説明

車両接近通報装置

【課題】本発明は、携帯端末装置を利用中、歩行者が、携帯端末装置を通して、的確に接近車両の認識が行える車両接近通報装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車両1が、車両位置が検出可能な車両位置検出手段4と車両位置を送信する車両情報送信手段5とを有し、携帯端末装置10が、歩行者の現在位置と歩行者の向きとを検出する歩行者検出手段13,15と、車両情報送信手段からの送信を受け、車両の位置と歩行者の現在位置とから歩行者に接近する車両を検出する接近車両検出手段14,17と、歩行者の向きおよび接近車両にしたがい、歩行者を基準とした接近車両の車両存在方向に仮想音源を形成する仮想音源形成部19と、仮想音源からの音声信号を左右のイヤホン部から出力させる通報出力部29とを有する構成とした。同構成により、歩行者が携帯端末装置を利用中、接近車両があると、同車両の存在位置にならうよう仮想音源が形成され、イヤホン部から仮想音源が車両の存在する方向から出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者に、携帯端末装置を通じて、接近する車両を通報する車両接近通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、街中などでは、携帯音楽プレーヤなど携帯端末装置を携帯して、音楽など情報を聴きながら歩くことが見られる。
多くは、歩行者の耳にイヤホン部(ヘッドホーンを含む)を着けて、個人的に音楽などを聴いているため、周囲の音がほとんど聞き取れない。このため、接近する車両に気付かないことが多々あり、車両に対する安全性が確保しにくい。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されているような車両から、歩行者の利用する携帯音楽プレーヤへ警告音信号を送信して、車両の接近を歩行者に伝達する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009− 78632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、同技術は、単に携帯音楽プレーヤから警告音を発音させるだけなので、車両がどの方向から接近するかが認識しにくい。
そこで、本発明の目的は、携帯端末装置を利用中、歩行者が、携帯端末装置を通して、的確に接近車両の認識が行える車両接近通報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両接近通報装置は、車両は、車両位置が検出可能な車両位置検出手段と、同車両位置を送信する車両情報送信手段とを有し、携帯端末装置は、携帯した歩行者の現在位置と同歩行者の向きとを検出する歩行者検出手段と、車両情報送信手段からの送信を受け、車両の位置と歩行者の現在位置とから歩行者に接近する車両を検出する接近車両検出手段と、歩行者の向きおよび接近車両にしたがい、歩行者を基準とした接近車両の車両存在方向に仮想音源を形成する仮想音源形成部と、形成される仮想音源からの音声信号を左右のイヤホン部から出力させる通報出力部とを有して構成されるものとした。
【0007】
同構成によると、歩行者が携帯端末装置を利用中、歩行者に接近する車両があると、同接近車両の存在位置にならうよう仮想音源が形成され、利用する左右のイヤホン部から仮想音源の音が通報音として、車両の存在する方向から出力される。これにより、歩行者は、携帯端末装置の利用中、どの方向から接近車両が接近するのかが認識される。
請求項2に記載の発明は、さらに接近車両が明瞭に認識しやすいよう、接近車両検出手段は、歩行者と接近する車両との相対位置を算出する算出手段を有し、仮想音源形成部は、歩行者の向き、算出された相対位置および接近車両の検出にしたがい、歩行者を基準とした接近車両の車両存在方向に仮想音源を形成するものとした。
【0008】
請求項3に記載の発明は、さらに接近車両が認識しやすいよう、接近車両検出手段は、歩行者と最も近い車両を選択して、接近車両を検出することとした。
請求項4に記載の発明は、さらに接近車両が、音の違いから、どのような車両であるのかが分かるよう、車両情報送信手段は、車両位置の送信とともに、車両の車格を示す車格情報を送信するものとし、仮想音源形成部で形成される仮想音源を、車格情報に応じた車両音で形成されることとした。
【0009】
請求項5に記載の発明は、さらに車両位置検出手段、歩行者検出手段の位置検出精度を有効に用いた対応が行えるよう、仮想音源形成部で形成される仮想音源は、車両位置検出手段における車両位置の位置検出精度と、歩行者検出手段における歩行者位置の位置検出精度とにしたがい音声信号が制御されることとした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、歩行者が携帯端末装置を利用中、歩行者に接近する車両があると、接近車両が存在する方向に仮想音源が形成され、利用する左右のイヤホン部から仮想音源からの音が通報音として、車両の存在する方向から出力される。
したがって、歩行者は、携帯端末装置の利用中、携帯端末装置を通して、的確にどの方向から接近車両が接近するのかを認識することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、さらに歩行者は、接近車両を明瞭に認識することができる。
請求項3の発明によれば、さらに歩行者は、接近車両が認識しやすくなる。
請求項4の発明によれば、さらに歩行者は、接近車両が、音の違い(車格の違い)から、どのような車両であるのかが分かり、一層、認識が深まる。
請求項5の発明によれば、さらに車両位置検出手段、歩行者検出手段の位置検出精度を有効に用いた対応ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両接近通報装置の構成を示すブロック図。
【図2】同装置の接近車両の存在を歩行者へ通報する制御を示すフローチャート。
【図3】図2に続く制御を示すフローチャート。
【図4】同通報音が車両にならい移動しながら歩行者へ伝えられる状況を説明する図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る要部となる車両接近通報装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図1〜図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は車両接近通報装置の全体構成を示し、図2および図3は同装置の制御を示し、図4は同制御される仮想音源の伝わるイメージを示している。
図1に示されるように車両接近通報装置は、車両(自動車)1と、歩行者が携帯可能な携帯端末装置である、例えば携帯音楽プレーヤ10との組み合わせから構成される。
【0014】
このうち車両1は、図1に示されるように通常の運転に必要な各種装置に加え、自車両の位置を検出するGPS装置4(本願の車両位置検出手段に相当)や車両情報送信部5(本願の車両情報送信手段に相当)などを搭載した構成となっている。
具体的には、GPS装置4は、GPS衛星(複数)からのGPS信号を受信するGPS信号受信部4aと、設定された地図情報と上記GPS信号とにしたがい現在の自車両位置を算出する現在位置算出部4bとを有して構成される。また車両1には、自車両の車格、例えば軽自動車、小形乗用車、トラックなど車格を示す車種別の車格情報を格納した車格情報部6が設けられている。車両情報送信部5は、上記算出された自車両位置や上記自車両の車格情報を車外へ送信するものである。その送信範囲は、所定の範囲内(例えば自車両を中心とした15〜20m範囲)である。
【0015】
携帯音楽プレーヤ10は、図1に示されるように通常の音楽再生に必要な音楽プレーヤ部11に加え、携帯音楽プレーヤ10を携帯した歩行者の現在の位置を検出するGPS装置13(本願の歩行者検出手段に相当)や上記車両1の車両情報送信部5から送信される信号を受信する車両情報受信部14(本願の接近車両検出手段に相当)が設けられている。
【0016】
GPS装置13は、GPS衛星(複数)からのGPS信号を受信するGPS信号受信部13aと、設定された地図情報と上記GPS信号とにしたがい現在の歩行者の位置を算出する現在位置算出部13bとを有して構成される。
携帯音楽プレーヤ10内には、携帯した歩行者の向き(身体の前後)を検出する歩行者向き検出部15(GPS装置13と共に本願の歩行者検出手段を構成)が設けられている。同歩行者向き検出部15は、例えば加速度センサから構成される。
【0017】
また携帯音楽プレーヤ10内には、車両情報受信部14から受信される車両1の現在位置(歩行者周辺に存在)と、現在位置算出部13bからの歩行者の現在位置とから、歩行者に対する車両1の相対位置を算出する相対位置計算部17(本願の接近車両検出手段を構成)が設けられ、歩行者に接近する車両1を検出、さらに述べれば歩行者向き検出部15で検出される歩行者の向き信号と合わせて、車両1がどの方向から歩行者へ接近するかの検出が行える構造にしている。特に相対位置計算部17には、混乱を招かないよう、歩行者と相対位置が最も近い車両1を選択する機能も設定してある。
【0018】
さらに携帯音楽プレーヤ10内には、接近車両1の存在する位置に合わせて仮想音源を形成する車両接近通報音声信号制御部19(本願の仮想音源形成部に相当)が設けられている。車両接近通報音声信号制御部19は、歩行者の向き、接近車両1の現在位置から、歩行者を基準に接近車両1の存在方向に、通報音となる、車両1を仮想した仮想音源を形成する機能をもつ。
【0019】
特に車両接近通報音声信号制御部19は、歩行者と接近車両1との相対位置(相対距離)を算出し得るGPS精度が確保された場合、仮想音源は、同相対位置で検出される車両存在位置に形成されるものとしている。ここでは、歩行者で的確に車両接近が認識されるよう、仮想音源は、車両1の進行方向前端部に形成するものとしている。
仮想音源には、どのような接近車両なのかの認識が行えるよう、車両1の車格に応じた車両音を用いている。このため、携帯音楽プレーヤ10内には、予め車両1の車格別の全ての音声データを格納した車格別音声データ部20が設けられ、車両情報受信部14から受信される車格情報により、接近車両1に該当する車格の音声データが選ばれ、実際の接近車両の車両音と合致した仮想音源が形成されるようにしてある。
【0020】
特に仮想音源の形成は、GPS精度である、GPS装置4(車両1)の位置検出精度、GPS装置13(携帯音楽プレーヤ10)の位置検出精度の影響を受けるため、これら位置検出精度に応じて、自動的に仮想音源の音声信号を制御する処理がとられている。
具体的には、GPS装置4,13における位置検出精度は、GPS衛星の数や高層ビルが密集する地域や上方が開けていない場所などで、変動する。つまり、GPS装置4,13の利用は、歩行者と車両との相対位置(相対距離)の検出ができるとき、車両の接近方向の検出ができるとき、両者ができないときなど、さまざまな状況が生じることが予想される。このため、車両接近通報音声信号制御部19には、例えばGPS装置4,13の位置検出精度(GPS精度)を4つのクラス(例えば上位からクラスS、クラスA、クラスB、クラスC)分け、上位の相対距離、車両の接近方向の設定が可能な精度を有するクラス以上(ここでは車両と携帯音楽プレーヤ10の双方がクラスA以上)は、車両との相対距離および車両の接近方向にしたがい仮想音源を形成し、中位の車両の接近方向だけが設定可能な精度のクラス(ここでは、車両と携帯音楽プレーヤ10の双方がクラスBまたはどちらかがクラスB)は、車両の接近方向にしたがい仮想音源を形成し、それ以下のクラスは、音の変化の無い設定(一定の音)にしている。
【0021】
携帯音楽プレーヤ10には、仮想音源からの音声(通報音)を、ヘッドホーン27の左右のイヤホン部28へ出力させる音声信号出力部29が内蔵され、ヘッドホーン27を装着する歩行者に、接近車両の車両存在方向や接近車両の車両存在位置に存在する接近車両の車両音が伝えられるようにしている。むろん、歩行者は、再生している音楽も聴こえるよう、携帯音楽プレーヤ10には、再生中の音楽の音声信号に、制御している仮想音源の音声信号を合成させる音声信号合成部29(音声信号出力部と共に、本願の通報出力部を構成)が設けられている。
【0022】
さらに車両接近通報音声信号制御部19には、通報を止める制御も設定されている。同制御は、例えば車両1からの受信が途絶し、途絶した時間が所定時間続くと、車両1が歩行者を通過したと判定して、車両音の出力を終える機能(通報終了手段)で設定され、これで適切に通報が果たされるようにしている。
図2および図3には、こうした接近車両の通報を行う制御フローチャートが示されている。
【0023】
同フローチャートを説明すると、今、例えば図4中のA1〜A3に示されるように携帯音楽プレーヤ10を携帯した歩行者αがT形の路上を歩行するとする。
ここで、携帯音楽プレーヤ10の電源スイッチ(図示しない)はオンされ、歩行者αは、頭部に装着したヘッドホーン27を通して、再生音楽を聴きながら路上を歩行している。つまり、歩行者αは、ヘッドホーン27からの音声により、周囲の音が聞き取りにくく、車両1の存在に気付きにくい状況で歩行している。
【0024】
このとき携帯音楽プレーヤ10では、先の電源スイッチのオン操作にしたがい、図2および図3に示される接近車両に対し通報を行う制御が始まる。
すなわち、図1に示されるように電源スイッチがオン操作されると、ステップS1からステップS2へ進み、まず、GPS衛星からのGPS信号をGPS信号受信部13aから受信する。続くステップS3により、同GPS信号受信部13aを用いて、GPS信号の数や受信環境などから、GPSの位置検出精度を判定(クラスS〜クラスCのいずれか)し、同判定したGPS精度を記憶する。
【0025】
続くステップS4にて、現在位置算出部13bにより、受信したGPS信号と予め設定された地図情報とにもとづき、携帯音楽プレーヤ10の位置、すなわち歩行者αの現在位置を算出する。ついで、車両情報が受信するか否かを判定するステップS5へ進む。
路上を走行している車両1の車両情報送信部5からは、同車両1に搭載のGPS装置4で算出した現在の車両位置や、同車両1の車格を表す車格情報、例えば軽自動車を示す符号や車両側のGPS精度(GPSの位置検出精度)などが送信され続けている。ここで、車両情報送信部5の送信範囲は限られている。
【0026】
このため、携帯音楽プレーヤ10は、上記車両情報が受信可能な範囲内に車両1が存在すると、すなわち歩行者αに車両1が近づき始めると、車両1から車両情報である、車両1の現在位置、車格(軽自動車)、GPSの位置検出精度などを受信する。受信すると、ステップS6へ至り、歩行者αと車両1との相対位置を算出する。
ここで、複数の車両が存在するような場合、混乱をきたさないよう、車両を特定することが求められる。そのため、つぎのステップS7は、各車両との相対位置のうち、最も歩行者αに近い相対位置にある車両1を選択する。
【0027】
ついで、携帯音楽プレーヤ10は、ステップS8以降の仮想音源を形成するルーチンへ進む。
すなわち、ステップS8においては、どれだけ接近車両に近い仮想音源が得られるかの判定のために、まず、歩行者αと車両1とのGPS精度のクラス(クラスS、クラスA、クラスB、クラスC)の組み合わせを選定する。具体的には、歩行者αのGPS精度、車両1のGPS精度の双方が共に、歩行者と車両との相対位置(相対距離)、車両の接近方向を高精度で検出可能な「クラスA以上」と、接近車両の接近方向が高精度で検出可能な歩行者αのGPS精度および車両1のGPS精度の双方またはどちらかが「クラスB」と、それ以外の歩行者αのGPS精度となる、車両1のGPS精度の双方またはどちらかが「クラスC」とに分ける。
【0028】
双方がクラスA以上の場合は、ステップS9へ進み、歩行者向き検出部15から歩行者αの向き(進行方向前後)の情報を受け取る。続くステップS10における音声信号の制御により、車格に応じた車両音(軽自動車)の音声で、歩行者αとの相対距離、車両1の接近方向がもたらす車両存在位置に、同存在位置に車両が存在するような仮想音源Gを形成する(図4)。さらに述べれば車両1の進行方向先端となる位置に仮想音源Gを形成する(図4)。この仮想音源Gの音声信号が、図3中のステップS11のように再生中の音楽に合成される。この合成した音声信号が、ステップS12に示されるようにヘッドホーン27の左右のイヤホン部28から出力され、仮想音源G(車両音)によって、歩行者αに車両1の存在が伝えられる。
【0029】
この接近車両1が存在する方向に形成される仮想音源Gにより、歩行者αは、再生音楽により接近車両の車両音が聴き難くとも、どの方向から接近する車両1かが認識できる。例えば図4中の「A1」に示されるように歩行者αは、左右のイヤホン部28から伝わる仮想音源Gの音声から、車両存在方向から次第に車両1が接近する状況が伝わり、さらに「A2」のような車両存在方向から歩行者αに最も接近する状況が伝わり、最後に「A3」のように車両存在方向から車両1が歩行者αを通過する状況が伝わる。
【0030】
双方またはどちらかがクラスBの場合は、ステップS13へ進み、歩行者向き検出部15から歩行者αの向き(進行方向前後)の情報を受け取り、続くステップS14において、車格に応じ車両音(軽自動車)の音声信号を制御して、車両1の接近する方向に仮想音源Gを形成する(相対位置を算出するのに必要な精度が得られないため)。この仮想音源Gの音声信号が、同様にステップS11,S12を経て、ヘッドホーン27の左右のイヤホン部28から出力され、車両接近方向から接近する車両1の存在が歩行者αに伝わる。
この仮想音源Gの音声により、接近車両の車両音が聴き難くとも、歩行者αは、どの方向から接近する車両1かが認識できる。
【0031】
接近車両1は、少なくとも車両1の存在する車両存在方向(車両接近方向)に仮想音源Gが形成されていれば十分に認知できる。
双方またはどちらかがクラスCの場合は、ステップS15へ進み、車格の車両音(軽自動車)が、ヘッドホーン27の左右のイヤホン部28から出力されるだけとなる。
なお、ステップS16〜S18に示されるように接近車両からの車両情報の受信が途絶し、連続して途絶した時間が所定時間T以上になると、接近車両が歩行者αを通過し、車両1の送信域外にまで移動したと判定して、ステップS19のように仮想音源Gの形成を取り止め、同仮想音源Gの音声信号の合成を終了する。
【0032】
したがって、携帯音楽プレーヤ10に、接近車両が存在する方向に仮想音源Gを形成することにより、歩行者αは、携帯音楽プレーヤ10の利用中、速やかにどの方向から接近車両が接近するのかが認識でき、接近車両に対する歩行者αの安全性の向上を図ることができる。特に歩行者αと接近する車両1との相対位置(相対距離)を算出して仮想音源Gを形成することにより、歩行者αと接近車両との相対距離に応じた仮想音源Gが形成でき、一層、接近車両が認識しやすくなり、より的確に接近車両の存在位置を認識できる。このため、一層、安全性の向上が図れる利点をもたらす。
【0033】
しかも、接近車両を検出するに際し、歩行者1との相対位置から最も近い車両を選択する制御を用いたことにより、歩行者αに対し接近する車両が複数ある場合、歩行者αは混乱せずに接近車両を特定でき、接近車両が認識しやすくなる。
そのうえ、仮想音源Gを、車格情報に応じた車両音で形成すると、どのような車両が接近するかが分かり、一層、接近車両の認識が深まる。
【0034】
さらに、車両1のGPS装置4の位置検出精度(GPS精度)と、携帯音楽プレーヤ10の位置検出精度(GPS精度)とにしたがい仮想音源Gの音声信号を制御したことにより、これら位置検出精度を有効に用い、同精度に応じた仮想音源Gが形成でき、車両1側、携帯音楽プレーヤ10側の位置検出精度を有効に用いた対応ができる。
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0035】
本実施形態は、第1の実施形態の変形例で、第1の実施形態で挙げた車格情報を格納しておく車格別音声データ部を携帯音楽プレーヤ側でなく、車両側に設けたものである。具体的には、図5に示されるように車両1側に車両接近通報音声信号データ部30を設けて、同データ部30に、車両の車格、例えば軽自動車、小形乗用車、トラックなど車格を示す車種別の車格情報と、同車格車両の音声データとを格納し、走行中、車両情報送信部5から、これら車両情報を送信するようにしたものである。
【0036】
このようにしても上述した第1の実施形態と同様の効果を奏する。但し、図5において第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略した。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、携帯端末装置として携帯音楽プレーヤを用いた例を挙げたが、これに限らず、他の歩行者が携帯可能な携帯端末装置に本発明を適用しても構わない。むろん、ヘッドホーンに限らず、他の左右対のイヤホンを用いて、情報を聴取する携帯端末装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 車両
4 GPS装置(車両位置検出手段)
5 車両情報送信部(車両情報送信手段)
10 携帯音楽プレーヤ(携帯端末装置)
13,15 GPS装置,歩行者向き検出部(歩行者検出手段)
14,17 車両情報受信部,相対位置計算部、(接近車両検出手段)
19 車両接近通報音声信号制御部(仮想音源形成部)
28 イヤホン部
29 音声信号出力部(通報出力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のイヤホン部から情報が聴取可能な携帯端末装置を有し、同携帯端末装置を利用した歩行者に、前記携帯端末装置を通じて、歩行者に対し接近する車両を通報する車両接近通報装置であって、
前記車両は、車両位置が検出可能な車両位置検出手段と、同車両位置を送信する車両情報送信手段とを有し、
前記携帯端末装置は、
前記携帯端末装置を携帯した歩行者の現在位置と同歩行者の向きとを検出する歩行者検出手段と、
前記車両情報送信手段からの送信を受け、前記車両の位置と前記歩行者の現在位置とから、歩行者に接近する車両を検出する接近車両検出手段と、
前記歩行者の向きおよび前記接近車両の検出にしたがい、前記歩行者を基準とした接近車両の車両存在方向に仮想音源を形成する仮想音源形成部と、
前記形成される仮想音源からの音声信号を前記左右のイヤホン部から出力させる通報出力部とを有して構成される
ことを特徴とする車両接近通報装置。
【請求項2】
前記接近車両検出手段は、前記歩行者と前記接近する車両との相対位置を算出する算出手段を有し、
前記仮想音源形成部は、前記歩行者の向き、前記算出された相対位置および前記接近車両の検出にしたがい、前記歩行者を基準とした接近車両の車両存在方向に仮想音源を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両接近通報装置。
【請求項3】
前記接近車両検出手段は、前記歩行者と最も近い車両を選択して、接近車両を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両接近通報装置。
【請求項4】
前記車両情報送信手段は、前記車両位置の送信とともに、前記車両の車格を示す車格情報を送信し、
前記仮想音源形成部で形成される仮想音源は、前記車格情報に応じた車両音で形成される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の車両接近通報装置。
【請求項5】
前記仮想音源形成部で形成される仮想音源は、前記車両位置検出手段における車両位置の位置検出精度と、前記歩行者検出手段における歩行者位置の位置検出精度とにしたがい音声信号が制御される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の車両接近通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−8308(P2013−8308A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142019(P2011−142019)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】