説明

車両用アウタミラー装置

【課題】カメラが撮像した画像に水滴による乱れが生じることを抑制する。
【解決手段】車両用アウタミラー装置では、ミラーバイザ内部のカメラ26が、レンズ30の前面側におけるロールシート32及びミラーバイザの撮像孔を通したミラーバイザ下側の像を撮像する。ここで、レンズ30の前面側にロールシート32の親水膜34が配置されている。このため、親水膜34の表面に水が停留しても、親水膜34の親水性能によって、親水膜34の表面に水滴による凹凸が形成されることが抑制されることで、カメラ26が撮像した画像に水滴による乱れが生じることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部の本体部にミラーが設けられた車両用アウタミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用アウタミラー装置としては、ミラーハウジングの内部にCCD小型カメラが内臓されると共に、ミラーハウジングの覗き窓にCCD小型カメラのレンズ部が臨んだものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このような車両用アウタミラー装置では、ミラーハウジングの覗き窓に透明カバーが嵌合されている。このため、透明カバーに水滴による凹凸が形成されると、CCD小型カメラが撮像した画像に乱れ(ボケ等)が生じる可能性がある。
【特許文献1】特許第3854497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、カメラが撮像した画像に乱れが生じることを抑制できる車両用アウタミラー装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の車両用アウタミラー装置は、車両の外部に設けられ、ミラーが設けられた本体部と、前記本体部に設けられると共に、レンズを有し、前記レンズの前面側における像を撮像するカメラと、前記レンズの前面側に設けられ、前記レンズの前面側に水滴による凹凸が形成されることを抑制する抑制手段と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の車両用アウタミラー装置は、請求項1に記載の車両用アウタミラー装置において、前記抑制手段は、水滴に対する親水性能又は撥水性能によって水滴による凹凸が形成されることを抑制する、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の車両用アウタミラー装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用アウタミラー装置において、前記抑制手段は、光触媒機能を有する、ことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の車両用アウタミラー装置は、請求項3に記載の車両用アウタミラー装置において、前記抑制手段は、光が入射される位置と前記レンズの前面側の位置とに移動可能にされた、ことを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の車両用アウタミラー装置は、請求項4に記載の車両用アウタミラー装置において、前記抑制手段は、光が入射される位置と前記レンズの前面側の位置とに同時に配置可能にされた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の車両用アウタミラー装置では、車両の外部に設けられた本体部にミラーが設けられており、本体部に設けられたカメラがレンズの前面側における像を撮像する。
【0011】
ここで、レンズの前面側に設けられた抑制手段が、レンズの前面側に水滴による凹凸が形成されることを抑制する。このため、カメラが撮像した画像に乱れが生じることを抑制できる。
【0012】
請求項2に記載の車両用アウタミラー装置では、抑制手段が、水滴に対する親水性能又は撥水性能によって、水滴による凹凸が形成されることを抑制する。このため、レンズの前面側に水滴による凹凸が形成されることを良好に抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の車両用アウタミラー装置では、抑制手段が光触媒機能を有している。このため、抑制手段の性能を長く維持することができる。
【0014】
請求項4に記載の車両用アウタミラー装置では、光が入射される位置とレンズの前面側の位置とに抑制手段が移動可能にされている。このため、光が入射される位置に抑制手段が移動されることで、抑制手段が性能を適切に発生することができると共に、レンズの前面側の位置に抑制手段が移動されることで、抑制手段が性能を適切に発揮することができる。
【0015】
請求項5に記載の車両用アウタミラー装置では、光が入射される位置とレンズの前面側に配置される位置とに抑制手段が同時に配置可能にされている。このため、光が入射される位置に配置される抑制手段の部分が性能を適切に発生することができると同時に、レンズの前面側の位置に配置される抑制手段の部分が性能を適切に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図2には、本発明の実施の形態に係る車両用アウタミラー装置10が車両前方から見た背面図にて示されており、図3には、車両用アウタミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車幅方向外方(車両左方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0017】
本実施の形態に係る車両用アウタミラー装置10には、本体部を構成する収容部材としての略直方体形容器状のミラーバイザ12が設けられており、ミラーバイザ12は、車幅方向内側端部において車両のドア(図示省略)に支持されて、車両の外部に配置されている。
【0018】
ミラーバイザ12には、車幅方向中間部の上端部において、入射手段としての円状の入射窓14が貫通形成されている。入射窓14は、閉塞部材としての閉塞カバー16によって閉塞されており、入射窓14を介してミラーバイザ12の内部に水(雨天時の雨水や車両洗浄時の洗浄水等)が浸入することが閉塞カバー16によって防止されている。閉塞カバー16は透明にされており、入射窓14から閉塞カバー16を介してミラーバイザ12の内部に光(特に太陽光(日光))が入射可能にされている。
【0019】
ミラーバイザ12には、車幅方向中間部の下端部において、開放手段としての円状の撮像孔18が貫通形成されており、撮像孔18を介してミラーバイザ12の内部が下側へ開放されている。
【0020】
ミラーバイザ12の車両後側面には、車幅方向内側端部を除く部分において、略矩形状の開口20が形成されており、開口20は車両後側へ開放されている。
【0021】
開口20には、本体部を構成する略矩形板状のミラー22が配置されており、ミラー22は、裏面(車両前側面)側においてミラーバイザ12の内部に支持されると共に、表側面(車両後側面)が鏡面にされて車両後側に向けられている。
【0022】
ミラーバイザ12及びミラー22は、車体(ドア)に対し車幅方向外側へ起立(突出)されており(車幅方向に略平行に配置されており)、ミラーバイザ12及びミラー22は、使用状態にされている。
【0023】
ミラーバイザ12の内部には、駆動手段としてのモータ24(図1参照)が収容されており、ミラーバイザ12及びミラー22は、モータ24が一方向又は他方向へ駆動される(モータ24の出力軸24Aが一方向又は他方向へ回転される)ことで、ミラーバイザ12の車幅方向内側端部を中心として、それぞれ車両後側又は車両前側へ回動可能にされている。
【0024】
ここで、モータ24が一方向へ駆動されて、ミラーバイザ12及びミラー22が車両後側へ回動されることで、ミラーバイザ12及びミラー22が、車両前後方向に略平行に配置されて、格納される。その後、モータ24が他方向へ駆動されて、ミラーバイザ12及びミラー22が車両前側へ回動されることで、ミラーバイザ12及びミラー22が、車幅方向に略平行に配置されて、格納状態から使用状態に復帰される。
【0025】
図1に詳細に示す如く、ミラーバイザ12の内部には、車幅方向中間部の下端部において、カメラ26が固定されており、カメラ26は、四角錐台形筒状(円錐台形筒状でもよい)のレンズ部28が下端部に位置する状態に配置されている。レンズ部28の内部にはレンズ30が設けられており、レンズ30の前面は下側に向けられている。レンズ30の前面は、ミラーバイザ12の撮像孔18に対向しており、カメラ26は、レンズ30の前面側における撮像孔18を通したミラーバイザ12下側の像を撮像可能にされている。
【0026】
ミラーバイザ12の内部には、移動部材としての無端帯状のロールシート32が設けられており、ロールシート32は透明(無色透明又は有色透明)にされている。ロールシート32の表面には、抑制手段としての親水膜34が蒸着(塗布又は付着でもよい)されており、親水膜34は、透明(無色透明又は有色透明)にされると共に、親水性能を有している。なお、ロールシート32の裏面にも、親水膜34を蒸着した構成としてもよい。親水膜34は、光触媒機能を有しており、親水膜34に光が入射されることで、親水膜34が、親水性能を適切に発生することができると共に、表面の汚れを適切に除去する(浮き出させる)ことができる。
【0027】
ロールシート32の下端部は、カメラ26のレンズ部28の下側に巻き掛けられると共に、ロールシート32の上端部は、移動手段としての円柱状のロール36に巻き掛けられており、ロール36が回転されることで、ロールシート32が回動可能にされている。ロールシート32の上部は、ミラーバイザ12の入射窓14(閉塞カバー16)に対向しており、ロールシート32の上部の親水膜34には、入射窓14(閉塞カバー16)を介して光が入射可能にされている。
【0028】
ロール36の中心軸36Aには、伝達手段を構成する第1歯車38が固定されており、第1歯車38はロール36と一体に回転可能にされている。第1歯車38の周面には、伝達手段を構成する第2歯車40の上面に噛合されており、第2歯車40は、上記モータ24の出力軸24Aに固定されて、モータ24の駆動によって回転可能にされている。第1歯車38及び第2歯車40の少なくとも一方は、鋸歯等にされている。これにより、モータ24が一方向(他方向でもよい)へ駆動される際には、第2歯車40の回転が第1歯車38へ伝達されないことで、第1歯車38及びロール36が回転されずに、ロールシート32が回動されない。一方、モータ24が他方向(一方向でもよい)へ駆動される際には、第2歯車40の回転が第1歯車38へ伝達されることで、第1歯車38及びロール36が回転されて、ロールシート32が回動される。
【0029】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0030】
以上の構成の車両用アウタミラー装置10では、ミラーバイザ12の内部に設けられたカメラ26が、レンズ30の前面側におけるロールシート32(親水膜34を含む)及び撮像孔18を通したミラーバイザ12下側の像を撮像可能にされている。
【0031】
ここで、レンズ30の前面側に、ミラーバイザ12の撮像孔18との間において、ロールシート32の下部における親水膜34が配置されている。このため、車両の走行時又は停止時に、ミラーバイザ12へ到来した水(雨天時の雨水や車両洗浄時の洗浄水等)がミラーバイザ12の表面を流下して撮像孔18からロールシート32の親水膜34の表面に停留しても、親水膜34の親水性能によって水滴が親水作用を受けて広げられることで、親水膜34の表面に水滴による凹凸が形成されることが抑制される。これにより、ミラーバイザ12の下部にカメラ26を搭載しても、カメラ26が撮像した画像に水滴による乱れ(ボケ等)が生じることを抑制できる。
【0032】
また、ミラーバイザ12の上部に入射窓14(閉塞カバー16)が設けられているため、入射窓14には、光(太陽光)の入射が多い。さらに、ロールシート32の親水膜34が光触媒機能を有しており、ロールシート32の上部における親水膜34は、ミラーバイザ12の入射窓14に対向されて、入射窓14を介して光が入射される。このため、ロールシート32の上部において、親水膜34が、親水性能を適切に発生することができると共に、表面の汚れを適切に除去することができて親水性能を長く維持することができる。
【0033】
さらに、特に車両への乗員の乗車時に、モータ24が他方向へ駆動されて、ミラーバイザ12及びミラー22が格納状態から使用状態に復帰される際には、第2歯車40、第1歯車38及びロール36が回転されて、ロールシート32が回動されることで、ミラーバイザ12の入射窓14に対向されて光が入射されたロールシート32の親水膜34がレンズ30の前面側に移動される。このため、レンズ30の前面側において、表面の汚れが適切に除去されたロールシート32の親水膜34が親水性能を適切に発揮することができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、ミラーバイザ12及びミラー22を格納状態と使用状態との間で回動させるモータ24によってロールシート32を回動させる構成としたが、乗員(特に運転手)の操作等によって駆動されるモータ(モータ24とは別の駆動手段)によってロールシート32を回動させる構成としてもよい。
【0035】
また、本実施の形態では、レンズ30の前面側の親水膜34の親水性能(親水作用)によってレンズ30の前面側に水滴による凹凸が形成されることを抑制した構成としたが、レンズ30の前面側の抑制手段としての撥水膜の撥水性能(撥水作用)によってレンズ30の前面側に水滴による凹凸が形成されることを抑制した構成としてもよい。
【0036】
さらに、本実施の形態では、車両用アウタミラー装置10を車両のドアに設けた構成としたが、車両用アウタミラー装置10を車両のフェンダー等に設けた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用アウタミラー装置の主要部を示す斜め上方から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用アウタミラー装置を示す車両前方から見た背面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用アウタミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 車両用アウタミラー装置
12 ミラーバイザ(本体部)
22 ミラー(本体部)
26 カメラ
30 レンズ
34 親水膜(抑制手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に設けられ、ミラーが設けられた本体部と、
前記本体部に設けられると共に、レンズを有し、前記レンズの前面側における像を撮像するカメラと、
前記レンズの前面側に設けられ、前記レンズの前面側に水滴による凹凸が形成されることを抑制する抑制手段と、
を備えた車両用アウタミラー装置。
【請求項2】
前記抑制手段は、水滴に対する親水性能又は撥水性能によって水滴による凹凸が形成されることを抑制する、ことを特徴とする請求項1記載の車両用アウタミラー装置。
【請求項3】
前記抑制手段は、光触媒機能を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用アウタミラー装置。
【請求項4】
前記抑制手段は、光が入射される位置と前記レンズの前面側の位置とに移動可能にされた、ことを特徴とする請求項3記載の車両用アウタミラー装置。
【請求項5】
前記抑制手段は、光が入射される位置と前記レンズの前面側の位置とに同時に配置可能にされた、ことを特徴とする請求項4記載の車両用アウタミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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