車両用エンジン冷却システム
【課題】ラジエータを冷却するための冷却ファンとウォータポンプをモータによって駆動するものにおいて、その駆動動力を低減する。
【解決手段】冷却液を循環させるウォータポンプ5のポンプモータ6を冷却ファン4の駆動源として利用する。ポンプモータ6と冷却ファン4との間に電磁クラッチ21を設け、エンジン1を出るときの冷却液が所定温度以上にあるときには、電磁クラッチ21を接続状態にし、所定温度未満のときには、電磁クラッチ21を遮断状態にする。また、冷却液が所定温度未満で、車速が所定速度以上のときには、電磁クラッチ21を接続状態にして走行風を受ける冷却ファン4の回転力をポンプモータ6に伝達してその負荷を軽減する。
【解決手段】冷却液を循環させるウォータポンプ5のポンプモータ6を冷却ファン4の駆動源として利用する。ポンプモータ6と冷却ファン4との間に電磁クラッチ21を設け、エンジン1を出るときの冷却液が所定温度以上にあるときには、電磁クラッチ21を接続状態にし、所定温度未満のときには、電磁クラッチ21を遮断状態にする。また、冷却液が所定温度未満で、車速が所定速度以上のときには、電磁クラッチ21を接続状態にして走行風を受ける冷却ファン4の回転力をポンプモータ6に伝達してその負荷を軽減する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの冷却液をラジエータによって冷却する構成の車両用エンジン冷却システムに係り、特に、ラジエータを冷却するための冷却ファンを冷却液循環用のウォータポンプのモータによって駆動するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンの冷却システムにおいては、エンジンを冷却することによって温度上昇した冷却液をウォータポンプによってラジエータに送り、ここで走行風や冷却ファンからの送風によって冷却した後、再びエンジンに戻す、というように冷却液を循環させることを基本としている。
エンジンの冷却は、過熱を防止するためであるが、冷却しすぎても、エンジンの熱損失が増大したり、軸受やピストンリングといった摺動部分での摩擦増加による機械的損失が増大したりするため、適正な冷却を最小限のエネルギで行うことが望ましい。
【0003】
エンジン冷却に関する従来例によれば、エンジンによってウォータポンプと冷却ファンを駆動する方法(以下、従来例1)では、冷却液の自然対流や車両の走行によって得られる空気流によってラジエータでの冷却が可能な場合も冷却ファンが駆動されるため、無駄に冷却ファンを駆動する動力を消費する第1の欠点がある。また、高速運転時には、ウォータポンプもエンジン回転数に伴って高回転数になり必要以上の冷却液を循環させるため無駄なエネルギを消費するという第2の欠点がある。
【0004】
この改良例としては、非特許文献1に記述されているように、冷却ファンをモータによって駆動し、エンジンの冷却状態に応じて、冷却ファンの運転を制御するようにした方法(以下、従来例2)があり、一般的に実施されている。この方法によれば、上記第1の欠点を無くすことはできるが、上記第2の欠点は残ることになる。さらには、ウォータポンプと冷却ファンとを個々のモータで駆動し、エンジンの冷却状況に応じて個々の回転数を制御する方法(以下、従来例3)も実施されている。これによれば、上記第1、第2の欠点ともなくすことができる。
【0005】
冷却ファンの駆動方法に関する他の例としては、上記の方法以外に、例えば特許文献1にあっては、冷却ファンを暖房用の蓄熱器の温水を循環させる温水用ウォータポンプと直結したモータで駆動することが考えられている。具体的には、冷却ファンを回転させる時は、温水用ウォータポンプのインペラも回転するが、インペラとしては逆回転になるようにし温水を循環させない。温水を循環する時は、モータを上記の場合とは逆に回転させ、温水用ウォータポンプは温水を循環させるが、動力伝達選択手段を用いて冷却ファンは回転させないようにする。これによれば、温水循環時には、冷却ファンが回転しないため空冷ファンの騒音と駆動動力を低減できるとされている。しかしながら、本構成では、エンジンの温度が高くなって冷却ファンを駆動する時、温水用ウォータポンプはポンプ運転とは逆方向の回転となるため冷却液を循環する動力は生じないが、インペラが温水の中で回転することによるエネルギ損失が発生するとともに、従来例2と同様の欠点がある。
【特許文献1】特開2002−97956号公報
【非特許文献1】自動車技術ハンドブック 4設計(パワートレイン)編、社団法人自動車技術会、2005年 p.65−66)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エンジンの冷却は、前述したように、エンジンを液冷した冷却液をウォータポンプで循環させラジエータで空気冷却することにより行っている。エンジンを直接冷却している冷却液に関しては、エンジンの作動中は、ほぼ常時循環させる必要がある。従ってエンジン作動中は、ほぼ全時間ウォータポンプを作動させることになる。一方、ラジエータにおいては、車両の走行時には、その車両の走行によりラジエータに風があたる。以下、この風を走行風とよぶ。ラジエータを通過する走行風の風速は、車速の20〜30%程度の速さになるため、中高速走行時には、冷却ファンを回転しなくとも、走行風だけで冷却液を十分に冷却できる場合が多い。このため、冷却ファンを運転する必要がある時間は、車両の走行条件や大気温度にもよるが、エンジンの全作動時間の概略10%程度と短い。
【0007】
このようにラジエータは、車両の走行中の多くの期間は、走行風だけで十分に冷却される。この車両の走行中には、冷却ファンも、また走行風から回転力を得る。しかし、従来例1、2、3および特許文献1の特に従来例2、3および特許文献1においては、走行風により冷却ファンは回転力を得るためその駆動動力は軽減されるが、その効果は、冷却ファン駆動時に限られる。上記のように冷却ファンの必要な作動時間が短いことを考慮すると、実質的な走行風の効果は小さい。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ラジエータの冷却ファンとウォータポンプをモータ駆動する構成において、走行風により冷却液を十分に冷却できることから冷却ファンの駆動を止めた場合においても、走行風により得られる冷却ファンの回転力をウォータポンプの駆動に利用してウォータポンプの動力を補助することによって、冷却に要する動力を低減できる車両用エンジン冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(本発明の前提構成)
車両用エンジン冷却システムは、エンジンの冷却液を循環させるためのウォータポンプ、冷却液を冷却するラジエータ、ラジエータを冷却する冷却ファンを備えている。
本発明では、ウォータポンプの駆動源をモータ(ポンプモータ)とし、このポンプモータの回転を利用して冷却ファンを回転駆動することを前提としている。そして、冷却ファンをポンプモータに対して断続するクラッチを設け、このクラッチを制御手段によって断続制御する。
【0010】
(本発明の第1の手段)
上記目的を達成するために、本発明の第1の手段(請求項1)では、冷却液の温度を検出する温度検出手段を設け、この温度検出手段の検出温度により、冷却液をラジエータで冷却する際、冷却ファンを回転駆動してラジエータを強制冷却する必要性があるか否かを判断できるようにしている。
【0011】
更に、本発明では、冷却ファンが外風圧(走行風圧を含む。)を受けて回転するとき、当該冷却ファンにポンプモータに対するアシスト能力があるか否かを検出するアシスト能力検出手段を設けている。ここで、アシスト能力とは、冷却ファンが外風圧を受けて強制的に回転される場合、冷却ファンの回転数がポンプモータによって回転されるときの速度を上回るようになると、冷却ファンの回転をポンプモータに伝えることで冷却ファンがポンプモータの負荷を軽減できるようになるが、このように冷却ファンが回転力をポンプモータに伝え得る能力をいう。
【0012】
そして、制御手段は、温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき、又は、温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つアシスト能力検出手段がアシスト能力ありを検出したときには、クラッチを接続動作させてポンプモータと冷却ファンとを接続し、温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つアシスト能力検出手段がアシスト能力なしを検出したときには、クラッチを遮断動作させてポンプモータと冷却ファンとを遮断する。
【0013】
このように、第1の手段によれば、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要があるとき(温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき)、クラッチを接続状態にしてポンプモータにより冷却ファンが回転駆動されるようにする。そして、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要がないときには、原則としてクラッチを遮断してポンプモータが冷却ファンを回転駆動することのないようにするので、ポンプモータを無駄に作動させることがない。
【0014】
しかも、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要がなくなっても、冷却ファンにアシスト能力がある場合には、クラッチは接続状態になされるので、外風圧によって強制的に回転される冷却ファンの回転をポンプモータに伝達してポンプモータの負荷を軽減させることができる。勿論、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要があるときには、クラッチは接続状態にあるので、このときに冷却ファンがアシスト能力ありの状態になれば、外風圧によって強制的に回転される冷却ファンによってポンプモータを駆動でき、その負荷を軽減することができる。
【0015】
この第1の手段において、アシスト能力検出手段は、車両の速度を検出する車速センサと、車速センサの検出速度が所定速度以上のとき、アシスト能力ありと判定し、車速センサの検出速度が所定速度未満のとき、アシスト能力なしと判定する判定手段とから構成することができる(請求項2)。
【0016】
また、アシスト能力検出手段は、ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、車両の速度を検出する車速センサと、車速センサの検出速度を冷却ファンの回転数に演算して、その回転数がモータ回転数検出手段により検出されたポンプモータの回転数を越えたとき、アシスト能力ありと判定し、冷却ファンの回転数がポンプモータの回転数以下のとき、アシスト能力なしと判定する判定手段とから構成しても良い(請求項3)。
【0017】
更に、アシスト能力検出手段は、冷却ファンの回転数を検出するファン回転数検出手段と、ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、車両の速度を検出する車速センサと、ファン回転数検出手段により検出された冷却ファンの回転数がモータ回転数検出手段により検出されたポンプモータの回転数を越えたとき、アシスト能力ありと判定し、車速センサが所定速度以下を検出したとき、アシスト能力なしと判定する判定手段とから構成することもできる(請求項4)。
【0018】
(本発明の第2の手段)
上記目的を達成するために、本発明の第2の手段(請求項5)では、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要があるとき(温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき)、クラッチを接続状態にしてポンプモータにより冷却ファンを回転駆動し、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要がなくなれば、クラッチを遮断状態にしてポンプモータによって冷却ファンを回転駆動させないようにする。そして、ポンプモータと冷却ファンとの間に一方向クラッチを設け、クラッチの断続状態とは関係なく、冷却ファンが外風圧を受けてポンプモータより速く回転しようとするとき(アシスト能力あり)、一方向クラッチによって冷却ファンの回転がポンプモータに伝達されるようにする。
【0019】
この第2の手段によれば、ラジエータを冷却ファンにより冷却する必要がないときには、クラッチが遮断されて冷却ファンがポンプモータにより回転駆動されることのないようにすると共に、一方向クラッチの作用により、冷却ファンが外風圧により回転されてアシスト能力を持つようになると、自動的に冷却ファンの回転がポンプモータに伝達されてポンプモータの負荷を軽減するようになる。
【0020】
(第1および第2の手段への付加構成)
本発明では、上述の第1の手段、第2の手段に対して、次の構成を付加することができる。
【0021】
ポンプモータの回転数を、温度検出手段の検出温度の高低に応じて高低変化させるようにしても良く(請求項6)、冷却液のエンジンの入口側での温度と出口側での温度との差の大小に応じて高低変化させるようにしても良い(請求項7)。このようにポンプモータの回転数を変化させると、ラジエータで冷却液をより強く冷却する必要がある場合に冷却ファンの回転数をより高くすることができる。
【0022】
また、ポンプモータからウォータポンプへの回転伝達は、磁気カップリングにより行うように構成することができる(請求項8)。この構成によれば、ポンプモータとウォータポンプとの間を、メカニカルシールを用いることなく遮蔽できるため、ポンプモータからウォータポンプへの動力伝達部分での冷却液の漏洩をなくし、シールによる摩擦損失を低減させることができる。
【0023】
また、ポンプモータの通電を、エンジン始動より遅らせるようにしても良い(請求項9)。このようにすれば、スタータモータに大電流が流れるエンジン始動時を避けてポンプモータに通電するので、車両のバッテリの負荷を軽減できる。
【0024】
更に、冷却ファンとは別に、ラジエータまたはラジエータ以外の被冷却体を冷却するための冷却ファンを設け、当該別の冷却ファンを駆動するモータを、当該別の冷却ファンの駆動不要時であって当該別の冷却ファンから回転力を受けるとき、発電機として機能するモータジェネレータから構成しても良い(請求項10)。このようにすれば、外風圧によって上記別の冷却ファンが回転する際に、モータジェネレータにより発電して車両のバッテリを充電することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図1ないし図5を参照しながら説明する。図2には、車両の推進源としてのエンジン、例えばガソリンエンジンの冷却システムの構成が概略的に示されている。図2に示すように、エンジン1には、ジャケット2が形成されており、このジャケット2内を冷却液が通ることでエンジン1の冷却が行われる。エンジン冷却システムは、エンジン1を冷却することにより温度上昇した冷却液を、外部で冷却して再びエンジン1に戻すように循環させることにより、エンジン1を冷却するシステムであり、ラジエータ3と、冷却ファン4と、ウォータポンプ5と、このウォータポンプ5を駆動するポンプモータ6とを備えている。
【0026】
上記ポンプモータ6は、ラジエータ3の後部に取り付けられた支持フレーム7に固定されている。このポンプモータ6は、例えばブラシレスDCモータからなり、図1に示すように、モータケース8に固定された固定子9と、モータケース8に軸受10を介して回転可能に支持された回転子11とを備えている。そして、回転子11の回転軸12の両端部は、モータケース8から前後両側に突出されている。なお、固定子9は、固定子鉄心9aに複数相のコイル9bを巻装してなる。また、回転子11は、回転子鉄心11aの外周に複数極に着磁した永久磁石11bを取着してなる永久磁石型のものである。
【0027】
ポンプモータ6の後部には、前記ウォータポンプ5が取り付けられている。このウォータポンプ5は遠心型として構成され、そのケーシング13内のインペラ14は、ポンプモータ6の回転軸12の後端部に固定されている。このウォータポンプ5とポンプモータ6との間は、メカニカルシール15によってシールされ、冷却液がポンプモータ6側へ漏れ出ないようにしている。なお、このメカニカルシール15は、インペラ14に設けられたフローティングシート16と、ウォータポンプ5とポンプモータ6との間を仕切る仕切板17側に設けられベローズスプリング18によってフローティングシート16に押し付けられたシールリング19とからなり、フローティングシート16がシールリング19に対して摺動するようになっている。
【0028】
一方、前記冷却ファン4は、ポンプモータ6の回転軸12の前端部に軸受20を介して回転可能に支持されている。この冷却ファン4とポンプモータ6との間には、クラッチ、例えば電磁クラッチ21が設けられている。電磁クラッチ21は、回転軸12に固定されたクラッチ板22と、冷却ファン4側に突設されたピン23により軸方向に移動可能に取り付けられた鉄などの磁性材製のクラッチ板24と、ポンプモータ6のモータケース8に固定された電磁コイル25とを備えている。
【0029】
上記電磁コイル25が通電されると、その磁気力により冷却ファン4のクラッチ板24が回転軸12のクラッチ板22に吸着されて接続状態となり、ポンプモータ6の回転軸12と冷却ファン4とが連結される。そして、電磁コイル25が断電されると、冷却ファン4のクラッチ板24のクラッチ板22に対する吸着が解かれて遮断状態となり、ポンプモータ6の回転軸12と冷却ファン4との連結が解かれる。
【0030】
さて、前記ウォータポンプ5は、冷却液を循環させるためのもので、図3に示すように、その吸入口5aは、エンジン1のジャケット2の出口2aにホース26により接続され、吐出口5bは、サーモバルブ27の入口27aにホース28を介して接続されている。サーモバルブ27は、2つの出口27b,27cを有しており、冷却液の温度が低いうちは、出口27cを開いて出口27bを絞った状態にある。そして、冷却液の温度が上昇してくると、出口27bを開いて出口27cを絞るように構成されている。このサーモバルブ27の一方の出口27bは、ホース29を介してラジエータ3の入口3aに接続され、他方の出口27cは、ホース30を介してエンジン1のジャケット2の入口2bに接続されている。また、ラジエータ3の出口3bも、ホース31を介してエンジン1のジャケット2の入口2bに接続されている。
【0031】
図4は冷却システムの制御構成を示すブロック図である。冷却システムの制御は、例えばマイクロコンピュータ(図示せず)を主体とする制御手段としての制御回路32によって行われるようになっており、この制御回路32には、前記電磁クラッチ21の電磁コイル25の他、冷却液の温度検出手段としての液温センサ33、車速センサ34、インバータ駆動装置35などが接続されている。
【0032】
上記液温センサ33は、冷却液の温度を例えばジャケット2の出口2aにおいて検出する。車速センサ34は、車両の速度を検出するためのもので、例えば車軸の回転数を検出し、その検出出力を制御回路32に入力する。制御回路32は、車速センサ34が検出した回転数と、図示しないメモリに予め記憶されているタイヤ径とによって車速を演算するように構成されている。
【0033】
インバータ駆動装置35は、ポンプモータ6をインバータ駆動するためのものであり、その直流電源には、車両のバッテリ36が用いられている。このポンプモータ6の回転数制御は、パルス幅変調(PWM)方式によって行われるようになっている。そのために、ポンプモータ6に、その回転数を検出する回転数検出手段として例えば周波数発電機37を設け、その検出出力を制御回路32に入力するようにしている。そして、制御回路32は、周波数発電機37によって検出されたポンプモータ6の回転数と予め定められた設定回転数とを比較し、その速度偏差に応じた駆動信号をインバータ駆動装置35に与える。すると、インバータ駆動装置35は、制御回路32から与えられた速度偏差に応じたPWM信号を形成してポンプモータ6を設定回転数となるように制御する。なお、設定回転数は、制御回路32が有するメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0034】
次に上記構成の作用を説明する。まず、この実施形態では、冷却液を強制冷却する必要があるか否かを液温センサ33の検出温度によって判断する。つまり、液温センサ33が所定温度以上を検出したときには、強制冷却の必要がありと判断する。そして、強制冷却の必要がある場合には、冷却ファン4をポンプモータ6の回転軸12に連結し、冷却ファン4をポンプモータ6により回転駆動する。
【0035】
また、車両の速度が所定速度以上のときには、冷却ファン4が走行風圧(外風圧)を受けてポンプモータ6の回転数よりも速く回転しようとするので、冷却ファン4の回転をポンプモータ6に伝達することで、ポンプモータ6の負荷を軽減できる(アシスト能力あり)と判断し、冷却ファン4をポンプモータ6の回転軸12に連結するようになっている。なお、アシスト能力ありと判断するときの車速は、予め実験によって求めた車速に定められて制御回路32が有するメモリに記憶されている。なお、本実施の形態では、当該車速を、冷却ファンの回転数との相関関係を考慮して、実験によって求めておいた。
【0036】
以下に冷却液の冷却につき説明すると、まず、図示しないイグニッションスイッチをスタート操作してエンジン1を始動させる。すると、このエンジン1の始動と期を同じくして制御回路32がポンプモータ6を起動させ、エンジン1の冷却液を循環させる。エンジン1の始動当初は、まだエンジン1が十分に暖まっていないため、サーモバルブ27が出口27bを閉じている。従って、冷却液は、ジャケット2の出口2aからホース26、ウォータポンプ5、ホース28、サーモバルブ27、ホース30を通ってジャケット2の入口2bへと戻されるように循環し、ラジエータ3には送られない。
【0037】
エンジン1が暖まり、冷却液の温度が上昇してくると、サーモバルブ27が出口27cを絞って出口27bを開くようになるため、冷却液がジャケット2とラジエータ3とを循環するようになる。つまり、ジャケット2の冷却液は、ジャケット2の出口2aからホース26、ウォータポンプ5、サーモバルブ27、ホース29、ラジエータ3、ホース31を順に経てジャケット2に戻るというように循環する。そして、エンジン1を冷却して高温度となった冷却液は、ラジエータ3を通る際に冷却される。
【0038】
一方、エンジン1の始動と共に、制御回路32は、図5の電磁クラッチ制御ルーチンを実行し始める。即ち、制御回路32は、図5の電磁クラッチ制御ルーチンに入ると、初期設定として、まず電磁クラッチ21を遮断状態にする(ステップS1)。次に、制御回路32は、液温センサ33の検出温度を取得し(ステップS2)、その温度が所定温度T(℃)以上であるか否かを判断する(ステップS3)。エンジン1の始動から間もない時期であるときには、冷却液はそれ程温度上昇しておらず、液温センサ33の検出温度はT未満であるので、制御回路32は、冷却ファン4による強制冷却の必要なしと判断する(ステップS3で「NO」)。
【0039】
強制冷却の必要なしと判断した場合、制御回路32は、冷却ファン4のアシスト能力の有無に応じて電磁クラッチ21を断続するために、車速センサ34の検出速度を取得し(ステップS4)、車両の速度が所定速度V(km/s)以上であるか否かを判断する(ステップS5:アシスト能力検出手段、判定手段)。ところで、車速が走行を開始すると、電磁クラッチ21が遮断状態にあるとき、冷却ファン4は、走行風圧を受けて回転する。この場合、車両の速度が所定速度V未満のときには、走行風圧を受けて冷却ファン4が回転しても、ポンプモータ6の回転数以上とはならないので、制御回路32は、アシスト能力なしと判断し(ステップS5で「NO」)、電磁クラッチ21を遮断状態のままとする(ステップS6)。
【0040】
そして、車両の速度が所定速度V以上になると、走行風圧を受けて回転する冷却ファン4は、ポンプモータ6の回転数以上の回転数で回転するようになる。すると、制御回路32は、走行風圧を受けて回転する冷却ファン4にアシスト能力ありと判断し(ステップS5で「YES」)、電磁コイル25に通電して電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップS7)。電磁クラッチ21が接続状態になると、冷却ファン4の回転が電磁クラッチ21のクラッチ板24,22を介してポンプモータ6の回転軸12に伝達される。このため、ウォータポンプ5を駆動しているポンプモータ6の負荷が冷却ファン4から受ける回転力の分だけ軽減される(モータアシスト)。
【0041】
エンジン1の始動から暫く経過すると、冷却液の温度が上昇してくる。そして、ジャケット2の出口2aでの冷却液の温度が所定温度T以上になると、制御回路32は、ラジエータ3を強制冷却する必要ありと判断し(ステップS3で「YES」)、電磁コイル25に通電して電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップS8)。これにより、ポンプモータ6の回転がクラッチ板22,24を介して冷却ファン4に伝達され、冷却ファン4が回転駆動される。
【0042】
ジャケット2の出口2aでの冷却液の温度が所定温度T以上である場合には、車両の速度が所定速度V以上であるか否かとは関係なく、電磁クラッチ21は接続状態のままとされる。従って、車両の速度が所定速度V以上のときには、冷却ファン4はアシスト能力を有するが、電磁クラッチ21が接続状態にあることにより、冷却ファン4の走行風圧による回転が自動的にポンプモータ6に伝達されてその負荷を軽減する。
【0043】
ところで、例えば中高速走行時には、ラジエータ3が走行風によって冷却されることから、通常の場合には、あえて冷却ファン4をポンプモータ6によって回転駆動しなくとも、ジャケット2の出口2aでの冷却液の温度が所定温度T未満となる。このようになると、制御回路32は、前述したと同様に、冷却ファン4のアシスト能力の有無に応じて電磁クラッチ21を断続制御するようになる。
【0044】
即ち、液温センサ33の検出温度が所定温度T未満になると(ステップS3で「NO」)、制御回路32は、車速センサ34の検出速度が所定速度V以上であるか否かを判断する(ステップS4,5)。そして、制御回路32は、車両の速度がV以上のとき、冷却ファン4にアシスト能力ありと判断し(ステップS5で「YES」)、電磁コイル25に通電して電磁クラッチ21を接続状態のままとする。これにより、冷却ファン4の回転がポンプモータ6に伝達され、ウォータポンプ5を駆動しているポンプモータ6の負荷を軽減する。また、車両の速度がV未満の時には、制御回路32は、電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップS6)、ポンプモータ6が冷却ファン4を無駄に回転駆動することのないようにする。
【0045】
車両が停止し、イグニッションスイッチがオフ操作されると、エンジン1が停止し、これに伴ってポンプモータ6も断電されてウォータポンプ5を停止させる。そして、制御回路32も図5の電磁クラッチ制御ルーチンの実行を停止する。
このように本実施形態によれば、冷却ファン4の駆動源をポンプモータ6とし、両者を電磁クラッチ21によって断続するようにしたので、冷却ファン4によりラジエータ3を強制冷却する必要がないときにまで、冷却ファン4をポンプモータ6によって駆動することがない。
【0046】
しかも、ラジエータ3を冷却ファン4で強制冷却する必要があるとき、走行風圧を受ける冷却ファン4にアシスト能力があれば、冷却ファン4の回転が接続状態にある電磁クラッチ21を介してポンプモータ6に伝達されるので、ポンプモータ6の負荷を軽減する。その上、ラジエータ3を冷却ファン4で強制冷却する必要がないときでも、走行風圧を受ける冷却ファン4にアシスト能力があれば、電磁クラッチ21を遮断状態から接続状態に切り替えて冷却ファン4の回転がポンプモータ6に伝達されるようにするので、上記したと同様にポンプモータ6の負荷を軽減することができる。
【0047】
従って、ラジエータ3を強制冷却する必要があるときに、電磁クラッチ21を接続状態にし、ラジエータ3を強制冷却する必要がなくなれば、電磁クラッチ21を遮断状態にするだけの構成のものに比べ、特に車両の中高速走行時において、ラジエータ3が走行風により冷却されて冷却ファン4による強制冷却の必要がないときでも、冷却ファン4にアシスト能力があるときには、電磁クラッチ21を接続状態にして冷却ファン4の回転をポンプモータ6に伝達して当該ポンプモータ6の負荷を軽減でき、それだけエンジン1の燃費を高めることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
図6および図7は本発明の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態が上述の第1の実施形態と相違するところは、冷却ファン4のアシスト能力の有無を、冷却ファン4の回転数とポンプモータ6の回転数との比較によって行うところにある。
即ち、この実施形態では、図6に示すように、車速センサ34はなく、これに代えて、冷却ファン4の回転数を検出するためのファン回転数検出手段としての回転数センサ38を設けている。この回転数センサ38は、図示はしないが、例えば冷却ファン4に設けられた永久磁石と、この永久磁石の磁気を検出するために例えば支持フレーム7に設けられたホール素子などの磁気検出素子とから構成され、磁気検出素子は、冷却ファン4の回転数に応じた数のパルスを出力する。そして、制御回路32は、回転数センサ38から入力されるパルス数に基づいて冷却ファン4の回転数を算出するようになっている。
【0049】
図7に示す電磁クラッチ制御ルーチンにおいて、制御回路32は、冷却液のジャケット2の出口2aにおける温度が所定温度T未満で(ステップA3で「NO」)、ラジエータ3を冷却ファン4により強制冷却する必要がないとき、回転数センサ38の検出回転数を取得する(ステップA4)。そして、制御回路32は、モータ回転数検出手段としての周波数発電機37からポンプモータ6の回転数を取得し、冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転数以下のとき、アシスト能力なしと判断して(ステップA5で「NO」:判定手段)電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップA6)、冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転数を越えていたとき、アシスト能力ありと判断して(ステップA5で「YES」:判定手段)電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップA7)。
【0050】
なお、ポンプモータ6の回転数が本実施形態のように予め定められた設定回転数となるように制御されている場合には、制御回路32の図示しないメモリに記憶された設定回転数を取得(モータ回転数検出手段)して、回転数センサ38の回転数を取得しないように構成しても良い。また、ポンプモータ6の回転を減速機構を介して冷却ファン4に伝達するように構成した場合には、減速機構の出力回転数がポンプモータ6の回転数となる。
【0051】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態が前述の第2の実施形態と異なるところは、冷却ファン4のアシスト能力の有無を、車両の走行速度から走行風による冷却ファン4の回転数を演算し、この演算された冷却ファン4の回転数とポンプモータ6の回転数との比較によって行うところにある。従って、この実施形態では、第2の実施形態における回転数センサ38は備えず、その代わりに、第1の実施形態における車速センサ34を備えている。
即ち、制御回路32は、冷却ファン4にアシスト能力があるか否かを判定するに際し、車速センサ34の検出速度を取得し(図8のステップa4)、この検出速度から冷却ファン4の走行風による回転数を演算する(ステップa5)。なお、この車速センサ34の検出速度(車両の速度)と冷却ファン4の回転数は、予め実験により求めて記憶手段に記憶しておき、車両センサ34の検出速度を取得したとき記憶手段から冷却ファン4の回転数を検索することによって行うようにしても良い。また、所定の計算式に車速センサ34の検出速度を代入して冷却ファン4の回転数を演算するようにしても良い。
【0052】
冷却ファン4の回転数を演算した後、制御回路32は、演算した冷却ファン4の回転数とポンプモータ6の回転数とを比較し、冷却ファン4の回転数が周波数発電機37から得られるポンプモータ6の回転数以下のとき、アシスト能力なしと判断して(ステップa6で「NO」:判定手段)、電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップa7)、冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転数を越えていたとき、アシスト能力ありと判断して(ステップa6で「YES」:判定手段)、電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップa8)。
【0053】
(第4の実施形態)
図9ないし図11は本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態が前述の第1の実施形態と異なるところは、図9に示すように、冷却ファン4をポンプモータ6の回転軸12に対して一方向クラッチ39を介して取り付けたところにある。この一方向クラッチ39としては、例えば一方向ボールクラッチや一方向コロクラッチなどが考えられる。この実施形態においては、電磁クラッチ21が主クラッチ、一方向クラッチが補助クラッチとなる。また、制御構成としては、図10に示すように、車速センサ34は設けられていない。
【0054】
図11に示す電磁クラッチ制御ルーチンにおいて、制御回路32は、ジャケット2の出口2aにおける冷却液の温度に応じて電磁クラッチ21を断続する制御だけを行っている。つまり、制御回路32は、液温センサ33の検出温度が所定温度T未満のとき(ステップB3で「NO」)、電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップB4)、液温センサ33の検出温度が所定温度T以上のとき(ステップB3で「YES」)、電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップB4)。
【0055】
そして、冷却ファン4のアシスト能力の有無に応じて冷却ファン4の回転をポンプモータ6に伝達したり伝達しなかったりする動作は、一方向クラッチ39の作用によって冷却ファンの回転数に応じて自動的に行われる。この一方向クラッチ39は、ポンプモータ6の回転軸12に対する冷却ファン4の一方向の回転だけを回転軸12に伝達する機能を有する。この機能により、一方向クラッチ39は、電磁クラッチ21が遮断状態にあるとき、走行風圧を受けて回転する冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転軸12の回転数を超えることにより、冷却ファン4が回転軸12に対して相対的に一方向に回転するようになると、自動的に冷却ファン4の回転を回転軸12に伝達してポンプモータ6をアシストする。
【0056】
(第5の実施形態)
図12は本発明の第5の実施形態を示す。この実施形態が前述の第1の実施形態と異なるところは、ポンプモータ6の回転軸12からウォータポンプ5のインペラ14への回転伝達を磁気カップリングにより行うようにしたところにある。
即ち、図12に示すように、ポンプモータ6の回転軸12は、ウォータポンプ5側への突出をなくすように短尺化されている。また、ウォータポンプ5とポンプモータ6との間の仕切板17の中心側には、円筒状壁17aが形成されており、更にこの円筒状壁17aの内側にボス部17bが形成されている。そして、仕切板17のボス部17bには、支軸40が嵌着されており、この支軸40にインペラ14が軸受41を介して回転可能に支持されている。
【0057】
一方、回転軸12の回転をインペラ14に伝達する磁気カップリング43は、大小径の異なる2個の永久磁石リング44,45から構成されている。これら永久磁石リング44,45は、周方向に沿ってN極とS極とが交互に並ぶように着磁してなるもので、径大側の永久磁石リング44は、ポンプモータ6の回転子11の回転子鉄心11aに設けられた円筒状部46の内側に取着され、径小側の永久磁石リング45は、インペラ14に設けられた円筒状部47の外側に取着されている。これら永久磁石リング44,45は、仕切板17の円筒状壁17aを介して対向して互いに磁気力を及ぼし合っている。そして、これら永久磁石リング44,45どうしの磁気吸引力により、回転子11の回転がインペラ14に伝達されるようになっている。
【0058】
このように構成した本実施形態によれば、ウォータポンプ5とポンプモータ6との間を仕切板17および支軸40によって完全にシールすることができる。従って、冷却液の漏洩を確実になくすことができる。また、摺動部分のあるメカニカルシール15を用いる第1の実施形態に比べてシールによる摩擦損失を低減させることができる。
【0059】
(第6の実施形態)
図13は本発明の第6の実施形態を示すもので、前述の第1の実施形態と異なるところは、ラジエータ3を冷却するために冷却ファン4とは別に、補助冷却ファン48を設けたところにある。この補助冷却ファン48もモータ駆動とされ、そのモータには、モータジェネレータ49が用いられている。モータジェネレータ49は、永久磁石型のDCモータから構成され、モータとしても、ジェネレータとしても機能する。
【0060】
モータジェネレータ49は、ラジエータ3に支持アーム50を介して取り付けられ、ラジエータ3を強制冷却する必要があるとき、通電されてモータとして機能して補助冷却ファン48を回転駆動する。そして、補助冷却ファン48を駆動させる必要がないとき、モータを断電し、走行風により補助冷却ファン48を回転駆動させることによって、モータジェネレータ49は、ジェネレータとして機能するようになる。このときモータジェネレータ49により発電された電力はバッテリ36を充電するように構成されている。なお、補助冷却ファン48がアシスト能力を有するか否かは、車速によって判断することが好ましいが、これに限られるものではない。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
ポンプモータ6の回転数を液温センサ33の検出温度に応じて変化させるようにしても良い。このようにすれば、冷却液が高温のときほど冷却液が多く循環され、且つ冷却ファン4も高速度で回転されるので、冷却液の冷却が良好に行われるようになる。
冷却液の温度を検出する液温センサを、エンジン1のジャケット2の出口2aと入口2bとに設け、それら両液温センサの検出温度差に応じてポンプモータ6の回転数を変えるようにしても良い。このようにすれば、冷却液の循環量を必要とする冷却強度に応じて変えることができると共に、冷却ファン4を冷却強度に応じた速度で回転させて必要とする冷却強度に応じた風速の冷却風でラジエータ3を冷却できる。
【0062】
液温センサ33を設ける位置は、ジャケット2の出口2aや入口2bに限られず、ラジエータ3やサーもバルブ27などに設けても良い。また、液温センサ33は、冷却液に接触するように設け、冷却液の温度を直接検出するものであっても、また、冷却液の流路の壁を介して検出するものであっても良い。
ポンプモータ6の起動を、エンジン1の始動時点から所定の短時間だけ遅らせるようにしても良い。このようにすれば、エンジン1の始動時にはスタータモータの起動に多大の電力を有するので、これにポンプモータ6の起動時の電力が重畳されることがない。
ポンプモータ6は、電動モータに限らず油圧モータ等の他の機構のモータであっても良い。
図13の第6の実施形態において、補助冷却ファン48は、ラジエータ3とは別の被冷却体、例えばエアコンのコンデンサを冷却するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、要部の縦断面図
【図2】冷却システムの全体を示す側面図
【図3】冷却システムの配管構成図
【図4】制御構成を示すブロック図
【図5】電磁クラッチの制御のためのフローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図4相当図
【図7】図5相当図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す図5相当図
【図9】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【図10】図4相当図
【図11】図5相当図
【図12】本発明の第5の実施形態を示す図1相当図
【図13】本発明の第6の実施形態を示す図2相当図
【符号の説明】
【0064】
図面中、1はエンジン、2はジャケット、3はラジエータ、4は冷却ファン、5はウォータポンプ、6はポンプモータ、12は回転軸、14はインペラ、21は電磁クラッチ、25は電磁コイル、27はサーモバルブ、32は制御回路(制御手段、アシスト能力検出手段、判定手段)、33は液温センサ(温度検出手段)、34は車速センサ、37は周波数発電機(モータ回転数検出手段)、38は回転数センサ(ファン回転数検出手段)、29は一方向クラッチ、43は磁気カップリング、48は補助冷却ファン、49はモータジェネレータである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの冷却液をラジエータによって冷却する構成の車両用エンジン冷却システムに係り、特に、ラジエータを冷却するための冷却ファンを冷却液循環用のウォータポンプのモータによって駆動するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンの冷却システムにおいては、エンジンを冷却することによって温度上昇した冷却液をウォータポンプによってラジエータに送り、ここで走行風や冷却ファンからの送風によって冷却した後、再びエンジンに戻す、というように冷却液を循環させることを基本としている。
エンジンの冷却は、過熱を防止するためであるが、冷却しすぎても、エンジンの熱損失が増大したり、軸受やピストンリングといった摺動部分での摩擦増加による機械的損失が増大したりするため、適正な冷却を最小限のエネルギで行うことが望ましい。
【0003】
エンジン冷却に関する従来例によれば、エンジンによってウォータポンプと冷却ファンを駆動する方法(以下、従来例1)では、冷却液の自然対流や車両の走行によって得られる空気流によってラジエータでの冷却が可能な場合も冷却ファンが駆動されるため、無駄に冷却ファンを駆動する動力を消費する第1の欠点がある。また、高速運転時には、ウォータポンプもエンジン回転数に伴って高回転数になり必要以上の冷却液を循環させるため無駄なエネルギを消費するという第2の欠点がある。
【0004】
この改良例としては、非特許文献1に記述されているように、冷却ファンをモータによって駆動し、エンジンの冷却状態に応じて、冷却ファンの運転を制御するようにした方法(以下、従来例2)があり、一般的に実施されている。この方法によれば、上記第1の欠点を無くすことはできるが、上記第2の欠点は残ることになる。さらには、ウォータポンプと冷却ファンとを個々のモータで駆動し、エンジンの冷却状況に応じて個々の回転数を制御する方法(以下、従来例3)も実施されている。これによれば、上記第1、第2の欠点ともなくすことができる。
【0005】
冷却ファンの駆動方法に関する他の例としては、上記の方法以外に、例えば特許文献1にあっては、冷却ファンを暖房用の蓄熱器の温水を循環させる温水用ウォータポンプと直結したモータで駆動することが考えられている。具体的には、冷却ファンを回転させる時は、温水用ウォータポンプのインペラも回転するが、インペラとしては逆回転になるようにし温水を循環させない。温水を循環する時は、モータを上記の場合とは逆に回転させ、温水用ウォータポンプは温水を循環させるが、動力伝達選択手段を用いて冷却ファンは回転させないようにする。これによれば、温水循環時には、冷却ファンが回転しないため空冷ファンの騒音と駆動動力を低減できるとされている。しかしながら、本構成では、エンジンの温度が高くなって冷却ファンを駆動する時、温水用ウォータポンプはポンプ運転とは逆方向の回転となるため冷却液を循環する動力は生じないが、インペラが温水の中で回転することによるエネルギ損失が発生するとともに、従来例2と同様の欠点がある。
【特許文献1】特開2002−97956号公報
【非特許文献1】自動車技術ハンドブック 4設計(パワートレイン)編、社団法人自動車技術会、2005年 p.65−66)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エンジンの冷却は、前述したように、エンジンを液冷した冷却液をウォータポンプで循環させラジエータで空気冷却することにより行っている。エンジンを直接冷却している冷却液に関しては、エンジンの作動中は、ほぼ常時循環させる必要がある。従ってエンジン作動中は、ほぼ全時間ウォータポンプを作動させることになる。一方、ラジエータにおいては、車両の走行時には、その車両の走行によりラジエータに風があたる。以下、この風を走行風とよぶ。ラジエータを通過する走行風の風速は、車速の20〜30%程度の速さになるため、中高速走行時には、冷却ファンを回転しなくとも、走行風だけで冷却液を十分に冷却できる場合が多い。このため、冷却ファンを運転する必要がある時間は、車両の走行条件や大気温度にもよるが、エンジンの全作動時間の概略10%程度と短い。
【0007】
このようにラジエータは、車両の走行中の多くの期間は、走行風だけで十分に冷却される。この車両の走行中には、冷却ファンも、また走行風から回転力を得る。しかし、従来例1、2、3および特許文献1の特に従来例2、3および特許文献1においては、走行風により冷却ファンは回転力を得るためその駆動動力は軽減されるが、その効果は、冷却ファン駆動時に限られる。上記のように冷却ファンの必要な作動時間が短いことを考慮すると、実質的な走行風の効果は小さい。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ラジエータの冷却ファンとウォータポンプをモータ駆動する構成において、走行風により冷却液を十分に冷却できることから冷却ファンの駆動を止めた場合においても、走行風により得られる冷却ファンの回転力をウォータポンプの駆動に利用してウォータポンプの動力を補助することによって、冷却に要する動力を低減できる車両用エンジン冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(本発明の前提構成)
車両用エンジン冷却システムは、エンジンの冷却液を循環させるためのウォータポンプ、冷却液を冷却するラジエータ、ラジエータを冷却する冷却ファンを備えている。
本発明では、ウォータポンプの駆動源をモータ(ポンプモータ)とし、このポンプモータの回転を利用して冷却ファンを回転駆動することを前提としている。そして、冷却ファンをポンプモータに対して断続するクラッチを設け、このクラッチを制御手段によって断続制御する。
【0010】
(本発明の第1の手段)
上記目的を達成するために、本発明の第1の手段(請求項1)では、冷却液の温度を検出する温度検出手段を設け、この温度検出手段の検出温度により、冷却液をラジエータで冷却する際、冷却ファンを回転駆動してラジエータを強制冷却する必要性があるか否かを判断できるようにしている。
【0011】
更に、本発明では、冷却ファンが外風圧(走行風圧を含む。)を受けて回転するとき、当該冷却ファンにポンプモータに対するアシスト能力があるか否かを検出するアシスト能力検出手段を設けている。ここで、アシスト能力とは、冷却ファンが外風圧を受けて強制的に回転される場合、冷却ファンの回転数がポンプモータによって回転されるときの速度を上回るようになると、冷却ファンの回転をポンプモータに伝えることで冷却ファンがポンプモータの負荷を軽減できるようになるが、このように冷却ファンが回転力をポンプモータに伝え得る能力をいう。
【0012】
そして、制御手段は、温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき、又は、温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つアシスト能力検出手段がアシスト能力ありを検出したときには、クラッチを接続動作させてポンプモータと冷却ファンとを接続し、温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つアシスト能力検出手段がアシスト能力なしを検出したときには、クラッチを遮断動作させてポンプモータと冷却ファンとを遮断する。
【0013】
このように、第1の手段によれば、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要があるとき(温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき)、クラッチを接続状態にしてポンプモータにより冷却ファンが回転駆動されるようにする。そして、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要がないときには、原則としてクラッチを遮断してポンプモータが冷却ファンを回転駆動することのないようにするので、ポンプモータを無駄に作動させることがない。
【0014】
しかも、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要がなくなっても、冷却ファンにアシスト能力がある場合には、クラッチは接続状態になされるので、外風圧によって強制的に回転される冷却ファンの回転をポンプモータに伝達してポンプモータの負荷を軽減させることができる。勿論、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要があるときには、クラッチは接続状態にあるので、このときに冷却ファンがアシスト能力ありの状態になれば、外風圧によって強制的に回転される冷却ファンによってポンプモータを駆動でき、その負荷を軽減することができる。
【0015】
この第1の手段において、アシスト能力検出手段は、車両の速度を検出する車速センサと、車速センサの検出速度が所定速度以上のとき、アシスト能力ありと判定し、車速センサの検出速度が所定速度未満のとき、アシスト能力なしと判定する判定手段とから構成することができる(請求項2)。
【0016】
また、アシスト能力検出手段は、ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、車両の速度を検出する車速センサと、車速センサの検出速度を冷却ファンの回転数に演算して、その回転数がモータ回転数検出手段により検出されたポンプモータの回転数を越えたとき、アシスト能力ありと判定し、冷却ファンの回転数がポンプモータの回転数以下のとき、アシスト能力なしと判定する判定手段とから構成しても良い(請求項3)。
【0017】
更に、アシスト能力検出手段は、冷却ファンの回転数を検出するファン回転数検出手段と、ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、車両の速度を検出する車速センサと、ファン回転数検出手段により検出された冷却ファンの回転数がモータ回転数検出手段により検出されたポンプモータの回転数を越えたとき、アシスト能力ありと判定し、車速センサが所定速度以下を検出したとき、アシスト能力なしと判定する判定手段とから構成することもできる(請求項4)。
【0018】
(本発明の第2の手段)
上記目的を達成するために、本発明の第2の手段(請求項5)では、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要があるとき(温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき)、クラッチを接続状態にしてポンプモータにより冷却ファンを回転駆動し、ラジエータを冷却ファンによって冷却する必要がなくなれば、クラッチを遮断状態にしてポンプモータによって冷却ファンを回転駆動させないようにする。そして、ポンプモータと冷却ファンとの間に一方向クラッチを設け、クラッチの断続状態とは関係なく、冷却ファンが外風圧を受けてポンプモータより速く回転しようとするとき(アシスト能力あり)、一方向クラッチによって冷却ファンの回転がポンプモータに伝達されるようにする。
【0019】
この第2の手段によれば、ラジエータを冷却ファンにより冷却する必要がないときには、クラッチが遮断されて冷却ファンがポンプモータにより回転駆動されることのないようにすると共に、一方向クラッチの作用により、冷却ファンが外風圧により回転されてアシスト能力を持つようになると、自動的に冷却ファンの回転がポンプモータに伝達されてポンプモータの負荷を軽減するようになる。
【0020】
(第1および第2の手段への付加構成)
本発明では、上述の第1の手段、第2の手段に対して、次の構成を付加することができる。
【0021】
ポンプモータの回転数を、温度検出手段の検出温度の高低に応じて高低変化させるようにしても良く(請求項6)、冷却液のエンジンの入口側での温度と出口側での温度との差の大小に応じて高低変化させるようにしても良い(請求項7)。このようにポンプモータの回転数を変化させると、ラジエータで冷却液をより強く冷却する必要がある場合に冷却ファンの回転数をより高くすることができる。
【0022】
また、ポンプモータからウォータポンプへの回転伝達は、磁気カップリングにより行うように構成することができる(請求項8)。この構成によれば、ポンプモータとウォータポンプとの間を、メカニカルシールを用いることなく遮蔽できるため、ポンプモータからウォータポンプへの動力伝達部分での冷却液の漏洩をなくし、シールによる摩擦損失を低減させることができる。
【0023】
また、ポンプモータの通電を、エンジン始動より遅らせるようにしても良い(請求項9)。このようにすれば、スタータモータに大電流が流れるエンジン始動時を避けてポンプモータに通電するので、車両のバッテリの負荷を軽減できる。
【0024】
更に、冷却ファンとは別に、ラジエータまたはラジエータ以外の被冷却体を冷却するための冷却ファンを設け、当該別の冷却ファンを駆動するモータを、当該別の冷却ファンの駆動不要時であって当該別の冷却ファンから回転力を受けるとき、発電機として機能するモータジェネレータから構成しても良い(請求項10)。このようにすれば、外風圧によって上記別の冷却ファンが回転する際に、モータジェネレータにより発電して車両のバッテリを充電することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図1ないし図5を参照しながら説明する。図2には、車両の推進源としてのエンジン、例えばガソリンエンジンの冷却システムの構成が概略的に示されている。図2に示すように、エンジン1には、ジャケット2が形成されており、このジャケット2内を冷却液が通ることでエンジン1の冷却が行われる。エンジン冷却システムは、エンジン1を冷却することにより温度上昇した冷却液を、外部で冷却して再びエンジン1に戻すように循環させることにより、エンジン1を冷却するシステムであり、ラジエータ3と、冷却ファン4と、ウォータポンプ5と、このウォータポンプ5を駆動するポンプモータ6とを備えている。
【0026】
上記ポンプモータ6は、ラジエータ3の後部に取り付けられた支持フレーム7に固定されている。このポンプモータ6は、例えばブラシレスDCモータからなり、図1に示すように、モータケース8に固定された固定子9と、モータケース8に軸受10を介して回転可能に支持された回転子11とを備えている。そして、回転子11の回転軸12の両端部は、モータケース8から前後両側に突出されている。なお、固定子9は、固定子鉄心9aに複数相のコイル9bを巻装してなる。また、回転子11は、回転子鉄心11aの外周に複数極に着磁した永久磁石11bを取着してなる永久磁石型のものである。
【0027】
ポンプモータ6の後部には、前記ウォータポンプ5が取り付けられている。このウォータポンプ5は遠心型として構成され、そのケーシング13内のインペラ14は、ポンプモータ6の回転軸12の後端部に固定されている。このウォータポンプ5とポンプモータ6との間は、メカニカルシール15によってシールされ、冷却液がポンプモータ6側へ漏れ出ないようにしている。なお、このメカニカルシール15は、インペラ14に設けられたフローティングシート16と、ウォータポンプ5とポンプモータ6との間を仕切る仕切板17側に設けられベローズスプリング18によってフローティングシート16に押し付けられたシールリング19とからなり、フローティングシート16がシールリング19に対して摺動するようになっている。
【0028】
一方、前記冷却ファン4は、ポンプモータ6の回転軸12の前端部に軸受20を介して回転可能に支持されている。この冷却ファン4とポンプモータ6との間には、クラッチ、例えば電磁クラッチ21が設けられている。電磁クラッチ21は、回転軸12に固定されたクラッチ板22と、冷却ファン4側に突設されたピン23により軸方向に移動可能に取り付けられた鉄などの磁性材製のクラッチ板24と、ポンプモータ6のモータケース8に固定された電磁コイル25とを備えている。
【0029】
上記電磁コイル25が通電されると、その磁気力により冷却ファン4のクラッチ板24が回転軸12のクラッチ板22に吸着されて接続状態となり、ポンプモータ6の回転軸12と冷却ファン4とが連結される。そして、電磁コイル25が断電されると、冷却ファン4のクラッチ板24のクラッチ板22に対する吸着が解かれて遮断状態となり、ポンプモータ6の回転軸12と冷却ファン4との連結が解かれる。
【0030】
さて、前記ウォータポンプ5は、冷却液を循環させるためのもので、図3に示すように、その吸入口5aは、エンジン1のジャケット2の出口2aにホース26により接続され、吐出口5bは、サーモバルブ27の入口27aにホース28を介して接続されている。サーモバルブ27は、2つの出口27b,27cを有しており、冷却液の温度が低いうちは、出口27cを開いて出口27bを絞った状態にある。そして、冷却液の温度が上昇してくると、出口27bを開いて出口27cを絞るように構成されている。このサーモバルブ27の一方の出口27bは、ホース29を介してラジエータ3の入口3aに接続され、他方の出口27cは、ホース30を介してエンジン1のジャケット2の入口2bに接続されている。また、ラジエータ3の出口3bも、ホース31を介してエンジン1のジャケット2の入口2bに接続されている。
【0031】
図4は冷却システムの制御構成を示すブロック図である。冷却システムの制御は、例えばマイクロコンピュータ(図示せず)を主体とする制御手段としての制御回路32によって行われるようになっており、この制御回路32には、前記電磁クラッチ21の電磁コイル25の他、冷却液の温度検出手段としての液温センサ33、車速センサ34、インバータ駆動装置35などが接続されている。
【0032】
上記液温センサ33は、冷却液の温度を例えばジャケット2の出口2aにおいて検出する。車速センサ34は、車両の速度を検出するためのもので、例えば車軸の回転数を検出し、その検出出力を制御回路32に入力する。制御回路32は、車速センサ34が検出した回転数と、図示しないメモリに予め記憶されているタイヤ径とによって車速を演算するように構成されている。
【0033】
インバータ駆動装置35は、ポンプモータ6をインバータ駆動するためのものであり、その直流電源には、車両のバッテリ36が用いられている。このポンプモータ6の回転数制御は、パルス幅変調(PWM)方式によって行われるようになっている。そのために、ポンプモータ6に、その回転数を検出する回転数検出手段として例えば周波数発電機37を設け、その検出出力を制御回路32に入力するようにしている。そして、制御回路32は、周波数発電機37によって検出されたポンプモータ6の回転数と予め定められた設定回転数とを比較し、その速度偏差に応じた駆動信号をインバータ駆動装置35に与える。すると、インバータ駆動装置35は、制御回路32から与えられた速度偏差に応じたPWM信号を形成してポンプモータ6を設定回転数となるように制御する。なお、設定回転数は、制御回路32が有するメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0034】
次に上記構成の作用を説明する。まず、この実施形態では、冷却液を強制冷却する必要があるか否かを液温センサ33の検出温度によって判断する。つまり、液温センサ33が所定温度以上を検出したときには、強制冷却の必要がありと判断する。そして、強制冷却の必要がある場合には、冷却ファン4をポンプモータ6の回転軸12に連結し、冷却ファン4をポンプモータ6により回転駆動する。
【0035】
また、車両の速度が所定速度以上のときには、冷却ファン4が走行風圧(外風圧)を受けてポンプモータ6の回転数よりも速く回転しようとするので、冷却ファン4の回転をポンプモータ6に伝達することで、ポンプモータ6の負荷を軽減できる(アシスト能力あり)と判断し、冷却ファン4をポンプモータ6の回転軸12に連結するようになっている。なお、アシスト能力ありと判断するときの車速は、予め実験によって求めた車速に定められて制御回路32が有するメモリに記憶されている。なお、本実施の形態では、当該車速を、冷却ファンの回転数との相関関係を考慮して、実験によって求めておいた。
【0036】
以下に冷却液の冷却につき説明すると、まず、図示しないイグニッションスイッチをスタート操作してエンジン1を始動させる。すると、このエンジン1の始動と期を同じくして制御回路32がポンプモータ6を起動させ、エンジン1の冷却液を循環させる。エンジン1の始動当初は、まだエンジン1が十分に暖まっていないため、サーモバルブ27が出口27bを閉じている。従って、冷却液は、ジャケット2の出口2aからホース26、ウォータポンプ5、ホース28、サーモバルブ27、ホース30を通ってジャケット2の入口2bへと戻されるように循環し、ラジエータ3には送られない。
【0037】
エンジン1が暖まり、冷却液の温度が上昇してくると、サーモバルブ27が出口27cを絞って出口27bを開くようになるため、冷却液がジャケット2とラジエータ3とを循環するようになる。つまり、ジャケット2の冷却液は、ジャケット2の出口2aからホース26、ウォータポンプ5、サーモバルブ27、ホース29、ラジエータ3、ホース31を順に経てジャケット2に戻るというように循環する。そして、エンジン1を冷却して高温度となった冷却液は、ラジエータ3を通る際に冷却される。
【0038】
一方、エンジン1の始動と共に、制御回路32は、図5の電磁クラッチ制御ルーチンを実行し始める。即ち、制御回路32は、図5の電磁クラッチ制御ルーチンに入ると、初期設定として、まず電磁クラッチ21を遮断状態にする(ステップS1)。次に、制御回路32は、液温センサ33の検出温度を取得し(ステップS2)、その温度が所定温度T(℃)以上であるか否かを判断する(ステップS3)。エンジン1の始動から間もない時期であるときには、冷却液はそれ程温度上昇しておらず、液温センサ33の検出温度はT未満であるので、制御回路32は、冷却ファン4による強制冷却の必要なしと判断する(ステップS3で「NO」)。
【0039】
強制冷却の必要なしと判断した場合、制御回路32は、冷却ファン4のアシスト能力の有無に応じて電磁クラッチ21を断続するために、車速センサ34の検出速度を取得し(ステップS4)、車両の速度が所定速度V(km/s)以上であるか否かを判断する(ステップS5:アシスト能力検出手段、判定手段)。ところで、車速が走行を開始すると、電磁クラッチ21が遮断状態にあるとき、冷却ファン4は、走行風圧を受けて回転する。この場合、車両の速度が所定速度V未満のときには、走行風圧を受けて冷却ファン4が回転しても、ポンプモータ6の回転数以上とはならないので、制御回路32は、アシスト能力なしと判断し(ステップS5で「NO」)、電磁クラッチ21を遮断状態のままとする(ステップS6)。
【0040】
そして、車両の速度が所定速度V以上になると、走行風圧を受けて回転する冷却ファン4は、ポンプモータ6の回転数以上の回転数で回転するようになる。すると、制御回路32は、走行風圧を受けて回転する冷却ファン4にアシスト能力ありと判断し(ステップS5で「YES」)、電磁コイル25に通電して電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップS7)。電磁クラッチ21が接続状態になると、冷却ファン4の回転が電磁クラッチ21のクラッチ板24,22を介してポンプモータ6の回転軸12に伝達される。このため、ウォータポンプ5を駆動しているポンプモータ6の負荷が冷却ファン4から受ける回転力の分だけ軽減される(モータアシスト)。
【0041】
エンジン1の始動から暫く経過すると、冷却液の温度が上昇してくる。そして、ジャケット2の出口2aでの冷却液の温度が所定温度T以上になると、制御回路32は、ラジエータ3を強制冷却する必要ありと判断し(ステップS3で「YES」)、電磁コイル25に通電して電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップS8)。これにより、ポンプモータ6の回転がクラッチ板22,24を介して冷却ファン4に伝達され、冷却ファン4が回転駆動される。
【0042】
ジャケット2の出口2aでの冷却液の温度が所定温度T以上である場合には、車両の速度が所定速度V以上であるか否かとは関係なく、電磁クラッチ21は接続状態のままとされる。従って、車両の速度が所定速度V以上のときには、冷却ファン4はアシスト能力を有するが、電磁クラッチ21が接続状態にあることにより、冷却ファン4の走行風圧による回転が自動的にポンプモータ6に伝達されてその負荷を軽減する。
【0043】
ところで、例えば中高速走行時には、ラジエータ3が走行風によって冷却されることから、通常の場合には、あえて冷却ファン4をポンプモータ6によって回転駆動しなくとも、ジャケット2の出口2aでの冷却液の温度が所定温度T未満となる。このようになると、制御回路32は、前述したと同様に、冷却ファン4のアシスト能力の有無に応じて電磁クラッチ21を断続制御するようになる。
【0044】
即ち、液温センサ33の検出温度が所定温度T未満になると(ステップS3で「NO」)、制御回路32は、車速センサ34の検出速度が所定速度V以上であるか否かを判断する(ステップS4,5)。そして、制御回路32は、車両の速度がV以上のとき、冷却ファン4にアシスト能力ありと判断し(ステップS5で「YES」)、電磁コイル25に通電して電磁クラッチ21を接続状態のままとする。これにより、冷却ファン4の回転がポンプモータ6に伝達され、ウォータポンプ5を駆動しているポンプモータ6の負荷を軽減する。また、車両の速度がV未満の時には、制御回路32は、電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップS6)、ポンプモータ6が冷却ファン4を無駄に回転駆動することのないようにする。
【0045】
車両が停止し、イグニッションスイッチがオフ操作されると、エンジン1が停止し、これに伴ってポンプモータ6も断電されてウォータポンプ5を停止させる。そして、制御回路32も図5の電磁クラッチ制御ルーチンの実行を停止する。
このように本実施形態によれば、冷却ファン4の駆動源をポンプモータ6とし、両者を電磁クラッチ21によって断続するようにしたので、冷却ファン4によりラジエータ3を強制冷却する必要がないときにまで、冷却ファン4をポンプモータ6によって駆動することがない。
【0046】
しかも、ラジエータ3を冷却ファン4で強制冷却する必要があるとき、走行風圧を受ける冷却ファン4にアシスト能力があれば、冷却ファン4の回転が接続状態にある電磁クラッチ21を介してポンプモータ6に伝達されるので、ポンプモータ6の負荷を軽減する。その上、ラジエータ3を冷却ファン4で強制冷却する必要がないときでも、走行風圧を受ける冷却ファン4にアシスト能力があれば、電磁クラッチ21を遮断状態から接続状態に切り替えて冷却ファン4の回転がポンプモータ6に伝達されるようにするので、上記したと同様にポンプモータ6の負荷を軽減することができる。
【0047】
従って、ラジエータ3を強制冷却する必要があるときに、電磁クラッチ21を接続状態にし、ラジエータ3を強制冷却する必要がなくなれば、電磁クラッチ21を遮断状態にするだけの構成のものに比べ、特に車両の中高速走行時において、ラジエータ3が走行風により冷却されて冷却ファン4による強制冷却の必要がないときでも、冷却ファン4にアシスト能力があるときには、電磁クラッチ21を接続状態にして冷却ファン4の回転をポンプモータ6に伝達して当該ポンプモータ6の負荷を軽減でき、それだけエンジン1の燃費を高めることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
図6および図7は本発明の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態が上述の第1の実施形態と相違するところは、冷却ファン4のアシスト能力の有無を、冷却ファン4の回転数とポンプモータ6の回転数との比較によって行うところにある。
即ち、この実施形態では、図6に示すように、車速センサ34はなく、これに代えて、冷却ファン4の回転数を検出するためのファン回転数検出手段としての回転数センサ38を設けている。この回転数センサ38は、図示はしないが、例えば冷却ファン4に設けられた永久磁石と、この永久磁石の磁気を検出するために例えば支持フレーム7に設けられたホール素子などの磁気検出素子とから構成され、磁気検出素子は、冷却ファン4の回転数に応じた数のパルスを出力する。そして、制御回路32は、回転数センサ38から入力されるパルス数に基づいて冷却ファン4の回転数を算出するようになっている。
【0049】
図7に示す電磁クラッチ制御ルーチンにおいて、制御回路32は、冷却液のジャケット2の出口2aにおける温度が所定温度T未満で(ステップA3で「NO」)、ラジエータ3を冷却ファン4により強制冷却する必要がないとき、回転数センサ38の検出回転数を取得する(ステップA4)。そして、制御回路32は、モータ回転数検出手段としての周波数発電機37からポンプモータ6の回転数を取得し、冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転数以下のとき、アシスト能力なしと判断して(ステップA5で「NO」:判定手段)電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップA6)、冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転数を越えていたとき、アシスト能力ありと判断して(ステップA5で「YES」:判定手段)電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップA7)。
【0050】
なお、ポンプモータ6の回転数が本実施形態のように予め定められた設定回転数となるように制御されている場合には、制御回路32の図示しないメモリに記憶された設定回転数を取得(モータ回転数検出手段)して、回転数センサ38の回転数を取得しないように構成しても良い。また、ポンプモータ6の回転を減速機構を介して冷却ファン4に伝達するように構成した場合には、減速機構の出力回転数がポンプモータ6の回転数となる。
【0051】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態が前述の第2の実施形態と異なるところは、冷却ファン4のアシスト能力の有無を、車両の走行速度から走行風による冷却ファン4の回転数を演算し、この演算された冷却ファン4の回転数とポンプモータ6の回転数との比較によって行うところにある。従って、この実施形態では、第2の実施形態における回転数センサ38は備えず、その代わりに、第1の実施形態における車速センサ34を備えている。
即ち、制御回路32は、冷却ファン4にアシスト能力があるか否かを判定するに際し、車速センサ34の検出速度を取得し(図8のステップa4)、この検出速度から冷却ファン4の走行風による回転数を演算する(ステップa5)。なお、この車速センサ34の検出速度(車両の速度)と冷却ファン4の回転数は、予め実験により求めて記憶手段に記憶しておき、車両センサ34の検出速度を取得したとき記憶手段から冷却ファン4の回転数を検索することによって行うようにしても良い。また、所定の計算式に車速センサ34の検出速度を代入して冷却ファン4の回転数を演算するようにしても良い。
【0052】
冷却ファン4の回転数を演算した後、制御回路32は、演算した冷却ファン4の回転数とポンプモータ6の回転数とを比較し、冷却ファン4の回転数が周波数発電機37から得られるポンプモータ6の回転数以下のとき、アシスト能力なしと判断して(ステップa6で「NO」:判定手段)、電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップa7)、冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転数を越えていたとき、アシスト能力ありと判断して(ステップa6で「YES」:判定手段)、電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップa8)。
【0053】
(第4の実施形態)
図9ないし図11は本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態が前述の第1の実施形態と異なるところは、図9に示すように、冷却ファン4をポンプモータ6の回転軸12に対して一方向クラッチ39を介して取り付けたところにある。この一方向クラッチ39としては、例えば一方向ボールクラッチや一方向コロクラッチなどが考えられる。この実施形態においては、電磁クラッチ21が主クラッチ、一方向クラッチが補助クラッチとなる。また、制御構成としては、図10に示すように、車速センサ34は設けられていない。
【0054】
図11に示す電磁クラッチ制御ルーチンにおいて、制御回路32は、ジャケット2の出口2aにおける冷却液の温度に応じて電磁クラッチ21を断続する制御だけを行っている。つまり、制御回路32は、液温センサ33の検出温度が所定温度T未満のとき(ステップB3で「NO」)、電磁クラッチ21を遮断状態にし(ステップB4)、液温センサ33の検出温度が所定温度T以上のとき(ステップB3で「YES」)、電磁クラッチ21を接続状態にする(ステップB4)。
【0055】
そして、冷却ファン4のアシスト能力の有無に応じて冷却ファン4の回転をポンプモータ6に伝達したり伝達しなかったりする動作は、一方向クラッチ39の作用によって冷却ファンの回転数に応じて自動的に行われる。この一方向クラッチ39は、ポンプモータ6の回転軸12に対する冷却ファン4の一方向の回転だけを回転軸12に伝達する機能を有する。この機能により、一方向クラッチ39は、電磁クラッチ21が遮断状態にあるとき、走行風圧を受けて回転する冷却ファン4の回転数がポンプモータ6の回転軸12の回転数を超えることにより、冷却ファン4が回転軸12に対して相対的に一方向に回転するようになると、自動的に冷却ファン4の回転を回転軸12に伝達してポンプモータ6をアシストする。
【0056】
(第5の実施形態)
図12は本発明の第5の実施形態を示す。この実施形態が前述の第1の実施形態と異なるところは、ポンプモータ6の回転軸12からウォータポンプ5のインペラ14への回転伝達を磁気カップリングにより行うようにしたところにある。
即ち、図12に示すように、ポンプモータ6の回転軸12は、ウォータポンプ5側への突出をなくすように短尺化されている。また、ウォータポンプ5とポンプモータ6との間の仕切板17の中心側には、円筒状壁17aが形成されており、更にこの円筒状壁17aの内側にボス部17bが形成されている。そして、仕切板17のボス部17bには、支軸40が嵌着されており、この支軸40にインペラ14が軸受41を介して回転可能に支持されている。
【0057】
一方、回転軸12の回転をインペラ14に伝達する磁気カップリング43は、大小径の異なる2個の永久磁石リング44,45から構成されている。これら永久磁石リング44,45は、周方向に沿ってN極とS極とが交互に並ぶように着磁してなるもので、径大側の永久磁石リング44は、ポンプモータ6の回転子11の回転子鉄心11aに設けられた円筒状部46の内側に取着され、径小側の永久磁石リング45は、インペラ14に設けられた円筒状部47の外側に取着されている。これら永久磁石リング44,45は、仕切板17の円筒状壁17aを介して対向して互いに磁気力を及ぼし合っている。そして、これら永久磁石リング44,45どうしの磁気吸引力により、回転子11の回転がインペラ14に伝達されるようになっている。
【0058】
このように構成した本実施形態によれば、ウォータポンプ5とポンプモータ6との間を仕切板17および支軸40によって完全にシールすることができる。従って、冷却液の漏洩を確実になくすことができる。また、摺動部分のあるメカニカルシール15を用いる第1の実施形態に比べてシールによる摩擦損失を低減させることができる。
【0059】
(第6の実施形態)
図13は本発明の第6の実施形態を示すもので、前述の第1の実施形態と異なるところは、ラジエータ3を冷却するために冷却ファン4とは別に、補助冷却ファン48を設けたところにある。この補助冷却ファン48もモータ駆動とされ、そのモータには、モータジェネレータ49が用いられている。モータジェネレータ49は、永久磁石型のDCモータから構成され、モータとしても、ジェネレータとしても機能する。
【0060】
モータジェネレータ49は、ラジエータ3に支持アーム50を介して取り付けられ、ラジエータ3を強制冷却する必要があるとき、通電されてモータとして機能して補助冷却ファン48を回転駆動する。そして、補助冷却ファン48を駆動させる必要がないとき、モータを断電し、走行風により補助冷却ファン48を回転駆動させることによって、モータジェネレータ49は、ジェネレータとして機能するようになる。このときモータジェネレータ49により発電された電力はバッテリ36を充電するように構成されている。なお、補助冷却ファン48がアシスト能力を有するか否かは、車速によって判断することが好ましいが、これに限られるものではない。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
ポンプモータ6の回転数を液温センサ33の検出温度に応じて変化させるようにしても良い。このようにすれば、冷却液が高温のときほど冷却液が多く循環され、且つ冷却ファン4も高速度で回転されるので、冷却液の冷却が良好に行われるようになる。
冷却液の温度を検出する液温センサを、エンジン1のジャケット2の出口2aと入口2bとに設け、それら両液温センサの検出温度差に応じてポンプモータ6の回転数を変えるようにしても良い。このようにすれば、冷却液の循環量を必要とする冷却強度に応じて変えることができると共に、冷却ファン4を冷却強度に応じた速度で回転させて必要とする冷却強度に応じた風速の冷却風でラジエータ3を冷却できる。
【0062】
液温センサ33を設ける位置は、ジャケット2の出口2aや入口2bに限られず、ラジエータ3やサーもバルブ27などに設けても良い。また、液温センサ33は、冷却液に接触するように設け、冷却液の温度を直接検出するものであっても、また、冷却液の流路の壁を介して検出するものであっても良い。
ポンプモータ6の起動を、エンジン1の始動時点から所定の短時間だけ遅らせるようにしても良い。このようにすれば、エンジン1の始動時にはスタータモータの起動に多大の電力を有するので、これにポンプモータ6の起動時の電力が重畳されることがない。
ポンプモータ6は、電動モータに限らず油圧モータ等の他の機構のモータであっても良い。
図13の第6の実施形態において、補助冷却ファン48は、ラジエータ3とは別の被冷却体、例えばエアコンのコンデンサを冷却するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、要部の縦断面図
【図2】冷却システムの全体を示す側面図
【図3】冷却システムの配管構成図
【図4】制御構成を示すブロック図
【図5】電磁クラッチの制御のためのフローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図4相当図
【図7】図5相当図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す図5相当図
【図9】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【図10】図4相当図
【図11】図5相当図
【図12】本発明の第5の実施形態を示す図1相当図
【図13】本発明の第6の実施形態を示す図2相当図
【符号の説明】
【0064】
図面中、1はエンジン、2はジャケット、3はラジエータ、4は冷却ファン、5はウォータポンプ、6はポンプモータ、12は回転軸、14はインペラ、21は電磁クラッチ、25は電磁コイル、27はサーモバルブ、32は制御回路(制御手段、アシスト能力検出手段、判定手段)、33は液温センサ(温度検出手段)、34は車速センサ、37は周波数発電機(モータ回転数検出手段)、38は回転数センサ(ファン回転数検出手段)、29は一方向クラッチ、43は磁気カップリング、48は補助冷却ファン、49はモータジェネレータである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の推進源であるエンジンの冷却液を循環させるためのウォータポンプと、
前記ウォータポンプを駆動するポンプモータと、
前記冷却液の温度を検出するための温度検出手段と、
前記ウォータポンプにより循環される冷却液を冷却するラジエータと、
前記ラジエータを冷却する冷却ファンと、
前記冷却ファンを前記ポンプモータに対して断続するクラッチと、
前記冷却ファンが外風圧を受けて回転するとき、当該冷却ファンから前記ポンプモータへ回転力を付与するアシスト能力があるか否かを検出するアシスト能力検出手段と、
前記クラッチを制御する制御手段と
を具備し、
前記制御手段は、前記温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき、および前記温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つ前記アシスト能力検出手段が前記アシスト能力ありを検出したときには、前記クラッチを接続動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを接続し、前記温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つ前記アシスト能力検出手段が前記アシスト能力なしを検出したときには、前記クラッチを遮断動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを遮断することを特徴とする車両用エンジン冷却システム。
【請求項2】
前記アシスト能力検出手段は、
車両の速度を検出する車速センサと、
前記車速センサの検出速度が所定速度以上のとき、前記アシスト能力ありと判定し、前記車速センサの検出速度が前記所定速度未満のとき、前記アシスト能力なしと判定する判定手段とからなることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項3】
前記アシスト能力検出手段は、
前記ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、
車両の速度を検出する車速センサと、
前記車速センサの検出速度を冷却ファンの回転数に演算して、その回転数が前記モータ回転数検出手段により検出された前記ポンプモータの回転数を越えたとき、前記アシスト能力ありと判定し、前記冷却ファンの回転数が前記ポンプモータの回転数以下のとき、前記アシスト能力なしと判定する判定手段と、
からなることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項4】
前記アシスト能力検出手段は、
前記冷却ファンの回転数を検出するファン回転数検出手段と、
前記ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、
前記車両の速度を検出する車速センサと、
前記ファン回転数検出手段により検出された前記冷却ファンの回転数が前記モータ回転数検出手段により検出された前記ポンプモータの回転数を越えたとき、前記アシスト能力ありと判定し、前記車速センサが所定速度以下を検出したとき、前記アシスト能力なしと判定する判定手段とからなることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項5】
車両の推進源であるエンジンの冷却液を循環させるためのウォータポンプと、
前記ウォータポンプを駆動するポンプモータと、
前記冷却液の温度を検出するための温度検出手段と、
前記ウォータポンプにより循環される冷却液を冷却するラジエータと、
前記ラジエータを冷却する冷却ファンと、
前記冷却ファンを前記ポンプモータに対して断続するクラッチと、
前記温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき、前記クラッチを接続動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを接続し、前記温度検出手段の検出温度が所定温度未満のとき、前記クラッチを遮断動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを遮断する制御手段と、
前記ポンプモータと前記冷却ファンとの間に設けられ、前記冷却ファンが外風圧を受けて前記ポンプモータよりも速く回転しようとするとき、当該冷却ファンを前記ポンプモータに接続し、外風圧を受けて回転する前記冷却ファンの回転数が前記ポンプモータの回転数よりも低いとき、前記冷却ファンと前記ポンプモータの前記回転軸との接続を遮断する一方向クラッチとを具備してなる車両用エンジン冷却システム。
【請求項6】
前記ポンプモータの回転数を、前記温度検出手段の検出温度の高低に応じて高低変化するように制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項7】
前記ポンプモータの回転数を、前記冷却液の前記エンジンの入口側温度と出口側温度との差の大小に応じて高低変化するように制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項8】
前記ポンプモータから前記ウォータポンプへの回転伝達は、磁気カップリングによることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項9】
前記ポンプモータは、前記エンジンの始動時より遅れて起動されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項10】
前記冷却ファンとは別に、前記ラジエータまたは前記ラジエータ以外の被冷却体を冷却するための冷却ファンが設けられ、当該別の冷却ファンを駆動するモータは、当該別の冷却ファンの駆動不要時であって当該別の冷却ファンから回転力を受けるとき、発電機として機能するモータジェネレータから構成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項1】
車両の推進源であるエンジンの冷却液を循環させるためのウォータポンプと、
前記ウォータポンプを駆動するポンプモータと、
前記冷却液の温度を検出するための温度検出手段と、
前記ウォータポンプにより循環される冷却液を冷却するラジエータと、
前記ラジエータを冷却する冷却ファンと、
前記冷却ファンを前記ポンプモータに対して断続するクラッチと、
前記冷却ファンが外風圧を受けて回転するとき、当該冷却ファンから前記ポンプモータへ回転力を付与するアシスト能力があるか否かを検出するアシスト能力検出手段と、
前記クラッチを制御する制御手段と
を具備し、
前記制御手段は、前記温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき、および前記温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つ前記アシスト能力検出手段が前記アシスト能力ありを検出したときには、前記クラッチを接続動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを接続し、前記温度検出手段の検出温度が所定温度未満で且つ前記アシスト能力検出手段が前記アシスト能力なしを検出したときには、前記クラッチを遮断動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを遮断することを特徴とする車両用エンジン冷却システム。
【請求項2】
前記アシスト能力検出手段は、
車両の速度を検出する車速センサと、
前記車速センサの検出速度が所定速度以上のとき、前記アシスト能力ありと判定し、前記車速センサの検出速度が前記所定速度未満のとき、前記アシスト能力なしと判定する判定手段とからなることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項3】
前記アシスト能力検出手段は、
前記ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、
車両の速度を検出する車速センサと、
前記車速センサの検出速度を冷却ファンの回転数に演算して、その回転数が前記モータ回転数検出手段により検出された前記ポンプモータの回転数を越えたとき、前記アシスト能力ありと判定し、前記冷却ファンの回転数が前記ポンプモータの回転数以下のとき、前記アシスト能力なしと判定する判定手段と、
からなることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項4】
前記アシスト能力検出手段は、
前記冷却ファンの回転数を検出するファン回転数検出手段と、
前記ポンプモータの回転数を検出するモータ回転数検出手段と、
前記車両の速度を検出する車速センサと、
前記ファン回転数検出手段により検出された前記冷却ファンの回転数が前記モータ回転数検出手段により検出された前記ポンプモータの回転数を越えたとき、前記アシスト能力ありと判定し、前記車速センサが所定速度以下を検出したとき、前記アシスト能力なしと判定する判定手段とからなることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項5】
車両の推進源であるエンジンの冷却液を循環させるためのウォータポンプと、
前記ウォータポンプを駆動するポンプモータと、
前記冷却液の温度を検出するための温度検出手段と、
前記ウォータポンプにより循環される冷却液を冷却するラジエータと、
前記ラジエータを冷却する冷却ファンと、
前記冷却ファンを前記ポンプモータに対して断続するクラッチと、
前記温度検出手段の検出温度が所定温度以上のとき、前記クラッチを接続動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを接続し、前記温度検出手段の検出温度が所定温度未満のとき、前記クラッチを遮断動作させて前記ポンプモータと前記冷却ファンとを遮断する制御手段と、
前記ポンプモータと前記冷却ファンとの間に設けられ、前記冷却ファンが外風圧を受けて前記ポンプモータよりも速く回転しようとするとき、当該冷却ファンを前記ポンプモータに接続し、外風圧を受けて回転する前記冷却ファンの回転数が前記ポンプモータの回転数よりも低いとき、前記冷却ファンと前記ポンプモータの前記回転軸との接続を遮断する一方向クラッチとを具備してなる車両用エンジン冷却システム。
【請求項6】
前記ポンプモータの回転数を、前記温度検出手段の検出温度の高低に応じて高低変化するように制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項7】
前記ポンプモータの回転数を、前記冷却液の前記エンジンの入口側温度と出口側温度との差の大小に応じて高低変化するように制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項8】
前記ポンプモータから前記ウォータポンプへの回転伝達は、磁気カップリングによることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項9】
前記ポンプモータは、前記エンジンの始動時より遅れて起動されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【請求項10】
前記冷却ファンとは別に、前記ラジエータまたは前記ラジエータ以外の被冷却体を冷却するための冷却ファンが設けられ、当該別の冷却ファンを駆動するモータは、当該別の冷却ファンの駆動不要時であって当該別の冷却ファンから回転力を受けるとき、発電機として機能するモータジェネレータから構成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の車両用エンジン冷却システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【公開番号】特開2008−126798(P2008−126798A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312883(P2006−312883)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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