説明

車両用アウトサイドミラー装置

【課題】従来の車両用アウトサイドミラー装置では、異音の発生を確実に防止することができない可能性がある。
【解決手段】この発明は、ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33と相互に当接するワッシャ6の当接面35に、シボ加工によるシボからなる非平面部を、設けることによって、摺動面に微少空間を作ることができる。この結果、この発明は、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、ベース2およびシャフト3およびスプリング10などを含む固定側のワッシャ6の当接面35と回転側のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33との間においてスライドするので、異音の発生を確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミラーアセンブリが車体(たとえば、ドアやフェンダやピラーなど)に対して傾倒(回転、回動)可能であるたとえばドアミラーなどの車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用アウトサイドミラー装置は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用アウトサイドミラー装置について説明する。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、ミラーボデーをシャフトにクラッチを介して回動自在に嵌着し、クラッチに噛み合い力を与えるコイルスプリングをシャフトの外周に縮設し、コイルスプリングの受け面に複数の膨出条を形成してなるものである。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、手動もしくは電動により、クラッチが外れて、ミラーボデーがシャフトに対して使用位置と格納位置との間を回動したり、または、使用位置に位置するミラーボデーに荷重がかかると、クラッチが外れて、ミラーボデーがシャフトに対して回動して緩衝作用が働いたりするものである。そして、前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置は、ミラーボデーが回動する際に、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑るので、異音の発生を防止するものである。
【0003】
ところが、前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置は、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑る際に、コイルスプリングの先端が膨出条に引っ掛かる可能性があるので、異音の発生を確実に防止することができない可能性がある。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2554990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用アウトサイドミラー装置では、異音の発生を確実に防止することができない可能性があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、車体に固定されるベースと、ベースに固定されているシャフトと、そのシャフトの周囲に圧縮された状態で配置されているスプリングと、シャフトに傾倒可能に装備されているミラーアセンブリと、シャフトに遊嵌されていてスプリングによりミラーアセンブリに当接されているワッシャと、を備え、相互に当接するミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方には非平面部が設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、ワッシャのミラーアセンブリに当接する面およびその反対側の面には非平面部が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、非平面部がシボ加工されたシボからなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、相互に当接するミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方に設けられている非平面部により、ミラーアセンブリがシャフトの回りに回転する際に、ベースおよびシャフトおよびスプリングなどを含む固定側のワッシャの当接面と回転側のミラーアセンブリの当接面との間においてスライド(摺動)する。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、スプリングとそのスプリングの受面との間においてスライドするようなことがないので、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑る前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置のように、スプリングがそのスプリングの受面に引っ掛かるようなことがなく、異音の発生を確実に防止することができる。
【0010】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ワッシャのミラーアセンブリに当接する面およびその反対側の面に非平面部を設けるものであるから、ワッシャをスプリングと共にシャフトやミラーアセンブリに組み付ける際に、ワッシャの組付方向(天地、上下、表裏など)がないので、一面に非平面部を設けたワッシャと比較して組付作業性が良い。
【0011】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、非平面部がシボ加工されたシボ、すなわち、微細の凹凸からなるので、相互に当接するミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面のうち、いずれか一方に設けられている非平面部のシボと他方の当接面とが無数の点で当接する。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、平面と平面とで当接する場合と比較して、微少空間を設けることによって、密着による疑似固着を防ぐ。このために、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ベースおよびシャフトおよびスプリングなどを含む固定側のワッシャの当接面と回転側のミラーアセンブリの当接面との間において確実にスライドすることができ、異音の発生をさらに確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例の4例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1〜図7は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置の構成について説明する。図1および図2において、符号1は、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置であって、この例では自動車(乗用車)用のドアミラーである。この実施例1のドアミラー1は、図示を省略するが、自動車の左右のドアDにそれぞれ装備されている。なお、この実施例1のドアミラー1は、自動車の右側のドアDに装備されるものであって、自動車の左側のドアに装備されるドアミラーは、この実施例1のドアミラー1とほぼ左右が逆となる。
【0014】
この実施例1のドアミラー1は、前記ドアDに固定されるベース2と、前記ベース2に固定されているシャフト3と、前記シャフト3にスプリング10および止め具(いわゆるプッシュナット)11およびワッシャ6および位置決め手段16、22および嵌合部24を介して傾倒(回転、回動)可能に装備されているミラーアセンブリ4と、を備えるものである。
【0015】
前記シャフト3は、樹脂製もしくは金属製(ダイカスト製またはプレス製)の金型成型品(成形品)からなる。前記シャフト3は、図2〜図4に示すように、円筒形もしくは円柱形をなし、前記シャフト3の外周面には、成型品としての前記シャフト3を金型から容易に抜くために抜き勾配というテーパーが設けられている。すなわち、前記シャフト3の外周面は、一端(上端)から他端(下端)にかけて外径が徐々に大きくなるテーパー(傾斜面、テーパー面)をなす。この結果、前記シャフト3は、成型後、金型から抜け易くなる。
【0016】
前記ミラーアセンブリ4は、一方が開口しかつ他方が閉塞したミラーハウジング7と、前記ミラーハウジング7の開口部5に配置されかつ反射面8を有するミラーユニット(いわゆるミラー)9と、から構成されている。前記ミラーユニット9は、前記ミラーハウジング7に、リモートコントロールユニットやパワーユニット(図示せず)を介してほぼ垂直軸回りに左右方向およびほぼ水平回りに上下方向に反射面8の角度調整可能に取り付けられている。
【0017】
前記ミラーハウジング7は、前記シャフト3に前記スプリング10および前記止め具11および前記ワッシャ6および前記位置決め手段16、22および前記嵌合部24を介して前記シャフト3回りに傾倒可能に取り付けられている取付部12を有する。前記取付部12は、前記シャフト3と同様に、樹脂製もしくは金属製(ダイカスト製またはプレス製)の金型成型品(成形品)からなる。前記取付部12は、前記ミラーハウジング7と別体のフレームやブラケットから構成されていて、前記ミラーハウジング7に一体に固定されている。
【0018】
前記取付部12は、図2〜図6に示すように、一端(上端)が開口し、かつ、他端(下端)が閉塞した中空状の断面凹形状をなす。前記取付部12の下端には、円形の透孔25が設けられている。前記透孔25の縁から円筒部26が一端側に一体に設けられている。前記円筒部26の先端部には、前記シャフト3の外周面に回転可能に嵌合する前記嵌合部24が一体に設けられている。図4に示すように、前記取付部12の下端であって、2重筒部(前記取付部12の外筒部と前記円筒部26の内筒部)の間の前記ワッシャ6の受座部の上面の当接面33は、平面をなす。
【0019】
前記嵌合部24には、前記シャフト3が回転可能に挿通する挿通孔13が設けられている。前記挿通孔13の内周面には、成型品としての前記嵌合部24を金型から容易に抜くために抜き勾配というテーパーが設けられている。すなわち、前記挿通孔13の内周面は、一端(上端)から他端(下端)にかけて内径が徐々に大きくなるテーパー(傾斜面、テーパー面)をなす。この結果、前記嵌合部24は、成型後、金型から抜け易くなる。
【0020】
前記シャフト3の他端には、シャフトホルダ14が一体に設けられている。前記シャフトホルダ14は、前記ベース2にスクリュー15により固定されている。この結果、前記シャフト3は、前記ベース2に固定されている。
【0021】
前記シャフトホルダ14の一面(上面。前記シャフト3が一体に設けられている側の面)と前記取付部12の一面(下面。前記シャフトホルダ14の一面と対向する面)とには、前記位置決め手段16、22が設けられている。前記位置決め手段16、22は、前記ミラーアセンブリ4を使用位置A(図1中の実線にて示す位置)と格納位置B(図1中の一点鎖線にて示す位置)とに位置決めするものである。前記位置決め手段は、前記取付部12の一面に設けられているノッチタイプの位置決め凸部22の外面と、前記シャフトホルダ14の一面に設けられていて前記位置決め凸部22が嵌合するノッチタイプの位置決め凹部16の内面と、から構成されている。
【0022】
前記位置決め凸部22は、上辺(前記取付部12の一面側の辺)が長く下辺が短い逆台形(断面逆台形)をなす。前記位置決め凸部22の個数は、特に限定しないが、位置決めのバランスや製造コストなどを考慮すると、3個が好ましい。3個の前記位置決め凸部22は、前記取付部12の一面に前記シャフト3の回転中心O−Oを中心とする円周上に一体に設けられている。
【0023】
前記位置決め凹部16は、上辺(前記シャフトホルダ14の一面側の辺)が長く下辺が短い逆台形(断面逆台形)をなす。前記位置決め凹部16の個数は、前記位置決め凸部22の個数に合わせて3個である。3個の前記位置決め凹部16は、前記シャフトホルダ14の一面に前記シャフト3の回転中心O−Oを中心とする円周上に設けられている。
【0024】
前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とが嵌合することにより、前記ミラーアセンブリ4は、前記使用位置Aに位置決めされる。また、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22との嵌合状態が解除されると、前記ミラーアセンブリ4は、前記シャフト3の回転中心O−O回りに回転可能となり、前記使用位置Aと前記格納位置Bとの間を、また、前記使用位置Aと前方傾倒位置C(図1中の二点鎖線にて示す位置)との間を、回転する。
【0025】
前記シャフトホルダ14の一面(上面)と前記取付部12の一面(下面)とには、ストッパ手段29、30が設けられている。前記ストッパ手段29、30は、前記ミラーアセンブリ4が前記格納位置Bまたは前記前方傾倒位置Cに位置する際に、前記ミラーアセンブリ4が前記ドアDに当たるのを回避させるものである。前記ストッパ手段は、前記シャフトホルダ14の一面に設けられているストッパ凸部29の外面と、前記取付部12の一面に設けられていて前記ストッパ凸部29が嵌合するストッパ凹部(もしくは溝部)30の内面と、から構成されている。
【0026】
前記ストッパ凸部29は、図3〜図5に示すように、回転中心O−Oを中心とする円弧の一部からなり、前記シャフトホルダ14の一面に前記シャフト3に沿って一体に設けられている。前記ストッパ凹部30は、図4、図5に示すように、回転中心O−Oを中心とする円弧の一部からなり、前記取付部12の一面に前記透孔25に沿って設けられている。
【0027】
前記ミラーアセンブリ4が前記シャフト3の回転中心O−O回りに回転して、前記ドアDに当たる直前であって、前記格納位置Bまたは前方傾倒位置Cに位置すると、前記ストッパ凸部29の端面31と前記ストッパ凹部30の端面32とが当接することにより、前記ミラーアセンブリ4が前記ドアDに当たるのを回避させる。なお、前記シャフトホルダ14の一面にストッパ凹部を設け、前記取付部12の一面にストッパ凸部を設けても良い。しかも、前記ストッパ凸部29と前記ストッパ凹部30との嵌合により、前記ミラーアセンブリ4が前記シャフト3の回転中心O−O回りに回転する際のガイドとなる。図1において、符号Eは、車両の後方を示し、符号Fは、車両の前方を示す。
【0028】
前記シャフト3には、複数本、この例では、4本の溝17が上端からほぼ中間までの間において、等間隔に設けられている。前記溝17は、前記シャフト3の上端部を残して貫通形状をなし、一方、前記シャフト3の上端部において連結形状(もしくは橋渡し形状)をなす。前記シャフト3の上端部における前記4本の溝17の連結部と貫通部との境の段部には、4個の係合部18がそれぞれ設けられている。また、前記シャフト3の前記4本の溝17の貫通部の両側面には、係止部19がそれぞれ設けられている。
【0029】
前記止め具11は、弾性を有する金属部材から構成されていて、円板形状のスプリング当接部20を有する。前記スプリング当接部20の全周縁は、一方向(下方向)にL字形状に折り曲げられている。このために、前記金属製の止め具11は、底が浅い丸皿形状をなす。前記スプリング当接部20の中央には、前記シャフト3が挿入する挿入孔21が設けられている。
【0030】
前記挿入孔21の縁から複数個、この例では、4個の係合爪部23が、前記シャフト3の挿入方向G(図3中の矢印Gを参照。前記スプリング当接部20の全周縁の折曲方向と反対側の方向)に、等間隔にそれぞれ設けられている。前記係合爪部23は、前記シャフト3の前記係合部18に弾性係合する。前記係合爪部23の幅は、前記シャフト3の前記溝17の幅と同等もしくは若干小さい。前記係合爪部23の前記シャフト3の周方向側の部分は、前記シャフト3の前記係止部19に係止する。
【0031】
前記スプリング10は、圧縮タイプのスプリング(圧縮コイルスプリング)を使用する。前記スプリング10の両端面34は、前記ワッシャ6と前記スプリング当接部20とにそれぞれ平面当接するように、切削加工により平面に加工されている。
【0032】
前記ワッシャ6は、樹脂製のワッシャである。前記ワッシャ6は、外径が2重筒部の前記取付部12の外筒部の内径とほぼ等しいか若干小さく、かつ、内径が2重筒部の前記取付部12の内筒部の外径とほぼ等しいか若干大きい薄板のドーナツ形状をなす。前記ワッシャ6のうち、前記取付部12の当接面33と前記スプリング34の当接端面34とに当接する当接面35には、シボ加工されたシボからなる非平面部が設けられている。なお、前記シボは、たとえば、株式会社棚澤八光社のシボNo.「GR−504」を使用する。また、前記ワッシャ6の内径は、前記シャフト3の外径よりも大きいので、前記ワッシャ6は、前記シャフト3に遊嵌(すなわち、前記ワッシャ6の内周面と前記シャフト3の外周面と間に隙間を有した状態で外側から嵌合する状態)することができる。
【0033】
以下、前記シャフト3に前記ミラーアセンブリ4を、前記スプリング10および前記止め具11および前記ワッシャ6および前記位置決め手段16、22および前記嵌合部24を介して傾倒可能に組み付ける工程について説明する。
【0034】
まず、前記シャフト3を前記ミラーハウジング7の前記取付部12の前記透孔26中および前記円筒部26中および前記嵌合部24の前記挿通孔13中および前記取付部12中に、図3中の矢印G方向(前記ミラーハウジング7の下側から上側への方向)に、挿通させて、前記シャフトホルダ14の上面に前記取付部12の下面を載置させる。かつ、前記位置決め凹部16と位置決め凸部22とを嵌合させ、前記ストッパ凸部29と前記ストッパ凹部30とを嵌合させる。
【0035】
つぎに、前記シャフト3に前記ワッシャ6および前記スプリング10を、図3中の矢印G方向と逆方向(前記ミラーハウジング7の上側から下側への方向)に、順次落とし込んで前記取付部12の下端の上面に載置させる。すなわち、前記取付部12のワッシャ受座部の前記当接面33上に前記ワッシャ6の下面側の前記当接面35を載せ、かつ、前記ワッシャ6の上面側の前記当接面35に前記スプリング10の下面側の前記当接端面34を載せる。
【0036】
それから、前記シャフト3の4本の前記溝17に前記止め具11の4個の前記係合爪部23をそれぞれ合わせて、前記シャフト3に前記止め具11を図3中の矢印G方向と逆方向に落とし込む。このとき、前記シャフト3の外周面が上端から下端にかけて末広がりとなるテーパー形状をなすので、前記止め具11は、前記シャフト3の途中で止まる。すなわち、前記止め具11の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の前記溝17の前記連結部に当接する。
【0037】
つづいて、冶具(図示せず)を使用して、前記止め具11の前記スプリング当接部20を前記スプリング10の上面側の前記当接端面34に当接させた状態で、前記スプリング10のスプリング力に抗して前記止め具11を前記シャフト3に押し込む。すると、前記止め具11の前記係合爪部23が弾性変形して、前記止め具11の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の前記溝17の前記連結部に常時当接しながら図3中の矢印G方向と逆方向に落ちていく。
【0038】
そして、前記止め具11が押し込まれて、前記止め具11の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の前記溝17の前記連結部と前記貫通部との境の前記係合部18に達する。すると、弾性変形している前記止め具11の前記係合爪部23が元の状態に弾性復帰し、前記止め具11の4個の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の4個の前記係合部18にそれぞれ弾性係合する。前記止め具11の4個の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の4個の前記係合部18にそれぞれ弾性係合すると、前記止め具11の4個の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の4個の前記係合部18から外れない。すなわち、前記止め具11は、前記シャフト3から外れない。
【0039】
また、前記シャフト3の4本の前記溝17の貫通部の両側面の前記係止部19が、前記止め具11の4個の前記係合爪部23の前記シャフト3の周方向側の部分にそれぞれ係止する。
【0040】
この結果、図2および図4に示すように、前記止め具11は、前記シャフト3に固定される。また、前記スプリング10は、前記止め具11により前記シャフト3に固定される。すなわち、前記スプリング10は、前記止め具11の前記スプリング当接部20と前記取付部12上の前記ワッシャ6との間において圧縮された状態で前記シャフト3の周囲に配置される。このとき、前記スプリング10の上下の前記当接端面34は、前記止め具11の前記スプリング当接部20と前記ワッシャ6の上側のシボの当接面35にそれぞれ弾性当接する。さらに、前記ワッシャ6の下側のシボの当接面35は、前記取付部12のワッシャ受座部の当接面33に当接する。
【0041】
これにより、前記ミラーアセンブリ4は、前記シャフト3に前記スプリング10および前記止め具11および前記ワッシャ6および前記位置決め手段16、22および前記嵌合部24を介して傾倒可能に組み付けられる。そして、前記シャフト3と一体の前記シャフトホルダ14を前記ベース2に前記スクリュー15により固定することにより、この実施例1のドアミラー1が構成される。
【0042】
前記ドアミラー1は、ドアDに前記ベース2を固定することにより、ドアDに装備される。そして、前記ドアミラー1は、車体のドアDに固定される前記ベース2および前記シャフト3および前記シャフトホルダ14側の固定部と、前記ミラーユニット9を有していて前記シャフト3に傾倒可能に取り付けられている前記ミラーアセンブリ4および前記取付部12側の傾倒部と、から構成されている。
【0043】
車体のドアDに固定される前記ベース2および前記シャフト3および前記シャフトホルダ14側の固定部は、車体と常に一体に固定されている。一方、前記ミラーユニット9を有していて前記シャフト3に傾倒可能に取り付けられている前記ミラーアセンブリ4および前記取付部12側の傾倒部は、人や物に当たった際には、緩衝のために、前記シャフト3の回転中心O−O回りに傾倒(回転)する。
【0044】
固定部の前記シャフトホルダ14と傾倒部の前記取付部12とは、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とにより、使用位置Aに位置決めされている。前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22との嵌合状態が走行時の風圧などにより外れて前記ミラーアセンブリ4が前記シャフト3に対して傾倒しないように、また、傾倒部の前記ミラーユニット9の反射面8が走行時の路面の凹凸などによりぶれないように、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とには、テンションがかけられている。このテンションをかけるのには、前記スプリング10が使用されている。すなわち、前記スプリング10のスプリング力により、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とが相互に嵌合して、傾倒部の前記ミラーアセンブリ4が固定部の前記シャフト3にぶれないように適度な保持力で傾倒可能に保持されている。
【0045】
前記スプリング10は、前記シャフト3に固定されている前記止め具11により、前記止め具11の前記スプリング当接部20と前記取付部12上の前記ワッシャ6との間において圧縮された状態で前記シャフト3の周囲に配置されている。
【0046】
この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)は、以上のごとき構成からなり、以下、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)の作用について説明する。
【0047】
ドアDにベース2を固定してドアDに装備されたドアミラー1のミラーアセンブリ4を使用位置Aに位置させる。この使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4のミラーユニット9の反射面8で車両の後方を視認することができる。このとき、固定部のシャフトホルダ14と傾倒部の取付部12との間は、相互に嵌合状態の位置決め凹部16と位置決め凸部22とにより、使用位置Aに位置決めされている。また、この位置決め凹部16と位置決め凸部22とにはスプリング10のスプリング力(テンション)が作用しているので、自動車の走行時の風圧などによりミラーアセンブリ4がシャフト3に対して不用意に傾倒したり、走行時の路面の凹凸などによりミラーユニット9の反射面8が不用意にぶれたりするようなことはない。
【0048】
また、リモートコントロールユニットやパワーユニット(図示せず)を駆動させると、ミラーユニット9をほぼ水平軸回りに上下方向にまたほぼ垂直軸回りに左右方向に回動させることができ、これにより、ミラーユニット9の反射面8の位置をドライバーの目線に合わせて調整することができる。
【0049】
つぎに、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、位置決め凹部16と位置決め凸部22との嵌合状態が解除されて、ミラーアセンブリ4は、シャフト3の回転中心O−O回りに時計方向に回転する。このとき、ストッパ凸部29とストッパ凹部30との嵌合により、ミラーアセンブリ4の回転がガイドされる。
【0050】
ミラーアセンブリ4が格納位置Bに位置すると、嵌合状態が解除されたまま、ミラーアセンブリ4が格納位置Bに位置して格納される。このとき、ストッパ凸部29の端面31とストッパ凹部30の端面32とが当接して、ミラーアセンブリ2の回転が規制されてミラーアセンブリ2とドアDとの当接が回避される。
【0051】
また、格納位置Bに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに反時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、位置決め凹部16と位置決め凸部22との嵌合状態が解除されて、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回転中心O−O回りに反時計方向に回転する。ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置すると、嵌合状態が解除されている位置決め凹部16と位置決め凸部22とが再度嵌合して、ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置する。
【0052】
一方、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに反時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、位置決め凹部16と位置決め凸部22との嵌合状態が解除されて、ミラーアセンブリ4は、シャフト3の回転中心O−O回りに反時計方向に回転する。このとき、ストッパ凸部29とストッパ凹部30との嵌合により、ミラーアセンブリ4の回転がガイドされる。
【0053】
ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cに位置すると、ストッパ凸部29の端面31とストッパ凹部30の端面32とが当接して、ミラーアセンブリ2の回転が規制されて、ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cに位置し、かつ、ミラーアセンブリ2とドアDとの当接が回避される。
【0054】
また、前方傾倒位置Cに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回転中心O−O回りに時計方向に回転する。ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置すると、嵌合状態が解除されている位置決め凹部16と位置決め凸部22とが再度嵌合して、ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置する。
【0055】
そして、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4にスプリング10のスプリング力よりも大きい力が作用すると、ミラーアセンブリ4は、前記の手動回転と同様に、シャフト3の回転中心O−O回りに時計方向または反時計方向に緩衝のために回転する。
【0056】
この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)は、以上のごとき構成作用からなり、以下、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)の効果について説明する。
【0057】
実施例1のドアミラー1は、相互に当接するミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とワッシャ6の下側の当接面35のうち、ワッシャ6の当接面35がシボの非平面部をなす。これにより、実施例1のドアミラー1は、ミラーアセンブリ4側の取付部12の平面の当接面33とワッシャ6のシボの非平面部の当接面35とが相互に当接するので、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、ベース2およびシャフト3およびスプリング10および止め具11などを含む固定側のワッシャ6の当接面35と回転側のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33との間においてスライド(摺動)する。
【0058】
この結果、実施例1のドアミラー1は、スプリング10とそのスプリング10の受面すなわち止め具11のスプリング当接部20およびワッシャ6の上側の当接面35との間においてスライドするようなことがない。このために、実施例1のドアミラー1は、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑る前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置のように、スプリング10がそのスプリング10の受面すなわち止め具11のスプリング当接部20およびワッシャ6の上側の当接面35に引っ掛かるようなことがない。したがって、実施例1のドアミラー1は、異音の発生を確実に防止することができる。
【0059】
ここで、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間にワッシャ6を介在させる必要性について説明する。すなわち、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、スプリング10の当接端面34が回転スライド面とならないようにするために、ワッシャ6を介在させる必要があるのである。
【0060】
ワッシャ6を使用せずに、スプリング10の当接端面34が回転スライド面となると、以下の不具合がある。すなわち、シャフト3に固定されている止め具11のスプリング当接部20とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする。このために、回転スライドするスプリング10の当接端面34により、止め具11のスプリング当接部20が削られたり、引っ掻き音などの異音が発生したりする。
【0061】
また、スプリング10の当接端面34は、平面研削してあるものの、コストの関係上、一点一点手仕上げなどによる滑らかな平面仕上げとはなっていない。このために、スプリング10の当接端面34の平面研削にはばらつきが有り、取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする際に、引っ掛かりが生じる。すなわち、取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間における摩擦状態が安定しない。このために、取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間において、スライドしたり、スライドせずにスプリング10がねじれたりする。スプリング10のねじれの応力が取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間における引っ掛かりの摩擦力よりも上回ると、スプリング10のねじれが戻り、スプリング10から叩き音などの異音が発生したりする。
【0062】
このために、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間にワッシャ6を介在させて、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、ワッシャ6とスプリング10とが一体となって、取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面との間においてスライドして、スプリング10の当接端面34が回転スライド面とならないようにする必要がある。
【0063】
ところが、現実においては、取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面との間においてスライドせずに、ワッシャ6の当接面とスプリング10の当接端面34との間においてスライドするものである。このために、スプリング10の当接端面34が回転スライド面とならないようにするために、ワッシャ6を介在させる目的が達成することができない。
【0064】
以下、取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面との間においてスライドせずに、ワッシャ6の当接面とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする原因について説明する。すなわち、前記の原因は、ワッシャ6の当接面が取付部12の当接面33と同様に平面であるからである。ワッシャ6の当接面が取付部12の当接面33と同様に平面である場合においては、鋼材のワッシャ6と樹脂の取付部12との摩擦係数μが約0.18〜約0.3(樹脂材により異なる)であり、かつ、鋼材のスプリング10と鋼材のワッシャ6との摩擦係数μが約0.45前後であっても、前記の現実のように、摩擦係数が小さいワッシャ6の当接面と取付部12の当接面33との間においてスライドせずに、摩擦係数が大きいワッシャ6の当接面とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする。
【0065】
すなわち、ワッシャ6の当接面が平面である場合においては、取付部12の平面の当接面33とワッシャ6の平面の当接面とが、平面同士で接触して押し付けられている状態(荷重がかかっている状態)にあるので、たとえば、ガラスの平滑な面同士を重ねると相互に吸着しているような現象と同様に、相互に吸着している状態にある。このために、ワッシャ6の当接面が平面であることが、摩擦係数が小さいワッシャ6の当接面と取付部12の当接面33との間においてスライドせずに、摩擦係数が大きいワッシャ6の当接面とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする原因である。
【0066】
そこで、ワッシャ6の当接面と取付部12の当接面33との間においてスライドさせて、ワッシャ6の当接面とスプリング10の当接端面34との間においてスライドさせないようにする対策としては、ワッシャ6の当接面と取付部12の当接面33との間にグリスを塗布することがある。このグリスを塗布する場合には、グリス塗布による組付タクト上に課題があり、かつ、グリス費などのコスト高となり、グリスの漏洩などの課題があり、グリスによる部品の性能劣化などの課題がある。
【0067】
そこで、この発明すなわち実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の当接面35を平面ではないシボの非平面部とする。この結果、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の平面ではないシボの非平面部の当接面35と取付部12の平面の当接面33との間において平面吸着の現象が起こらず、このために、ワッシャ6の平面ではないシボの非平面部の当接面35と取付部12の当接面33との間においてスライドして、ワッシャ6の平面ではないシボの非平面部の当接面35とスプリング10の当接端面34との間においてスライドしない。これにより、以上に述べたように、実施例1のドアミラー1は、異音の発生を確実に防止することができる。
【0068】
しかも、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の当接面35がシボの非平面部をなすので、ワッシャ6の当接面35と取付部12の当接面33との間において確実にスライドさせることができて、ワッシャ6の当接面35とスプリング10の当接端面34との間において確実にスライドさせないようにすることができる。この結果、ワッシャとミラー側の密着がなくなって本来の材質特有の摩擦係数で作動するため、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の当接面と取付部12の当接面33との間にグリスを塗布する必要がないので、組付タクトがグリス塗布の場合と比較して向上し、かつ、グリス費などが不要となってコスト安となり、グリスの漏洩などがなく、グリスによる部品の性能劣化などもない。
【0069】
また、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33に当接する面35およびその反対側の面35、すなわち、ワッシャ6の両面35にシボ加工によるシボの非平面部を設けるものであるから、ワッシャ6をスプリング10と共にシャフト3やミラーアセンブリ4の取付部12に組み付ける際に、ワッシャ6の組付方向(天地、上下、表裏など)がないので、一面に非平面部を設けたワッシャと比較して組付作業性が良い。
【0070】
さらに、実施例1のドアミラー1は、図7に示すように、ワッシャ6の当接面35の非平面部がシボ加工されたシボ、すなわち、微細の凹凸からなるので、相互に当接するミラーアセンブリ4の取付部12の平面の当接面33とワッシャ6の当接面35の非平面部のシボとが無数の点で当接する。この結果、実施例1のドアミラー1は、平面と平面とで当接する場合と比較して、ベース2およびシャフト3およびスプリング10などを含む固定側のワッシャ6の当接面35と回転側のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33との間において確実にスライドすることができ、異音の発生をさらに確実に防止することができる。
【実施例2】
【0071】
図8は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例2を示す。この実施例2における車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1における車両用アウトサイドミラー装置のワッシャ6の変形例を示す。すなわち、この実施例2における車両用アウトサイドミラー装置のワッシャ60は、シボ加工ではないが、一方の当接面350もしくは両方の当接面350に多数個の半球形状の小凸部からなる非平面部が設けられている。この実施例2における車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1における車両用アウトサイドミラー装置とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例3】
【0072】
図9は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例3を示す。この実施例3における車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1および2における車両用アウトサイドミラー装置のワッシャの変形例を示す。すなわち、この実施例3における車両用アウトサイドミラー装置のワッシャ61、シボ加工ではないが、一方の当接面351もしくは両方の当接面351に半径方向に設けられている多数本の断面半円形の小凸条部からなる非平面部が設けられている。この実施例3における車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1、2における車両用アウトサイドミラー装置とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例4】
【0073】
図10および図11は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例4を示す。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置について説明する。
【0074】
前記の実施例1においては、手動により、ミラーアセンブリ4をシャフト3に対して使用位置Aと格納位置Bとの間を傾倒(回転、回動)させるものであるのに対して、この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、電動により、ミラーアセンブリ4をシャフト3に対して使用位置Aと格納位置Bとの間を傾倒(回転、回動)させるものである。
【0075】
この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、前記ミラーアセンブリ4を前記シャフト3に対して使用位置Aと格納位置Bとの間を電動により傾倒(回転、回動)させる電動格納ユニット36を備える。前記電動格納ユニット36は、前記シャフト3と、シャフトホルダ14と、ケーシングとしてのギアケース37およびカバー38と、モータ39と、回転力伝達機構としての減速機構40およびクラッチ機構41と、プレート42と、電気回路基板43と、を備えるものである。前記ギアケース37が前記の実施例1の取付部12に相当する。
【0076】
前記減速機構40は、前記モータ39に連結されている第1段目のギアとしての第1ウォームギア44と、前記第1ウォームギア44に噛み合う第2段目のギアとしてのヘリカルギア45と、前記ヘリカルギア45と同期回転する第3段目のギアとしての第2ウォームギア46と、前記第2ウォームギア46が噛み合う最終段目のギアとしてのクラッチギア47と、から構成されている。
【0077】
前記クラッチ機構41は、前記クラッチギア47と、クラッチホルダ48と、スプリング10と、止め具11と、ワッシャ6、60、61と、を備える。前記クラッチ機構41は、前記シャフト3に、下側の前記ワッシャ6、60、61および前記ギアケース37を順次嵌め合わせた後に、上側の前記ワッシャ6、60、61、前記クラッチホルダ48、前記クラッチギア47、前記スプリング10、を順次嵌め合せ、前記止め具11で前記スプリング10を圧縮状態にすることによって構成されている。
【0078】
前記下側のワッシャ6、60、61の上側の非平面部の当接面35、350、351と前記ギアケース37のワッシャ受座部の下側の当接面49とが相互に当接する。また、前記上側のワッシャ6、60、61の下側の非平面部の当接面35、350、351と前記ギアケース37のワッシャ受座部の上側の当接面49とが相互に当接する。
【0079】
この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、モータ39を駆動させると、クラッチギア47とクラッチホルダ48とが続状態にあり、ミラーアセンブリ4が電動によりシャフト3の回りに、使用位置Aと格納位置Bとの間を傾倒(回転、回動)する。また、ミラーアセンブリ4を手動によりシャフト3の回りに回転させると、クラッチギア47とクラッチホルダ48とが断状態となり、ミラーアセンブリ4が手動によりシャフト3の回りに、使用位置Aと格納位置Bとの間、および、使用位置Aと前方傾倒位置Cとの間を傾倒(回転、回動)する。さらに、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4にスプリング10のスプリング力よりも大きい力が作用すると、クラッチギア47とクラッチホルダ48とが断状態となり、ミラーアセンブリ4が前記の手動回転と同様に、シャフト3の回転中心O−O回りに時計方向または反時計方向に緩衝のために回転する。すなわち、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに、使用位置Aと格納位置Bとの間、および、使用位置Aと前方傾倒位置Cとの間を傾倒(回転、回動)する。
【0080】
この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1、2、3における車両用アウトサイドミラー装置とほぼ同様の作用効果を電動および手動の双方において、達成することができる。
【0081】
以下、前記の実施例1、2、3、4以外の例について説明する。この実施例1、2、3、4においては、乗用車のドアDに装備されるドアミラー1について説明するものである。ところが、この発明においては、その他の自動車用アウトサイドミラー装置、たとえば、乗用車のフェンダに装備されるフェンダミラーやトラックのフェンダやピラーなどに装備されるトラックミラーなどであっても良い。すなわち、車体に固定されるベースおよび樹脂製のシャフト側の固定部と、そのシャフトに傾倒可能に取り付けられているミラーユニット(ミラー)およびミラーアセンブリ側の傾倒部と、から構成されている自動車用アウトサイドミラー装置であっても良い。
【0082】
さらに、前記の実施例1、2、3、4においては、ミラーハウジング7が一体構造のものである。ところが、この発明においては、ミラーハウジングが本体部とその本体部を覆うカバー(化粧カバー、ガーニッシュ、シェルフレーム)とから構成されている別体構造のものであっても良い。
【0083】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、位置決め手段が取付部12の一面に設けられているノッチタイプの凸部22とシャフトホルダ14の一面に設けられていて凸部が嵌合するノッチタイプの凹部16面とから構成されているものである。ところが、この発明においては、シャフトホルダ14の一面にノッチタイプの凹部を設け、取付部12の一面にノッチタイプの凸部を設けても良い。
【0084】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、位置決め手段がノッチタイプの凹部凸部すなわち断面台形の凹凸から構成されているものである。ところが、この発明においては、位置決め手段として、ボールとそのボールが嵌合する嵌合凹部とから構成されているもの、また、半球形の凹凸から構成されているもの、さらに、断面半円形の凹凸から構成されているもの、さらにまた、断面三角形の凹凸から構成されているものなどであっても良い。
【0085】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、係合爪部23を4個設けてなるものである。ところが、この発明においては、係合爪部を製品の仕様(大きさなど)により、3個、5個以上設けても良い。
【0086】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、取付部12がミラーハウジング7と別体のフレームやブラケットから構成されていて、そのミラーハウジング7に一体に固定されているものである。ところが、この発明においては、取付部とミラーハウジングとが一体構造のものであっても良い。
【0087】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、ワッシャ6の両面(ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に当接する面およびその反対側の面)35、350、351に非平面部(シボ加工によるシボ、多数個の半球形状の小凸部、半径方向に設けられている多数本の断面半円形の小凸条部)を設けるものである。ところが、この発明においては、ワッシャの一面(ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に当接する面)に非平面部を設けるものであっても良い。
【0088】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、ワッシャ6の両面(ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に当接する面およびその反対側の面)35、350、351に非平面部(シボ加工によるシボ、多数個の半球形状の小凸部、半径方向に設けられている多数本の断面半円形の小凸条部)を設けるものである。ところが、この発明においては、ミラーアセンブリ側、すなわち、ミラーアセンブリのワッシャと当接する面(取付部12の当接面33、ギアケース37の当接面49)に非平面部を設けるものであっても良いし、また、ワッシャの一面もしくは両面に非平面部を設けると共にミラーアセンブリのワッシャと当接する面に非平面部を設けるものであっても良い。この場合、ミラーアセンブリ(取付部、ギアケース)は、樹脂部材からなる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例1を示す使用状態の平面図である。
【図2】同じく、ドアミラーを示す一部破断正面図であって、図1におけるII矢視図である。
【図3】同じく、シャフトおよびシャフトホルダおよび取付部およびワッシャおよびスプリングおよび止め具を示す分解斜視図である。
【図4】同じく、シャフトおよびシャフトホルダおよび取付部およびワッシャおよびスプリングおよび止め具の組付状態を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図5】同じく、取付部の底面図であって、図3におけるV矢視図である。
【図6】同じく、取付部の底面図であって、図3におけるVI矢視図である。
【図7】同じく、シボ加工によるシボが非平面部であるワッシャを示す斜視図である。
【図8】この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例2を示すワッシャの斜視図であって、非平面部が多数個の半球形状の小凸部であるワッシャの斜視図である。
【図9】この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例3を示すワッシャの斜視図であって、非平面部が半径方向に設けられている多数本の断面半円形の小凸条部であるワッシャの斜視図である。
【図10】この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例4を示す電動格納ユニットおよびシャフトおよびワッシャの分解斜視図である。
【図11】同じく、電動格納ユニットおよびシャフトおよびワッシャを示す一部縦断面図(一部垂直断面図)である。
【符号の説明】
【0090】
1 ドアミラー(車両用アウトサイドミラー装置)
2 ベース
3 シャフト
4 ミラーアセンブリ
5 開口部
6、60、61 ワッシャ
7 ミラーハウジング
8 反射面
9 ミラーユニット
10 スプリング
11 止め具
12 取付部
13 挿通孔
14 シャフトホルダ
15 スクリュー
16 位置決め凹部(位置決め手段)
17 溝
18 係合部
19 係止部
20 スプリング当接部
21 挿入孔
22 位置決め凸部(位置決め手段)
23 係合爪部
24 嵌合部
25 円形の透孔
26 円筒部
27 シャフト側の抜き勾配0°の部分
28 嵌合部側の抜き勾配0°の部分
29 ストッパ凸部(ストッパ手段)
30 ストッパ凹部(ストッパ手段)
31 端面
32 端面
33 取付部の当接面
34 スプリングの当接端面
35、350、351 ワッシャの当接面
36 電動格納ユニット
37 ギアケース
38 カバー
39 モータ
40 減速機構
41 クラッチ機構
42 プレート
43 電気回路基板
44 第1ウォームギア
45 ヘリカルギア
46 第2ウォームギア
47 クラッチギア
48 クラッチホルダ
49 ギアケースの当接面
A 使用位置
B 格納位置
C 前方傾倒位置
D ドア(車体)
E 車両の後方
F 車両の前方
G 挿入方向
O−O 回転中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーアセンブリが車体に対して傾倒可能である車両用アウトサイドミラー装置において、
前記車体に固定されるベースと、
前記ベースに固定されているシャフトと、
前記シャフトの周囲に圧縮された状態で配置されているスプリングと、
前記シャフトに傾倒可能に装備されている前記ミラーアセンブリと、
前記シャフトに遊嵌されていて、前記スプリングにより前記ミラーアセンブリに当接されているワッシャと、
を備え、
相互に当接する前記ミラーアセンブリの当接面と前記ワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方には、非平面部が設けられている、
ことを特徴とする車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項2】
前記ワッシャの前記ミラーアセンブリに当接する面およびその反対側の面には、前記非平面部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項3】
前記非平面部は、シボ加工されたシボからなる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用アウトサイドミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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