説明

車両用グローブボックス

【課題】インストルメントパネルからの離脱を防止することが可能な車両用グローブボックスを提供する。
【解決手段】車両用グローブボックス1は、車両のインストルメントパネルIPに配置されて物品を収納可能な収納部を備えるものであって、収納部の後面に形成された第一の開口部を覆う開閉可能な第一のリッドと、インストルメントパネルIPに形成された一対の孔部IPa,IPbに挿入されて取り付けられる一対のクリップ12b,12bと、を備え、第一のリッドは、収納部に回動可能に軸支されており、上のクリップ12bの基端部には、孔部IPaに挿入されて孔部IPaの内周面に当接するリブ12b1が形成されており、下のクリップ12bの先端部には、孔部IPbの周縁部に係合する突起12b2が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに配置されて物品を収納可能な車両用グローブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のグローブボックスとして、インストルメントパネルとは別体に形成されてインストルメントパネルに組み付けられるものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−198019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるグローブボックスは、物品を出入りさせるための開口部に扉が設けられており、この扉に対して回動可能な範囲を超えて当該扉を開こうとする力が加えられると、グローブボックスがインストルメントパネルから外れるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決すべく創案されたものであり、インストルメントパネルからの離脱を防止することが可能な車両用グローブボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の車両用グローブボックスは、車両のインストルメントパネルに配置されて物品を収納可能な収納部を備える車両用グローブボックスであって、前記収納部の後面に形成された開口部を覆う開閉可能なリッドと、前記インストルメントパネルに形成された一対の孔部に挿入されて取り付けられる一対の挿入取付部と、を備え、前記リッドは、前記収納部に回動可能に軸支されており、前記一対の挿入取付部の一方の基端部には、対応する前記孔部に挿入されて当該孔部の内周面に当接するリブが形成されており、前記一対の挿入取付部の他方の先端部には、対応する前記孔部の周縁部に係合する突起が形成されていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によると、第一のリッドに対して回動可能な範囲を超えて当該第一のリッドを開こうとする力が加えられたとしても、一対の挿入取付部に形成されたリブ及び突起によって、車両用グローブボックスの離脱が防止される。
【0008】
また、前記リッドは、前記収納部の下端部に回動可能に軸支されており、前記一対の挿入取付部は、上下に配置されており、前記リブは、上に配置された前記挿入取付部の下面に形成されており、前記突起は、下に配置された前記挿入取付部の上面に形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両用グローブボックスがインストルメントパネルから離脱することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用グローブボックスがインストルメントパネルに取り付けられた状態を示す図である。
【図2】図1の車両用グローブボックスを示す斜視図であり、第一のリッドを開いた状態を示す図である。
【図3】図1の車両用グローブボックスの取付構造を説明するための図であり、(a)は車両用グローブボックスがインストルメントパネルに取り付けられた状態を示す斜視図、(b)は(a)のX矢視断面図、(c)は(b)のクリップを示す斜視図である。
【図4】(a)(b)は、車両用グローブボックスの組付方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。前後上下左右という表現は、車両の乗員から見た方向を基準とする。
【0012】
<車両用グローブボックスの構造>
まず、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックスの構造について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックスがインストルメントパネルに取り付けられた状態を示す図である。図2は、図1の車両用グローブボックスを示す斜視図であり、第一のリッドを開いた状態を示す図である。図3は、図1の車両用グローブボックスの取付構造を説明するための図であり、(a)は車両用グローブボックスがインストルメントパネルに取り付けられた状態を示す斜視図、(b)は(a)のX矢視断面図、(c)は(b)のクリップを示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックス1は、車両のインストルメントパネルIPの助手席前に形成された開口部に配置されている。車両用グローブボックス1は、その内部に物品を収納可能な筐体であり、図2に示すように、収納部10と、第一のリッド20と、ダンパ部30と、第二のリッド40と、を備える。
【0014】
≪収納部10≫
図2に示すように、収納部10は、本体部11と、取付部12と、を備える。
【0015】
本体部11は、物品を収納可能な筐体であり、前端部が後端部及び中間部よりも幅狭となるように構成されている。図2に示すように、本体部11は、後面に形成された第一の開口部11aを備える。第一の開口部11aは、下方に向かうにつれて前方に近づくように傾斜している。また、本体部11は、右側面外側に立設されたガイド部11dを備える。
【0016】
取付部12は、車両用グローブボックス1をインストルメントパネルIPに取り付けて固定するための部位である。図2に示すように、取付部12は、本体部11の後端部の左右に立設された左右一対のフランジ部12a,12aと、フランジ部12aの前面に形成された上下一対のクリップ12b,12bと、右側のフランジ部12aに形成された孔部12cと、を備える。クリップ12b,12bは、インストルメントパネルIPに形成された上下一対の孔部IPa,IPb(図3(b)参照)に挿入されて取り付けられるものであり、左右に弾性変形可能に構成されている。また、上のクリップ12bの基端部の下面には、リブ12b1が形成されており、下のクリップ12bの先端部の上面には、突起12b2が形成されている。車両用グローブボックス1は、クリップ12bがインストルメントパネルIPの開口部の近傍に形成された孔部IPa,IPbに圧入されることによって、インストルメントパネルIPに取り付けられて固定される。すなわち、孔部IPa,IPbの左右幅は、クリップ12b,12bの左右幅よりも狭くなっているとともに、孔部IPaの上下高さは、クリップ12b及びリブ12b1が挿入可能な高さになっており、孔部IPbの上下高さは、クリップ12b及び突起12b2が挿入可能な高さになっている。
【0017】
≪第一のリッド20≫
第一のリッド20は、収納部10の本体部11に形成された第一の開口部11aを開閉可能な扉であり、取付部12の下端部に回動可能に軸支されている。図2に示すように、第一のリッド20は、扉本体21と、アーム22と、を備える。アーム22は、扉本体21の収納部10側となる面の右端部から円弧状に延設されており、フランジ部12aに形成された孔部12cに挿通されている。また、アーム22の先端部には、ダンパ本体31の上端部から延びる紐部材32が取り付けられている。また、第一のリッド20は、扉本体の下端部に形成されたストッパ23を備える。第一のリッド20を開いた状態において、ストッパ23は、取付部12の下端部に形成された当接部12dに当接することによって、第一のリッド20の回動範囲を規制する。
【0018】
≪ダンパ部30≫
ダンパ部30は、第一のリッド20の急激な開動作を緩衝する部材である。図2に示すように、ダンパ部30は、ダンパ本体31と、紐部材32と、を備える。ダンパ本体31は、例えばエアダンパ等からなり、収納部10の前端部の右端部に取り付けられている。紐部材32は、ガイド部11dを通って、第一のリッド20のアーム22とダンパ本体31とを繋いでいる。
【0019】
≪第二のリッド40≫
第二のリッド40は、収納部10の本体部11の前面及び上面に跨って形成された第二の開口部を開閉可能な扉であり、本体部11の第二の開口部の下端縁近傍に回動可能に軸支されている。
【0020】
<組付方法及び使用例>
続いて、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックス1の組付方法及び使用例について、図3及び図4を参照して説明する。図4(a)(b)は、車両用グローブボックスの組付方法を説明するための図である。なお、図4(a)(b)は、図3(a)におけるX矢視断面図に相当する。
【0021】
図4(a)に示すように、作業者は、クリップ12b,12bの位置をそれぞれ孔部IPa,IPbに合わせ、クリップ12b,12bを孔部IPa,IPbに圧入する。ここで、下のクリップ12bの先端部上面に形成された突起12b2は、孔部IPbを通り抜けた状態となる。このとき、リブ12bは、孔部IPaに到達していない。
【0022】
続いて、図4(b)に示すように、作業者は、上下一対のクリップ12a,12bを孔部IPa,IPbのそれぞれにさらに挿入する。ここで、上のクリップ12bの基端部下面に形成されたリブ12b1は、孔部IPaに挿入されて当該孔部IPaの内周面に当接した状態となり、下のクリップ12bの先端部上面に形成された突起12b2は、孔部IPbの周縁部に係合した状態となる。なお、上のクリップ12bに形成されたリブ12b1の先端はテーパ形状を呈しており、かかるリブ12b1を孔部IPaの内周面に当接させたままクリップ12bを孔部IPaに圧入することによって、車両用グローブボックス1全体が斜め上に持ち上げられ、下のクリップ12bに形成された突起12b2が、孔部IPbの周縁部に係合する。
【0023】
このようにインストルメントパネルIPに組み付けられた車両用グローブボックス1は、図3(b)に示すように、第一のリッド21が開けられてストッパ23が当接部12dに当接した状態において、第一のリッド21に対して開方向への力がさらに加えられたとしても、リブ12b1がインストルメントパネルIPの孔部IPaの内周面に当接し、突起12b2がインストルメントパネルIPの孔部IPbの周縁部に係合するので、車両用グローブボックス1の離脱を防止することができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、リブ12b1及び突起12b2の形成位置及び形状は前記したものに限定されず、上のクリップ12bの先端部の上面に突起12bが形成され、下のクリップ12bの基端部の下面にリブ12b1が形成される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 車両用グローブボックス
10 収納部
11a 第一の開口部(開口部)
12b クリップ(挿入取付部)
12b1 リブ
12b2 突起
20 第一のリッド(リッド)
IP インストルメントパネル
IPa 孔部
IPb 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルに配置されて物品を収納可能な収納部を備える車両用グローブボックスであって、
前記収納部の後面に形成された開口部を覆う開閉可能なリッドと、
前記インストルメントパネルに形成された一対の孔部に挿入されて取り付けられる一対の挿入取付部と、
を備え、
前記リッドは、前記収納部に回動可能に軸支されており、
前記一対の挿入取付部の一方の基端部には、対応する前記孔部に挿入されて当該孔部の内周面に当接するリブが形成されており、
前記一対の挿入取付部の他方の先端部には、対応する前記孔部の周縁部に係合する突起が形成されている
ことを特徴とする車両用グローブボックス。
【請求項2】
前記リッドは、前記収納部の下端部に回動可能に軸支されており、
前記一対の挿入取付部は、上下に配置されており、
前記リブは、上に配置された前記挿入取付部の下面に形成されており、
前記突起は、下に配置された前記挿入取付部の上面に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用グローブボックス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−84190(P2011−84190A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239302(P2009−239302)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】