説明

車両用アンテナ

【課題】アンテナエレメントを被覆したアンテナカバーにキャップを嵌めて保護するタイプの車両用アンテナにおいて、キャップの抜けが発生しないようにする。
【解決手段】車両用アンテナは、アンテナロッドがアンテナベースに装着されて構成される車両用アンテナであって、アンテナロッド内に設けられ、アンテナベースと接続される導電性のロッドエレメントと、少なくともロッドエレメントの軸方向側面を覆うとともに、アンテナベースとは反対側の端部近傍に設けられ、ジョイント係合部を有する内側筒体と、内側筒体の外側に設けられる外側筒体と、を有するジョイント部と、ジョイント係合部と係合するキャップ係合部を有するロッドキャップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用アンテナに関し、特に、アンテナエレメントを被覆したアンテナカバーにキャップを嵌めて保護するタイプのアンテナに好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用アンテナでは、棒状のアンテナエレメントに樹脂部材からなるアンテナカバーを被覆して保護する。そして、アンテナカバーの作製方法の一例として、金型及びアンテナエレメントを用いた一体成形が挙げられる。これは、アンテナカバーを形作る金型にアンテナエレメントを挿入して樹脂部材を流し込んで作製するものである。このようにして作製したアンテナカバーは、アンテナエレメントの先端から根元までを一体的に被覆することができ、高い保護性能が期待できる。
【0003】
一方で、マーケティング上の要請から車両用アンテナに対するデザイン性が追及されてきている。デザインを決定する要素としては、形状、色彩、模様等が考えられ、例えば、車両用アンテナのアンテナロッド(アンテナベースに取り付ける棒状のアンテナエレメントがアンテナカバーに被覆された部分)の形状を円錐状や三角錐状にしたり、アンテナエレメントを被覆したアンテナカバーにカバーと異なる色のキャップを嵌めたりすることで、デザインに多様性を持たせることが可能である。
【0004】
通常、車両用アンテナは長時間風雨にさらされる場合が多く、また車両に対するいたずらも発生しやすい。このため、アンテナエレメントを被覆したアンテナカバーにキャップを嵌めてアンテナロッドを構成する場合、キャップやカバーの強度を高め、キャップがアンテナカバーから外れてしまうこと等が起きないようにしなければならない。
【0005】
例えば特許文献1には、接着剤を使用することなく、簡単、容易に固着することができ、長期間使用しても装飾キャップが緩まなく、外観不良が生じない携帯無線用アンテナが開示されている。当該アンテナでは、ホイップエレメントの上端にジョイントを接続し、そのジョイントの上端にキャップを被せており、そのキャップを被せるにあたり、キャップ側に突起、ジョイント側に穴を設けて嵌合させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−191656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1による携帯無線用アンテナは、装飾性のあるキャップを用いてアンテナ全体のデザイン性を高めるとともに、キャップの抜けを防止するためキャップ側とアンテナ側にそれぞれ突起と穴を設けているが、アンテナ外部から力が加わった場合には突起と穴による固定が影響を受け、キャップが外れてしまう可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて、アンテナエレメントを被覆したアンテナカバーにキャップを嵌めて保護するタイプの車両用アンテナにおいて、キャップの抜けが発生しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用アンテナは、アンテナロッドがアンテナベースに装着されて構成される車両用アンテナであって、アンテナロッド内に設けられ、アンテナベースと接続される導電性のロッドエレメントと、少なくともロッドエレメントの軸方向側面を覆うとともに、アンテナベースとは反対側の端部近傍に設けられ、ジョイント係合部を有する内側筒体と、内側筒体の外側に設けられる外側筒体と、を有するジョイント部と、ジョイント係合部と係合するキャップ係合部を有するロッドキャップと、を備える。
【0010】
また、上記の車両用アンテナにおいて、ジョイント部が、当該ジョイント部の軸方向側面に設けられ、ロッドキャップとの係合側に向けて突出した凸部を有するジョイント外周部を有し、ロッドキャップが、凸部と接する面に凹部を有するキャップ外周部を有し、ジョイント係合部とキャップ係合部が係合することで、ジョイント外周部とキャップ外周部とが嵌合するものであってもよい。
【0011】
また、上記の車両用アンテナにおいて、ジョイント部とロッドキャップとが、規制手段により少なくとも相互の周方向の位置ズレを防止するものであってもよい。
【0012】
また、上記の車両用アンテナにおいて、アンテナロッドが、少なくともジョイント部の軸方向側面を覆うロッドカバーを有し、ジョイント部とロッドカバーとが、固定手段により相互の位置を固定するものであってもよい。
【0013】
また、上記の車両用アンテナにおいて、固定手段が、ジョイント部側に向けて設けられたカバー固定部と、カバー固定部と対向する面に設けられたジョイント固定部と、であるものであってもよい。
【0014】
また、上記の車両用アンテナにおいて、ロッドカバーが、当該ロッドカバーの軸方向側面に設けられ、ロッドキャップとの係合側に向けて突出した凸部を有し、ロッドキャップが、凸部と接する面に凹部を有し、ジョイント係合部とキャップ係合部が係合することで、凸部と凹部とが嵌合するものであってもよい。
【0015】
また、上記の車両用アンテナにおいて、ジョイント部及び/又はロッドカバーが、ロッドエレメントの少なくとも側面を被覆するように樹脂により一体成形されているものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アンテナエレメントを被覆したアンテナカバーにキャップを嵌めて保護するタイプの車両用アンテナにおいて、キャップの抜けが発生しないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用アンテナが車両に搭載されている状態を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用アンテナのアンテナロッドの正面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両用アンテナのアンテナロッドの分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両用アンテナのロッドキャップ及びジョイント部の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車両用アンテナのジョイント部の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車両用アンテナのジョイント部及びロッドカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る車両用アンテナは、図1に示すように、車両Vのルーフに搭載したアンテナベース3にアンテナロッド2を取り付けて構成されるもので、特に、アンテナロッド2の構造に特徴を有している。以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、当該説明において、棒状のアンテナエレメントをロッドエレメント、アンテナキャップをロッドキャップ、ロッドエレメントの軸方向側面を被覆しロッドキャップと嵌合する構造を持つものをジョイント部、ジョイント部の軸方向側面を被覆するものをロッドカバーとそれぞれ称する。
【0019】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態は、ロッドエレメントをジョイント部で被覆し、当該ジョイント部の先端(アンテナベースの取り付け側と反対の端部)にロッドキャップを被せてアンテナロッドを構成している。
【0020】
図2は、本実施形態に係る車両用アンテナのアンテナロッドの構成を示した図で、図2(a)が正面図を表し、図2(b)が断面図を表している。本実施形態のアンテナロッドは、アンテナベースに接続される導電性のロッドエレメント30と、ロッドエレメント30を被覆する絶縁性のジョイント部20と、ジョイント部20の先端に被せるロッドキャップ10と、を有して構成される。
【0021】
当該ロッドエレメント30は、樹脂部材からなる軸部31に導体(エレメント)が巻き回され、アンテナベース2に取り付ける棒状のアンテナロッド3を構成する(図3)。ただし、電波の放射性能に影響を与えない範囲において、軸方向と垂直な断面が円形や多角形といった種々の形状を採用することができる。また、基端側は、図示しないケーブルを介してチューナと接続されている。
【0022】
ジョイント部20は、ロッドエレメント30を収容可能な中空が形成された略円筒状をなしている。一般にアンテナエレメントを被覆するカバーは、仕上がりの完成度を高める(きれいに作製する)ために膜厚を均一にする必要があり、本実施形態においてもロッドエレメント30を被覆するジョイント部20は均一な膜厚で構成している。
【0023】
また、ジョイント部20の先端は、ロッドキャップ10が蓋のように嵌るとともに、被せたロッドキャップ10の抜け及び回転を防止する構造が設けられている。すなわち、径の異なる略円筒状の外側筒体21及び内側筒体22が形成されており、内側筒体22の外側側面にロッドキャップ10と係合するためのジョイント係合部24が設けられ、外側筒体21の端部にロッドキャップ10と嵌合するためのジョイント規制部23(図3)が設けられている。内側筒体22ではジョイント係合部24によりロッドキャップ10の抜けを防止し、外側筒体21ではジョイント規制部23によりロッドキャップ10の回転(位置ズレ)を防止する。また、ジョイント部20は、軸方向側面に設けられ、ロッドキャップ10と接触する部分がジョイント凹部27とジョイント凸部28からなる台形で形成されたジョイント外周部を有する。
【0024】
ロッドキャップ10は、円柱から所定の肉厚だけ残して中身をくり貫かれた形状で、ジョイント部20と接触する部分がキャップ凹部17とキャップ凸部18からなる台形で形成されている(キャップ外周部11)。ロッドキャップ10がジョイント部20と係合するとき、キャップ外周部11と上記ジョイント外周部の凹凸が嵌合し、円柱状のアンテナロッド2を構成する。ジョイント部20と接触する部分の形状は、ロッドキャップ10を回転しにくくするとともに、自由なデザイン性を確保するために、台形以外の四角形(例えば長方形)や三角形、あるいは波形等の曲線を採用できる。
【0025】
また、ロッドキャップ10の内部には、ジョイント係合部24と係合するキャップ係合部13及びジョイント規制部23と嵌合するキャップ規制部12(図3)を支持するベース部14がキャップ外周部11と一体的に設けられている。このように、各部が一体的に形成されているため、ロッドキャップ10がジョイント部20に被さった状態で固定され、キャップ外周部11のみが抜けたり回転したりすることがない。
【0026】
図3は、本実施形態に係る車両用アンテナのアンテナロッドの分解斜視図である。まず、ロッドエレメント30は、軸部31に巻き回されており、ジョイント部20の下方(キャップを被せる方とは反対の方向)から中空に挿入する。そして、ロッドキャップ10をジョイント部20の上方から被せる。
【0027】
ここで、ジョイント部20を被せる際、キャップ係合部13とジョイント係合部24(図2)とが対応する位置でキャップ規制部12をジョイント規制部23に嵌め込む。このようなキャップ規制部12の嵌め込みにより、キャップ係合部13とジョイント係合部24(図2)との位置合わせが容易となる。なお、ロッドキャップの内側のキャップ底部15にジョイント側に向けて立設した軸を設ければ、位置合わせのガイドや、嵌め込み時のガイドとして、また、ロッドキャップ10の作製時(特に塗装時)のハンガーとして利用することができる。
【0028】
本実施形態では、ジョイント部20の内側筒体22は先端(ロッドキャップと対向する側の端部)が開口しており、ロッドエレメント30の先端(ジョイント部20の取り付け側の端部)がジョイント部20に覆われているが、内側筒体22は先端が閉口しているように構成してもよいし、またロッドエレメント30の先端がジョイント部20の先端より飛び出す(ジョイント部20がロッドエレメント30の軸方向側面を被覆し先端を覆わない)ように構成してもよい。また、内側筒体22は、当該先端が外側筒体21よりもロッドキャップ側にわずかに先細りするように構成してもよく、この場合、先細りした先端はロッドキャップ係合部13の軸方向をガイドする役目を有する。
【0029】
図4は、本実施形態に係る車両用アンテナのアンテナロッドの構成を示した図で、図4(a)がロッドキャップの斜視図を表し、図4(b)がジョイント部の斜視図を表している。本発明では、図4に示すロッドキャップ及びジョイント部の構造がロッドキャップの抜けや回転、またキャップ外周部及びジョイント外周部のめくれを防止している。
【0030】
はじめに、ロッドキャップの抜け防止に関して説明する。図4(a)に示すように、ロッドキャップ10の内部に設けられた略円筒状のベース部14がキャップ規制部12及びキャップ係合部13を支持している。ベース部14の内側側面の径は、内側筒体22の外側側面の径と略同一で、ロッドキャップ10を被せたとき、ベース部14の内側側面と内側筒体22の外側側面は密着した状態となる。ジョイント係合部24は突起を有し、キャップ係合部13は当該突起に嵌合する穴を有する。キャップ係合部13は、ベース部14を内側筒体22に挿入して当該穴がジョイント係合部24の突起と嵌合する直前に外側(径が大きくなる方向)に弾性により変化する。
【0031】
一方、ジョイント部20は、図4(b)に示すように、内側筒体22の外側側面に位置するジョイント係合部24に、キャップ係合部13の穴と嵌合する突起が形成されている。当該突起は、下方(ロッドキャップ10との対向面と反対の方向)にかけて突起が徐々に大きくなる形状(突起形成面の側面から見た略三角柱)となっている。突起がこのような形状をしているため、ロッドキャップ10を被せる際には奥まで押し込みやすく、ジョイント係合部24の突起とキャップ係合部13の穴とが一旦嵌合すると抜けにくくなり、被せたロッドキャップ10が固定される。さらに、当該突起と当該穴部とによる嵌合が内側筒体22に形成されており、外側筒体21が外部の力を内側筒体22に伝えるのを遮断する役割を果たしているため、外部の力によりロッドキャップ10が外れてしまうことがない。
【0032】
ロッドキャップの抜けを防止するための構造、すなわちジョイント係合部24やキャップ係合部13の構造や位置は、上述したもの以外でもよく、例えばキャップ係合部13に突起を設けジョイント係合部24に穴を設けるようにしてもよい。また、当該突起あるいは当該穴をロッドキャップ10の軸部16の側面に設け、ジョイント部の内側筒体22の内側側面にこれに対応する穴あるいは突起を設けるようにしてもよい。また、キャップ側とカバー側とが嵌合するための構造として、突起のみあるいは穴のみを双方に形成することとしてもよいし、突起と穴を組み合わせた形状を双方に設けてもよい。
【0033】
次に、ロッドキャップの回転防止に関して説明する。図4(a)に示すように、ロッドキャップ10のキャップ規制部12は略円筒状のベース14に支持されているとともに一体的に形成され、またキャップ外周部11に一体的に形成されている。一方、ジョイント部20は、図4(b)に示すように、外側筒体21におけるロッドキャップ10との対向面の端部で、肉厚の薄い部分にジョイント規制部23が形成されている。
【0034】
キャップ規制部12は板状でジョイント規制部23は切り欠きである。ジョイント規制部23の幅はキャップ規制部12の幅と略同一で、ロッドキャップ10を被せたとき、キャップ規制部12の側面とジョイント規制部23の側面は密着した状態となる。キャップ規制部12とジョイント規制部23とが密着した状態で嵌り、またジョイント規制部23がベース部14及びキャップ外周部11と一体的に形成されていることから、ロッドキャップ10が被さった状態で回転してしまうことがない。
【0035】
ロッドキャップ10の回転を防止するための構造、すなわちキャップ規制部12やジョイント規制部23の構造や位置は、上述したもの以外でもよく、例えば外側筒体21において、キャップ規制部12を突起で構成し、ジョイント規制部23を穴で構成してもよく、その逆(キャップ規制部12を穴、ジョイント規制部23を突起で構成)でもよい。ジョイント部20に嵌めたロッドキャップ10が回転しない程度の長さの突起、それに対応する深さの穴とするのが好ましい。また、内側筒体22にジョイント規制部23を設けてもよく、板状と切り欠きで構成しても、突起と穴で構成してもよい。板状と切り欠きの場合、上述した外側筒体21に設けたのと同様の切り欠きを内側筒体22に形成し、ロッドキャップ10の軸部16を当該切り欠きと嵌合する板状で構成する。例えば当該切り欠きが2箇所(180°毎の位置)であればキャップ側を1つの板状部材で構成すればよいし、4箇所(90°毎の位置)であれば2つの板状部材をクロスさせた十字状で構成すればよい。
【0036】
次に、ロッドキャップのめくれ防止に関して説明する。本実施形態では、キャップ外周部11におけるジョイント部20との接触部分が台形の凹凸で形成されており、長時間風雨にさらされるような場合にキャップ凸部18(ジョイント部20に被せたときに下方に伸びる台形部分)がめくれてしまう可能性がある。そこで、図4(a)に示すように、ロッドキャップ10のキャップ規制部12を、上記キャップ凸部18に対応する位置に、略円筒状のベース14及びキャップ外周部11と一体的に形成して設けている。キャップ外周部11と一体的に形成されていることから、ロッドキャップ10が被さった状態でキャップ外周部11の上記キャップ凸部18がめくれてしまうことがない。また、ロッドキャップ10の形状を保持することにも資する。
【0037】
次に、ジョイントのめくれ防止に関して説明する。ジョイント外側筒体21は、ジョイント外周部におけるロッドキャップ10のキャップ外周部11(キャップ凹部17及びキャップ凸部18)との接触部分が台形の凹凸で形成されており、長時間風雨にさらされるような場合に、ジョイント凸部28(ロッドキャップ10側に伸びる台形部分)がめくれてしまう可能性がある。そこで、図4(b)に示すように、ジョイント凸部28のアンテナロッドの軸に対して垂直方向の幅(筒体としての厚み)は、ジョイント凸部28からアンテナロッド周方向に延在し、ジョイント規制部23が形成されているジョイント肉薄部29(ジョイント凹部27からジョイントの先端に伸びた部分)の幅(筒体としての厚み)より厚くなっている。そのため、ロッドキャップ10とジョイント部20を嵌め合わすことで、ジョイント肉薄部29をキャップ凸部18で覆い、さらにキャップ凸部18とは反対側からロッドキャップ10のベース部14で挟むことにより、ジョイント凸部28は固定される。よって、ジョイント凸部28が外側へめくれてしまうことはなく、ジョイント部20の形状を保持することにも資する。なお、上述したジョイント部20は、ロッドエレメント30とは別に作製された状態であるが、ジョイント部20を形作る金型にロッドエレメント30を挿入して樹脂部材を流し込んで作製してもよい。
【0038】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、ロッドエレメントをジョイント部で覆い、さらにジョイント部をロッドカバーで被覆し、当該ジョイント部及び当該ロッドカバーの先端(アンテナベースの取り付け側と反対の端部)にロッドキャップを被せてアンテナロッドを構成している。
【0039】
第1実施形態では、ジョイント部のみを用いていたため、カバーの膜厚を均一にする必要性からジョイント部が決まった形状(例えば円柱状等)となってしまう。第2実施形態では、ジョイント部の上からさらにロッドカバーを被覆することで、アンテナロッドの形状に自由度を持たせることができる。すなわち、アンテナロッドを例えば図6に示すような逆円錐台状や、ひょうたん型のように丸みを持たせた形状にすることも可能である。逆円錐台状やひょうたん型のような形状をジョイント部のみで実現しようとすると、カバー膜厚の均一性の関係から製品の仕上がりに問題が生じるが、ジョイント部の上からさらにロッドカバーを被覆する構造を採用することで膜厚を均一に保ちながら所望の形状で完成度の高いアンテナロッドを作製することができる。
【0040】
一方で、ジョイント部をロッドカバーで被覆する場合、ロッドカバーがジョイント部から抜けたり、回転したり、めくれたりしないしないようにする必要がある。
【0041】
図5は、本実施形態に係る車両用アンテナのジョイント部の斜視図である。本実施形態のジョイント部40は、キャップ対向面において、第1実施形態のジョイント部20と同様の構造を持つ。すなわち、外側筒体41、内側筒体42を備え、ロッドキャップ10の抜けを防止するためのジョイント係合部44(図6)が内側筒体42の外側側面に設けられ、ロッドキャップ10の回転を防止するためのジョイント規制部43が外側筒体41の端部に形成されている。第1実施形態のジョイント部20と異なるのは、ジョイント部40がロッドエレメント30の全体を被覆しているのではなく、アンテナベースの取り付け側と反対側の端部及び軸方向側面の一部のみ被覆している点である(ロッドエレメント30の残りの部分はロッドカバーが被覆する)。
【0042】
また、ジョイント部40は、被覆したロッドカバー50(図6)の抜け、回転、めくれを防止するための構造も有する。外側筒体41においてジョイント規制部43が形成されていない端部にジョイント固定部45が設けられ、ロッドカバー50の端部のカバー固定部51(図6)と嵌合してロッドカバー50のめくれ、回転を防止する。ジョイント固定部45は穴で構成され、カバー固定部51は突起で構成される。また、ジョイント40の両端部の中間の位置にさらにジョイント固定部46、47を設けることで、ロッドカバー50の抜け防止を強化する。ジョイント固定部46は周方向の切り欠きで構成され、ジョイント固定部47は穴で構成される。なお、ジョイント固定部47は、ロッドカバー50が後述するように一体成形で作製されるまでの間、内側筒体42の外側側面にジョイント係合部44(図6)を形成するための作業用スペースとして使用してもよい。
【0043】
図6は、本実施形態に係る車両用アンテナのジョイント部及びロッドカバーの斜視図である。ジョイント部40がロッドエレメント30を一部覆っている状態でロッドカバー50が被覆されている。なお、ロッドカバー50は、上述したような一体成形の手法、すなわちアンテナカバーを形作る金型にジョイント部40付きのロッドエレメント30を挿入して樹脂部材を流し込んで作製してもよい。この場合、ジョイント部40のジョイント固定部45、46、47に樹脂部材が流れ込み、ロッドカバー50において上記各部に対応する突起が形成される。
【0044】
ロッドキャップ10は、第1実施形態と同様に、台形の凹凸で形成されたキャップ外周部11を有し、ロッドカバー50は、当該キャップ外周部11と接触する部分が台形の凹凸で形成されたカバー外周部が軸方向側面に設けられている。ロッドキャップ10がジョイント部40と係合するとき、当該キャップ外周部11と当該カバー外周部の凹凸が嵌合し、円柱状のアンテナロッド2を構成する。当該キャップ外周部11と当該カバー外周部の形状が、台形以外の四角形(例えば長方形)や三角形、あるいは波形等の曲線でもよいのは、第1実施形態と同様である。
【0045】
また、図5では、ジョイント部40に台形の凹凸で形成されたジョイント外周部(図4(b))が設けられていないが、当該ジョイント外周部を備えるように構成してもよい。そして、この場合、当該ジョイント外周部の台形凹凸部分を除いた軸方向側面をロッドカバー50が被覆するように構成してもよいし、当該ジョイント外周部を含めてジョイント部40全体をロッドカバー50が被覆するように構成してもよい。なお、後者では、当該ジョイント外周部の台形凹凸形状に沿って同様の台形凹凸が形成され、ロッドキャップ10がジョイント部40と係合するとき、上記キャップ外周部11の凹凸と当該ジョイント外周部及び当該カバー外周部の凹凸とが嵌合することになる。
【0046】
ロッドカバーの抜け、回転、めくれを防止するための構造、すなわちジョイント固定部45、46、47やカバー固定部51等の構造や位置は、上述したもの以外でもよく、例えばジョイント固定部45、46、47を突起で構成し、カバー固定部51等を穴で構成してもよい。また、回転防止効果を高めるために、さらなるジョイント固定部として、ジョイント固定部46の下方(アンテナベースの取り付け側)に軸方向の切り欠きを複数形成してもよい。この場合、一体形成により、軸方向の切り欠きに対応する突起がロッドカバー50に形成されるため、ジョイント部40を被覆するロッドカバー50は、ジョイント固定部45、46のみの場合と比較して、さらに周方向に回転しにくくなる。また、上述したような構造の代わりに接着剤を用いてもよいし、また当該構造と接着剤を併用してもよい。
【0047】
このように、本実施形態では、アンテナエレメントを被覆する手段としてジョイント部40及びロッドカバー50を用いているため、アンテナロッドの形状に自由度を持たせてデザイン性を高めることができる。また、ジョイント部40は、第1実施形態のジョイント部20と同様の構造(外側筒体及び内側筒体からなる2重構造)を持たせているため、外部の力の影響を排除したロッドキャップ10の抜け防止や、ロッドキャップ10の回転防止を実現できる。また、ジョイント部40の外側側面に穴や切り欠きが形成されたジョイント固定部を設けたため、ロッドカバー50の抜け、回転、めくれを防止することができる。
【0048】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 車両用アンテナ
2 アンテナロッド
3 アンテナベース
10 ロッドキャップ
11 キャップ外周部
12 キャップ規制部
13 キャップ係合部
14 ベース部
15 キャップ底部
17 キャップ凹部
18 キャップ凸部
20,40 ジョイント部
21,41 外側筒体
22,42 内側筒体
23,43 ジョイント規制部
24,44 ジョイント係合部
27 ジョイント凹部
28 ジョイント凸部
29 ジョイント肉薄部
30 ロッドエレメント
31 軸部
45,46,47 ジョイント固定部
50 ロッドカバー
51 カバー固定部
V 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナロッドがアンテナベースに装着されて構成される車両用アンテナであって、
前記アンテナロッド内に設けられ、前記アンテナベースと接続される導電性のロッドエレメントと、
少なくとも前記ロッドエレメントの軸方向側面を覆うとともに、前記アンテナベースとは反対側の端部近傍に設けられ、ジョイント係合部を有する内側筒体と、前記内側筒体の外側に設けられる外側筒体と、を有するジョイント部と、
前記ジョイント係合部と係合するキャップ係合部を有するロッドキャップと、
を備えることを特徴とする車両用アンテナ。
【請求項2】
前記ジョイント部は、当該ジョイント部の軸方向側面に設けられ、前記ロッドキャップとの係合側に向けて突出した凸部を有するジョイント外周部を有し、
前記ロッドキャップは、前記凸部と接する面に凹部を有するキャップ外周部を有し、
前記ジョイント係合部と前記キャップ係合部が係合することで、前記ジョイント外周部と前記キャップ外周部とが嵌合することを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ。
【請求項3】
前記ジョイント部と前記ロッドキャップとは、規制手段により少なくとも相互の周方向の位置ズレを防止することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用アンテナ。
【請求項4】
前記アンテナロッドは、少なくとも前記ジョイント部の軸方向側面を覆うロッドカバーを有し、
前記ジョイント部と前記ロッドカバーとは、固定手段により相互の位置を固定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用アンテナ。
【請求項5】
前記固定手段は、前記ジョイント部側に向けて設けられたカバー固定部と、前記カバー固定部と対向する面に設けられたジョイント固定部と、であることを特徴とする請求項4に記載の車両用アンテナ。
【請求項6】
前記ロッドカバーは、当該ロッドカバーの軸方向側面に設けられ、前記ロッドキャップとの係合側に向けて突出した凸部を有し、
前記ロッドキャップは、前記凸部と接する面に凹部を有し、
前記ジョイント係合部と前記キャップ係合部が係合することで、前記凸部と前記凹部とが嵌合することを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用アンテナ。
【請求項7】
前記ジョイント部及び/又は前記ロッドカバーは、前記ロッドエレメントの少なくとも側面を被覆するように樹脂により一体成形されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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