明するルームランプ部と、車室内の狭い範囲を照明するマップランプ部とが一体化された車両室内用照明装置であって、
前記ルームランプ部を背面側から覆うハウジングの平坦部と、
前記平坦部の端部にて正面側に突出した側壁部と、
前記側壁部に接続された取付部と、
前記取付部に開口された前記開口部と、
前記側壁部と前記取付部によって囲まれて形成された取付領域と、
前記取付領域の内部に配置固定されると共に、前記開口部から露出する光源部と
を備え、
前記平坦部と前記側壁部と前記取付部とが一体形成されてハウジングが構成され、
前記取付部は平坦部に対して三次元に傾斜して配置され、
前記光源部から前記開口部を介して照射されるスポット光の光軸も前記平坦部に対して三次元に傾斜されていることを特徴とする車両室内用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両室内用照明装置において、
前記光源部を覆うカバーを備え、
前記側壁部に前記カバーの一端を係止させ、その係止点を中心に前記カバーを回転させ、前記取付部にカバーの前記他端を係止させることにより、前記カバーと前記取付部との間で前記光源部が挟持固定されることを特徴とする車両室内用照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両室内用照明装置において、
前記カバーは熱伝導性の高い材質から成り、
前記光源部の背面側が前記カバーに接触し、前記光源部と前記カバーが熱的に連結されることを特徴とする車両室内用照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両室内用照明装置において、
前記マップランプ部が前記ルームランプ部の両側に設けられていることを特徴とする車両室内用照明装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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