説明

車両用の空気清浄器

【課題】省エネで、照明を有効利用できる、照明機能付きの車両用の空気清浄器を提供する。
【解決手段】車両用の空気清浄器1は、ファン20と、ファン20により循環される空気が通過するフィルタ31a、31bおよび33と、照明用の光源であるLED51aおよび51bと、光源51aおよび51bを制御可能な制御ユニット71とを有する。制御ユニット71は、車両のドアの開閉と連動して、光源51aおよび51bをオンおよびオフするドア連動機能41と、車両のエンジンが停止中は、ドア連動機能41により車両のドアの開に対応して光源51aおよび51bを所定の時間だけオンすると、その後、光源51aおよび51bを強制的にオフする省電力機能42とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用の光源を有する車両用の空気清浄器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用空気清浄器が開示されている。この車両用空気清浄器は、除塵フィルタ及び脱臭フィルタを備え、除塵フィルタ及び脱臭フィルタの少なくとも一方は、マイナスイオンを発生させる機能を備えている。この車両用空気清浄器は、車両の天井に取り付けることができる。
【0003】
特許文献2には、照明器具に内蔵された空気清浄機が開示されている。この空気清浄機は、天井取り付け型の照明器具本体の中に組み込まれている。この空気清浄機は、照明器具の上部周縁部に吸気口を持ち、照明器具の下部中央に排気口を持っている。
【特許文献1】特開2004−262309号公報
【特許文献2】特開2002−113317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の室内天井に取り付けられるような車両用の空気清浄器としては、空気を清浄する機能だけでなく、車内を照明する機能を有するものが求められている。さらに、その照明は、エンジンが稼動しているときに加え、エンジンが停止しているときに使用可能であることが望ましい。しかしながら、エンジンが停止しているときに照明によりバッテリーの電力を消費しすぎると、バッテリーがあがってしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態は、車両の室内天井に取り付け可能な車両用の空気清浄器である。この空気清浄器は、ファンと、このファンにより循環される空気が通過する少なくとも1つのフィルタと、照明用の光源と、この照明用の光源を制御可能な制御ユニットとを有する。この制御ユニットは、以下の機能を含む。
(a1)車両のドアの開閉と連動して、照明用の光源をオンおよびオフする機能(ドア連動機能)。
(a2)車両のエンジンが停止中は、ドア連動機能により車両のドアの開に対応して照明用の光源を所定の時間だけオンすると、その後、照明用の光源を強制的にオフする機能(省電力機能)。
【0006】
この空気清浄器によれば、照明用の光源を含んでおり、空気を清浄するために機能させるとともに、照明用の光源を点灯させることにより車内用の照明として機能させることができる。
【0007】
また、この空気清浄器によれば、制御ユニットが、車両のドアの開閉と連動して、照明用の光源をオンおよびオフするドア連動機能を有しているため、ドアを開けたときに自動的に照明用の光源を点灯させることができる。この空気清浄器によれば、内蔵された光源を、照明が必要とされる可能性が高い、ドアが開のときに限り、選択的に自動点灯できるため、省エネであり、照明効果も高い。
【0008】
この空気清浄器によれば、制御ユニットが、さらに、車両のエンジンが停止中は、ドア連動機能により車両のドアの開に対応して照明用の光源が所定の時間だけオンすると、その後、照明用の光源を強制的にオフする省電力機能を有している。このため、エンジンが停止中であっても、光源によりバッテリーの電力を消費しすぎることが抑制される。したがって、さらに省エネであり、しかも、バッテリーあがりを抑止することができる。また、エンジンが停止中に半ドアの状態になり、照明用の光源が点灯していることにより引き起こされるバッテリーあがりを抑止できる。
【0009】
この空気清浄器において、制御ユニットは、さらに、以下の機能を含むことが好ましい。
(a3)省電力機能により照明用の光源を強制的にオフする前に、照明用の光源を点滅させる機能。
【0010】
また、この空気清浄器において、当該空気清浄器が、音源、すなわち、音を出力する手段をさらに有する場合、制御ユニットは、さらに、以下の機能を含むことが好ましい。
(a4)省電力機能により照明用の光源を強制的にオフする前に、音源により警告音を出力させる機能。
【0011】
制御ユニットに(a3)の機能および/または(a4)の機能を持たせることにより、仮に、ユーザが車両に乗車中であって照明を必要としている場合や、ユーザが車両を乗り降りしている途中などであっても、照明が消灯する前に、ユーザにその消灯を知らせることができる。
【0012】
本発明の他の態様は、車両の室内天井に取り付け可能であり、照明用の光源を有する車両用の空気清浄器の照明用の光源を制御ユニットにより制御する方法である。この方法は、以下の操作(動作(工程))を含む。
(b1)車両のドアの開閉と連動して、照明用の光源をオンおよびオフすること。
(b2)車両のエンジンが停止中は、車両のドアの開に対応して照明用の光源を所定の時間だけオンすると、その後、照明用の光源を強制的にオフすること。
【0013】
この方法によれば、空気清浄器の照明用の光源を、ドアを開けたときに自動的に点灯させることができる。また、車両のエンジンが停止中は、車両のドアの開に対応して照明用の光源を所定の時間が経過した後に強制的にオフできる。したがって、照明付きの車両用空気清浄器において、照明を効果的に、また、バッテリーの電力を消費しすぎることなく利用できる。
【0014】
この方法は、さらに、以下の操作(動作(工程))を含むことが好ましい。
(b3)照明用の光源を強制的にオフする前に、照明用の光源を点滅させること。
【0015】
また、空気清浄器が、音源(音を出力する手段)をさらに有する場合、この方法は、さらに、以下の操作(動作(工程))を含むことが好ましい。
(b4)照明用の光源を強制的にオフする前に、音源により警告音を出力させること。
【0016】
(b3)の動作および/または(b4)の動作を行うことにより、仮にユーザが車両に乗車中であり、照明を必要としている場合や、ユーザが車両を乗り降りしている途中などであっても、照明が消灯する前に、ユーザにその消灯を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明の一実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用の空気清浄器1が、車内天井100に取り付けられた状態を、斜視図により示している。
【0018】
図1に示すように、この車両用の空気清浄器1は、全体が、平面略長方形状で、扁平な形状である。この空気清浄器1は、扁平な形状のケース10と、ケース10の中央を覆うカバー60と、このカバー60に続きケース10の長手方向の両側を覆うフィルタカバー61および62とを備えている。空気清浄器1のケース10は、自動車などの車両の室内天井、例えば、ルーフライニング(天井材)100の内部の梁に固定することができる。そして、ルーフライニング100によりケース10の側面をカバーすることにより、空気清浄器1を天井に好適に取り付けることができる。そして、以下の図2に示すように、カバー60〜62を取り外すことにより、簡単に、除塵フィルタ31aおよび31b、脱臭フィルタ33の交換を含む、種々のメンテナンスを行うことができる。
【0019】
また、図1に示すように、この空気清浄器1は、内部中央に光源ユニット50を内蔵している。光源ユニット50は、空気清浄器1の動作モードを、カバー60の一部60aを透過した光の色により示す機能を有している。また、光源ユニット50は、照明としての機能を備えており、左右両側の一対のスリット状の隙間Sから照明用の光を間接的に放射する。したがって、この空気清浄器1を、車両の車内天井100に取り付けることにより、空気清浄器として機能させるとともに、車内用の照明(ルームランプ)として機能させることができる。
【0020】
図2は、空気清浄器1の分解斜視図であって、ケース10からカバー60〜62を取り外し、空気清浄器1をメンテナンスする状態を示している。図3は、空気清浄器1のさらに詳しい分解斜視図であって、空気清浄器1を構成する主なパーツを展開した状態で示している。なお、図2は、空気清浄器1を車内天井100に取り付けた状態において、イオン発生装置32が図面の右側に位置する方向から示しており、図3は、空気清浄器1を車内天井100に取り付けた状態において、イオン発生装置32が図面の左側に位置する方向から示している。
【0021】
この空気清浄器1は、扁平な形状のケース10と、ケース10の中央に収納されたファン20と、このファン20により空気が循環される際に、その空気が通過するフィルタ31a、31bおよび33と、イオン発生装置32とを有している。さらに、空気清浄器1は、ファン20の吸引口81と重なるように設けられた光源ユニット50と、光源ユニット50から発せられた光をスリット状の隙間Sへ導く導光部材59と、ケース10の中央を覆うカバー60と、このカバー60に続きケース10の長手方向の両側を覆うフィルタカバー61および62と、制御装置75を含むメイン基板70とを有している。
【0022】
ケース10は、車内天井100に取り付けられる本体ケース(天井側ケース)11と、この本体ケース11に取り付けられる枠状部材(ベルマウスケース)12とを備えている。枠状部材12の長手方向の外壁面には、メインスイッチ13と、照明スイッチ14とが設けられている。これらスイッチ13および14は、メイン基板70と電気的に接続されている。メイン基板70には、制御装置75が搭載されている。空気清浄器1は、メインスイッチ13により制御される。
【0023】
ケース10の本体ケース(天井側ケース)11は、車両の車内天井100に取り付け可能に形成されている。ケース10の枠状部材(ベルマウスケース)12は、カバー60〜62との間に、空気を吸込むためのベルマウス状の空間を形成するようになっている。具体的には、枠状部材12を長手方向と直交する方向に切断した断面は、両側12aが下方に突き出し(張り出し)、中央側12bが上方に凹んだベルマウス状になっている。このベルマウス状の部分をカバー60〜62で覆うことにより、枠状部材12のコーナー部分15とカバー60〜62の縁との間に形成されたスリットSから空気を吸込んでファン20に供給する経路が形成される。さらに、スリットSを形成するコーナー部分15には、光源ユニット50から導光部材59を介して供給された光が当たり、スリットSから外部を間接的に照明する部分となる。
【0024】
ファン20は、例えば、中央から吸気した空気を外周方向に吹き出すシロッコタイプのファンであり、ケース10のほぼ中央に、天井側ケース11と、ベルマウスケース12とにより挟まれた状態で設置され、ケース10に収納されている。ファン20は、天井側ケース11の天井側に取り付けられたモータ21により回転駆動され、天井側ケース11とベルマウスケース12との間に構成される経路Pを通過する空気の流れを形成する。ファン20は、扁平な形状のケース10の内部に回転軸20aがケース10を上下に横切るように配置されており、この回転軸20aの延長方向となる、ファン20の吸引側(経路Pの吸引口81)は、カバー60で覆われている。
【0025】
除塵フィルタ31aおよび31b、イオン発生装置32、および脱臭フィルタ33は、経路Pの途中、本例では、空気清浄器1の吐出口の近傍に配置されている。除塵フィルタ31aおよび31bは、それぞれ、ケース10の両端の吐出口82aおよび82bの近傍に配置されている。イオン発生装置32は、一方の除塵フィルタ31aの外側の隣に並列に配置されている。脱臭フィルタ33は、他方の除塵フィルタ31bの外側の隣に並列に配置されている。なお、空気清浄器1が備えるフィルタは、これに限定されるものではない。空気清浄器1は、エアフィルタ、除塵フィルタ、または脱臭フィルタなどを含む、少なくとも1つのフィルタを備えていればよい。
【0026】
イオン発生装置32としては、例えば、マイナスイオンと、除菌用のイオンとを発生可能な装置を用いることができる。このイオン発生装置32では、空気清浄器1を動作させると、マイナスイオンまたは除菌用のイオンのどちらか選択された方のイオンが発生する。イオン発生装置32のオン/オフは、空気清浄器1の駆動と連動しており、メインスイッチ13のオン/オフにより制御される。なお、イオン発生装置32は、マイナスイオンおよび除菌用のイオンを発生させるものに限定されるものではなく、マイナスイオンおよび/またはプラスイオンの少なくともいずれか発生させるようなものを採用することができる。さらに、イオン発生装置32は、省略することもできる。
【0027】
カバー60は、内部経路Pの吸引口(ケース10の略中央のファン20の吸引口)81を覆い、ファン20および光源ユニット50を覆う。カバー60の両側に配置されたカバー61および62は、カバー60とは独立してケース10に対して着脱可能である。第1のカバー(第1のフィルタカバー(サイドカバー))61は、ケース10の一方の吐出口82aの近傍を覆い、一方の除塵フィルタ31aおよびイオン発生装置32を覆う。第2のカバー(第2のフィルタカバー(サイドカバー))62は、ケース10の他方の吐出口82bの近傍を覆い、他方の除塵フィルタ31bおよび脱臭フィルタ33を覆う。
【0028】
カバー61および62は、カバー60を挟んでケース10の長手方向の両側に、スリット状の隙間S3およびS4が開いた状態で取り付けられるようになっている。第1および第2のフィルタカバー61および62は、除塵フィルタ31aおよび31b、脱臭フィルタ33を交換する際などに、ケース10から工具などを用いることなく容易に取り外せるように、係合爪などを介して、ケース10に着脱可能に取り付けられている。
【0029】
この空気清浄器1によれば、ファン20を駆動させると、ファン20の吸引力により、一対のスリット状の隙間S、カバー60と第1のフィルタカバー61との隙間S3、およびカバー60と第2のフィルタカバー62との隙間S4を空気の吸込み用開口91として、経路Pの吸引口81であるファン20の吸引側に空気が吸い込まれる。ファン20によりケース10の内部の経路Pに吸引された空気は、ケース10の内部の経路Pを長手方向に分かれ放出される。経路Pの一方は、第1の除塵フィルタ31aに繋がり、空気は第1の除塵フィルタ31aを通って除塵され、一方の吐出口(吹出し用開口92)82aから空気が吹き出される。
【0030】
光源ユニット50は、ケース10の略中央に、内部経路Pの吸引口(ケース10の略中央のファン20の吸引口)81と重なるように配置されている。このようにすることにより、カバー60と吸引口81との間の空間を光源ユニット50の設置スペースとして利用でき、空気清浄器1を薄くできる。また、この空気清浄器1においては、経路Pの吸引口81がファン20の吸引口を兼ねており、カバー60に沿って吸引口81の外側から空気が集まる。このため、吸引口81の中央の空間を光源ユニット50が使用しても、ファン20の吸引性能にはそれほど影響を与えない。したがって、このような光源ユニット50の配置により、ファン20の性能にほとんど影響を与えずに薄い空気清浄器1の内部スペースを有効に活用できる。
【0031】
図4は、光源ユニット50およびその近傍の構成を拡大して示している。図3および図4に示すように、光源ユニット50は、2つの白色LED51aおよび51bと、緑色LED52および青色LED53と、各LED51a、51b、52および53の発光方向を所望の方向に規定するためのLEDカバー55とを備えている。2つの白色LED51aおよび51bは、スリットSを介して車内を間接照明するための光源(照明用光源、照明手段)である。緑色LED52および青色LED53は、カバー60の表示部60aにおいてイオン発生装置32の動作状態を表示するための光源(表示部用光源)である。なお、光源ユニット50が備える光源は、LEDに限定されるものではなく、フィラメントタイプのバルブとカラーフィルタを含むものなどであってもよい。
【0032】
白色LED51aおよび51bは、それぞれ、発光面57が導光部材59の第1の部分59aと対向し、発光軸58が導光部材59の第1の部分59aの方向に向くように、導光部材59の第1の部分59aの端に配置されている。LEDカバー55は、白色LED51aおよび51bからの光と、LED52および53からの光とを分離し、白色LED51aおよび51bの光は導光部材59に導き、LED52および53はカバー60の方向に導く。白色LED51aおよび51bは、LEDカバー55により覆われているため、導光部材59の側とは異なる方向に発せられる光は導光部材59の方向に反射される。したがって、白色LED51aおよび51bは、それぞれ、導光部材59の第1の部分59aおよび第2の部分59bに効率よく導かれるとともに、ケース10の内部の他の場所を照らさず、一対のスリット状の隙間Sから、間接照明として車内に供給される。
【0033】
導光部材59は、無色透明で屈折率が調整されたレンズ部材であって、全反射により、光源ユニット50の白色LED51aおよび51bから発せられた光を導光部材59に沿って導き、一対のスリット状の隙間Sから外部に照射されるようにするためのものである。導光部材59は、光源ユニット50からスリット状の隙間Sに向かって延びる一対の第1の部分59aと、一対の第1の部分59aとそれぞれ繋がり、一対のスリット状の隙間Sに沿うように、カバー60〜62の内側に配置された一対の第2の部分59bとを備えている。したがって、導光部材59は、光源ユニット50を中心に略H状に形成されている。
【0034】
さらに具体的には、本例では、第1の部分59aと第2の部分59bとを備えた略T状の導光部材(レンズ)を2枚(1ペア)採用し、これらを対向させることで、トータルとして略H状の導光部材59を構成している。なお、第1の部分59aは、本例のように、光源ユニット50近傍で途切れている必要はなく、1枚の導光部材(レンズ)で略H状となるように、繋がっていても良い。また、導光部材59の形状は、略H状に限定されるものではなく、光源ユニット50から発せられた光が、一対のスリット状の隙間Sから照射されるように、光源ユニット50から光を導くものであればよい。
【0035】
この導光部材59は、スリットSの内側に沿って配置されているが、スリットSの高さ方向の幅は小さいので、カバー60〜62によりほぼ完全に覆われ、外部から車内の搭乗者の目に入らないようになっている。しかしながら、光源ユニット50(白色LED51aおよび51b)から発せられた光は、一旦、ケース10の内側のコーナー部分15に照射され、反射光が間接照明として、スリットSを通って車内に照射される。
【0036】
白色LED51aおよび51bの発光面57と導光部材59の第1の部分59aとの間に、有色透明なカラーフィルタを置くことにより、間接照明の色を任意に変えることもできる。このカラーフィルタは、工具無しで着脱できるようにすることが好ましく、このようにすることにより、ユーザが間接照明の照明色を任意に、例えば、青に変えることができる。また、導光部材59を有色透明とし、間接照明の照明光を変化させてもよい。
【0037】
また、図3に示したように、光源ユニット50は、この光源ユニット50とカバー60との間に、緑色LED52および青色LED53から発せられた光を拡散するための拡散フィルタ(分散フィルタ)56を備えている。図1ないし図3に示すように、この空気清浄器1は、ケース10の中央部分を覆うカバー60の中央に、半透光性の表示部60aを備えている。表示部60aはカバー60の裏側を凹状とすることにより薄肉の半透光性に形成されており、緑色LED52および青色LED53から発せられた光が表示部60aを透過することにより模様が浮きあがるようになっている。すなわち、緑色LED52および青色LED53からの光は、カバー60の表示部60aの模様を異なる色により浮かびあがらせ、イオン発生装置の動作状態を表示する。すなわち、マイナスイオンが発せられているときには緑色LED52が点灯し、表示部60aの模様を緑色に浮かび上がらせる。また、除菌イオンが発せられているときには青色LED53が点灯し、表示部60aの模様を青色に浮かび上がらせる。なお、本例では、表示部60aの形状の一例として、模様“A”を用いたが、表示部60aの形状は任意であり、例えば、文字、記号、絵柄、図形などであってもよい。
【0038】
図5は、空気清浄器1の制御に関する概略構成を示している。メイン基板70には、車両に設けられた複数の電源のうちの2つの電源、すなわち、常に電力を供給している常時電源(バックアップ電源)203と、イグニッションスイッチをオンにしたときに電力を供給するACC電源(アクセサリー電源)204とから、電力が供給される。
【0039】
メイン基板70に搭載された制御装置75は、ファン20およびイオン発生装置32をはじめとする、空気清浄器1を構成する各機能部分に、ACC電源204からの電力を供給するとともに、それらの動作を制御する機能を有する。また、制御装置75は、光源である白色LED51aおよび51bに、常時電源203からの電力を供給するとともに、それらの動作を制御する機能を有する。
【0040】
制御装置75は、プロセッサ、LSI、ASICなどにより実現される制御ユニット71と、制御ユニット71のプログラムおよび空気清浄器1の動作状態が格納されるメモリ72と、タイマー73と、音源74とを備えている。音源74の一例は、スピーカである。タイマー73は、エンジンを停止してからの経過時間を計測する機能を含む。
【0041】
制御ユニット71には、車両のドアの開閉信号201と、車両のエンジンのオンオフ信号202とが入力されるようになっている。ドア開閉信号201は、車両のドアに設けられたドアスイッチのオンオフ信号から得られるものであり、車両のドアに設けられたドアランプのオンオフと連動している。エンジンのオンオフ信号202は、車両に設けられたイグニッション電源(イグニッションスイッチをオンにしたときに電力を供給する電源)のオンオフ信号から得られるものである。
【0042】
制御ユニット71は、ユーザ設定モードを提供するユーザ設定機能40と、ドア連動モードを提供するドア連動機能41と、省電力機能42と、点滅機能43と、警告音出力機能44とを有している。
【0043】
ユーザ設定モードは、空気清浄器1がオンのときにアクティブになるモードである。また、ドア連動モードが選択されているときは、ユーザ設定モードは、車両のドアが閉まっており、かつ、空気清浄器1がオンのときにアクティブになるモードである。空気清浄器1は、アクセサリ電源(ACC電源)により駆動される。ACC電源は、キーがACCポジションまたはエンジンがオンのときに供給されるので、ユーザ設定モードでは、バッテリーの電力消費よりもユーザの設定が優先される。
【0044】
ユーザ設定モードでは、照明スイッチ14を押す回数により、間接照明の光源白色LED51aおよび51bをオンオフでき、さらに、光源51aおよび51bの輝度が制御できる。例えば、照明スイッチ14を押すことにより、消灯(オフ)、高輝度、中輝度、低輝度の4つのモードが順番に選択できるようになっている。本例では、高輝度の出力を100%とすると、中輝度の出力が67%、低輝度の出力が33%、消灯の出力が0%となっている。したがって、例えば、間接照明の光源51aおよび51bの点灯輝度を中輝度あるいは低輝度に設定することにより、空気清浄器1が動作していることを認知させる程度あるいは車内が淡く照らされる程度の光を空気清浄器1から出力できる。一方、間接照明の光源51aおよび51bの点灯輝度を高輝度に設定することにより、夜間の照明として十分に利用できる光を空気清浄器1から出力でき、ユーザが乗り降りしたり、車内で作業するのに適した環境を提供できる。
【0045】
点灯から調光したり、点灯から消灯する際に、輝度を徐々に落とすことが可能である。輝度を徐々に落とす場合、調光時間は、600〜1200msとすることが好ましい。さらに、低輝度から消灯にする際には、消灯してから10秒間、出力が15%の超低輝度にて、車室内を点灯してから、消灯するように設定されている。
【0046】
ユーザ設定モードでは、設定されているモード(消灯、高輝度、中輝度、低輝度)が、メモリ72に記憶される。したがって、エンジン停止(具体的にはACC電源オフ)の間も、直前のモードがメモリ72に格納されており、次にエンジンをかけたとき(ACC電源がオンになったとき)には、空気清浄器1の照明は、前に設定されていたモードで点灯あるいは消灯する。
【0047】
なお、本例では、ユーザ設定モードにおける輝度の調節段階を、消灯、低輝度、中輝度、高輝度の4段階としているが、輝度の調節を、可変抵抗などを用いて任意に設定できるようにしても良い。また、スイッチ14により切り換えられる輝度のローテーションの方向は、上記に限定されるものではない。例えば、消灯(オフ)、低輝度、中輝度、高輝度、消灯(オフ)の順でローテーションするようになっていてもよい。このような場合は、調光の際に、輝度を徐々に上げるようにしてもよい。さらにユーザ設定モードには、空気清浄器1の動作に連動するような動作を含めても良い。例えば、ファン20の風量が強のときに高輝度とし、弱のときに中輝度または低輝度とするなど、空気清浄器1の風量に応じて、輝度を変化させるようにしてもよい。
【0048】
ドア連動モードが選択されていると、ドア連動機能41により、車両のいずれかのドアが開くと、空気清浄器1の間接照明、すなわち、LED51aおよび51bが予め設定された輝度(本例では高輝度)でオンする。車両の全てのドアが閉じると、ユーザ設定機能40により空気清浄器1の間接照明はユーザ設定モードで点灯あるいは消灯する。エンジンがオフのときは、ユーザ設定機能40はオフなので、ドア連動モードでは、ドアを開いたときに、間接照明が高輝度で点灯(オン)し、ドアを閉めたときに、間接照明が消灯(オフ)になる。ドアを閉め、間接照明が高輝度からオフになるときには、上述と同様、輝度を徐々に落とすようにしてもよい。この場合も、調光時間は、600〜1200msとすることが好ましい。
【0049】
ドア連動モードに設定しておくと、ドア連動機能41により、ドアを開けたときに自動的に白色LED51aおよび51bを高輝度にて点灯させることができる。すなわち、ルームランプが必要とされることが多い、ドアが開のときに、白色LED51aおよび51bは自動点灯し、その他のときはLED51aおよび51bはユーザ設定モードで点灯し、さらに、エンジンがオフのときはLED51aおよび51bは消灯する。したがって、空気清浄器1の間接照明を効果的に利用でき、バッテリーの負荷も抑制できる。
【0050】
省電力機能42は、車両のエンジンがオフのときは、ドア連動機能41により車両のドアの開に対応して、空気清浄器1の間接照明の光源51aおよび51bが点灯する時間を制限する。すなわち、省電力機能42は、間接照明の光源51aおよび51bを所定の時間、本例では、30分だけオンすると、その後、白色LED51aおよび51bを強制的にオフする。このため、エンジンがオフのときは、省電力機能42により、間接照明の光源51aおよび51bによりバッテリーの電力を消費しすぎることが抑制される。したがって、エンジンがオフのときに空気清浄器1の間接照明が連続して点灯し、バッテリーがあがってしまうことを抑止できる。
【0051】
また、エンジンがオフのときに半ドアの状態であると、空気清浄器1の間接照明でバッテリーの電力が消費されてしまうことを抑止することができる。なお、間接照明の光源(白色LED)51aおよび51bを強制的にオフするまでの所定の時間は、30分に限定されるものではなく、1時間、2時間など、任意に設定することができる。
【0052】
点滅機能43は、省電力機能42により、空気清浄器1の間接照明の光源51aおよび51bを強制的にオフする前、例えば、10秒前に、光源LED51aおよび51bを点滅させる。点滅機能43による光源51aおよび51bの点滅周期は、例えば、0.5〜1Hzとしている。
【0053】
警告音出力機能44は、省電力機能42により、空気清浄器1の間接照明の光源51aおよび51bを強制的にオフする前に、例えば、10秒前に、音源であるスピーカ74により警告音を出力させる。警告音の周期は、例えば、0.5〜1Hzとし、点滅機能43による間接照明の光源51aおよび51bの点滅周期と同期させることが好ましい。警告音は、例えば、ブザー音、チャイム音を用いることができるが、これに限定されるものではない。また、点滅機能43および警告音出力機能44により、点滅および警告音が出力される時間は、10秒間に限定されるものではなく、任意に設定できる。
【0054】
点滅機能43および警告音出力機能44により、空気清浄器1の間接照明が消灯することを事前に通知できる。このため、仮に、ユーザが車両の乗り降りしている途中や、車内で作業中などに間接照明が消える事態になっても、ユーザは事前に間接照明が消えることを承知することができる。
【0055】
図6に、この空気清浄器1の制御方法の一例をフローチャートにより示している。このフローチャートは、空気清浄器1に内蔵された間接照明の光源である白色LED51aおよび51bの制御を中心に示している。
【0056】
ステップ101においてドア連動モードがオフ、または、ドア連動モードがオンでもステップ105においてドアが開いていなければ、ステップ102において空気清浄器1がオンであると、ステップ103において間接照明はユーザ設定モードで点灯または消灯される。空気清浄器1はACC電源によりオンオフするので、一般に、イグニッションキーがオンであると空気清浄器1はオンになる。一方、ステップ102において空気清浄器1がオフであると、ステップ104において間接照明はオフとなる。
【0057】
ドア連動モードが選択されており、ステップ105においてドアが開であると、空気清浄器1のオンオフに関係なく、また、エンジンのオンオフに関係なく、しかしながらエンジンオフ後30分以内(ステップ106)であれば、ステップ107において間接照明の光源51aおよび51bは高輝度で点灯(オン)される。
【0058】
ステップ106においてエンジンオフ後30分を越えると、点滅機能43および警告音出力機能44により、ステップ108において、10秒間、点滅および/または警告音が出力された後、ステップ104において、省電力機能42により間接照明の光源51aおよび51bは消灯(オフ)される。
【0059】
以上のように、この空気清浄器1および制御方法によれば、車両のドアの開閉と連動して、空気清浄器1の間接照明がオンおよびオフされるため、夜間などにおいて補助的な光源があることが望ましいドアが開のときに、空気清浄器1の間接照明を役立てることができる。そして、ドアが閉じると、空気清浄器1の間接照明は自動的にオフまたはユーザが設定したモードで点灯されるので、無駄に空気清浄器1の間接照明が高輝度で点灯してバッテリーを消費することが抑制される。
【0060】
また、この空気清浄器1および制御方法によれば、車両のエンジンがオフのときは、ドア連動機能41により車両のドアの開に対応して空気清浄器1の間接照明が点灯した後、所定の時間、本例では、30分が経過すると、間接照明は強制的に消灯される。したがって、空気清浄器1の間接照明がドアの開放により自動的に点灯しても、それによりバッテリーの電力を消費しすぎることが抑制されるため、さらに省エネであり、バッテリーあがりを抑止することができる。また、ドアが全開あるいは半開の状態で長時間放置されていても、空気清浄器1の間接照明によるバッテリーあがりを抑止できる。
【0061】
さらに、この空気清浄器1および制御方法によれば、空気清浄器1の間接照明を強制的にオフする前に、間接照明を点滅させ、または、警告音を出力させる。このため、仮にユーザが車両に乗り降りしている途中や車内で作業中などであっても、事前に間接照明が消灯されることを知ることができ、夜間などにおいて、車内の照度が低下することを事前に把握できる。
【0062】
なお、空気清浄器1の間接照明を強制的にオフする前の警告は省略しても良く、また、点滅あるいは音による警告に限定しても良い。さらに、上記では、光源51aおよび51bから導光部材59により導かれた光がケース12および/またはカバー60〜62に当たって反射した光により照明を行なう間接照明を備えた空気清浄器1を例に説明しているが、空気清浄器1の照明は間接照明に限られない。LEDなどの光源からの光がレンズあるいは透明なカバーを介して出力される直接照明、または、カバーを透過して光により照明される透過照明を備えた空気清浄器であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用の空気清浄器を車内の天井に取り付けた様子を示す斜視図。
【図2】ケースからカバーおよびフィルタカバーを取り外した状態を示す分解斜視図。
【図3】空気清浄器の分解斜視図。
【図4】光源ユニットの近傍を示す図。
【図5】空気清浄器の概略構成を示す図。
【図6】空気清浄器の制御方法の一例を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0064】
1 空気清浄器、 20 ファン
31a、31b 除塵フィルタ、 33 脱臭フィルタ、
51a、51b 白色LED(照明手段、照明用の光源)
71 制御ユニット、 74 スピーカ(音を出力する手段、音源)
100 車内天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内天井に取り付け可能な車両用の空気清浄器であって、
ファンと、このファンにより循環される空気が通過する少なくとも1つのフィルタと、照明用の光源と、この照明用の光源を制御可能な制御ユニットとを有し、
前記制御ユニットは、
前記車両のドアの開閉と連動して、前記照明用の光源をオンおよびオフするドア連動機能と、
前記車両のエンジンが停止中は、前記ドア連動機能により前記車両のドアの開に対応して前記照明用の光源を所定の時間だけオンすると、その後、前記照明用の光源を強制的にオフする省電力機能とを含む、車両用の空気清浄器。
【請求項2】
請求項1において、前記制御ユニットは、さらに、
前記省電力機能により前記照明用の光源を強制的にオフする前に、前記照明用の光源を点滅させる機能を含む、車両用の空気清浄器。
【請求項3】
請求項1において、当該空気清浄器は、音源をさらに有し、
前記制御ユニットは、さらに、
前記省電力機能により前記照明用の光源を強制的にオフする前に、前記音源により警告音を出力させる機能を含む、車両用の空気清浄器。
【請求項4】
車両の室内天井に取り付け可能であり、照明用の光源を有する車両用の空気清浄器の前記照明用の光源を制御ユニットにより制御する方法であって、
前記車両のドアの開閉と連動して、前記照明用の光源をオンおよびオフすることと、
前記車両のエンジンが停止中は、前記車両のドアの開に対応して前記照明用の光源を所定の時間だけオンすると、その後、前記照明用の光源を強制的にオフすることを含む、方法。
【請求項5】
請求項4において、前記照明用の光源を強制的にオフする前に、前記照明用の光源を点滅させることをさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項4において、前記空気清浄器は、音源をさらに有し、
当該方法は、さらに、前記照明用の光源を強制的にオフする前に、前記音源により警告音を出力させることを含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate