説明

車両用グローブボックス

【課題】ダンパの性能が好適に発揮される車両用グローブボックスを提供する。
【解決手段】車両用グローブボックス1は、車両のインストルメントパネルに配置されて物品を収納可能な収納部10を備えるものであって、収納部10の後面に形成された第一の開口部11aを覆う開閉可能な第一のリッド20と、収納部10の前端部に取り付けられたダンパ本体31と、ダンパ31と第一のリッド20とを繋ぐ紐部材32と、収納部10の側面に設けられた、紐部材32をガイドするガイド部11dと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに配置されて物品を収納可能な車両用グローブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルには、乗員が物品を収納するためのグローブボックスが配置されている。かかるグローブボックスにおいて、物品収納のための容積を拡大するため、車室側の扉に紐部材を介して接続されるダンパを、グローブボックスの前面(奥壁の裏側)に取り付けることが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−158392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかるグローブボックスでは、ダンパと扉とを繋ぐ紐部材が延びる方向と、扉の開閉動作の方向とが一致しないため、ダンパの性能が好適に発揮されないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決すべく創案されたものであり、ダンパの性能が好適に発揮される車両用グローブボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の車両用グローブボックスは、車両のインストルメントパネルに配置されて物品を収納可能な収納部を備える車両用グローブボックスであって、前記収納部の後面に形成された開口部を覆う開閉可能なリッドと、前記収納部の前端部に取り付けられたダンパと、前記ダンパと前記リッドとを繋ぐ紐部材と、前記収納部の側面に設けられた、前記紐部材をガイドするガイド部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によると、ガイド部が紐部材をガイドするので、ダンパの性能が好適に発揮される。
【0008】
また、前記リッドは、前記収納部に形成された孔部に挿通されるアームを備え、前記紐部材は、前記アームに取り付けられていることが望ましい。
【0009】
かかる構成によると、ガイド部が紐部材をガイドするので、アームが孔部に干渉することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ダンパの性能が好適に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用グローブボックスがインストルメントパネルに取り付けられた状態を示す図である。
【図2】図1の車両用グローブボックスを示す斜視図である。
【図3】図2の車両用グローブボックスの部分拡大図であり、ガイド部材を説明するための図である。
【図4】第一のリッドが閉じられた状態を示す図であり、(a)は上から見た図、(b)は右から見た図である。
【図5】第一のリッドが開けられた状態を示す図であり、(a)は上から見た図、(b)は右から見た図、(c)は(b)のX矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。前後上下左右という表現は、車両の乗員から見た方向を基準とする。
【0013】
<車両用グローブボックスの構造>
まず、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックスの構造について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックスがインストルメントパネルに取り付けられた状態を示す図である。図2は、図1の車両用グローブボックスを示す斜視図である。図3は、図2の車両用グローブボックスの部分拡大図であり、ガイド部材を説明するための図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックス1は、車両のインストルメントパネルIPの助手席前に形成された開口部に配置されている。車両用グローブボックス1は、その内部に物品を収納可能な筐体であり、図2に示すように、収納部10と、第一のリッド20と、ダンパ部30と、第二のリッド40と、を備える。
【0015】
≪収納部10≫
図2に示すように、収納部10は、本体部11と、取付部12と、を備える。
【0016】
本体部11は、物品を収納可能な筐体であり、前端部が後端部及び中間部よりも幅狭となるように構成されている。図2に示すように、本体部11は、後面に形成された第一の開口部11aを備える。第一の開口部11aは、下方に向かうにつれて前方に近づくように傾斜している。また、本体部11は、右側面外側に立設されたガイド部11dを備える。
【0017】
取付部12は、車両用グローブボックス1をインストルメントパネルIPに取り付けて固定するための部位である。図2に示すように、取付部12は、本体部11の後端部の左右に立設された左右一対のフランジ部12a,12aと、フランジ部12aの前面に形成された上下一対のクリップ12b,12bと、右側のフランジ部12aに形成された孔部12cと、を備える。車両用グローブボックス1は、クリップ12bがインストルメントパネルIPの開口部の近傍に形成された孔部(図示せず)に圧入されることによって、インストルメントパネルIPに取り付けられて固定される。
【0018】
本実施形態に係る収納部10は、一体成形された樹脂製部材である。すなわち、ガイド部11dは、収納部10に一体成形されている。
【0019】
≪第一のリッド20≫
第一のリッド20は、収納部10の本体部11に形成された第一の開口部11aを開閉可能な扉であり、取付部12の下端部に回動可能に軸支されている。図2に示すように、第一のリッド20は、扉本体21と、アーム22と、を備える。アーム22は、扉本体21の収納部10側となる面の右端部から円弧状に延設されており、フランジ部12aに形成された孔部12cに挿通されている。アーム22の断面形状は、孔部12cよりも小さく、アーム22が孔部12cの縁部に干渉しないようになっている。また、アーム22の先端部には、ダンパ部30のダンパ本体31から延びる紐部材32が取り付けられている。
【0020】
≪ダンパ部30≫
ダンパ部30は、第一のリッド20の急激な開動作を緩衝する部材である。図2に示すように、ダンパ部30は、ダンパ本体31と、紐部材32と、を備える。ダンパ本体31は、例えばエアダンパ等からなり、収納部10の前端部の右端部に取り付けられている。紐部材32は、ガイド部11dを通って、第一のリッド20のアーム22とダンパ本体31とを繋いでいる。
【0021】
≪第二のリッド40≫
第二のリッド40は、収納部10の本体部11の前面及び上面に跨って形成された第二の開口部を開閉可能な扉であり、本体部11の第二の開口部12bの下端縁近傍に回動可能に軸支されている。
【0022】
≪ガイド部12d≫
図3に示すように、ガイド部11dは、アーム22(図2参照)の先端部とダンパ本体31の上端部との間に設けられており、紐部材32が挿通されるガイド溝11d1を備える。
ガイド溝11d1の底面は、ダンパ本体31の上端部よりも高い位置に形成されており、ガイド溝11d1の内側側面は、アーム22の移動方向の延長上に形成されている。かかるガイド溝11d1によってガイドされた紐部材32は、当該ガイド溝11dからアーム22の先端部に向かって、(上から見て)アーム22の移動方向の延長線上に延設され、(右から見て)上から下へ延設される。すなわち、ガイド部12dは、ダンパ本体31から延びる紐部材32を、第一のリッド40の開閉方向、すなわち、アーム22の移動方向へガイドする。
【0023】
<使用例>
続いて、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックス1の使用例について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、第一のリッドが閉じられた状態を示す図であり、(a)は上から見た図、(b)は右から見た図である。図5は、第一のリッドが開けられた状態を示す図であり、(a)は上から見た図、(b)は右から見た図、(c)は(b)のX矢視図である。なお、図4及び図5における二点鎖線は、ガイド部11dが設けられていない場合の紐部材32の位置を示すものである。
【0024】
図4(a)(b)に示すように、第一のリッド20が閉じられている状態では、第一のリッド20のアーム22の先端部は、ガイド部11dの近傍に配置される。一方、図5(a)(b)に示すように、第一のリッド20が開けられている状態では、紐部材32がダンパ本体31から引き出され、第一のリッド20のアーム22の先端部は、ガイド部11dから離隔した位置に配置される。
【0025】
ここで、紐部材32がガイド部11dによってガイドされていない場合には、図4(a)及び図5(a)に二点鎖線で示すように、紐部材32がアーム22を左側(本体部11側)に引っ張ることになる。また。図4(b)及び図5(b)に二点鎖線で示すように、紐部材32がアーム22をより水平に近い方向に引っ張ることになる。これに対し、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックス1は、ガイド部材11dが紐部材32をガイドしており、紐部材32がアーム22を当該アーム22の(上から見て)移動方向に引っ張るとともに、(右から見て)上方向に引っ張るので、ダンパ本体31の性能が好適に発揮される。また、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックス1は、ガイド部材11dが紐部材32をガイドしているので、アーム22が図3(c)に示す孔部12cの左縁部や下縁部に干渉することを防ぐことができる。
【0026】
また、紐部材32がガイド部11dによってガイドされていない場合には、図5(a)に二点鎖線で示すように、紐部材32が本体部11の右側面に干渉するおそれがある。これに対し、本発明の実施形態に係る車両用グローブボックス1は、ガイド部材11dが紐部材32をガイドしているので、アーム22が本体部11の側面等に干渉することを防ぎつつ、ダンパ本体31のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、ガイド部11dの形状は前記したガイド溝11d1を有するものに限定されず、紐部材32が挿通される孔部等を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用グローブボックス
10 収納部
11a 第一の開口部(開口部)
11d ガイド部
12c 孔部
20 第一のリッド(リッド)
31 ダンパ本体(ダンパ)
32 紐部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルに配置されて物品を収納可能な収納部を備える車両用グローブボックスであって、
前記収納部の後面に形成された開口部を覆う開閉可能なリッドと、
前記収納部の前端部に取り付けられたダンパと、
前記ダンパと前記リッドとを繋ぐ紐部材と、
前記収納部の側面に設けられた、前記紐部材をガイドするガイド部と、
を備えることを特徴とする車両用グローブボックス。
【請求項2】
前記リッドは、前記収納部に形成された孔部に挿通されるアームを備え、
前記紐部材は、前記アームに取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用グローブボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−84191(P2011−84191A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239303(P2009−239303)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】